玄武神話
ゲンブ「我がゲンブの名が、新たに登場した仮面ライダーバスターのモチーフに採用されたでござる」
ヒノキ「だからと言って、今さらG太郎が大剣使いに転職したりはせぬじゃろうな」
ゲンブ「それは、我とゲームのキャラは同じではござらんし、マッスルG太郎にもこれまでの経緯があるでござるからなあ。今さら路線変更する気にはなれん。しかし、あの豪快な太刀捌きは、いろいろと参考にしたいのも事実。ゲンブの名を持つ者として、今年の推しは決まったも等しい」
ヒノキ「それにしても、あの世界には朱雀はいないものか」
リトル「竜はいますねぇ。青じゃなくて赤いけどぉ」
シロ「青いのはライオンだな。ネコ科の眷属として、ボクはこちらを推したい」
ヒノキ「炎属性のわらわとしては、主人公の小説家を推すべきかもしれんが、今はもう少し様子見じゃ。迅のような火炎鳥モチーフのキャラがセイバーにも登場することを期待して、番組を見続けるとしよう」
4日めのスケジュール
GM(ヒノキ)「前置きライダー話はこれぐらいにして、密偵救出ミッションの続きじゃ」
デル(リトル)「カレンさんという密偵が蛮族に捕まったと聞いたので、オラたちは救出に動き出したんだなぁ」
G太郎(ゲンブ)「人道的に、お仲間だから助けるということもあるが、実のところ密偵が捕まって重要な情報を敵に明かしてしまったなら、自軍が窮地に陥ることもある。それを探って、もしものことがあれば、我々で始末をつけるようにという含みも、この仕事にはあったのではなかろうか」
ホリー(シロ)「それは深読みが過ぎないか? ボクたちは、そこまで世間の裏は知らないので、捕まった女の子を助ける。女の子を酷い目に合わせるような蛮族の悪党には、怒りの炎で天誅を下す。それで十分だと考えるが」
G太郎「嬢ちゃんはそれぐらいでいいだろうなあ。裏稼業の小汚い思惑なんかは、ズル賢い大人が考えればいいのであって。しかし、密偵なんて仕事を長いこと続けていると、自分たちの命の価値は決して高くない、だったら何のために生き、何のために命を捨てられるかを考えるようにもなる」
ホリー「ここは仕事人よりも、助け人の路線で行くというのはダメなのか?」
デル「オラたち魔神ハンター・烈火団は、牙なき者を守る炎でありたいぞぉ」
G太郎「それは、地上のレジスタンス〈スエラの炎〉の理念に近いでござるな。蛮族の街で、暗殺者として生きるか、革命運動家として生きるか、それとも慈善活動に生きるか、はたまた剣闘士の世界で自分を磨くか、多くの選択肢があったが、その中で私は自分が守れる者の笑顔のために戦ってきた。それこそ、お笑い芸人の生きる道と信じて」
ホリー「何で芸人が戦ったりするんだよ?」
G太郎「それを言うと、マッスル太郎と仮面ライダーゼロワンの物語を根本的に否定することになるが、私の場合は『戦わなければ生き残れなかったから』でござるよ。とにかく、今の我々は密偵探しミッションの最中に、人族のレジスタンスを殲滅させようと企んでいたレッサーオーガのブンカンという輩を退治したのでござる」
GM「そして、レジスタンス活動の報告書類を全て見つけ出し、処分する仕事までは果たした。これで、しばらくレジスタンス組織〈ジーズドルフ解放軍〉の活動が表沙汰にはならずに済みそうじゃ」
G太郎「後は、カレン嬢が売り飛ばされたという【処刑遊戯場】へ4日めの夜までに到着し、彼女を救い出すことまでがミッションでござるな」
GM「マップは以下のとおり」
●ミストグレイヴ上層階の地図
(青字は拠点。赤字は目的地。紫は現在地)
(梯子)ー?
l l
? ー? ー ? ー ?l l l
大水車ー亡者のー煌びやかな
l 神殿 大通路
l l l
物乞い市場ー?ー(梯子)
l l
肉の穴ー処刑遊戯場
G太郎「目的地である処刑遊戯場までは3ブロック。今夜はゆっくり煌びやか通路の宿屋で休んで、明日の朝に出発すれば、朝→昼→夕方となって、夜までには十分間に合うでござろう」
ホリー「今すぐ出発するというわけにはいかないのか?」
G太郎「寝る間も惜しんで先を急ぎたい気持ちは分かるが、徹夜ペナルティーを受けるだけだし、我々はここまでの戦いでMPを消耗している。休めるときに休まなければ、処刑遊戯場で大暴れして、カレン嬢を救出することなどできん」
デル「師匠は大暴れをするつもりなのかぁ?」
G太郎「他に方法が見つかれば、そうするでござるが、最悪、観衆の前で大乱闘をやらかして、強引に突破せねばならぬ時もあるのでござるよ。少なくとも、私はこれまで処刑されようとしている人族を衆目監視下で2回ほど助けたことがある。レジスタンスのリーダー・トホテルと、それから血染めの壁でのエドガー救出劇だな」
ホリー「にわかには信じられん話だな」
G太郎「地上に出ることがあれば『仮面レンジャー英雄伝』という伝承に当たると良い。仮面レンジャーの正体が私であることは、知る人ぞ知る公然の秘密でござるよ」
ホリー「それって、秘密と言っていいのかどうかは分からないが、とにかく、お前がボクたちとは比較にならない修羅場を潜り抜けてきたということは分かった。あるいは、とんでもない大ボラ吹きなのかもしれんが、今はお前の自信あふれる態度が心強いことは間違いない。ボクは自分の未熟さを思い知ったからな。修羅場におけるお前の指示には意地を張らずに従おう」
G太郎「うむ。魔法で傷を治し、深夜から未明までの2tb間でMPをフル回復し、明日の朝には旅立つぞ。幸い、3人分の宿賃150ガメルのうち、120ガメルはブンカンを倒したときに手に入った。あとは一人10ガメルを払えば、宿でゆっくり休めるだろう」
デル「ところで、レッサーオーガ殺しで官警に捕まる心配はしなくていいのかぁ?」
G太郎「蛮族社会は力こそがルールだ。よほどの重要人物でもない限り、誰かの死で官警が動くということはない。戦いに負けて死んだら、それは弱い奴が悪いというだけの話でござるよ」
ホリー「人族の身には、信じられない乱世のルールだな。蛮族のルールだか、魔神のルールだかは知らんが」
水没した通路(4日め朝)
GM「では、宿で完全回復したお前たちは翌日の夜明け前に完全回復して出発するが、西と南とどっちに向かう?」
デル「西は亡者の神殿だったよなぁ。南には、地下水路に降りる梯子があるらしいが、どっちにしようかぁ」
G太郎「地上の街と違って、開示済みだから速く移動できるということもないのでござるなあ。ならば、遠回りにならない以上は、新しい場所を開拓するのがよかろう。ダイスは、ご主人が振るといい」
デル「35だぁ」
GM「すると【水没した通路】が開くが、その前にランダムイベントが……(コロコロ)発生しない。それなら、お前たちは水深1メートルほどの水没した通路に入った。そして、お前たちの前に3体の魚人が現れた」
ホリー「魚人? 人魚じゃなくて、上半身が魚で、手足がヒレ付きの人間って姿の魔物か?」
G太郎「とりあえず、魔物知識判定を行うでござるよ」
GM「ならば、2種類いるので、2回振れ」
G太郎「14と18でござる」
GM「リーダーは剣のかけら入りレベル5ギルマンで、HPは57。他の2体は、レベル2サハギンでHP20。サハギンの方は弱点値も抜けて、土属性ダメージ+3となっている。ギルマンが汎用蛮族語で、『ここを通りたいなら通行料が必要だギョ。150G分のアイテムを払うといいギョ。さもなければ、痛い目に合わすギョ』」
ホリー「痛い目だと? それはこっちのセリフだ……と言いかけますが、誰か止めて下さい。ここで戦っている場合じゃないことは、プレイヤーには分かっているのですけど、蛮族憎しのホリーが止まらないもので(苦笑)」
G太郎「ならば、ホリーを制しながら、余っている黒鉄剣士勲章3つを差し出そう。これぐらいのゴミ勲章なら、いつでも手に入ると大見得切ってな」
ギルマン『ほう。黒鉄がゴミだと言うギャ?』
G太郎「当然でござる。ドレイクのご主人とバルカンの姐御は魔神ハンター・烈火団と名乗り、武者修行の途中。不用意に我らにケンカを吹っかけてきた輩を返り討ちにし、入手した勲章は数知れず。ここも無理やり押し通って、勲章コレクションを増やしてもいいが、我らとしてはそれよりも情報が欲しい。この辺りに地下水路へ降りる梯子があると聞いてきたのだが、心当たりはないか?」
ギルマン『当然あるギョ。この辺りは、我らがギルマン王ブグプリ様の領域だからな。お前たちは梯子で下に降りたいギャ? それともブグプリ様に面会を希望するギャ? ブグプリ様は強い勇者の話を聞きたがるだろうが、それにはまず貢物が必要だギョ。地下水路に降りて、大好物の〈ストロベリーオイスター〉12個を集めてきたら、面会もかなうだろう』
G太郎「すぐには集まりそうにないでござるな。またいずれ立ち寄らせてもらうと思うが、今は別の用事で先を急ぐ身。西へと抜けさせてもらえないだろうか」
ギルマン『通行料を頂いたのだから、大手を振って進むといいギョ。ただし、王に会いたいなら、貢物を忘れるな』
G太郎「では、西へ向かうでござるよ」
騎獣調教所の前で(4日め昼)
デル「次のブロックは34だぁ」
GM「おお、それは騎獣調教所じゃのう」
ホリー「やっと来たあ。これでライダーのボクが実力を発揮できるようになる」
GM「その前に、ランダムイベントじゃ。通路を進むと棺桶が置いてある」
G太郎「どうして、こんなところに棺桶が? 警戒しながら様子を見るが……」
GM「だったら1D振れ」
デル「4が出たぁ」
GM「それなら、難易度13の探索判定をせよ」
G太郎「18で問題なく成功でござる」
GM「どうやら、催眠ガスの罠が仕掛けられているようじゃの」
G太郎「つまらない罠でござるなあ」
GM「直後に物陰から悪党が奇襲攻撃を仕掛けてくるのじゃが……悪党の正体はボガードトルーパー。レベル5蛮族で、HPは32点。考えてみればG太郎は〈狩人の目〉を装備しているから、魔物知識判定を行わなくても、相手のデータは分かるのじゃな」
G太郎「そのデータなら、先制判定に成功すれば瞬殺できると思うが」
GM「だったら、そうするといい」
G太郎「先制は……またピンゾロ。このダイスはピンゾロが多くないか?」
ホリー「ボクは先制10を出したぞ」
GM「こちらの先制値も10なので、そちらが先攻じゃ」
G太郎「だったら、ファストアクション分はなしで、2回蹴る。これで倒せたらいいでござるが。ピンゾロ以外で命中で、2回とも当たった。ダメージは20点と19点」
GM「マッスルベアーも使わずにナメプしおってからに。こちらの防護点は7なので、13点と12点くらって残りHPは7点じゃ。何とか生き残ったぞ」
デル「だったら、姉さんをかばう宣言しつつ、オラがマッスルベアーを使って攻撃だぁ。命中は14」
GM「当たった」
デル「ダメージは10点」
GM「3点くらって残り4点じゃのう」
ホリー「ボクも魔力撃で攻撃だ。幸い命中はして、問題はダメージだけど……おっ、クリティカルして、4点の2点の、追加ダメージ+5の、魔力撃分で+3で、合計14点の会心の一撃キター」
GM「だったら、それが決め手となって、棺桶トラップを仕掛けた悪党ボガードは撃退された」
G太郎「戦利品は、意匠を凝らした武器(150G)と、勲章は……なしでござるか。レベルの割には小物でござった」
ホリー「アリナ様、念のために質問ですが、ランダムに登場するザコ敵がレベル5で、ミッションに登場するボスがレベル4という逆転現象が起こっているのは、気のせいでしょうか?」
GM「ああ、ミッションボスは固定モンスターじゃが、ランダム敵はパーティーの平均レベルによって変動する。現在のミッション推奨レベルは3なのに対し、パーティーレベルは平均4じゃからな。ランダムの敵の方が手強いということになる」
デル「つまり、師匠がいる分、敵も手強くなっているということかぁ。オラと姉さんのレベルに合わせた敵だったら、どんな感じだぁ?」
GM「その場合は平均3レベルじゃから、今だとレベル4、HP21のディープグレムリンになっていたじゃろうな」
ホリー「ボクたちのレベルだと、1ラウンドで10点前後のダメージが出せるので、2人の攻撃が当たれば、1ラウンドで撃破できる程度か。HP30越えだと、2、3ラウンド掛かりそうだけど」
G太郎「私の場合は、MP消費して強化しなければ、1回の蹴りで平均20点のダメージが出せる。全て命中したとして、2回攻撃で40点、ファストアクション4回攻撃なら80点。相手の防護点にもよるが、本来、HP30代なら瞬殺してしかるべきでござる」
ホリー「先制ピンゾロさえ出さなければな」
G太郎「私の失態を若い仲間が補って、みんなで協力して倒せたのだから、良しとしようではないか。ワハハハハ」
GM「もしも、G太郎1人だったら?」
G太郎「初手で倒せなくとも、相手が攻撃してきたら、すかさずカウンターキックで葬っていたでござる」
GM「7レベルのG太郎からすれば、5レベルの敵はザコになり下がったからのう」
G太郎「しかし、ゴブリンシャーマンといい、ボガードトルーパーといい、その辺の敵と戦っていたのは、マッスル太郎の後半、第5部でござる。レッサーオーガと戦ったのも第4部だったから、それに比べると第1部から、いきなりそういうレベルの相手とやり合っているデルやホリーは厳しい戦いを強いられているでござるなあ」
GM「ミストグレイヴが、ミストキャッスルよりも1ランク上の難易度だというのは、蛮族のランダム遭遇表を比べると、よく分かるのじゃ。ミストキャッスルでは、ボガードトルーパーが登場するのはレベル5の遭遇表じゃが、ミストグレイヴでは早くもレベル4の遭遇表で出て来おる。つまり、ランダムに遭遇するザコが、前者では自分と同レベルなのに対し、こちらでは自分よりも1レベル高いということになって、ソロでのプレイ難度がどれ程のものになるじゃろうか?」
G太郎「念のため、G太郎の1人旅で今のイベントに遭遇していたら?」
GM「対戦相手は、レベル7の欄を見るから、ダークトロール辺りになるのう。レベル8、HP66、防護点9といったところか」
G太郎「それは4回攻撃80点のダメージを与えても、防護点で36点減らされるから、44点しかダメージが通らん。瞬殺というわけにはいかないでござるなあ」
デル「師匠のレベルに応じた敵ってのは、オラたちから見れば、とんでもない化け物だってことだなぁ」
G太郎「結果的には、ご主人や嬢ちゃんが平均レベルを下げてくれているので、私としては過酷になり過ぎないレベルで、余裕をもって師匠面ができているでござるよ。これが一人旅でもあろうものなら、きっと以前のマッスル太郎のように『ヒー、こんなの勝てないでござるよ〜』と情けない泣き言を繰り返しているであろう」
騎獣獲得
ホリー「とにかく、ランダムイベントが終わったので、待望の騎獣調教所に到着したわけだな。これで、ボクも仮面ライダーブレイズみたいに、ライオンに乗ることができる」
GM「いや、ライオンの騎獣データは用意されておらんのう。ライオンのモンスターデータも基本ルールにはなくて、2.0時代のサプリメント『カルディアグレイス』に初めて追加収録された形じゃ。今度のモンスター集『モンストラスロア』には収録されているのか気になるところじゃが」
ホリー「すると今は、ライオンに乗れない、と?」
GM「似たような部類だと、幻獣マンティコアやグリフォン、それに虎に似たティルグリスなる騎獣がデータ化されておるが、騎獣レベル6とか7以上なので、ライダー技能がそれぐらいないと乗りこなせない。レベルの高い騎獣に乗りたければ、ライダー技能を上げることじゃな。レベル1ライダーに乗れるのは、せいぜいノーマルホースか魔動ミニバイクといったところ」
ホリー「騎獣が手に入るなら、今後はライダー技能も喜んで上げられる。上げたい技能が多すぎて、キャラ成長が楽しみですよ」
GM「では、場面描写をしておくと、通路を越えた先は側壁を一周するバルコニーのような場所になっていて、天井の高い大きな空洞が見渡せるようになっておる。その空洞で、蛮族を背に乗せた翼を持つ獣たちが飛び交っている。蛮族は主にトロールで、獣はヒポグリフやワイバーンなどなど。そして、お前たちの姿を見て、フロストワイバーンに乗ったトロールが近づいて来る」
G太郎「トロールはレベル6蛮族でござるが、フロストワイバーンは?」
GM「同じくレベル6の幻獣で、4部位モンスター。氷のブレスを吐いて、最大5体まとめてダメージを与えることができる」
G太郎「こいつと敵対するなら、実質的にレベル6の魔物を5体同時に相手どるようなものでござるな。怒らせるようなマネは厳禁だと、とりわけホリー嬢ちゃんに忠告するでござるよ」
ホリー「どうしてボクが怒らせると?」
G太郎「蛮族憎しのロールプレイが標準だからでござる」
ホリー「蛮族は確かに憎いが、それよりも騎獣への愛情の方が優先なんだ。敵は憎くても、敵の乗っているマシンは素直に格好いいと思うメカフェチパイロットのようなものと言えば、分かるだろうか? とにかく、ボクはフロストワイバーンの勇姿に目を輝かせて魅入っているぞ」
トロール女『ほう、初めて見る顔だが、バルカンに、ドレイクに、ルーンフォークとは奇妙な組み合わせだな。あたしはフーララバラ。名誉ある戦いを崇めるダルクレム神官にして、「戦神の翼」の二つ名を誇る者。そして、この場所の責任者さ。お前たちは騎獣を求めて、ここに来たのか?』
ホリー「ええ、トロールのお姉さま。ボクに騎獣を譲って下さい……と媚び媚びになります。ここの管理人が女性なら、蛮族ということは忘れて、目に❤️を浮かべてもいい」
GM「相手が女なら、誰でもいいのか……」
ホリー「蛮族ということで1点マイナスでも、女ということで1点プラス、騎獣の管理人ということで1点プラスで、差し引き好意的に振る舞うということで」
フーララバラ『見たところ、お前はライダー初心者のようだな。ならば、ノーマルホースを5000ガメルで売ってやろう』
ホリー「5000ガメル! それはさすがに高すぎます。レンタルでお願いできませんか?」
フーララバラ『レンタル? 何だ、それは?』
ホリー「いや、確か人族の社会では、購入ではなく、もっと安価に騎獣を借りるような仕組みがある……と聞きましたので」
フーララバラ『なるほどな。だが、それは人を信じて契約を守るという社会があってこそ成り立つシステムであろう。我らバルバロスの社会には、そのような誇り高い振る舞いを期待できる者は、我らトロールとか、貴女(そなた)のようなバルカンなど一部の種族に限られよう。貸し借りなどというシステムは、ここでは立ち行かん。騎獣を購入するだけの財力を持たぬ者に、騎獣に乗るような資格はなし。速やかに立ち去るがいい』
ホリー「そ、そんな〜(涙目)」
フーララバラ『何だ、その涙は? バルカンともあろう者が、そのような惰弱な顔を見せて何とする? 種族の誇りはどうした?』
ホリー「こ、この涙は、騎獣を購入するほどの財力を持たない自分の不甲斐なさに憤っての涙にございます。そして、いつか力を蓄えて、騎獣を手に入れたいと願う誓いの涙。そう、ボクの騎獣への愛が感極まって流れたもの。決して惰弱ゆえの涙ではありません」
フーララバラ『ふむ、騎獣への愛ゆえの涙か。それならば一つ提案がある。貴女(そなた)に格安で提供できる騎獣があると言えば、購入するか?』
ホリー「いくらですか?」
フーララバラ『300ガメルだ。それだけあれば、ボーアが購入できよう。本来は3000ガメルが相場なのだが、このミストグレイヴでは食用として大量に育てられているからな。あまり格好のいい乗り物とは言えんが、見た目よりも本質を重視するなら馬よりもパワフルだし、愛さえあれば可愛くも見えよう。これで手を打たんか』
ホリー「ボーアは猪ですか。イノシシといえば、シシ、つまり獅子にも通じる。それが買えるなら、喜んで購入したいと思います」
フーララバラ『よかろう。望むなら騎獣用の装備品も売ってやるぞ。打撃点を+1できる〈ビッグホーン〉が800G、防護点を+1できる〈騎獣用革鎧〉が300Gだが』
ホリー「うっ、ボーアとセットで1400ガメルか。ねえ、G太郎パパ、物は相談なんだけど……」
G太郎「誰がパパでござるか!? アッキー殿と新星どのの関係ならいざ知らず、私はそなたの父親になった覚えはござらん」
ホリー「うん、ボクとお前はそんな関係ではないな。騎獣に心を奪われて、我を忘れてしまったようだ。とにかく、ボクとしては、ここで1400ガメルを使いたいと要望するぞ。待望の騎獣なんだ。何とか融通できないだろうか?」
G太郎「う〜む、前回、敵を倒した際に2500G分の臨時収入を得ているのでござるな。それと、今のミッションを達成すれば、5000G分の報酬を得られる予定になっておる。ならば、ここで1400G分を使っても、後で清算すれば正当な報酬の前借りとして問題ないと判断した。では、1500G分の戦利品をポンと支払うとしよう」
フーララバラ『まいどあり。おつりは100ガメルだね』
G太郎「おつりが出るのでござるか?」
フーララバラ『ああ、ガメル硬貨が使えるのは、煌びやか卿の領域と、それから【コボルド窟】といったところだけどね。細かい勘定をするには、案外便利なやり方だろうさ』
G太郎「確かに。煌びやか卿の商業区画は昨日、寄ってきたが、【コボルド窟】はまだでござるな。いずれまた寄ることもあろう」
フーララバラ『それじゃ、ボーアと、その装備品、そして〈騎獣専有証〉だ。これに自分の名前を書けば契約完了だな。汎用蛮族語で書けばいい』
ホリー「うっ、ボクは蛮族の文字が書けない。G太郎、代わりにガルダって書いてくれ」
G太郎「仕方ないでござるな。お付きの者として、お嬢の名前を代筆する、としよう。ガ・ル・ダと」
フーララバラ『やれやれ。自分の騎獣なのに、下僕に名前を書かせるとは、ずいぶんと高貴な身分のお嬢さまって感じだね。まあ、いいや。バルカンのガルダ嬢ちゃん、また騎獣の御用向きがあれば、気楽に訪ねてくれ。いい騎手になることを願っておくよ』
ホリー「はい、フーララバラお姉さまみたいに、いつかフロストワイバーンを乗りこなせるように頑張ります❤️」
フーララバラ『それにはライダー技能が最低でも6レベル必要だねえ。まあ、精進しな』
★ボーアのデータ
(冒険者レベル3、ビッグホーン、革鎧装備)
HP39、MP8
体当たり命中5、打撃点2D+4+1
回避4、防護点4+1
生命抵抗6、精神抵抗5
ホリー「ボーアの名前は、イノシシなので、イノセントに決定だ♪」
GM「待望の騎獣が手に入ったところで悪いのじゃが、今回はここまでとしよう。思ったよりも記事が長くなったのでな。次回がいよいよ処刑遊戯場に到着して、クライマックスのバトルを展開する予定じゃ」
ホリー「早速、ボクとイノセントのデビュー戦でライダーとしての本領を発揮したいなあ」
(当記事 完。次回「魔神ハンターVS処刑人」に続く)
●ここまでの冒険成果
経験点:★1つ
魔物撃退分(190点)
ピンゾロ分(ホリー2回、G太郎4回)
収支結果:戦利品(1150G分)、70ガメル
黒鉄剣士勲章1個
ミッション:ルキスラの密偵を救出せよ(密偵のカレンは【処刑遊戯場】に売られたらしい)
情報
・物乞い市場の宿の女主人ビシャナが仕事をくれる。
・彼女はユリア・ミルドリスのことを何か知っていそう。
・ゴミ溜め窟にいるリザードマンの情報屋ゾ・ゴグが略奪品に詳しい。
・物乞い市場の顔役は、紅の水魔ソニア・ゾラである。
・ジーズドルフ解放軍は食糧探しのミッションも用意している。
・ユリア・ミルドリスの情報は《銀の蜜蜂》が知っている。物乞い市場のビシャナが関係者?
・略奪品は【地底湖の畔】のマーマンが詳しい。
・地下水路のリザードマンの集落の位置情報。
・ギルマン王ブグプリとの面会には、地下水路で手に入る〈ストロベリーオイスター〉が12個必要。