花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

魔動機術と神聖魔法の話

魔神ハンターの幕間にて

 

ゲンブ「さて、マッスルG太郎のプレイのために、魔動機術のルールを確認しておくでござるか」

リトル「師匠、リウもお付き合いするですぅ」

ゲンブ「G太郎はデルニールの師匠でござるが、我はお前の師匠となった覚えはないぞ」

リトル「そう、つれないことをおっしゃらないでくださいよぉ。リウはセイリュウの子として強くなるために、いろいろな方から多くのことを学ぼうと思っているのですぅ。ゲンブ師匠からは、火の吐き方や、強靭な防御力や、子どもを守るという博愛精神など学ぶことがたくさんありそうですからぁ、TRPGの研鑽を通じて、いろいろ教えを乞おうと考えているですぅ」

ゲンブ「まあ、子どもに頼まれたらイヤと言えないのが、我でござるから、共に研鑽を深めるTRPG仲間としてなら語り合うのもよかろう」

リトル「はい。ところで、ソード・ワールドの魔法体系っていろいろあってややこしいですねぇ」

ゲンブ「旧SWのフォーセリア世界では、プリーストの使う神聖魔法、ソーサラーの使う古代語魔法、シャーマンの使う精霊魔法の3つに、バードの使う呪歌を加味すれば大体、理解できたのだがな。2.0に入って、どんどん新しい職業技能が追加され、魔法の種類も増えたでござるよ」

リトル「基本ルールでは、プリーストの神聖魔法はそのまま、古代語魔法がソーサラーの真語魔法とコンジャラーの操霊魔法に分かれ、精霊魔法がフェアリーテイマーの妖精魔法にイメチェンしたんですねぇ」

ゲンブ「そこにマギテックの魔動機術が加わったでござるよ。フォーセリアでは『神の時代→古代魔法文明→現在の剣の時代』という大きな時代区分が為されているが、ラクシアでは、古代魔法文明と現代文明の間に『魔動機文明』が入ってくる。一部の貴族が占有していた古代魔法の力を、機械の力で誰もが享受できるように魔力で動くメカや道具がいろいろ開発された時代ということだ」

リトル「フォーセリアにはない、銃や飛空船、魔動列車などの新世紀ファンタジーの定番要素の背景にあるのが魔動機術なんですねぇ」

ゲンブ「新世紀ファンタジーというと、いや、それ以前から存在しましたよ、という意見はあるが、ここでは典型的なTRPGがD&Dに起因する、あるいはイメージソースとして『指輪物語』や各種神話伝説を背景とする古代から中世ヨーロッパ風の『剣と魔法の世界』が70〜80年代の本流であって、ルネサンス以降の錬金科学や銃、乗り物の類は別ジャンル(スチームパンクとか)として区別されていた時代を旧世紀と見なすとしようか」

ヒノキ「魔法と科学技術は別物という扱われ方じゃな」

ゲンブ「おお、アリナ様。聞いていらしたとは」

ヒノキ「うむ。魔法と科学技術の対立と融合というテーマだと、いろいろ語れるのう。魔法は混沌の産物で、科学技術は秩序の産物というのが『エルリック』を始めとするエターナルチャンピオンシリーズで提唱され、その世界観の要素がグランクレストなんかでも踏襲されておる」

ゲンブ「グランクレストは、混沌の支配する魔法の時代から混沌を完全に封印して、魔法のない秩序の時代に移行する形で物語が終了したでござるな」

ヒノキ「あの世界の古代文明は、ロードスと対照的に科学文明だったのじゃが、発達しすぎた科学が人類をも滅ぼすということが分かって、科学を抑制するために混沌の力を暴走させて文明を大きく後退させたのが古代科学者にして魔術の祖たるパンドラ。それ以降、秩序と混沌のバランスをとって、混沌を絶やさないよう、それでも混沌の過度の暴走から人の生活を守るように活動しているのがパンドラの意思を受け継いで世界を裏から動かす魔術師たち。

「グランクレストの世界では、科学は失われた過去と未来にあるのであって、あくまで背景ギミックに過ぎないが、混沌の力を利用した魔法と、秩序に基づいて発展する科学技術が対になっておる」

ゲンブ「エターナルチャンピオンや、グランクレストを話題にすると、ソード・ワールドから話が広がりすぎるでござるな」

ヒノキ「まあ、魔法と科学技術の関係を考える上で、TRPGジャンルにも通じる例を挙げたまでじゃが、基本的に魔法と科学技術は違う文明、あるいは違う世界の産物なので、異文明の対立、あるいは多元宇宙という物語を考える上では重要なギミックと言えよう。つまり、科学文明に慣れた現代人が、魔法の栄えたファンタジー世界に転移するような話とか、その逆の異文明交流によるサプライズから始まるSFっぽい物語では昔からあった題材というわけじゃ」

ゲンブ「文明人が野生人もしくは野生怪獣に出会って驚くとか、未来人が現代にやって来て巻き起こすドタバタとかの一パターンでござるな」

ヒノキ「ただし、TRPGだとそういう世界を構成するギミックを一つのルールで再現しないといけないので、ある程度のノウハウが確立するまでは、混ぜるな危険ということになっておった。

「しかし80年代から90年代にかけて、世界観をまたぐ汎用システムやマルチジャンルのTRPGが発展し、それと並行するようにコンピューターゲームの表現力やデータ容量の方も向上していき、SFのテクノロジーと魔法ファンタジーを一ゲームでどちらも描写できるようになった。すると、それに影響されて『ファンタジーとSFテクノロジーの融合』が多くの受け手にとっても違和感ないものとして許容される。それこそが21世紀のスタンダードを構築したと言えよう」

リトル「その結果が、SWにおける魔動機術につながるんですねぇ」

 

 マッスルG太郎の魔動機術

 

リトル「ところでG太郎さんは、マギテック技能を習得していますが、別に銃使いではないですよねぇ。どうして習得したんですかぁ?」

ゲンブ「それは、この記事を読むといいでござるよ」

ヒノキ「簡単に言えば、目的は二つ。『MP効率の一番いい回復魔法【ヒールバレット】の習得』と『エンハンサー技能のためのMP向上』の二つが主目的なのじゃよ」

ゲンブ「マギテックの能力をフル活用しようと思えば、まず銃器を使いこなすためのシューター技能、探索用の術との相性がいいスカウト技能、そして魔動バイクを乗りこなすためのライダー技能を習得すれば、習得呪文を過不足なく使えるでござろう。マギテックを主体にキャラ構築するなら、シューター、スカウト、ライダーをセットにするのが最適解ということになる」

リトル「だけど、G太郎さんはスカウト技能しか持っていないですぅ」

ゲンブ「それは、ずっとソロのグラップラーとして成長してきたからでござる。シューター技能をメインにしようと思えば、仲間に前衛キャラが必要になるでござるし、合わせて《ターゲッティング》の戦闘特技も習得したいところ。一方で、ライダー技能の方は『騎乗中は格闘攻撃ができない』という制限がござってな。SWのグラップラーとライダーは相性が悪いのだ」

ヒノキ「騎乗中は射撃に専念して、降りてから格闘戦を挑むという手もあるが、効率の悪い育て方じゃろうな。結果的に、G太郎の魔動機術はいろいろと宝の持ち腐れ呪文が発生しておるわけじゃ」

ゲンブ「1レベルでは【ターゲットサイト】と【マナサーチ】。2レベルでは【エクスプローラーエイド】と【ヒーリング・バレット】しか使っておらん。一応、【ノッカー・ボム】も使えるが、これまでは使う機会がなかったでござる」

リトル「半分以上が使っていないんですねぇ。3レベルではどうですかぁ?」

ゲンブ「最近、使えるようになったばかりでござるが、属性効果付きの銃弾を作る【エフェクト・バレット】は無用なもの。一方で、武器に属性効果を付与する【エフェクトウェポン】の方が、今後の役に立つであろう。これはコンジャラーの1レベル呪文【エンチャント・ウェポン】同様のMP消費2で、ダメージ+1 に加えて属性効果を付与することで完全に上位呪文となっている」

ヒノキ「属性効果は、炎、水&氷、雷、風、土の5種類を自由に選べるので、相手の弱点に合わせて切り替えることのできる汎用性の高い呪文じゃのう」

ゲンブ「仮に弱点がなかったとしても、その時の気分次第で、マッスル電撃キックとか、マッスル烈風脚とか、マッスル火炎蹴りとか、マッスル氷柱落としとか、マッスル岩石ニードロップとか多彩な技を繰り出せる、遊び感覚に満ちた呪文でござるよ」

リトル「その時の気分で、多彩な蹴り技が生まれるんですねぇ。グレンダール様のレベル4プリースト魔法にも【ヒート・ウェポン】という武器強化呪文があって、ダメージが+2できるんですけど、火炎属性のみなんですよぉ」

ゲンブ「コンジャラーのレベル3呪文【ファイア・ウェポン】みたいなものでござるな」

ヒノキ「違うのは、【ファイア・ウェポン】が他人の武器にも掛けられるのに対し、グレンダールの特殊神聖魔法は自分の武器にしか掛けられん。その代わり、補助動作で使えるというメリットがあって、自己強化の技としては便利な仕様じゃ」

ゲンブ「同じような呪文でも微妙なデータの差異があると、実プレイでは使い勝手が変わってくることがあるので、研鑽のし甲斐があるでござるなあ」

 

リトル「各レベルで4つの術があるみたいですけど、他の2つはどうですかぁ?」

ゲンブ「戦闘で使えるのは【ショック・ボム】。これは相手に麻痺爆弾を放って、3ラウンド間、回避をマイナス2させる戦闘補助呪文で、ソーサラーのレベル3呪文【パラライズ】の弱い版ということになろうか」

ヒノキ「ソーサラーの場合は18ラウンド有効で、命中か回避のどちらかを選んでマイナス2できるからのう。ただし、【ショック・ボム】は相手の敏捷力の数値をマイナス12させるのが正確な表現で、その結果、回避や先制値の数値が2減少し、移動力も12減少するという扱いで、戦闘時だけでなく、戦闘前に不意討ちで使用して、その後の逃走を有利にするという使い方も考えられる仕様じゃ」

ゲンブ「というか、戦闘に入る前に事前使用しておかないと、先制値の減少に意味がないでござるなあ。戦闘に突入したら、まずは魔物知識判定と先制判定を行なって……という形式が普通なので、その後で先制値を下げても仕方ないわけで」

ヒノキ「ソード・ワールドは一度、先制が決まると、あとは先攻・後攻が代わりばんこでラウンドを進めて行くからのう。毎ラウンド、行動順を決め直すゲームだと戦闘中の先制値の減少に意味はあるのじゃが。【ショック・ボム】を有効活用できるとしたら、事前に同じ効果を持つトラップとして仕掛けておいて、それに引っ掛かると同時に戦闘開始という仕様にするとかじゃろうか」

ゲンブ「GMオリジナルの罠として、【ショック・ボム】と同じ効果の仕掛けとして扱うのでござるな。呪文自体はトラップとしての使用法は不可能でござるが(その場で放って一瞬で爆発する仕様なので、時限爆弾やトリガー式の罠みたいには使えない)、GMがアレンジするためのアイデアソース程度にはなる、と」

ヒノキ「まあ、素の【ショック・ボム】のデータだと、回避値マイナス2と考えておくのが分かりやすい。その上で、上級戦闘ルールを使うなら、移動力マイナス12というのも有効利用できるかもしれんのう」

 

ゲンブ「逃げ足の速い相手の動きを封じるとかも考えられるでござるなあ。そして、最後の4つめは【ジャンプブーツ】で、ジャンプ力が通常の2倍から最大5倍まで高まるでござる」

ヒノキ「跳躍できる距離なんかは跳躍判定で決めるのじゃが、その数値が向上する形になる」

ゲンブ「基準は幅跳び3メートル、高跳び1メートルで目標値10。その上で幅跳びなら1メートル、高跳びなら10センチ増えるごとに目標値が+2されるのがルールでござる」

リトル「すると、1メートル60センチの高跳びで目標値22ですかぁ。ずいぶんと難しいような気がしますぅ」

ヒノキ「5メートル以上、助走ができるなら目標値マイナス2(厳密には達成値+2)、また荷物を一切持たない状況で目標値マイナス2じゃから、陸上競技走り高跳びみたいなシチュエーションだと目標値18まで下がるが、それでも素人には困難っぽいのう。例えば、着地場所が砂場とかマットを敷いてあって、背中から落下してもいいという前提で目標値をもっと下げるのもありじゃろうし。実際の冒険中の高跳びシチュエーションじゃと、陸上競技のように恵まれた環境下ばかりでもないからのう」

ゲンブ「ともあれ、そのジャンプ距離や高度が増加するわけで。マギスフィア小で2倍、マギスフィア中で3倍、マギスフィア大で5倍。つまり、マギスフィア大を使えば、幅跳び15メートル、高跳び5メートルが普通に達成できて、それこそ建物の2階まで軽々とジャンプできるような忍者風アクションが可能でござる」

リトル「確か、最近YouTubeで配信が始まった白クウガ(グローイングフォーム)のスペックがジャンプ力7.5メートル、赤クウガ(マイティーフォーム)のスペックがジャンプ力15メートルなので、せいぜい5メートルではクウガには勝てませんねぇ」

ゲンブ「くっ、クウガは我にとって、TVの特撮ヒーローに開眼させることになった伝説のヒーロー。マッスルG太郎がクウガに並び立つには、20年早いでござる。せいぜい不破さんと並び立つぐらいでござろう」

ヒノキ「仮面ライダーバルカンのジャンプ力は、基本形態のシューティングウルフで16.2メートル、パワー形態のパンチングコングでも8.5メートルで、マッスルG太郎の5メートルでは太刀打ちできそうにないのう」

ゲンブ「うう。ソード・ワールドにおけるスペックデータでは、偉大な仮面ライダーに対抗することはできないのでござるか(涙目)」

ヒノキ「いや、別に対抗する必要もないじゃろう。そもそもの世界観が異なるわけじゃし。なお、セイバーのスペックデータは基本形態でジャンプ力18.2メートル。前作ゼロワンのライジングホッパーはジャンプ力60.1メートル、ゼロツーでジャンプ力200メートルという驚異的な数値を叩き出しておる」

ゲンブ「何でござるか、その盛り様は? いくらジャンプが得意なバッタの能力とは言え、もはや真面目に解析するのがバカらしいレベルではござらんか」

ヒノキ「ジャンプ力に注目して比べると、常盤ソウゴが最終回で変身したオーマジオウが240.6メートルで歴代最長だと思われる。まあ、飛行能力を持っている者でもジャンプ力はそこまでではなかったり(迅バーニングファルコンで47.6メートル)、200メートル代だとオーズのガタキリバが200メートルで、プトティラが210メートルとか、エグゼイドのムテキゲーマーが通常状態でジャンプ力が128メートルなのを、一時的に能力が倍にブーストされてオーマジオウ超えの256メートルになったケースがあるとか、まあ、ジャンプ力100メートル越えというのが上位陣には必要で、200メートル越えはレアケース。

「平均をとると、初期状態で10メートル代から30メートルの範囲に収まり、バッタとかウサギとかのジャンプが特徴のライダーは初期状態から50メートルぐらいに盛られ、以降は強化フォームなんかで50メートル越えから100メートルの範囲に収まるのが現代のライダーの最頻データということになろうか。こういうスペックデータは、きちんと統計処理を行うと、なかなか面白いとも思うが、宇宙キターのフォーゼや、機敏な動きが印象深いウィザードが意外とスペックデータ的には控えめだったのが、個人的には興味深い発見と言えるのう」

ゲンブ「つまり、仮面ライダーたちと比べると、ジャンプ力5メートルで喜んでいてはならないということでござるな」

ヒノキ「まあ、たかだか3レベルの呪文で得られる程度の能力じゃからのう。8レベルの【グライダーマント】を習得すれば、飛行も可能になるし、11レベルになれば【スカイバイク】を作ることも可能になる。まだまだ成長の余地はあるのじゃよ」

 

デルニールの神聖魔法

 

リトル「では、リウも自分の使う魔法について、研鑽したいと思いますぅ」

ヒノキ「うむ、お前はTRPG初心者じゃからのう。一から改めて研鑽するのもいいじゃろうて。では、神聖魔法1レベルの呪文名を暗唱せよ」

リトル「ええと、【サニティ】【バニッシュ】【フィールド・プロテクション】の3つですねぇ。プリーストは回復呪文のエキスパートと言われていますが、意外と1レベルでは回復呪文が使えないですぅ」

ゲンブ「だから、デルニールは先にプリーストを2レベルにして、ファイター1レベルから始めたのでござるなあ」

リトル「戦士としては、本当に初心者からスタートだったんですぅ。これからは戦士メインで、プリーストは補助という風に育てるつもりですけどぉ」

ヒノキ「それでも仲間にプリーストがいれば心強いので、自分の使える呪文の研究も欠かさないことじゃ」

リトル「はい。まず【サニティ】は精神的な異常を癒す呪文で、混乱した仲間や、魅了された仲間や、極度の興奮状態にある仲間や、妄想から抜け出せない特定個人を現実に戻すために使いますぅ」

ヒノキ「まあ、新兄さんみたいに妄想慣れしている人物なら、ちょっとしたツッコミ程度の声掛けで、すぐに現実を取り戻すじゃろうが、そういう日常的な寄り道脱線とは異なる破滅的な狂気を鎮静化させる呪文と言えよう。冒険中に仲間が錯乱したり、怯えているNPCから情報を得る必要がある際に、落ち着かすのに使うのじゃな」

リトル「熱血漢のデルニールが使うと『落ち着けぇぇ』と叫んで、必殺のサニティパンチで相手の狂気を粉砕するやり方になりそうですぅ」

ヒノキ「殴るな。せいぜい、『喝ッ!』と叫ぶ程度にしておけ」

ゲンブ「殴って、相手を正気づかせるのは、ご昭和の流儀でござるからなあ。今やると、顰蹙ものであろう」

リトル「グレンダール流サニティは力づく……ってのはダメですかぁ。【バニッシュ】は蛮族とアンデッドに恐慌をもたらす範囲呪文ですねぇ」

ヒノキ「うまく掛かれば、敵集団が逃げ出したり、行動にペナルティーを与えることができるが、稀に恐慌をきたす余りに凶暴化してしまい、命中ボーナス+2というケースも有り得るからのう。確率的には6分の1でバーサーク、6分の1で逃げ出す、3分の2で行動ペナルティーといったところか」

リトル「バーサークすると、呪文などの特殊攻撃を使って来なくなって肉弾戦のみになるので、呪文使いが混ざっている蛮族集団などにはとりあえず掛けてみるというのもありですねぇ」

ゲンブ「後衛プリーストが支援に使うなら有効な局面もあろうが、神官戦士の場合は殴った方が早いと考えるでござるが」

リトル「相手の数が多くて、一人一人を相手にしても仕方ない場合に、とにかく数減らしをしたいとか、そんな感じですかぁ?」

ゲンブ「相手を逃がしてしまうと、倒したときの戦利品獲得ができないではござらんか」

リトル「ああ、確かに。少しでも資金稼ぎしたい時には使わない方がいいですねぇ。では、【フィールド・プロテクション】ですが、味方5人のダメージを1減らす範囲防護呪文ですぅ。カニ相手に使ってみましたが、ダメージ1点減だけだと、効果は微妙と言わざるを得ません」

ゲンブ「とりあえず、全員後衛で【フィールド・プロテクション】をプリーストが掛けるのは一つのセオリーでござるが、この場合、プリーストがそのラウンドで前に出れないという欠点がござる。武器戦闘を主体にする神官戦士には、いささか扱いが難しい時もあろう。パーティーにメイン戦士が別にいて、先に前に出てくれ、後から追随して支援役になるつもりなら、使いどころもあろうが」

リトル「今は、マッスル師匠がいますから、使いやすいかもしれませんねぇ」

ゲンブ「いや、G太郎の場合は、いちいち防護魔法に頼る前に、先に敵を蹴り倒してからMPは回復に回すという戦法だったから、敵の攻撃回数が多い場合や、すぐに倒せないので、じっくり防御を固める局面じゃないと、まずは殴ることを優先した方がいいでござる」

ヒノキ「呪文の研究なのに、呪文を使わずに殴ることを推奨するなど、何て脳筋講座じゃ」

ゲンブ「攻撃は最大の防御なり、とマッスルG太郎なら言うでござるよ。そして、支援役の後衛プリーストと、自分も前に出る神官戦士とでは、当然とるべき戦術も変わってくる。MPという限られたリソースを防護呪文に使うか、回復呪文に使うか。

「敵が3回攻撃してくるなら、フィープロで減らせるダメージも最大3点。それが3ラウンド続くなら、9点分にもなろう。それぐらいなら初めて、フィープロの方が回復呪文よりもはっきりお得ということになる。敵のHPなどのデータを見て、何ラウンドで倒せそうか予測して、その間に相手からダメージを受ける回数を考えながら、防護呪文が有効かどうかを見極めることができれば、中級プレイヤーと言えよう。3ラウンド以内に倒せそうな相手なら、フィープロは必要ない。これでも脳筋と言えようか」

リトル「さすがはゲンブ師匠。無駄な呪文を使わずにMPを節約する効率思考、勉強になりますですぅ、ハイ」

ヒノキ「それも、爆発的な攻撃力をもって、相手を瞬殺できるグラップラーゆえに言えることなんじゃがな」

 

リトル「次に2レベル呪文いきますぅ。【アウェイクン】【キュア・ウーンズ】【ディテクト・フェイス】の3つに加え、グレンダール様の特殊神聖魔法【サイン・トーチ】がデルニールは使えますよぉ」

ヒノキ「HP回復呪文のキュアは特に説明はいらんのう。一応、回復だけでなく、アンデッド相手の攻撃呪文として使えることも大事。あと、これは他ゲームとの比較になるが、D&Dのキュアは接触呪文なので、位置関係を厳密にプレイする場合、傷ついた仲間が後ろに下がるか、癒し手が前に出るかを考えねばならん。それに比べて、SWの場合はキュアの射程距離が10メートルじゃから、後衛から前衛にかけることも可能。

「これがさらにゴブスレの場合、射程30メートルの上、接触状態でかけると効力値+5のボーナスが得られる。以前にプレイした時は、新兄さんがそのルールを失念していて、普通に使っておったが、それでも回復のダイス目で6ゾロを出して、救世主呼ばわりされたことも去年の夏の話」

ゲンブ「懐かしいエピソードでござるが、厳密にはその時のプレイヤーは、令和の新星どのではなく、10年前の平成時代の新星どのだったはず。令和の御仁はGM役だったわけで」

ヒノキ「何? すると、新兄さんは、過去の自分が演じたキャラを救世主呼ばわりしたことになるのう。何ちゅう自作自演ぶりじゃ」

ゲンブ「そして、今は小説家にして、救世主のライダーにあやかったキャラを嬉々として演じているそうでござるな」

ヒノキ「うう、その話を聞くと、わらわもプレイヤーをしたくなってくるのじゃ。誰か、わらわのためにGM役をやってくれんかのう?」

ゲンブ「ミストグレイヴが終わるまでは、難しそうでござるなあ」

ヒノキ「シクシク」

リトル「アリナ様に、サニティの呪文を掛けるですぅ」

ヒノキ「はっ、泣いている場合ではなかったのじゃ。【アウェイクン】はHPが0になって気絶したキャラをHP1に戻して戦闘復帰させる呪文。戦闘中にそれが可能なのは、プリースト呪文か〈アウェイクポーション〉を使わないといけない。よって、プリーストのいないパーティー、あるいは万が一、プリーストが倒れた場合に備えて、〈アウェイクポーション〉を一人一本は用意しておくのが冒険者のセオリーと言えよう」

ゲンブ「もっとも、マッスル太郎はずっとソロの冒険だったために、持っていなかったでござる。自分が倒れたら、それで終わりという過酷な冒険者生活だったゆえに。一応、仲間ができた今なら、機を見て購入を検討しても良いだろうが、戦闘中は相手を倒すことに専念して、戦闘後の応急手当で仲間を起こす方が効率的かもしれん」

リトル「もしも、よければデルニールが最初から持っている〈アウェイクポーション〉を師匠に託しますけどぉ」

ゲンブ「おお、くれると言うのか?」

リトル「デルは自分で【アウェイクン】の呪文が使えますからねぇ。MP切れに備えて持っておきましたが、それよりも師匠に持っていてもらった方が、パーティー全体としては安心だと思いますぅ」

ゲンブ「まあ、要はHPが0にならなければいい、ということでござるからなあ。しょっちゅう必要になる呪文やポーションではござらんが、いざ必要な時にはパーティーが大ピンチということなので、備えあれば嬉しいな、であろう」

ヒノキ「ゴブスレ流の女神官ことわざの一つじゃな。さて、【ディテクト・フェイス】は敵神官が信じている神の名や属性が分かるというものじゃが、普通は堂々と聖印などで自分の信仰をさらしているものじゃからの。これが必要になるのは、社会に潜んでいる邪神のプリーストを発見するようなシナリオぐらいじゃろうか」

リトル「デルはグレンダール信仰だからいいけど、もしも多くの蛮族が嫌うライフォス神やティダン神のプリーストだったら、蛮族のプリーストにこの呪文を掛けられることが脅威なんでしょうねぇ」

ヒノキ「ソード・ワールドの神の中には、信仰しているだけで社会に仇なす類のものが少なからずいるのじゃよ」

ゲンブ「アンデッドの神メティシエや、狂神ラーリスなどでござるな。蛮族の支配する霧の街の地上部にも、その二神の神殿は存在しなかった」

ヒノキ「妖精郷のどこかには、メティシエ神殿が隠されているのじゃがな。まあ、そちらの話は新兄さんのところに任せるとしよう」

 

リトル「最後に、【サイン・トーチ】ですけど、相手に6ラウンド間、炎の目印を付けて目立たせ、回避にマイナス2のペナルティーを与える呪文ですぅ。支援魔法ですけど、これを使うと攻撃できないので、どうするか考えどころですねぇ」

ゲンブ「戦闘特技《マルチアクション》を習得すれば、武器攻撃と魔法が同ラウンドで使えるようになるので、魔法戦士にはお勧めでござるよ」

リトル「殴りつつ、回復魔法が使えるのも有効そうですからねぇ。5レベルになったら是非、習得したいですぅ。もっとも、その前にまずは3レベルに上げないといけないんですけどぉ」

ゲンブ「では、その時に向けて精進するでござる」

  

(当記事 完)