花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

魔神ハンターと、レジスタンス(SWミストグレイヴ0ー9)

2日めの旅立ち準備

 

GM(ヒノキ)「前回は、物乞い市場にあるビシャナの宿屋で一時の休息をとったのじゃが、その際、NPCとの交流をしつつ、今後の活動方針を考えることとなった」

デル(リトル)「オラは、そういう交流とは無縁で、グースカピーと寝ているだけだったなぁ」

G太郎(ゲンブ)「酒を飲んだり、情を交わし合ったり、子どもには早すぎるシーンでござったからな」

ホリー(シロ)「言っておくけど、ボクはそこまで踏み込んだわけじゃないからな(赤面)。ただ、いろいろ話をして打ち解け合っただけだ」

GM「さすがに一夜明けて、宿の主人が『昨夜はお楽しみでしたね』と野暮な言葉をかけるでもなく、お前たちは遅い朝食を口にしながら、出発の準備をしているわけじゃ」

G太郎「このままミッションに従い、メル嬢を南へ送るとして、その後の予定でござるが、仕事の当てができた。宿の主人のビシャナさんが頼みたいことがあるらしい」

ホリー「いつの間にそういうことに?」

デル「オラは知らないけど、プレイヤーは知っているぅ。姉さんが部屋でいろいろしている間に、G太郎さんが情報収集を頑張ってたんだぁ」

ホリー「ボ、ボクだって、情報収集に励んでいたぞ。そう、これから向かう場所について、会うべき人物のこととか、蛮族に対抗する意志の確認とか……」

G太郎「気をつけるでござる。今は人目につく場所ゆえ、うかつな発言は自らの首を絞めることになる。我らは上位バルバロスのドレイクの坊ちゃんと、連れのバルカンの嬢ちゃん、そして従僕にして世馴れたルーンフォークの主従一行であることを忘れなく」

ホリー「あ、ああ、バルバロスとして人族の集落に対する視察をだな。反抗の気配がないかと探り当てようとしたわけだ」

メル『私たちはただ生きるのに精一杯なだけで、バルバロス様に逆らうなど滅相もありません』

ホリー「そうとも。メルはただ調和の神の教えに従い……」

GM「それを言おうとすると、メルがホリーの足を踏んで、警告の視線を送るのじゃ。蛮族社会において、調和神の名をうかつに出すのは自殺行為だと訴える」

ホリー「す、すまない。慌てて口をつぐむ」

G太郎「ほう。彼女はライフォス信者なのか、と、こちらも口に出さずに納得しよう。ルーンフォークは神を信じないが、第一の剣の神がこの蛮族社会においては、抹殺対象であることぐらいは知識がある。地上の街では、サカロス神殿やティダン神殿、キルヒア神殿が破壊されて、廃墟となっていた。バルバロスが信仰するのは、戦神ダルクレムや腐敗神ブラザバスなど第二の剣の神々でござる」

デル「アリナ様、オラの信じるグレンダール様はどうなんだぁ?」

GM「力を求め、己を鍛えることを推奨するグレンダールは、第一の剣の神であるにも関わらず、トロールケンタウロスなどの武を重んじる蛮族に信仰されているようじゃのう。戦神という性質ゆえ、ダルクレムに通じるものもある、と考えられる」

デル「だけど、ダルクレムとグレンダール様の教義は違うはずだろぉ?」

GM「うむ。グレンダールは強くなることを推奨するが、弱者に対して横暴に振る舞うことは戒めておる。何が何でも勝て、という教義でもなく、あくまで正々堂々とした戦いで己の力量を証明し、負けてもそこから立ち上がることを奨めておる。敢えて自分を逆境に置いて、そこから這い上がるような鍛え方を求めたりのう」

デル「ダルクレムはどんな感じだぁ?」

GM「戦え。絶対に勝て。負けは認めるな。勝つためなら卑怯なことをしてもいいが、むしろ力で叩きつぶすことこそが誉れ。負けるぐらいなら潔く自決せよ。さもなくば、復讐のために屈辱を呑んで生きよ。そして勝て。勝てば正義、負けるは恥。弱者は力で従え、屈服させよ。弱い者は支配されて当然、勝者の思うがまま。弱肉強食こそ世の理である。欲しいものは奪いとれ。力なき者は全てを捧げよ。それを拒むなら強くなれ。力があれば、下剋上も認める。部下に寝首を掻かれるような者は、甘えた軟弱者ゆえに」

デル「……何だかおっかない教義だなぁ。例えば、オラがダルクレムの信者だったら、G太郎師匠を尊敬しているフリを見せても、ある程度、力をつけて勝てると踏んだら、突然、裏切って『ハハハ、師匠も甘いなあ。だが、もう、あんたの時代は終わったんだ。これからはオレサマがあんたの代わりに君臨してやる』と立ち回ったりすることもありなのかぁ?」

G太郎「『バカな。貴様のような若輩者に不覚をとるとは、このわしも老いたものよ。だが、覚えておくがいい。お前もいつかこうなる。それがイヤなら鍛錬を怠るな。甘さを見せるな。心を鬼とせよ。誰も信じるな。……なまじ弟子を信じたがゆえに、このような末路よ。敗者は潔く散るとしよう。ぐふっ』というのが、ダルクレム文化の師弟像でござろうか」

デル「まるで修羅の道だなぁ。まあ、弟子も師匠によほど虐められていたんだろうけどぉ。とにかく、オラにはマネできねえ世界だぜぇ」

GM「蛮族は基本的に力に基づく社会で、慈愛とか協調という感情を弱者の論理と軽蔑する風潮がある。もちろん、個人的に友情や信頼関係を築くケースもあるが、その前提には自分にとって有用かどうか、あるいは愛すべき資質を持ち合わせているかなどが考えられる。『弱いけど、作る飯が美味しいから可愛がられるコボルド』とかは一般的じゃのう」

G太郎「そして、個人としては人族よりも一般的に強力になりがちな蛮族が、戦争では必ずしも勝てないのは、人族の軍隊が規律を重んじ、部隊としての戦術を大事に考える一方で、蛮族の軍隊は個人の武勇を重んじ、勝てば勢いよく調子づく反面、強大な指揮官が倒れれば容易に潰走する脆さを備えているゆえ。

「また、統治や生産に関する技術は人族の方が文明化されているため、どうしても蛮族社会は略奪に頼りがちな未開状態になりやすい。その中で、人族の文明を学んだ一部のエリート階級が蛮族の英雄として、強大な軍事国家を建設するケースも時には見られるのでござるよ」

GM「もちろん、蛮族社会は人族以上に個人主義であるがゆえに、以上の一般像から外れた多様な変わり者は存在するじゃろうな。そして、蛮族社会は決して一枚岩ではないことが、このミストグレイヴのシナリオをプレイしていけば分かるはず。元々、人族社会のアウトサイダーに近い冒険者が己の力だけで成り上がって行ける蛮族の風習に魅せられ、使命を放棄して、蛮族としての人生を満喫するよう転向するケースもあってのう」

ホリー「まるで、忍びの世界における『草』みたいな話だな。とにかく、ボクたちの仕事は情報収集だから、バルバロスの社会にうまく溶け込まないといけないんだけど、自分の本分を忘れてはいけない。だから、人の心の拠り所となる拠点を持たないといけないと考える」

G太郎「そのために向かうのが『肉の穴』でござるな。拠点を確保し、収入の得られる仕事を請け負えるようにする。それが現状の目的ということで」

 

肉の穴にて(2日め朝→昼)

 

GM「では、2日めの朝に南へ向けて旅立つことになる。到着は昼ごろの予定じゃ。朝や昼と言っても、地下なので道は暗い。物乞い市場の明かりが届かなくなると、[暗視]を持たない者には厳しい道程になるのう」

デル「オラは師匠からもらった蝙蝠の耳飾りで多少の不具合はどうにかなるが、メルさんはどうなんだぁ?」

ホリー「確かに、メルも見えないだろうな。仕方ない、MP1点使って、ライトの呪文発動」

メル『お気遣いありがとうございます』

GM「なお、地下世界に住んでいる人族は、[暗視]こそ持たないものの、闇での暮らしに慣れているゆえ、多少は夜目が利くようになっていると解釈しよう。具体的には、蝙蝠の耳飾りと同じ程度のペナルティーで行動できるということで。さて、目的地へ着く前に、ランダムイベントの可能性がある。誰か1Dを振れ」

デル「では、オラが。5」

GM「それなら、誰かがお主たちに近づいてくる。2Dを振れ」

デル「7」

GM「1体のトロールじゃが、お主たちより先に向こうが交易共通語で話しかけてくる。『やあ、明かりに誘われて近づいてみたが、ドレイクとバルカン、ルーンフォークに人間とは、妙な組み合わせだな。もしかして、お仲間なのか?』」

G太郎「トロールに仲間呼ばわりされる覚えはないが、何者でござるか?」

GM「『俺の目に狂いがなければ、あんたたちもこういう物を持っているんじゃないか?』そう言うトロールは自分の首飾りを大きな指で示す。その先には、密偵の指輪がぶら下がっておるのう。『この無骨な指じゃ、指輪がうまくハマらなくてな』」

デル「こいつも密偵かぁ。オラも自分の指輪を示すぞぉ」

トロール『どうやら、お仲間らしいな。俺はイゴール・ぺステリ。こんな姿をしているが、ダーレスブルグ出身のエルフだ。ユリア・ミルドリスという女性を探している。何か心当たりはないか?』

ホリー「ボクたちは、ルキスラの者だ。ユリア・ミルドリスについては、ボクたちも探している最中なんだけど、ここには来たばかりでね」

イゴール『そうか。他にもいろいろ聞きたいことはあったんだが、どうやら何も知らないようだな。じゃあ、一つだけ教えてやろう。このミストグレイヴには、俺やお前たちのような密偵が潜入しているんだが、情報交換のための溜まり場として、深層階にある「ル=ロウド神殿」を利用していたりする。俺に急ぎの用があるなら、そこに顔を出せばいい。まあ、こうやって道すがら、偶然出会うこともあるだろうがな。この次には、いい情報交換ができることを願ってるぜ。達者でな』

G太郎「トロール姿のエルフ、イゴールでござるか。覚えておこう」

ホリー「ボクたちの名前も聞かずに去って行ったな。何ともそそっかしいというか」

G太郎「いや、彼にとっては、ルキスラ出身のドレイクやバルカンといった情報だけで、今は十分だと判断したのでござろう。トロールの一人旅はどこにでもいるが、異種族の組み合わせパーティーは、それだけで目立つ。互いに必要以上の情報には踏み込まない。密偵なりの処世術と見た」

ホリー「もしも、蛮族に正体がバレても、他の密偵に迷惑を掛けないよう、情報は持ち過ぎないということか」

G太郎「イゴールと名乗ったのも、密偵としての通り名かもしれないしな。普段は違う名で行動しているかもしれん。密偵とは、そういうものでござるよ」

 

GM「では、密偵イゴールとの接触イベントを経て、お主たちは目的地の肉の穴に到着した。そこには、破壊された二枚扉がある。鋼鉄製の頑丈な扉だったようじゃが、無惨にへし曲がり、突き破られたまま、修復されずにいるのだろう。奥に一本の通路が続いており、天井には一枚の木の板が吊るされている。汎用蛮族語で記された言葉は……って、汎用蛮族語が読めるのはG太郎だけじゃったな」

デル「オラとホリー姉さんは、会話は学んだけど、読文は未習得だぁ」

ホリー「でも、メルなら読めるだろう?」

メル『これより先、《肉の穴》……と書いてます。私が先導しますので、どうぞお入り下さい』

ホリー「だったら安心だな。気楽について行こう」

G太郎「一応は、警戒を崩さずに従うでござる」

GM「ライトの魔法が照らす中、暗い通路を少し歩いたところで、前方の暗がりから野太い男の警告の声が響いた。『蛮族ども、お前たちが来るのは分かっていた。人質を置いて、すぐにここを立ち去れ。さもないと、無数の矢がお前たちを射抜くことになるぞ!』」

ホリー「ちょっと待ってくれ。ボクたちは蛮族なんかじゃない……と交易共通語で訴えるぞ」

GM「それと同じタイミングで、『誤解です、ラルカン。この人たちは、私を助けてくれたルキスラの……』と自分の身を楯にするかのように前に出る。すると、暗がりの向こうでザワザワとどよめく声が聞こえ、続いて、さっきの男の声が静かに響いた。『メル、そいつらが蛮族じゃないというのは本当なんだな』」

ホリー「ボクたちが蛮族なら、こんなライトの明かりなんて必要ないだろうが」

ラルカン『ムッ、それもそうか。だが、先ほど、とある密偵から情報が入ってな。蛮族の小部隊が、もうすぐ、ここを襲撃に来る、と』

G太郎「それは、我々とは別だ。その情報をくれた密偵とは、もしかしてイゴールでござるか?」

ラルカン『その通りだが、どうして分かったんだ?』

G太郎「イゴールとは先ほど、ここに来る途中で会って来たが、蛮族の襲撃の情報は何も言ってなかったでござるな」

GM「初対面のお主たちに、そこまで話す義理を感じなかったのじゃろう。だが、お前たちの目的地が肉の穴だと言っていれば、親切心で教えてくれたかもしれんがのう」

デル「とにかく、蛮族がここを襲撃するって情報は確かなんだなぁ。だったら、オラたちが一丁撃退してやるかぁ。そうすれば、オラたちがお前たちの味方だって証明にもなるだろうしぃ」

 

GM「だったら、過程は省略して、《肉の穴》の破壊された門の前で、お前たちは蛮族の小集団と対峙することになる。とりあえず、魔物知識判定を2回行うといい」

G太郎「ピンゾロと17でござる」

ホリー「ピンゾロ分はボクがフォローしよう。(コロコロ)でも、6じゃフォローにはならないよなあ」

デル「一応、オラも。平目で10だったぁ」

GM「10なら成功。剣のかけら入りレッサーオーガ。4レベルのHP56じゃ。他はゴブリンが2体で、HP16。まだ、それなりの数がいるが、そいつらはラルカンの率いる人族集団が相手してくれるので、お前たちはボスとザコ2体を倒すだけでいい」

G太郎「何だか、なし崩しにバトルに巻き込まれてしまったでござるなあ」

GM「どうせ戦うのじゃしのう。状況説明はバトル後にまとめて解説する方が分かりやすいと判断したまでじゃ。デルが積極的に蛮族を迎え撃つ宣言をしたから、そこに乗っからせてもらった」

ホリー「ボクも異議ないしな。メルの居場所を守って、蛮族退治するなら喜んで戦おう」

G太郎「では、私には正体不明のレッサーオーガは任せてもらおう。ご主人たちはゴブリンを倒して下され。先制判定は17で成功して、レッサーオーガをいきなり4回キック。一応、【マッスルベアー】と【エンチャント】でダメージ+3しておいて、一撃め。命中してダメージ22点。二撃めも命中、23点。三撃めも当たって23点。防護点を2点ずつ引くから、これで62点くらわせて、ボスキャラ撃退でござる」

デル「さすがは師匠だぜぇ。では、オラはゴブリンに殴りかかるぅ。同じく【マッスルベアー】でダメージを増やして、11で命中。与えたダメージは11点だぁ」

GM「9点くらって、残り7HPじゃ。これが普通なんじゃがの」

ホリー「ボクはもう一体のゴブリンに魔力撃。16で当てて、ダメージは9点」

GM「そいつの残りHPは9点。では、ゴブリンの反撃じゃ。デルとホリーは命中10に対して、回避せよ」

デル「当たっちまったぁ。ダメージをくれぇ」

GM「7点じゃ」

デル「1点くらっただけだなぁ。これぐらい、かすり傷ぅ」

ホリー「ボクは避けた」

デル「2ラウンドめだぁ。師匠はどうするぅ?」

G太郎「とりあえず、見ていよう。倒し損ねた奴にとどめを刺すということで」

デル「師匠の手はわずらわせたくねぇ。楯を捨てて、両手持ちだぁ。命中してダメージは16点」

GM「それで落ちた」

ホリー「だったら、ボクも。うん、当たりはするんだけど、ダメージが振るわない。7点だけ」

GM「残り4点」

G太郎「ホリーちゃん、やはりオレサマの力が必要じゃないのかあ? とガルドになって応援するでござる」

デル「し、師匠?」

ホリー「ええい、ガルド、お前は手を出すな。こいつはボクが仕留めるんだから」

G太郎「ならば、ニコニコ笑みを浮かべて、見守るでござるよ」

ホリー「敵の攻撃は避けた。3ラウンドめの攻撃。命中して、クリティカルで12点」

GM「それで戦闘は終わりじゃ。ボスキャラが瞬殺されると、戦闘もつまらんのう」

ホリー「だからと言って、G太郎に合わせて敵を強化しないで下さいね。こちらはまだまだ未熟なんですから。ゴブリン程度には手こずらないようにしないと」

G太郎「ともあれ、戦利品の回収をするでござるよ。(コロコロ)レッサーオーガからは宝石900ガメル分、ゴブリンからは意匠を凝らした武器(150G)が2本。全部で1200Gの収穫になった」

GM「さらに蛮族なので勲章が得られるぞ」

G太郎「いろいろ振った結果、黒鉄剣士勲章6つをゲットしたでござるな」

GM「さらに剣のかけら4個分が蛮族名誉点になる」

G太郎「4Dの出目が9とは残念であった」

 

GM「ともあれ、肉の穴を襲撃しに来た蛮族の小部隊は、お主たちの活躍もあって撃退された。迎撃部隊を率いたラルカンたちは、お主たちの奮戦を讃えつつ、感謝の言葉を述べる」

G太郎「ラルカン殿がここの頭目でござるか?」

GM「いや、リーダーは後から部隊を率いて出てきたが、すでに戦いが終わったのを知って、驚いている。メルとラルカンがお主たちを紹介すると、リーダーはお前たちに微笑み掛けながらも『ちょっと失礼』と言って、ライフォス神官の特殊神聖魔法【サーチ・バルバロス】を掛けて、蛮族でないことを確認した」

リーダー『なるほど。確かに君たちは蛮族じゃない。やはり、バルバロスブラッドかね?』

デル「知っているのかぁ?」

リーダー『強力な呪いのようなもので、その効果は専用の解呪薬か、【リムーブ・カース】の呪文で解除できるようだ。ただ、解呪の難易度は高く、相当の高司祭か手の込んだ儀式が必要そうだがね。

『何はともあれ、私は君たちを地下に住む人族の友として歓迎しよう。私の名前はマルクス・クルーゲ。見てのとおりシャドウの荒くれ者だが、それでもライフォス神の神官を務めさせてもらっている。さあ、こんなところで立ち話もなんだから、奥の隠れ家へ案内しよう。飲み食いでもしながら、この地の現状と我らの今後の展望について話をしようじゃないか』

デル「アリナ様、シャドウって何だぁ?」

GM「2.0時代に追加された異種族で、霧の街のあるレーゼルドーン大陸出自の人族じゃ。灰褐色の肌と、額にある第三の目が特徴で、契約を重んじる義理堅い種族という定評がある。このマルクス・クルーゲもそういう気質の持ち主で、『黒狼』の二つ名を持つ神官戦士。蛮族に蹂躙されるだけの生き方に反抗し、地下の人族を一致団結させようと強い意志で取り組むナイスガイなのじゃ」

G太郎「レジスタンスのリーダーということでござるか?」

GM「その言葉にマルクスはかぶりを振った。『まだまだ、私たちはそこまでの規模ではない。せいぜい自分たちが理不尽に殺されないよう身を守ったり、情報を集めたりする程度。君たち外の世界の密偵と協力するのもその一環だ。組織として、もっと規模が拡大した暁には、レジスタンスを名乗ってもいいと思うし、ラルカンのようにそう期待している者もいるが、今はまだ時期尚早かと私は考える』」

G太郎「なるほど。地上の武闘派レジスタンス『風の旅団』のトホテルと違って、同じ神官キャラでもこちらは慎重派なのでござるな」

GM「信仰している神の違いがあるのかもしれんのう。トホテルのル=ロウド神はトリックスターの側面を持ち、性急で変化を望んでいるところがある。一方で、ライフォス神は調和と安定、堅実さを美徳とし、保守的だったりもする。ただし、蛮族の圧制に対する抵抗心はライフォス信者も強固なものじゃ。ル=ロウドが風なら、ライフォスは大地の揺るぎなさに例えられようか」

ホリー「フォーセリアのファリスとは違うのかな?」

GM「ファリスと同じ神々の王と称されるが、ファリスの持つ光属性は、ラクシアでは太陽神ティダンに該当するのう。ライフォスとティダンを足して2で割ると、ファリスになるといった感じか。あるいは、大地母神マーファの穏やかな気質を男性神に置き換えると、ライフォスになるとも言えよう。マーファの要素は、ラクシアではいろいろな女神に分化してしまったが(自然神としてのアステリアや、愛や結婚を司るリルズや、守護と生育を司るニールダなど)、マーファから自然と母の要素を抜きにすれば、気質的にライフォスに近いとわらわは考える」

ホリー「なるほど。ファリスとマーファを足して2で割ると、ライフォスになるという説ですか。ファリスの太陽イメージと、マーファの自然イメージを抜きにして、『温和で平和主義だけど秩序と慈愛を重んじて、芯はブレない人族の神々の王』と言ったところですね」

 

黒狼の構想

 

GM「それでは、蛮族を撃退したことで★1つ、さらにミッションを達成してマルクスの信頼を得たことで★2つを進呈しよう。これで成長を果たせば、第0部が終了ということにする」

デル「導入部にしては結構、長かったなぁ」

GM「ストーリーが結構複雑じゃったからのう」

ホリー「前リプレイの続編ということもあるけど、ザルツ三国の背景事情とか、2人パーティーに後からもう1人が合流する展開とか、拠点となるパトロンとの出会いとか、いろいろやりましたからね」

GM「うむ、ミッションを二つ果たしてからでないと、パトロンを得られないというシナリオ構成は、最初に拠点ありきのミストキャッスルやフェアリーガーデンと比べても、序盤の厳しさが引き立つと言えよう」

G太郎「休息できる場所に行き着くまでが、まず一苦労というわけでござるか」

GM「本来は、肉の穴にたどり着くまで休息できないところじゃったが、一応、前作同様にミッション達成で完全回復という形にしたのと、ランダム配置で『物乞い市場』がいきなり出て『ビシャナの宿屋』という拠点候補に泊まれたことが、本来のシナリオ想定よりも序盤の難易度が下がったと考えるがの」

G太郎「下手すると、休息もままならず、徹夜のフラフラした頭で、レッサーオーガと対決しないといけなかったわけでござるな。レッサーオーガと言えば、マッスル太郎が第4部の麻薬窟でようやく対決した相手。つまり、前リプレイの中盤で戦った相手と、いきなり序盤でぶつかるのが当シナリオの難易度だと」

ホリー「前作をクリアした高レベルのG太郎がいなければ、ゴブリンはともかくレッサーオーガ戦でだいぶ苦戦したのは間違いない。2レベルのボクたちで、4レベルのボスを相手しないといけないなんて」

GM「新兄さんたちが先日、2レベルパーティー3人で巨大ガニを撃退する仮想バトルを見せておったが、3人でうまく立ち回れば何とかなるというゲームバランスと証明できた。ただし、適切な戦術とダイス運に恵まれないといけないので、ゲームを始めたばかりの初心者では高難度シナリオなのは確かじゃのう。初心者対応のフェアリーガーデンとは難易度が違いすぎるということが改めて確認された次第」

 

GM「ともあれ、ストーリーの後始末を終えて、第1部につなげるとしようかのう。肉の穴の奥にあるマルクスの隠れ家に案内されたお主たちは、簡素な祝宴の席で、彼らの現状を話してもらう。主にメルがホリーの、ラルカンがデルの会話相手となり、リーダーのマルクスがG太郎と打ち合わせる展開じゃ」

G太郎「私がリーダーと目されているのでござるか? うちのリーダーはデル坊ちゃんなのだと説明するのだが」

マルクス『だが、最も経験豊富なのが君みたいじゃないか。私としては、君のその熟練の腕前に期待したいんだがな』

G太郎「私は、ただの通りすがりのお笑い芸人。地上の霧の街で生き延びるために必死で戦っていたら、何の因果か地下世界に引きずり込まれて、地下水路でデル坊ちゃんやホリー嬢ちゃんに拾われた身でござる。私の力はお二人を守るためにある。ですから、意思決定はお二人に委ねているということを御了承いただきたい」

マルクス『すると、リーダーはそこのドレイク君ということか。まだ年若い少年のようだが』

デル「魔神ハンターのデルニール・イーストンっていうんだぁ。グレンダール様の神官戦士をしているぅ」

マルクス『グレンダールか。つまり、自分を鍛えるのが目的と』

デル「そうだぁ。強くなって、邪悪な連中からみんなを守るのがオラの使命だと考えているぅ。もちろん、まだまだ未熟なのも分かっているから、G太郎師匠の弟子として頑張っている最中だけどなぁ」

マルクス『志は高い。しかし、まだまだ力不足というのは、我らと同じということか。ラルカン、お前は彼らをどう思うかね』

ラルカン『はい、マルクスさん。そのドレイクの少年は、ここが蛮族どもの襲撃の的にされていることを知ると、いち早く撃退に協力するよう名乗り出てくれました。身の証を立てるためとは言え、勇敢な若者であることは間違いないか、と』

マルクス『お前好みの勇者候補ということか』

ラルカン『はい。この者たちの協力があれば、《ジーズドルフ解放軍》の旗揚げも不可能ではないかと進言します』

マルクス『また、それか。時期尚早だと何度言えば……』

ラルカン『しかし、手をこまねいていれば、旗揚げの前に我らは潰されてしまいます。今回のような襲撃は今後も続くでしょう。そうなる前に、少しでも早く戦力を蓄えて、蛮族どもと徹底抗戦することこそ、我らの生きる道。今こそ、ご決断を!』

G太郎「アリナ様の一人芝居も大変でござるなあ」

GM「要は、ハト派のリーダーがマルクスで、タカ派の武闘幹部がラルカンという関係なんじゃな」

ホリー「メルは?」

GMマルクスに従う女斥候と言ったところかのう。まあ、正式に訓練したわけではなく、スパイと名乗るには相当に危なっかしいがのう。買い物や外での雑務の間に、ちょっとした情報を小耳に挟んでくる程度で、プロではない。冒険者レベルを持たない非戦闘員じゃが、仮面ライダーにおける戦わないヒロイン程度の位置づけと考えておる」

ホリー「古くはV3の珠純子、最近だとビルドのみーたんぐらいかな。みーたんはベルナージュの力がないと、ただの女の子だし」

GM「ビルドに例えるなら、お主が紗羽さん相当かもしれんのう」

ホリー「ボクが紗羽さん? だったら今から難波チルドレンになるか、メガネイエローの修行をしないと」

GM「ネタはさておき、マルクスは肉の穴の気概ある人員を集めて、ライフォスの信仰を説き、人々を勇気づけ、希望を与え、レジスタンス組織の仮称《ジーズドルフ解放軍》構想を持っているのも事実なのじゃ。しかし、それはあくまで将来の夢であって、今は外部の密偵を支援する形で、情報収集のかたわら少しずつ戦力を貯えて行こうとする段階。決して大っぴらに行動したいとは考えていない。そこに、お主たちが現れたことになる」

デル「ジーズドルフ解放軍かぁ。何だか格好いいなあ」

ラルカン『そうだろ、そうだろ。ジーズドルフというのは、霧の街が蛮族どもに支配される前、人族の都市だった頃の栄光ある呼称。我らの志は、蛮族どもをこの地から駆逐し、かつての栄光を取り戻すことにあるのだ』

デル「そのために、自らを鍛えるってことかぁ。オラ、この人たちが気に入ったぞぉ。未熟なのは百も承知で、それでも大きな名前を掲げ、それに恥じない自分を目指して、成長する組織。魔神ハンターの志と、ジーズドルフ解放軍の志には通じるものがあるぅ。マッスル師匠、是非とも彼らの力になりましょうよぉ」

ホリー「ボクも賛成だ。彼らの蛮族どもと抗戦する意志を、見捨てて、踏みにじらせるわけにはいかない」

G太郎「やれやれ。私としては、あまり一つの組織に縛られるのは好みではないんだがなあ。先に引き受けた約束もあるし、どちらを優先したらいいのやら」

 

GM「では、今回はここまでとしよう。彼らの与えてくれる情報や、ミッションおよびクエストの話をするところから第1部スタートということで、長かった導入展開も後は成長の儀を終えて幕引きなのじゃ」

●ここまでの冒険成果

 

経験点:★4つ、魔物撃退分(170点)、ピンゾロ分(G太郎1回)

お金:戦利品(1200G分)

   黒鉄剣士勲章8個

蛮族名誉点:9点

 

情報

・物乞い市場の宿の女主人ビシャナが仕事をくれる。

・彼女はユリア・ミルドリスのことを何か知っていそう。

・ゴミ溜め窟にいるリザードマンの情報屋ゾ・ゴグが略奪品に詳しい。

・物乞い市場の顔役は、紅の水魔ソニア・ゾラである。

・メルの紹介で、ライフォス神官の黒狼マルクスと、部下のラルカンと知り合う。ジーズドルフ解放軍(仮)に協力する?

トロール姿の密偵イゴールと出会う。深層階にあるル=ロウド神殿が密偵たちの溜まり場になっているらしい。

 

冒険達成度:1%(マルクスの信頼を得た)

(当記事 完。次回で成長を果たし、魔神ハンター第0部の終了予定)