花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、TRPGの魔法研鑽を展開予定。

冒険ファンタジーな戦隊考古学1(マジレンジャー特集)

魔法使いと冒険者

 

ヒノキ「2005年のマジレンジャーと、翌2006年のボウケンジャーは、TRPG者としても重要な戦隊なのじゃ」

ジュニア「2年続けて、冒険ファンタジーがテーマだったのですねぇ」

ヒノキ「うむ。最初のファンタジー戦隊である『ジュウレンジャー』の時期(92年)は、ドラクエファイナルファンタジーなどのコンピューターRPGブームの影響もあったが、ゼロ年代になると、『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)や『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)といった映画のヒットで、ゲームをしない層にも魔法やファンタジーを題材にした作品が新たなブームになる。2002年のハリケンジャーは、〈ハリー賢者〉が元ネタの一つとも言われていたが、中身は魔法学校を忍者学校に置き換えた程度で全く違うストーリーになっていて、ハリー・ポッターシリーズの影響はむしろ、マジレンジャーの方に強く現れておる」

ハイラス「独特の魔法の呪文や、メカニカルな魔法のホウキ、それにトラベリオン・エクスプレスという列車要素も、ハリー・ポッターを踏襲したでござるな」

ヒノキ「トラベリオンは追加戦士のマジシャインが操るロボじゃが、魔法使いと列車はそもそも発想としてつながらんのに、ハリー・ポッターの劇中で、人間界からホグワーツ魔法学院に行くのに使う交通手段が列車なんじゃな。冒険の旅に列車を使うのは、70年代の『銀河鉄道999』から90年代の勇者シリーズ黄金勇者ゴルドラン』のイメージもあったが、それに加えて魔法使いと列車をつなげて見せたのはハリー・ポッターの影響が大きいじゃろうな」

セイリュウ「戦隊で列車だと、元祖はゴーゴーファイブのゴーライナーだったが、これも母艦ロボの一種だな」

ハイラス「列車つながりで、旧世紀の救急戦隊に遡ったでござるが、それはファンタジーとも冒険ともつながらんのではないか?」

セイリュウ「まあ、確かに戦隊側は科学の力で戦うヴィークル系戦隊だが、敵側の災魔一族が大魔女を首領とするファンタジー系の種族で、闇の魔力や死霊にまつわるマイナスエネルギーを扱う。巨大再生した死霊属性の災魔獣に対しては、ビクトリーロボのプラスエネルギーを宿した光と炎の必殺剣技ビクトリープロミネンスで浄化しないと倒せないなど、ファンタジー的に凝った設定が為されていて面白い」

ヒノキ「死霊や怨霊系の敵には物理攻撃が無効だから、科学の力では対処困難なのを、ゴーゴーファイブの父親、巽モンド博士は太陽の研究から浄化エネルギーを生み出したり、精神エネルギーを力に変える最終ロボを開発したりして、オカルトに一歩も二歩も踏み込んだ超常科学者な面がある。それに、科学の力で闇の力に立ち向かうことの難しさは、ギンガマンと共闘したVSシリーズでも描かれていて、ファンタジー要素を科学的な理論で解析しようとしている作風がゴーゴーファイブの特長とも言える」

セイリュウ「それに、ゴーゴーファイブマジレンジャーとつながる重要な要素を持っているからな」

ジュニア「確か、どちらも兄弟戦隊ってことですねぇ」

セイリュウ「うむ。90年のファイブマンの星川兄弟に続く、第2の兄弟戦隊がゴーゴーファイブ、第3の兄弟戦隊がマジレンジャーになる」

 

兄弟姉妹の絆

 

ヒノキ「マジレンジャーは小津家の兄弟姉妹から成る戦隊で、上から順に蒔人(まきと)、芳香(ほうか)、麗(うらら)、翼(つばさ)、魁(かい)。名前の頭文字をつなげると〈まほうつかい〉になるのがポイントじゃな。念のため、グリーン、ピンク、ブルー、イエロー、レッドの順番じゃ」

ジュニア「レッドが末っ子なんですねぇ」

ヒノキ「うむ、兄弟戦隊ではレッドが最年長のリーダーになるのがそれまでの定番じゃったが、マジレンジャーでは末っ子レッドという初の試みじゃ。リーダーは長男のグリーンじゃが、そういう場合、レッドは熱血漢の斬り込み隊長的な役割を担うことが多い。魁は父親の資質を最も強く受け継いだ炎の魔法使いで、未熟ながら最も高い潜在力を持っているという設定。錬成魔法が得意で、変身アイテムのマージフォンも自ら造り出したほどじゃ。他の兄弟が母親から授けられたのにのう」

ジュニア「末っ子だけ授からなかったのですかぁ?」

ヒノキ「まだ高2で年若く、性格も無鉄砲じゃから、敵との戦いに加えるのは危険という母親の判断じゃったのだが、魁は自分の魔法を覚醒させて、変身能力を自ら会得したという主人公描写じゃ」

セイリュウ「一方、先代兄弟戦隊は巽(たつみ)家で、上から順にマトイ(レッド)、ナガレ(ブルー)、ショウ(グリーン)、ダイモン(イエロー)、マツリ(ピンク)の5人から成る。レッドが長男として仕切る伝統があったのを、マジレンジャーは切り替えたんだな」

ハイラス「同じ兄弟モチーフでも、変化球を加えてくるのでござるな」

ヒノキ「とは言え、レッドに弟要素を持たせるのは、ジュウレンジャーギンガマンなどのファンタジー戦隊の定番でもあった。ジュウレンジャーでは途中から兄のブライが登場し、ギンガマンでは最初に兄のヒュウガが行方不明になって未熟な弟のリョウマが兄の代わりのレッドとなる。後に生きていたヒュウガが追加戦士となるなど、兄弟設定の発展継承が見られるのう」

ジュニア「今のゴジュウジャーでもレッドが弟で、兄のクオンが敵ライバルとして登場してますねぇ」

セイリュウ「2年前のキングオージャーでも赤が弟で、兄のラクレスが長らく敵役を務めていたが、最終的には味方となった」

ジュニア「なるほどですぅ。ファンタジー戦隊では、弟レッド率が結構大きいんですねぇ」

ヒノキ「もちろん、ニンニンジャーのような兄レッドもいるがのう。ともあれ、戦隊内で一部のメンバーが兄弟設定はよくあるが、5人まとめて兄弟なのは今のところ、ファイブマンゴーゴーファイブマジレンジャーの3作だけじゃ」

セイリュウニンニンジャーは祖父が共通の親戚チームで、兄弟戦隊の亜流と言ってもいい。アオが魔法忍者という設定で、それに絡めてマジイエローがゲスト出演した回もあった」

ハイラス「そういう形でつながる系譜もあるでござるなあ」

 

ヒノキ「さて、マジレンジャーの長男である蒔人はマジグリーン。緑が赤の兄というのも、ジュウレンジャーの前例があったので違和感なく、ファンは受け入れた。熱血豪快な農場経営者で、大地のエレメントを司る怪力戦士。植物に関する魔法が得意じゃ」

ハイラス「正にドルイ道ではござらんか」

ヒノキ「父親不在の小津家で、一家を支える大黒柱としての自負心も強いが、主役回では気負いすぎて暴走する傾向が強く、コミカル担当でもある。マジキングでは最大質量を誇るマジタウラスに変身し、分離形態では一番目立つポジションじゃ」

ジュニア「戦隊グリーンは、スピードの戦士か、パワーの戦士の2系統があるんですねぇ」

セイリュウ「初代のゴレンジャーでは、力の黄色、敏捷性の緑だったが、続くジャッカーでは黄色が削除されて、緑のクローバーキングが重力を操るパワー系。スピード系は青のダイヤジャックに配分されて、その後、緑は黒と置き換えられるケースも多くなった。緑と黒が同時にいる戦隊では、緑がスピード、黒がパワーという傾向が多いが、今年は黒がヒロインという変化球だからな」

ハイラス「パワー系は黄色という原典踏襲型でござる」

 

ヒノキ「次に長女の芳香はマジピンク。風のエレメントを司り、変身魔法を得意とする。ボールになって、サッカー部の弟・魁に喜んで蹴られている姿が印象的じゃった(必殺技のマジレンジャーボール)」

セイリュウ「喜んでたかどうかは知らんが、蹴られて痛そうな素振りも見せてなかったから、必殺技担当で楽しく調子に乗っていたのだろう。戦隊では、ガオマジロやタックルボーイ、先日ゴジュウでも登場したゴローダーGTに相当する役回りとも言える」

ヒノキ「ボール爆弾を相手にぶつける必殺技は、元祖戦隊からの伝統芸でもあるからのう。モモレンジャーは爆発物のエキスパートじゃったから、必殺武器のゴレンジャーストームやゴレンジャーハリケーンをセッティングする担当。そして、風の魔法使いが(自ら変身して)ボールを用意するのも、形は違えど、初代の系譜をなぞっているとも言える」

ジュニア「巨大変身時は、一番小さなマジフェアリーなんですねぇ」

ヒノキ「変幻自在に相手をかく乱する役回りじゃな。性格も、妖精めいた陽性の天然系で、今で言うところのパリピになるのか。しっかり者の次女に対して、深く物事を考えないような遊び人気質なところがあって、恋愛好きな面も多い。戦隊ヒロインとしては当時、かなり冒険した性格設定と言えるが、その無邪気さが子どもにはウケたらしいのう。しっかり者の長女ピンクという設定はファイブマンでやったので、その逆を狙ったと見える」

ハイラス「次女の麗(うらら)殿はマジブルー。青定番の水属性でござるなあ」

セイリュウ「赤の炎属性、青の水属性は変えようがないだろう。風属性と地属性は作品ごとに違うカラーリングが設定されているが」

ヒノキ「両親の気質は、長男長女よりも、弟や妹の方に強く受け継がれているのがマジレンジャーの設定じゃな。麗は母親の得意な水晶球占いを専門とする占術師で、性格も真面目なしっかり者の母親ポジションを務めるほか、恋愛劇でも最終的にマジシャイン(ヒカル先生)と結婚するなど、ほぼ正ヒロインの立ち位置を占めるに至った。彼女がヒカル先生と結ばれたからこそ、最終話で彼が魔法家族の一員として同列に並べ立てたとも言える」

セイリュウ「巨大変身すると、マジマーメイド。マジキングに合体するときには左右分裂するなど、ある意味、過酷なポジションを強いられるし、苦労人ポジションで同情を惹く役回りだったが、それ故のファンも多かったと聞く」

 

ヒノキ「最後に次男の翼。クール担当のマジイエローじゃが、主役の魁とは近しい間柄で、日常的な絡みも多く、役者の松本寛也氏は後にゴーバスターズのビートバスター・陣マサトとしても出演。ニンニンジャーへのゲスト出演や、キュウレンジャーで宇宙アイドルのホシ★ミナト役だったり、戦隊の中では一番OB役者として出演回数が多い」

セイリュウ「マジイエローは、雷のエレメントを持ち、得意な魔法は薬の調合。そして巨大な翼手が特徴のマジガルーダに巨大変身する。マジレンジャーの頭脳担当で、スピード戦闘と空中戦と射撃戦が得意で、しかもボクシング経験もあるという割と万能戦士の印象がある」

ジュニア「イメージとしては、ジャッカーのダイヤジャックですねぇ」

ヒノキ「ダイヤジャックは、電気エネルギーを使う剣士だが、過去の経歴はボクサーじゃった。しかし、ジャッカーは割と、変身前と変身後のキャラが噛み合ってない設定じゃったのう。ボクサーだったら、クローバーキングの担当にも思えるが、彼の前歴は海洋学者で知性派のはずだったのに、どんどんキレンジャーキャラを押しつけられることとなった」

セイリュウ「そもそも、主人公のスペードエースからして、オリンピックのライフル射撃の金メダリストじゃったのが、ジャッカーでは銃ではなく、ムチと弓矢で戦わされることに。ムチと弓は前作ゴレンジャーの人気武器だったので、こちらも人気になるかと思われたら、ダイヤジャックの分かりやすい電気剣の方に人気が集まったと聞く」

ヒノキ「万能戦士よりも、明確な個性を持った分かりやすいキャラの方が、子ども受けしやすいというのはあるのう。主にごっこ遊びの面で、ムチと弓を使い分けるヒーローというのはポジションが分かりにくいというのがあろう」

ジュニア「弓は後方支援のサブキャラってイメージもありますねぇ。アオレンジャーはサブリーダーですし、弓が似合うけど、リーダー赤が弓使いというのは個性がブレるというか」

セイリュウ「そもそも、『ジャッカー電撃隊』というタイトルからして、電気使いのダイヤジャックが主人公と錯覚もされよう。元は、ダイヤジャックがレッドだったという裏話も聞くし」

ヒノキ「リーダーのスペードエースがクールなブルー戦士という初期設定もあったらしいが、やはりリーダーは赤じゃろうという意見で、番組開始時期から設定がいろいろブレた結果、最終的にリーダーが万能の白に乗っ取られたという経緯を持つ不遇なキャラじゃからのう。専用ソングも、BGMがビッグワンに乗っ取られたそうじゃし」

 

ハイラス「と言うか、マジレンジャーの話をしていたはずが、どうしてジャッカーに?」

ヒノキ「話が脱線したので、仕切り直しに項目を変えるのじゃ」

 

追加の魔法戦士

 

ヒノキ「マジレンジャー6人めの追加戦士マジシャインは、正体が天空聖者サンジェルで、太陽のエレメントを持ち、天空勇者マジシャイン、そして人間態のヒカルとして活動しているアラブ風のデザインをした魔法戦士である」

セイリュウ「デザインモチーフの一つがこれだ」

ヒノキ「スーツアクターは岡元次郎さんで、すなわち〈太陽の子RX〉に通じるヒーローとも言える。敵の呪いでカエルの姿にされていたが、麗のキスで呪いが解けてイケメンの若者になった。彼は小津家の父親・勇(その正体は炎の天空聖者ブレイジェル)の弟子で、それまで母を失って自己流で魔法を研鑽しながら敵のインフェルシアと戦い続けてきた小津家の兄弟姉妹たちに、魔法の先生として修行をつける役どころとなる」

ジュニア「師匠の息子に修行をつけると言えば、ウルトラマンレオさんの役回りですねぇ」

ヒノキ「とは言え、教師として未熟なヒカル先生が、教え子をサポートしつつ、時に振り回されたりしながら、共に成長していく展開がマジレンジャーの中盤のドラマになる。つまり、師匠ポジションであり、司令ポジションでもある彼が、自身の未熟さも実感して、教え子から逆に教えられるドラマ性がなかなか面白いうえ、ハリー・ポッターの持つ学園ものの要素を私塾形式で導入。さらに、彼の登場で移動手段のトラベリオン・エクスプレスが使えるようになり、異世界への旅エピソードが展開できるようになる」

ハイラス「そこから本格的な冒険ファンタジーの始まりでござるな」

ヒノキ「うむ。本作は、戦隊定番の『侵略者の魔の手から人々を守る正義のチーム』という大筋のほかに、『日常的なトラブルを超常パワーで解決したり、超常パワーがトラブルの原因になるのを防ぐエヴリデイ・マジック物』『トラブル解決のドラマを経て、兄妹の絆やら勇気やらが生み出す新たな呪文を習得していく、未熟な魔法使いの成長譚』の側面があって、バトルよりもドラマでの成長がテーマになっておる。これはプリキュア以前のニチアサの定番シリーズ、『おジャ魔女どれみ』(1999〜2002)の作劇ノウハウもあって、もちろん2004年からのプリキュアシリーズにおける『日常生活の事件とバトル物の結合』の同時代的な発展ドラマという観点から語ることもできよう」

セイリュウゼロ年代は、エヴリデイ・マジックと魔法バトルの実験がいろいろ試みられた時期だったな」

ヒノキ「これが80年代だと、魔法などの超常能力の覚醒で崩壊する日常や、崩壊しても気にせずに日常生活を過ごしているコメディ物がいろいろ作られ、それが90年代からセカイ系に発展して、容易に崩壊する世界構造が作劇の定番にもなっていく。しかし、ゼロ年代に入ると、フィクションも日常生活の比重が大きくなり、日常生活の中の秘めたる異能や、日常を壊さないように暗闘するヒロインたち(戦いの中で壊れたものは魔法で修復)というギミックを導入して、世界を崩さずにバトル物語と両立させる手法が確立。一方で、世界を変革させるような物語は、異世界ファンタジーとしてはっきり区別するジャンル分けが定められた」

セイリュウ「前者が『ハリー・ポッター』で、後者が『ロード・オブ・ザ・リング』と言っていいか」

ヒノキ「魔法学園という設定は、日常系と相性がいい。と言うのも、学園だから教師がしっかり日常を守るために活動している。それに、主人公たちが主に見ている世界の範囲が『狭い学園』じゃから、それより広い世界のことはあまり考えずに済む。風呂敷を最初からあまり大きく広げずに話が回せるので、日常の細部を描くことでリアリティを確保できる。一方、広い世界の荒唐無稽な冒険を描くには、学園の外に出ないといけないので、まずはキャラの人間関係を日常系の学園ドラマで確立させ、そこから話が進んだ段階で外の世界に視野を広げると、マンネリに陥らずに済む。

マジレンジャーの場合は、まず『兄弟家族』という狭い人間関係と、それを脅かす敵という構図から始まり、悪の魔法使いウルザードが母親を倒すことで、残された5人が早急な成長を余儀なくされる流れを作った。そして、世界を広げるためのキャラとして、教師役であり、天空聖界マジトピアに縁のあるヒカル先生を登場させた。この追加メンバーの登場で物語の世界観が広がる手法は、今作の場合、劇的に効果を発揮しておる」

ハイラス「発揮しないケースはあったのでござるか?」

ヒノキ「ダイレンジャーのキバレンジャーは、子ども個人のドラマに終始したので、世界は意外と広がらなかったのう。ギンガマンの黒騎士ブルブラックも、宇宙という世界を示してくれたが、そこからヒュウガにバトンタッチしたので、ドラマの焦点が主人公の兄弟関係に移る流れ。そもそも、世界観を広げるためには、異世界を構築する必要があるが、宇宙や敵勢力の根拠地以外でそれを初めて示したのが、アバレンジャー。しかし、異世界の案内役であるアバレブラックのアスカは物語の初期から登場して、ダイノアースのことを話しているので、物語途中で劇的に世界を広げたのは、マジシャインが初ということになると思う」

セイリュウ「本来、母親の小津深雪ことマジマザーが語るべき詳細を、伝えきれずに退場させられたからな」

【49】マジマザー VS ウルケンタウロス/魔法戦隊マジレンジャー

ヒノキ「マジマザーは氷のエレメントを操る魔法戦士で、序盤に子どもたちをマジレンジャーに導いた後、闇の魔法使いウルザードと戦って倒され、消滅させられる。この時点で、ウルザードが実は彼女の夫、ブレイジェルこと小津勇が闇堕ちした姿であることは知られていない。よって、マジレンジャーウルザードが父親だと知らずに、長らく戦い続けることになるのじゃ」

ジュニア「長らくって、どれだけですかぁ?」

セイリュウ「敵ライバルとしては最初から34話まで活躍。当初は母親の仇として、マジレンジャーからヘイトを向けられていたが、騎士らしい正々堂々とした振る舞いや、マジレンジャーを鍛えるべく振る舞っている様子も見られて、視聴者からもそのうち味方になりそう、と目されていた」

ハイラス「狼男モチーフってことで、ガオレンジャーの狼鬼がガオシルバーになったことを想起させられるキャラ付けでござるからな」

ヒノキ「狼鬼は、14話からの登場で、24話からガオシルバーに変わるので、実質10話ほどの出番じゃ。しかし、ウルザードはその3倍以上の間、敵役として振る舞い続け、実は父親だったという秘密が明かされたのは34話。そしてラスボスの封印のために一時行方不明になったものの、帰って来るのは40話になってから。終盤もいいところじゃ」

ジュニア「その辺の展開は、いろいろやきもきさせられますねぇ」

ヒノキ「終盤に魔法家族として最終決戦を迎えるまでの、丹念な仕込みじゃからのう。44話で実は生きていた母親の深雪が復活。封印されていた彼女を復活させるのに、マジレンジャーの成長が必要だという流れは、感動そのものと言ってもいい。

「そして、それでも強い冥府神に対して、子どもたちを守るためにウルザードがかつての姿だった炎の力を身にまとった赤き戦士ウルザードファイヤーになるのが46話。まさに燃える展開そのものじゃ」

ハイラス「母親、続いて戦士としての父親が次々と戻って来る展開でござるな」

セイリュウ「逆に言えば、両親が復活するお膳立てを整えるために、この終盤のマジレンジャーは強敵相手にピンチの繰り返しという弊害もあった。それはとりわけ、後期の主役ロボ、マジレジェンドの不振という形につながる」

ヒノキ「マジレジェンドはパワーアップしたはずなのに、1号ロボよりも退化した合体システムと、さらに強大な神と化した敵勢力のインフレ、そして等身大ドラマの勢いに飲み込まれて、劇中では非常に存在感の薄いロボになってしもうた。言わば、人間ドラマの比重が強くなりすぎると、ロボの活躍に割く時間が薄れるわけじゃな」

 

ジュニア「ロボで負けてピンチを演出しても、等身大戦で逆転勝利を収めれば、結果として勝てるわけですよねぇ」

ヒノキ「まあ、ピンチだからこそ、不屈の闘志とか、奇跡の逆転勝利とか、ドラマ面をいろいろ盛り上げることもできるわけじゃし、マジレンジャーの場合は、ロボが戦隊の当人たちとイコールじゃからのう(トラベリオンを除く)。ロボとて、勇気で生み出される魔法の一種でしかないわけで、大事なのは最後に魔法で打ち勝つことができるか、じゃ」

セイリュウ「ロボの話はさておき、最後は魔法家族の絆で勝利を収めたのだったな」

ヒノキ「それだけじゃない。ここに伝説の魔女の存在も忘れてはいけない快挙じゃ」

ヒノキ「戦隊シリーズで、女王にして魔女と言えば、真っ先に挙げられるのが『デンジマン』『サンバルカン』のヘドリアン女王、そして『ジュウレンジャー』のバンドーラ(また『パワーレンジャー』のリタ)を演じた曽我町子さんじゃが、このマジレンジャーでは敵から味方の天空大聖者マジエルに転生する」

セイリュウ「戦隊以外では、『スピルバン』のパンドラ女王や、『ジライヤ』の妖忍・クモ御前なども演じている。他には、『マシンマン』のボールボーイの声や、『バッテンロボ丸』の声など、声優としても活躍して、東映特撮ものの常連役者とも言えた」

ヒノキ「そんな彼女が亡くなって、来年で20周年か。一応、魔女としてのデビュー作はこれじゃな」

ジュニア「もはや、戦隊の話ではなくなっていますねぇ」

ヒノキ「うむ。『5年3組魔法組』はジャッカーと同時期の作品で、魔女ベルバラから与えられたMJ(マジ)バッグに収納された魔法の7つ道具を使って、少年少女の5人組がトラブルを解決したり、トラブルの元になったりする日常ファンタジー物じゃ。メカ仕掛けのホウキに乗って飛び回る魔女というビジュアルイメージは、21世紀のTRPGの原型の一つとも言っていい」

セイリュウ「いや、直接の元ネタではないだろうが、系譜を辿ればつながって来るということだな」

ジュニア「戦隊シリーズになると、どうしてもバトルは必須になりますが、バトルとは関係ない日常のトラブル解決に魔法を使う物語も、夢があっていいですねぇ」

ヒノキ「シリーズではないから、顧みられる機会は少ないがのう。それでも考古学のネタとしては、触れておいても罰は当たらんじゃろう」

5年3組魔法組

セイリュウ「しかし、MJバッグのアイテム群は、世界観が違えばサーシェスの回収保護任務の的になるだろうな」

 

続く冒険者の物語

 

ヒノキ「それで、次のボウケンジャーは、マジレンジャーとは違う切り口で冒険ファンタジーを描いた、戦隊30周年の傑作じゃ」

セイリュウ「冒険がテーマなのは、前作で十分に描ききれなかったからじゃな。マジレンジャーは日常における魔法の修行と、兄弟や家族の絆、そしてファンタジーモンスターとの戦いを描いたが、冒険そのものは中盤のトラベリオン・エクスプレスを通じた数話しか描かれておらん。テーマに消化不良があったので、翌年はそれをメインテーマにして、現代の冒険者というものを描く話になった」

ハイラス「現代の冒険者?」

ヒノキ「厳密には、近現代の冒険家じゃな。モデルの一つはこれじゃ」

ジュニア「古代文明の遺跡に潜って、秘宝を回収するトレジャーハンターですねぇ」

ヒノキ「遺跡は大体、人里離れた秘境にあるから、そこを探検するのもテーマとなる。また、既に発見された秘宝を安全な場所に保管するため、持ち主と交渉したりするのも大切な仕事となる」

セイリュウボウケンジャー自体は、科学の力で戦うヴィークル系戦隊だが、プレシャスと呼ばれる秘宝の方に神秘もしくはオカルト的な力が宿っている。いわゆるアーティファクト的なマジックアイテム。それまでの戦隊は、敵の侵略者から日本もしくは世界を守るために戦うのが目的だったが、ボウケンジャーの目的はプレシャスの入手、もしくは確保にある」

ハイラス「街の平和を守ることではない、と?」

ヒノキ「ボウケンジャーの世界では、強力な力を宿したプレシャスが悪の手に渡ると、世界の危機に直結する可能性が高い。よって、プレシャスを守ることが、世界の平和を守ることに直結するよう、エピソードが組まれておる」

セイリュウ「過去の戦隊では、たとえばギンガマンにおいて、魔獣ダイタニクスの眠りを覚まさせるために敵の宇宙海賊バルバンが『ギンガの光』を求める第2クールのエピソードがあって、何らかの宝や力の争奪戦が部分的に展開された。ハリケンジャーでも、敵のジャカンジャが『アレ』なる謎の宝を求めて暗躍していたし、何らかの宝を求める敵の作戦は、時おり見られたので、そこに焦点を当てて、敵も味方もお宝を争奪することをテーマにしたのがボウケンジャーということになる」

ヒノキ「それが発展したら、宇宙最大のお宝を求める『海賊戦隊ゴウカイジャー』や、ルパンコレクションを狙う、または守る『快盗VS警察のルパパト』になるのじゃな」

ジュニア「お宝というテーマで、物語の設定が統一的に組まれているんですねぇ」

ヒノキ「そんなわけで、次回はボウケンジャーの特集をするのじゃ」

(当記事 完)