2023年、初プレイ
ヒノキ「今回は久々の魔神ハンターなのじゃ」
ゲンブ「前回は12月の頭でござったな」
シロ「サッカーのワールドカップで盛り上がったのも、遠い昔のことに思えますね」
リトル「前のプレイがどんな話だったか、復習が欲しいですぅ」
ヒノキ「うむ。お主たちは深層階のバルカン族の女王に会うために、城の門番から『裏切り者の討伐ミッション』を引き受けたのじゃったな。裏切り者のバルバナは、バルカン族の宝である〈ボルケーノスタッフ〉を盗み出し、さらに上層階の【騎獣調教所】から飛竜(ワイバーン)を強奪した挙句、人族の集落を襲撃しておった。それを倒したところまでが前回の話じゃ」
ゲンブ「せめて、ミッション達成報告まで済ませてから年越しすれば良かったものを」
ヒノキ「それを言うな。作者も年末でいろいろとバタバタして忙しかったのじゃろう」
シロ「ゲームブック脳だったり、水木一郎さんが亡くなったり、保護者懇談だったり、冬の講習だったり、いろいろですね」
ヒノキ「そして、魔神ハンターも最終章に向けて、クライマックスの盛り上がりをどう演出するか、機が熟するのを待っていたらしい」
リトル「次回作は『飛竜烈火団』というタイトルで、ミストキャッスルとミストグレイヴの接続プレイに流れる予定ですねぇ。だから、前回は飛竜を登場させて、いよいよ飛竜をゲットする布石が立ったのでしたぁ」
シロ「だけど、ドンブラの次回作は王様と虫がテーマで、王様はとにかく、虫成分をどう反映させるか検討中みたいですねぇ」
ヒノキ「と言うか、ソード・ワールドと虫は相性が良くないじゃろう。虫系の種族もおらんし」
ゲンブ「獣人はいても、虫人はいないのでござるな。ゴブリンスレイヤーと違って」
ヒノキ「一番、虫の要素を持った異種族だと、蛮族側にサソリの下半身を持ったアンドロスコーピオンがいるぐらいじゃのう」
リトル「あとは、虫の羽を持った妖精ぐらいですかねぇ」
ゲンブ「練技の【ビートルスキン】や、ドルイドの使う森羅魔法の一部に虫関係の名前が見られるでござるが」
ヒノキ「とは言え、SW2.5の虫率は決して高くない。モンスターじゃと、大アリに相当するパープルアントがレベル2とか、水蜘蛛のダークスイーパーがレベル5じゃが……」
シロ「基本の虫型モンスターは2.0時代の方が充実していますね。蜂(キラービー)も、ムカデ(ジャイアントセンチピード)も、蜘蛛(ジャイアントスパイダー、ジャイアントタランチュラ)も、アリジゴク(ヒュージアントライオン)も、カブト虫(ジャイアントビートル)も、昔のモンスター本の『バルバロステイルズ』に収録されています」
ヒノキ「今のモンスター本は、『モンストラスロア』と『バトルマスタリー』の2作じゃが、旧作にあって新作にない物も結構あるので、とりわけ虫系モンスターを愛する者は旧作サプリを処分できないのう」
シロ「とにかく、虫の話は置いておいて、今はタイトル通り、女王さまに会いに行きましょう。王様関係だったら、ファンタジーしていたら普通に話に絡めることができますし」
リトル「それに、飛竜だったらトンボにもつなげられますよぉ。ドラゴンフライ=空飛ぶ竜ですしぃ」
ゲンブ「そういう名前のモンスターもウィザードリィにはいたでござるな。火炎の息を吐くトンボモンスターの群れが」
ヒノキ「ドラクエにもな」
ヒノキ「ドラゴンならぬリザードフライは、ソード・ワールドでもレベル4モンスターとして登場しておるが、単に羽根の生えたトカゲで、火を吐くわけでもなく、大した脅威とも言えんのう」
飛竜の回収
ヒノキ→GM「では、改めてプレイ開始じゃ。お主たちはバルバナとの戦いの後、ケンタウロス・タクシーに乗って【騎獣調教所】に戻ってきた。48日めの夕刻の話じゃ」
シロ→ホリー「フーララバラお姉さまに、謹んで捕獲したワイバーンを返却するぞ」
フーララバラ『ご苦労だったな、烈火団のみんな。今回は世話をかけた。ところで、バルカン族の地上進出の野望をお前たちはどう考えている?』
ゲンブ→G太郎「その噂が本当かどうか、女王に直接会って確かめねばなるまい。あくまで一部の跳ねっ返りが勝手に暴走しているのであれば、女王に罪はない。もしも女王自らが率先して、ミストグレイヴの秩序を乱そうということであれば、翠将陛下のご沙汰を聞いた上で、討伐されることとなろうな」
フーララバラ『ほう、これは驚いた。烈火団は翠将の命令で動いているのか? 自由を愛する商業同盟だと聞いていたが?』
G太郎「魔窟コンビニを経営するに当たって、魔窟総監のギルギダッシュ殿の世話になっているでござるからな。ギルギダッシュ殿は翠将に仕える身。ならば、直接ではなくとも、この度の仕事は翠将の命によると考えてよいのでは? その方が利になることでもあるし」
フーララバラ『確かにな。このミストグレイヴで、あえて翠将の敵に回るのは愚かなことだが……』
G太郎「翠将に対して、何やら含むことでもおありか?」
フーララバラ『いや、別に異を唱えるわけではないが、このミストグレイヴ、そして地上のミストキャッスルの長として、ただ君臨しているだけの現状が、どうにも歯痒くてな』
リトル→デル「歯痒いってのは、どういうことだぁ?」
フーララバラ『翠将ほどの力量があるなら、ただの一都市の主人に留まらず、もっと人族の国に対して戦を仕掛けて、周辺諸国を支配するだけの動きを期待しているんだがな』
ホリー「フーララバラお姉さまは、地上の人族を攻めろ、と?」
フーララバラ『当然だろう? それがバルバロスの心意気ってもの。戦に生き、戦の中で散るのが武人としての誉れと考える。翠将がそういう動きを見せないのだから、バルカン族が反抗を示すのも分からなくはないって話だ』
ホリー「つまり、お姉さまは戦いを望んでらっしゃる?」
GM「トロールとはそういう種族じゃな。フーララバラ自身、戦神ダルクレムの神官戦士でもあるし、平和主義というわけではない」
ホリー「でも、戦いの中で騎獣が死んだりしたら、哀しいでしょう?」
フーララバラ『それはそうだ。愛剣が折れたら哀しむのと変わりない。騎獣も剣も戦の道具なれば、普段からきちんと手入れして、いざという時には共に戦場を駆け抜け、勝利の栄光を共に味わうことが騎士の道。そうではないのか?』
ホリー「それはそうですが……ボクはイノセントをただの戦いの道具とは考えたくありません」
フーララバラ『騎手が騎獣に愛情を注ぐのは結構だが、いたずらに過保護に考えるのもどうかと思うな。厳しく鍛えることを怠れば、戦場では生き残れない。そしてイノセントも今より強くなることを望んでいる。そう、うちに秘めたる竜族の血、ドラゴオックスからさらに覚醒進化する時も近いのではないか?』
ホリー「覚醒進化ですか。確かに、イノセントを強く鍛えるのはボクの夢」
フーララバラ『強く鍛えるのは何のためだ? 敵と戦うためではないのか?』
デル「だったら、相手は人族ではなく、魔神であるべきでさぁ。弱い人族を蹂躙するだけの戦争よりも、強大な魔神を倒すことこそ、武人の誉れだって、オラは考えるぞぉ」
フーララバラ『ああ、敵は外にではなく、内にいるのかも知れんな。魔窟の奥に潜む魔神やら、地下に眠る強大な何者か……それこそが翠将が戦争に動かない理由かもしれん』
G太郎「地下に眠る何か……フーララバラ殿もご存知か?」
フーララバラ『直接聞いたわけじゃない。地下都市に時々、流れる都市伝説の類よ。地下には伝説の巨神の力が眠っていて、その封印が解けて目覚めしとき、世界が滅びるとな。荒唐無稽の話だが、それが真実であるなら、翠将はその目覚めに備えて、力を蓄えているという話も聞く。まあ、翠将の親衛隊にでもなれば、直接聞けるんじゃないか? お前たちなら、もしかすると翠将の真意にも到達できるやも知れん』
ホリー「そのために、もっと強くなれってことですね。期待には応えてみたいと思います」
フーララバラ『時が来てイノセントの覚醒進化の儀式が必要なら、また来てくれ』
ホリー「ええ。近い将来、お世話になります」
女王との対面
【騎獣調教所】を後にした烈火団一行は、48日めの夜に本部に到着し、休息をとって心身ともに回復した後、翌日にケンタウロス・タクシーで上層階を一気に駆け抜け、そのまま【愚か者の扉】から深層階に突入。49日めの昼に【溶岩湖の宮殿】に到達した。
G太郎「また、簡単に帰って来れたでござるな」
GM「道中のランダムイベントを丸ごと省略したからのう。ミッション攻略途中ならいざ知らず、ミッション達成報告に来るのに、わざわざ余計なイベントで手間暇かけても面白くはない。つまらない作業に時間を費やしても、興が削がれるだけじゃ」
ホリー「それでは、これでバルカンの女王さまに対面できるんですねえ」
デル「ホリー姉さんは嬉しそうだなぁ」
ホリー「そりゃあ、高貴な身分の女性に対面できるのは、騎士として名誉なこと。花婿にだってなってもいい。ここは水星みたいにお堅くないからな」
デル「今そのネタをやると、血に濡れた手を差し伸べて、『人殺し』と悲鳴を上げられるのがオチだと思うがぁ」
G太郎「蛮族の世界で生きるのに、『人殺し』ぐらいで怯えていては、やっていけないでござる」
ホリー「と言うか、ヒロイックファンタジーの世界で冒険者をやって行くなら、人の死ぐらいで正気度判定を行うような演出をされても困る、と」
GM「ゲーム世界の倫理観の話はさておき、お主たちは【溶岩湖の宮殿】前で門番をしているバーンザームに、〈ボルケーノスタッフ〉を渡した。すると、バーンザームはお主らに感謝の言葉を述べ、スタッフ(杖)の力で溶岩湖に道を開いてくれる。これにてミッション達成の★2つと、『バイラヤーナの客人』の称号(名誉点20)と、〈黒魔熔鉄鉱〉5つを進呈しよう。以降は【溶岩湖の宮殿】に顔パスで入ることができるようになった」
G太郎「もう一つのミッション『バルカンの女王の真意を確かめろ』があるでござるからな。女王バイラヤーナとの面会を申し出るでござる」
GM「門番のバーンザームは快く応じ、黄金に輝く宮殿の中まで案内してくれる。そして一際、豪勢に飾られた広間にまで到達すると、その玉座に『炎魔の女王バイラヤーナ』が悠然と座していて、お主たちに話しかけて来た」
バイラヤーナ『あなたたちが噂に名高い烈火団ですね。この度の働きはご苦労さまでした。今後は、我らバルカン族と同盟を結び、上層階、ひいては地上進出の協力をしてくれるとありがたい』
G太郎「むむっ、今、地上進出とおっしゃられたか?」
バイラヤーナ『ええ、それが地下に押し込められた我らバルカン族の悲願ゆえ。この度の裏切り者バルバナの所業は、先走りした無秩序の暴走ということで処断しましたが、種族を率いる者として地上進出の願望を無下にはできません』
G太郎「それがこのミストグレイヴ、ひいては地上のミストキャッスルにいかなる混乱を招くことになるか分かってのことでござるか?」
バイラヤーナ『混乱ということであれば、烈火団も充分に混乱の火種となっているように思えますが?』
G太郎「我らが混乱の火種だと?」
バイラヤーナ『私たちの目には、そのように映っておりますが……違うのですか? 聞くところによれば、地上の人族が差し向けたスパイという噂もありますが』
G太郎「濡れ衣でござる」
ホリー「と言うか、ボクたちがルキスラの密偵だって話は、バレちゃってるのですか、GM?」
GM「シル・メリルがバラしているからのう。噂レベルで、烈火団の不可解な行動が一部の者に疑惑を持たれているのも事実じゃ」
G太郎「さて、スパイ疑惑をどうやって晴らせばいいのやら。念のため、バイラヤーナの強さはどれだけでござろうか? いざとなれば、女王を暗殺して事を収めるという手も」
ホリー「おいおい、G太郎。いくら何でも、そういう暴力的な発想は……蛮族そのものではないか?」
G太郎「我らが人族のスパイでないと証明するには、蛮族的発想に立つことも、いた仕方ないことでござる」
GM「では、魔物知識判定を試みよ」
G太郎「18でござる」
GM「知名度21じゃから、相手の力量は読めなかった。過去に遭遇した知名度17、レベル10のバルカンメジャーアデプトよりも高レベルなことだけは気付いてもよかろう」
G太郎「むむむっ、大魔王バーンの素顔を初めて見たハドラーのような気持ちになるでござる。この女王、物腰は一見穏やかに見えるが、その実、隙が全く見出せぬ。うかつに手を出すと、ただでは済まぬ覇気が感じられるか。翠将とまでは行かずとも、今の我では手が届かぬ凄みを感じる」
ホリー「念のために聞きますが……美女ですよね」
GM「うむ。グラマラスで妖艶な美女と言えような。その目線で誘い込むような悪魔的な美貌と表現できよう」
ホリー「誘い込まれました。バルカンとして、忠誠を誓います」
デル「美女となったら、すぐに目の色を変えるなんて……最近、ホリー姉さんが諸星あたるに見えるようになってきたなぁ」
ホリー「誰が諸星あたるだ。せめて藤波竜之介にしてくれ」
デル「竜之介って、今のアニメにはまだ出てないので、よく分からないんだなぁ」
GM「男装してる女性……という意味では、ホリーの方向性じゃが、浮気者属性は付いておらんからのう。竜之介は硬派キャラじゃから、ホリーには似ても似つかん」
ホリー「浮気者とかじゃなくて、女性を重視するのは騎士道だからですよ。よこしまな気持ちではないです。とにかく、バイラヤーナ女王を敵に回したくはない」
GM「なお、ホリーが現在、好意を寄せている女性キャラは、本部のメルと、【騎獣調教所】のフーララバラと、眠れる王女ルイーズと、まだ見ぬ竜姫のナーデージュと言ったところか」
G太郎「人魚の女王パランティーナや、スキュラのソニア・ゾラは対象外でござるか」
ホリー「いや、下半身が人じゃないのは守備範囲外ってことで」
GM「ホリーが自分に心酔してそうな目を向けているのを確認して、艶やかな笑みを浮かべたバイラヤーナは言う。『地上から来た同胞よ。そなたが私に忠誠を誓うと言うのなら、我が手に口付けを許しましょう。その儀をもって、我らと烈火団の信頼の証とする……と言うのではいかがですか?』と」
ホリー「喜んで」
G太郎「やれやれ、嬢ちゃんが女王の美貌と手練手管で丸めこまれてしまったのでは、敵意を向けるのも難しいでござるな。元より、我は地上のミストキャッスルを出自とする元奴隷にして、お笑い芸人が成り上がった商売人。汚れ仕事もそれなりにこなしては来たものの、今は翠将の命で働いている。烈火団が人族のスパイであると中傷する者もいようが、我らの活動はミストグレイヴの異種族交流を重視するもの。決して世を乱したいとは思うておらぬ。むしろ、己の欲望で世間を乱す不逞の輩を成敗することこそ、道義に適っていると心得る次第」
GM「『道義とな』と、バイラヤーナは笑みを浮かべた。『バルバロスの世界では、久しく聞かぬ言葉よ。我らバルカン族は、魔剣イグニスの道を歩みし者だが、烈火団はいかなる道を是とするなりや?』と問いかける」
G太郎「奴隷としては主人への献身。芸人としては娯楽に興じる客の笑顔。商売人としては顧客の満足を旨としながら、同時に己の生存や利益を追求するべし。タフでなければ生きてはいけぬ。その上で、己が身命を犠牲にしても果たすべき大義とは何かを模索しているのが我が現状なり」
バイラヤーナ『そこのドレイクも同じか?』
デル「いや、G太郎師匠の道は、未熟なオラにはまだよく分からねぇ。オラの目指すは、魔神ハンターとして強くなることの一点だぁ。グレンダール神官として、己を鍛えるのみさぁ」
バイラヤーナ『つまり、そなたたちは見た目どおりバラバラの集団だ、と。種族もバラバラであれば、目指す道もバラバラなのに、共に歩んでいるのですか』
G太郎「何か問題でも?」
バイラヤーナ『いいえ。一族を束ねる身としては、珍しい集団だと思いますが。そなたたちをスパイと告発したシル・メリルは、結束の大切さを唱えながら、我らバルカンの若者どもをそそのかし、反逆を煽動しました。私は女王として、力を示さねばなりません。そのために、シル・メリルと敵対する烈火団の協力を期待するのですが、果たしてバラバラの烏合の衆なのか、それとも広がる大器なのか、この世間知らずの目には図りかねてな』
ホリー「世間知らず……ですか?」
バイラヤーナ『それはそうだ。私はずっと地下の世界しか知らぬまま、生きてきました。それゆえに、シル・メリルのような曲者に騙されて、一族に反逆者を出した始末。我らバルカンは同族殺しを忌避するゆえ、他所者のそなたらの協力を要請しましたが、今後も協力を求めて良いものやら考えあぐねております』
ホリー「ずいぶんと正直に打ち明けてくれるんですね」
バイラヤーナ『駆け引きは苦手ですから。ところで、烈火団は最近、魔窟コンビニなる妙な店を開き、そこでは美味しい酒を飲めるそうですね。酒宴を開くと聞けば、付き合ってくれるのでしょうか?』
G太郎「喜んで。酒の席なら、もっと腹を割って、これからの取り引きの話もできるでござる」
バイラヤーナ『おう、ならば今夜の宴には付き合ってもらいましょう。シル・メリルは酒の飲めん、つまらない女でしたから』
女王の真意
GM「……と言うことで、女王バイラヤーナは複雑な立場と、その心境を酒の席で赤裸々に語るのじゃ。正直、彼女のロールプレイは疲れる」
G太郎「結局、地上に侵攻したいと考えているのでござるか?」
GM「いいや。本音を言えば、これまでもずっと地下に引きこもって暮らして来たし、これからも現状維持の引きこもりライフを続けて、時々は酒宴で発散できれば、それで満足と言ったところかのう」
ホリー「ダメ君主じゃないですか」
GM「あまり野心家ではなくて、保守的な平和主義者だったのじゃよ。シル・メリルに一族の者がそそのかされて、外の世界に目を開かされるまではのう。シル・メリルに野心を吹き込まれた一部の者は、不甲斐ない女王の政策に異を唱えて自らが玉座に着こうと企て、女王に忠義を尽くす一部の者も、女王のためと称して外で暴れることで女王の威信を勝手に示そうと動く始末。つまり、女王は自らの統治の手綱を引き締める必要に駆られているわけじゃ」
G太郎「反逆者は処刑、と強権政治は行えないのでござるか」
GM「そこまで冷酷に、無慈悲にはなれないのじゃな。基本的には快楽主義者であり、ひたすら己を鍛えることには長けた内向的な引きこもりゆえ、外に威圧的に振る舞うことにはなれておらん。そもそも、外交交渉などせずとも、先祖代々の土地を守っているだけで問題なく生きて行けた。しかし、シル・メリルがこれまでの秩序を破壊し、平和ボケした女王の威厳を傷つけた。ならば、女王自ら力あることを示さねば、収まりがつかんところまで来ておる。そこで、シル・メリルと対立している烈火団との協力を考えてみた、という段階じゃ」
ホリー「ボクたちが、地上の人族の密偵であるという件は、女王はどう受け止めているのですか?」
GM「正直どっちでもいい、と考えておる。シル・メリルから聞いた情報だし、バルカンという種族にとっては『人族はイグニスの敵なる卑小な連中』ゆえ、恐れることはない。それよりも、一族の分断をそそのかしたシル・メリルこそ許すまじ、という考えじゃ」
デル「シル・メリルって、そこまでの大物だったのかぁ」
GM「実のところ、シル・メリルの物語は、プレイヤーの選択によって、いろいろな可能性があって、その一つに『バイラヤーナと同等のバルカン族の女王クラスの能力を得る』というものがある。つまり何もせずに放置していると、バルカン族の女王の地位がシル・メリルに奪われることもあるのじゃよ」
G太郎「さっさと倒せ、と?」
GM「倒したら倒したで、強力なアンデッドとして復活してくるし、いろいろと面倒な仇敵じゃのう。協力すると人族の拠点を2ヶ所も潰してくるし、協力しないと怨念を募らせるし、倒すと恨みが募って化けて出てくるし、放置するとバルカンの女王として立ち塞がったりもする。何とも扱いが難しいというか、刺激的なキャラと言えよう」
G太郎「ある意味、シナリオ作者に最も愛されているNPCと言えるかもしれないでござるな」
ホリー「とにかく、バイラヤーナ女王は、ボクたちにシル・メリル討伐を依頼して来る、と?」
GM「いいや、その前にミッションを一つ依頼して来る」
G太郎「どんなミッションでござるか?」
GM「バルカン族がミストグレイヴの秩序をあれこれ乱すような振る舞いをしているゆえ、翠将ヤーハッカゼッシュのところに、申し開きの書簡を送り届けて欲しい、とのこと。自分の一族の統治もままならぬ状況でも、バルカンの長として、翠将に詫びを入れると共に、反逆の意図はないことを弁明しておかねば、族滅させられる可能性を危惧しておるのじゃ」
デル「江戸時代風に言えば、藩のお取り潰し、お家断絶の危機なのかぁ」
ホリー「それは気の毒だなあ」
G太郎「元より、我らはギルギダッシュ殿より『バルカン女王の真意を確かめよ』のミッションを受けておる。『翠将への書簡を配達するミッション』を受ければ、それが女王の真意と考えて良さそうでござるな」
GM「……と言うことで、このミッションを引き受ければ、お主たちの次の目的地は翠将の拠点である【瑠璃宮】と言うことになるが、その前に今回のミッションを果たしたことで成長タイムを行うこととしよう」
こうして、烈火団はバルカン女王との関係性を紡ぎ、ミストグレイヴ深層階の複雑な政治問題にも首を突っ込むこととなった。
結果として、ついにラスボスのいる宮殿に足を踏み入れるミッションが立ち上がる。果たして、魔神ハンターの物語はいかなるクライマックスを迎えることになるだろうか。
霧の街の地下の闇物語は、なおも果てることなく続く。
●ここまでの冒険成果
日数経過:49日めの昼(溶岩湖の宮殿)
経験点:【愚か者の扉】のキマイラを倒した★2個
ファンガスを倒した★3個
バジリスクから奴隷を助けた★1個
バルバナの居場所を知った★1個
【騎獣調教所】で情報を得た★1個
バルバナを倒した★1個
バイラヤーナの客人となった★2個
(合計★11個)
魔物撃退分1330点
ピンゾロ分(なし)
収支結果:真鍮戦士勲章9個
黒鉄剣士勲章2個
4000ガメル
戦利品8155ガメル分
ガストルークボール
1点魔晶石1個、5点魔晶石6個
マギスフィア(中)
漆黒のマギスフィア
バルバロスブラッド
剣のかけら27個
〈黒魔熔鉄鉱〉5個
ミッション:バルカンの女王の真意を確かめろ
バルカンの裏切り者を追え
→ミッション達成
(現在20人)
【月の図書館】の書物を読む方法を探る
地下世界から誰かを外に脱出させる
驕王ポイント現在40点
人魚奴隷の救出(残り2回)
虹色の宝石の確保
(現在水妃ポイント8点)
転送装置のマスターキーを入手する
〈黒魔熔鉄鉱〉30個を集める
機械の部品ポイント370点
魔神討伐ポイント(現在42点)
情報
・防空施設の魔力供給源【翡翠のピラミッド】の装置を操作するには、〈銀水晶のマギスフィア〉が必要。
・〈破剣の星槌〉は深層階の【黒炎の工房】で〈黒魔熔鉄鉱〉30個と交換。
・【地底湖の畔】のマーマンは、水妃ポイント残り20点で地上への抜け道を教えてくれる。
・四祖の1人シェラシースは魔剣である。
・地下水路から地上への脱出には、〈銀水晶のサークレット〉が必要。北東の隠し扉を開けられる。
・漆黒のマギスフィアは、深層階の黒い球体に入る鍵。別に合言葉が必要。
・竜のエサユハと知り合い、竜の秘薬を完成させた(竜姫ナーデージュ救出ミッションの予定)
・【歯車の迷宮】には地下水路の明かりの仕掛けあり。
・ユリア・ミルドリスは深層階の【瑠璃宮】に向かった。
・翠将の親衛隊になるには〈黄金近衛勲章〉を入手して、試練を受けねばならない。
・暗闇を見通す〈セランシェの灯火〉は妖精たちの【地下庭園】に。現在バルカンに奪われたとのこと(ミッションの予定)
・【不死者の城】のランタンヘッドは、〈ワルプルギスの鐘〉に呪われている。ゲール・ハイネメルから解放ミッションが受けられる。
密偵の知り合い
・アム・ヤーセン(ドワーフ娘→ラミア)
キーワード「月の図書館の書物閲覧」「漆黒のスフィア」
キーワード「白銀勲章」
・ニコ・シュナウヘア(ナイトメア→オーガ)
キーワード「防空施設」「シェラシース」「ヤーハッカゼッシュ」「地底に眠るもの」
・オスカル・バロー(シャドウ→バジリスク)
キーワード「白銀以上の勲章コレクター」「転送装置のマスターキーを持つ」
冒険達成度:
『バイラヤーナの客人』の称号を得た+1%
(合計26%)
(当記事 完)