花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、D&Dを中心に世紀末前後のTRPGの懐古話を不定期展開中。

荒野の果てに(翔花修行編1)

まずはオープニング

花粉症ガール、粉杉翔花は、スギ花粉の精霊少女である。
彼女を創造したWhite NOVAは、世界平和を企む正義のヒーローマニアである。
時空魔術をたしなむNOVAは、自身の自由のために、翔花を戦いの旅に送り出したのだ!

ということで、充電期間も終えて、「翔花主役のバトル物語」をスタートします。
明日は母の日なので、翔花ママと、彼女をそう呼ぶネコ耳ドゴラことケイPをいつまでも放置しておくわけにはいかないですしね。


NOVAはその間、別ブログでたっぷりRPGについて想いの丈を書きつづっていたわけだけど、そこで生み出した次元ドルイドなる人物が、いまいちアシスタントガイドとして機能しないことに気づき、改めて「翔花の価値」を認識した次第。


うむ、何だかんだ言って、翔花はNOVAの魂の眷属として契約を誓った仲だしな。
ポッと出の次元ドルイドとは、わけが違う。彼は、用事が済めば(翔花のためのドルイド考察が済めば)故郷のアレクラスト大陸に送り返す約束なので、そのうち別れることが確定なんだが、翔花はそういう扱いをするわけには断じて行かない。
イラストを付けてくれた人もいるわけだし、創作キャラとして、主役として活躍する話も展開しないと、いろいろもったいないと考えるわけで。


そういうことで、ここから本格的に翔花のバトルストーリー、いわゆる『翔花伝』のスタートになります。
このタイトルは、『岳飛伝』にあからさまにインスパイアされたのと、世阿弥能楽書『風姿花伝』も意識している。いや、中身は全然関係ないけど。
すらすら読める風姿花伝 (講談社+α文庫)
ちょっとした景気づけ、ということで。

みどりの日の後始末

NOVA「マピロ・マハマ・ディロマト!」*1

翔花「キャーーーッ!」*2


こんな感じに翔花を修行の旅に飛ばしたのが5月4日のみどりの日
そこから一週間以上もの間、放置しっぱなしなのは、父親失格のそしりを免れまい、と思っていたけれど、ここで「翔花ちゃんのことが心配です。早く続きを書いて下さい」ぐらいのメールを書くなり、コメント欄に書くなりすれば、翔花とNOVAの好感度が上がっていたこと間違いないのだが、そういう人は現れなかった。まだまだ不憫な娘よのう。
あ、イラスト書いてくれた人は、今回からバトルストーリーに展開する上での設定協力をしてくれたので、元より好感度が上昇しているわけで。
ええと、この一週間の間、自分も何もしていなかったわけではなくて、『翔花伝』ストーリーのためのプロットを練ったり、新キャラ設定の打ち合わせなどをしたり、バトル展開と日常展開と、それから他のブログ記事の書き込み頻度調整して、スケジュールを組んだりしていた。
バトル展開に掛かり切りになると、他の記事が書けなくなる弊害も以前、感じたので、日常編とバトル編の時間軸はごっちゃにしない方がいいだろうと判断し、今後のバトル編は週一連載ペースで考えようかな、と思っている最中。


それと、みどりの日に書いた記事を読み直して、モスラがドゴラと同じ誕生年だと間違いを書いてしまったことに気づく。
ええと、64年は『モスラ対ゴジラ』の方で、ゴジラを倒した双子の幼虫モスラを念頭に置けば間違いでない、と強弁することも可能だけど、やはり怪獣のデビュー作を普通は考えるよね。昭和の『モスラ』は3年早い1961年生まれです。
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全国のモスラファン(ドゴラと違って大変多いでしょうな)には、伏して謝罪。お詫びにモスラの歌をどうぞ。

しかし、今回の話の舞台は、モスラではなく、さらに先輩のラドン(1956年生まれ)ゆかりの地なのでした。

つまり、九州は阿蘇。修学旅行シーズンだし。

転移した先はウィルダーネス

謎の声『翔花ママ、ゲンキカ? 翔花ママ、ゲンキカ?』

翔花「う、うーん。ふぁああ(目覚めてあくび)ハロ、今日も元気だね。って、何? 何で、目が覚めてみれば、ピンクのハロがすぐそばに。おまけに猫ミミが付いているし。一体、どういうことよ、これ? 翔花ちゃん、ピンクハロパニック!」
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ケイP『翔花ママ、どうか落ち着いてください。全てはマスターのいたずらなんです。マスター曰く、「おい、ケイP。お前は何にでも変形できるんだったら、普段はピンクのハロになってろ。もちろん、猫ミミ付きでな。俺はビルドダイバーズを見て、ネコ耳ピンクハロのモモカにハマった。人間の時もいいが、やはり時代はネコ耳だよ。おまけに球体で、女の子に抱きかかえられてる姿が可愛いんだよ」なんて、おっしゃった次第でして』

翔花「もう、NOVAちゃんったら。また、おかしなことを考えて。いつまで経っても、変なものに萌えを感じる癖が抜けないんだから。私というものがいるのに、モモカなんて女にうつつを抜かすなんて、絶対に許せない。NOVAちゃんはどこ?」

ケイP『そ、それが気が付いたときには、ここには我々、翔花ママとぼくしかいないわけでありまして』

翔花「KPちゃん、また話し口調が変わった?」

ケイP『そ、それもマスターのいたずら、というか緻密に見えて、どこかテキトーな性格の現れでして。マスター曰く、「おい、ケイP。お前は不定形なのが売りなんだから、話し口調も不定形でいいぞ。一人称はぼく。それ以外は、騎士になったり、コンピューター調になったり、スライム調にプルプル言ったり、執事っぽくなったり、幼児っぽくなったり、ケロロ軍曹やシャショットみたいに喋ったり、もう何でもいいぞ。固定した口調で喋らせる方が面倒くさい。お前はキャラ崩壊前提の不定形キャラで確定」と、おっしゃった次第』

翔花「そ、それはある意味、斬新なキャラ設定ね。だったら、アムロさん」

ケイP『やってやる、やってやるぞー。相手がザクなら人間じゃないんだ、僕だって。落ちろーー』

翔花「カミーユ・ビダン

ケイP『お前には分かるまい。この俺の体を通して出る力が。まだ抵抗するのなら、ここからいなくなれー』

翔花「ジュドー・アーシタ

ケイP『やーーってやるぜ』

翔花「それは違う。声は同じだけど、キャラが違う」

ケイP『勘弁してくださいよ、翔花ママ。マスターが眠い目をこすりながら、いろいろと人のセリフとか考え方を、ぼくの心にインプットしたんですから、間違いがあるのも全部、マスターのせいなんです』

翔花「前に、夜中に何かゴソゴソしていたと思ったら、そんなことをしていたんだ。他にどんなことをインプットされたの?」

ケイP『そうですね。人間に近づくための三原則として、次の三ヶ条を絶対に守るように言われました』

  1. ケイPは人間および翔花に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間および翔花に危害を及ぼしてはならない。
  2. ケイPは人間および翔花に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第1条に反する場合や、命令主がNOVAおよび翔花の敵であると認定された場合は、この限りでない。
  3. ケイPは、前掲第1条および第2条に反する恐れのない限り、自己を守らなければならない。

翔花「それは、アシモフさんが元ネタっぽいわね。悪い選択じゃないと思うけど、もしも私とNOVAちゃんがケンカした時はどうするのかしら?」

ケイP『その場合は、判断に迷うであります。そのようなことが本当に考えられるのですか?』

翔花「NOVAちゃんが私以外の女に過剰に入れ込んだり、内海さまを侮辱するようなことを口にしたら、分からないわね。とにかく、NOVAちゃんに、そのネコ耳モモカって女のことを問い質すの。全てはそれからよ。事と次第によっては、浮気男のNOVAちゃんに鉄槌を下すのもやむを得ないわ。KPちゃんも、その日に備えて、いつでも電撃を放てるようにしておきなさい。浮気は許せないだっちゃって、私が言えるようにね」

ケイP『し、しかし、ぼくの持っているマスターのデータによると、マスターNOVAは「人間の女には萌えや愛情を感じない」そうですから、浮気の心配はないか、と』

翔花「つまり、『人間じゃなければ萌え対象。愛する可能性だってある』ということよ。KPちゃん、今すぐ精霊ネットで検索して。そのネコ耳モモカというのは人間なの? それとも獣人キャットピープルか何か? あるいはハロに姿を変えたってことは、私たちみたいな不定形生物ってことも考えられるわ。他に不定形のライバルがいるなら、浮か浮かしてられない」

ケイP『わ、分かりましたであります。ええと、検索キーワードは、「ネコ耳、モモカ」これでうまくいきますかね。おお、「ヤシロ・モモカ」という名前が浮上しました』

翔花「ヤシロ・モモカ、その女がNOVAちゃんをたぶらかす悪霊なのね」

ケイP『いや、さすがにそれはないかと。ぼくの調べでは、ヤシロ・モモカは間違いなく人間であります。ただし、GBNというゲーム世界のアバターで、ハロやネコ耳娘の姿をしているだけでありまして』

翔花「アバターって、これ?」
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翔花「やっぱり、青肌の宇宙人じゃない。いかにもNOVAちゃんが好きそうな映画だわ。ターミネータージェームズ・キャメロン監督だしね」

ケイP『どちらかと言えば、ここでのアバターとは、ネットやゲーム内の仮想キャラと思われますがね。人間がするというコスプレ感覚みたいなものじゃないか、と。翔花ママは過剰に心配しすぎだと考えますが』

翔花「過剰も何も、全てはNOVAちゃんが私たちだけを、こんな場所に転移させたから悪いんじゃない。きっと、翔花たちと一緒にいるのが嫌になって、厄介払いされたんだわ。私たち、NOVAちゃんに捨てられちゃったのよ」

ケイP『やれやれ。本当にマスターの言ったとおりですな。翔花ママはマスターNOVAが一緒に付いていないと、メンタル弱いから、お前が騎士としてしっかり支えてやれって』

翔花「ヘッ、KPちゃん、一体何を?」

ケイP『ネコ耳ピンクハロは仮の姿、ケイP、スーパーチェーンジ!』

翔花「え、丸い球体から手足が伸びて、モーフィング変形して、何やら人型の甲冑に姿を変えた?」

ケイP『翔花ママ、ぼくを装着して下さい。マスターNOVAより、翔花ママを何があっても守るように使命を仰せつかった、このドゴランアーマー形態こそ、このK・ピエール・プルナレフの真の姿。自分がいなくても、心身共に未熟な翔花ママをサポートするように、そこまでマスターは考えておいでです。決して翔花ママを見捨てるような方ではありません。そのことは、ケイソンこと秀、35年前のマスターの想いの欠片を魂に宿した、このぼくだからこそ言えること。さあ、翔花ママ、マスターNOVAの想いを信じて、今こそ新たな力を身に付けるのです』

翔花「NOVAちゃんの想い。新たな力。分かったわ。その鎧、私に身に付けさせて」


ドゴランアーマーがパーツごとに分割され、ダイヤモンドのような輝きを放ちながら、小気味好い硬質性の効果音を上げ、次々と翔花の華奢な体に装着されていく。そして数十秒後、


ショーカDK「ドゴラの力を鎧に変えて、守れ勇者の大閃光。花粉SHOWガール、ショーカ・ドゴラン・キーパー、ここに見参。不定形の力で気合充填OKね。うん、何だか勇気湧いてきた。これなら気力マックス。何だってできそうよ」

ケイP『翔花ママ、私はこの形態だと「アイアンマンのジャービス改めフライデー」みたいなサポートAIとして振る舞え、とマスターに仰せつかっております。マスターNOVAに代わって、戦闘サポートはお任せあれ』

ショーカ「うん、一人じゃないってのは大変、心強いんだけど。ところで私たち、誰と戦うの?」

ケイP『ケピッ?』

ショーカ「だから、私たち、敵がいるわけでもないのに、変身しちゃったんだよ。これって、一体、何のためよ。ただのお披露目サービスってこと?」

ケイP『いいえ、ここは翔花ママの弱気と戦うため、と申し上げておきましょう。弱気は見事に粉砕され、後には勇気が残った。初戦は大勝利でございます』

ショーカ「じゃあ、その勇気で辺りをしっかり確認するわ。大体、私たちって、自分がどこにいるかすら把握してないじゃない。NOVAちゃんが、私たちをどこに飛ばしたかすら」

ケイP『そ、それもそうでございますな。このケイP、一生の不覚。こうなったら死んでお詫びを』

ショーカ「って、KPちゃん、いきなり死なないで。三原則の3条めを忘れないで」

ケイP『ハッ、そうでした。ついついマスターNOVAの35年前の思考パターンが飛び出してしまって、無意味に命を散らすところでした。危ない、危ない』

ショーカ「もう、KPちゃん。危なっかしいのは私一人で十分なんだから。あなたはお願いだから、冷静でいてちょうだい」

ケイP『ハッ、努力いたしますです。付きましては現地の把握ですが、どうやら3次元とは違った異世界のようですね。私たちが出会った、クリスタルレイク湖畔をモデルにした擬似世界のように、仮想的に構築された異空間ではないかと』

ショーカ「だから辺り一面、荒野が広がっているだけなのね。どっちに向かって歩いたらいいのかしら」

ケイP『少々お待ちくださいませ。周囲のマップを確認します。幸い、精霊ネットは通じているようですので。お、出た出た。九州の阿蘇山付近をモデルにした場所とあります。このまま南東の方角に歩けば、荒野の果てに阿蘇が見えて来るようですが』

ショーカ「荒野の果てに、ってどれだけ歩いて行かないといけないのよ。NOVAちゃんみたいに、パッと転移できたりしないの?」

ケイP『残念ながら、ドゴランアーマーにはマスターのような神出鬼没な転移機能は備わっておりません。しかし、肉体能力をブーストする機能はございますので、これぐらいの距離なら、さほど疲れることなく、30分近くも走れば十分、阿蘇の麓まで到達できると考えます』

ショーカ「う〜ん、飛べずに走っていくなんて、いつぞやの万丈になった気分。阿蘇なんだから、空の大怪獣みたいにバッと翼を広げて飛んでいけたらいいんだけどね」

ケイP『できることからコツコツと。マスターなら、そうおっしゃるかもしれませんね。一度決めたら、根気強さは人一倍、備わっている方ですから』

ショーカ「人一倍って、それは人と変わらないってことじゃないかしら」

ケイP『その言葉ですが、人の一倍ではなく、倍という文字に二倍の意味が備わっているので、人が一やるところをその倍だけ行うということなのだ、と昔、マスターは解釈していたようです』

ショーカ「あ、そうなんだ。へえ、さすがはNOVAちゃん。教師をやっているだけあって、パッと見、納得できないところにもちゃんと納得できる理由づけを作っているんだ」

ケイP『ええ、屁理屈とこじ付けの才能は昔から、通常の三倍ぐらいは高い方のようですから。「お前は事実を確かめずに、勝手な理屈と思い込みで想像力豊かにもっともらしい嘘を悪気なくでっち上げてしまう癖があるから」と昔、教師から誉められたこともあるそうで』

ショーカ「それ、絶対に誉められていないから。思い込みで間違えたことを言わないように、ちゃんと事実を確かめる癖を付けろって注意されているんだよ、きっと」

ケイP『想像力が豊かすぎる人に陥りやすい悪癖のようですね。自分の飛躍した考えや思いつきを検証する癖を付けなければ、思い込みが正解だと考えがちになって、他人と話が通じにくくなる、という。大抵は、社会生活を営む中で、自分を客観視したり、筋道立てて考える習慣をつけることで克服可能みたいですが』

ショーカ「だったら、NOVAちゃんは大丈夫だよ。間違えたことばかり教えていたら、30年近くも教師として子供たちを教え続けることなんてできないんだから。他の人はどうか知らないけど」

ケイP『マスターのことより、私たちのことを心配しましょう。このままだと日が暮れるまでに荒野を越えることは難しいかもしれません。今は急がないと』

ショーカ「うん、目指せ、荒野の果てにってところだね」

(最後に好きな歌を流して、完。次回、第2の花粉症ガール、ヒノキちゃんの登場予定。続きは来週末かな)

*1:コンピューターRPGウィザードリィ』出典の転移の呪文。前回、NOVAは「何やら呪文を唱えた」と手抜きな描写をしたが、やはり転移の呪文はこれだろう、と後から思いついたので、改めて描写した次第。

*2:前回、翔花は無言で「その場より消失した」と手抜きな描写をしたが、やはりヒロインには悲鳴を上げさせないと、と後から思いついたので、改めて描写した次第。ワンパターンなれど、悲鳴はキャーーッに限る。イヤーンとか、そっち系だと色気美人になっちゃうけど、うちの翔花にはそういうのは似合わない。