宅配仕事の開始
GM(ヒノキ)「36日めの昼、【コボルド窟】で成長の儀を終えた烈火団は、新たなミッション『上層階の宅配仕事』を請け負うこととなった」
G太郎(ゲンブ)「向かう先は2ヶ所。北の【岩棚の城塞】と南の【騎獣調教所】でござるな」
デル(リトル)「距離的に近いのは北なんだけどぉ……」
ホリー(シロ)「ボクとしては、ゴブリン王なんかよりも先にフーララバラお姐さまに会いたい。強くなったイノセントを見せたいんだ」
●ミストグレイヴ上層階の地図
(青字は拠点および宿泊可能地点。
青いラインは安全ルート)
死者の道ーミノタウロスl の門→深層
l l 階蛇の酒蔵ー凱旋門ー岩棚のーゴミ溜め窟ー炎河橋
(梯子) (魔窟) 城塞 l l
l l l l 腕試しの
コボルド窟ー無限ー隠者のー地底湖の畔ー通路→深金床 迷路 (人魚宮殿) 層
l l l 階
大水車ー烈火団ー煌びやかな
l 本部 大通路
l l l
物乞い市場ー 騎獣ー水没通路
(蜜蜂) 調教所 (梯子)
l l
肉の穴ー処刑遊戯場
(解放軍)
GM「シナリオ上の注意点としては、今回のミッション中は安全に移動できる青色ルートが機能しない。つまり、移動のたびにランダムイベント判定をするということじゃ」
G太郎「ランダムイベントは物語に変化をつけて刺激的にする反面、ストーリー展開を邪魔することにもなって、何度も重なると鬱陶しいでござるからな」
GM「要はバランス配分の問題じゃよ。前作ミストキャッスルでは、ランダムイベントが発生するポイントが決まっていたし、探索済みの区画は1tbで2マス移動ができたから、ランダム発生区画を避けることが可能じゃった。別ブログのフェアリーガーデンでは、ランダムイベントの発生率がエリア間移動の際に2Dで5以下、すなわち30%以下なので比較的少なめ。しかし、本作のミストグレイヴでは1Dで3以上、すなわち60%以上の高確率でイベントが発生する」
デル「1Dで1は事件なし、2はケンタウロス・タクシーの登場で移動をショートカットできるんだったなぁ」
ホリー「そして、ランダムイベントが繰り返す場合は、出目にマイナス1ずつすることで、発生確率が下がって行くんだけど、ストーリー展開を早めたい場合、ランダムイベントそのものが邪魔になる」
GM「ということで、当リプレイでは青色ルートという独自ルールで、ランダムイベントが発生しない区画を設定したのじゃ」
G太郎「青色ルートが広がることで、大経済交流圏の拡大を表現し、ストーリー的にもゲーム的にも楽しめるように意図した改変でござる」
GM「ただし、今回の宅配ミッションでは、青色ルートが安全だというルールを採用するとゲーム自体が味気ないと判断。そこでミッション依頼人のコボルド商人オードル・プルはこう言う」
オードル・プル『烈火団のおかげで、ここから【物乞い市場】や【肉の穴】に通じる経路が以前よりも安全になり、食料や物資の配送が容易になりました。しかし、最近、また野盗やならず者の類が活発に動くようになり、危険度が高まって来たようにも感じます。そこで配達仕事のかたわら、流通の邪魔をする連中のお掃除をお願いできれば、と。定期的に烈火団が見回っているとなれば、不逞の輩も好き勝手にはできないだろうと思います。是非とも力を貸していただきたい』
G太郎「うむ、安全な交易ルートが維持できなければ、魔窟コンビニ計画も実現できないでござるからな。目的地の【騎獣調教所】はまだ大経済交流圏に参加していないので、この機に声を掛けてみるのも悪くはござらん」
ホリー「そうか。フーララバラお姐さまにも、ボクたちの経済活動に協力してもらえばいいのか。そういう発想はなかったや。G太郎、ナイスなアイデアだ」
G太郎「騎獣は戦いのためだけにあるのではない。むしろ荷物の輸送に協力してもらえれば、大いに助かるというもの。そういうわけで、フーララバラ女史との営業交渉の任はホリー嬢ちゃんに頼みたい」
ホリー「ああ。フーララバラお姐さまと同盟を結ぶんだな。喜んで引き受けよう」
荷車を率いての道中
G太郎「ところで、我々はどういう荷物を運べば、よろしいのか?」
GM「それについては、シナリオには特に記載されておらんのじゃ。よって、わらわが適当に考えた。【騎獣調教所】には騎獣の餌になるトウモロコシや肉類の入った樽。【岩棚の城塞】にはゴブリン王の誕生日を祝う甘い菓子類の山としよう」
デル「まさに幸せを運ぶ宅配便だなぁ」
G太郎「ゴブリンに誕生日を祝う風習があったとは驚きでござる」
GM「普通のゴブリンにはないが、ムルカグンドリに対してはオードル・プルが教えたのじゃ。『ドレイクやバジリスクなどの文明化された上位バルバロスには、誕生日や各種の記念日を祝う風習があって、そういう時節ごとの祭事を記憶、記録することも王と名乗るには必要。そこで毎年この日に驕王殿には誕生日ケーキなるものを進呈しよう。我らコボルド商人の恭順の証ゆえ、むやみに我らの同族を餌にしたり、イジメないでやって欲しい』と言い含めてな」
ホリー「時代劇の悪代官に賄賂を渡す商人みたいな構図だな。甘いお菓子でございます、と」
GM「別にオードル・プルは悪徳商人ではないが、この蛮族社会で生き延びるには、強者に頭を下げて慈悲を乞う姿勢も必要。恭順し、利得を与えることで、自分を害するのは損であると示すのも弱者たるコボルドが蛮族社会で培った生存戦略なのじゃ」
G太郎「ムルカグンドリは悪代官と言うよりは、地元のヤクザ者の大親分と言った方が似合いでござろうな。権力者ではなく、下から成り上がった任侠の輩ゆえ貢ぎ物を差し出して、地域の安全を守ってもらう形で仮初の秩序が成り立っている」
デル「そこに烈火団が踏み込んできた構図だなぁ」
G太郎「うむ。力を持たぬ弱小商人のコボルド屋と、地元のヤクザのムルカグンドリに対して、力を備えた商売人がより大掛かりな構想を立ち上げて、地域経済を活性化させようとしているでござる」
GM「まあ、そんなところじゃろうて。ともあれ、本来の配送任務はコボルドたちが荷車とか商品管理をしてくれるので、お主たち烈火団は細かい雑事をする必要はない。ただ、名目上、シロイヌ宅配便が烈火団と提携しているという大掛かりなアピールと、いざという時に用心棒になってくれという含みと、今後の事業提携の証など、様々な思惑が今回のミッションには込められておる。このミッションを成功させることが、今後、オードル・プルが烈火団をG太郎個人としてでなく、企業として提携に値する集団か見極める目論見もあるのじゃ」
ホリー「なるほど。友人としては信頼できても、仕事仲間としては頼りにならない相手もいますからねえ」
G太郎「個人としての信頼関係と、組織としての信頼関係でござるか。確かに、魔窟コンビニという事業に投資するには、冒険者としての力量以上のものを示す必要があるでござるな。では、コボルドの荷運び運送を率いる商隊長として振る舞うとしよう」
デル「思ったよりも大掛かりな話だったんだなぁ。ただの宅配便じゃなかったんだぁ」
GM「平均レベル7の冒険者が、ただの小さな宅配便で済むはずがなかろう。さて、前振り背景事情はここまでにして、最初の移動じゃ。まずは36日めの夕方に【無限金床】に到着するが、その前にランダムイベントをチェックするのじゃ」
G太郎「ダイスを振って、1。平和でござるな」
GM「では、昨日に頼んだ鍛治仕事が半日で完成している。G太郎のイグニダイト加工と、デルのオーダーメイド武器が早くも引き渡された、としよう」
G太郎「前回のキャラ成長で購入したものでござるな」
GM「本来のルールでは、イグニダイト加工には1週間が必要なのじゃが、普通のキャンペーンではシナリオとシナリオの間の日数経過をいちいちチェックしないことも多い。しかし、本作ミストグレイヴは独自の日数経過ルールを用意しているため、1週間も間が空く強化は扱いにくかろう。そこで独自裁定として、ダークドワーフの鍛治師ロベルクは非常に有能なので、半日でイグニダイト加工を終わらせることができたものとする」
G太郎「助かるでござる」
GM「まあ、言い訳的に説明をすると、この【無限金床】は個人レベルの鍛冶場と比べて、施設も充実しているし、G太郎がイグニダイト加工をしたいという話は前々から聞いていたので、そのための準備もあらかじめ整えていたということになる。おそらく加工に要する1週間というのは実作業だけでなく、必要な鉱石の手配や加工儀式の準備も諸々含めての時間だと解釈する。もちろん、ロベルクが気合いを入れて頑張ったおかげでもあるがのう」
ロベルク『久々に良い仕事をさせてもらったぜ、マッスルG太郎さん。これであんたのキックの破壊力も見違えるように高まったはずだ。さあ、疲れたので、俺は眠らせてもらう。起きたら次に、魔窟の出張鍛冶屋の下準備に出向いて来るからな。ああ、忙しくて充実した時間だよ。いかにも生きてるって感じだ。ワハハハハ』
G太郎「精力的な職人ぶりに頭を下げるでござるよ」
GM「では、36日めの夜。どこに向かう?」
ホリー「東の【隠者の迷路】か、南の【大水車】だよね。荷車を率いて迷路ってのも変だと思うので、南の【大水車】だろう。ランダムダイスは……3が出た。マイナス1して……」
GM「いや、1が出てイベントが発生しなかった場合は、マイナス分がリセットされるので、出目は3のままじゃ。すると、イベント番号21で密偵との遭遇が起こる。2Dを振れ」
ホリー「ピンゾロ」
GM「だったら、シル・メリルじゃな」
シル『あら? 烈火団の人たちね。荷車運んで、どこに向かうのかしら?』
G太郎「【コボルド窟】のオードル・プルと提携して、宅配業務の途中でござる。これも大経済交流圏の樹立、魔窟コンビニのため」
シル『魔窟コンビニ? 何それ?』
G太郎「この上層階の物流の要になりそうな経済活動拠点にしようと考えている。そちらは相変わらず、レジスタンス探しでござるか?」
シル『そうよ。今は【物乞い市場】に目をつけているんだけど』
G太郎「それは見当違いだと思うがな」
シル『どうして、そう断言できるわけ?』
G太郎「商売人としての情報ゆえに、でござるよ。レジスタンスというものは、翠将に対する抵抗勢力で、ゆくゆくはミストグレイヴの秩序を脅かそうと企む者たちでござろう。しかし、秩序が崩壊して何よりも困るのは商売に従事する者。商人とレジスタンスをつなげて考えるのは、商いの道を解さぬ戯言と申そうか」
シル『商売人に身をやつした密偵がよく言えるわね。あなた、何か隠していない!?』
G太郎「仮にレジスタンスというものが、ミストグレイヴで争いを起こそうという集団であるなら、一番危険なのは【水没通路】のギルマンや、深層階のダークドワーフ辺りだろうと我らは考える。こちらとしては、レジスタンスどもに暴れられては商売に差し障るので、物騒な連中の情報は早めに仕入れているつもりだが、【物乞い市場】に限って翠将に逆らうような輩はいないだろうと確信しているでござるよ」
シル『もしかして、烈火団自体がレジスタンスということはないかしら?』
G太郎「革命集団という意味では、そう解釈もできようか。ただし、暴力革命ではなく流通革命、経済革命を志向しているでござる。いずれにせよ、【物乞い市場】をレジスタンスと疑うならば、提携組織である烈火団をも疑っていることであり、まことに不本意である。ならば、烈火団こそレジスタンスを率いる一大勢力として翠将に報告するが良かろう。もっとも翠将はとっくに我らのことを承知しているのでござるがな」
シル『烈火団がレジスタンスをかばう動きをしている。そう判断していいってこと?』
G太郎「レジスタンスをかばう? どうして、そういう発想が? 我らはこの群雄割拠の地で、少しでも力を付けるべく蛮族、いや、バルバロスのルールに従ってサバイバル活動に邁進しているのみ。あれこれ、こそこそ嗅ぎ回って貴女が何をしたいかが我らにはちっとも分からん。レジスタンスの情報を知って、どうするつもりか? それを翠将に知らせたら褒美に預かれるとでも?」
シル『そうだと言ったら、協力してくれる?』
G太郎「我らには我らのやり方がある。小汚い密告によって出世を狙うことよりも、自らの力で世の中を変えるべく立ち回るつもりでござるよ。もしも、我らの計画を邪魔するように動くのであれば、我らは貴女を叩きつぶすことも辞さない。我ら烈火団が提携している大経済圏交流の区画にそちらがおかしな嫌疑を吹っかけるようなら、我らはそれを排除するべく動くであろう」
シル『それは敵対宣言ってこと?』
G太郎「つまらない言いがかりを付けて、我らの活動に不利益をもたらすならばな。次に会った時に、まだレジスタンスの疑惑がどうこう言うようであれば、無用な争いをもたらしかねないとして消えてもらうので、覚悟しておくように」
シル『交渉決裂ってことね』
G太郎「そのようでござるな」
シル『……烈火団、次に会ったときは、容赦しないわ』
G太郎「望むところでござる。魔窟コンビニ計画を邪魔する者はぶっ潰す」
GM「こうして、シル・メリルとの関係は決裂した」
デル「師匠がいつになく好戦的な態度だったなぁ」
G太郎「そろそろ、化かし合いも飽きたでござるからな。裏切り者の密偵には消えてもらう頃合いでござろう。これ以上は大した情報も得られそうにないだろうし。レベル10の邪教の高司祭相手なら、十分倒せると見た」
ホリー「G太郎が瞬殺できる相手ならいいけどさ。次に会うときまでに、ボクたちも十分強くなっているよう願いたい」
36日め深夜、【烈火団本部】に到着する目前のイベントで、5人の囚人を入れた檻を発見する。
仕掛けられていた罠にも気付き、襲いかかってきたダークドワーフの神官戦士も瞬殺し、奴隷を解放して、人材がまた増える。
★2個と、バトル経験点80点。戦利品は破皇のメダリオン(100G)と豪華な武器(500G)。
33日めの夜(第4部10話、リアルタイムで3月上旬)以来、久々の本部で1tbの休息をとった一行は、37日めの夜明け前に南の【騎獣調教所】に向かって出発する。
騎獣調教所との同盟
GM「目的地その1に到達する直前に、ミッションイベント1が発生するのじゃ。1Dを振れ」
デル「今回はオラが振るぅ。6だぜぇ」
デル「6」
GM「ラミア姿のドワーフ娘、魔動機マニアのアム・ヤーセンじゃのう」
G太郎「おお、彼女の登場は待ち望んでいたでござるよ。何しろ、彼女の欲しい情報のうち、【月の図書館】【隠者ヴァラルト】【黒炎の工房】【巨大格納庫】の4つは、場所もバッチリ分かっているでござるからな。情報交換もはかどるというもの」
デル「実際に行ったことがあるのは、ヴァラルトの迷路だけなんだけどなぁ。他の3つは深層階で、ビーリンから聞いた情報だけさぁ」
ホリー「魔動機マニアだったら、ビーリンと話が弾みそうだなあ」
アム『ほう、ヴァラルト殿の居場所を知っているでありますか? やはり、あの迷路だったんですね。攻略が難しそうなので、どうしようかと悩んでいたでありますよ。へえ、貴殿がたは迷路の奥でヴァラルト殿と対面し、盟約関係にあると? それは是非、連れて行っていただき、ご紹介願いたいものです』
GM「そう言って、彼女は強引に同行者となった。足手まといではなく、援護射撃で支援ダメージを与えてくれるので、有能な道連れと言えような。さらにヴァラルトのところへ連れて行けば、★1つと情報もしくはアイテムをくれる予定じゃ」
G太郎「アイテム?」
GM「彼女は〈妖精の笛〉を持っておる。魔窟で入手するか、彼女から手に入れるかの選択が可能なわけじゃ」
G太郎「それはありがたいでござるな。魔窟探索を進める前に、深層階に手を伸ばす選択もできるわけで」
GM「魔窟で〈妖精の笛〉を入手できるかはランダム要素も大きいからのう。運が悪ければ、31階から70階までの探索を何度も繰り返さなければ入手できない可能性もある」
アムを同行者に加えた一行は、37日めの朝に【騎獣調教所】に到着した。
ホリー「フーララバラお姐さま、久しぶりです。烈火団およびシロイヌ宅配便が幸せをお届けに上がりました〜」
フーララバラ『おお、イノセントとその飼い主ではないか? ずいぶん、見違えたなあ。元気そうで何よりだ』
ホリー「あのう、お姐さま。ボクの名前を覚えてらっしゃいます?」
フーララバラ『ん? 何だったかな? ええと、確か騎獣専有証に書かれた名が……ガルダ。そうそう、思い出した。情熱バルカンの女騎士ガルダと言ったか』
ホリー「お姐さまだから打ち明けます。その名前は偽名で、本名はホリーと言います」
G太郎「嬢ちゃん!?」
フーララバラ『偽名だと? どういうことだ?』
ホリー「我らの部族の掟、魔法に関わる伝承で、真の名を伝えるのは霊的に危険が生じるので、本当に信頼できる相手のみに打ち明けよ、と言われているのです。ボクの真の名はホリー、通り名はガルダ、これを明かすのは信頼の証だと受けとっていただきたい」
フーララバラ『むっ、バルカン族の風習はよく分からないが、真の名を明かしてもらえるのは名誉に値するということだな、ホリー=ガルダよ』
ホリー「ええ、その上で今後、【騎獣調教所】には我々、烈火団と盟約を結んでもらいたいのです」
フーララバラ『盟約か。北の神殿に【烈火団本部】が設立された時から、いずれはそういう話が来るだろうとは思っていた。いささか遅いような気もしたのだがな』
ホリー「北の魔窟周辺の開拓や、人魚関連の折衝に手間どって、こちらへの挨拶が遅れてしまい、申し訳ありません。騎手として成長した姿をご覧いただきたかったものですから」
フーララバラ『なるほど、オックスフォームも十分に使いこなしているようだな。イノセントにも魂の輝きが感じられる。もしや、竜の道に目覚め始めているのではないか?』
ホリー「竜の道?」
フーララバラ『鯉という魚が滝の試練を昇りつめたときに、ドラゴンとして覚醒する。そのような伝承が我らの部族では語られていてな。練技という技を身につけることで、我らもその身を異なる姿に変じることができる。それと同様に、一部の鍛えた騎獣も覚醒変身することができる秘伝を我が部族は受け継いでいるのだ。イノセントのオックスフォームもその一つ。秘伝の儀式を行えば、さらなる強さを身に付けることができるかもしれない。もちろん、騎手の貴女の修練次第だがな』
ホリー「それは是非ともお願いします」
フーララバラ『騎獣への愛情は確かみたいだからな。ただの食肉扱いだったボーアをここまで育成してきた貴女個人は信頼できる。だがしかし、烈火団との盟約となると、不安要素がいくつかある』
ホリー「何ですか?」
フーララバラ『北のゴブリン王との関係だ。我らトロールからすれば、彼奴は分不相応な成り上がり者に過ぎん。ただの荒くれ者が名誉を重んじるトロールに並び立てるとは考えにくい。噂によれば、驕王と烈火団が手を結んで南の地の襲撃を計画しているそうではないか? 烈火団が武力侵攻する可能性を懸念している』
ホリー「烈火団に限って、力ずくでゴリ押しすることはありません。貨幣神ガメルの理想とする経済交流と、炎武帝グレンダールの理想とする自分を鍛えることを基軸に、交渉で皆の幸せを広げようとしている……つもりです」
フーララバラ『そうか。コボルドのオードル・プルもそう言っていたな。弱者を力で踏みにじるようなマネはしないと。ならば、強者であるトロールに対してはどうか? レジスタンス活動で翠将の秩序を脅かすようなマネは仕出かさないのか? そこのところははっきりしておきたいわけだよ』
ホリー「それは……」
G太郎「弱肉強食はバルバロスの習いであり、力ある者が全てを制すのが、この地のルールでござったはず。フーララバラ殿も、そういう考えだと思っていたが」
フーララバラ『確かに、それこそがバルバロスだが、力で勝つだけでは何かが足りないとは思わんか。やはり、大事なのは名誉であり、愛であり、強者に相応しい誇りであろう。残虐や暴虐、卑劣な策謀で勝っても、それは武勇とは呼べん。武勇なき力に与するようなマネはしたくないのが本音だ。烈火団に武勇はあるのか? 北のゴブリン王と手を組む輩に誇りはあるのか?』
G太郎「烈火団の流儀は、武勇にはござらん。私のように武勇を持ち合わせる者もいるが、それが全てではない」
フーララバラ『では、烈火団が奉じるものは何か?』
G太郎「みんなの笑顔、夢、義理人情を大切に考えるのが、マッスルG太郎の精神でござるよ」
ホリー「それに自由ですね。弱者へのいたわりや、愛する者を守りたいって想いも大切だろうし」
デル「オラは卑怯なマネを嫌うしぃ、努力して自分を鍛えてぇ、栄光を目指したいのさぁ」
フーララバラ『三人三様の考えで、まとまりがない感じだな』
G太郎「それゆえに多様性を重んじると言えようか。そして、力ずくで誰かの自由を奪い、泣かせるような輩は頑として蹴り飛ばす。それができるだけの強さを身に付けたい。一人一人は小さいけれど、力を合わせて無敵になることを目指す。今の活動は、そういう方針でござる」
フーララバラ『分かった。隣の【物乞い市場】を守りたいと考えるソニア・ゾラの信念に、あたしは前から共感していてな。お前たちにも彼女と同じ黄金の魂を感じる。それならば、烈火団の提唱する大経済圏交流に我らの力も貸そうじゃないか。いや、是非とも協力させて欲しい』
ホリー「フーララバラお姐さま、ありがとうございます」
GM「こうして、フーララバラとの盟約が成立し、【騎獣調教所】もめでたく青色ルートに組み入れられるようになったのじゃ。今回の話はここまでにしておこう」
●ここまでの冒険成果
日数経過:37日めの朝(騎獣調教所)
経験点:囚人5人を解放した★2
魔物撃退分80点
ピンゾロ分(なし)
収支結果:戦利品600G分
ミッション:ドラゴンの秘薬の材料集め
上層階への荷物配達
(現在19人)
【月の図書館】の書物を読む方法を探る
地下世界から誰かを外に脱出させる
魔窟50階を踏破(店舗経営の許可)
驕王ポイント31点を目指す(現在17点)
人魚奴隷の救出
虹色の宝石の確保→クエスト一部達成
(現在水妃ポイント4点)
情報
・煌びやか卿アー・ヌルチェと商業同盟を樹立。
・防空施設の魔力供給源【翡翠のピラミッド】に入るには、〈翠緑のマギスフィア〉が必要。
・〈破剣の星槌〉らしき略奪品は深層階のダークドワーフに渡った。
・【地底湖の畔】のマーマンは、水妃ポイント残り20点で地上への抜け道を教えてくれる。
・【コボルド窟】のオードル・プルは地上に伝手がある。
・【戦神の凱旋門】の魔窟総監ギルギダッシュと知り合い、魔窟ミッションを攻略中。
・四祖の1人シェラシースは魔剣である。
・地下水路から地上への脱出には、〈銀水晶のサークレット〉が必要。北東の隠し扉を開けられる。
・漆黒のマギスフィアは、深層階の黒い球体に入る鍵。別に合言葉が必要。
・竜のエサユハと知り合い、竜姫ナーデージュ救出の活動を行う。
・【歯車の迷宮】には地下水路の明かりの仕掛けあり。
・【王女の鍾乳洞】では魅了の瞳に注意。
・深層階のダークドワーフ情報いろいろ。
・【月の図書館】の伝承詩。
・ユリア・ミルドリスは深層階の【瑠璃宮】に向かった。
・翠将の親衛隊になるには〈黄金近衛勲章〉を入手して、試練を受けねばならない。
・暗闇を見通す〈セランシェの灯火〉は【妖精庭園】に。
・妖精をなだめる〈妖精の歌笛〉は魔窟の31階から69階の間に。
・〈乳白色のソーダ水〉は深層階にある。温泉か鍾乳洞と推測されている。
密偵の知り合い
・アム・ヤーセン(ドワーフ娘→ラミア)
キーワード「月の図書館」「隠者ヴァラルト」「黒炎の工房」「巨大格納庫」「漆黒のスフィア」→ヴァラルトのところに連れて行く。
キーワード「ユリア・ミルドリス」「ノイア・カーナ」「白銀勲章」
・ニコ・シュナウヘア(ナイトメア→オーガ)
キーワード「防空施設」「シェラシース」「ヤーハッカゼッシュ」「地底に眠るもの」
・オスカル・バロー(シャドウ→バジリスク)
キーワード「白銀以上の勲章コレクター」
・シル・メリル(人間女→バルカン)
キーワード「レジスタンスを探す裏切り者」→敵対関係
冒険達成度:合計21%
(当記事 完)