未来へ行って、帰って来た話
NOVA「とりあえず、チャプター6は終わりましたが、今回の記事ではそこまで至らず。次回に送ります。というのも、今回の2話分だけで結構、内容が濃いですからね」
ゲンブ「ゲッターロボアークのクライマックスでござるからな」
NOVA「アンドロメダ流国の本拠地が2500年後の未来の宇宙ということを、自軍は今回初めて知るわけですね。それまでは単に遠い宇宙のどこかぐらいの感覚でいたわけですが、自分たちが未来世界に来たことを知って驚く一行。
「なお、スパロボで初めて未来世界へのタイムスリップが描かれた作品は、2001年のα外伝。『ガンダムX』『ターンAガンダム』『ザブングル』の世界観を表すために、荒廃して文明退化した未来の地球を舞台にする必要があって、前作αのラストで宇宙怪獣を殲滅させるのに用いた超重力崩壊の衝撃波の影響で酷いことになった、と」
ヒノキ「それまでのスパロボでは、地球が壊滅的被害を受けるような作品は皆無だったのじゃな」
NOVA「未来に飛ばされた理由は、ネオグランゾンを倒した際に開かれた時空ゲートによるもの。ともあれ、衝撃波の難を逃れるために、地球をバリアで包むイージス計画が行われていたのですが、それに失敗した先の未来がα外伝。そして、未来から帰還した自軍が頑張ってイージス計画を成功するまでが描かれ、その先のストーリーが第2次αにつながるわけですね」
シロ「未来に行って、帰ってくる物語は、スパロボではそれが初、と」
NOVA「それ以前に、94年のスパロボEXで異世界転移の物語を初披露して以来の驚きです。で、他に時間移動ものだと、2002年のスパロボRが時流エンジンを装備した機体エクサランスを駆る主人公たちが悲劇の生じる未来の物語から、過去にタイムスリップしてタイムパラドックスを発生させないよう悩みながらも、結局は将来発生する悲劇の根を絶つべく、目前の戦いを頑張る決意に至って、ハッピーエンドを迎えます」
ヒノキ「悲劇的な未来をいかに改変するかが物語テーマになっていくのじゃな」
NOVA「元々、スパロボは原作アニメで発生した悲劇を、ゲーム作品としてプレイヤーの介入によって改変できる(こともある)作品でした。もちろん、ゲッターチームのムサシみたいに、どうしても死んでしまうケースはあるのですが、ガンダムのララァやフォウ、プルたち強化人間の悲劇、スーパー系ならミネルバX、胡蝶鬼のような悲劇キャラを、説得やフラグ立てで救出することも可能。
「それが発展して、ザンボット3やダンバインという敵は倒したけど、主人公陣営も戦死者続出の悲しい原作物語に、前向きな未来を与え得る作品として『ロボット作品の夢の共演』だけでなく、『原作アニメに夢の救済を与える』ことも人気の一つになったわけですね」
シロ「原作を踏まえつつ、IF物語として展開していく、と」
NOVA「旧世紀スパロボだと、個々の作品内の悲劇の一部を改変できるというものでしたが、21世紀に入るとドラマ性が進化して、原作にないスパロボオリジナルの悲劇的な未来を構築しながら、そこを改変するというストーリーの大仕掛けも示されました。単に侵略者との戦いを描くだけでなく、悲劇の原因(世界の混乱の源)を突き止め、それを解消するためのアクションに結びつける展開。場合によっては、自分たちが悲劇の原因を作っていることを知って、そこからの方針転換(時には上位組織からの反逆も含む)による物語の転機が面白い」
ヒノキ「その転機が今回のストーリーじゃと」
NOVA「はい。ここまでだと、敵側の背景を知る機会があまりなくて、単に悪役が暴れ回ったり、こっちに襲撃を仕掛けてくるのを迎撃しているだけの物語でしたからね。序盤は新たな仲間を次から次へと参入させて、交流を深めつつ、敵側は単に悪い奴ら。しつこいライバルとか、敵に捕まったヒロインの救出とかを踏まえながら、思いがけず自分ところの司令官少女の暴走とか異変とか過去の物語も混ぜつつ、内なるドラマを展開して、それもほぼ解消。そして、いよいよ世界の真の姿に触れて、平和への障害を断ち切るなり、修復したりするクライマックスに突入する流れです」
シロ「世界の真実を知る……ですか。何だか格好いいですね」
NOVA「スパロボの場合、原作アニメが土台にあって、複数の作品世界の真実をオリジナル敵組織が上手く結びつけ、原作を知る者はその結びつきの妙を味わいながら、原作要素がいかに踏襲されつつも、変奏曲のようにアレンジされるかを楽しむわけだ。今回もそういう醍醐味が盛り沢山なわけだね」
時の彼方の聖戦(72話)
NOVA「アンドロメダ流国の本拠地の宇宙。そこでエーアデントの一行は、流国と戦う未来のゲッター艦隊に拾われる。初代ゲッターチームの巴武蔵の姿をした艦隊司令は、アークの若者たちを過去から来た同志と認め、それが所属する自軍にも友好的に振る舞ってくれ、いろいろと情報を公開してくれる」
シロ「プレイヤーはともかく、自軍はこれまでアンドロメダ流国が未来からの侵略者だということも知りませんでしたからね」
NOVA「何故かゲッターに恨みを持つ謎の宇宙侵略者(虫みたいな生態系やメカを有している)というぐらいの情報しかない。なお、序盤はともかく、こちらが成長すると、ザコ同然の敵組織という印象だが、ゲートを使った神出鬼没の戦術と、物量が凄くて世界中を荒らし回るという状況で、原作では過去一強大な勢力として描かれている」
ゲンブ「恐竜帝国や百鬼帝国よりも?」
NOVA「どちらも、ゲッターロボ1機で対処できたからな。最終決戦の時期を除けば、あまり物量戦を仕掛けて来なかったという事情もある」
ヒノキ「毎週、1体ずつメカザウルスや百鬼ロボを出してくる作劇上の都合もある」
NOVA「70年代の敵は、大体、主役ロボさえ倒してしまえば、世界征服はできたも同然とかいう思考回路をしているからな。主役ロボとそれをバックアップする基地が、戦略上の重要拠点であって、主役ロボを誘き寄せるという理由だけで途中の街を破壊したりもする」
シロ「でも、ゲッターロボ號の時代は違いますよね」
NOVA「90年代の時期になると、通常兵器でも敵のメカに相応のダメージを与えられるんだ。もちろん、主役ロボの強さに比べて、戦力の損耗は激しくなるが、70年代の役に立たない戦車や戦闘機に比べると、90年代は一般軍人や防衛隊もそれなりに抵抗していて、彼らの手に負えない少数の強敵メカが出現した場合に、スーパーロボットの出番となる。この辺は80年代のリアルロボットのブームを踏まえたうえでの、ミリタリー的なリアルだな。
「敵組織も、地球の先進諸国全部を相手どるほどの物量は持たないので、やみくもに暴れ回る以上の戦略を考えるようになる。コミック版號の場合は、日本の大都市に解除困難な大型爆弾を設置して、政府に降伏を迫った。ゲッターが反抗すると日本中の大都市が消滅するという状況で、政府は降伏せざるを得ない。神隼人は特殊部隊を率いて爆弾解除に勤しむが、時間が足りない。敵は日本政府に対して、反抗戦力のゲッターロボの引き渡しを要求するが、弱腰の日本政府では市民を犠牲にして徹底抗戦するという選択肢はとれないと判断したゲッターチームは国外に脱出して、アメリカ軍とともにランドウ軍との戦いを続ける選択肢をとる」
ゲンブ「それがいわゆるアラスカ戦線でござるな」
NOVA「これは連載当時に、湾岸戦争で自衛隊を海外派遣するかどうかの政策論争が繰り広げられた時期の世相を反映している。アメリカ軍人のシュワルツコフは日本人嫌いで、『日本人は金を出すけど自分で血を流さずに、祖国を守るという気概も持たない。せめて戦力を補充してくれるかと思えば、ボロボロのゲッターロボ1機で何ができるんだ? 足手まといに過ぎん』と散々罵って、號とケンカを繰り広げながらも、アラスカ戦線でランドウ軍との戦いに際して命を救われた縁で、號の親友となったり、翔の恋人になるなど非常に美味しいキャラになったなあ」
NOVA「アークのアニメでも翔といっしょに出てたんだけど、スパロボYでは残念ながら割愛された……と思っていた。だけど、俺がまだ見ていないだけで、後から出て来るらしい。味方パイロットにはならないけど、エルガイムのフル・フラット同様の隠しNPCみたいに思える。
「話を戻して、2500年後の未来世界でムサシさん曰く、『宇宙に進出した人類はアンドロメダ流国との戦いで、あわや殲滅されそうになったが、地球の守護者であるゲッターが人類を救ってくれて、以降、ゲッターは進化を続けながら、地球人類を宇宙の覇者へと導いてくれる』そうだ」
ヒノキ「宇宙の覇者として、他の文明圏を支配していくわけか」
NOVA「いや、異種族同士の和解はあり得なくて、支配ではなく種の殲滅こそがゲッターの意志だ、とムサシさんは言っている。そのための永遠の闘争を聖戦と称して、アンドロメダ流国も滅亡間近となっている」
シロ「和平交渉は成り立たないわけですね」
NOVA「こういう殲滅戦が宇宙のルールだというのは、実のところアンドロメダ流国側の論理であって、地球側も後からそれを学んだというのがムサシさんの言い分。じっさい、スパロボでは何度も登場してコミカルな前線幹部のキャラ付けをされている兎猿猴だけど、原作ではそこまで掘り下げられていない、ただの不気味な敵だし、女王メルドウサと言っても、4話で出てきた化け物虫女王の上位バージョンみたいなのが実際のところだろう」
ゲンブ「つまり、人類に寄生卵を産みつけたり、食い散らかしたりするような殺人女王バチのような生態系を持つ異星生物と、共生できるかどうかというような話でござるな」
NOVA「虫人間だろうと、知的生物で人類の文化を理解して、そこに価値を認めるような穏和な生物なら、もしかすると分かり合えるのかもしれないが、ゲッターの作者の石川賢ワールドだと、そういう共生論はあり得ないとなる。作風として、バイオレンスとサバイバル、弱肉強食を是とする世界観になるから、OVAの真ゲッターのインベーダー並みに共生しにくい敵ということになる」
シロ「スパロボでは、異形の怪物系の敵もいろいろですが、バジュラ(マクロスF)とELS(ガンダム00)とは共生可能エンド。宇宙怪獣(トップをねらえ)やインベーダー(真ゲッター)とは共生の余地なし。基本的に、共生可能なのは人間同士の戦争をテーマにしたリアル系になりますか」
NOVA「バジュラとELSは、歌と、クァントゥムバーストによる脳量子での対話手段があるからなあ。とにかく、アンドロメダ流国は『宇宙征服のために地球人類を滅ぼそうとした』から、人類側の反撃を受けて滅亡の危機に瀕しているわけで、地球人が宇宙にとって害悪だ理論は、おまゆう案件だという。
「そして、似たような背景を持つというラー・ヴァルなんだが、セイヴァースが補足的に彼らの事情を語ってくれる。彼らも、アンドロメダ流国同様に地球人によって滅亡させられそうな星間帝国なんだが、意図的にタイムスリップしたわけではないらしい」
ヒノキ「過去を変えに来たわけではない、と?」
NOVA「2500年後の宇宙では、地球側も、ラー・ヴァルも、アンドロメダ流国も、時空間の原理は解明できているけど、それだけに下手な時空間移動が宇宙の破滅を招きかねない大罪だという認識を持っている。その中で、アンドロメダ流国だけが滅亡を免れるために、過去に戻ってゲッターの破壊を企んだということだ」
ゲンブ「ラー・ヴァルは意図的にタイムスリップしたわけではない、と」
NOVA「セイヴァースによれば、天帝ヴァルベルムを中心とした5万人だけが事故で、スパロボYの物語世界の5年前に時空転移してしまったそうだ。当初は、歴史を変えないように、密かに自分たちの時代に戻ることも検討してみたのだが、せっかくの転移を利用して、地球を支配して(あるいは戦乱で疲弊させて)自分たちの未来の歴史が良くなるように改変しようというネグシスの意見が通って、いろいろと暗躍してきたらしい」
ヒノキ「力任せのアンドロメダ流国と違って、ラー・ヴァルの方が巧妙かつ知的ということじゃな」
NOVA「そもそも、人的資源が5万人しかいないため、力押しでは勝てないという事情もある」
シロ「確かに、エーアデントの人口がそれぐらいですか。事故で過去に来たということは、アンドロメダ流国と違って、母星から増援を送るわけにもいきません」
NOVA「ただし、ラー・ヴァルの優位な点は、軍師のネグシスが古代の地球史の研究家でもあったために、地球を支配する戦略を慎重に考えられる点にありました。あと、実はラー・ヴァルの起源も『イヴォルバーの手で戦闘的に進化した地球人類の末裔』ということが後で語られるそうで、アンドロメダ流国と違って同根なんですね」
シロ「それは、地球圏に残った地球連邦政府(ガンダム中心)と、宇宙移民の地球統合政府(マクロス中心)が別々の組織として分離したようなものですか」
NOVA「整理すると、アンドロメダ流国とラー・ヴァル帝国はどちらも2500年後の未来で、ゲッターエンペラー率いる地球人によって滅亡の危機に瀕している。アンドロメダ流国はゲッターさえ破壊すれば、自分たちが勝てると信じて、過去に軍勢を派遣し続けている。一方、ラー・ヴァルは事故で過去の地球に飛ばされたので、暗躍することで地球の歴史を自分たちの都合のいい方向に改変しようとしている」
ヒノキ「だけど、暗躍していたのが、途中で方針転換したのではないか? NOAHSを結成して、地球人に宣戦布告してきたのはどうしてじゃ?」
NOVA「簡単に言えば、天帝ヴァルベルムと軍師の天賢ネグシスの方針の違いが出てきたわけです。ラー・ヴァルの想定外の事態として、ルルーシュのゼロ・レクイエムと、それを受けてのシャアの逆襲断念が挙げられますね。ゲッターエンペラーが巨大な特異点であるのに対して、小規模な特異点であるのが、ルルーシュであり、シャアであり、エーアデントであるというのがラー・ヴァル側の見解」
ゲンブ「特異点とは一体?」
NOVA「『ゴジラSP』のアルファベットがSingular Point、すなわち特異点の略ですが、元々は数学や物理学用語だったのが、技術的特異点や文化的特異点などのsingularityという単語の派生がいろいろ生まれて、現在の多元宇宙にまつわるSFの基礎用語になっています。
「SFでは主に、歴史の分岐点に位置する重要人物や事件そのものを特異点と認識することが多いようですね。例えば、織田信長が桶狭間で敗北したり、逆に本能寺で殺されずに生き残れば、歴史が大きく変わってしまうだろうと作品世界で見なされた場合に、彼を特異点と認定して、彼を守ることで歴史を守ったり、逆に彼に強い影響を与えることで歴史を変えて、分岐した時間軸を生み出したり、本能寺で死んだ信長が異世界転移したり、現代にタイムスリップしたり、織田信長のクローンを生み出して……など、いろいろイジることで多彩な物語を生み出すことが可能。そんなキャラクターを拡大解釈して、特異点と見なすことも可能」
ヒノキ「すると、歴史上の重要人物や物語の主要人物を全て特異点と認定することも可能ということでは?」
NOVA「この場合、必須条件として、その物語が多元宇宙や並行世界をテーマにしていることが大前提ですね。そして、『本来の世界』『改変後の世界』を認識しているキャラクターが、歴史を修復しようとしたり、逆に改変しようとしたり、単に複数の分岐世界を観測していたりする場合にのみ、特異点だと認識することに意味がある。
「なお、スパロボで初めて特異点という言葉が出て来たのは、1995年の第4次スパロボだ。シナリオタイトル『特異点崩壊』において、ブラックホールエンジンを持った機体グランゾンの中に、異星人ゲストが提供した技術のブラックボックス部分に〈むき出しの特異点〉が仕込まれていて、地球圏の事象確率が大きく歪められた結果、偶発的な事故や事件が多発するようになっていた。つまり、特異点は『ブラックホールに関係して、偶発性を頻発させる根源』という定義で、良くも悪くも世界を不安定化させる混沌発生器という扱い」
ゲンブ「それゆえに、スパロボ世界では戦争が終わらず、どんどん事件が頻発するでござるな」
NOVA「ゲストのボスであったゼゼーナンは、それで混迷状態に陥った地球圏なら、容易く征服できると考えていたんだが、混乱した地球を立て直すために奮戦した自軍(ロンド・ベル)の強化にもつながり、ゼゼーナン自身が偶発性を操作できたわけでもないので、自身の想定を上回る力のために敗北することになった。特異点を解析し、崩壊させたグランゾンのパイロットのシュウのおかげで、この世界は平和になったという決着だ」
シロ「その時点では、特異点は人ではなく、『時空の因果率を歪めて、世界を不安定化させる要因システム』ぐらいの意味合いだったのですね」
NOVA「俺が特異点という単語を知ったのは、その時だな。その後、αシリーズで、因果律を歪める原因として、クロスゲート・パラダイム・システムが設定され(元ネタは1999年の特撮ヒーローRPG『スーパーヒーロー作戦』より)、続くZシリーズでは次元力という謎パワーで因果律を操作して、世界改変まで行えるように特性が拡張された。
「Zシリーズでは、次元力とは別に『超時空世紀オーガス』(1983)における特異点を拡大解釈した設定が追加されることにもなる。その作品世界では、時空振動弾の爆発によって多数の次元が融合してしまうことになり、その時空振動弾の爆発跡が大特異点、爆発地点の近くにいた主人公の桂と、相棒のオルソンがそれぞれ特異点と呼ばれ、時空修復のためのキーパーソンとなった。その後、Z世界では、2度めの時空振動弾の爆発によって、自軍パイロット全体が特異点となって、特異点が過剰に量産される事態となる」
ヒノキ「そうなると、特異点がちっとも珍しくなくなるのう」
NOVA「世界全体では珍しいんですよ。ただ、特異点が集結したチームだから、世界の行く末に影響を与えるというだけで。シリーズ全体のラスボスである至高神Zは、超特異点とも呼称され、その欠片が世界中に離散したために、それを集めることも敵の目的だったりします。オーガスでの特異点は、混乱した世界を安定化させる時空修復に必要な要素ですが、その際に特異点の人間の意識が修復後の世界に大きな影響を与えますので、特異点は世界改変の力を持っているということになります」
シロ「世界を好きなように作り変えられるって、神さまみたいですね」
NOVA「神さまにつなげるなら、スパロボYの世界では、悪魔と呼ばれる妖魔帝国があって、それに対する神はライディーンで、他にデビルガンダムとゴッドガンダムというのもありますし、魔神ガーだっているわけで、巨大ロボットが神さまみたいな位置づけをしている世界観です。その意味では、世界改変の力とか世界創造の力=神の領域と言えるか。
「話を戻して、Zシリーズでは作品ごとに、新たな特異点や大特異点が発生して、次元の境界線がいろいろ不安定になり、それまでのスパロボシリーズと比べても、しょっちゅう時空転移が起こるようになりました。この辺まで来て、もう世界観が何でもありになって、αシリーズでは未来世界として切り離さなければいけなかった『ガンダムX』『ターンAガンダム』『ザブングル』も普通に融合世界の一地域として登場。そのうち、2つの日本とか、2つの地球とか言い出して、独自のZワールドを形成。
「その後も、スパロボVの『クロスアンジュ』、スパロボXの『バディコンプレックス』といった作品で特異点絡みの事象が示され、異次元移動やタイムスリップなどが当たり前になっているのがスパロボ時空。今回も、とりあえずゲッターエンペラーが巨大な特異点であり、それゆえにゲッターエンペラーが誕生する未来は確定されて、変えることは不可能とされています。しかし……」
ヒノキ「しかし?」
NOVA「小さな特異点でもいっぱい集まれば、大きな特異点にも対抗し得る。すなわち、特異点と認定した力の持ち主を結集させれば、未来を変えることができるのでは? と考えたのがラー・ヴァルの天帝ですね。だから、エーアデントに集まってくる特異点たる強者に、自分ところに来いと声を掛けたわけです」
ゲンブ「『未来にゲッターエンペラーが出現して、地球人とともに宇宙侵略を目指す悪魔の兵器と化すから、それを阻止するために協力してくれ』と言われたら、もう少し考える余地もあったでござろう。ラー・ヴァルの秘密主義ゆえに、こちらはYesと答えようがなかった」
NOVA「ラー・ヴァルが秘密主義なのは、過去の歴史に下手に介入する(未来の秘密を明かす)と、歴史の修正力で自分たちの存在さえ抹消される危険を恐れたからですね。自分たちが介入しなくても、エーアデントが独自の力と意志で未来に移動して、世界の謎に触れた段になって、ようやくセイヴァースがムサシの説明に付け加えるようにラー・ヴァルの事情を告白する流れになった、と」
シロ「未来人がはっきり秘密を語らないのは、過去の歴史をうかつに変えないため。だけど、歴史の陰で暗躍する分には、歴史に大きな影響を与えない。だから、表面上は過去の地球人同士の戦いに見せかけて、テロリストを利用して内戦を煽るほか、宇宙や異世界からの侵略者を利用して巧妙に立ち回ることをしてきたわけですね」
NOVA「だけど、本当なら地球にアクシズを落とそうとするはずのシャアが、今回はルルーシュの動きに呼応して、混乱した地球を攻める手を止めた。スパロボ前作の30では、しっかり逆襲したのに、今回は一体どういうことだ、ネオジオン!? という反応を示したのが、ラー・ヴァルの軍師ネグシスです」
ヒノキ「ガンダムの物語を知っている研究家気質のファンが『ジークアクス』を見て、改変された歴史に驚くようなものか」
NOVA「そっちは『ララァがシャアの死なない世界を願った結果が、サイコミュと連動して誕生した分岐世界の一つ』という設定で、アムロに殺される瞬間にララァが『刻が見える』と発言した刻というのが、無数の改変世界の分岐というSF解釈です」
NOVA「『ジークアクス』世界では、エルメスの中で眠り続けている異世界ララァと、娼館で働いている(シャアとまだ出会っていない)実在ララァがいて、アムロがガンダムに乗らずに、シャアがガンダムを奪取した世界の歴史改変を、眠っているララァの夢とリンクしているように構築されている。夢と現実、虚構と事実のせめぎ合いを、ガンダムの物語を知る受け手が比較するように鑑賞する内容だった」
ゲンブ「『ジークアクス』は今回、参戦していないはずなのに、歴史改変のネタがしっくりつながって来る感じでござる」
NOVA「ともあれ、ラー・ヴァルが歴史を下手に変えないように暗躍していたら、重要人物のシャアが勝手に歴史を変えちゃったよ。こういうのが特異点なんだな、とラー・ヴァル側は理解。ネグシスさんはその後、平穏にエーアデントを入手しようと、選挙戦を挑むんだけど、エチカお嬢さまに敗れて、いろいろ搦め手で動いている策謀が、エーアデント側の対応でことごとく潰されていくので、特異点を相手どるのがいかに困難かと知るに及ぶ。それを見て、天帝が『ええい、いつまでまどろっこしいことを続けているか。奴らが真の強者なら、こちらも強者として拳で語り合って、覇権を競おうではないか』と前面に出てきて、名乗りを上げたのが、チャプター3から4への切り替わりタイミング」
シロ「拳で語り合うって、まるでガンダムファイター的な発想ですね」
NOVA「天帝は力の信奉者だから。一方、セイヴァースは複雑な心情だったり。ネグシスとともにエーアデントを調査するために潜入任務で、この船がただの軍艦ではなく、民間人を守る船であり、戦争以外の営みがあることを知ってしまった。ラー・ヴァルにはどうもそういう文化がなさそうで、彼の理想は天帝とエーアデントの協力なんでしょうが、セイヴァースの役割はラー・ヴァル側の外交官みたいなものかと」
ヒノキ「外交官にしては、本国側とのパイプを自分から絶ってしまっておるがのう」
NOVA「交渉するとしたら、天帝⇔システィス⇔セイヴァース⇔エチカやフォルテとなるわけですが、じっさいには天帝とエチカが直接対面したりしていますからね。トップ会談が決裂している現状で、下位の外交官に何ができるやら、です。
「まあ、セイヴァースにできることと言えば、自分たちの立場をエーアデントに伝えることで、誤解を減らして、風通しを良くしようということでしょうが、自分たちはアンドロメダ流国みたいな化け物とは違うというアピールでもありますね」
未来ゲッターの物語の帰結
NOVA「ラー・ヴァル絡みで、話が長くなりました。スパロボYとしては、ゲッターロボアークの物語の再現をする流れで、似て非なるラー・ヴァルの情報をこの機に付与する必要があるわけで、いずれにせよ、ここで一つの疑問が湧きます」
ヒノキ「何じゃ?」
NOVA「2500年後の未来って、地球も、アンドロメダ流国も、ラー・ヴァルも登場するのは軍人とか国の上層部だけで、いわゆる一般市民的なキャラは描かれていないんですね。ゲッターアークの物語には、コンビニとかがあって、荒んだ世界観ではあっても市民の商業生活は何とか機能していることは分かる。しかし、2500年後の世界って、前線で戦うムサシ以外の登場人物が登場していないので、ゲッター艦隊の乗員以外で平和に生きている地球人はいるのかとか、戦争に関係しない文化産業や経済活動はどうなっているのかは考える手掛かりすら与えられていないわけですな。
「単に描かれていないだけなのか、それとも戦闘能力を持たない一般市民は全て滅ぼされて、ゲッターに取り込まれた戦士だけがゲッターとともに生き長らえている破滅的な世界観なのか。同じダイナミック系なら、コミック版デビルマンの最後で、人類は絶滅し、デーモン族とデビルマン、そして神の使徒たる天使だけが残った黙示録的な世界ですが、ゲッターアークの未来もゲッターと共生しているクローン兵士だけしか地球人はいないのかを気にしつつ」
シロ「物語に関係ない要素は描かずに割愛するのがフィクションの鉄則ですが、スパロボYでは他のスパロボ作品よりも市民生活を大きく描いているので、侵略者側の軍国主義、覇権を狙う帝国主義との対比になっています。国の代表を選挙で選ぶ民主制が機能している時点で、他の勢力とは大きく異なっているのか、と」
NOVA「戦士ではないリンゴ農家が描かれた牧歌的な国がウィンダミアで、フレイアというキャラを通じて、空中騎士団以外の庶民が存在していることは分かる。冥帝連合は論外として、ダンバインでは戦わない庶民はバイストンウェルから追放されていないので、本作での登場人物が全て軍人なのは納得。エルガイムもヘビーメタル乗りとか軍人だけが地球圏に来ていて、いわゆる庶民はペンタゴナワールドに残ったままと想像できる」
ゲンブ「いずれにせよ、未来のムサシ殿は完全にゲッターの一部として、ゲッター狂信者みたいな発言をして、好戦的なゲッターアークのパイロットたちですらドン引きさせていたでござるな」
NOVA「こんな未来を変えないとってモチベーションになるわけですが、それとは別にアンドロメダ流国の未来からの侵略は止めないとって物語で、自軍はゲッター艦隊を助けて戦うことになる。戦力としては、ゲッター艦隊で十分なんだけど、敵将の1人、カーター・マクドナルドが自軍同様、過去世界から来た人間で、未来人は過去の人間を殺害すると、どんなタイムパラドックスが生じるか分からないから、同じ過去から来た者が倒して欲しい、と要望される。他にも、マクドナルドを倒す理由は以下の3点」
- 彼は拓馬の母親の仇である。拓馬にとっては、それだけで戦う動機として十分。
- 彼の乗る機体に、時空間超越機スターボーダーが搭載されており、それを撃退すれば、アンドロメダ流国が過去の地球に干渉できなくなる。
- マクドナルド自身、ゲッター(流竜馬の縁者)を仇として狙っていた。実は彼はゲッターロボGに滅ぼされた百鬼帝国の一員で、ブライ大帝の仇として息子の拓馬を殺そうとして、それを庇った母親を手にかけたわけである。
ヒノキ「恐竜帝国だけでなく、百鬼帝国とも話をつなげたんじゃな」
NOVA「ゲッターロボGの放映当時は、百鬼帝国がどういう出自なのか謎のままだったのですが、90年代に真ゲッターロボのコミック展開時に、ゲッターロボGをゲッターロボサーガの歴史に組み込むに当たって加筆されて、百鬼帝国誕生のエピソードが後付けで加わりました。帝国の本拠地、百鬼要塞島は元々、アンドロメダ流国が過去に送り込んだ宇宙船で、それを調査していた科学者のブライが流国のゲッター殲滅計画の一環で改造された姿がブライ大帝。つまり、百鬼帝国はアンドロメダ流国の尖兵として、結成されたことが設定追加されたわけです」
シロ「そこで蒔いた伏線をアークの原作で回収したわけですね」
NOVA「マクドナルドはブライの仇討ちのために、アンドロメダ流国に接触、そこの客将に収まる。そして、未来世界に来たゲッターチームのカムイに接触して、打倒ゲッターの切り札となる兵器バグの設計図を託すとともに、恐竜帝国もまたゲッターの力で滅ぼされる未来を告げて、カムイの裏切りの原因となる。また、アニメではオリジナル設定で、捕獲した魔竜ウザーラを操って、拓馬のアークに挑む流れとなる」
ゲンブ「ウザーラとは?」
NOVA「コミック版ゲッターGに登場した最強兵器です。一度はゲッタードラゴンを破ったアトランティス帝国の遺産で、後にゲッターチームに託されて、ゲッタードラゴンを乗せて戦う巨大魔竜*1。OVA版の真ゲッターの真ドラゴンの元ネタであり、アークアニメでサプライズ的に登場したのが、スパロボYでも強力なボスキャラとして登場。HP9万は、そこまでの最強の天帝機、および暗黒大将軍を越えました」
NOVA「ウザーラを新技のアークシャインボンバーで撃退して、バトル終了。その際に時空跳躍が発生して、ウザーラの大爆発とともに自軍は現代に再び帰還することになります」
果てしなき戦いへ(73話)
NOVA「マクドナルド操るウザーラ撃退で、拓馬は母親の仇を討てて、現代に戻って来れたわけですが、未来世界で見たゲッター大戦の様子は、自軍に衝撃をもたらします。まず、2500年後の地球人類は自ら侵略者と化して、宇宙中に戦火を広げているという事実。これまでの戦いは、侵略者の猛威から地球の平和を守るための戦いという大義名分があったのですが、地球人が自ら侵略者となって、他の宇宙文明を滅ぼし回っている様は受け入れ難い、と」
ヒノキ「平和を守るはずの戦いが、過剰な武力で相手を攻め滅ぼす戦いに変わってしまえば、どこかで歯止めをかけないと、という理性が働くわけですね。その歯止めがなくなれば、戦争は果てしなく続く、と」
NOVA「なお、スパロボではゲッターだけの問題ではなく、ゲッター艦隊の中には、光子力エネルギーで動いてそうな機体や、ガンダムに似た機体、オーラ力を宿した機体もあったようで」
ゲンブ「マジンゲッター、ゲッターガンダム、ゲッターバインなどでござるか?」
NOVA「まあ、マジンカイザーやエンペラーGは、ゲッター線を照射して強化されたという過去設定もあるわけで、スパロボ改変だとガンダムにゲッター線を浴びせて強化したり、オーラバトラーがトマホークブーメランを投げるのもありかと思う」
シロ「ダイナミックプロさんならともかく、サンライズさんは認めないと思う」
NOVA「なお、ガンダムのパイロットにリョウという名前のキャラはいるし(スペリオールガンダム)、柔道やってるハヤトもいるが、ムサシとかベンケイってキャラはいないんだよな」
ヒノキ「名前はさておき、ここから未来を改変するために自分たちに何ができるか、を真剣に模索するエーアデントという流れじゃな」
NOVA「未来の話は、お前たちに関係ない。エーアデントを俺たちに託して云々とまだ言ってるセイヴァースさんに対して、だが断ると責任を抱える発言をするエーアデントの面々。なお、未来に飛ばされた際にエーアデント市民がパニックに陥るかと思えば、そんなことはなく、自軍を信じて明るく振る舞う姿を見せつけて、たくましささえ示す庶民の姿が描かれる。そんな市民の想いが力となって、奇跡を起こすのがチャプター6の最後だが、その前にセイヴァースさんの話」
ゲンブ「ところでセイヴァースどのは強いのでござるか?」
NOVA「5段階改造すれば、それだけで1軍になれるスペックだ。特殊技能の〈生存戦略遺伝子〉で命中・回避が+40%、与ダメージ1.2倍のうえ、エースボーナスで与ダメージがさらに1.2倍、被ダメージ0.8倍。つまり、避けて当てて、ダメージも大きく、敵からの攻撃もバリアで通らない。しかも、乗機のヴェロス最大の長所は、燃費の良さだ。最強武器でさえ、EN消費が40で、一見、攻撃力が7000に届かないように見えて、パイロットの能力で1.5倍ほどに修正されるから、実質的に攻撃力9000越えになりますね」
シロ「さすがは2500年後の指揮官機ですね」
NOVA「〈生存戦略遺伝子〉が常時、集中が掛かっているようなバフ効果なので、ラー・ヴァルの有人機は非常に手強いことが分かる。精神コマンド・かく乱抜きでは、回避がまずできないバランスなので、かく乱持ちは中盤以降、スタメンから外せません。
「とにかく、セイヴァースは終盤に参入しましたが、ドラマ的にもユニット性能的にも、スタメンを張るのに必要十分な性能を持ってます。少し前に参入したトッドやギャブレーが思いきりかすみますね」
ゲンブ「セイヴァースどののドラマといえば、ラー・ヴァルとの和解エンディングでござるな」
NOVA「未来世界で、アンドロメダ流国のマクドナルドは、天帝を失っているラー・ヴァルの部隊に、ともに地球人を倒そうぜ、と誘いかけてるんですね。だから、ラー・ヴァルの天闘士部隊が敵増援に来るんですが、そこにセイヴァースさんが『天帝はお前たちがここで死ぬことを望んでいない』と説得して、部隊丸ごと戦場から離脱させるんですね。あくまでラー・ヴァルはアンドロメダ流国とは違うアピールを見せつける」
ヒノキ「上位の天騎士に命じられたら、撤退を余儀なくされる、と」
NOVA「その後の未来ラー・ヴァルがどうなったかは不明ですが、未来のアンドロメダ流国は、ウザーラを倒した自軍が過去に帰還した後、確実に滅亡したのだろう、と推察されます。原作およびアニメでは曖昧だった敵女王メルドウサとの決着ですが、スパロボYでは自軍がいなくなった後のムサシ発言で、ゲッター艦隊によるアンドロメダ流国殲滅と推測できるようになってます」
ヒノキ「未来世界の話だけで、ずいぶんと長くなったが、大事なのは現在に帰還してからじゃろう?」
NOVA「ここ、情報量が多すぎなんですよ。アークの話とラー・ヴァルとの対比を描きつつ、自軍の意識がどうやって未来を変えるか、に向けられる。そこでゲッターエンペラーを出現させないように何とかしようという話になるのですが、それを直接行おうとするのがカムイなんですね。カムイの裏切りと和解は、アークの最終回で凝縮されて描かれましたが、そこをもう少し掘り下げながら適度にアレンジしつつ、きちんと補完したのが当シナリオ。
「まず、カムイと和解するのに一番のネックは、彼の母親が殺されたことと、神隼人を殺したこと。これで彼は引き返しようのない暴走の末に、拓馬と対決。その後、どういう経緯か知らないけど、拓馬を守るゲッタードラゴンの進化体に敗れて、投獄された。その投獄から救い出した拓馬と再びチームを結成して、ゲッター天と対峙する幕引きです。原作マンガでは『出たなゲッタードラゴン』で終了したのが、いろいろ補完されたのがアニメ。それをさらにアレンジして、補完したのがスパロボ、と受け継がれていきますね」
シロ「カムイの母親と、神隼人は殺されずに済んだ?」
NOVA「はい。カムイが裏切る前に、先にゴール3世が行動に移りますから。彼はエーアデントの一行がアンドロメダ流国を未来で倒したことを祝って、パーティーを開催するのですが、その席上で『お前たちはよくやった。しかし、同盟もここまでだ。我らは冥帝連合と結託して、地球人類を滅ぼすことにした』と宣言。エーアデントの一行を投獄します」
ヒノキ「投獄だけとは生ぬるいのう」
NOVA「カムイも同じことを言ってますね。本来なら、カムイが先にクーデターを起こして、恐竜帝国の実権を奪取して、地球人との全面戦争に突入する流れだったのですが、ゴール3世が先に動いたのがスパロボ改変。で、冥帝連合と結託という愚かしい選択をとった義兄を見下したカムイが原作同様にクーデターを起こして、投獄されたエーアデントの面々を解放してくれます」
シロ「へえ。一応は自軍を助けてくれるんですね」
NOVA「原作ではそもそも拓馬たちが恐竜帝国に裏切られて捕まるシチュエーションが存在しない。というか、未来から過去に戻る際に、拓馬とカムイは別行動になり、未来でゲッターエンペラーと地球人の暴虐を見たカムイが、このままでは恐竜帝国にも未来はないと考えて、マクドナルドに唆された事情もあって、彼から託された最強の決戦兵器バグを完成させて、地球人類殲滅を宣言。それを止めようとした拓馬のアークをボロボロにしたら、拓馬を守るゲッタードラゴンの影という打ち切りみたいな終わり方です」
ゲンブ「第1部完、でござったな。その数年後に作者が亡くなったので、第2部に続かなかった未完のストーリー」
NOVA「スパロボでは、ゴール3世の裏切りがあって、その姑息なやり方を覆すように、カムイが恐竜帝国を乗っ取って、改めて地球の未来を賭けて、正々堂々と拓馬およびエーアデントに挑戦状を叩きつけます。完成させたバグと、ゲッターザウルス軍団を率いて、地球人類と爬虫人類のどちらが未来を勝ちとるかの決着をつけよう、と」
ヒノキ「正々堂々と……負けることを覚悟しているのか?」
NOVA「いや、これがまたバグが強力な機体でして、HPが15万。スパロボYでは、10万を超えたHPは???表記で、10万以下に削るまでは、相手のHPが分からない仕様。前シナリオのウザーラがHP9万だったのが、バグでとうとう10万超え。そりゃあゲッターアークをボロボロにする決戦兵器だけあるわ、と納得」
シロ「対峙するアークは、カムイがいないので、戦力激減ですね」
NOVA「拓馬と獏だけだと、必殺技のサンダーボンバーもアークシャインボンバーも使えない、最強武器がトマホークだけという残念仕様。それでも、自軍の支援でバグに雄々しく立ち向かうゲッターアーク。そこにデビルガンダムが出現します」
ゲンブ「何と。ゲッターの物語の終幕に、Gガンダムとは!?」
NOVA「バグが強力な兵器であるとともに、地球環境を激変させる機能を持つゆえに、デビルガンダムが本来のアルティメットガンダムとしての役割(地球環境の再生)を思い出して、バグを止めようと起動したらしいのですが、それをウォン・ユンファが無理に制御して、カムイと協力してエーアデントを倒そう、と提案するわけですね」
出現! マスターアジア
NOVA「カムイはウォンの提案を一笑して切り捨てます。地球人類の殲滅が目的のカムイにとって、地球人のウォンの提案はバカらしい。しかし、ウォンはDG細胞の元では、地球人も爬虫人類も変わりありません、と主張」
シロ「ゲッター線とともに生きるか、DG細胞とともに生きるか、まさに種の存亡をかけた戦いになっていますね」
NOVA「だけど、デビルガンダム自身はウォンの制御下にはないようで、彼のGMガンダムを攻撃し始めます」
ヒノキ「何じゃ、そのマヌケな展開は!?」
NOVA「そこに出現したのが、我らが師匠、東方不敗マスターアジアその人です。彼の登場イベントは、チャプター2の攻略記事でネタバレ動画をチェックしたので、そちらを参照」
シロ「とにかく、マスター・アジア師匠の介入で、カムイと拓馬が拳で語り合う展開になるんですね」
NOVA「かつては地球環境のために人類殲滅を企てた師匠が、成長した弟子に諭されたように、今度は人類殲滅を目論んだライバルが、新世代の主人公の熱い想いに諭される展開だな。スパロボYのカムイは、母親と神隼人が死んでいないということで、原作アニメよりも救いがあるという改変が為されている。
「ただし、ゲームとしてはHP15万のバグをどうやって倒すかが問題だが、俺はカイゼルグリッドナイトとゴッドガンダムとその他諸々に、精神コマンド・脱力でカムイの気力を下げまくったり、シーラ様の精神コマンド・威圧でカムイの能力にデバフをかけたり、精神コマンド・重撃でバグの装甲を激減させたりして、何とかHPを削りまくって、とどめを拓馬のトマホークで刺すことに成功した」
ゲンブ「マスターアジア殿は強いのでござるか?」
NOVA「非常に強いんだけど、このシナリオではデスアーミー一機すら倒せなかった。理由は、登場直後で気力が溜まっていないのと、機体改造があまりできていないので、相手を一撃必殺できるほどの攻撃力ではない点がある。このシナリオを終えてから、いろいろチューンナップして、すぐに最強戦力になるほどのポテンシャルはある」
ヒノキ「流派・東方不敗じゃからのう」
NOVA「それが、ドモンの持つ特殊技能の明鏡止水を、師匠は持っていないんですね。その点では、弟子に劣るのですが(カウンターが欠落している)、代わりに以下の能力を持っています」
- 極:気力130以上で、命中・回避+30%、クリティカル率+30%。
- プレッシャー:自分より技量の低い相手に対して、与ダメージ増加、被ダメージ減少。
- エースボーナス:出撃時点で気力が最大値になる。毎ターン、精神ポイントが5回復する。
NOVA「これに加えて、乗機のマスターガンダムは、ダークネスフィンガーが攻撃力6000越えで、消費EN30という少なさ。常時ダークネスフィンガーを使いまくっても、ENが枯渇しないという、抜群の継戦能力を持ちます。同程度の威力の爆熱ゴッドフィンガーが消費EN60なのに。
「さらにドモンが消費EN90の石破天驚拳なのに対し、師匠の石破天驚拳は10少ない消費EN80。そしてドモンの天驚拳は射程1〜4の移動後攻撃可能な近中距離技なのに対して、師匠のそれは射程7まで届く長距離砲仕様。移動後攻撃はできませんが、師匠は精神コマンド・突撃を持ってますので、それを使うと長距離から突っ込んで魂の天驚拳を撃ち放つことも可能」
シロ「最強レベルの破壊力を持った機体に、最強ダメージコマンドの魂持ちのパイロットですか。しかも、最初から気力MAXで、さらに強いバフ技能を素で持っている。さすがは師匠という能力ですね」
NOVA「そこに再攻撃をつけると、ザコ相手に2万ダメージは素で殴っても確実に出せるな」
ヒノキ「HP2万のザコなんておるのか?」
NOVA「この段階では、ザコのHPが1万前後。たまに硬いザコで1万5000。師匠が普通にダークネスフィンガーで硬いザコでもあっさり落とせます。ドモンさんが同じことをすると、1万2000しかダメージが出せなくて、再攻撃のバルカンでトドメを刺す形ですが、師匠はせっかく再攻撃を付けたのに、ザコ相手だと発動したことがないという」
ゲンブ「再攻撃の必要なく、落ちるでござるからな」
NOVA「まあ、HP2万を越えるのは、中ボスになりますか。それぐらいの敵で初めて、再攻撃が発動して、瞬殺されるという。これがボス敵相手だと、ドモンさんもそうですが、魂をかけて3万かと思ったら、4万越えが出て笑った」
ヒノキ「すると、ドモンとマスターが2人で殴ると、ウザーラも暗黒大将軍も瞬殺できるということか」
NOVA「まあ、4万越えは、相手の気力を下げまくった結果ですが、もう、ここまで来ると、破壊力と継戦能力こそがトップエースの条件ですからね。ゴッドガンダムも強いけど、マスターガンダムは継戦能力という意味では、ゴッドガンダムを遥かに越える強機体。さすがは師匠です。ここに対ゴジラ決戦兵器として重要なユニットが加わりました。劇中では語られていませんが、師匠が最高の特異点じゃないでしょうかね」
シロ「過去作で、ゲッター線に詫びを入れさせただけはありますね」
NOVA「ゴジラにHP回復能力さえなければ、タイマンでゴジラに勝てそうな高スペックだと考えます。あとはゴジラよりも技量が高ければいいのですが、師匠も精神コマンド・威圧持ちなので、たぶん能力を下げて、ゴジラ相手に石破天驚拳2連発を発動できるんじゃないかなあ」
ヒノキ「新兄さんが、マスターアジアを入手して大喜びなのは、よく分かった。しかし、今話の主役はゲッターアークの拓馬じゃろう? そろそろ話に決着をつけぬか」
ゲッター聖ドラゴンとの対峙
NOVA「強敵バグを、ドモンさんやグリッドナイトその他にHP削ってもらって、拓馬さんがトドメを刺しました。すると、イベントが発生します。拓馬が勝ったことで、カムイは『くっ殺せ』と生きることを諦めたようなことを言うので、拓馬は『俺が勝ったんだから、言うことを聞いてもらうぞ。生きて、俺たちといっしょに未来を変える戦いをずっと続けるんだ。お前も入れてのゲッターチームなんだからな。俺たちにはお前が必要だ』という説得をするわけで」
ゲンブ「確かに必要でござるな。ゲッターは3人いないと、能力をフルに発揮できないわけで」
NOVA「プレイヤーとしても、ここは拓馬のセリフに同意せざるを得ない。なおも渋るカムイですが、ここで早乙女研究所の神隼人司令から連絡が」
シロ「ええと、恐竜帝国の刺客に襲われて、ピンチだったのでは?」
NOVA「ここでアニメとの違いなんだけど、アニメでは刺客を送り込んだのがカムイで、もう少し周到な準備をしていたんだろうな。だけど、スパロボYではゴール3世が先に動いて、しかもカムイの目から見て、ゴール3世は地球人類を舐めていて手ぬるいから、隼人を倒すほどの戦力ではなかったようだ。結果的に、隼人は普通に恐竜帝国の刺客を撃退して、ピンピンしている」
シロ「ゴール3世が性急に動いたおかげで、カムイが手を汚さずに済んだわけですね」
NOVA「そんな隼人さんからの連絡で、封印されたゲッタードラゴンが恐竜帝国の襲撃に呼応して、勝手に起動して、どこかに飛んで行ったそうだ。直後に、恐竜帝国の本拠地であるマシーンランドからカムイに連絡が。化け物じみたゲッターロボが飛んできて、大暴れしたせいで、帝国は滅亡寸前だそうだ」
ゲンブ「藪を突いて、蛇を出したような展開でござるな」
NOVA「結果的に、マシーンランドは地下に再び潜伏せざるを得なくなり、バット将軍がカムイに『母上は無事だから』と告げて、もう地上進出は不可能だから、また長い眠りに就くことを宣言。カムイは結局、『兄上に伝えてくれ。恐竜帝国はしばらく預けたから、俺の代わりに統治を任せる』と通信して、恐竜帝国の反乱は終了。しかし、そこに進化したゲッター聖ドラゴンが出現するんだ」
ヒノキ「地球人類を滅ぼそうとした兵器バグと、パイロットのカムイを抹殺するためか?」
NOVA「そうです。覚悟を決めたカムイは、ゲッター聖ドラゴンの裁きを甘んじて受け止めようとしますが、拓馬が聖ドラゴンの前に立ちはだかります。『こいつとはもう決着がついた。それでも殺そうっていうのなら、この俺が相手してやる。こいつは俺の仲間だ。仲間を殺そうというのなら、相手がゲッターだろうが何だろうが構うもんか。運命は自分の手で切り開いてみせる!』 ゲッターにさえ抗う不屈の意志を見せた拓馬に、カムイは感じ入って、共にゲッター聖ドラゴンに立ち向かうべく、バグからキリク号に乗り換える。そして獏が気づくんだ。『このゲッター(聖ドラゴン)が進化すると、エンペラーになる。こいつを倒すことができれば、エンペラーの出現しない未来が作れるかもしれない』と」
シロ「倒せるのですか?」
NOVA「攻略サイトによれば、1ターン経てば、ゲッター聖ドラゴンが撤退するので、それまで生き延びればいいそうなので、俺もそれを狙った。アークを囮にして、聖ドラゴンが他を狙わないようにユニット配置したつもりだった。しかし、聖ドラゴンは思わぬ動きを見せた」
ヒノキ「ゲッターを狙わずに、他を狙ったのか?」
NOVA「ゲッターアークをスルーして、エーアデントに向けて移動してきて、2回行動でビルバインと、ルルーシュを狙ってきた。幸い、精神コマンド・直感で回避して、事なきを得たんだが、思いがけず聖ドラゴンが自陣に飛び込んできた。こうなったら、1ターンで集中砲火を浴びせて、撃墜できるんじゃねえ? 飛んで火に入る秋の聖ドラゴンって奴だな」
ゲンブ「奴のHPはいくらでござるか?」
NOVA「バグを凌駕する20万だったが、HP24万を1ターンで落とすことを目指して鍛えてきた我が軍の火力は、恐るべきゲッター聖ドラゴンを打ち負かした。スルーされたゲッターアークも覚醒を使って急接近して、3つの心を一つにしたアークシャインボンバーでトドメを刺した……ら、申し子たちに敗れた聖ドラゴンは逃げて行った」
シロ「聖ドラゴンを無事に追い払ったんですね」
NOVA「バグ戦の後で消耗した状況で倒せるとは思っていなかったが、何とかなった。まあ、聖ドラゴンがわざわざ集中砲火を浴びるようなところに飛び込んで来たから、こちらも迎撃せざるを得ない、という気になったからな。ゴジラ相手に、良い前哨戦になったと思うよ。HP20万なら、1ターンで削りきれると確信できたからな」
ヒノキ「では、次にチャプター6の決着じゃな」
NOVA「そっちはラー・ヴァル関係の濃いシナリオだった、ということで」
(当記事 完)