花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

魔神ハンターの、密偵救出作戦(SWミストグレイヴ1ー2)

ミッション解説

 

GM(ヒノキ)「立ち上げ間もないレジスタンス組織《ジーズドルフ解放軍》にて、お主たちは最初のミッション『蛮族に囚われたルキスラ密偵を救出せよ』を引き受けることにした」

デル(リトル)「他に『食糧調達ミッション』と『人材集めクエスト』を提示されたけど、より戦士らしい仕事を求めた結果だなぁ」

G太郎(ゲンブ)「クエストは、ミッションと同時受注できるし、他の仕事のついでに果たせばいいでござる。食糧調達については、救出ミッションほどの緊急性を持たないと判断し、後回しにした」

ホリー(シロ)「だけど、後からきちんと果たすつもりなんだな」

G太郎「受けられる仕事はきちんと果たすのが、経験点と資金を稼ぐには大切だからな。まずは密偵救出、そして食糧調達を行った後で、別組織の《銀の蜜蜂》に接触するのがいいと見た」

マルクス『捕まった密偵の名は、カレン・ファランティア。私と同じシャドウ族の女性だ』

ホリー「女性か(目がキラン)」

GM「おい、お主はそういうキャラだったか?」

ホリー「ええ。魅力的な女性は無視できない、自由恋愛を肯定するキャラですから(きっぱり)」

GM「悩んでばかりの陰鬱キャラよりはマシじゃが、どうも歯止めが利かなくなりそうじゃ」

ホリー「同じ救出任務でも、男を助けるより、可愛い女の子を助ける方がヤル気が上がるじゃないですか」

GM「メルがジト目でホリーを見ておるぞ」

ホリー「それはもしかして、妬いてくれているのかな?」

G太郎「いや、単に節操のなさに呆れているのでござろう」

デル「ホリー姉さんが最近、おかしな方向に暴走しそうなんだなぁ」

ホリー「うっ、いや、まあ、その何だ。ボクは弱者を見捨てない。蛮族に捕まっている人族がいれば、それが男性であれ、女性であれ、分け隔てなく助けるべきだと思うんだ。その後のことは、明日は明日の風が吹くってことで」

マルクス『とにかく、カレンはお前たちと同じようにチームで行動していた密偵だが、蛮族に変装はしていない。元々、シャドウ族は蛮族支配下レーゼルドーン大陸出身の種族で、人族ながら蛮族の傭兵として働く者もいるからな。他の人族に比べても、蛮族社会に溶け込みやすいのだ』

G太郎「名前のとおり『影に生きる暗殺者種族』と見なされているでござるな」

マルクス『そのような者も多いな。忠義ではなく契約に基づいて動き、受けた仕事は必ず果たし、どんな汚れ仕事も厭わない。良く言えば真面目で義理堅く、悪く言えば受けた仕事次第で非情な機械にもなれると言ったところか』

ホリー「カレンさんも、そういうタイプなのか?」

マルクス『あの娘は……どちらかと言えば危なっかしい。シャドウにしては、いささか軽率に見えたな。悪い娘ではないのだが。同じ種族のよしみで、見殺しにはしたくないと思っている』

ホリー「危なっかしいタイプだったら、余計に見捨てられないな。……どこかの誰かに似た性質だし(小声でボソリ)」

デル「というか、オラたちと同じルキスラの密偵なら、その人のことを何か聞いていたりはしないのかぁ?」

GM「ルキスラと一口に言っても広いからのう。いろいろな組織があるわけで、少なくともカレンはお主たちが使命を受けた『闇夜の鷹』のメンバーではない。単に同じ国の出身というだけじゃ」

G太郎「で、そのカレン嬢はどこに捕まっているのでござるか?」

マルクス『信頼できる密偵イゴールの情報によれば、【煌びやかな大通路】に住んでいるレッサーオーガがカレンを連れ去ったらしい。【煌びやかな大通路】は……(ダイスを振って位置を決める)大水車の東2ブロックの場所にある蛮族の商業区画で、そこを治める『煌びやか卿アー・ヌルチェ』というオーガがガメル硬貨などの光り物が好きということから、ミストグレイヴでは珍しくガメルでの取り引きが可能な場所だ』

G太郎「オーガか。地上でも『貪欲卿ズ・グリ』という男がいて、奴のために宝探しをしたことがある。念のため、オーガの魔物知識判定をしておくでござる。15と出たが」

GM「レベル7、HP48。ボスなら剣のかけら入りでHP83になって、真語魔法5レベルを使う。命中回避はそれぞれ17と言ったところか」

デル「命中5のオラだと、ダイス目12を出さないと攻撃が当てられないなぁ」

ホリー「ボクも12が必要だ。これは、G太郎でしか相手できないだろう」

G太郎「まあ、私なら同格の相手として戦えないこともないが、それでも真語魔法5レベルは脅威でござるなあ。ともかく、今回のミッションのボスキャラはオーガではなくて、格下レベル4のレッサーオーガでござろう。すなわち、前回のミッションのボスキャラで、この私が瞬殺できるぐらいの相手。大したことはない」

デル「オラたちにとっては、それでも十分な脅威なんだけどなぁ」

GM「ともあれ、このミッションの推奨レベルは3レベルとなっておる。ゆえに煌びやか卿と戦う必要は一切ない」

G太郎「ミッション目的は、【煌びやかな大通路】に行って、カレン嬢を連れ去ったレッサーオーガを見つけ出して、無事に彼女を救出すること。これでいいのでござるな」

マルクス『ああ。報酬は5000G分のアイテムだ。よろしく頼むよ』

デル「5000G分! それは結構なお仕事だなぁ。オラたちに任せてくれぇ」

 

 3日めの行程

 

GM「それでは、2日めの未明にお前たちは肉の穴を出立する」

デル「まずは、北上して大水車まで向かい、そこから東へ2マス進むと目的地へ到着する予定だぁ」

ホリー「全部で4マス分だから、朝、昼、夕方、夜まで掛かるんだけど、向こうに寝泊りできるのだろうか」

GM「【煌びやかな大通路】は商業区画なので、ガメルを払えば宿泊できる宿屋もあるそうじゃ」

ホリー「それは助かる。では、まず朝に『物乞い市場』に到着」

GM「ランダムイベントは特になし」

G太郎「次は大水車でござるが」

GM「そこで蛮族と遭遇じゃ。ゴブリンシャーマンが走ってきて、ドンと肩がぶつかる。相手はお前たちに『ケンカを売られた!』と怒り出し……」

G太郎「問答無用で蹴り殺す」

デル「えぇっ?」

G太郎「このようなザコに構っている時間はない。ボスでもないゴブリンシャーマン1体ならHP31のザコ。先制判定に勝てば、4回攻撃で瞬殺できる。先制判定は6ゾロ。はい、蹴り倒したでいいでござるな」

GM「むっ、良かろう。ぶつかった相手が悪かったとしか言いようがない」

G太郎「戦利品は当たり。豪華な装飾品(500G)が5個で、合計2500Gの収入でござる。あと、勲章は〈黒鉄剣士勲章〉が2つか。そろそろ、より上位の勲章が欲しい気がする」

デル「し、師匠、それって、もしかして追い剥ぎか何かではぁ?」

G太郎「先にケンカを売ろうとしたのは向こうだ。こっちはただ降りかかる火の粉を払っただけ。蛮族社会では、相手の力量も顧みずにケンカを売った愚か者は、生き残れない。ただ、それだけのことよ。死して屍拾う者なし。ただし、戦利品は拾い集めるがな」

デル「ば、蛮族社会で長らく暮らしてきたという師匠の恐ろしさを、初めて知った気がするぅ」

 

GM「では、3日めの夕方になる。大水車の東にあるのは(コロコロ)【亡者の神殿】じゃ」

G太郎「パス。そんな物騒な名前の神殿は、アンデッドがはびこっておるから、イベントで必要がない限り、避けるに限る」

GM「ならば、夜になって、お前たちは目的地の【煌びやかな大通路】に到着した(ランダムイベントが瞬殺された哀れなゴブリンシャーマン以外、ちっとも発生せんのう)」 

●ミストグレイヴ上層階の地図

 

(梯子)ー?

 l   l
 ?  ー? ー ? ー ?

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    大水車ー亡者の煌びやかな

     l  神殿  大通路

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   物乞い市場ー?ー(梯子)

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    肉の穴 ー?

 

煌びやかな大通路(3日め夜) 

 

GM「ほのかに発光する色鮮やかなガラスで造られたアーチ型の天井を持つ大きな通路が、まっすぐに続いている。通路には、たくさんの蛮族たちが往来し、中には奴隷らしき人族を連れた者もいる。通路の左右には、色ガラスや極彩色の織物、鳥の羽根、精緻な彫金細工で飾られた扉が並んでいる」

G太郎「ここでは、私は奴隷として振る舞うので、ご主人たちは正体がバレないよう、きちんと上位蛮族として振る舞って下され」

デル「うう、緊張するなぁ。オラはドレイク、オラはドレイクゥ」

ホリー「ボクはバルカン、ぶっ潰す」

G太郎「いや、その番組はもう終わっているでござる。今はセイバーの時代だし」

GM「それなりに緊張しながら、大通路をまっすぐ奥まで進むと、大扉がある。数千枚というガメル硬貨をつなぎ合わせてつくった帷子や、装飾品で飾られた骸骨が打ち付けられているのが特徴じゃのう」

ホリー「あまり、趣味が良くないなあ(ボソリ)」

GM「蛮族のセンスは、人族には分からないのじゃよ。扉には、汎用蛮族語の文字が刻まれたプレートが嵌め込まれているが……」

デル「オラたちは、会話はできても蛮族の文字は読めねぇんだな。師匠、何て書いてるんだぁ?」

G太郎「ご主人たちも、言葉の問題は早急に解決した方がよいでござるな。セージ技能を習得して、汎用蛮族語読文と、それぞれの種族語ぐらいは身に付けることが望ましい。それはそうと、書いてある文字を読んで聞かせるでござる」

GM「プレートには『ガメル硬貨、求む。相応の品を進呈。煌びやか卿アー・ヌルチェ』と書かれておるのう。ここは煌びやか卿の商館で、1人50ガメルで寝泊まりできる宿泊施設、いろいろと買い物のできる商店、そして奴隷購入所などが設けられておる」

G太郎「(シナリオの取り引き一覧コピーを見ながら)ふむふむ。アイテムを買うことはできるが、売ることは出来ないのでござるか。奴隷は最低購入価格が1人1000ガメルから、とか、まあいろいろ」

ホリー「奴隷とか、成金趣味とか、あまり気分のいい場所じゃないな。それよりも、カレンを捕まえたレッサーオーガはどこにいるんだ?」

GM「それを知りたければ、難易度13の探索判定を成功させるように」

ホリー「10しか出ない」

G太郎「私に任せるでござる……ってピンゾロだと?」

GM「すると情報収集失敗じゃ。道行く蛮族に尋ねてみても、求める情報は得られない。そうこうしているうちに、とある蛮族に絡まれる。(コロコロ)一人のバルカンじゃな。バルカンは同族に見えるホリーにバルカン語で『おお、姐ちゃん、綺麗だな。金ならあるぜ。どこかでオレといいことしないか?』と話しかけてくる」

ホリー「バルカン語は分からないが、どうせろくでもないことを言っているのだろうと思い、汎用蛮族語で『とっとと失せろ、クズ野郎』と返す」

バルカン『(バルカン語で)何だと? このアマ、優しく声を掛けただけなのに、そのような侮辱で返すとは。お前はバルカンの誇りを傷つけた。いざ尋常に勝負せよ』

ホリー「(汎用蛮族語で)何を怒っているか知らんが、クズ野郎は失せろと言っているんだ。お前ごとき、このボクが相手するまでもない。この場は用心棒に任せた」

G太郎「(汎用蛮族語で)ということで、悪いことは言わん。とっとと立ち去るのが身のためでござるよ。まあ、一応は魔物知識で判定するか。13」

GM「レベル5、HP40。妖精魔法4レベルが使える」

G太郎「ゴブリンシャーマンよりは強いでござるな。しかし、先制をとれば敵ではない……って、またピンゾロ? ここに来て不調続きでござるよ」

ホリー「ボクは12だ」

GM「こちらは13。どうやら先に攻撃できるようじゃのう」

G太郎「いや、先制判定のサポートにも剣の恩寵は使えるのでござるな。ここでセリフを一つ。『フハハハハ、お笑い芸人たる我、マッスル魔神に早く指示を与えて下され、マイ・ミストレス』と腕組みしながらバルカンの前に立ちはだかり、ホリー嬢の先制判定ダイス目に+2のボーナスを与えるでござる」

ホリー「よし、行け。お笑い魔神! ただし、同族のよしみだ。命はとるな」

G太郎「心得た。では、何とか先制を勝ちとって、マッスルベアーに、エフェクトウェポン。炎は無効そうなので氷属性で」

GM「確かに、バルカンの弱点は水・氷属性でダメージ+3になるが、魔物知識で弱点値は抜けていないので、その効果は適用されんぞ」

G太郎「まあ、普通にダメージ+1だけで、その他はフレーバーで構わん。とにかく、初披露のマッスル氷柱落としでござる。一撃め、命中してダメージは26点。二撃め、問題いなく命中、ダメージは23点。これでどうか?」

GM「防護点は4点じゃから、22点の19点で41点ダメージか。『まいった、降参だ。マッスル魔神、あんたは強い。そんな強い用心棒を従えるとは、姐さんも相当、名のあるお方に違いねえ。そんな方に軽々しく、姐ちゃんと声を掛けたオレが浅はかだったと詫びよう。バルカンの誇りに掛けて、オレは姐さんに忠義を尽くすことに決めた。できれば名前を聞かせてくれませんか?』と瀕死のズタボロ状態ながら、汎用蛮族語で訴えかける」

ホリー「ううん、どうしようかな。とりあえず、人の名前を尋ねるなら、まずは自分の名前から名乗りな、と応じてみよう」

GM「それもそうじゃのう。では、キャラクタービルディングブックの表を適当に参照して……ロドニーと申します」

ホリー「その名は、もしかしてひょっとこ仮面の人かな?」

GM「いや、それは意識しておらんが、スパロボ魔装機神に登場するトロイアなまりのおっちゃんをモチーフにするか。『このロドニー、姐さんのためなら何でもやりますさかい、命だけは助けてえな』」

ホリー「そうだな。だったら、最近、人族の女を捕まえたレッサーオーガを探しているんだが、知らないか?」

ロドニー『普通はそれだけの情報じゃ、なかなか分からへんねんやろうけど、このロドニーはこの界隈でちょっとは名の知れた情報屋。ちょうど、姐さんの欲しいネタを仕入れておりましたんや。この大通路の情報だったら、このロドニーに任せてください。その代わり、オレ、いや、あっしも姐さんの舎弟に引き入れて下さいませんかね』

ホリー「とは言っても、本名を明かすのもどうかと思うんだよなあ。よし、だったらガルドを女性名にアレンジして、ガルダとでも名乗っておこうか」

ロドニー『ガルダ様か。では、さっそくご案内します。こちらへどうぞ』

ホリー「忘れないようにメモしておこう。『バルカン名ガルダ』って。今後、ロドニーが繰り返し登場するなら、バルカン語も習得しておかないとなあ」

 

レッサーオーガの館にて

 

GM「では、ロドニーはガルダ様一行をある館に案内した。『そんじゃまあ、あっしはこれで。傷の手当てもしないといけませんので』」

ホリー「おい、G太郎。こいつに一回ぐらいアースヒールの呪文をかけてやれ」

G太郎「まあ、顔見知りの情報通がいると、何かと便利でござるからなあ。はい、9点回復。残りMPは17点ということで」

GM「ロドニーは礼を述べつつ去って行った」

デル「オラも舎弟が欲しいなぁ」

G太郎「蛮族社会では力を見せつけると、時々、舎弟が湧いて出るでござるよ」

ホリー「とは言え、ボクの実力でロドニーを舎弟にしたわけじゃないからなあ。せめて、ロドニーのレベルには負けないぐらい成長しないと、姐さんとしての面目が立たないと思う」

GM「さて、煌びやか通路は表通りこそ明かりが輝いておるが、レッサーオーガの館は裏通りにあるので暗い」

デル「つまり、暗視のないオラの行動にペナルティーがつくってことだなぁ。これから戦いになるかもしれないなら、ホリー姉さん、よろしく頼むぅ」

ホリー「では、MP1点使ってライトを灯そう。(コロコロ)うまく発動して、デルのヘビーメイスが光源となった」

デル「そんじゃまあ、レッサーオーガ邸に入るかぁ。正面から堂々と乗り込むぞぉ」

G太郎「しかし、いきなり殴りこみに入るのも芸がないでござるなぁ。とりあえず、ご主人たちが蛮族の姿をしているのを利用して、『人族の動向を探っている秘密機関』と偽って、『人族の密偵を捕まえたと聞いたから引き渡しを要求する』という作戦はいかがであろうか?」

ホリー「相手が引き渡しを拒んだら?」

G太郎「秘密機関に逆らう不届き者として公務執行妨害で処罰すればいい」

デル「秘密機関かぁ。だったら名前を決めないとぉ」

G太郎「それでは、新しいライダーにちなんで『烈火の剣』というのはどうでござろうか」

デル「オラは剣を使わないから烈火だけ採用してぇ……『烈火団』かなぁ」

ホリー「魔神ハンター・烈火団か。悪くはないと思うぞ」

G太郎「では、その名をかざして、レッサーオーガ邸に乗り込もう。扉をガンガン鳴らして、『我々は秘密機関・烈火団の者だが、人族の密偵を引き渡してもらおう』と呼びかけよう」

GM「すると、中からレッサーオーガが出てきて、ドレイクとバルカンの姿を見て頭を下げる。一応、蛮族社会ではその二種族は上位に分類されて、レッサーオーガよりも格上じゃからな。頭に血が昇っていなければ、これが一般的な態度なのじゃ」

レッサーオーガ『秘密機関・烈火団ですか? 聞かない名ですが、人族の密偵ならここにはいませんよ』

デル「いないだとぉ? つまり、ロドニーは嘘をついたのかぁ?」

レッサーオーガ『ロドニーと言えば、バルカンの情報屋ですか? なるほど、あの男が嗅ぎつけたわけですね。う〜ん、いずれ上には報告書類を提出しようと思ってましたが、秘密機関が探っているなら、この機会に打ち明けておきますか。では、表だと何ですから、館の中にどうぞお入り下さい』

ホリー「入れてくれるのか?」

レッサーオーガ『ええ、ここらで私も、あなた方の秘密機関とコネを作っておくと得だと思いましてね。ドレイクやバルカンがつるんで動いているとなると、それなりの大掛かりな組織と見た。間違ってませんか?』

G太郎「ああ、大組織だが秘密なので、詳しいことは言えん」

レッサーオーガ『そりゃそうでしょうとも。それでは、私も大事な秘密を打ち明けますので、そちらの秘密の末席に加えていただければ、と思います』

G太郎「う〜む、しかし、我々は人族の密偵を探しているのであって、ここにいないなら、さっさと行かなければ……」

レッサーオーガ『その人族の密偵ですが、カレン・ファランティアというシャドウ族の女のことですか?』

ホリー「ああ、その名だ。知っているのか?」

レッサーオーガ『ええ、彼女を捕まえて、いろいろと情報を吐き出させました。そのことで、上に報告書類を作ろうとしていたのです。しかし、煌びやか卿は金儲けにしか興味のないお方。人族とのトラブルの件を報告しても取り上げてくれるかどうか。もっと、人族の取り締まりに積極的な方を当たろうかと思っていた矢先なのです。あなた方はちょうどいい時に来て下さった。とりあえず、報告内容を聞いてください』

 

GM「レッサーオーガが館内で語った内容は、まず人族の密偵カレンを捕まえて、情報を聞き出した後、用済みなので【処刑遊戯場】に売りに出したということじゃ」

ホリー「【処刑遊戯場】だって?」

GM「場所は……(ダイスを振って場所を決めると)肉の穴の東隣じゃのう。カレンからの情報で、シャドウ族のライフォス神官マルクス・クルーゲという男を中心にレジスタンスを立ち上げる計画が練られているらしいと知ったレッサーオーガは、自分の仲間の部隊を派遣して、先にレジスタンスを殲滅させようとした。今頃は、彼の仲間がマルクスたちを滅ぼしているだろう。その連絡を待って、報告書を完成させて、蛮族社会のお偉方に自分たちの手柄を売り込もうと企てているそうじゃ」

G太郎「その部隊って、もしかすると我々が戦った連中のことか?」

GM「そのようじゃのう。その戦いがあったのが2日めの昼の話。今が3日めの夜じゃが、部隊壊滅の報はまだ、ここには届いていないらしい。人族の軍隊と違って、蛮族社会では迅速な報告が徹底されておらんことが多い。緻密な上司の下ならともかく、今回の部隊派遣については、このレッサーオーガたちの独断に近く、現場が崩壊した以上、その連絡がここに届くまでにいくぶん時間がかかる。お前たちの方が先んじて、ここへ到着した形になる」

G太郎「つまり、レジスタンスの情報は他にはまだ漏れていない? このレッサーオーガを始末すれば、《ジーズドルフ解放軍》は当面安泰ということでござるか?」

GM「何しろ、これから報告書を書くつもりじゃからな。自分たちでレジスタンス組織が決起する前に壊滅させれば、上への覚えもよくなるだろうという魂胆だったのじゃよ」

ホリー「出世欲に駆られて、手柄を自分たちだけのものにしようとしたから、大事な情報が伝わりにくくなったということか」

デル「だからこそ、人族が助かっているわけだなぁ。敵の情報網がもっと迅速で、密なものだったら、レジスタンス活動の難易度も格段に上がるはずだけどぉ」

ホリー「それで、カレンという娘はすでに処刑されたと言うのか?」

GM「レッサーオーガの話では、次の処刑遊戯大会が開かれるのは明日の夜だから、まだ殺されてはいないだろうとのことじゃ。おそらく、仲間がまだ帰って来ないのは、肉の穴で戦勝パーティーでもやっていて、その後、密偵公開処刑を見物してから帰ってくるのかも、と言っている。

「ここにいる彼は文官タイプで、書類作りという事務仕事や、情報整理や交渉関連の雑務を一任されているらしい。昨日戦ったレッサーオーガは武闘派のボスで、どうも現場では、力の強い者が偉そうに幅を聞かせていて、頭脳労働者は何かと貧乏くじを引かされがち。密偵を捕まえたのも、拷問して情報を白状させたのも、この私なのに……と軽く愚痴をこぼしてみたり」

ホリー「拷問だと? ボクはこいつを許せない。他に敵がいないなら、今ここで始末したい」

GM「こいつの仲間は、みんな外に出払って、戦いで帰らぬ者となっているからのう。邪魔する者は誰もいなかろうて。なお、この文官には、剣のかけらも入っていない、レベル4でHP36のノーマル仕様じゃ。G太郎なら、あっさり瞬殺できるじゃろう」

G太郎「それでは後腐れなく、この私が……」

ホリー「ちょっと待て。G太郎は手を出すな。こういう非道な蛮族は、瞬殺しても面白くない。ボクとデルの二人で、時間をかけて、じっくり始末してやらないとな」

デル「え、ホリー姉さん? もしかして師匠の手は借りないとでもぉ?」

ホリー「呪文で支援だけならしてもいいが、レベル4のザコオーガくらい、ボクたち2人で倒さなくてどうする? ボクたちはG太郎の金魚の糞じゃないんだし、自分たちの力でしっかり戦えることを、この機に読者のみなさんに証明してみせねば」

デル「それもそうだなぁ。よし、師匠は後方支援だけをよろしく頼むぅ。前に立つのは、オラとホリー姉さんだけに任せてくれぇ」

G太郎「わざわざ時間をかけて戦うのは、プレイ効率が悪いのでござるが、世の中には効率よりも大事な心意気というものがある。ならば、今回は後方支援に専念するとしよう」

 

VSレッサーオーガ(文官)

 

GM「それでは、レッサーオーガの方も、ホリーの向ける殺気にただならぬものを感じて、警戒の構えをとる。『何だか不穏な雰囲気ですが、まさか、あなた方は……?』」

ホリー「そう、その、まさかだよ」

デル「気付くのが少し遅かったようだなぁ」

G太郎「お前の仲間は先に地獄で待ってるでござるよ」

レッサーオーガ『おのれ、人族の密偵がよもやドレイクやバルカンに化けて、ここまで侵入していたとは……』

ホリー「ところでGM。このレッサーオーガに名前は付いているのですか?」

GM「いや、シナリオでは特に名前は付いていないし、ただの情報源でバトルの予定もなかったのじゃが、わらわのアドリブで肉の穴襲撃の黒幕にさせてもらった」

ホリー「だったら、文官レッサーオーガで、ブンカンという名前にしておくか」

ブンカン『おのれ、こうなったらここで貴様らを殺して、その心臓をむさぼり食って、貴様らになり代わり、私自ら人族のレジスタンスに潜り込んでやるわ!』

G太郎「そう言えば、レッサーオーガは人族の姿に変身する種族でござったな。どうして、カレンの姿に変わろうとはしなかったのか?」

GM「いや、そういう絡め手の策というのは、相手が自分たちよりも強力な場合に撹乱を狙って行うものじゃろう? このレッサーオーガは正面からの襲撃で、レジスタンスを殲滅できると考えていたから、わざわざ小者の密偵になり代わる必要性を感じなかったのじゃ。つまり、普通のシナリオでは、蛮族が人族社会に侵入する際にやっているような潜入工作を、お前たちが逆に行っているのがミストグレイヴの面白さということになる」

G太郎「納得した。では、とりあえず、魔物知識判定と先制判定は行うか。マモチキは15で、先制は13」

GM「弱点は見抜かれて、命中+1。先制も取られた」

G太郎「定石どおり全員、後衛でスタート。まずは防御を固めるために、【プロテクション】をデルとホリーにかける。どちらも掛かって、ファストアクション分の2回行動はこれで終了。自分が殴らなければ、あっさりしたものでござるな」

デル「オラも【フィールド・プロテクション】と言って、守りを固めるぞぉ。これで師匠の【プロテクション】と合わせて、2点のダメージ減少だぁ」

ホリー「ボクは、前衛に進んで魔力撃で斬りつける。命中基準が6にボーナス+1で7からスタート。2Dの出目が4で11……じゃ当たらないよなあ」

GM「回避は12じゃからな。では、真語魔法の【リープスラッシュ】をホリーに撃っておくか。魔力12に抵抗せよ」

ホリー「ピンゾロで抵抗失敗」

GM「ヒヒヒ。11点ダメージを丸ごと喰らうがいい」

G太郎「いや、防護魔法が働いているので2点減らせるでござる」

ホリー「それでも、残りHP12点だ」

●1ラウンドめ終了時の状況

ブンカン(HP36/36、MP13/20)

ホリー(HP12/21、MP16/17)

デル(HP25/25、MP19/21)

G太郎(HP47/47、MP15/25)

 

G太郎「嬢ちゃんはオレサマが回復してやるぜ、とガルドになって、アースヒールでござる。9点回復した。嬢ちゃん、しっかりしな。お前の怒りはそんなもんじゃないはずだ」

ホリー「お前に言われなくても。もう一度、魔力撃。命中は12」

GM「同値は回避じゃ」

デル「オラも前衛に出るぞぉ。【マッスルベアー】と叫び、姉さんをかばう宣言。その上で、メイスで殴る。命中は12だぁ」

GM「つまり外れじゃな。では、もう一度、【リープスラッシュ】をホリーに」

ホリー「魔力撃で抵抗値は下がっているんだよな。抵抗は失敗」

GM「ダメージは8点じゃ」

ホリー「つまり、2点減らして、6点くらった、と」

G太郎「レッサーオーガは【リープスラッシュ】を2発しか撃てないでござる。回復態勢さえ整っていれば、攻撃魔法の連発を恐れる必要はないとは言え、こちらの攻撃が当てられないとジリ貧でござるな」

ホリー「ガルド、いや、G太郎。ボクに【ファナティシズム】の呪文をかけてくれ」

G太郎「その呪文は、命中+2だが、回避マイナス2を受けてしまう凶暴化の呪文でござるぞ。回避主体の軽戦士が使うには、リスクが大きすぎる」

デル「大丈夫さ、師匠ぉ。ホリー姉さんはオラがかばうからぁ。レッサーオーガは1回しか攻撃できないから、オラがかばっているうちは、攻撃魔法以外で姉さんにダメージは通らないぃ。姉さんはオラが守るから、遠慮なく人の怒りを叩き込みなぁ」

G太郎「ならば、ホリー嬢ちゃんに【ファナティシズム】を使うでござる。って、またもピンゾロ? このオレサマともあろうものが、嬢ちゃんに回避ペナルティーを与えることで迷いが生じたというのかぁ」

ホリー「支援があろうとなかろうと、ボクは怒りをぶつけるのみ。……(コロコロ)だけど当たらない」

ブンカン『フッ、ドレイク様やバルカン様に化けているから、どれだけ強いかと思えば、しょせんは人族。有象無象のザコであったか』

G太郎「くっ、私の本気を知らずに調子づきおって」

デル「悔しいので、オラも攻撃するぜぇ。よし、命中16で当たったぞぉ。ダメージは14点だぁ」

ブンカン『12点くらいましたあ。バカな、この私がザコに攻撃を食らっただと? 反撃の物理攻撃です。命中12を避けなさい』

デル「回避の基準値は2だから、元々オラは避けられないんだよなぁ。ダメージをよこせよぉ」

ブンカン『12点ですよ』

デル「素の防護点で8点減らし、さらに防護魔法が2点減らすから、2点くらっただけだぁ。魔法じゃなければ、大したことねぇ」

●3ラウンドめ終了時の状況

ブンカン(HP24/36、MP6/20)

ホリー(HP15/21、MP16/17)

デル(HP23/25、MP16/21)

G太郎(HP47/47、MP10/25)

 

G太郎「では4ラウンドめ。ホリー嬢ちゃんに再度のファナティシズム。今度はきちんと掛かって、命中判定+2でござるよ」

ホリー「次こそ当ててみせる。魔力撃で命中は……って、またピンゾロか? この戦闘は呪われているんじゃないか」

G太郎「どんどん経験点がたまって行くでござるなあ」

デル「かばう宣言しつつ、オラも殴るぅ。こっちは普通に当たったぁ。 ダメージは、やはり14点」

ブンカン『残りHP12点ですかあ。こうなったら、一人でも多くの道連れを。【エネルギーボルト】をそこの弱っちい女バルカンにぃぃぃ』

ホリー「抵抗は失敗」

ブンカン『クリティカル1回で14点ダメージが出ましたよ〜』

ホリー「ぐっ、2点減らして、残りHPは3点だ。だけど、こちらも、お前だけは許せないんだあ。5ラウンドめ。やっと命中13で、ダメージは9点」

ブンカン『残りHP5点ですか。まだ私は生きてますよ」

デル「姉さんをかばいつつ、回復魔法だぁ。8点回復しといてくれぇ」

G太郎「嬢ちゃんに【エフェクトウェポン】をかけてやるぜ。烈火の刃でとどめを刺しな」

ブンカン『バルカンの炎だと? そんな、まやかしなど吹き消してみせるわ。MPはほぼ0なので、武器攻撃のみ』

デル「姉さんはやらせない。かばった」

ブンカン『ダメージは10点』

デル「そいつはカーンと弾いた。今だ、姉さん」

●5ラウンド目終了時の状況

ブンカン(HP5/36、MP1/20)

ホリー(HP11/21、MP16/17)

デル(HP23/25、MP13/21)

G太郎(HP47/47、MP8/25)

 

ホリー「ボクの魔力と、G太郎のくれた魔法の火炎が合わさって、紅蓮の輝きが相手を貫く! 命中して、ダメージは11点」

ブンカン『バカなッ。この私が、人族のザコどもに、このようなところで……』

G太郎「……お前の敗因は一つ。人族の絆の力、協力して事に当たる和の心を理解できなかったことでござるよ。……そして戦利品はショボくて、120ガメルの入った袋と黒鉄剣士勲章2つのみ」

 

ホリー「ボクとしたことが、激怒のあまり非効率な戦いをしてしまったようだな。G太郎やデルがいなければ、このレッサーオーガを倒すことなんて、とてもできなかっただろう。自分の未熟さと不運が恨めしい」

G太郎「不運という意味では、私も似たものでござる。だが、大切なのは、そこから何を学んだかということ」

デル「烈火団の初陣としては見事とは言えねえけど、みんなで力を合わせての初勝利だし、カニ相手に無様を喫すよりは、しっかり勝てたんだぁ。次はもっと上手くやれるだろうし、次があるってことを祝おうぜぇ」

 

(当記事 完。次は「魔神ハンター、処刑遊戯場へ」につづく)

●ここまでの冒険成果

 

経験点:★1つ(レッサーオーガからカレンの行方を突き止めた)

    魔物撃退分(140点)

    ピンゾロ分(ホリー2回、G太郎3回)

お金:戦利品(2500G分)、銀貨120ガメル

   黒鉄剣士勲章4個

 

ミッション:ルキスラの密偵を救出せよ(密偵のカレンは【処刑遊戯場】に売られたらしい)

エスト:ジーズドルフ解放軍の同志を集める

 

情報

・物乞い市場の宿の女主人ビシャナが仕事をくれる。

・彼女はユリア・ミルドリスのことを何か知っていそう。

・ゴミ溜め窟にいるリザードマンの情報屋ゾ・ゴグが略奪品に詳しい。

・物乞い市場の顔役は、紅の水魔ソニア・ゾラである。

 

ジーズドルフ解放軍は食糧探しのミッションも用意している。

・ユリア・ミルドリスの情報は《銀の蜜蜂》が知っている。物乞い市場のビシャナが関係者?

・略奪品は【地底湖の畔】のマーマンが詳しい。

・地下水路のリザードマンの集落の位置情報。