リトルの勉強会
リトル「アリナ様、ソード・ワールドの魔神ハンターリプレイで、デルがレベル4プリーストになっているんですけど、この機に神聖魔法について勉強したいですぅ」
ヒノキ「神聖魔法か。そう言えば、新兄さんところの妖精郷も含めた妄想リプレイで、デルニールは唯一のプリーストじゃったな。これまでソーサラーの真語魔法、コンジャラーの操霊魔法、ウィザードの深智魔法、マギテックの魔動機術、フェアリーテイマーの妖精魔法、それにドルイドの森羅魔法なんかは必要に応じて研鑽してきたが、プリーストの神聖魔法にはあまり触れて来なかった」
ゲンブ「しかし今後、神官戦士として活躍してもらうためには、一度じっくり考えてみるのもいい頃合いかも、でござる」
ヒノキ「うむ。ソード・ワールドでの神聖魔法は、信仰する神の性質によって変わって来る。基本は第一の剣ルミエルにまつわるもので、人族としてプレイする上では当然、対蛮族やアンデッドに対抗するための呪文も多く設定されておる」
ゲンブ「意外と、対魔神用の呪文が主流ではないのでござるな」
ヒノキ「ラクシアの神々は、当然、ラクシアに起源を持つが、デーモンこと魔神は異世界の存在ゆえ、ラクシアの理から外れておる。すなわち、神と魔神の接点が薄いゆえ、多くのラクシアの神は魔神退治の専門家とは言えないわけじゃ」
リトル「キリスト教文化の強い世界観ですと、神への対立軸として悪魔や魔神が設定されがちですけどねぇ」
ヒノキ「D&Dでは、悪魔がデビルの訳で、魔神がデーモンの訳。この2種類の用語は、デビルが堕天使ルシフェルを代表とする神への反逆者が悪堕ちしたものとされる、いわゆる裏切り者であるのに対して、デーモンは元来、キリスト教以外の異教の神々が敵認定されたもの。言わば、キリスト教文化の内なる悪がデビルで、異文化を悪認定したのがデーモンと区分される。よって、ソード・ワールドでは魔神デーモンはいるが、デビルは存在しない」
ゲンブ「D&Dのアラインメント的には、デビルはローフルイーヴィル(秩序にして悪)、デーモンはケイオティックイーヴィル(混沌にして悪)と区別されているでござるが、一時期はリアル宗教の問題で、デビルやデーモンという言葉が使われなかったそうでござるな」
ヒノキ「AD&D2版の時期に、デビルをバーテズゥ、デーモンをタナーリと用語置き換えすることで、『D&Dはデビルやデーモンのことを詳しく記した悪魔崇拝のゲームである』という批判を逸らそうとしたが、その後、21世紀になると、その手の批判が鳴りを潜めたのか、社会のファンタジーゲームの理解が進んだのか、デビルやデーモンの語を普通に用いるようになって、バーテズゥは高位のデビルを指すとか再定義されるようになった」
リトル「ええと、アリナ様? リウが知りたいのは神さまの方であって、悪魔や魔神なんかの話は見当違いだと思いますぅ」
ヒノキ「むっ、そうじゃったか。おまけに、D&Dの話もよけいな寄り道じゃったな。デーモンの話はまたいずれの機会にして、とりあえず今のソード・ワールドの世界設定であるラクシアでは、基本的に調和を重んじる人族(第一の剣ルミエル陣営)と、闘争と自由、混沌と個人主義に傾きがちな蛮族(第二の剣イグニス陣営)の対立がメインテーマで、さらに中立的な第三の剣カルディアが砕け散ってマナの元になり、神々もルミエル、イグニス、カルディアのどれに由来するかで性質が大きく変わって来る扱いじゃ」
リトル「炎武帝グレンダール様は、人族の味方のルミエル陣営ですよねぇ」
ヒノキ「ドワーフを創造した戦神であり、炎と鍛治の神。蛮族社会にはダークドワーフが持ち込んだらしいが、自らを鍛えて強くなるという教義が武を重んじる一部の蛮族にも受け入れられ、トロールやケンタウロスの武人の間で歪んだ教義で信仰されたりもしているらしい」
リトル「歪んだ教義ですかぁ?」
ヒノキ「本来は、創造のために鍛えるべき力を、破壊のために使うのが蛮族流という感じじゃのう」
ゲンブ「グレンダール信仰と、蛮族の主神である戦神ダルクレムの信仰が混ざったようでござるな」
ヒノキ「ダルクレムは、何をしてもいいから勝て、という教義で、グレンダールは逆境を耐え忍んで勝て、という教義。また、一説によると、グレンダールはダルクレムよりも先に第二の剣イグニスに触れて神格を授かったという話もあり、その破壊の力を恐れて封印しようとしたところ、ダルクレムに奪われてしまったという可能性もある」
リトル「そうなんですかぁ? だったら、グレンダール様は実は第二の剣に属する神だったという衝撃の事実があるとぉ?」
ヒノキ「あくまで異端の説じゃがの。そういう神々の細かい話なんかは、基本的な神々の概要紹介が書かれたルールブックに加えて、ゴッドブックという2.0時代のサプリメントにも面白い記述がいろいろ見られて、想像力を掻き立ててくれるのじゃ」
リトル「ええと、この本では46柱の神さまを紹介していて、そのうち37柱の神さま専用の特殊神聖魔法を網羅しているんですねぇ。ラクシアにはそんなにいろいろな神さまがいるんだぁ」
ヒノキ「2.5版になって、さらに増え続けていて、いずれまたアルフレイム大陸用の改訂版ゴッドブックが 出るかもしれんのう。前のゴッドブックは2017年に出て、基本ルールブックから9年を経たので、次のゴッドブックはそれから10年後の2027年かもしれぬが」
ゲンブ「あくまで同じペースでサプリメントが出れば、の話でござるが、未来予測の基本は過去のケースと同じような現象、同じような周期で物事が繰り返された場合を考慮した上で、ということになる。もちろん、時代の変化に合わせて、同じような現象や周期が繰り返されるとは限らぬものだが、それでも『前にこうだったから、今回も同じような流れで物事が進めば、こうなる可能性が大いに考えられる』という過去のデータを適切に用いた、根拠ある未来予測は相応の説得力を伴うでござる」
ヒノキ「まあ、過去にこうだったから、という話にこだわり過ぎるのも頑迷な態度と思うが、判断材料の一つにはなろうし、月の満ち欠け、季節の巡り、星々の運行など周期で動く物事はいっぱいあるうえ、前例を踏襲した上で定期的に、規則的に物事を動かすのも、一つの社会システムと言えよう。その上で、周期の変化に応じて、あるいは変化の可能性を細かいデータから読みとって、時流に合わせるのも生き残る道じゃ」
リトル「それで、判断基準が見えない異変に際して、占いや神のお告げを判断基準にしてしまうケースも多く見られがちですねぇ」
ゲンブ「苦しい時の神頼み、という言葉もあるでござるからなあ。合理的根拠に基づいた常識的意見が基本にあって、その上で根拠には乏しくても霊的直感や洞察力に秀でた人間は確かにいて、『何となくイヤな感じがする』とか『こうすれば上手く行くように思えた。理由は説明しにくいけど』とかで成功する人間も挙げられる。結果が上手く行った後で、『今から思い返すと、こういうことに無意識に気付いていたんでしょうね』と思い出すこともあったりして、そういうセンスを持ち合わせた人間の存在を否定すべきではないと思う」
ヒノキ「もちろん、世の中、理屈で割りきれないもの、目には見えずとも確実に存在しているものが数多くあるからのう。合理性と非合理性の間に上手く橋渡しをして、それを感じとられない人間にも分かるように言葉で説明できる能力を磨いた者が、いわゆる空想小説家というものかもしれん」
リトル「合理と非合理の橋渡しですかぁ。つまり、両方のバランス感覚が問われるわけですねぇ」
ヒノキ「もちろん、理論重視の作家もいれば、理屈抜きの空想が溢れかえってイメージだけで作品世界を生み出すタイプの作家もいて、そのスタイルやバランスの重心は人それぞれじゃがの。だから、自分なりのスタイルはこうだと意識的に説明できるレベルじゃと、作家として安定度があるじゃろうし、それを説明できない程度では言葉で商売することもままならんわけで。また、批評するなら、せめて他の作家のスタイルはこうで……ということを説明する能力が必要で、確かに自分のことは分からないけど、他の人物や事象を読み解く方に長けた人間もいて、これも視点が自分に向いているのか、他人に向けられているのかで得意分野が変わってくる」
リトル「って、話が神さまの話から、作家の話に変わって来ていますがぁ」
ヒノキ「物語世界においては、作家は神みたいなものじゃからのう」
改めて神聖魔法の話
リトル「小説家やゲームマスターを神に例える風潮は、この10年のフィクション界でずいぶん増えたと聞きますが、そういう分析はまた別の機会にするとして、今はソード・ワールドの呪文に専念しますぅ。神さまの話は奥が深くなり過ぎるので、下手に手繰り寄せると何が飛び出してくるか分からないことが分かりましたぁ」
ヒノキ「うむ。神聖魔法を分類すると、人族用の基本魔法と、蛮族用の対人族呪文にまず分かれる」
ゲンブ「D&Dでは善良キャラ用の呪文と、邪悪キャラ用の逆呪文という形で表現されているでござるな」
ヒノキ「善良の神が人を癒す力を与えているのに対し、邪神の使徒は癒しの力を逆用して人を傷つけたり、毒に冒したり、病気に蝕んだりするわけじゃ」
リトル「キラメキの反対がヨドミで、開くの反対が閉じるで、ヤル気の反対が後回しみたいなものですかぁ?」
ヒノキ「作品世界ごとに対立軸がしっかり設定されておるとテーマ語りもしやすいし、物語の方向性も統一感が見られるので、そこを踏まえた話ができると、作品批評の第一歩と言えような」
ゲンブ「しかし、癒しの反対が病禍というのは凄まじくタイムリーなテーマ設定でござったな。世相に合わせた感情移入が凄いレベルに達したでござる」
ヒノキ「文字どおりプリキュアはプリティでキュア、すなわち『可愛くて癒しを与える存在』じゃからな。しかも世界レベルで癒しが必要な時代は、100年単位、世紀単位のスパンじゃろうし、番組開始時から病弱主人公が癒しの力に目覚めて、だけど助けを求めた敵に対しては癒しを拒むということでも物議を醸した。これによって、ヒーローヒロインの守るべき理念は何か、どこに正義の重点を置くかというテーマに一石を投じたわけじゃ。こういう視点は、複数の正義の乱立や、他人の善意を当てにした自己中な態度をどう処理するか、という物語に重要な課題を与えたとも言える」
ゲンブ「まあ、最後の最後で安易にハッピーエンドとは言わずに、『人類が自然を蝕む病原体みたいなものではないか?』『病原体との戦いは終わらない』『人類は自らが病原体とならないよう、心の光を忘れてはいけないし、慈悲の心で病原体と共存しようなどという甘えた考えじゃ、自分の心を病むばかりなので推奨できない』という重いテーマを突きつけた挙句、その脚本家が現在、全力全開で吹っ切れたようにおバカな(褒め言葉)ストーリーを書いているのが現状」
ヒノキ「何というか、ライダーを挟んで、プリキュアと戦隊がリンクしているような現状じゃが、それはさておき、D&Dでは逆呪文以外にも、呪文の領域というものが設定されていて、例えば現在の5版では、アテナのような戦女神は『戦』『知識』の領域が推奨されていたりして、それは北欧の主神オーディンの推奨領域と同じであるとか、善なるドラゴン・バハムートの推奨領域が『戦』『生命』だったり、各種のファンタジー世界を想像・構築するためのヒントとなる資料がいっぱいじゃ」
ゲンブ「現在のD&Dはフォーゴトン・レルムを基本世界としつつも、多彩なファンタジー世界をDMが自作するための資料としても使えるでござるからな。言わば、ルールブックそのものが汎用的なファンタジーイメージソース的な性質も持っていて、1ゲーム1世界観なソード・ワールドとは向いている方向が異なっている」
リトル「つまり、ソード・ワールドの方がシンプルということですかぁ?」
ヒノキ「ルールそのものはD&D5版の方がシンプルで、ソード・ワールドの方が実際のプレイでは扱うデータが多いというのが、新兄さんの分析じゃ。プレイ中に考える細かいデータが多いのはソード・ワールドで、実プレイした場合は、D&Dの方がサクサク進む(4版は例外)。よくクラシックD&Dは簡単で、アドバンストD&Dは難解と言われておったが、ダイス振りというプレイシステムはほぼ同じで、難解なのは後者が選択できるデータが多すぎて、全貌をつかむことが困難という一点じゃ。
「ソード・ワールドも2.0時代にサプリメントを順調に増やしてきて、整理が必要になってから、改訂版ルール、そして今の2.5に継承されておるが、そりゃあ、どんな世界も『そこに飛び込んでいない人間には、難解そうに思える』のは当然で、そういう自分の理解度に応じた分析、批評のし方というものがある。知識も伴わず、ろくに研鑽もしておらず、思い入れもない対象に対して、『よく知りもしないで雑に否定するな』という全てのオタク、マニアに突き刺さりそうなセリフを内気な魔法少女の機械生命体に言わせた脚本家には拍手喝采じゃのう。うむ、正にその通りと頷ける発言じゃ」
ゲンブ「確かに、自分が知らないものを上から目線で見下しにしがちなのは、我も経験がござる。平成ライダーの芳醇な魅力を、所詮はTVのヒーローなど劇場の大スクリーン映画には及びもつかんと思い込んでいた過去の自分が恥ずかしい。やはり、自分にその対象を批判する資格は果たしてあるのか、と自問自答する習慣は付けて、知に対する謙虚な姿勢を持たなければ、と感じ入った次第」
ヒノキ「それにしても、ゼンカイジャーをソード・ワールドで再現しようと思えば、人間一人とルーンフォーク4人のパーティーとなるので、ジュランがファイター、ガオーンがグラップラー、マジーヌが魔術師系技能と占い師のミスティック、そしてあと1人、ブルーンが何になるじゃろうか」
ゲンブ「セージは確実にして、マギテック辺りが有り得そうか。一応、イメージ的にはパワーファイターの方向もありでござろうが、接近戦型なのか遠隔砲撃型なのかによって、取得技能も変わって来よう」
リトル「性格的には内気みたいなので、積極的に前に出て戦うキャラには見えませんが、変身すると人格が豹変するキャラも多いですからねぇ。じっさいに見てみないと、予断で確定することはできないと思いますぅ」
ヒノキ「図書館ごもりのメガネキャラという意味では、はじけるパパイアと同方向のキャラ性じゃからのう。変身するとバケる可能性も想定しておくべきじゃな」
ヒノキ「訂正。キュアパパイアの名乗りは『ひらめく果実(フルーツ)』 じゃったな。サブタイトルが『はじける』じゃったのと、昔の黄色プリキュアとかぶって混同していたようじゃ」
キュアレモネード - Cure Lemonade (Transformations Comparison)
リトル「ひらめくということは、ひらめキングの後継者でしょうかぁ?」
ヒノキ「ひらめくのが直感なのか、知識なのかにもよるが、知識系の参謀キャラという方向性なら、充瑠よりも為朝の立ち位置になるかもしれぬ。それよりも、わらわの注目は次に登場する炎の鳥、『はためく翼』のキュアフラミンゴに当たっておる。次回が楽しみじゃのう」
ゲンブ「それにしても、今回の記事は、なかなか方向性が安定しないでござるなあ。一体、ソード・ワールドの話をしたいのか、プリキュアの話をしたいのか、戦隊の話をしたいのか、D&Dの話をしたいのか、混迷も甚だしい」
ヒノキ「つまり、作者の新兄さんの頭がフワフワして、混沌の渦に陥っているということじゃのう。こんな状態で、リトルよ、本当に神聖魔法の研鑽ができると思うか?」
リトル「作者が神に例えられるなら、神の頭が混沌状態だと、世界も混沌に飲み込まれるということですかぁ? だったら、頑張って作者に【サニティ】の呪文をかけて正気を取り戻させないといけませんねぇ」
ヒノキ「おお。レベル1神聖魔法キター」
リトル「今まで一度も使ったことがないですけどねぇ。魔神ハンターのプレイ中に、正気を失うような状態はなかったですからぁ」
ゲンブ「セイレーンの魅了を受けた際に、必要とする可能性があったでござる」
リトル「でも、プリースト自身が魅了されたら、どうしようもないので、回復治療役は肉体的にも精神的にもタフでなければならないのですぅ」
ゲンブ「うむ。医療崩壊という言葉が昨年、実感を持って語られるようになっただけに、改めて医療従事者の大切さを考える時代でござるなあ」
ヒノキ「医療に限らず、優秀なメンテナンス要員は、仕事を順調にこなしている時はトラブルが発生していないので、傍目には仕事をしていないように見えることもある。そういう縁の下の力持ちをコストカットで切り捨てることで、いざと言うときにトラブル対処能力を喪失した企業というケースもあるようじゃ。目に見えない、目立たないけど、重要なインフラ設備とか、災害への備えを『当面必要なさそうだから』という理由で疎かにするといけないということじゃのう」
ゲンブ「リスク管理、危機管理ということでござろうか」
ヒノキ「まあ、冒険者という職業は、常日頃からリスクに向き合うことが仕事であるゆえ、敵から受けるダメージや、バッドステータスを想定して、対処方法を検討しておくことが欠かせまい」
リトル「で、そのパーティー全体のメンテナンス要員がプリーストということで、今後の危機への備えは万全に考えるんですぅ」
レベル1神聖魔法
リトル「プリーストのレベル1魔法は、先程の【サニティ】と、【バニッシュ】【フィールド・プロテクション】の3つですねぇ」
ヒノキ「【サニティ】は精神効果属性の呪文や特殊効果を解除して、正気に戻させる呪文ゆえ、そういう被害を受けた場合のみ利用することになる。ゆえに、高レベルになって特殊効果を使う敵が増えれば、必要不可欠な状況が生まれるはず」
リトル「【バニッシュ】は対蛮族およびアンデッドを恐慌状態にする呪文ですぅ。使ったことがないですけどぉ」
ゲンブ「何しろ、蛮族の地下都市に蛮族のフリをして潜入しているわけで、この呪文を使っているところが見られると、人族のプリーストであることが明白でござるからなあ」
ヒノキ「一方、蛮族側のプリーストはこの呪文に似た効果の【フィアー】を人族に対して使ってくる。だから、アンデッドに対して使うなら、【フィアー】を使ったと言い張ることも可能」
リトル「ただ、この呪文って効果が不安定なんですねぇ。抵抗されると効果消滅ですし、相手の抵抗力を抜いても、効果は3種類のどれか。恐慌から興奮してバーサークするか、マイナス1のペナルティーを受けるか、逃げ出そうとするか」
ヒノキ「いわゆるD&Dのターン・アンデッドに相当する効果じゃが、蛮族あるいは人族に対する精神効果属性のデバフ魔法とも言える」
リトル「デルたち烈火団では、いちいちそういう小細工をしなくても、一気に殴り倒した方が早いと思うですぅ」
ゲンブ「一応、効果範囲が複数なので、アンデッドがわらわら出てきた時は使う機会があるかもしれぬが、蛮族の地下都市ではリスクが大きく、その割に効果が不確定なのが使いにくいでござるな」
リトル「で、防護呪文の【フィールドプロテクション】。公式リプレイでも、プリーストの一手目はまず、この呪文をかけるところから始まっていることが多いですぅ。コンジャラーの【プロテクション】と組み合わせて各1点、合計2点のダメージを減らすことが可能」
ゲンブ「敵側の数が多くて、必然的に攻撃回数が増える場合には、かなり有効でござろう。1ラウンドで5回ダメージを受けそうな場合では、【プロテクション】込みで合計10点のダメージを軽減できるわけで」
ヒノキ「さらに練技の【ビートルスキン】と組み合わせることで、防護点が4点上がったのと同様の効果があり、たかが1点の防御効果も他と重ねがけすれば、非常に高い性能を発揮する。つまり、ダメージを受ける機会の多い重戦士ほど恩恵があるわけじゃ」
リトル「問題は、G太郎師匠って回避が高かったり、カウンターしたりする戦術が確立してしまっているので、この呪文の必要性が少ないんですねぇ」
ゲンブ「そんなことはない。今後、敵が範囲攻撃呪文などを仕掛けてくる場合、全員のダメージが1点ずつ減るなら、イノセントを含めてパーティー総計4点のダメージが減る計算。物理攻撃だろうと魔法攻撃だろうとダメージを減らしてくれる効果は、ありがたいでござる」
ヒノキ「とりあえず敵が瞬殺できる程度のザコなら、この呪文は必要ないじゃろうが、ある程度、時間が掛かりそうな戦況では、あらかじめ掛けておくのが良いじゃろうな」
リトル「続いて、レベル2呪文ですがぁ……」
ヒノキ「今回はここまでにしておこう。一気にレベル4まで片付けるのも大変じゃから、小分けにしておく方が望ましい」
リトル「分かりましたぁ。ところでシロ姉さんは、時空魔術師さまのところに出張しているんですねぇ」
ヒノキ「うむ。アッキーの誕生日のケーキのために呼ばれたのと、それからコナっちゃんとの交信のために、シロの力が必要らしいと新兄さんから連絡があったので、シロの奴、喜んで尻尾を振って、向こうへ行きおったわい」
リトル「どうして、リウも連れて行ってくれなかったんでしょうねぇ」
ヒノキ「たまにはシロも、弟分のお主から距離を置いて、自分のプライベートを優先したくなることもあるじゃろう。お主もシロ抜きで行動しないといけない時がいずれ来るかもしれんしのう」
(当記事 完)