第1部最後のミッション
ヒノキ「さて、今回はクライマックスのミッションになるはず」
ゲンブ「すると、剣の恩寵ルールを忘れずに使うといいでござるな」
シロ「そう言えば、そんなルールがあったな。最初に自己紹介と冒険への決意を宣言すると、そのセッション中に、決めゼリフと共に判定ボーナスが得られるルール」
リトル「リウはどんな決意を宣言したかなぁ」
ヒノキ「忘れたのかよ! ……とまあ、実際のところ、そのルールはセッション頭に決意して、そのセッション中に1回使えるというものじゃが、当リプレイでは1部に1回という形にしたからのう」
ゲンブ「1ミッションに1回という形ではどうでござろうか?」
ヒノキ「う〜ん、それだとミッション攻略の危機感が激減すると思うんじゃがのう。毎ミッションで、判定ボーナスに+4もできるとなれば、とりあえず難易度の高い判定に使っておけ、という形になって、今、ボーナスを使うか、後のミッションまで残しておくか、というジレンマが得られん。今回のクライマックス戦闘は敵が手強いけど、まだ行けるかも知れない。それより、次こそ使うべき時が……と思い悩むのも一興かと。やはり、切り札をそう安易に何度も使うというのは燃えんからのう」
ゲンブ「そう言って、大事に使わずに温存しておいて、結局、最後まで使うことがありませんでした、となるパターンもあるでござるからな」
ヒノキ「だから、今、確認しておるんじゃろ」
シロ「ええと、第1部スタート記事はこれですね。もう一月半も前の話ですか」
ヒノキ「短期集中連載で、一週間から10日ほどで各部を一気に終わらせていた頃が懐かしいのう」
ゲンブ「それをすると、他に書きたい記事が書けなくなるという弊害を感じて、作者がペースを下げようと判断したでござるからなあ」
ヒノキ「ともあれ、改めて自己紹介セリフを確認するといい」
リトル「デルニールは、『熱血ハートは元気の印! 元気爆発な魔神ハンター・デルニールとはオラのことだぁ!』と言っていましたねぇ。キーワードは熱血とか元気で、問題ないですかぁ」
シロ「いい感じだな。ホリーは、『クールなハートは知性の証! 陰をまといて闇を斬る魔法剣士ホリー・カーシェイン参る!』だったけど……」
ヒノキ「クール? どこが? 何だか妙な情念の塊に激走しているような現状じゃが?」
シロ「……ですよねえ。たぶん今だと、『メルのため』とか『イノセントと共に』とか言う方がしっくり来ると思いますが、とりあえず今回のミッションでは、キーワードをクール、知性、陰とか闇とかを意識したいと思います」
ヒノキ「まあ、不自然にはならんようにのう。さて、ゲンブのG太郎じゃが……」
ゲンブ「我は、すでに剣の恩寵を使っているのでござるよ。早くも2話めにて」
シロ「先制判定でピンゾロ出して、フォローに回ったボクの先制をサポートするためにか」
ゲンブ「実のところ、G太郎は一人だけレベルが高いので、大抵の判定には成功する。失敗するとすればピンゾロを出した場合ぐらいで」
ヒノキ「それでも、何故かG太郎のピンゾロ率は妙に高いので、見ていて、大丈夫か? と思うことしきりじゃが」
シロ「能力は高いのに、何故かミスが続いて不安定なのは、仮面ライダーギャレンこと橘さんを彷彿とさせるなあ」
ゲンブ「まあ、お笑い芸人であるゆえに」
リトル「橘さんという人も、お笑い芸人なんですかぁ?」
ヒノキ「いや、そんなことはないはずなのじゃが。頼れるクールな先輩のはずなのじゃが、結果的に『頼りにならないお笑いネタキャラ』になりつつ、『時たま大当たりの勢いでボスキャラを粉砕することもある』わけで、良い場合も悪い場合も、『さすがは橘さんw』と言ってもらえる愛されキャラなのじゃよ」
リトル「よく分からないですぅ」
シロ「実力はあっても運がないので、結局、活躍は主役の後輩に持って行かれて、『俺の体はボロボロだ』と言っていたら、実は気のせいでメンタルの弱さに起因するとか、劇中で言っているセリフがことごとく裏目に出る傾向があるタイプだな。『こいつは強敵だ。手強いから気を付けろ』と言った直後に、後輩がクリティカルを連発して、あっさり相手を撃退してしまったら、どうフォローすればいいのか分かるか?」
リトル「よっしゃラッキーと叫んで、後輩を褒め称えますかねぇ」
ヒノキ「あるいは先輩風を吹かして、『今のはたまたま運が良かっただけだ。油断するな、次が来るぞ。残りはザコだが慎重に当たる』と状況分析は的確なんだけど、ノリの悪いキャラかもしれんのう。周囲を盛り立てる意味での熱血リーダーシップは取れない。まあ、それでも慕ってくれる剣崎とは、いいコンビかもしれんが」
シロ「剣崎は、どんな局面でも大体は前向きですからね。睦月と違って増長せずに、自分の仕事をきちんと果たし、しかも周りをきちんとフォローする。それなのに、滑舌の悪さだけでネタにされて、彼の持つヒーロー性はあまり注目されなかったような」
ヒノキ「周囲がトラブルメーカーばかりなので、状況解決に追われて、当たり前のようにヒーロー仕事をやっていたから、ほとんど聖人みたいな境地に達していたけど、本人自身のドラマが少なかったので、周りに振り回されているだけのいい奴以上の個性が見えにくかったからのう」
ゲンブ「って、何を平成ライダー談義にかまけているでござるか? この2、3年ほどでようやく平成および令和ライダーに注目するようになった我としては、話に付いていけなくて閉口するでござる。まあ、最近、ウィザードに登場するメデューサのデザインの元ネタがゲンブだと知って、にわかに注目するに及んで、『ミサちゃん萌え』と言うべきかどうか密かに悩んでいたら、次回の配信で消滅すると聞いて、『我のミサちゃんが〜(涙目)』とリアクションすべきか葛藤中でござる」
リトル「し、師匠……」
ヒノキ「お主、そんな発言をしたら、これまでハードボイルドキャラで通してきたGeneral Bucklerゲンブのパブリックイメージが台無しじゃろう。マッスル太郎のお笑い芸人ドジキャラスタイルは、ロールプレイだとして、ゲンブ本人が『ミサちゃん萌え〜』なんて言ったらキャラ崩壊まっしぐらじゃ」
ゲンブ「しかし、昭和のガメラは子どもに優しく、平成のガメラは巫女役の美少女を守るというのはファンの常識であるからして、だったら我がゲンブつながりのミサちゃんにシンパシーを感じても問題あるまい」
ヒノキ「大ありじゃ。だったら、ずっと太陽の中で焼失と再生を繰り返しているフェニックスさんに同情しているのに、その気持ちを包み隠しているわらわの心情はいかばかりか」
シロ「まあまあ、アリナ様。最近は不死鳥王さまがキラキラロボになったのだし、不死鳥愛はそちらに注ぎましょうよ」
ヒノキ「うむ、わらわの今の推しはグレイトフルフェニックスに確定じゃ」
シロ「ボクは、仮面ライダーブレイズに注目していたら、後から忍者ライダーが出て来たからなあ。倫太郎か蓮か、悩んでいる最中」
リトル「ところで、仮面ライダーウィザードのメデューサが玄武モチーフで、フェニックスが朱雀モチーフということは納得ですけど、だったら白虎モチーフや青龍モチーフはあるんですかぁ?」
ヒノキ「白虎モチーフはワイズマンらしい」
シロ「ああ、だから白い魔法使いにつながるんですね」
ヒノキ「番組終了後に、正式名が仮面ライダーワイズマンに設定されたからのう。そして、一応、グレムリンが青龍モチーフということで、同じドラゴンモチーフの晴人と対になってライバル関係になるという意図もあったらしいのじゃが、劇中ではそういうモチーフ意図が伝わりにくかったようじゃのう」
リトル「グレムリンを見ても、ドラゴンだとは思いませんもんねぇ」
ヒノキ「進化体を見ると、ドラゴンモチーフがはっきり分かるがのう。まあ、それはともかく、ゲンブのG太郎はすでに剣の恩寵を使っておるが、話を引き戻すために自己紹介を確認しておこう」
ゲンブ「やむを得ないでござるなあ。『お笑いハートはパワーの肥やし! 力と技と知性を兼ね備えた、いぶし銀たる師匠、マッスルG太郎の東方は紅く燃えている!』……って繰り返すのは、かなり恥ずかしいセリフでござるぞ、これ。あの時は、勢いで言ったのだが」
ヒノキ「ということで、いろいろと寄り道だらけの前置きヒーロー談義になったものの、ここから『魔神ハンター第1部最終ミッション』を始めることにする。これを終えて、新兄さんのサイト創設20周年記念に突入するのが、わらわたちのミッションじゃ」
新たなパトロンを求めて
GM(ヒノキ)「前回で、お主たちはケンタウロス・インペイラーの襲撃を撃退し、拠点の肉の穴に食糧を届けることに成功した。6日めの深夜を越えて、未明の話じゃ。今回は睡眠休息をとって、それから遅い朝食を食べた7日めの昼前から始まる」
G太郎(ゲンブ)「さて、ここまで密偵救出と食糧調達の2つのミッションを果たして来たわけでござるが、この辺りで肉の穴には一度、お暇を告げて、違う仕事先を開拓したいでござる」
ホリー(シロ)「その必要があるのか? ボクはメルから離れたくはないぞ」
デル(リトル)「オラは師匠に付いて行くぜぇ」
GM「『そんな。デルニール様、わたしを見捨てるつもりですか?』とカレンが言うのじゃ」
デル「ええ? そこまで頼られちゃってるの?」
GM「うむ、シャドウ族の女密偵カレン・ファランティアは命の恩人であるデルニールに心酔しておる。額の三つ目も含めて目がハート状態で、その様は倫太郎に惚れた須藤芽依の如しじゃよ」
デル「ああ、あの締め切り締め切りうるさい癖に、自分は仕事をしている様子がちっとも窺えない編集者の女。編集者だったら、せめて担当作家の作品をリスペクトしろよなあ……と時空魔術師さんが土豪剣激怒してたそうですぅ」
GM「なまじ、神山飛羽真が締め切りをきちんと守る作家だから、原稿を受け取った後は編集者が本を作るために忙しく動くはずの状況で、仕事に移らないのでは、作家の苦労が報われんという話じゃな。別に編集の仕事は、作家に原稿を催促し、締め切りがどうこう言うだけじゃなかろうに。どうも作家を描くことだけに集中して、本を作る編集仕事がおざなりにしか見せられんのでは、出版物が表のライターと裏方の編集者の共同作業であることを失念した姿にしか見えん」
シロ「せめて、原稿を受け取ったら遊びに行こうじゃなくて、原稿を受け取って本が完成したら遊びに行こうとか、一緒に取材に協力しますよとか、今の不安定な状況が解決するまで出版予定が立たないみたいなので、本を出すためにも全力でライダーを応援しますとか、編集者が頑張って仕事してるとか、仕事ができない状況をチラ見せするとか、その辺もフォローできればいいんですけどね」
GM「まあ、ヒーロー活劇の描写の重点ではないから、その辺はコミカルに見せればいいということかもしれんが、それでもギャグというのは一人で騒いでいるだけじゃつまらなくて、オーバーアクション気味なギャグをツッコむ相方が欲しいところじゃのう」
デル「或人社長をセイバー世界にお呼びしましょうよぉ」
GM「というか、飛羽真自身がツッコミ役になればいいだけなんじゃがな」
飛羽真『芽依ちゃん、この前渡した原稿はどうなってる?』
芽依『ああ、あれはしっかり文書データに打ち込んで、編集長に渡しておいたから。今どき紙の原稿なんて珍しいよ。飛羽真がパソコン使えたら、あたしの仕事もずいぶん楽になるのに。打ち込むの手間なんだから』
飛羽真『いや、紙に書くのが想いを込めやすいんだよ。俺の原稿を芽依ちゃんが形にしてくれるんだから、そこは大感謝してますって』
芽依『だったら、今度スイーツを奢ってね』
飛羽真『原稿料が入ったらな』
芽依『じゃあ、これ原稿料。1万円分は、あたしのスイーツ代として抜き取っておいたから』
飛羽真『こら〜、勝手に抜くなあ。1万円もスイーツ代に持っていくなあ。俺の原稿料返せ〜』
G太郎「って、今のは何でござるか?」
GM「とある作家と編集ガールのショートコントのようじゃのう。新兄さんから電波が送られて来たみたいじゃ」
G太郎「わざわざリプレイ記事に関係ない電波を飛ばさなくとも」
GM「それよりも、要は職業ライダーと周辺人物という設定だったら、その仕事ぶりを匂わすセリフでもあれば、後はファンが勝手に脳内補完する。しかし、その描写がリアルじゃなければ、何だか興が削がれるように感じる層もいるってことじゃろう。もちろん、実際は脚本でこういうやり取りがあって、一応、撮影もしたけど、尺の都合でカットされて、我々の目には見えないまま、お蔵入りという可能性もないわけじゃなかろうが」
G太郎「なるほど。それがまたコロナウィルスのせいで撮影できなくなって、穴埋めのための蔵出し映像で補完されるということでござるな」
GM「こらこら、ゲンブ。そういうことは迂闊に口に出すでない。悪いことを口に出して、本当に運悪く当たってしまったら、『そんなことを言う奴が悪い』と責められたりするのが今の時代の風潮じゃ。そんな責められ方をしても、毅然と対処できる覚悟を持っている者だけが、撃っていいというルールじゃよ」
G太郎「いつから、そんなルールができたかは知らんが、話を戻して、デルニールよ。カレン嬢ちゃんをどうなだめるかは、お前に任せた」
デル「って、ええ? いきなり話を戻されても、急に覚悟なんてできねえよぉ。ホリー姉さん、こんな時はどうしたらいいんだぁ?」
ホリー「もちろん、何も言わずに、そっと抱きしめて、涙をキスで拭えばいい。レイズナーの主題歌を参考にな」
デル「なるほど。青きリュウとは正に青龍。ロンリーウェイで、メロスのように走れってことだなぁ」
GM「それで一体、何が分かったのか意味不明じゃが、お子さまに男女の恋愛の機微について、複雑なテーマを放ったわらわが早計じゃった。ちっとも話が進まんので、カレンは自分の気持ちだけ勝手に伝えて気が済んだのか、ハートに涙目だけ浮かべて、そのまま去って行く」
デル「……リアクションする間もなかったぁ」
GM「TRPGで素養のないプレイヤーに、恋愛ネタを振るとグダグダになるという悪例を見せてしもうたわい。とにかく、お主たちの出立を惜しむ者が、この肉の穴にはおるということじゃよ」
G太郎「とは言え、別に今生の別れと言うわけでもなし、我々は当初の密偵仕事を果たすために、情報源を増やす目的で、隣の区画に当たりを付けるのでござるよ。別に、ここを見捨てて逃げ出すつもりはござらんし、また帰って来て、世話になることもあろう。フリーライターは自分で仕事先を開拓するフットワークと交渉力あってこそ、でござるから」
GM「いつから、マッスルG太郎がフリーライターになったのじゃ?」
ホリー「ボクは、イノセントライダーですけどね」
ビシャナの宿屋にて
GM「では、別れを惜しむはずのシーンがうまく行かずにグダグダになったが、仕切り直して、お主たちは物乞い市場に向かった。そして、ランダムイベント発生じゃ。探索判定13を行え」
G太郎「当然、成功でござる」
ホリー「ボクの探索基準値は4なので、9以上じゃないと成功しないんだよな。判定をG太郎に頼りきりだと、複数人の成功が必要な時に、ボクたちが足を引っ張ることになる」
GM「探索に必要なスカウトレベルを冒険者レベルに近づけておくのは、いつでも有効じゃろうな。とにかく、探索に成功したG太郎は、何かのアイテムを見つけた。鑑定するなら、知名度は7じゃ」
ホリー「それぐらいなら、ボクでも成功するな。はい、宝物鑑定は15で成功」
GM「ならば、〈火トカゲの髪飾り〉だと分かった。頭装備で、購入価格は1500ガメル(売値は750ガメル)。使用すると、炎属性の魔法ダメージ(威力20+魔力5)を相手1体に与えて壊れる」
ホリー「使い捨てのミニ爆弾と言ったところか。一応、頭に付けておこう。使い捨てなら売った方がいいのかもしれないけど、いざと言うときに役に立つかもな」
GM「拾い物をしただけで、イベント終了。そして夕方前に目的地の物乞い市場に到着した」
G太郎「では、ビシャナの宿屋に顔を出そう。2日めの朝以来になるが、ずいぶんと昔のように感じられるでござるな」
GM「ゲーム内時間では5日ぶりぐらいじゃが、実時間だと、ほぼ2ヶ月になろうとしている。ともあれ、5日ぶりの顔見せに、タビットのビシャナさんは『おや、G太郎さんじゃないですか。南の方では、いろいろと派手に暴れていると聞きましたが、お元気そうで何よりです』とあいさつしてくる」
G太郎「うむ、我ら『魔神ハンター烈火団』は、いろいろと危険な仕事に巻き込まれてしまったが、何とか解決して、時間ができたので、いつぞや聞いたお仕事を引き受けに参った次第。そういう約束でござったからな」
ビシャナ『それは何とも律儀なことですね。約束を果たすというのは、人同士の信頼を得るのに大切なこと。例え、状況次第で果たせなくなった約束があったにしても、その旨を相手に伝えて、決してうやむやにしないことで、信頼関係の維持に努めようとすることは大事。言葉を旨とする者にとって、言葉の重さを大切に考える心魂は尊重いたしましょう』
G太郎「それで、確か『奴隷を買い戻せ』という依頼でござったな。具体的には、どこで何をどのようにしろとおっしゃるんでえ」
ビシャナ『場所は【煌びやかな大通路】。そこでは奴隷売買が行われています。2000ガメルをお渡ししますので、それで可哀想な奴隷を引き取って、ここに連れ帰って欲しいのです』
G太郎「どんな奴隷を求めているのでござるか? 力仕事か、客人の接待か、日常雑務か、それによって買い求める対象も変わってくると思うが。別に誰でもいい、というわけでもあるまい」
ビシャナ『意外と細かいんですね。そこまで踏み込んだことを尋ねられるとは、思ってもいませんでした』
G太郎「昔、奴隷購入を依頼されたことがあってな。奴隷に売られた妹を助けて欲しいという兄の願いだから、義に感じて引き受けた。他にも、奴隷を魔神召喚の供物に使うような魔神使いもこの世にはいると聞くし、自分の仕事の結果、どのような事態が生じるか気を配るのもプロというものではござらんか」
ビシャナ『プロ像もいろいろってことですね。報酬さえ受けとれば、いちいち詮索せずに自分のすべきことだけ果たすのも、プロの道と考えますが』
G太郎「報酬目的の汚れ仕事ならそうかもしれんが、私はみんなの笑顔のためを大事に考えるお笑い芸人でござるからな。自分の仕事のせいで、誰かが泣くのは見たくない。事前予測のできない場合は割り切るにしても、探れる背景は承知しておいて、あらかじめ覚悟だけは決めておくのが、私のプロ魂でござるよ」
ビシャナ『覚悟ですか。こちらはそこまで大仰に構えてなくて、単に慈善事業、自分に払えるお金で可哀想な奴隷さんがいるなら助けてあげたい、純粋な善意で行なっている仕事です。蛮族社会で荒んだ心の人も大勢いるのでしょうが、それでも人の心の小さな希望だけは失いたくない。それでは、こう言いましょう。できるだけ可哀想で救いを求めていると思しき方を買いとって来て下さい』
G太郎「女子供か、年寄りか、それとも主人に見捨てられた可哀想なミサちゃんみたいなファントムでござるな」
ビシャナ『何の話です?』
G太郎「おっと、またもや平成ライダー時空に頭がトリップしたでござるよ。今回の仕事は、可哀想な娘を見つけて、買い取ればいいと」
煌びやか通路へ、再び
G太郎「……と言うことで、宿の主人ビシャナさんから仕事を引き受けたでござるよ。我々はもう一度、煌びやか通路に行かなければならないわけで」
●ミストグレイヴ上層階の地図
(青字は拠点および宿泊可能地点。赤字は目的地。
緑字は新規に記入)
蛇の酒蔵ー ?
(梯子) l
l l
コボルド窟ー金床ー ? ー ?l l l
大水車ー亡者のー煌びやかな
l 神殿 大通路
l l l
物乞い市場ー 騎獣ー水没通路
l 調教所 (梯子)
l l
肉の穴ー処刑遊戯場
ホリー「人質救出ミッションの時の繰り返しだな」
デル「すると、その後は処刑遊戯場でクライマックス戦闘になるのかなぁ」
G太郎「それだと、全く同じような展開ではござらんか」
GM(ギクッ。まさか本当にそうだとは、今は言えんのう。第1部の最初と最後が同じパターンとは、プレイする方も、読む方も飽きたりせんじゃろうか)
G太郎「ということで、同じことをしてもつまらんと思うので、今回は別のルートを通って、煌びやか通路に向かうものとする。前は『大水車→亡者の神殿』だったが、今から出発だと、亡者の神殿を通過するのが深夜になってしまう。深夜にアンデッドのいる場所の近くを通るのは、何だか肝試しみたいでおっかない気がするので、今回は『騎獣調教所→水没通路』から煌びやか通路に入ろうと思うのだが、どうだろうか?」
ホリー「騎獣調教所かあ。フーララバラ姐さんに会えるのなら喜んで。そうだ、イノセントのために装備を新調するのもいいな。今、着せている革鎧の代わりに、鎖かたびらを買って、防護点1アップさせる。そうトライチェイサーがトライゴウラムになるように、アーマード・イノセントになって突進だ」
デル「ところで、深夜にアンデッドと言えば、ハロウィンごっこもできそうだなぁ」
G太郎「アンデッドにお菓子をあげて、おとなしくなるのなら、それも一興でござるが」
GM「スイーツあげたら、妖精たちが友好的に振る舞ってくれるのは、フェアリーガーデンの特徴じゃが、こちらではそういう展開は望めん」
G太郎「そう言えば、前に霧の街を脱出する際にいろいろ検討したでござるが、ラスボス戦がカボチャお化け🎃になるというルートもあったはず。亡者の神殿でもカボチャお化けに遭遇するなら、タイムリーとも言えるのだが」
GM「そいつは面白そうじゃのう。ちょっと待っておれ。(亡者の神殿のページや、ランダム魔物遭遇表を確かめながら)ふむ、いささか残念じゃが、今のお主たちのレベルでは、ジャックオーランタンに遭遇することはない。そもそも、こいつはレベル7アンデッドじゃからして、遭遇してしまえば大ピンチ間違いないだろうしのう」
G太郎「ならば、タイムリーという理由だけで、ハロウィン特別企画『亡者神殿での肝試しプレイ』を無理に敢行する必要はないでござるな。素直に水没通路ルートを取るとしよう」
GM「では、宿に泊まらず、夜を徹して進むということで、騎獣調教所じゃな。ランダムイベントは……奴隷を連れた蛮族に遭遇した。蛮族はレッサーオーガ2体じゃ。人族の奴隷を蹴飛ばしながら、ガハハと笑いながら歩いている」
ホリー「その奴隷は可愛い女の子か?」
GM「いや、貧相な外見のおじさんじゃが?」
ホリー「……助ける意欲が激減した」
G太郎「いやいや、ここで助けておけば、ジーズドルフ解放軍の求める同志クエストを1人、進展させることができよう」
ホリー「こんな貧相なおじさんが同志だと?」
G太郎「人は見かけによらないもの。見かけは貧相でも、実は料理の達人とか、何か役立つ技能を持っているかもしれん。少なくとも、今、我々が引き受けているのは、奴隷購入ミッションであって、ここで目の前の奴隷を見捨てることがあっては、慈善事業だと言ったビシャナさんの想いを踏みにじるのではなかろうか」
ホリー「……ボクは助ける相手を選り好みしたいけどな。別に正義の味方を気取っているつもりもないし」
デル「オラは、助けられる者なら助けてぇ」
ホリー「う〜ん、(キャラシートを見ながら)おっと、ボクの矜持は『弱者を見捨てない』って書いてある。それに『蛮族は許せない(一部、女の子は除く)』ということだからな。自分のロールプレイをすっかり忘れていたや。おい、そこの奴隷、お前に何ができる?」
レッサーオーガA『何だ、バルカンの姐ちゃん? こいつは騎獣の世話係としてこき使っているんだ。まあ、働けなくなったなら喰ってやるけどな。こんなのが欲しいなら、特別に1000ガメル分の品物で譲ってやるぜ』
GM「さて、ここでお前たちには3つの選択肢が与えられる」
- 厄介なことには関わらない。
- 1000G相当のアイテムで、奴隷を買い取る。
- 蛮族の流儀に則って、力づくで奴隷を奪い取る。
G太郎「ここは当然、3でござるな」
デル「し、師匠、マジですかぁ?」
G太郎「まず、レッサーオーガは余裕で勝てる相手。厄介なことではないので、1は選択肢から消える。次に、この奴隷に1000Gを支払う価値があるかと言えば、正直分からん。だがしかし、ここでレッサーオーガ2体を倒せば、確実に経験点と戦利品が得られるので、そいつはお得だろう。別に私は平和主義の偽善者ではないし、私の中のガルドが欲望と闘争を肯定するのでな」
ホリー「そうだな。倒せる蛮族は倒しておく。奴隷解放の大義名分があるなら、ボクも信条的にG太郎に賛成だ。そう、この蛮族がこれ見よがしに奴隷を引き連れていたのが悪いんだ」
デル「師匠と姉さんがそう言うのなら、オラも敵に背は向けられねぇ。バトル開始だ」
1ラウンドめ。
G太郎が難なく先制をとって、開幕2回攻撃×2を2体に割り振って、レッサーオーガBを瞬殺。Aの方は、ピンゾロがまた出たせいで、1発しかダメージが通らずに残りHP16点。
デルも攻撃を当てはしたものの、気乗りがしないのかダメージが振るわず、7点だけ与えて、残りHP9点。
ホリーはピンゾロを出して外すものの、イノセントの攻撃で13点ダメージを出して、撃退成功。
戦利品は、30ガメル入りの銀貨袋と、宝石(150G分)が2個と、黒鉄剣士勲章が2個、そして貧相なおじさん奴隷が1人。
G太郎「いやあ、1ラウンドであっさり片付いた上に、ピンゾロで経験点も稼げて、お得お得」
ホリー「そうだな。ボクもピンゾロを振ったが、イノセントがしっかりとどめを刺してくれたおかげで、事なきを得た。イノセントの手柄は乗り手のボクの手柄ってことで」
デル「というか、二人ともどうして、そう綺麗にピンゾロを出すんだよぉ? オラなんてまだ一回も出したことないのにぃ」
G太郎「ピンゾロ出すと、経験点50点が稼げるでござるからなあ。1回1回は小さくとも、チリも積もれば山となる。10回出せば、500点になってテーブルB技能1レベル分にはなるし、タイミングさえ良ければ、必ずしも悪くはないでござるよ」
GM「確率論で言うなら、G太郎は最初に4回攻撃ができるから、命中とダメージで8回ダイスを振ることになる。一方、デルの場合は1回攻撃で、しかもその攻撃を外してしまえば、ダメージダイスを振らないこともあるわけで、ダイスを振る回数そのものが大きく違うからのう」
G太郎「つまり、8回もダイスを振れば、1回ぐらいピンゾロが出てもおかしくないってことで」
デル「確率は36分の1のはずなんだけどなぁ」
ホリー「ともあれ、この貧相なおじさん奴隷をどうしようか?」
GM「連れて行くなら、足手まといになるぞ」
ホリー「足手まといだと?」
GM「戦闘では役に立たないが、敵に狙われてダメージを受けると死ぬこともある。目下のHPは20点。おまけに宿に泊まるなら、宿代も余分に払ってやらないといけなくなるし、ずっと連れ歩くには苦労するのう」
G太郎「このまま煌びやか通路へ向かうには、面倒でござるなあ。一度、引き返して宿に預けておくのがいいと見た」
ホリー「というか、このおじさん連れて、奴隷を買ってきたとか言って、ミッション達成という形にはできないのか?」
GM「ビシャナさんをうまく騙せれば、できなくはないのかもしれんが、彼女はそれなりの情報収集力があるという設定なので、嘘がバレると信頼を失うことになりかねんのう」
G太郎「仕事のプロとして、つまらん手抜きをしてパトロンからの信用を失うわけにはいかん。そもそも、この奴隷購入ミッションは、彼女からの信用を勝ち得る目的が第一なので、やってもいない仕事をやった風に見せかけるのは、目標を見誤ったその場しのぎの愚策と言えよう」
デル「信頼を得るためのミッションで、信頼をつぶすようなマネをしていたのでは、話にならないってことだなぁ」
G太郎「とは言え、事情を正直に話して、宿に預かってもらうのはありでござろう。一度、引き返すでござるよ」
GM「ならば、今回はここまでじゃ。奴隷を助けたことで、★1つを進呈しよう」
(当記事 完)
●ここまでの冒険成果
経験点:★1つ
魔物撃退分(80点)
ピンゾロ分(G太郎1回、ホリー1回)
収支結果:火トカゲの髪飾り
銀貨30ガメル、宝石(150G)2個
黒鉄剣士勲章2個
ミッション:煌びやか通路で奴隷を購入せよ
(貧相な奴隷おじさんは同志にできる?)
コボルドを助けて、コボルド窟へ連れ帰る
情報
・物乞い市場の宿の女主人ビシャナはユリア・ミルドリスのことを何か知っていそう。
・【ゴミ溜め窟】にいるリザードマンの情報屋ゾ・ゴグが略奪品に詳しい。
・【ゴミ溜め窟】に、カレンの密偵仲間が行方不明に。
・【死者の道】に〈真紅のマギスフィア〉があるらしい。
・物乞い市場の顔役は、紅の水魔ソニア・ゾラである。
・ユリア・ミルドリスの情報は《銀の蜜蜂》が知っている。物乞い市場のビシャナが関係者?
・略奪品は【地底湖の畔】のマーマンが詳しい。
・地下水路のリザードマンの集落の位置情報。
・ギルマン王ブグプリとの面会には、地下水路で手に入る〈ストロベリーオイスター〉が12個必要。
・【亡者の神殿】にライフォス神像がある?(ミッション予定)
・【コボルド窟】のオードル・プルは地上に伝手があるかも。