花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、TRPGの魔法研鑽を展開予定。

ドルイドの獣への変身話

ドルイド話の寄り道

 

ハイラス「前回は、D&D新旧5版のサブクラスをいろいろ研鑽して、ドルイ道がプリキュアと相性のいいという結論に達したでござる」

ヒノキ「そういう結論でいいのかは大いに悩むものがあるが……」

ハイラス「『魔法つかいプリキュア』というのがあるなら、『キミとドルイドプリキュア』という作品があっても不思議じゃないでござる」

ジュニア「魔法つかいやアイドルは、メイン視聴対象の幼児も知ってる言葉だと思いますがぁ、ドルイドって大人でも知らない人の方が多いのではぁ?」

ハイラス「そこまで認知度が低いものでござろうか?」

セイリュウ「おそらく、ドルイドゴジラだと、ゴジラの方が上だろう」

ハイラス「そりゃあ、天下の怪獣王さまには及ばないでござるが……」

ヒノキ「世間一般だと、ドロイドという単語の方が浸透していると思われ」

ハイラス「スターウォーズの専門用語でござろうが、元はアンドロイドの派生単語でござるからな。ならば、アイドル・ドルイドを省略して、アイドルイドという造語で売り出せば?」

セイリュウ「アイドルはさておき、プリキュアの前作のわんだふるは犬猫などの獣がプリキュアに変身するという意味で、動物モチーフのプリキュアドルイドとの親和性が高いと思われ」

ヒノキ「ならば、『キラキラ★アラモード』『ヒーリンぐっど』『わんだふる』が該当するか」

ジュニア「それなら、花など植物モチーフも行けそうですねぇ。『ハートキャッチ』は〈こころの大樹〉を守るプリキュアで、敵は砂漠の使徒。また、『魔法つかい』でも追加戦士のキュアフェリーチェ(花海ことは)が〈母なる樹〉の守護者マザー・ラパーパの後継者で大地母神的な存在。この世界の魔法は、自然界に根ざすドルイドのそれに近いと思われますぅ」

セイリュウ「つまり、全てとは言わんが、数あるプリキュアシリーズの中には、モチーフ的にドルイドに関係のある作品もあるってことだな。とりわけ動物と花や樹などの植物要素、それに自然を強調した作品はそうなる」

ヒノキ「そもそも、プリキュアの設定は、ファンタジー異世界から来た妖精などの登場人物が敵勢力に故郷を滅ぼされたり、征服されそうになったのを助けてもらうために、伝説の戦士プリキュアの力を探して、普通の中学生の少女たちにその資質を見出して、変身能力を授ける……というのが定番じゃからな。妖精と魔法的な不思議な力という素材から考えれば、あらゆるファンタジーが底流にあると言ってもおかしくない」

ハイラス「異世界の王国を脅かした闇の勢力が、主人公たちの街を中心とする日常をも壊そうとするので、伝説の力で立ち向かう少女たちの話でござるな。基本は主人公の日常生活の悩みやトラブルを解消するドラマと、敵の襲撃バトルをルーティン的に絡めながら、要所要所で異世界の設定に深く踏み込んで、世界間の異文化交流的な背景も描いていく」

セイリュウ「日常と異世界の交流とバトルを描いたシリーズとなれば、その異世界要素が時空魔術師の研究対象となり得るわけか」

 

自然魔法と変身について

 

ハイラス「そして、プリキュアとドルイ道を結ぶキーワードは、癒しと浄化を含む魔法(不思議な力)と、パワー源と結びついた妖精と、そして変身という要素と見た」

ヒノキ「変身する魔法少女と妖精*1の組み合わせは、少女アニメの伝統でもあるのじゃな」

セイリュウ「変身の原理が、科学とかメカとか宇宙の超文明に由来するのが男児的なスーパーヒーローで、魔法と妖精とか昔話に由来するのが女児的なスーパーヒロインって分け方は、いささか昭和的か」

ヒノキ「スーパー戦隊では、平成のターボレンジャーから妖精の見える高校生が戦士に選ばれたりした。そこから恐竜戦隊ジュウレンジャーに至って、ファンタジー戦隊という括りが出てくる」

セイリュウ「戦隊ロボが、◯◯ロボという呼称を改め、大獣神とか大連王とか無敵将軍とか、名前のヴァリエーションが増えてくる流れだな」

ジュニア「大獣神の前年のジェットイカロスから、ロボに神話伝承の名前を採用するようになってますぅ」

ハイラス「戦隊の話はさておき、魔法少女ドルイド的なエコにつながって来るのは、いつからでござろうか」

ヒノキ「戦う美少女変身アニメというジャンルをメジャーにしたのは『セーラームーン』からという定説があるが*2、地球の自然のために戦う魔法少女という意味では、95年の『ナースエンジェルりりかSOS』がドルイ道の方向性ではなかろうか」

セイリュウ「花がテーマの変身バトル少女だと、89年のビオランテの方が早いぞ」

ヒノキ「いやいや、確かに、変身するし、戦うし、沢口靖子(当時24歳)は当時の少女……とは言い難いが、それ以上にビオランテ魔法少女に分類するのはおかしいじゃろう」

セイリュウ「擬人化して、植物の精霊少女ビオラちゃんなんかにするという手もあるはず」

ジュニア「その作品で少女だと、むしろ超能力少女の三枝未希さんを推すべきではぁ?」

ハイラス「平成ゴジラシリーズの、怪獣と心を通わせる常連ヒロインでござるか。すなわち、彼女もドルイ道でござるな」

ヒノキ「どちらかと言えば、サイオニクスの方向性じゃろう。別に自然の力で戦うわけではないのじゃから」

セイリュウ「ドルイ道云々を言うなら、やはり怪獣ではモスラの方に焦点を当てるべきなんだろうな」

ハイラス「つまり、90年代は魔法少女も怪獣もドルイ道のエコ思想をテーマに戦うことが定着したでござるな」

ヒノキ「それに加えて、怪獣もヒーローも魔法少女も、この時期ごろから物語中盤にフォームチェンジでパワーアップすることが定着し、平成ヒーローでは戦隊ロボや勇者ロボなどが2号ロボとスーパー合体、もしくはグレート合体でパワーアップするのが常態化する一方で、合体が違和感のある生身のヒーロー、ヒロイン、そして怪獣は神秘の力(何らかの石や器物に込められた潜在力)が覚醒したり、奇跡が起こったりして、基本フォームから姿が変わるのが定番になって、後の平成ライダーにも受け継がれることになる」

ジュニア「フォームチェンジは、昭和ライダーのストロンガーがチャージアップしたりしていましたが、BLACK RXのロボライダー、バイオライダーから、ウルトラマンティガのタイプチェンジにつながり、そこから2大ヒーローの定番になっていくのですねぇ」

ハイラス「戦隊ヒーローは違うのでござるか?」

ヒノキ「戦隊の場合は、フォームチェンジよりも強化アーマーを装着する方が定番になったと思う。もちろん、姿形を変えるよりも先に、新たな武器を入手する方が先じゃろうが」

セイリュウ「新たな武器を作って売らないと、メインスポンサーが儲からないからな。変身アイテムや武器やメカを売って、姿形が変われば人形が売れて、その後、変身アイテムと連動させるメダルやカード、その他のコレクションアイテムに発展していくのが21世紀の流れだな」

ハイラス「商売の話はさておき、ヒーローやヒロインのパワーアップに科学的な発明品が使われることもあれば、神秘的な力で新たな武器やフォームが生成されることもある、と」

ヒノキ「そのパワーアップ手段にどのような趣向が込められるかが、作品作りのアイデアじゃな。それはいいとして、TRPG的な手法を考えるなら、経験点を貯めてのレベルアップということになる。そして、レベルを上げることで新しい技や術、特殊能力を得たりするのが定番パワーアップじゃが、そのパワーアップ用の新データを導入するのがサプリメントの役割」

ジュニア「新たな種族や職業、武器や防具その他のアイテム、モンスターのデータなんかも加わってきて、キャラクターのヴァリエーションも増えるのがTRPGだと」

 

セイリュウ「それで、ドルイドの話から飛躍して、種々のフィクション・ジャンルの成長と発展の話をしているわけだが、本記事の目的は『獣への変身』について語る予定だった」

ハイラス「どうして、真っ直ぐ語らなかったのでござるか?」

セイリュウ「そなたが『キミとドルイド』なんて妄言を口にしたからではないか!?」

ヒノキ「同じアイドルなら、ゴジュウジャーの百夜陸王の方が獣変身という意味でドルイ道に近いかと思うがのう」

 

獣変身のルールシステムについて

 

セイリュウドルイドはそもそも、呪文、モンスター召喚、モンスター変身の3要素のために、扱うデータ量がD&Dの全クラスの中でもトップクラスの上級者向きクラスと考えられる」

ヒノキ「近年の版では、戦士にも各種特技や技能などが増えて、できることが充実したということじゃが、それでも呪文使いの膨大な呪文には及ばないし、召喚にしても変身にしても、モンスターデータの知識と運用能力を必要とするからのう」

ジュニア「中断して来月で2年になるソード・ワールド記事(魔神ハンター)でも、シロ姉さんのホリーさんは騎獣のイノセントや、ゴーレムのトリッキーとかシーサーなど、自分以外のキャラのデータ管理や操作をしないといけなくて、面白そうな反面、大変そうでしたぁ」

ヒノキ「それだけ運用できるなら、シロもGMをできるじゃろうと言いたいが、ともあれ現在のソード・ワールドではライダー技能やコンジャラー技能のほか、使い魔が持てるソーサラー、妖精召喚のできるフェアリーテイマー、いっしょに呪歌をコーラスできるペットを持てるバードなんかが、自キャラ以外のデータを扱える」

セイリュウソード・ワールドでは兼職が簡単だから、その気になれば、大量の従者を引き連れるプレイも可能だな」

ヒノキ「とは言え、個人で扱えるデータ量にも限界があるじゃろうし、そもそも呪文使いを複数とっても同時に何個も呪文を使うことはできないから、できることの種類が多くても、1ラウンドでできることには限度があるので、無駄になりやすい」

ジュニア「呪文はレベルが上がると、戦闘特技の《ダブルキャスト》で2つの呪文を同時に使えますしぃ、《マルチアクション》で武器攻撃と魔法の同時使用は魔法戦士の定番ですぅ。問題はバードの呪歌で、それを使うと他の呪文も武器攻撃もできないので、他の技能との併用はしにくいのですねぇ」

ハイラス「ソード・ワールドドルイドは、補助動作で使える呪文が充実しているから、他の職業との組み合わせが非常にしやすいと聞いたでござる」

ヒノキ「ソード・ワールドの補助動作は、D&Dのボーナス・アクションと違って、1ラウンドに1回という制限がないからのう。MPさえ尽きないなら、補助動作はいくつも連発できる。基本はエンハンサーの練技や、アルケミストの賦術の重ねがけじゃが、ドルイドの森羅魔法も補助的な便利呪文が大量に揃っておる」

 

ハイラス「それで、ソード・ワールドにはドルイドの獣変身はないのでござるか?」

ヒノキ「そういうのは職業ではなく、リカントの種族特徴の方になるのじゃ。リカントは[獣変貌]で頭部が獣になって、全身の筋肉も増強される。ルール的には、筋力ボーナスが+2される代わり、人の言葉が話せなくなって、神聖魔法以外の呪文が使えなくなる」

ハイラス「神聖魔法が使えるのなら、リカントのプリーストは成立するでござるな」

ヒノキ「今、調べるとドルイドの森羅魔法も、発声は必要だが言語の種類は問わないので、リカント語でも使えるとあった」

ハイラス「おお。それではリカントドルイド戦士は普通に成立するキャラでござるな。ソード・ワールドでD&Dドルイドを再現するには、種族リカント、職業はファイターかグラップラードルイド、レンジャー辺りで、それらしいキャラになりそうでござる」

ヒノキ「ほう。ソード・ワールドなら、お主もルールの話ができるのじゃな」

ハイラス「こう見えて、わしも妖精郷(フェアリーガーデン)のGMを少しばかりした経験があるのでな。D&Dよりは理解しているのでござる」

ジュニア「へえ。ドルイドおじさんも、GM経験がおありなんですかぁ」

セイリュウ「我がこの男の肉体に宿って、多少のサポートをしていたのだがな」

ハイラス「セイリュウ殿が寝てばかりいたから、わしにGMの責務が降りかかって来たのではござらんか」

セイリュウ「おかげで多少はソード・ワールドが語れるようになった。何事も経験あるのみよ。ともあれ、ソード・ワールドの獣人の変身は、データ的には筋力ボーナス+2というシンプルなもの。それゆえに管理がしやすい」

ジュニア「戦闘中のダメージが2点増えるだけですからねぇ」

ヒノキ「練技の【マッスルベアー】と組み合わせると、さらに2点増えてダメージ+4。これでグラップラーの《追加攻撃》と組み合わせると、最初から2回攻撃ができて、両方命中すれば1ラウンドのダメージが合計+8されるから、かなりの破壊力となるのじゃ」

ジュニア「グラップラーの攻撃回数の強さは、マッスル太郎師匠を見ているから分かりますぅ。ファイター技能では、あそこまでの破壊力はなかなか生み出せませんしぃ」

ヒノキ「お前さんのデルニールは、攻撃よりも重装甲による防御力で師匠を《かばう》ことを役割にしつつ、プリーストとの組み合わせで神官戦士としてタフなパーティーの守護神に育成したはず」

セイリュウ「D&D4版でいうところの、防衛役と指揮役の組み合わせだな。ゲンブのマッスル太郎は撃破役で、シロのホリーは対複数相手の制御役になるのか」

 

ヒノキ「さて、ソード・ワールドの話はこれぐらいにして、D&Dに話を戻そう。D&Dドルイドの獣変身は、ソード・ワールドほど簡単ではあるまい」

セイリュウ「何しろ、変身できる獣の種類が多彩だからな。ドルイドは自分のレベルに応じた範囲で、自分が見たことのある獣全てに変身できる、とある」

ハイラス「冒険中に見たことあるって意味でござるか?」

ヒノキ「PHBの記述だけだと、そう解釈することもできようが、ザナサー本でその点の補足ルールが追加された。すなわち、得意地形ごとの変身可能な獣リストが示されたのじゃ」

ハイラス「森だと?」

ヒノキ「初期状態で、狼、ヘラジカ(エルク)、大蜘蛛、巨大アナグマ、大トカゲ、豹(パンサー)、猪と、それより弱い小動物(猫とか、シカとか、ハイエナ、ヒヒ、イタチ、ネズミ、マスティフ犬)などじゃな。水棲生物になれるのはレベル4からで、飛行生物になれるのはレベル8からという制限はあるので、フクロウや大ガエルなんかには初期状態では変身できないが、例えば、海岸近くで育って〈水泳〉技能を習得したドルイドは、最初から水棲生物に変身できても良い、という裁定もありじゃろう」

ハイラス「さすがに最初から飛行生物にはなれないのでござるな」

ヒノキ「最初から飛行可能な種族なら、認めてもいいかもしれんが、その辺はプレイヤーの要望とDMの判断による。ともあれ、初期段階で、〈月の円環〉はブラウンベアになれるが、他のドルイドはクマになれずに狼か豹がバトルにおける妥当な選択肢じゃと思う」

セイリュウ「実プレイでは、変身可能な動物リストと、そのデータをあらかじめ用意しておいた方がいいだろうな。バトルで活用する予定があるなら詳細なデータを、戦闘はせずに偵察用なら簡易データ程度で」

ハイラス「ドルイド用の獣変身シートを自作メモにまとめておくのが、プレイヤーのたしなみでござるな」

ヒノキ「ともあれ、表に載っている最強動物は、極地に生息する脅威度6のマンモス。〈月の円環〉がレベル18で変身可能。通常の象(エレファント)は脅威度4で草原に生息するが、レベル12の月ドルイドが変身可能。他には、恐竜のトリケラトプス(脅威度5)までが表に載っているので、レベル15の月ドルイドなら変身可能じゃ」

ジュニア「ティラノサウルスはダメなんですかぁ?」

ヒノキ「それは脅威度8なので、ルールに従うならレベル24にならないと変身不能。しかし、D&D5版の最大レベルは20と一応、設定されておるからのう」

セイリュウ「4版なら30レベルが最大となっているし、3版(正式には3.5版)だと最大20レベルを超えたエピック・レベルのキャラを運用する指針もDMガイドにはあったりするが、5版は今のところ該当ルールが見当たらん」

ヒノキ「見当たらんどころか、存在しないというのが公式見解だと聞く。D&Dで公式に最大レベルなのは、クラシックD&Dの36レベルを超えたイモータルの世界。すなわち、神の道じゃからのう。もはや通常のファンタジー異世界でプレイヤーキャラとして対応できるものではないのじゃろう」

セイリュウ「日本だと、アリアンロッドの超上級ルールやアルシャードで100レベルキャンペーン・リプレイなんかが発売されたことがあるが、この辺で世界滅亡の危機がクライマックスとなって、新たな版上げ世界改変につながったわけだな」

ジュニア「ゲームシステムの版上げの前に、そのシステムで行える世界最大の危機を描いてみせたわけですねぇ」

ヒノキ「しかし、一度クライマックスを迎えて終わった世界の物語が、もう一度版上げで仕切り直し展開を迎えても、従来どおりの人気を獲得できるとは限らんし、一応、新版を立ち上げてはみたものの、サポートが長続きせずに下火になったのが、アルシャード・セイヴァーとかナイトウィザードじゃのう。まあ、アリアンロッドはまだ継続サポートしているようじゃが」

 

ハイラス「他のゲームシステムにまで話を広げると収拾がつかないでござる」

ヒノキ「ふむ。アリアンロッドにも、地域クラスとしてのドルイドやシャーマンが実装されていて、元ネタがケルト神話MMORPGの組み合わせじゃから、ドルイド話からそちらに踏み込むのも一興なんじゃがのう」

セイリュウ「まあ、神々のレベルまでプレイできるシステムが出たとは言え、年季の入ったゲーマーが興味を持って、そのシステムとサプリを購入したとは言え、実プレイでどこまでも遊べるとは限らんからな」

ヒノキ「コレクターによる比較TRPGシステム学とか、TRPG考古学の域に達しつつあるのかもしれん」

ジュニア「50年経つと戦隊考古学が成立することを考えると、D&Dも去年が50周年ですし、ここでの研鑽記事も考古学に相当するのかも、ですねぇ」

 

獣変身のデータ考察

 

ハイラス「恐竜とか、考古学とかの話はここまでにして、もっと地に足ついたドルイドの話に戻すでござる。そもそも、獣変身の具体的な戦闘力について考察してみるでござる」

セイリュウ「では、〈土地の円環〉が最初に変身したウルフと、〈月の円環〉が最初に変身したブラウンベア、それにレベル2のドルイドの戦闘力を比較してみるか」

ヒノキ「レベル2のドルイドと一口に言っても、能力値によって変わってくるぞ」

セイリュウ「D&D5版の能力値作成を固定値で行うなら、15、14、13、12、10、8を6つの能力値に割り振るという指針があって、15と14はボーナス+2、13と12はボーナス+1として扱われる。ドルイドは【判断力】が最高で、次に【耐久力】が推奨されているので、【判断力】15(+2)、【耐久力】14(+2)にした後、前衛戦闘キャラであることを考慮して、【筋力】13(+1)、【敏捷力】12(+1)という扱いにしよう。【知力】と【魅力】にこだわるプレイヤーもいるかもしれんが、ドルイドの戦闘能力には影響しないので低能力値に切り捨てておこう」

ハイラス「ええと、2レベルだと2D8+【耐久力】ボーナスの+2×2でHPを決めるのでござるな。期待値的には13点でござるか」

セイリュウ「1レベルでは最大HPを許可するというオプションで、1レベル時点で10点。2レベルになると期待値4.5の端数切り捨て+2で6点増えて、HPを16点にした」

ヒノキ「次にACじゃな。ドルイドは非金属の中装鎧と木製盾まで身につけられるから、ハイドアーマー(毛皮鎧)のAC12と盾のAC+2、それに【敏捷力】ボーナス+1をするから、合計ACは15となる」

セイリュウ「金属鎧が許されるなら、中装鎧はブレストプレートのAC14が隠密に不利にならない最高レベルになるので、AC17まで上がるが、ドルイドの場合はAC15ぐらいが妥当だろう。大体、ローグ並みと考えていい」

ヒノキ「後は武器か。ドルイドの持てる武器は、シミターかメイスが許可されていて、どちらも片手用武器でD6ダメージなんじゃな」

セイリュウ「後は、種族が人間だと、全能力値に+1が加わるのだが、これで【筋力】と【敏捷力】を入れ替える意味が出て来るな。戦闘力を考えるなら、【筋力】よりも【敏捷力】が高い方がいいと見たので、こうしておこう」

●レベル2ドルイドの簡易データ

 

【筋】13(+1)、【敏】14(+2)、【耐】15(+2)

【知】11(0)、【判】16(+3)、【魅】9(−1)

 

HP16

AC16(ハイド12+シールド+2+【敏】+2)

武器:シミター(命中+4、ダメージD6+2、期待値5。シミターは妙技武器なので、【筋力】の代わりに【敏捷力】ボーナスを使っていい)

移動速度:30フィート

 

セイリュウ「特技や技能などの細かいデータは割愛して、これだけ決めたら十分だろう。では、ここでウルフ(狼)に変身すると、データはこうなる。増えた能力は青字で、減った能力は赤字にしておいた」

●ウルフ(脅威度1/4)の簡易データ

 

【筋】12(+1)、【敏】15(+2)、【耐】12(+1)

【知】11(0)、【判】16(+3)、【魅】9(−1)

 

HP11

AC13

武器:噛みつき(命中+4、ダメージ2D4+2、期待値7。目標は難易度11の【筋力】セーブを行い、失敗すると伏せ状態(転倒)になる)

移動速度:40フィート

 

ハイラス「攻撃ダメージと移動速度は上がるが、明らかに打たれ弱くなるでござるな」

セイリュウ「一応、ウルフ本来の能力値では、【知力】3、【判断力】13、【魅力】6となっているのだが、そこはドルイド本人の能力を使うことになる。また、ウルフには〈連携戦闘〉という能力があって、味方と接している敵を攻撃する際には攻撃が有利になるので、命中しやすくなる」

ハイラス「群れでの共闘が得意なのでござるな」

セイリュウ「また、ドルイドが習得できない〈隠密〉技能を+4で持つほか、聴覚や嗅覚が発達しているので〈知覚〉判定に有利が得られる」

ジュニア「つまり、隠密調査活動のために狼に変身する意味があるってことですねぇ」

セイリュウ「だがしかし、狼に変身するよりも、パンサー(豹)に変身する方が強いと思われ」

●パンサー(脅威度1/4)の簡易データ

 

【筋】14(+2)、【敏】15(+2)、【耐】10(0)

【知】11(0)、【判】16(+3)、【魅】9(−1)

 

HP13

AC12

武器:噛みつき(命中+4、ダメージ1D6+2、期待値5)

 爪(命中+4、ダメージ1D4+2、期待値4)

移動速度:50フィート

 

ハイラス「パンサーはウルフよりもHPが2高いが、ACは1低い。移動速度は高いが、攻撃力は下がっている?」

セイリュウ「パンサーは〈飛びかかり〉という特殊攻撃があって、20フィート真っ直ぐ移動した後に、爪を命中させると、難易度12の【筋力】セーブに失敗した相手を転倒させる。直後にボーナス・アクションで有利を得て、噛みつき攻撃ができるというコンボ技が特徴」

ハイラス「うまく、爪と噛みつきのコンボが決まると、大ダメージを与えられるのがパンサーだと」

セイリュウ「さらに〈隠密〉も〈知覚〉もパンサーの方が能力が高いうえ、登攀能力にも秀でているので、偵察のために変身するにしても、パンサーの方がウルフよりも優秀なのだ」

 

ハイラス「いずれにせよ、2レベルのドルイドにとっては、これらの獣に変身しても、あまり大きく強くはなれないでござるな」

セイリュウ「しかし、〈月の円環〉だと、2レベルドルイドは脅威度1の獣に変身できる。具体的にはウルフの強化バージョンのダイア・ウルフ(大狼)、パンサーの上位バージョンのネコ科猛獣のタイガー(トラ)、そしてブラウン・ベア(ヒグマ)などだ。それぞれの獣の能力を、今度は個別ではなく、能力別に比較する形で見て行こう」

●脅威度1の獣の能力比較

 

【筋力】:ヒグマ19(+4)、大狼&トラ17(+3)

【敏捷力】:大狼&トラ15(+2)ヒグマ10(0)

【耐久力】:ヒグマ16(+3)、大狼15(+2)、トラ14(+2)

 

HP:大狼&トラ37、ヒグマ34

AC:大狼14、トラ12、ヒグマ11

移動速度:大狼50フィート、ヒグマ40フィート(登攀30フィート)、トラ40フィート

 

攻撃能力:命中はいずれも+5

・ヒグマ:噛みつき8点と爪11点の2回攻撃

・大狼:噛みつき10点。難易度13の【筋力】セーブ失敗による伏せ効果。ウルフと同じ〈連携戦闘〉能力。

・トラ:噛みつき8点か爪7点のいずれか。〈飛びかかり〉による伏せ効果(難易度13の【筋力】セーブに失敗時)爪攻撃に加えて、ボーナス・アクションで噛みつき攻撃をできる。

 

ハイラス「獣のACは毛皮鎧を着た人間よりも低くなるが、HPが元の16に比べると30越えで倍以上に強化されているでござるな。非常に打たれ強くなっているので、戦闘では獣化の一択となろうか」

セイリュウ「〈月の円環〉だと、呪文スロットの使用でボーナス・アクションによるHP回復もできるので、獣として攻撃しながら同時に自分の傷も治すことができるために、HP以上にタフになる。

「さらに、これはドルイドの変身能力全てに言えることだが、小休憩ごとに2回行えて、1つの姿でダメージを受けて回復が追いつかない場合でも、2つめの姿になればHPが完全回復できる。つまり、トラとして戦ってHP30点以上のダメージを受けても、ボーナス・アクションでクマに2回めの変身をすれば、無傷の状態で戦闘を続けることが可能。つまり、ドルイドは自分自身と、2つの獣の3つのHPを有していることになる」

ジュニア「だったら、月ドルイドじゃなくても、自分が大ダメージを受けた際の緊急手段として、獣変身してHPを確保することが可能なんですねぇ」

ヒノキ「しかし、HP11の狼と、HP13の豹ではそれぞれ2、3回殴られたらHPが尽きるじゃろう」

セイリュウ「なお、獣変身時のHPが0になったら、変身が解除されて元の人間に戻る」

ジュニア「変身ヒーローも大ダメージを受けたら、変身が解除されますもんねぇ」

ハイラス「それにしても、〈月の円環〉は30点以上のHPを持つ獣になれるのだから、2つ合わせて一時的HPが60点以上あるようなものでござるな。2レベルでこれだと圧倒的に打たれ強く前線で戦え、ACの低さも問題ないと思えてくる」

セイリュウ「レベル2だと打たれ強いファイターでもHP20点を超えるかどうかだから、そんな状況でHP30点越えの獣として暴れ回れる月ドルイド最強説も飛び出すほどだ。また、クマの強さは常時2回攻撃が可能な点にある。ファイターが常時2回攻撃できるのはレベル5になってからで、レベル2時点で2回攻撃が可能なのは、モンクと二刀流キャラぐらい*3

 

ヒノキ「レベル5のドルイドは、HPも期待値32ぐらいになって、トラやヒグマのHPにも追いついてくる。それからレベル6になると、脅威度2の獣に変身できるようになる、と。で、脅威度2の獣には何がいる?」

セイリュウ「シロクマと、サーベルタイガーと、アロサウルスと、水棲恐竜のプレシオサウルスなどが見られるのう」

ジュニア「恐竜キター」

セイリュウ「細かいデータは割愛するが、その辺のモンスターだとHPが50とか60とかになって、それらに変身する月ドルイドがますますタフになるのだな」

 

ヒノキ「ということで、ただの呪文使いはPHBの呪文リストあれこれ吟味して楽しめばいいのじゃが、ドルイドの場合は呪文リストだけでなく、モンスターマニュアルまでしっかり吟味して、自分が変身したり召喚したりできるモンスターのデータまでチェックしないと、真のドルイ道は堪能できないってことで」

ジュニア「ドルイ道って本当に奥が深いんですねぇ」

(当記事 完。次回はサブクラス話の続き)

*1:しばしば、ぬいぐるみみたいなフワモコ動物の姿をとる。たまに後から成長する赤ん坊だったりすることもある。

*2:そこに至る系譜として、スタジオぴえろの諸作品のスピンオフOVA作品や、85年の『幻夢戦記レダ』や『ドリームハンター麗夢』などバトル美少女の流れを辿ることはできるが、OVAという媒体からして先鋭的で一部マニアックな知名度はあるものの、一般人気を集めたとは言えない。

*3:常時でなければ、〈怒涛のアクション〉という特徴でファイターは小休憩ごとに1回だけ2回攻撃が可能になる。あと、5版のファイターの強さは、唯一、最大4回攻撃が常時可能になる点。もちろん、連続攻撃が得意なのはモンクだが、攻撃回数を2回以上に増やすには気ポイントの消費が必要になる。結果的に、瞬間最大連打数を誇るのがモンクであり、安定して攻撃回数の多いのがファイター、そして月ドルイドは複数回攻撃の獣のデータをあれこれ吟味して与ダメを少しでも高める方法を考えたりするのがゲーマーだと。