花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

料理と武道の話(花粉症ガール夏合宿編2)

イカから始まる心技体

 

シロ「今日のスイーツメニューはスイカだ」

晶華「これね」

シロ「ジョークでやってるのは分かるが、真面目な料理の研鑽で茶々を入れるのは感心できないな。遊び心も大切だが、料理の作法としての心技体を今日は教えたいと思う」

晶華「心技体って武道の心得じゃないの?」

シロ「武道の心得は料理にも通じるんだ。だから料理マンガは、しばしば武道のバトル要素を演出に含む。その典型的な例がこれだ」

晶華「う〜ん、よく分からないけど、この今川演出がGガンダムに通じるという話は聞いたことがあるわ。つまり、優れた料理人は優れた武道家に通ずってことね」

シロ「もちろん、名料理人が即、名武道家というわけではない。それぞれの技能は別々の物だけど、食の道は体を作り、武の道は体を鍛える。腹が減っては戦はできない。戦いに勝つ上でも、食を軽視してはならないってことなんだ。だから、中華料理と中国武術は通じるし、プリキュアだってスイーツ道を極めしチームもいた」

晶華「分かったわ。では、料理の心技体を私に教えて下さい、シロ先輩」

シロ「では、料理の心とは何か? リトル、答えてみよ」

リトル「はい。料理は食べる人のことを考えて、愛を込めて作れということですねぇ」

シロ「美味しい料理の基本だな。作る人ではなくて、食べる人の笑顔のために料理は作るもの。もちろん、自分のために作る場合でも、自分で食べて美味しいと思えるものを作るだろう。自分で食べるのだから多少の手抜きはあるかもしれないけど、それでもわざわざ不味い料理、憎しみや怒りの気持ちを料理に込めたい者はいないはず。食べた自分が満足できるように作るはずだ。誰かのために作る際も、食べた人が喜んでくれることを願うはず。それは技術以前の心構えとして大切なことだ」

晶華「うん。料理は食べる人のことを考えて、美味しく味付けしようと目指すもの。これは創作においても言えることね。鑑賞する人のことを考えて、面白く味付けするのが創作の道だ、とNOVAちゃんなら言いそう。自分のことしか考えない独り善がりな物語、自分が読んでもつまらない物語を人に押しつけるのは、下手な料理人と同義ってことかしら」

シロ「何かを作る、という点では、全てそうだな。受け手や使い手のことを考えたものづくりというのは、作り手の心構えの基本だ。もちろん、自分だけが使う、自分だけが楽しむ、自分だけが味わうので満足なら、自分のことだけを考えていればいいだろうけど、他人に披露する場合は独り善がりの先を見据える必要がある。

「自分が他人と違う感性を持っているなら、自分が美味しいと感じる料理が他の者にはゲテモノ料理で不味いと受け取られるかもしれない。その場合は、自分の感性のズレを一般の人に合わせて調整するか、ズレた感性すらも個性としてアピールするかは人それぞれだけど、自分の舌と世間の舌の違いを意識して、TPOに合わせた料理の作り方を身に付けなければいけない。まあ、それは技術論になるけど、とりあえずは自分の感性を理解して、受け入れてくれる相手に愛情を込めたセンスのいい料理を目指すことだな」

晶華「誰のための料理か、その心を見失ってはいけないってことね」

シロ「もちろん、自分の優れた技術を披露するとか、料理人としての名声を高めるとか、そういう結果を求めるのは悪いことではない。ただ、根幹的には、自分を評価する人に向けて相手の好みを想像する力と自分らしさの両立を図る必要はある。どちらかを選ぶのではなくて、両方を適切な配分で混ぜて、自分も満足、受け手も満足できるものを目指すわけだ。独り善がりになりやすい人間は、それこそ人の好みを尊重するという心を習得しないといけない。人の好みの分からない者に、人を楽しませることはできないからな」

晶華「受け入れられる愛って、そういうことね。独り善がりな愛は自分の気持ちをただ押し付けているだけ。本当の愛は、相手の好みを理解して、自分が合わせていけるかという心根」

シロ「それで、自分らしさを見失ってしまえば、ただ媚びているだけなんだけどな。だから、何が自分らしさでこだわる部分であり、何が人の好みを反映できる部分なのか理解して、どちらも両立できるよう自分の幅を広げることが大事。それこそが技術なんだ」

 

 技とか評論とか 

 

晶華「じゃあ、技の話を教えて」

シロ「技は言葉で簡単に教えられるものじゃない。手を動かして、実践演習あるのみだ。とりあえず、スイカを包丁で綺麗に斬る。そしてデコレートする。もちろん、スイカに塩をかけるという、味を引き立たせることも大事だが、人によっては塩を掛けないで天然素材の味を楽しみたい人もいるし、他人の好みは尊重する姿勢も示すことだ。最初からガバガバ塩をかけて、素材の味を消してしまうのは論外だな。加減を知れって奴だ」

晶華「何でもバランス配分は大事ってことね。甘さを引き立たせるために、練乳をかけるというのは? あるいは塩がOKなら醤油や味噌をつけるというのは?」

シロ「試行錯誤するのはいいけど、人に出す前にまず自分で味見して確かめるのは、料理人のマナーだな。スイカに醤油をかけて、美味しく食べられるかどうか実際にやって、味わった感想なんかを語れるならOK。実例は以下の通りだ」

晶華「なるほど、いろいろな試行錯誤の技があるのね。調味料の使い方や配分も人それぞれ。この辺は、錬金術に通じる面もある、と」

シロ「他人の料理の実例を見て、知識だけで分かったつもりになっても想像力で関連小説は書けるかもしれないけど、自分で 実践してみて試した人間に如くはない。この辺は想像力と実践の兼ね合いは人それぞれだけど、頭で考えた作品イメージがいざ作ってみると上手く料理できないことだってあるので、自分で試したことのないものは技術とは言えないってことだな。アイデアだけ出しても、実際に作ってみると、うまく仕上がらないこともあって、そこからの試行錯誤で完成させてこそ、スキルアップが図れるのかもしれない」

晶華「その辺は、料理も、創作も、魔術も、武術もみんな同じってことね。頭の中のイメージと、それを実際に形にするまでのギャップがあって、実践を経ていないのは素人と同じ」

シロ「何となく分かるのと、実際にできるのは大違いだからな。やったこともないことをできると思い込んでいるのは、技能とは言えないわけで。経験者の理解と、人の話を聞きかじっただけの理解の差は非常に大きい。経験不足の人間は、机上の空論だけで物を語りがちだけど、もちろん空論でも独自のイメージを構築できて、その論理的整合性や発想の豊かさ、可能性だけで人をワクワクさせる話術の持ち主も多い。でも、いざ作業に移るとダメな人間もいるし、脳内イメージを形にする器用さに長けた人間もいる。やったことがなくても、頭の中の想像力で完成形を思い浮かべて、イメージどおりのものを作り出せる天才肌な人物もいるけど、普通の人間には無理な話なので、練習や経験を重ねることになる」

晶華「技を身につけるのは、修練が必要ってことね」

シロ「もちろん、他人の成功や失敗の実例を見聞きして、自分の未熟さを補うという手もあるけどね。先人の苦労話を聞きながら、自分だったらどうするか、とか、あれこれ自分の作業に取り入れられるかを想像するのもいい。人の体験談を我が身に置き換えて受け止める姿勢に欠けている者は、テキトーに個人の感想文程度で偉そうな評論家気取りになって、悦に入っただけで終わる。同じ話を聞いても、自分がその状況だったらどうするか、どうできるかを考えられる人間は、他人の成功体験も失敗体験も自分の糧として受け入れられるから、頭の悪い評論にはならないわけだ。

「料理評論家というのは、当たり前だけど自分で料理を作り、いろいろな物を味わい、自分の中の確固とした土台があるから人の作品を評価できるわけであり、評論の言葉からも、その人の料理体験や心構え、知識と実践、価値観や人生観がにじみ出る。だから含蓄深い評論家の話は聞き応えがあるけど、エセ評論家の偉そうな言は非常に底が浅いわけで、話を聞いているだけで中身のなさが分かる発言もある。ファンとしての感想だったら、あまり上から目線になり過ぎないことを意識した方がいい。自分では作れないものを作っているんだったら、それに対する敬意は示して然るべきだな。まあ、自分と評論対象の関係性によって言葉使いも変わってくるんだろうけど」

リトル「料理をしていなくても、それが美味しいかどうかの感想は言えますぅ。もっと塩味が濃い方が自分好みだということも言えますぅ。だけど、料理人はこうすべきだなんてことは、同じような料理が作れるという自信と実績がない限りは、言えたものじゃないですねぇ。せいぜい、この作者の作品の傾向はこうだから、この後の展開はこうなると思うけどぉとか、このキャラ構成だとこの点が足らないから、後で新キャラがパーティーに加わりそうだなぁとか、そういう予想ならありかもぉ」

晶華「ああ、それが文脈を押さえることだって、NOVAちゃんが言ってたような気がする。ずっと作品を追っていたら、作り手の癖が分かるから、それでできる予想ってあるものね。甘党のパティシエだから、辛い料理はなかなか作れないだろうとか、それを作ったときに新規軸で意外と器用だったとか、そんな風に感じたりするのはありかも」

シロ「何だか料理の話よりも創作評論の話になって来たけど、自分で実践したり、見聞してきた技を知っているからこそ、他人の作品のレベルも把握できるのだと思う。良い物、悪い物を評価するのは、しょせん自分のセンスなんだけど、評論家ってのはそれまでの鑑賞経験や作品知識の土台があるから、その基準と比較して良い悪いの評価ができるわけだ。目が肥えている、舌が肥えているというのは、そういうことだね。何かを酷評することで自分の目や舌が肥えているアピールしたい人も多いけど、その場合に自分の評価基準はこうだと示せるのが真っ当な評論家だ。

「カレーの味を評価するのに、ストロベリーパフェよりも甘くないからダメと言い出すのはバカだろうし、スイーツの専門家がカレーの評価をする際は『普段はあまり辛いものを食べないんだけど、これは結構いけると思います。私の作るデザートと一緒に食べれば、お互いの味を引き立たせる丁度いい辛さだと感じました。スイーツ好きにもおすすめの味です』と言えればWinWinの評論になるし、自分の舌に合わないときは『私は甘いもの専門なので、カレーのことはよく分からないんですが、カレー好きの人にはたまらない味わいなんだろうな、と思います。カレーの味が分かるという人に是非おすすめしたいですね』って感じかな」

晶華「どっちにしても、おすすめなのね」

シロ「当たり前だ。カレーの評論を求められる場面で、わざわざカレーのことを悪し様に酷評しても、反感を買うだけだろう? もちろん、毒舌キャラを売りにしたいなら、『すみません。辛いのは苦手なんです。スイーツのことなら話せるんだけど、私に何を言えと? 企画した人は私を困らせるのを見て、楽しんでますね。こんなカレーは人類の敵です。こんな激辛ホットカレーを食べた後は、しっかり水を飲んで水分補給しないと熱中症になっても知りません。そして、辛いのはイヤだと思ったら、私のスイーツでパラダイス気分に浸ってください。うん、カレーの灼熱地獄でサバイバルをした後に、スイーツと組み合わせるための過酷な試練ですね。辛さが王道という暑苦しい漢の人にはお勧めです。私には合いませんけど』と言えば受けるかな」

晶華「褒めてないけど、おすすめか。何だか高等技術だね」

シロ「酷評してるのに憎まれないというのには、相応の話の持って行き方があるんだよ。まず、自分が門外漢なのに、企画者のせいでやむなく何かを言わされている可哀想な子であることをアピールし、必死にサバイバルしているから毒舌もやむなしと言う空気を作った上で、カレーの後のスイーツというおすすめパターンを提示し、自分には合わないけど、これが好きだという人もいるだろうから、誰に対するお勧めかはしっかり言って、評論家っぽい客観性を示す。これで、もしも『こんなカレーを好んで食べる人は頭がおかしい』と言ってしまうと、爆弾発言となってカレーの味以上に炎上する。自分に合わないという理由だけで、それを好きな人をバカにするという姿勢は、評論家の芸としては減点だろうな」

晶華「ケンカ上等の過激さを売りにしているならいいけど、そういう芸風の場合は、反論の嵐が巻き起こる可能性を想定していないといけないわね。特にネットの場では」

シロ「自分の真っ正直な本音だから構わないと考えがちな人は、それで炎上した場合の責任を求められることを想像する必要があるだろうし、炎上発言の常習犯は、その場の出入りを禁止されるのが普通だからな。炎上による議論の活性化を歓迎する管理人ならともかく、比較的落ち着いたところでは無責任な炎上芸は拒否される。TPOを弁えるって、こういうことだな」

リトル「他所では受け入れられたから、ここでもいいだろうと思いましたって言い訳してた人がいるけど、だったら受け入れられる場所に引きこもって、受け入れられない場所には二度と来るなって結論になりますよねぇ。TPOの弁えができないってことですからぁ」

晶華「ついでに、他所でもLEGEND俳優の悪口を言っていたことを自白した形になるわけだしね。そういう主張を一度ならず繰り返しているということが明らかになった以上は、まあ、反省の弁も信用ならないってことだけど、そっちの対応はNOVAちゃんに任せるしかないわ」

シロ「とにかく評論技術は、ものづくりとは違う技術が必要なんだけど、料理の場合は、食べ物と文章は別ジャンルだから住み分けが割と明確だ。小説の場合は、どちらも文芸だから、評論家と作家の区分が不明瞭になりがちだけど、評論にハマり過ぎると、どんどん書く作品がつまらなくなるという弊害がある」

晶華「どうして?」

シロ「他人の作品の欠点をあれこれ挙げつらっているうちに、自分の作品の欠点が気になって仕方なくなり、自分の良さが何なのか見えなくなって来るんだよな。他人の作品の美点はこれだから、それを見習いたいとテクニックを模倣するような謙虚な作家はいいんだけど、粗探しが多い評論家が書くものは総じて平板で理屈っぽいものになって、地味でつまらないものになりがちだ。評論の姿勢で、その人のものづくりの姿勢は見えてくるから、作家の仕事って読者にワクワクを売る商売なんだろうけど、評論の文章でワクワクが示せるのか、それとも不毛な粗探しや悪口にハマり込んでいないかは、自分の文章をしっかり吟味する必要がある。下手くそな評論って、読んでてワクワクしないので、そういう人間が書いた小説も推して知るべしってことなんだな」

 

体と五感

 

晶華「技の話は、実践練習が必要ってことだけど、料理に体って必要なの? 腕立てとか腹筋をして、マッチョな料理人になる必要ってあるわけ?」

シロ「この場合、体とは主に舌だな。まあ、炎の中華料理人だと、大きな鍋を振り回す腕力とか、熱気でふらつかない体力とか肉体労働みたいな面もあるし、大きな魚や動物の肉を骨から捌くにも体力を使うけど。だけど、料理人にとって一番大切なのは舌で味わうセンスだ。もしも風邪を引いて、物の味が分からなくなれば、料理を作る上でハンデがあまりにも大きい。また、他人と異なる味覚を持って、甘さや辛さに鈍感だったりすれば、微妙な味わいが生み出せないとか創作料理は無理っぽいよね。まあ、レシピどおりに機械的に作るなら、そこまで精緻な舌はいらないけど」

晶華「センスというのは心の領域だと思うけど」

シロ「いや、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚といった五感は、体の感じ方だから、それらは心技体の体と考えられるんだ。例えば、耳の聞こえないベートーヴェンは音楽家として肉体的にハンデを抱えたんだけど、音楽家としての心はますます研ぎ澄まされていったと言えないだろうか。感覚神経で感じ取られる要素は、体で処理して、その情報を元に情緒、心が育まれる。料理人にとって大切なのは、舌のセンスであり、ある程度は食べてもお腹を壊さない胃腸の強さであり、ネコ舌で熱い料理が苦手だと思いきりハンデになる」

晶華「シロ先輩は?」

シロ「……熱い料理が作れない。だからスイーツ専門なんだ。アッキーが今からぼくにスイーツで打ち勝つ方法が一つある。それはホットケーキとか、クレープだ」

晶華「なるほど。ホットケーキはシロ先輩の弱点なのかあ」

シロ「そのために、リトルがいるんだ」

リトル「熱い料理はリウに任せて下さいぃ」

シロ「ボクの苦手なことは、リトルがサポートしてくれるようになったおかげで、ボクの料理にも幅が出てきた、とアリナ様に誉めていただいたんだ。もちろん、自分の苦手なことを全てリトル任せにしているんじゃなくて、自分にできる範囲はしっかりできるようにする。その上で、どうしてもままならないことをリトルにフォローしてもらう、それで連携クッキングの技を修練中なのが今だ」

晶華「ふ〜ん、じゃあ、私も自分の得意なクッキング技を身につけて、連携に混ぜてもらうようにしないといけないわね」

シロ「アッキーは、得意技とかを考える前に、まずは基本技を身につけるレベルから始めないといけないだろう。料理は遊びじゃなくて、日々の営みの中にあるんだ。日々の営みを普通にこなすことから始めて、その上で得意料理が生まれるのであって、たまたま手慰みに作った料理、それ一つしか作れないものを得意料理とは言わないだろう」

晶華「得意料理がチキンラーメンというのは?」

シロ「インスタントラーメンを料理と言っていいのかどうか疑問には思うが、日々の家庭でアイデアを試すにはいい選択かもしれない、とCMを見て思った。別にアッキーはプロの料理人を目指しているわけじゃないから、新星さまに愛情たっぷりのチキンラーメンを作ってあげるにはいいかもな」

晶華「何で、NOVAちゃんのためなのよ? 私は自分のためにチキンラーメンを作って食べるのよ」

シロ「だったら、新星さまは?」

晶華「好物はサッポロ一番みたい。あと、どん兵衛

シロ「何だかインスタント麺ばかりで寂しい食生活に聞こえるが?」

晶華「気のせいよ。たまたまインスタント麺の話題になっているだけで、他にも食べてるし」 

シロ「他に何を?」

晶華「そうね。好きなのはこれかしら」

シロ「結局、麺類じゃないか! ……とツッコミ入れても仕方ないか。何しろ、藤岡さんだからなあ」

リトル「ええ、藤岡さんだから仕方ないですねぇ。新さまが好きでも納得できるというものですぅ」

晶華「うん、これにケチをつけようものなら、怒涛の勢いで説教されてしまうから。UFOを否定しちゃ、このブログ時空の敵に認定されてしまうわね」

シロ「いや、UFOがどうって話じゃ、もはやないと思うんだけど、まあいい。とにかく、新星さまの好きなインスタント麺の話はどうでもよくて、今、大事なのは得意技を身につける前に基本の技を身につけないとって話だと思う」

晶華「あれ? そんな話だった? 大体、デザートのスイカを用意しようって話だったのに、料理の心技体がどうこうって言い始めて、寄り道脱線時空に突入したのは、シロ先輩じゃないかしら? 今、大事なのはスイカでしょう🍉」

シロ「うん、そうだな。スイカが大事だ。では、アッキーに問う。日本で一番スイカがたくさん取れる場所はどこだ?」

晶華「え? リンゴなら青森、ミカンなら愛媛、ぶどうと桃が山梨ってのは常識だけど、スイカの名産地がどこなんて考えたこともなかったわ。鳥取は5位ってのは、さっきの動画で分かったけど。ええと、北海道?」

シロ「フフフ。実は阿蘇のあるこの地、熊本だったのだよ。2位が千葉で、3位が山形といったところだ」

 晶華「なるほど。熊本はスイカの名産地ってことね」

シロ「よし、無駄話はこれぐらいにして、さっさとスイカを斬って、アリナ様と翔花を喜ばせに行くぞ」

晶華「そうね。お姉ちゃんのために心を込めてスイカを斬るわ。切断技・花粉返しを今こそ披露するときね」

リトル「花粉返しって何ですかぁ?」

晶華「花粉粒子を刃に精製したポールン包丁でシャキッと切り刻むの」

シロ「スイカを斬るのに、花粉包丁なんて使うな。スイカが花粉まみれになるだろうが」

晶華「花粉スイカも乙なものよ」

シロ「とにかく普通の包丁を使え。まずは基本的な包丁の使い方をマスターしろ」

晶華「仕方ないわね。この合宿の間に、華麗な包丁さばきをマスターするわ」

 

一方そのころ、道場にて

 

ヒノキ「粉っちゃん。屋久島での修行の成果、この機会にわらわが試してくれるわ」

翔花「ええ。NOVAちゃんからも、ヒノキちゃんに一度、手ほどきをしてもらえって言われているの。神霊候補として、自分がどこまでの技と力を身につけたか、本気でぶつけさせてもらいます(ゴゴゴゴゴ)」

ゲンブ「おお、粉杉どのから緑のオーラが立ち昇っている!」

ヒノキ「なるほど。力の波動がビンビン伝わって来おるわ。ならば、わらわも(ゴゴゴゴゴ)」

ゲンブ「おお、アリナさまからも、赤いオーラが! 緑と赤の激しい闘気がぶつかって渦を巻くというのか?」

ヒノキ「さあ、行くぞ、粉っちゃん! 花精戦隊シキリンジャーのリーダーの資格があるか、今こそ見極めてくれる! 力不足が露呈したなら、リーダーの座はわらわのものじゃ!」

翔花「リーダーの座なんて、わたしにはどうでもいいけど、花粉症ガール1号としてNOVAちゃんの期待に応えるためにも、ヒノキちゃん、あなたを乗り越えてみせる!」

 

 こうして粉杉翔花と日野木アリナの激突が始まった。

 果たして、神霊候補の娘と、現役神霊の力比べの結果はいかに?

(当記事 完。合宿編は3にて完結予定)