キャラ作りの続き
リモートNOVA『さて、スターロードのキャラ作りオンリー記事の続きです』
ヒノキ「前回は、わらわの学者キャラの特徴までを決めた。今回は完成まで漕ぎ着けようと思う」
NOVA『ところで前回、マイナス特徴をレベル100にしたら云々と言ってましたが……』
ヒノキ「あくまで極端な例えじゃ。そんなことをしたら、バランス崩壊するのは分かっておる」
NOVA『補足しておきますと、特徴の最大レベルは6まで、とルールに明記されておりました。マイナスの方も6までですね』
ヒノキ「すると、パーティー4人がマイナス特徴を6レベルまで選んでも、最大で24レベル。3レベルで壊力デッキのカードが1枚増えるというルールじゃから、最大8枚増えて、初期壊力は21枚か」
NOVA『ルールを補足すると、GMが悪役の所業として壊力カードを使用した際に、それらは命力カードとして、プレイヤーの手に渡ります。つまり、悪が暴れるほど、正義側が強化されるというシステムでした』
ヒノキ「敵の悪事を知ったヒーローが怒りを燃やすような動機づけじゃな」
NOVA『トーキョーN◎VA以降、トランプを利用したTRPGシステムが作られるようにもなり、折りしも90年代半ば以降は日本も爆発的なトレカブームで、カードデッキ(デック)という用語が浸透し、本作でも普通に使われている、と。ルール用語では、壊力デックですが、デッキという表記の方が一般的なので、本記事ではデッキと記述するようにします』
ヒノキ「改めて用法をネットでチェックすると、伝統的なトランプ用語ではデックと呼ばれ、トレカのゲームではデッキが主流らしい」
NOVA『英語のdeckをどうしてデッキと読むようになったか、と昔から気にしてはいたのですが、実はオランダ語のdekがデッキと発音して、先にそちらの読み方が日本で浸透したためみたいです。元々は「屋根などの覆い」という意味合いで、船の甲板(船上では床ではあるが、階下の船室にとっては屋根になる)を指すわけですが、そこから派生して、トランプの「裏返された山札」を指し、さらに派生して「一組のカードの集まり、プレイヤーが構築したゲーム用のカードセット」を意味するようになった、と』
ヒノキ「英語にこだわるならデックというのが正解だが、外来語としては先にオランダ語のデッキが浸透したから、別にデッキが間違いではないということじゃな」
NOVA『ケーキやステーキが、原語の正しい発音のケイクやステイクから変わったのとは少し違うわけですな。まあ、スティック(棒)がステッキ(杖)に変わるほどの和製英語の発音変化はなかなか面白いですが』
ヒノキ「日本語としては、スティックとステッキはもはや違うイメージじゃろう。魔法少女の杖は、何ちゃらステッキであって、それを何ちゃらスティックとは言わんのではないか」
NOVA『杖を表す用語が、D&Dではワンド、ロッド、スタッフの3種類あって、それぞれサイズの違いで区分けするのですが、訳語にいろいろ困っている感じでしたね。スタッフは長杖って感じで、歩行杖としても、両手持ちの武器としても扱えますが、ワンドとロッドの違いが今だにこんがらがる時がある』
ヒノキ「ワンドが30センチ以内で短刀サイズ、ロッドが30〜80センチほどで普通の剣みたいな長さとイメージすればよかろう」
NOVA『教師が黒板を指す指示棒みたいなのがワンドで、普通にカバンに入りそうですな。ロッドは折り畳み傘を伸ばすと、再現できそうです。他に杖だと、ケイン(歩行杖)とかセプター(王笏)とかありますが、さておき』
ヒノキ「スターロードに話を戻さねばの」
NOVA『ところで、スターロードの用語でもう一つ。我々は冒険者のチームを表す用語で、しばしばパーティーと言っていますが、スターロードでは「スコード」という言葉も使われますね。なかなか浸透しない言葉ですが』
ヒノキ「10人未満の小チームで、分隊と訳すんじゃったか」
NOVA『英語表記がsquadで、アメリカではスカッドと読み、スコード読みはイギリス英語なんですな。俺は今、調べるまでスコードとスカッドが同じだとは気付きませんでした。squadをずっとスカッドと読んでいて、小隊という意味だと認識してはいたんですが』
ヒノキ「正確には、小隊は分隊がいくつか集まってできたもので、人数は10〜50人程度らしい」
NOVA『小隊のイメージは、MSなどの機動メカが3〜4機ぐらいって感じですが、実際の軍隊用語だと、小隊のイメージは学校の1クラス程度で、それを班分けしたのが分隊になりますか』
ヒノキ「小隊は『士官が指揮する最小の単位』で、学校で言えば、担任教師が士官に相当すると言えようか。分隊だと、士官が仕切るのではなくて、現場の叩き上げの軍曹なんかがまとめる形」
NOVA『機動メカの場合は、アニメだとパイロット単位で考えがちですが、MS1機を運用するのに、交代要員や整備要員を考え合わせると、リアルでは5人ぐらいは必要かもしれませんね。それが3〜4機だと10人以上は明らかなので、バックアップ要員も含めて小隊ということなら納得です』
ヒノキ「リアルだと、戦車1台を動かすのに3〜4名は必要と言われていて、陸上兵器を3〜4台運用しようと思えば、整備要員は別としても、やはり10人以上となるじゃろうな。まあ、陸海空のどの組織に視点を当てるかで、小隊の運用イメージも変わって来るのやも知れん」
NOVA『ロボットアニメをベースに考えると、複数パイロットは大型の合体メカ(いわゆるスーパーロボット)の特徴で、普通は1機体1搭乗員と考えがちですが、それは空軍イメージで、陸軍や海軍だと1つの兵器に複数が乗り込むのは当たり前、と』
ヒノキ「現在のリアル航空兵器だと、各種兵装やレーダーなどはコンピューターで自動制御が進んだから、単座型でも問題なく運用可能。それ以前だと、戦闘機も複座の役割分担が必要になっていて、パイロット1人で何でもこなせたのは20世紀前半まで。第2次大戦後に機体に搭載されるレーダー機器が発展すると、操縦以外の索敵要員が必要になり、機体性能をフルに発揮するには複座機が主軸と考えられた時期があって(20世紀後半)、その後は、コンピューターの発展で、また単座型が主流になって来たのが平成以降、と見られる」
NOVA『近代兵器の知識と、近未来SF知識が割と混同しがちなので、俺みたいなミリタリー素人は時々、整理しないといけませんな。つまり、ガンダムみたいなMSもある程度はコンピューターが制御してくれるから、パイロット一人で問題ない。だけど、当時(80年前後)の時代背景で、より現状に則してリアルなのは、ドライバーと砲手が2人で操縦するガンタンクの方だった、と』
ヒノキ「やはり、ミリタリー兵器のリアルさをフィクションで再現するなら、パイロットをアシストするサポートAIが必要となり、スターウォーズのR2ユニットがXウイングの操縦を助け、80年代はレイズナーのレイや、90年代はガンダムでもハロなどがサポートするとリアルさを感じたりもする」
NOVA『って、ずいぶん前置きが長くなりましたな』
ヒノキ「いつものことじゃから、わらわはもう慣れた。では、改めて本番に移るのじゃ」
能力値の決定
NOVA『能力値は、体力、器用、敏捷、知性、意志の5種類に、13点から15点を自由に割り振って決めます。エッセンスが2個であれば14点、3個であれば13点を割り振れますね』
ヒノキ「旧スペオペの運がなくなって、意志になった。サイズは?」
NOVA『ありますが、他の能力と違って、割り振りは行いません。身長1メートル以下がサイズ1、2メートル以下がサイズ2で、2メートル越えの巨漢キャラを演じる場合のみサイズ3を使いますね。プレイヤーキャラでは、サイズ4以上を使いません』
ヒノキ「旧スペオペだと、通常キャラがサイズ1で、巨漢がサイズ2じゃったが、1段階ズレたんじゃな」
NOVA『1メートルより小さい背丈の子どもや、マスコットロボをプレイヤーキャラに使えるようになった形ですね。ウィザードで〔シップブレイン〕の特徴を習得すれば、人間とは異なる船そのものをプレイヤーキャラにできます。その上で、対外活動用のホログラフやロボボディを用意することも可能、と』
ヒノキ「船そのものがキャラとは面白いが、ロボに応用すれば、勇者ロボなんかもプレイできそうじゃな」
NOVA『他には、ウィザードだとアシスタント用のロボを持つことも可能』
ヒノキ「ロボは持てるが、生き物のペットを持てる特徴はないんじゃな」
NOVA『データ化されてはいないけど、キャラの演出の一環として設定してもいいかも。キャプテン・ハーロックのトリさんとか、ナウシカのテトとか、特に何かの役に立ったという様子はないけど、キャラ立ちはしている』
ヒノキ「まあ、最初からペットを設定してもいいが、シナリオ途中でペットを拾うような展開もありじゃろう。じっさい、〈フェニックス・コード〉の石板から何らかの精霊キャラが現出する可能性も想定しておるが、今は初期設定でペットにこだわる必要もない。ただ、もしもサプリメントがあれば、ペットのデータも付いて来た可能性が考えられような」
NOVA『話を戻して、能力値の割り振りルールですが、1〜6の範囲でご自由に』
ヒノキ「5種類の能力に最低1は割り振らねばならぬのなら、実質的に自由になるポイントは9点じゃな。《体力》を使うつもりは全くないから1のままにしておいて、研究開発の道には《知性》と《器用》が重要とみた」
NOVA『あと、交渉や情報収集には《意志》が必要ですね』
ヒノキ「ならば、その2つに3点ずつ割り振ると、《敏捷》が1になってしまう。鈍くさいのはイヤじゃから、《敏捷》は2で《器用》は3。で、《知性》と《意志》が4というぐらいじゃな」
NOVA『《敏捷》が低いと、アクションポイント的に不利になるので、《敏捷》は3以上を推奨します』
ヒノキ「むっ。ならば、《敏捷》を3にして、《意志》を3に削るか。何だか平均的な能力値になったが」
《体力》1、《器用》3、《敏捷》3、《知性》4、《意志》3、《サイズ》2
NOVA『能力値が決まると、サブ能力値が自動的に決まります』
・アクションポイント:キャラクターの行動回数、1ラウンドに振れるダイスの数を表す。
《体力》+《敏捷》×2−《サイズ》で、5ポイント
・耐ショック値:気絶するまでに受けられるダメージ。いわゆるHPに相当するが、本作の場合は、軽傷→重傷→瀕死→死亡の段階で負傷は処理されるので、数字によるダメージ処理は気絶の有無にのみ関わってくる。そして、戦闘が終われば、負傷以外のダメージは全回復するという仕様。
10+《体力》+《サイズ》で13
・耐久値:ダメージを減少させる数字。他のゲームにおける防護点や装甲値に該当する。
《体力》+《サイズ》×2+アーマーなどの修正値で、ヒノキのキャラの基本耐久値は5
ヒノキ「やはり、前衛を務めるには《体力》が必要ということがよく分かる。《体力》1で前線に出ると、ダメージも減らせぬし、すぐにショックで気を失うので、わらわは後方支援に専念する方が良いということじゃな」
NOVA『分かりきってることですけどね。そのために護衛役の三獣士がいるわけだし』
追加技能の決定
NOVA『では、次に追加技能ですが、14レベル分を好きに割り振って下さい。初期技能を高めてもいいですが、最大は6レベルまで』
ヒノキ「とにかく、打たれ弱いキャラじゃから、せめて〈回避〉は上げておかねばの。〈回避〉3レベルじゃ」
NOVA『すると、対応能力値の《敏捷》3と足し合わせて、〈回避〉の技能値は6になります。技能値は6が「仕事にするうえでの最低ライン」ですね』
ヒノキ「能力値1で、技能レベルが1じゃと役には立たんのう」
NOVA『技能値3で「まあ、使えなくもない」って段階ですね。技能値8なら「才能のある人がきちんと訓練を受けた」という目安で、プロフェッショナルを名乗るのはそれぐらいでしょうか』
ヒノキ「つまり、《知性》4のわらわの教授は、専門分野で4レベル欲しいと。ならば、〈宇宙船〉〈コンピュータ〉〈メカトロニクス〉をそれぞれ2レベル上げて、4レベルにした。これで9ポイント使って、残り5レベル分か。一応、護身用に〈エネルギー火器〉1レベルと、メカ搭載の〈砲門〉1レベル、〈車両〉1レベル。あとは〈学問(宇宙考古学)〉2レベルを持っておこう。古代のオーパーツに詳しいとかじゃな」
NOVA『ここまでをまとめると、こんな感じでしょうか』
★ヒノキ・アリナ
・スタイル[不死鳥の探求者]
・エッセンス:ウィザード、ロード
・能力値:《体力》1、《器用》3、《敏捷》3、《知性》4、《意志》3、《サイズ》2
・AP値:5
・耐ショック値:13
・基本耐久値:5
・技能
〈宇宙船〉4レベル(+《器用》3)=7
〈コンピュータ〉4レベル(+《知性》4)=8
〈メカトロニクス〉4レベル(+《知性》4)=8
〈情報〉2レベル(+《意志》3)=5
〈発見〉2レベル(+《知性》4)=6
〈社交〉2レベル(+《意志》3)=5
〈交渉〉2レベル(+《意志》3)=5
〈意志力〉2レベル(+《意志》3)=5
〈回避〉3レベル(+《敏捷》3)=6
〈エネルギー火器〉1レベル(+《器用》3)=4
〈砲門〉1レベル(+《器用》3)=4
〈車両〉1レベル(+《器用》3)=4
〈学問(宇宙考古学)〉2レベル(+《知性》4)=6
●特徴
・スペースシップ:4レベル(高機動試作型宇宙船コメット・ルージュの持ち主)
・カリスマ:1レベル(交渉ダイス+1個)
・統合科学者:2レベル(あらゆる学問技能にダイス+2個)
・ボマー:2レベル(部屋1つまでを吹っ飛ばせる爆弾を携帯)
・資産家:1レベル(100万クレジットの小遣い)
・アストロノーツ:1レベル(あらゆる操縦・技術にダイス+1個)
・狙われたアイテム:−6レベル(神秘的な発掘石板〈フェニックス・コード〉)
ヒノキ「技能値6と技能値8の差が結構、大きいように思うのう」
NOVA『作りたてのキャラでは、一番得意な能力が技能値8から10になる感じですね。技能値10にしようと思えば、能力値も5が必要ですし。とりあえず、6あれば駆け出しながらもプロと名乗れて(アマチュアとは一線を画す)、8以上はプロの中でも一流のプロと言える感じでしょうか』
ヒノキ「4や5は?」
NOVA『4は、それが専門とは言えない。素人にしてはなかなかやるなレベル。5だとプロ一歩手前のセミプロレベル? 現実の仕事だと、アルバイトで経験ありとか、見習い程度じゃないかな。その世界は知っているし、アシスタントぐらいなら務まるけど、独り立ちをするのは覚束ないレベル』
ヒノキ「アシスタントとプロの違いは、失敗したときに尻拭いしてくれる責任者が上にいるか、それとも自分が責任をとるという意味をしっかり分かっているか、の差かもしれん。責任をとる=その責任の取り方で信用を勝ちとるということじゃから、責任放棄を繰り返す輩には仕事は任せられんというのが、リアルの社会になるのう」
装備品と所持金
NOVA『技能の意味づけはこれぐらいにして、装備品です。まずは武器2個をもらっていいです』
ヒノキ「〈エネルギー火器〉のリストから選ぶと、物理ダメージを与えるソニックライフルと、携帯しやすい光学ダメージ銃のプラズマガンが良さそうじゃ」
NOVA『銃器系は、レーザー系、ブラスター系、プラズマ系、ソニック系の4系統に分かれて、ハンドガンタイプとライフルタイプの2サイズにも分かれて、全部で8種類。レーザーは連射しやすい光線銃で、ブラスターは威力大だけど連射性能に劣る熱線銃。プラズマは連射性能劣悪の高威力武器ですな』
ヒノキ「わらわのキャラはアクションポイントが少なめなので、連射性能を有効活用しにくい。ならば、一撃必殺の高威力に賭ける方が有効と見た」
NOVA『上手く命中すればいいのですけどね』
ヒノキ「いざとなれば命力を使えばいいゲームじゃろうし、そもそも戦闘重視で作られたキャラではない。知識関連と交渉、情報収集と資金提供がこのキャラの本文ゆえ、戦闘要員は三獣士に任せるのじゃ」
NOVA『では次。好きなアーマーを1つ選べます』
ヒノキ「アーマーは物理装甲と光学装甲にデータが分かれておるのじゃな。無難なのは、どちらの装甲も同じ2点のミリタリースーツ(軍用汎用宇宙服)じゃと思う。データを見ると、物理特化と光学特化のものもあるが、地上部隊は物理重視で、宇宙部隊は光学重視の傾向があるようじゃのう」
NOVA『ガンダムなどで設定を考えると、宇宙では物理兵器の反動が大きくて、光学兵器の方が命中率が高い。だからビームとかが武装の主流になる。一方で、地上では光学兵器の大気による減衰があって、宇宙よりもビームの威力が弱くなりがちなので、物理武器の方が主流になる。よって、装甲の方も戦場に合わせて対応する形でしょうか』
ヒノキ「この辺の装備データに反映された世界観というのも、細かく考えると面白いが、物理装甲と光学装甲の違いをいちいち考えるのが面倒だというプレイヤーには、ミリタリースーツが楽でいいぞ、と。これで、わらわの耐久値は5+2=7(物理、光学どちらも)と表せる」
NOVA『他には、通信手段であるコミュニケーター(音声および映像通信が可能)と、ショックダメージを10点減らせるヒールパッチ3つが与えられます』
ヒノキ「通信手段じゃが、スマホはないのか?」
NOVA『スマホは、2007年以降のアイテムですからね。このゲームは90年代のSFゲームでして、スマホが世に出る以前の作品です。一応、アイテムデータにはSFっぽく、携帯用小型コンピューターもあるにはあるけど、お値段が80万クレジットと妙に高い。なお、通信機は1万クレジットで買えます。1クレジットは1円換算ですね』
ヒノキ「つまり、データ容量の低いガラケーは1万円で買えるが、小型コンピューター的な携帯端末のスマホっぽい何かが80万円もするのか。旧世紀のSFは、コンピューター関連のアイテムデータがどうしようもなく古臭いとは聞いていたが、今、改めて実感したわ」
NOVA『SFゲームの欠点は、現実の科学の発展に対して、どうしてもアイテムデータが古びてしまうという点ですね。現実がSFを越えたことが、古い作品をチェックすると分かります。今どきの中高生が持つ携帯機器の方が、旧世紀(わずか30年ほど前)の未来SFに登場する夢の通信装置よりも高機能というのがリアルなんですな』
ヒノキ「まあ、スマホなんかは通信回線やネットワークがうまく機能している社会があってのことじゃから、危険の多いSF世界だと、ネット環境の断絶とか、電波の届かない状況を上手く利用して、物語を構築するのが現代作家の嗜みじゃがな」
NOVA『あとは、初期所持金をサイコロ1個×5万クレジットで決めます』
ヒノキ「キャラ作りにサイコロを振るのは、ここだけじゃな。(コロコロ)5が出たので25万クレジット。これじゃあ、スマホも買えん」
NOVA『今なら普通に買える時代ですけどね。そして、このキャラは〔資産家〕1レベルだから、毎シナリオで100万クレジットが自由に使える小遣いとして支給されます。アイテムを除く現金総資産は、その10倍が目安みたいですが』
ヒノキ「つまり、普通のキャラが5万〜30万クレジットで始めるのに対し、〔資産家〕は軽く100万クレジット以上を持って始められる、と。これでスマホも買える」
NOVA『80万円のスマホって、どんなやねん、とツッコミどころですが、おそらくアイテムの携帯電脳はスマホというよりは「超高性能ノートパソコン」って感じだと思います。敵基地のコンピューターのハッキングも、これ1台あれば可能とか』
ヒノキ「125万クレジットから、80万クレジットを減らして、軍隊の研究機関が使うようなスーパーノートパソコンをゲットした、ということでいいんじゃな」
NOVA『まあ、この世界は一度、銀河を広範囲に渡って支配した銀河連合が崩壊して、多くの超科学技術が失われたりもしたという設定なので、宇宙船とかの技術に比べて、コンピューターや通信関連の技術が一気に退化して、再構築中ということなんでしょうね』
ヒノキ「新たな世界を構築するに当たって、一度、世界崩壊というリセットボタンを押してから、生き残った文明の遺産に基づいて、世界を再建するという方法論が架空世界の作成の定番なんじゃな」
NOVA『現在には残されていないけど、失われた文明の遺産を発掘するというのは、冒険のテーマにもなりますしね。先史文明の遺産が世界を変える力を持っていて、それを巡る敵味方の攻防戦というのは冒険物語の定番でしょう』
ヒノキ「ファンタジーしかり、SFしかり、ホラーしかり、古代遺跡に眠る何かが復活して世界を揺るがすという物語設定か」
NOVA『それに対するのが、それまで世界になかった新発見や新発明を巡る争奪戦ですが、世界を変える画期的な古いもの(失われたもの)、もしくは画期的な新しいものを設定するのが、冒険ストーリーの骨子かな』
ヒノキ「要は、過去でも未来でも、現代には普通にないものこそが、お宝たり得る、と」
NOVA『だから、30年前のゲームを今の視点で見ながら、当時の時代背景とか、現代に受け継がれるシステムや世界観(アイテムデータ含む)をあれこれ考えるのも、ゲーム史の観点では面白いと思ってるわけですが』
ヒノキ「まあいい。何はともあれ、わらわのキャラのアイテムリストはこんな感じで締めくくるとしよう」
★[不死鳥の探求者](ヒノキ)の所持アイテム
●武器
・プラズマガン:〈E火器〉技能対応(命中値4)、光学ダメージ8、射撃レート3
・ソニックライフル:〈E火器〉技能対応(サイズ修正ー1で、命中値3)、物理ダメージ12、射撃レート4、スタンダメージ
●アーマー
・ミリタリースーツ(物理・光学ともに5+2=7)
●その他
・コミュニケーター(通信器)
・ヒールパッチ(ショック10回復)×3
・携帯電脳
・所持金:45万クレジット(口座1250万ー80万クレジット)
ヒノキ「あとは、キャラクター名とかいろいろ背景情報を決めて、完成じゃな。コードネームは、プロフェッサーで名前はインディアナ・ジョーンズ博士にちなんで、ジェーン・ディアナ。プロフェッサーDとか、JD教授とも呼ばれる。年齢は……永遠の20代、という風にしておこう。元は、星系連合の宇宙海軍研究開発部門に所属。兵器開発に協力する一方、遺跡調査に派遣されたりもしていたが、〈フェニックス・コード〉にまつわる事件で、試作型高機動宇宙船コメット・ルージュを奪取して、逃亡した経歴がある」
NOVA『軍の脱走者は罪が重いですよ』
ヒノキ「それもこれも、軍内部に潜伏していたダークサイドの仕業なのじゃ。しかし、ダークサイドの陰謀を明るみに出すことに成功し、かつての研究仲間だった良心的な軍高官の助力もあって、罪は免除されて、その代わり〈フェニックス・コード〉の特別研究班を任されることになった。定期的に〈フェニックス・コード〉の研究データを報告する代わりに、独立チームとしての自由行動が認められて、口座凍結などの処置も解除された。犯罪者の汚名は払拭されたのじゃ」
NOVA『アウトローではない、と』
ヒノキ「一応、肩書きは軍属の外部研究機関となっている。しかし、軍から給料は出ておらん。あくまで研究データの提出に伴う特別情報料という形で、お金は振り込まれる。それ以外には民間企業として、〈フェニックス・コード〉の導きに乗る形で、トラブルバスター業を営んでいる形じゃな。どうも、〈フェニックス・コード〉の研究を続けると、ダークサイドの事件に関わらざるを得なくなるので、軍も厄介な研究はこちらに丸投げして、研究成果だけ収集する方が得だと考えているらしい。もちろん、そう判断せざるを得ない程度の情報操作はしておるがな」
NOVA『〈フェニックス・コード〉が単にトラブル発見機能を持っているのか、それともトラブルを誘引する不幸の元凶なのか、現状ではどちらとも解釈できるので、今後のさらなる研究解明が必要と考えられる……と報告書の最後に載せるのですな』
ヒノキ「軍が出動するほどの大規模な事件には発展していないが、放置しておくと、そうなりかねないトラブルの芽を事前に摘んでいるかのように、報告書にまとめている。じっさいに、そんな感じなのじゃが、小規模の専門チームだからこそフットワークも軽く解決できるトラブルも宇宙にはいっぱいあるからのう」
NOVA『そうでなければ、スペオペゲームの世界観は成立しません。つまり、軍が公式に認めた半官半民のトラブル解決チームということですな』
ヒノキ「近年だと、民間軍事企業みたいな傭兵部隊が便利っぽいが、わらわのイメージは政府機関とのコネがある冒険教授とか、警察の捜査を協力する私立探偵とかになる。物語構造は、おおよそこんな感じじゃ」
①〈フェニックス・コード〉が導く
②コードが反応したことを軍に報告して、調査のために現地に向かうことを連絡する
③現地の公式情報は軍から伝達してもらい、軍の関知できていない詳細を現地で調べる
④トラブルの元凶が判明して、頑張って解決する
⑤助けられた民間からの感謝を得つつ、軍に事後報告をして、事件規模に応じた報酬を得る。めでたしめでたし
NOVA『そこまでイメージができているなら、ヒノキ姐さんが自分でシナリオを作ればいいのに』
ヒノキ「自分でシナリオを作って、自分がプレイヤーとして楽しめるなら、そうしておる。しかし、自作自演じゃTRPGはなかなか楽しめないものなのじゃ」
NOVA『まあ、ランダムでイベントが発生して、GMなしでも気心の知れたプレイヤーだけでストーリー構築できるシステムが21世紀に発展しましたからね。ダイスやカードで大筋を作るシナリオジェネレーターとか、ランダムシナリオテンプレートとか』
ヒノキ「ともあれ、チーム、いやスコードオーナーとしてのプロフェッサーJDの設定はここまでじゃ。あとは、わらわの部下となるスコードメンバー3人を作成して、冒険のイメージだけでも描くとしよう」
(当記事 完)