花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、TRPGの魔法研鑽を展開予定。

TRPGの信仰観の話

今回は神さまと悪魔の話

 

NOVA「さて、前回は魔法の研鑽と称しつつ、ルナル・サーガの思い出や、D&Dから続くドラクエおよびファイファンの職業話、とりわけ信仰職が世界観的にどう受容されたか。また現代オカルトファンタジーRPGとしての老舗に当たる『女神転生』に触れつつ、魔法戦士および神官戦士の武器強化魔法の魅力を宇宙刑事に絡めて話し、最後に80年代からブレイクした週刊ジャンプの3大コミック『ドラゴンボール』『聖闘士星矢』『キン肉マン』が神という素材をどう扱ったかの話まで、幅広く語りました」

ヒノキ「雑談形式とは言え、話が飛び過ぎじゃ。もう少し整理して話せんか?」

NOVA「歴史論文を書いているわけじゃなくて、一種のブレインストーミング四方山話だから、無理です。でも、前置きで年代別に整理してみますと、こうなりますか」

 

 

NOVA「とりわけ、こだわって話題にしたのは、ゲームで神々をどう扱うか、の話ですね。TRPG史で改めて掘り下げると、こういう経緯があります」

 

  • 1974:オリジナルD&Dが回復呪文を扱う魔法戦士職としてクレリックを採用。中世ヨーロッパを背景モチーフにしたファンタジーゲームで、キリスト教の聖職者を回復魔法の専門家に指定したのは妥当な選択。なお、聖職者をプッシュしたのは、ガイギャックスよりも相方のデイブ・アーネソンらしい。理由は、ダンジョンに巣食うモンスターとして吸血鬼などのアンデッドを配置したから、信仰キャラの聖なる光が亡者を撃退する要素を投入*1
  • 1975:T&T登場。こちらは宗教へのこだわりを特に示さず、今もそのスタンスは変わっていない。オフィシャルワールドには創造神もいないが、多彩な種族の崇める神は別々にいて、多神教世界の雰囲気を匂わせてはいる。また、『よその世界から神さまがひょっこり訪れることはあり』としていて、特にクトゥルフ神話のモンスターや神が登場したり、何でもありの奇妙さを現代まで継承している。
  • 1976:D&D第3のサプリメント『エルドリッチ・ウィザードリィにおいて、ドルイドとともにデーモンについて紹介する。当初のD&Dは善良なローフル、中立のニュートラル、邪悪なケイオティックの3分類で、最初のサプリメントにも善竜バハムートと邪竜ティアマットに関する言及があったものの、クレリックの信仰する神について掘り下げては来なかった。しかし、デーモンを登場させることで邪神や悪魔のいる世界における勧善懲悪、二神教みたいな対立構造を明言することになる一方で、中立を象徴する自然崇拝のドルイドを設定することで、キリスト教モチーフのクレリックとは異なる信仰体系を導入した形。
  • 1976:『エルドリッチ・ウィザードリィ』と同年、オリジナルD&D第4のサプリメント『ゴッズ、デミゴッズ&ヒーローズ』も出版される。こちらは、D&Dの世界に既存のリアル神話(エジプト、インド、ギリシャケルト、北欧、マヤ、アステカ、中国)の神話伝承を導入するための資料集だが、同時に『蛮人コナン』の小説からハイボリア神話、『エルリック・サーガ』からメルニボネの神々を無許可で扱ったことで版権問題が生じる。D&Dが多神教世界を模索しつつも、オリジナル世界ではなくて、既存の神話や小説を元ネタにしている点で、世界設定を各DMが自分の知識や興味に合わせて、自由に扱っていいという初期の方針を示しているとも言える。ギリシャ神話の世界に北欧の神(の使徒)が登場したり、エジプトの神と戦うような話も、作ろうと思えば作れる資料と言える。
  • 1977:展開中のオリジナルD&Dの諸問題を解消するための仕切り直しという裏事情もあって、D&Dのルールおよびサプリメントを整理するアドバンストD&Dプロジェクト始動。翌年にかけて発表された新ルールでは、ローフルとケイオティックの属性の他に、グッドとイーヴィルの属性を加えて、中立も交えた3×3の9属性を導入。単純な善悪二元対立を越えた複雑な陣営構築を可能にした。
  • 1978:ルーンクエスト誕生。RPGにおいて、明確なオリジナル多神教ワールドを構築した最初の作品として名高い。D&Dの善悪二元対決に対して、背景世界のグローランサは多彩な神々が複雑な利害関係で動いている。*2
  • 1980:アドバンストD&D用のサプリメントとして、『ディティーズ&デミゴッズ』出版。内容は、『ゴッズ、デミゴッズ&ヒーローズ』の発展版とも言うべきもので、神話の神々や英雄をモンスターデータの形式で表記。神話の種類も少し増えて12種類になった他、既存小説から『アーサー王伝説』『ファファード&グレイマウザー』『クトゥルフ神話』を加える。だけど、例によって版権問題が発生して、とりわけ『クトゥルフ神話』は翌年、別のゲーム会社ケイオシアム社から『クトゥルフの呼び声RPGを出すことが決定していたため、本サプリメントの記述の削除を求められたとか。さらに、キリスト教原理主義者の団体からいろいろ叩かれる直接の起因となったいわく付きのサプリメントだったり。

 

ヒノキ「初期のD&Dが他のRPG作品と比べても、ずいぶんと訴訟沙汰が多いのは、リアル神話や他者が権利を持ってるフィクションを勝手に侵害したことによるものらしいのう」

NOVA「その辺の権利関係について、作者のゲイリーさんは無頓着だった印象がありますな。それで最初の10年で、あまりに叩かれ過ぎた影響があって、その後、会社が著作権に過敏になり過ぎて、80年代の後半以降、今度はD&D絡みの版権について自分たちが2次創作に異常に厳しい対応をとって、熱心なファンから煙たがられた流れがある」

ヒノキ「まあ、版権問題に厳しいTSRは、D&Dの作者ゲイリーさんの作った元の会社とは異なる経営方針だとも聞くし、それでも趣味の延長で著作権の侵害を繰り返していては、いろいろ叱られても仕方ないかな、と」

NOVA「逆に言えば、出版差し止めになったサプリの初版が、お宝アイテムとして売却価格が高騰している、という話も聞きます」

 

80年代のTRPG神話語り

 

NOVA「神話サプリというのが、D&Dにとってトラブルの種になりやすい傾向が見えたところで、他社のゲームはあまり、そういう問題も起きていないような気がします。もちろん、元祖のD&Dがとりわけ、その手の話題が語られやすいという傾向があるのかもしれませんが」

ヒノキ「先達の失敗から、いろいろ学べることもあろう。気にせず続けよ」

 

  • 1981:RPGクトゥルフの呼び声誕生。同年、ストームブリンガー誕生。どっちもD&Dが過去に版権問題でトラブった経緯があって、そういう観点ではいわく付きの原作ものRPGと言える。なお、これらと『ルーンクエスト』が80年代後半にホビージャパンが出版した3大ベーシックRPG関連システムである。その意味で、いずれも当時のD&Dの強力なライバルだったという位置づけになる。『クトゥルフ』は初の近代オカルトホラーRPG(後に現代にも対応する)で、『ストームブリンガー』初版はT&TのケンSt.アンドレがデザインした、これも独自の魔法ルール(精霊やデーモン、邪神の召喚と、アイテムに封印して魔剣などを造る原作再現要素の強いもの)で有名。
  • 1984:AD&D、次々と生まれるライバルゲームに対して、独自の神話世界を構築した小説との連動企画ドラゴンランスを始動。ここからシステムを売る第一世代のRPGから、世界設定を売る第二世代のRPGへD&Dが進化する流れが明確化する。著作権に関しても、ゲームシステムに対しての版権は当時、明確な法制化はされていなかったが、著作物や作品世界特有の固有名詞や用語に関しては版権が発生するために、そういう強みを持つことを意図したという背景もある。
  • 1985:AD&Dサプリメント『レジェンド&ロアー』出版。これは80年の『ディティーズ&デミゴッズ』の6刷めに当たる。トラブルにはなったけど、『ディティーズ&デミゴッズ』は人気サプリでもあったようで、毎年1刷ずつ増刷されるほどは売れたようだ。初刷と2刷に掲載された『エルリック・サーガ』『クトゥルフ神話』のページは、3刷以降は削られたけど、それでも神話関係の資料本というだけで、5刷まで売られた後、マイナーチェンジした内容と書名、表紙イラストを変えたバージョンで再発売。その後も、『レジェンド&ロアー』はAD&Dの改訂2版に合わせてバージョンアップしたり、3版で『ディティーズ&デミゴッズ』というタイトルに戻って版上げバージョンが発売された後、4版以降は雑誌上の記事名に痕跡を残すこととなった。
  • 1987:AD&Dサプリメントドラゴンランス・アドベンチャーズに、ドラゴンランスの世界クリンにおける神々の情報も収録。83年のサプリメント『ワールド・オブ・グレイホーク』、87年のフォーゴトン・レルム キャンペーン・セット』と並ぶAD&D1版時代の神々を含む世界設定資料となる。80年のグレイホーク資料では、神々の資料が欠けていたのをファンから指摘されたゲイリーさんが83年に改めてグレイホーク世界の神々についても補足したワールドガイドを構築した事例から考えて、80年の時点ではD&D独自の神格設定は重要でないと見なしていた会社が、以降は認識を改めて、ファンタジー世界において神話設定と多神教の神々は非常に大切な要素である、という結論に達し、以降のドラゴンランスやレルムもそれに基づいた世界観や物語を展開していくことになる。
  • 1989:AD&D2版登場。版上げによって、各種ワールドガイドもそれに応じた刷新が為されていく。作者のゲイリーさんが不在になったグレイホークは、カール・サージェントを中心にしたチームで展開され、ドラゴンランス同様の戦争キャンペーンが描かれていく。しかし、この段階で日本向けに諸作品(小説やコンピューターゲーム)が翻訳紹介された世界は、ドラゴンランスのクリンと、レルムのフェイルーン大陸、加えてクラシックD&Dのミスタラであり、グレイホークの変容もほぼ知られぬままであった。それでも、この時点でAD&D初版では詳細にルール設定されていなかった神々について、2版ではルールブックに記述されていたことは分かる。多神教の神々を導入するガイダンスがPHBのプリースト(クレリックドルイドの総称)の項目に記され、D&Dの前提として多神教であることを是としているわけだ(神々の詳細情報は各種サプリメントに委ねられたけど、邦訳には至らず)。ルールブックの記述だけからも推察されるゲーム世界の信仰観の変化が興味深い。

 

ヒノキ「これは主にD&D視点、しかも海外ゲームの動向を中心にしたものじゃのう。日本はどうなっておる?」

NOVA「日本のファンタジーだと、まず『ローズtoロード』(1984)に見られるように、基本は自然界の諸力たる精霊信仰なんですな。マジックイメージのパワーソースの一つが色で、その色に対応した神が設定されています。白は光を象徴するイーヴォ神の力とか、黒は変化を象徴するデュール神の力とか(破壊と創造にも通じて、暗黒の邪神と受け止められるケースもあるが、闇そのものを司るわけではない)、赤が大地と獣で、黄色が炎というのが少し変わっているイメージですが、青が水、紫が風、緑が植物と精神といったところで、それぞれのキャラクターも生まれたときに親和的な色とかがランダムに作られて、あとはプレイ中のイベントとかで、どの色(マジックイメージ)を受け取って影響を受けるかが変わって来たりします」

シロ「確か、マジックイメージはランダムにカードによって与えられるんですね」

NOVA「版によって、いろいろなローズがあるんだが、俺が持ってるのは、89年のBローズ、93年のFローズ、2002年のRローズ、2010年のWローズだな。84年の無印版は、俺がTRPGにハマる前の作品なので買ってない」

ヒノキ「神格に相当すべき精霊がマジックイメージに関わるということは、神=精霊=魔法と密接につながるわけじゃな」

NOVA「ええ。ローズには、職業的な要素はシステム上はありません。作者の門倉直人さんは今、何をしているのかな、とWikipediaを読んでみたら、驚いた。思緒雄二って門倉さんの別名義だったんだ。知らなかった」

ヒノキ「思いがけない発見。確か、こういうのをセレン何ちゃらって言うのじゃな」

NOVA「セレンディピティ。今のは確かにそう。俺の中で、門倉直人さんの名前と、思緒雄二さんの名前は別々に登録されていたのですが、今ここにつながって、そうだったのかあ、と納得しきりです。お二方の名前は、幻想的って言葉でつながってましたが、まさか同一人物とは。キース・マーティンとカール・サージェントが同一人物と聞いても、どっちもあまり知らなかったから、ふ〜んとしか思わなかったですが、ウォーロックなどの雑誌も含めてそれなりによく知ってると思い込んでいた名前が実は同一人物だったとは、へえ、そうなんだあ、なるほどなあ……って感覚です」

ヒノキ「これは、どのローズじゃ?」

NOVA「Rローズですね。RローズとWローズは、どっちもタイトルが同じで紛らわしいですな。まあ、今はこれぐらいにして、とにかく俺がTRPGを始めたのは86年から87年にかけてだから、それ以前のボックスRPGは買ってないんですよ。トラベラーは買わなくて、持っているのは91年に出たメガトラベラーだし、他は『フォーリナー』と『WARPS』と『ルール・ザ・ワールド』以外は80年代に出たTRPGは一通り揃えたと思う。まあ、新版が出たから処分した『ロードス島戦記コンパニオン』とか『ワースブレイド』のボックスみたいなものはありますが。ああ、『ナイトメアハンター』もディープが出たから処分してしまったな。俺が初めて買ったホラーRPGなのに」

ヒノキ「なるほど。新兄さんのTRPGのハマりようは、つくづく理解した。TRPG好きとして敬意を示そう」

NOVA「そう言っていただくのは、趣味人としての誉れです。さて、俺が一連の魔法と信仰話をして来て、一番語りたいゲームがあるのです」

ヒノキ「それは何じゃ?」

NOVA「ここまで語って来て、全く触れていないこいつです」

奇妙な幻想アドベンチャー

 

NOVA「さて、87年の正月にD&Dの赤箱と青箱を買った高1の俺は、その後、高2に進級して、お小遣いなども費やしてFFゲームブックの新刊や、T&Tのソロアドベンチャーや、ドラゴンランスを買って、充実したファンタジック高校時代を過ごしておりました」

ヒノキ「真兄さんの学力が気掛かりじゃ」

NOVA「ご心配なく。記憶力と文章読解力に秀でていた俺は歴史と英語と国語と数学に才能を発揮して、問題なく高校での勉強をも乗り越えていました。ただ一つ、理科(物理と化学)を除けば」

ヒノキ「まあ、苦手科目があるのは仕方あるまい」

NOVA「いや、自分では苦手だと思っていないのですよ。中学時代は得意科目だったし、高校の授業も普通に理解はできた。頭では分かっていたつもりだったんです」

ヒノキ「じゃあ、何が問題だったのじゃ?」

NOVA「理屈を分かっただけでは、テストの問題が時間内に解けなかった。頭で分かったつもりになっていても、手を動かすテクニックが身についていなかった。理論は分かっても、しなやかな身ぶりと発声練習をこなさねば、魔法の呪文がかけられないのと同じです。

「あるいは、TRPGのルールブックを読んで、システムの概要を理解したつもりになっていても、じっさいにキャラクター作りをしたり、模擬戦闘をしておかないと、上手くプレイできないのと同じ。ましてや、ゲームマスターを滞りなくこなせるはずがない。入門用のシナリオならともかくね」

ヒノキ「つまり、キャラクターを作ったこともないのに、そのシステムがどうこうと語るような間抜けじゃったのか、新兄さんは?」

NOVA「失敬な。俺が語っているゲームは、キャラ作りぐらいしてますよ。まあ、世界観だけチェックして、システムについては語ってないものもありますけどね。RローズとWローズとかは。

「少なくとも90年代までに入手したシステムは、全部キャラ作りぐらいしてます。まあ、さすがにサンプルキャラが付いてる21世紀のシステム(主にFEARさんの作品)は、よくあるSRSかあ、と思いながら、流し読みして終わり。リプレイだけを楽しむってケースも結構ありましたが」

ヒノキ「その辺は、システム的には似たり寄ったりじゃからのう」

NOVA「それでも作ってみると、結構楽しめるんですけどね。変な背景が出たり、とか。だけど、システムの進化論って意味では、80年代から90年代のルールのヴァリエーションは凄いと思った。TRPG雑誌でも、このゲームのシステムの面白さはこういう点にあって……とか解説している記事を読むと、それは欲しくなると思うわけで。近年のゲームは、システムの面白さよりも、癖のある世界観とか、でき上がった物語の面白さをプッシュするばかりで、骨太のシステム論があまり出ないのが物足りないわけで」

ヒノキ「だったら、自分で書かんか!」

NOVA「一応、書いてるつもりなんですけど、システムじゃなくて、世界観の歴史になってますね。やはり、俺は文系だ」

ヒノキ「要点を押さえておらんのは、文系でも問題がある。何が要点か3行で答えてみよ」

NOVA「ええと、俺が理科の成績で苦戦して、理系志望なのに高3の夏に文系に転じた話ですか」

ヒノキ「そんなことは今さらどうでもいい! それよりもファンタズム・アドベンチャーの話をしたいのではないか!」

NOVA「おお、それだ。あれは、本屋で見かけた雑誌、大日本絵画社の出版した『ゲームグラフィックス』誌をパラパラめくっていたとき、知ったんですよ。この雑誌の別冊『エクスカリバー』には大変お世話になりました」

ヒノキ「持っておるのか?」

NOVA「いやあ、さすがに処分してしまいましたよ。こんなお宝本が1800円で買えたなんて、素晴らしい時代です。このRPGカタログ本でタイトルを知った作品もいっぱいですが、惜しむらくはルーンクエストが載っていなかったこと。あと、GURPSの評価があまり良くなかったり、結構、偏見に満ちたレビューが後から見て残念だったんですが、それでも未知のゲームシステムがこんなにあるんだあ、と感銘しましたね。

「余談ながら、このカタログ本に接した時のSNEの安田社長の反応が、『先を越されたか。しかし、まだまだだな。いつか、これ以上のカタログ本を作ってやる』と言ったエピソードをどこかで聞いたことがあって、その結果、後に出版されたのがこれです」

NOVA「ともあれ、87年の時点で、俺がTRPGの情報を仕入れた書籍雑誌は、ゲームブックの中に挟まっている折り込み小冊子以外に、『ウォーロック』『TACTICS』『ゲームグラフィックス』の3冊で、後に『ドラゴンマガジン』とか、いろいろと専門誌が登場するのですが、さすがに高校生の財力では全部買えるはずもない。しかし、89年以降は俺も大学生でアルバイトをするようになって、趣味に使えるお金が充足していったので(月1000円程度が、月5000〜1万円に)、その頃合いのTRPG発売ラッシュにも付いて行けるようになったのは幸いでした。

「そして、それまでボックス5000円程度だったRPGが、ゲームブック→文庫RPGのT&Tおよびソード・ワールドという価格革命で容易に買えるようになった恩恵は、当時を生きた学生にとってはまさに素晴らしかったの一言。

「念のため、俺が高校時代を含む80年代に入手したTRPGは、こんな感じです」

 

  • 86年:ゲームブックの流れで、スティーブ・ジャクソンファイティング・ファンタジーRPGが初。同年、RPG幻想事典』に収録の簡易RPGアルビオン』も入手。
  • 87年:正月のお年玉でD&Dの赤箱ベーシックセットと、青箱エキスパートセットを購入。ボックス入りのRPGはこれが初。後に、文庫RPGT&Tも購入。こちらはソロシナリオも合わせて、ゲームブックの感覚で買えるのがいいけど、結局、ゲームブックとしてプレイして、TRPGとしてのプレイ経験はほぼない。
  • 88年:正月のお年玉で、ボックス入りの指輪物語RPGを購入。自分が初めて買ったスキル制のRPG。同じボックス入りでも、D&Dと比べてこんなに豪華なんだと感じ入る(笑)。この年に購入したのは、書籍スタイルの『混沌の渦』『ナイトメアハンター』、そして『ファンタズムアドベンチャー(略称PA)』。箱入りゲームは、年に1回しか買えない高校時代に、1000円以内で買える文庫RPGはお得だったけど、システムの中身をよく吟味しないまま、何だか安物だって感覚も当時はありました。それに比べて、2000円程で買えた『ナイトメアハンター』が本格的に思えたり(自分が初めて購入した現代ホラーRPG)、3000円弱のPAは凄く豪華なRPGに思って、サプリとかもどんどん集めてました(今も持ってる)。
  • 89年:この年の正月には、何も買ってません。何しろ、大学受験でそれどころじゃなかった。その代わり、大学に進学した後は、欲しかった箱入りルーンクエスト』『ストームブリンガー』『ウィザードリィRPGを次々と購入しつつ、この年に出たソード・ワールドRPG』『ロードス島戦記コンパニオン』も普通に購入。日本初のロボットファンタジーRPG『ワースブレイドも喜んで購入しつつ、自分がこの年、一番プレイしたのは『ウィザードリィRPG』でした。ソード・ワールドは友人(盗賊シャークのプレイヤー)がゲームマスターを担当してくれたけど、キャンペーンというほどの回数には至らず。『ウィザードリィRPG』のいいところは、システムがD&Dのアレンジバージョンで馴染みやすかったことと、ボックス制で備品がそこそこ充実していたのと、当時メタルフィギュアも出ていて、イメージ共有もしやすかった点。

 

シロ「この時点で12種類もゲームシステムを入手していたんですね。一体、いくつのシステムを集めたんです?」

NOVA「う〜ん、数えたことはないなあ。この記事にタイトルが挙がっている中で、買ったことがあるシステムを数えてみると……」

NOVA「ざっと見て、80といったところか。ただ、よく見ると、このリストは国産品だけだな。洋物が載っているページは……」

NOVA「こちらで数え直すと、ざっと170強だな。まあ、ガープスとかマギウスとかSRSでそこそこ水増ししているが、少なくとも150近いシステムに触れたことになる」

ヒノキ「それだけのシステム数を、わざわざ数える辺りが感心というか、呆れるというか」

NOVA「いやあ、自分では100種類ぐらいは越えていると自負していたので、最初に80しかないと思ったときは、あれ? 少ない? と思いましたが。なお、これらのタイトルには、版上げバージョンなんかが漏れていますので、もう少し増えそうですね。

「具体的には、『D&D5版』『AFF2版』『一つの指輪』『サイバーパンクRED』『パグマイア』なんかが漏れているようです。誰か、書き加えてくれませんかね」

ヒノキ「自分でやれ、自分で」

NOVA「イヤだ、面倒くさい。この記事を読んだ誰かが書き加えて、ここのコメントに報告してくれたら、俺としては褒めてつかわします」

ヒノキ「何を偉そうに。で、その『100を越えるTRPGシステムを買った』新兄さんは、そのうち、いくつを実プレイしたのじゃ?」

NOVA「それが問題ですな。キャラ作りだけをしたシステムを実プレイと言えるのか。リプレイを読んで楽しんだシステムとか、興味を持って購入したけどプレイできるメンツを集められなかったシステムとか、ここでの妄想プレイしかしていない『ゴブリンスレイヤー』は実プレイしたと言っていいのか……」

ヒノキ「それはいいに決まっておろう。じっさいにキャラを作って、サイコロを振って、シナリオをクリアしたのじゃからのう」

NOVA「それでもよければ、『アルシャード・ガイア』『ウィザードリィRPG』『ギア・アンティーク』『クリスタニア』『ゴブリンスレイヤー』『ソード・ワールド(2.0、2.5含む)』『パワープレイ』『ファンタズム・アドベンチャー』『ブルーフォレスト』『まじかるらんどRPG』『ルーンクエスト90s』『Fローズ』『ロードス島戦記RPG』『アースドーン』『ウォーハンマー』『D&D(クラシック、アドバンスト、3版)』『パグマイア』『幻のユニコーンクエスト(ファンタジー・トリップ)』『T&T』『ファイティング・ファンタジー』『央華封神』『大活劇』『ゴーストハンター』『真・女神転生(覚醒篇)』『ナイトメア・ハンター』『機動戦士ガンダムRPG』『スペオペヒーローズ』『TORG』『メガトラベラー』『メックウォリアー(バトルテック)』『GURPS妖魔夜行』『魔法少女プリティーサミーRPG(マギウス)』『RPG福袋の中のいくつか』……といったところですか。キャラ作りだけじゃなくて、実際のシナリオ経験があるのは」

シロ「いくつあるんですか?」

NOVA「ケイP、数えろ」

ケイP『33ッピよ』

NOVA「すると、買ったシステムのうちのプレイ率は、33÷170として19.4%といったところか。2割ほど。少ないな」

ヒノキ「いやいや。現実には、33種類もTRPGをプレイした経験のある人間の方が少ないのではないか? しかも、プレイしたことのないシステムを100以上も購入してきた経緯をもって、愛と言わずして何と言う?」

NOVA「ああ、もう一つあった。『ログ・ホライズンTRPG』、これもプレイ経験があるな。上記のWikiページに載っていなかったから、危うく見逃がすところだったぜ。10年ほど前に久しぶりにGMしたシステムで、いまいちセッション運営が上手くいかなかったんだよな。やはり、若いときの感覚を失っていたことを実感したね」

ヒノキ「それで、新兄さんのTRPG遍歴の一端は分かったから、ファンタズム・アドベンチャーの話に移らんか?」

NOVA「とりあえず、この作品は数多い異種族で遊べるゲームということで有名なんですが、魔法と神々についても独特のルールを備えています。神々については、俺が初めて知った多神教RPGということになりますな。ルーンクエストを買ったのは翌年ですし、D&DやFFで神さまの設定付きワールドガイドが出たのは後年ですし、指輪RPGではヴァラール(いわゆる神霊)について書いてあったと思いますが、ルールで反映されるデータではなくて単に背景世界の説明ですから、戒律とか恩恵とかのデータが載っているのを読んだ最初のRPGが俺にとってはPAだった、と」

シロ「神さまは何柱ぐらいいるのですか?」

NOVA「PAの世界モノカンでは、信者には唯一神とされているエネク神と、9柱の神々から成る多神教一派のトーゴン信教と、3つセットのシズ3神というのがあって、13種類の神を信仰できる。キャラクターの信仰度は最初に1から始まって、経験度を費やして信仰度を高めていけば、それに応じた戒律や恩恵が与えられる。恩恵はともかく、戒律がルールで明記されたシステムが当時の俺には新鮮でした。基本は、収入の何%を神殿に捧げよとか、1日1時間は祈りを捧げよとかで、信仰度が上昇するにつれて、負担が増えてくる。まあ、職業聖職者として、教団でも上の地位に昇ろうと思えば、当たり前なんですけどね」

ヒノキ「信仰度が一定以上を越えると、もはや冒険に出る余裕がなくなるな」

NOVA「神託や教団の命令に基づく冒険なら、それがそのまま信仰活動になるので、両立できるんですけどね。普通は、どこかの神殿の司祭に収まって、冒険者をバックアップする立場となります。冒険を引退しつつ、非常時には昔とった杵柄で鍛え上げた技と力を行使する神殿長とかにもなれます。まあ、そこまで育つと、普通はGM預かりのNPCとして扱うのが無難でしょうけど」

シロ「お金や時間の奉仕のほかには、どのような戒律があるのですか?」

NOVA「そうだな。信仰度は20レベルまであるんだが、レベル2だと神のシンボルを持ち歩く。例えば、TRPG教団があるとしたら、ダイスもしくはカードを持ち歩く、といったところか」

ヒノキ「TRPG教団か。そんなものがあれば、わらわは信者じゃな」

NOVA「ヒノキ姐さんは神霊なのだから、TRPGの守護神を名乗っていただけませんか?」

ヒノキ「それは、ゴブスレ世界のガイギャックス神じゃろう。わらわがTRPGの神など、畏れ多いわ」

NOVA「まあ、ゴブスレのガイギャックスは小説のキャラが、驚いたり悪態をつくときなどに発する『畜生』『何てことだ』みたいな言い方なので、神よりもジーザス! みたいな意味あいかと思いますが。少なくとも、四方世界にガイギャックス神という神格は設定されていませんよ。あくまで、あの世界の俗語扱いです」

ヒノキ「ともあれ、TRPG教団が存在するとして、新兄さんはレベル何ぼくらいじゃ?」

NOVA「そうですな。エネク神の戒律に合わせるなら、『レベル4:信者は神にまつわる歴史のすべてを学ぶ努力をする』は達してます。『レベル5:1日に1時間の祈り』をどう解釈するかですが、ブログ記事を書く作業を祈りと解釈してもらえればOKな時もあります。レベル6の1日3時間の祈りは急にハードルが上がりますが。レベル8は、他の人間を改宗させる努力をしなければなりません。この辺から、厳しくなりそう。

「これがレベル13になると、信者でない者を見つけ、積極的に改宗するためにできるだけのことをする……と鬱陶しさが向上しますね。レベル14になると、『信者でない者と手を携えたり、共に行動することを禁じる』ですから、友だち相手に改宗するか、絶交するかを突き付けることになる。正直、この日本において真っ当な社会生活を営むことはできませんね」

ヒノキ「趣味に例えるなら、TRPG好きでないと付き合えん、ということになるか。自分と付き合いたいなら、TRPGを好きになれ、と言ってくるTRPG信者は面倒くさいのう」

NOVA「まあ、趣味関連ならガンダム教団プラモ派とか、特撮教団ニチアサ派とか、いろいろ分派は作れそうですが、俺はニチアサ派だからドアサのウルトラは絶対に見ないってケースは稀ですね」

ヒノキ「ガンダム教団にも、プラモは作らない層もそれなりにいそうじゃが、さておき、信者でない者と付き合えなくなってしまうと、教団の幹部になって、神殿に引きこもっていないといけないのでは?」

NOVA「ある意味、修道院とか密教系の山ごもり道場って感じですね。信仰活動の妨げになるから、外部の者は立ち入り禁止の建物や聖地で、ひたすら神のために奉仕しながら、神の道を学ぶ毎日。さすがに、趣味でもそこまでのめり込む気にはなれないな」

シロ「それで、そこまでの戒律を守って、どういう恩恵が?」

NOVA「エネク神の場合は、信仰度レベル10までは治療やショックのスキルレベルが次第に向上するとのこと。治療は少々の傷を治したり、死にかけている相手に応急処置を施すスキル。ショックは大ダメージを受けた際に意識を失わずに耐えるスキルだな。レベル11から13までは鎧の効果にボーナスが付く。他には、信仰度%の確率で、神に直接祈願して、回復や解呪、復活の奇跡を賜ることができるが、この判定には所持金や魔力ポイントを捧げることでボーナスが付いたりする。とにかく、このゲームの神さまはやたらと金銭的な奉仕を要求する傾向があるな」

ヒノキ「ゲームの世界の教会や宗教団体は、奇跡のために高額の寄付を請求するのは定番じゃろう。しかし、冒険仲間にプリーストがいれば、わざわざ高額の寄付を払わずとも、回復呪文を使ってくれよう」

NOVA「回復呪文は、信仰とは関係なく、『生命と死の系統の呪文』を習得することで使えますね。ただし、魔法のパワー源を決める領域の中に《神々》というのがあって、それを選ぶことで『神の力に基づく魔法を使える術師=神官』と設定することは可能。また、PAはクラス制のゲームではありませんが、それに準じた社会的階層を決める氏族ルールがあって、『軍事・宗教・犯罪・交易・政治・神秘』の6つから自分の氏族を選び、その中での地位を上げることで各種の恩恵を得るシステム。よって、氏族で宗教を選び、信仰度を向上させ、《神々》を魔力源に持つ回復呪文を習得するようにすれば、従来のプリーストを構築することも可能。ただし、それ以外の選択肢もある、と」

シロ「犯罪者上がりだけど、信仰度は高くて、魔力源を《神々》にした悪徳神官も可能?」

NOVA「いや、氏族は表の顔だから、犯罪者の氏族は神官を名乗れないと思うな。そういうのは、神に仕える忍びとかになりそうだ。教団所属の隠密部隊とか? 悪徳神官でも、氏族は宗教を選ばないといけない。まあ、上級ルールのアドバンストPAだと、氏族とは別に、過去の経歴を決める追加ルールもあって、複雑な背景を持ったキャラも作れるんだが……やはり、なかなか精密なルールだな」

ヒノキ「帯の文に『ファンタジー・ロールプレイの最高峰』と謳い上げるだけのことはある。80年代の本邦TRPGにおいては、トップレベルではないか?」

NOVA「確かに、PAはまだ粗削りな面がありましたが、2年後の1990年に出たアドバンストPAでは精密さも磨きがかかって、宗教関連の戒律ルールも実プレイしやすいものに改められました。エネク神も欲深い神ではなくなって、その分、清貧と、貧しい者への施しを推奨する教義になるとか、狭量さもなくなったかな、とは思いますね。まあ、常に神の偉大さを称えるように振る舞い、誠実と慈悲、誇りを持つように奨励されるのですが、唯一神として高慢なところは変わりないものの、ロールプレイ困難な引きこもり推奨ではなくなった、と」

ヒノキ「さすがに異教徒と付き合うことを禁じる教えだと、人助けや布教活動もやりにくいからのう」

 

NOVA「それでは、今回もいろいろ語りすぎたので、続きは次回に回します」

ヒノキ「まだ続けるのか? ネタがよくも尽きんものよ」

NOVA「とりあえず、80年代のネタはこの機に語り尽くしておきたいです」

(当記事 完)

*1:D&Dの購入アイテムに当初から聖水や鏡、聖印があるのはそのため。また、狼男対策にトリカブトみたいな品もかつてはあった。

*2:冒険者向きとされる嵐の神オーランスは蛮族の神であり、ルナー帝国と対立する存在。一方、太陽神イェルムはかつてオーランスに殺されたことがあり、その結果、世界が闇に包まれたこともあった。オーランスは反省して、冥府からイェルムを復活させる冒険行を行ったが、ルナー帝国(月を祭る)は太陽神と敵対しているわけではなく、しかし混沌と裏でつるんでいて、オーランスは混沌を憎む、という対立関係。一方で暗黒神に仕えるトロールは、混沌嫌いなので、ルナー帝国とも太陽神とも敵対関係。すると、オーランストロールと同盟して、ルナー帝国の村を襲撃して、太陽神の子イェルマリオの傭兵と対立するシナリオも作れるわけだが、村で混沌の儀式が行われていることを知ったイェルマリオが悩みつつも、オーランスと一時共闘する敵味方が混在するややこしい話も作れるわけである。