花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、TRPGの魔法研鑽を展開予定。

アニマル&ファンタジーな戦隊考古学3(新世紀幕開け編)

ゴジュウジャーの追加戦士はシロクマ

 

ハイラス「わしがクマの話をしたら、タイムリーなネタが飛び込んで来たでござる」

ヒノキ「ガリュードが闇を浄化されて、追加戦士になると思うておったが、そうではなかったのじゃな」

セイリュウ「追加戦士は、ゴジュウドラゴンだと思っておったが、外れたようだ」

ジュニア「まあ、恐竜モチーフのティラノが出ているので、竜要素はそちらでまかなっていたのでしょぉ」

ハイラス「とにかく、時代はクマってことでござるな」

 

ヒノキ「先に戦隊クマの歴史でも、まとめておくか。最初のクマは、カクレンジャーのニンジャイエローのクマード系列ってことで」

ジュニア「隠大将軍の胸のクマ顔になる超忍獣ゴッドクマードの他に、無敵将軍の右脚になるクマ顔人型ロボの獣将イエロークマード、そして分身の獣将ファイター、バトルクマードですねぇ」

ハイラス「で、次のクマがガオレンジャーの双子クマ、ガオポーラー&ガオベアーでござるな」

セイリュウ「双子クマは、ガオキングの両腕換装武器のダブルナックルになった後、ガオゴリラをコアメカとしたガオマッスルの標準腕パーツとして、パワー系2号ロボを構成した。やはり、クマはゴリラと並ぶパワー系アニマルの印象が強い」

ジュニア「仮面ライダー電王でも、アックスフォームのキンタロスがクマモチーフですからねぇ」

ヒノキ「ライダーに寄り道していると、時間が掛かり過ぎるので、クマネタは一気にさらってしまおう。ちょうどいい動画を見つけたのでな」

ジュニア「つまり、今回のゴジュウポーラーはキュウレンジャーのコグマスカイブルー以来の熊戦士なんですねぇ」

ヒノキ「うむ。そしてシロクマモチーフはガオレンジャー以来という。まあ、どういうキャラになるかは6月の登場を楽しみにするとしよう。先に敵の女王テガジューンの暴れっぷりを見た後でのう」

 

新世紀のアニマル戦隊

 

ヒノキ「それでは改めて、前回は1998年のギンガマンまで見てきたわけじゃが、次の獣モチーフロボは2000年のタイムレンジャーに登場する恐竜型メカ、Vレックスじゃ」

セイリュウタイムレンジャーは25周年の未来戦隊で、正式に『スーパー戦隊』シリーズという呼称が付けられた初の戦隊。5機の戦闘機がタイムロボα、タイムロボβ、タイムジェットγの3形態に変形合体するなど、1号ロボは凝ったギミックを持っておったが、2号ロボのタイムシャドウは忍者モチーフ、3号ロボにして追加戦士の操るVレックスは恐竜モチーフと、過去の戦隊の人気モチーフが採用されている」

ヒノキ「その2年後に忍者、3年後に恐竜を短期間に続けて採用するとは思わなかったがのう」

セイリュウ「戦隊はカーレンジャー辺りから、ネタかぶりが見られるようになったが、例えば同じ車戦隊でも、ターボレンジャーカーレンジャーは作風が大きく異なるし、ターボレンジャーはモチーフが車なだけで、物語は車要素が少なかったからな」

ジュニア「そりゃあ、主人公たちが高校生だったら、車の免許がとれないので車メインのストーリーにはできないでしょぉ」

セイリュウ「つまり、戦士やロボのモチーフが車なのに、物語が妖精や妖怪種族の背景設定に、高校生の青春ロードを混ぜるというチグハグ要素が見られたのに対し、カーレンジャーは徹底して自動車要素を全面に打ち出した。主人公たちは自動車整備会社で働くサラリーマン設定で、敵は暴走族。そしてキャッチフレーズが戦う交通安全と、とにかく車尽くしの戦隊になったのだ」

ヒノキ「カーレンジャーは、車なのに宇宙が背景というのも奇抜じゃったな。クルマ座とか、宇宙の暴走族とか、宇宙船ならぬ宇宙のハイウェイを走る夢の車とか、ミスマッチと言えばミスマッチじゃが、それだからこそ独特の世界観を構築しておった」

セイリュウ「ギャグだからできたとも言えるが、この時期の戦隊は宇宙推しが多かったな。オーレンジャーカーレンジャーメガレンジャーギンガマンゴーゴーファイブまで宇宙要素が必ず入っていた」

ヒノキ「敵が宇宙からの侵略者だったり、味方のメカが宇宙関連だったりなどじゃな」

セイリュウ「その中でも、宇宙とデジタルと高校生がテーマだったのがメガレンジャーだった」

ヒノキ「ターボレンジャーの高校生要素をより強調して、コンピューターゲームやネットサーフィンやらがテーマで、その要素が後の仮面ライダーフォーゼにつながるわけじゃな」

ハイラス「まあ、動物とは関係ないでござるが」

ジュニア「そして、動物要素は翌年のギンガマンで復活したんですねぇ」

ヒノキ「ターボレンジャーから受け継いだ要素としては、暴魔族を封印した聖獣ラキアが星獣という設定に発展し、古代に封印された宇宙海賊と魔獣ダイタニクスという設定も暴魔百族の発展系と見なすことも可能」

セイリュウ「基本的にファンタジー系戦隊は、封印された魔物や敵組織が目覚めて侵略を開始したので、連中と戦うことを運命づけられた伝説の戦士や、その末裔が戦うことが多い」

ハイラス「とにかく、平成最初のスーパー戦隊であるターボレンジャーの3要素(車、高校生戦士、かつて聖獣の封印した敵一族との戦い)をそれぞれ膨らませたのが、96〜98年のスーパー戦隊でござるな」

ヒノキ「そして、99年に救急ということでレスキューをモチーフにしたゴーゴーファイブ。マシンは、カーレンジャーで初採用された消防車や救急車などのレスキュー車両、そして輸送用の大型列車、そしてスペースシャトルや宇宙用のレスキューマシンなど、豪華なメカSF戦隊となっておった。

「次のタイムレンジャーは前述のとおり、未来から飛んでくるタイムジェットの他に、忍者、恐竜など過去の人気モチーフを採用して、それから21世紀初の戦隊ガオレンジャーにつながるのじゃ」

セイリュウ「ようやく、本命に来たか。ギンガマンからわずか3年後で、似たようなテーマのアニマル&ファンタジー戦隊が来たわけだが、新機軸はどこにある?」

ヒノキ「まず、基本の5人がライオン、イーグル、シャーク、ホワイトタイガー、バイソン(牛)ということで、一見、過去の戦隊で登場したモチーフばかりに思えるが、サメのメカは初めてじゃな」

セイリュウ「太陽戦隊のバルシャークはサメの戦士だったが、搭乗メカは非動物のブルバルカンだったからな。ライブマンでは、サメではなくイルカだった。まあ、ギンガマンの追加メカのギガバイタスは一応、サメに似た海の鋼星獣ではあったが」

ヒノキ「母艦を数に入れると、バトルシャークという元祖ロボ搭載メカがあったが、さておき。ガオレンジャーのモチーフは、いかにも既存の焼き直しに見えるし、変化球よりもむしろ直球ド真ん中で新世紀戦隊の王道を築こうとしたのじゃろう。しかし、ギンガマンとの明確な違いは、着ぐるみ怪獣的な演出を見せた星獣に対して、ガオのパワーアニマルはCGメインで、まるでゾイドを思わせるメタル生物っぽさを売りにしておる」

ジュニア「確かに、同じ動物モチーフでも、星獣とパワーアニマルは見せ方が全然違いますねぇ」

ヒノキ「そして、パワーアニマルはとにかく数が多い。ギンガマンの星獣がギンガイオーを構成する5体と、ゴウタウラス、鋼星獣の3体で合計9種類の動物しかいない。しかし。ガオのパワーアニマルは百獣戦隊の名のとおり、最終的に100体になったからのう。1つの戦隊で、それだけの巨大戦力を持つものは他におるまい」

セイリュウ「まあ、最終回にいきなりワラワラ出てきて奇跡を起こしただけのモブアニマルを勘定するのはフェアであるまい。きちんと劇中で見せ場が与えられ、玩具にもなって、視聴者の記憶に残るものだけに絞るべきだろう」

ヒノキ「それでも、20体前後がいるわけで、ガオレンジャー以降は武装の組み替え合体用のロボパーツが一つの商品ジャンルとなった。正直、手足を換装したバージョン違いを考慮すると、ガオ以降の戦隊ロボは全貌を把握しきらんことがある」

ハイラス「ロボの必殺技合体ヴァリエーション&必殺技映像を作るだけで、3つも貼り付けないといけないとは、ガオレンジャーはアニマル戦隊の集大成とも言うべき作品でござるな」

ヒノキ「うむ。ガオで初めてモチーフにされた動物を挙げると、まず剣と盾になるエレファント(象)がおる。一応、ジュウレンジャーに守護獣ジュウマンモスがいたが、象とマンモスは似て非なる扱いとする。

「次にスピア(槍)になるジュラフ(キリン)じゃが、ダイレンジャーにキリンレンジャーというのがいて、気伝獣・星麒麟もいるのじゃが、アフリカのキリンと、中国の伝承獣の麒麟はまた別じゃろう。

「まあ、初登場かどうか判定が微妙なのはさておき、ガオハンターの胴体になるガオリゲーター(ワニ)は戦隊初じゃ。次にガオキング・ストライカーなどでガオライノスとセットで、弾丸として蹴られるガオマジロ(アルマジロも初どころか、レアな動物メカと言えような。そしてガオキング・クロスホーンなどで左腕になるガオディアス(シカ)も、ゾイドなんかでは出て来るが戦隊ではレアな部類。しかし、意外と馬は出ないんじゃな。一応、マウス、スティングレイ、ピーコックとともに最終回登場のパワーアニマルとして、ガオホースはデザインされておるのじゃが、馬はギンガマンで、キリンがガオレンジャーと住み分けがあるのかもしれん」

ハイラス「ロボの総数ヴァリエーションでは、後発のガオレンジャーギンガマンよりも圧倒的に多いということでござるな。もう一つ、『動物戦隊ジュウオウジャー』というのが後年作られたそうだが、そちらはどうでござるか?」

ヒノキ「それはガオから15年後の40作記念戦隊じゃが、特にモチーフとして新鮮なものはないのう。赤いワシ、青いサメ、黄色いライオン、白いトラ、強いて言うなら緑のゾウがカラーリング的に新鮮っぽい。他には、追加戦士のジュウオウ・ザ・ワールドが、狼、ワニ、サイの複合戦士なのが新基軸で、あと主人公も空のワシ以外に、ゴリラとクジラのフォームに後から変身できるようになったのも新鮮かもしれん。とりわけ、クジラのメカではなく、戦士のモチーフがクジラというのはレアと言えよう」

セイリュウ「しかし、ジュウオウジャーのキューブアニマルのデザインは、パワーアニマルと比べても退化したように見える」

ヒノキ「この時期の戦隊ロボは、リアリティやデザイン的な格好良さよりも、玩具としてのギミックの楽しさや、子どもの知育玩具みたいな単純な仕掛けを組み替えたりして、遊びやすさを重視した設計思想にあるらしい。ゼロ年代とは、目指す正解が違うということじゃな」

ジュニア「武装用のキューブアニマルに、ドリルになるモグラや、ブーメランになるコウモリ、それにタコなんかがいるのが、ガオとの違いですねぇ」

ヒノキ「他に、カモノハシやフクロウというレア動物のキューブアニマルがいるのじゃが、まあ、同じ動物でもパワーアニマルとは異なるキューブアニマルのリアル造形を廃した玩具っぽさ、しかし流行のマインクラフトっぽいデザインは独特の個性があるのも確か。そして、ジュウオウジャーのトピックはモチーフではなく、ストーリーの方にある」

ハイラス「と言うと?」

ヒノキ「ガヴの香村純子さんが初の戦隊メインライターを務めた作品じゃ。それだけに異世界人と人間の交流という意味で通じる要素もあるのが興味深い」

セイリュウ「ガヴは主人公が異世界出身のグラニュートハーフで、ジュウオウジャーは主人公の大和以外の4人がジューマンという獣人異種族だったな」

ヒノキ「動物系戦隊は、人間が動物とどのように関わるかがポイントだと思うが、歴代動物戦隊を挙げると、こんな感じか」

 

  • 太陽戦隊サンバルカン:5作め(当時はバトルフィーバー、デンジマンに続く3作め扱い)にして初の動物戦隊。軍隊系戦隊なので、動物はあくまでヒーローのデザインおよびアクションモチーフ。ただ、主人公たちの基地がサファリパークと通じており、敵が機械帝国ブラックマグマなので、生物VS機械という構図になっている。
  • 超獣戦隊ライブマン:12作め(当時は10作めの記念作扱い)にして、サンバルカン同様の3人戦隊として始まった。後に2人追加して5人戦隊に。科学者系戦隊で、動物はヒーローモチーフ以外に、メカモチーフとして本格的に取り入れられた。ドラマは劣等生VS優等生という対立構造で、人類を裏切った学友と戦うハードな方向性。ドラマには動物要素が少ない。
  • 星獣戦隊ギンガマン:22作めの動物系戦隊にして、ファンタジー要素を強調。ライオンが初めて主人公レッドのモチーフになった。それまではレッドが空の戦士であることが定番だったのが、地上を駆けるというイメージが強調される。そして「ギンガの森」という自然共存文化を持つ異文化出自の戦士たちが、現代人の親子と交流しながら、魔獣ダイタニクスの復活を企てる宇宙海賊バルバンと戦う。主人公たちが異文化出身なので、初めは日本の常識を知らないというのは、宇宙から帰還した孤児のフラッシュマン、恐竜人であるジュウレンジャーに続く3作め。普段から牧場で暮らしながら、動物の扱いに長ける姿を描いたり、牧歌的な日常と、戦士としての使命感の両面を上手くドラマに描いていた。
  • 百獣戦隊ガオレンジャー:25作めの動物系戦隊。ギンガマンに続いて、ライオンがメインとなる一方、獣医の主人公はゴリラも扱い、多彩なパワーアニマル群を次々と召喚して、動物モチーフ作品としての進化を遂げた。主人公たちは大地の精霊獣パワーアニマルに選ばれた現代人で、西洋ファンタジーの文脈にあるギンガマンとの差異で、和のテイストも大きく取り入れている。飛び出す「牙吠」という文字などの漢字表記の演出や、日本古来の陰陽師設定と、敵が鬼モチーフのオルグで、現代の退魔戦士が邪鬼を退散させるという要素も根底にある。ストーリー構図としては、封印された魔獣を目覚めさせるという敵側のモチベーションが中心だったギンガマンに対し、こちらはオルグの封印のために各地で眠るパワーアニマルを探すという主人公側のクエスト形式になっている。そして先代ガオの戦士と因縁深い狼鬼の出現で、苛烈なパワーアニマル争奪戦に発展していくのも本作からの趣向(ポケモンなどのゲーム風要素の取り込み)。これによってコレクションアイテムとしての動物要素が高まったと言える。
  • 動物戦隊ジュウオウジャー:40作めの動物系戦隊。1人の現代人(動物学者)の主人公が、4人の異世界獣人(ジューマン)と出会い、ゲーム感覚で星を滅ぼしてきた宇宙の無法者集団デスガリアンと戦う。キーワードは「本能覚醒」「この星をなめるなよ」。レッドおよび追加戦士だけが現代人で、他の仲間が異世界や異文化出身という構図は、タイムレンジャーという先例があるが、この場合、現代とのカルチャーギャップに悩んだり、無知ゆえのトラブルを巻き起こしがちの仲間に対して、主人公が世話を焼くことで交流を深める展開になりやすい。ギンガマンの時は、「少年と勇者集団」という構図が90年代のロボアニメ、勇者シリーズという王道作品があったが、本作の場合はその少年に位置づけられるのが共に戦う主人公レッドという形をとっている。敵役は分かりやすい「宇宙からの侵略者集団」で強い理念を持ち合わせるでもなく、ドラマの中心には位置しない。ゲーム感覚で命を脅かす残酷な敵に対して、異世界や異文化出身の戦士たちが共闘するという分かりやすい王道展開に、異文化キャラの日常で巻き起こす騒動やそこからの学びを描いた日常ドラマは、いかにも現代のニチアサ女児アニメのプリキュアシリーズとの関連づけで解析することも可能だろうが(脚本家絡みで)、そういう考察はまた別の機会に。

 

セイリュウジュウオウジャーの場合は、獣との交流ではなく、獣人との交流で、似て非なる話を描いてみせた」

ジュニア「異世界ジューランドの描写が、ガオレンジャーよりも発展したってことですねぇ」

ヒノキ「ガオでは、天空島アニマリウムという動物たちの小世界、隠れ里程度の規模だったのが、アバレンジャーのダイノアース以降は戦隊でも多元世界という概念が定着するようになった。まあ、それまでは異星や地底世界、そして異次元、過去、未来といった世界の広がりはあったが、よりファンタジーっぽい異世界を描写できるように、映像表現や視聴者の概念認識が発達した結果と言えようか」

セイリュウ「戦隊で多元世界というと、32作めの『炎神戦隊ゴーオンジャー』も重要な作品だが」

ヒノキ「それも後の宿題にしよう」

 

忍者の戦隊でござる

 

ハイラス「ガオレンジャーの翌年(2002)が、『忍風戦隊ハリケンジャー』でござるな」

セイリュウ「忍者モチーフの戦隊だと、前述した94年の18作『忍者戦隊カクレンジャー』に引き続き、同一モチーフのハリケンジャー、そして2015年の39作『手裏剣戦隊ニンニンジャー』の3作品が挙げられる」

ジュニア「10年に1度ぐらいのペースだと考えると、来年の戦隊がまた忍者モチーフであっても、おかしくないってことですねぇ」

ヒノキ「またも忍者が来るかは知らんが、忍者と動物は相性がいいことになる。しかし、それぞれの作風がまた異なるので、それも踏まえて振り返るのじゃ」

ハイラス「カクレンジャーは、忍者の子孫が妖怪退治の旅をする物語でござったな」

ヒノキ「ハリケンジャーの疾風流は、隠流と違って、忍者学校の忍風館で若手忍者を養成しておったが、宇宙忍者のジャカンジャによって学園が壊滅したところから始まる」

ジュニア「敵組織に学園が壊滅させられるところは、ライブマンと共通しますねぇ」

ヒノキ「主人公の3人のモチーフ獣も、鷹、イルカ、ライオンということで、ライブマンと全く同じじゃ。そこにライバル流派の迅雷流が絡んで来る点が、ハリケンジャーの個性と言えようが」

セイリュウカクレンジャーの時には描かれなかった、忍者同士の流派対決がハリケンジャーの特徴と言っていい。また、主人公の3人が学園の優等生ではなくて、落ちこぼれで敵に侮られがちというドラマ構図もライブマンを踏襲した要素だ」

ハイラス「忍者だけど、カクレンジャーではなくてライブマンを参考にしている、と」

セイリュウ「そして、迅雷流はカブトムシとクワガタムシという戦隊初の昆虫モチーフを扱っているのも特徴。実のところ、忍者という共通モチーフでありながら、カクレンジャーハリケンジャーはストーリー構造という点で、大きく隔たりがある。カクレンジャーの動物モチーフが、ハリケンジャーには全く使われていない点からも、それは明らかだ」

ジュニア「隠流は巨大獣将の術や、超忍獣を召喚するなど、忍術で巨大戦力を呼び出すのに対し、疾風流や迅雷流なんかはカラクリマシンで、あくまで機械であることを強調したメカ戦隊なんですねぇ」

ヒノキ「うむ。前作のパワーアニマルは精霊とは言え、生物という定義じゃが、ハリケンジャーのロボは全て機械仕掛けになっておる。また、前作の百獣武装に相当する武装メカとして、カラクリボールというネタを投入」

セイリュウ「メダルを入れて、ダイヤルを回すと、カプセルが飛び出す。ガシャポンだな」

ヒノキ「このカラクリボールのアイテム群が、生物モチーフで新鮮なネタも多数。ここまでの戦隊になかったものを挙げると、山羊、花、イカ、蜂、カブトガニ、蜘蛛、ヒトデといったところじゃ」

ハイラス「獣や鳥とは違う無セキツイ動物(虫系とか軟体動物など)が新基軸でござるな」

ヒノキ「搭乗メカではなく、純粋に武器として扱う小物じゃから、既存のイメージに囚われない自由度が確保できたんじゃろうな。おまけにガオ辺りから追加武装が増えて、戦隊ロボの必殺技のレパートリーが多数になった。昭和の昔は、『◯◯剣の何ちゃら斬り』でほぼ1年を通していたのに対し、ロボが増えると剣技の寿命が半年から1クールぐらいに減っていき、ガオ以降は一つの技の賞味期限が一月もあればいい方。中には、たったの1、2回しか使われない武器や技もあって、武装インフレが続いたのがこの時代なのじゃ」

 

ハイラス「では、次に10年ほど飛んでニンニンジャーでござるな」

ヒノキ「宇宙忍者と戦ったハリケンジャーに対して、ニンニンジャーは封印された妖怪の牙鬼一族と戦う、カクレンジャーと同じ構図に戻った。ただし、今度の趣向は主人公の5人が兄妹や従兄弟たちという家族・親族という構成で、祖父、親、子の3代の継承を軸としている。兄弟戦隊だと元祖は地球戦隊ファイブマンで、その後、ゴーゴーファイブマジレンジャーと受け継がれて、家族の絆で戦うチームじゃが、ニンニンジャーの場合は親戚の一族という枠に少し広げながら、伝説を残した祖父からラストニンジャの称号を受け継ぐために競争相手という側面も描いている」

ハイラス「兄弟を競わせるのではなく、従兄弟同士を競わせる形でござるか」

ヒノキ「そして、兄弟戦隊だと、レッドが長男になるという定番があって、それをマジレンジャーがレッドを年下の弟(だけど潜在能力は最も高い)という設定で変化球を示したが、ニンニンジャーの場合は、アカがシロ(妹・風花)の兄ということで年上要素を持たせつつ、アオとモモがアカの1年下のほぼ同格の従弟妹という設定で、ライバル要素を高めている」

ハイラス「大人になってからの1年差というのは、それほど差異はないでござるからな」

ヒノキ「ニンニンジャーの流派は伊賀崎流(あるいはシュリケン流)で、一応、アカとシロが伊賀崎本家ということじゃが、次男に当たるアオがイギリスに留学した魔法忍者という変わり種で、『忍術は古臭くて非合理的だから、イギリスで学んだ魔法を組み合わせて、現代にも通用するようにする』というツッコミどころの多い主張にこだわったりする」

ハイラス「確かに、思いきり変化球でござるが、魔術と忍術の組み合わせは今の時代にアピールするやもしれぬ」

ヒノキ「そして、ニンニンジャーで忍術面で最も優秀なのがモモニンジャーで、科学技術の知識も豊かな才媛。おそらく歴代忍者戦隊のメンバーで、最も頭がいいと思われ。ただし、堅実なものの、アカの猪突猛進な爆発力、本番に強くて、失敗や挫折にヘコタレないメンタリティーの強靭さにはかなわないという設定」

ハイラス「メンタルが弱いと、リーダーには向かないでござるな。参謀役が向いているようだ」

ヒノキ「ニンニンジャーは、レッドが典型的なおバカの熱血漢で、イケイケドンドンな精神(忍びなれども忍ばない、というキャッチフレーズからも察せられる)で、それをアオとモモの知的参謀格2人でサポートするという構図。サブリーダーが2人体制というのは珍しいチームじゃが、一人は魔法、もう一人は科学という得意分野の違いでヴァリエーション豊かに対応できる強みを持っている」

ハイラス「動物要素は持たないのでござるか?」

ヒノキ「ニンニンジャーの巨大戦力はオトモ忍と呼ばれるカラクリメカじゃが、人工知能による自我を持っていて、先代戦隊の疾風流の技術を継承している節が見られる。ラストニンジャの祖父・伊賀崎好天(よしたか)は宇宙人との交信で得た技術を利用して、オトモ忍を作り出したり、また他流派の術技のデータなども忍シュリケンに記録保存することで、シュリケン忍法で再現するなど、非常に先鋭的なテクノロジーを残している」

ハイラス「つまり、隠流や疾風・迅雷流の技なんかも使えるでござるか?」

ヒノキ「使い手がシュリケン忍法を使うための体術やメンタルなどがあればのう。さすがにシュリケン忍法の忍具を扱うための素質は修行で習得するものらしく、独学で忍術を習得した追加戦士のスターニンジャーも最初は忍シュリケンの能力を発動できずに苦労していた時期があったようじゃ」

セイリュウニンニンジャーは、戦隊40周年記念作ということもあって、カクレンジャーハリケンジャー、それに『世界忍者戦ジライヤ』とのコラボ回もあったりして、旧作からの継承という点でも充実した作品だった、と言える。よって、既存の忍者モチーフ戦隊の特性を忍シュリケンという形で継承する世界観になっていた、と」

ジュニア「カクレンジャーハリケンジャーのコラボはないけど、ニンニンジャーは先輩戦士からいろいろ学んで強くなった忍者チームなんですねぇ」

 

ヒノキ「で、術のヴァリエーションが非常に豊かなニンニンジャーじゃが、オトモ忍のモチーフも獣に限らず、非常に多彩じゃ。例えば、1号ロボのシュリケンジンを構成するのがシノビマル(赤の人型忍者ロボ)、ドラゴマル(青の西洋竜型メカ)、ダンプマル(黄のダンプメカ)、ワンマル(白の犬型メカ)、ビュンマル(桃の列車型メカ)の5体で、人と動物、ビークルのハイブリッド合体。

「その後、追加のオトモ忍モチーフが、象、UFO、ウエスタン忍者が搭乗するバイソン型バギー、潜水艦、ライオン型の城。

「さらにゲキアツダイオーを構成するのが、鳳凰(赤)、青龍(青)、玄武(黄)、白虎(白)、パンダ(桃)、鯉(スター)の6種類となっておる」

ジュニア「ああ。ゲキアツダイオーは中国の四聖獣プラス2種類ですねぇ」

セイリュウ「つまり、鯉以外は我らで再現できる組み合わせだな」

ハイラス「パンダは無理でござろう」

セイリュウ「パンダはクマ科ゆえ、そなたの担当ではないか」

ハイラス「わしがパンダでござる、と!?」

ヒノキ「まあ、中華な連想ってことかもな」

ジュニア「何か新合体のたびに、『燃えてきた〜』って叫ぶのがアカニンジャーさんなんですねぇ。さすがは忍びなれども忍ばない、暴れるぜって言ってる方ですぅ」

ヒノキ「ニンニンジャーのロボ合体変形システムは複雑すぎて理解困難なので、玩具動画も貼り付けよう」

セイリュウニンニンジャーのロボ合体システムのポイントは、シュリケンジンのボディ中央の胸部が座椅子になっていて、そこにシノビマルその他のオトモ忍が収納されることで多彩な組み換え合体ヴァリエーションを見せることにある。頭部はオトモ忍シュリケンが変形して、顔と胸が変わることで差異を示す形だ」

ジュニア「基本形態では胸に来るシノビマルが、他のオトモ忍と交代するときは腕パーツに変形するのも面白いですねぇ」

ハイラス「変わるのは頭と胸、それに腕の換装と追加武器でござるか。ボディと下半身はそのままで。追加戦士の機体バイソンキングが2号ロボで、シュリケンジンとスーパー合体して、キングシュリケンジンになる」

ジュニア「そこに加わる大型メカがライオンハオウジョウですねぇ。キングブラキオンの系譜を受け継ぐ要塞メカで単独変形してライオンハオウになった後、シュリケンジンとバイソンキングを搭載合体して、覇王シュリケンジンとなる」

ヒノキ「その後、激熱オトモ忍に憑依合体した6人がシュリケンジンとは別に合体する後継機の新ロボがゲキアツダイオー。これもライオンハオウに搭載されて、覇王ゲキアツダイオーになる」

セイリュウ「百獣武装的なオトモ忍の換装合体によるシュリケンジン・ヴァリエーションを考慮しなければ、1号ロボのシュリケンジン、追加戦士の2号ロボであるバイソンキング、スーパー合体のキングシュリケンジン、要塞ロボのライオンハオウに全ロボ搭載する形態の覇王シュリケンジン、そして1号ロボの後継機になるゲキアツダイオーという流れだな」

ヒノキ「ドラマ的には、シュリケンジンが祖父の残したメカで、そこにラストニンジャに弟子入りしたいと外様のアメリカン忍者の追加戦士スターニンジャーが加わって一騒動。そしてライオンハオウは祖父が作ったものの起動できなかった精霊憑依型の機体で、アカニンジャーの『いっしょに暴れようぜ』の呼びかけに意気投合した精霊・獅子王との交流から起動。それによって、主人公の祖父越えドラマが加速した。その後、他の仲間も祖父の遺産でない自分たちの生み出した独自のオトモ忍で合体したのがゲキアツダイオーということになる」

ジュニア「根本的なドラマが、伝統の継承から、さらなる発展への道筋ってことになるのですねぇ」

ヒノキ「5体合体だったシュリケンジンが、外様の追加メンバーも加えた6体合体のゲキアツダイオーに発展するのも本作のドラマらしい展開じゃ。同じ一族でない外様戦士も含めて、ラストニンジャの後継者ということで、身内だけでない広がりを見せるとともに、一つの型にハマらない個性的なニンジャ像の未来を示したのが本作の結論と言えよう」

ハイラス「忍者という伝統から発展する多様性でござるな」

ヒノキ「まあ、戦隊忍者の歴史となると、ダイナブラック、イエローマスク、タイガーレンジャー、カメレオングリーンといった単独忍者戦士についても語れようが、動物モチーフから飛躍するので、今回はこれぐらいにしておこう」

セイリュウ「次回は、アバレンジャー以降の恐竜系戦隊の系譜を見ていくことになるな」

ヒノキ「恐竜系だと、ジュウレンジャーアバレンジャーキョウリュウジャーに加えて騎士竜戦隊リュウソウジャーまで4作品といったところか。アニマルとは別系統の生物群ということで、そこだけ別タイトルにしてもいいかもしれん。次回は『恐竜&ファンタジーな戦隊考古学』とするか」

(当記事 完)