花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

魔神ハンター、人の拠点を目指す(SWミストグレイヴ0ー7)

第2ミッションは拠点探し

 

GM(ヒノキ)「デル&ホリーの新人冒険者コンビが、封印の壺から魔神のマッスル太郎を解放するまでの話が第1ミッション。成長の儀と、3人パーティー結成を果たして、次なるミッションの開始じゃ」

G太郎(ゲンブ)「とにかく寝泊まりのできる拠点まで行かないと、回復もままならないでござるからなあ」

GM「一応、ミッション達成でHPとMPはフル回復させたから、本来のプレイよりもイージーモードじゃと思うがの」

ホリー(シロ)「だけど、レベル2の2人に、レベル4のボス敵をぶつけるなんて、厳しすぎますよ」

GM「しかし、それもシナリオ通りじゃ」

デル(リトル)「それでも、あと3点ってところまでカニを追い詰めたんだよなぁ」

GM「マッスル太郎のような一種のチートキャラでなくとも、レベル2キャラ3人なら、ちょうどいいバランスだったかもしれんのう。回復役と攻撃役2人なら余裕を持って倒せたはず」

G太郎「2人だと厳しいが、ギリギリ勝てるバランスだったかも、でござる。ホリーが最初にエネルギーボルトではなく、ブラントウェポンの魔法を使っていれば、デルが回復に専念せずに攻撃回数も増やせていたろうし、ライトの呪文でMPを浪費していたのも敗因に挙げられよう。あと1発、エネルギーボルトを撃てれば、3点のHPを削れていたかもしれん」

GM「松明は1tbで2本使う計算じゃから、4マス分で8本使用。冒険者セットには、6本の松明が入っているから、2人分で12本。結局、暗闇の中で全部、松明でまかなおうとすれば6マス分しか進めないことになるのじゃ。先に松明を余分に買うか、ランタンを用意するべきじゃったかもな」

ホリー「ライトの呪文があれば、問題ないと思ったんですよ。MP1点で3時間だから、1日ライトを付けっぱなしでもMP8点でまかなえる。ホリーは呪文専門ではなく、前衛でも戦えるフェンサーだから、MPが減っても戦闘能力は問題ない……と思ったんですけどね」

GM「もしも、このシナリオをマッスル太郎のようにソロで挑戦した場合、果たして攻略できるのかと考えてみたが、最初のカニでいきなり終わってしまう可能性が高いじゃろうな。初期状態のレベル2では、まず倒せんので、襲われている者を見捨てて逃げる。そしてミッション失敗しつつも、上層階へ出て、ストーリーは続けるという形の攻略もありじゃろう」

デル「だけど、オラたちは『敵に背を向けない』とか『弱者を見捨てない』という性格設定なので、死ぬまで戦うという選択肢しかなかったんだぁ」

G太郎「初期状態のマッスル太郎なら、ヒーッと叫んで逃げていたかもしれん。そして、当てもなくフラフラとミストグレイヴの上層階をさまよい歩き、運が良ければ、何とか拠点にたどり着いて、一宿一飯の恩義が云々と言いつつ、善良ながらも卑屈なキャラをロールプレイしながら、生き延びるために必死でサバイバルに励む冒険の可能性もあった」

GM「それは、ミストキャッスルの序盤じゃな。あれはあれで味のあるストーリーと思うが、続編の主人公まで、そういう卑屈な情けないキャラというのもワンパターンじゃからな。今回は、真っ直ぐな気性の熱血青年主人公と、影のあるクールヒロインと、熟練の大人エイリアンという構図で、『ブルースワット』にも通じるスパイアクションの方向性じゃろうか」


Blue Swat : Shuppatsu No Sign


TRUE DREAM

 

GM「ともあれ、ミストグレイヴ用にガチでキャラを準備するなら、種族は【暗視】の使えるキャラか、穢れ持ちでバルバロスブラッドのボーナスが多いナイトメアを選ぶ。そして、職業は装甲を固めながらも、両手持ちの銃を使うマギテックシューターで始めると、単独でもカニを倒せるかも、とシミュレートしてみる。適度に【ヒールバレット】を撃ちながら、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるとか、【ターゲットサイト】を入れながらとか、やりようはあるかものう」

G太郎「最初から4レベルまで育成したキャラなら、ソロでもいいバランスでプレイできるかもしれん。キャラビルドブックでも、4レベルキャラまで育成できる仕様でござるからな。公式最新作の魔神ハンティングシナリオ『デモンズライン』も4レベルスタートであるからして、ソロだと多少の下駄を履かせて強い状態から始めるのもありか、と」

GM「まあ、ミストキャッスル攻略済みの7レベル1名と、作り立ての2レベル2名という変則パーティーは、実験要素が強くて、どうなるか、わらわもバランスが読めんからのう。それだけに、刺激的な状況設定じゃと思う」

ホリー「合計レベルが11で、平均レベルが四捨五入して4。ボクたちは2レベルなのに、4レベル難易度で判定しないといけないんですね(涙目)」

GM「2人とも3レベルになれば、合計レベル13で、それでも平均レベル4じゃから、まずはそこを目指すべきじゃろうな。その間、G太郎は主技能を伸ばさず、サブ技能だけを育てる形で」

G太郎「強敵ボスキャラは私が倒して、周りのザコキャラを2人に任せる展開がしばらく続きそうでござるな」

 

GM「では、いろいろ仮想するのはこれぐらいにして、今、直面している状況に戻るとしよう。今は、魔神ハンターたちが探索を始めた1日めの深夜。お前たちが助けた女性メルは、お前たちの会話が一通り片付くのを待ったあと、おずおずと話しかけるのじゃ。『もしかして、あなた達はルキスラ帝国からの密偵なのでしょうか? 蛮族の姿に身をやつして……』」

ホリー「それは、さすがに警戒するぞ。この女、どうして、そこまで詳しく知ってるんだ?」

デル「まあ、オラたちはマッスル師匠といろいろ会話していたからなぁ。たぶん、交易共通語を使っていたろうし、ルキスラの名前もどこかで出したかもしれねぇ」

ホリー「いや、それだけじゃない。ここは蛮族の世界のはずなのに、人族の女がこんな真夜中にただ一人、地下水路を出歩いて、カニに襲われているって状況設定からして不自然だ。ボクは疑わしげな目を女に向ける」

G太郎「うむ。霧の街の地上でいろいろ冒険して、名誉蛮族の称号を持つに至った私からアドバイスさせてもらおう。蛮族は自分たちのことをバルバロスと呼称するのでござる。蛮族蛮族と連呼している時点で、自分たちは蛮族ではない人族だと明かしているようなものなので、その変装に意味がない。これ以降、蛮族どもの前で蛮族という言葉は使わないように」

ホリー「そう言うあんただって、蛮族を連呼しているじゃないか」

G太郎「私は蛮族に変装しているわけではないからな。この地下世界で、地上の名誉蛮族の称号が役に立つかは分からないので、私は上位蛮族お二人の奴隷という形を取る方がいいのかもしれん。それはそうと、メルさんがどうして、『ルキスラの密偵』というピンポイントなキーワードを口にしたかは、私も気になる。もしかすると、蛮族に抵抗するレジスタンスのメンバーなのでござろうか?」

メル『レジスタンス? いいえ、そのような大それたことは……。ただ、そこのドレイク様やバルカンの姐さまが身につけていらっしゃる指輪に見覚えがあって。私のかつての恋人が、外の世界から来たルキスラの密偵だったのです。彼は私を庇って蛮族どもに殺されましたが、「同じ指輪を持つ者が現れたら、人族の力になってくれるかもしれない」と言い残していました。あなた方は、彼の仲間、人族に希望をもたらす救世主、正義の味方なのでしょうか?』

G太郎「その通り。私が最後の希望だ」

デル「凄えぇ。そこですかさず、堂々と言ってのけるなんて、さすがは師匠だぁ。そこに痺れる、憧れるぅ。オラも救世主見習いの名をあげるぜぇ」

ホリー「おいおい、デルまでその気になるなんて。ボクたちはただの情報収集の仕事に来ただけで、救世主なんて大それたことはこれっぽちも……」

デル「いや、姉さん。魔神ハンターは悪い魔神から世界を救うのが目的なんだぁ。だったら、救世主を名乗って悪いはずがないぃ。だけど、まだ力量不足なのは百も承知だから、見習いなんだぁ。とにかく、師匠が救世主を名乗って恥じないなら、オラたちだって、いつか救世主に恥じない強さを身に付けられるはずぅ」

G太郎「そもそも、私は人々の笑顔のために戦うお笑い芸人でござるからな。笑いは世界を救うのもまた真理でござるよ(ニッコリ)」

ホリー「そ、そりゃ、ボクだって、弱い者の涙は見たくないが……そう言って、赤面するんだけど、バルカンの肌は元々赤いから、紅潮した表情が他人には分からない」

デル「オラには分かって、わざわざ『姉さん、どうしたんだ? 顔が赤くなってるぞぉ』と指摘しますぅ」

ホリー「も、元からだ」

G太郎「とにかく、サスライマッスルと見習い2人、正義と希望のために、力を貸すでござるよ」

ホリー「こら、ボクまで勝手に見習いにするな。大体、何だよ、そのサスライ何ちゃらって」

G太郎「とあるル=ロウド神官が提唱した正義のチームでござる。良ければ、サスライドレイクとサスライバルカンの称号を授けるが」

ホリー「そんな物はいらん!」

デル「サスライドラゴンならいいなぁ」

 

 ミッション「《肉の穴》を目指せ」

 

メル『お願いです。私を、この上の《肉の穴》と呼ばれる場所まで、送って下さい』

ホリー「《肉の穴》? 何だか不浄な感じの響きだね〜(ひそかな赤面)」

GM「《肉の穴》とは、蛮族が地上世界からさらってきた人々を送り込み、いざという時に食料として流用できる隔離区画のことじゃ」

G太郎「地上の街では、翠将のための生贄を養う『人間牧場』があったが、地下ではもっと杜撰な管理が為されているようでござるな」

ホリー「人の肉を食う連中か。だから、蛮族ってのは化け物なんだ。魔神と蛮族、どっちがマシか知れたものじゃない……と吐き捨てるように言う」

G太郎「少なくとも、私は人の肉を食ったことなどない」

ホリー「そりゃそうだ。魂を餌にしているもんな」

G太郎「餌ではない。封印を解くための代償ではあったが、ガルドの魂は私の中に生きている」

ホリー「……だから、ムカつくんだ」

デル「ホリー姉さん、師匠にケンカを売るのはやめてくれよぉ。オラはこんな風に仲間が言い争うのを、見たくはないんだからぁ」

G太郎「では、シロよ。ギスギス・ロールプレイはこれぐらいにしておくか」

ホリー「そうだな、ゲンブ。ホリーはデルになだめられて、フンと顔を背ける。たぶん、これまではガルドと脳内で言い争っていたのが、ガルドがいなくなったせいで、うまく吐き出せずに自分の感情がコントロールできないってことで」

GM「また、面倒なロールプレイを考えおってからに。それでは、『大水車のプール』からミストグレイヴの上層階へ上がるとしよう」

G太郎「アリナ様、大水車のプールと上層階について、もう少し詳しい説明をお願いしたい。ここにたどり着いた途端、ジャイアントクラブとのバトルが始まったゆえ、状況描写がまだでござる。そもそも、どうして大水車なのか?」

GM「おお、そうであったか。では、改めて、この大水車のプールと呼ばれる場所は、地下水路と上層階をつなぐ中継地点。ミストグレイヴは、上層階と地下水路と下層階(あるいは深層階)の三層構造で、上層階と下層階は地上の霧の街同様に、各区画が一つの施設となって地図を描いていく形。

「一方、地下水路は特定区画でイベントが発生したりもするが、基本的にはランダムイベントの発生する広い水路だけの広大な空間となっておる。地下水路は全部で10×10の100マス構成で、手がかり情報がなければ、ただ闇雲に歩き回っても無駄に時間が経過するだけ。よって、まずは上層階を拠点として動き回るといい。

「上層階は、18マスのランダム区画と、大水車のような固定区画が他に2つあり、そこから下層階(深層階)に降り立つことができるが、それには相応の条件が必要となる。下層階にも18マスのランダム区画が用意されていて、上下合わせて霧の街同様の6×6=36マスのランダムマップが完成する仕様じゃ。

「そして、この大水車のプールは、30メートル四方の縦穴で上から滝のように水が地下水路に降り注ぐ場所じゃ。穴の壁面に螺旋階段が据え付けられ、上層階に登ることができる。そして、穴の上には直径20メートル近い大きな水車が据え付けられているのが見える。どうやら魔動機文明時代の機械仕掛けらしいが、現在は壊れているようで全く動いていない」

G太郎「これが動き始めたとき、ミストグレイヴの地下遺跡が浮上し、巨大な宇宙船となるのでござるな」

デル「本当ですかぁ、師匠?」

GM「そんなことは、シナリオには書いておらん」

G太郎「しかし、私は訳知り顔で、『前にキルヒア神殿跡で発見した〈ピラトト写本〉に、そのような記述が書かれてあったような気がする。いや、写本は、私の前の主人であるザバーラ様に渡したので、今すぐは確認できないのだが……』ともっともらしいことを吹聴するぞ。封印されている間に、変な電波を受け取ったり、記憶が捏造されたりしているようだ」

デル「凄えぇ。師匠は武道だけでなく、物知りでもあるんだなぁ」

G太郎「こう見えても、一応はセージ技能5レベルでもござるからなあ。ただし、ガルドの記憶が混ざったりして、若干の惑乱した思い違いもあろう。私の言葉の半分は真実だが、残り半分は自分で真実と思い込んでいるだけの口から出まかせ、と言っておく」

GM「まったく、新兄さんみたいなことを言いおってからに。とにかく、お主たちはメルの案内で、大水車区画の階段を登り、ミストグレイヴの上層階へ到達した。誰か1Dを振れ」

G太郎「では、私が。1」

GM「すると《肉の穴》の位置は、大水車区画より2マス南になった」

G太郎「南へ2マスか。すると、今が1日めの深夜だから、拠点への到着は2日めの朝になるでござる。このまま、まっすぐ南下するのでよろしいな、ご主人」

デル「よきにはからえ」

ホリー「おい。そのセリフは、フェアリーガーデンのGMのセリフじゃないか」

デル「つまり、父さんのセリフだから、オラが使っても問題ないさぁ」

G太郎「しかし、ここでの主役は私ではなく、デルニールということだから、以降はご主人が決めてくだされ。私は助言係に徹するとしよう」

デル「分かったぜぇ。とにかく今は南へ行くぞぉ」

GM「ならば、南の区画を開示しよう。D66を振るといい」

デル「53だぁ」

GM「上層階では、10の位は半分とする。つまり、33ということで、そこは『物乞い市場』となった」

●ミストグレイヴ上層階の地図


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大水車ー?

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物乞い市場ー?

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肉の穴

 

物乞い市場(1日め深夜過ぎ未明) 

 

GM「篝火に照らされた天井の低い広場に、みすぼらしい格好をした蛮族たちが座っており、その前に敷かれたボロ布の上には、いくつかの品物が並べられている。どうやら、ここは蛮族たちが物々交換をする場所らしい。広場の中心には、大きな井戸があるのが見える」

G太郎「なるほど。人族ではない下級蛮族の市場でござるか」

デル「この場所には明かりがあるみたいだなぁ。暗闇ペナルティーがないのは大助かりだぜぇ」

ホリー「ここなら、宿泊や買い物ができそうだな。肉の穴とやらに行く前に、休むこともできるかもしれない。どうせ向こうについたら、ややこしいイベントに巻き込まれるだろうしな」

G太郎「肉の穴にメルさんを送るのがミッション内容だから、ミッションを果たし終わる直前に一戦闘あるのは予想できるでござる」

GM「ヒヒヒ。その前に、ここでも一つ厄介ごとが発生するのじゃよ。酔っ払ったボガード3人が通りすがり、突然、『肩がぶつかっただろう』と難癖を付けてくる」

G太郎「ふう、たかがボガードでござるか。剣のかけらは入っているのか、魔物知識判定を試みる。出目は良くないが12でござる」

GM「弱点は抜けないが、データは分かった。レベル3でHP21。剣のかけらは入っておらん」

G太郎「一応、私はマッスルG太郎。名誉蛮族の腕輪を持つ者だが? と名乗ってみるぞ。霧の街の地上なら、これだけで下位蛮族は平伏したものだが……」

ボガード『名誉蛮族だと? 何を言ってるか分からねえなあ。地下には地下の流儀って奴がある。たかが奴隷か食肉風情の人族のポンコツ人形が偉そうにしているんじゃねえ』

デル「おい、てめぇ。師匠に何て口をきいてるんだぁ?」

ボガード『むっ、こんなところに、どうしてドレイク様が? 俺は夢でも見ているのか?』

ホリー「上位蛮族の威光は通じるみたいだな。汎用蛮族語で、失せろ、と一喝するぞ」

ボガード『バルカンの姐御まで。いや、これはきっと酔っ払って見える幻に過ぎん。こんなところに上位蛮族の方々がおられるはずがない。こやつらは、上位蛮族の名を騙る不届き者。だが、そこにいる人間の食肉を酒のつまみに残していくなら、大目に見てやろう』

G太郎「やれやれ。酔っ払って見境のつかなくなった愚か者は、痛い目に合わせないといけないようでござるなあ。ご主人、嬢ちゃん、ここは私が」

ホリー「いや、ちょうど蛮族、いや、低級バルバロスの慢心に苛立っていたところだ。ボクも暴れさせてもらう」

デル「オラもさぁ」

G太郎「では、先制判定も難なくとって、いきなりマッスルキック。蹴り1発で26点」

GM「いきなり1体倒された」

G太郎「複数攻撃ができないのが残念でござるな。残りの3回攻撃が無駄でござるよ」

デル「オラは【マッスルベアー】と叫んで、ヘビーメイスで殴るぅ。命中は12だぁ」

GM「回避は11なので当たったぞ」

デル「ダメージは12点」

GM「防護点3点減らして9点くらい、残り12点」

ホリー「ボクは、そいつを狙った方が良さそうだな。残り1体の健康な奴は、G太郎に任せた」

G太郎「心得た」

ホリー「では、魔力撃で命中判定は……8。ボクは未熟だ」

GM「ヒヒヒ。では、相手はデルと、G太郎を狙う。命中11に対して、回避判定をするがいい」

G太郎「すかさずカウンター。当然、成功して、ダメージは22点」

GM「残りHPは2点」

G太郎「仕留め損ねたか」

デル「オラは回避が苦手で……それでも出目が結構良くて13だぁ。酔っ払いの攻撃には当たらないぃ」

ホリー「ああ、そうか。こいつら酔拳使いなんだ。だから動きに眩惑されて、攻撃を当てられなかったんだ」

デル「では、次のラウンドぉ。オラの命中は11」

GM「同値回避じゃ」

デル「確かにふらついて避けやがるぅ」

ホリー「今度こそ当ててやる。また8。何で当たらないんだ?」

GM「きっと、1日中歩きっぱなしで疲れているのじゃろう。そろそろ休息をとらないと、1日の寝不足ペナルティーが発生するからのう」

G太郎「途中で眠りから復活した私には関係ない。弱った敵にとどめを刺して、そちらの一体は、任せたでござる」

デル「ああ。師匠は手を出さずに見ていてくれぇ。残り1体は、オラと姉さんで仕留めてみせるぅ」

GM「では、次にホリーに命中11じゃ」

ホリー「避けは成功して、次のラウンド。ようやく当てて、ダメージは8点」

GM「残りHPは7点じゃな」

デル「とどめの一撃ぃ。当てて、ダメージは10点だぁ」

GM「それで、ピッタリHP0じゃ」

デル「ふうぅ、何とか勝てたぁ」

G太郎「初勝利おめ」

ホリー「だけど、2人がかりで1体しか撃退できないなんて、ボクたちは未熟だ」

G太郎「まあ、私だったらボガード三面拳を一人で倒したこともあったでござるなあ、と昔を懐かしく思い出す」

デル「こいつらを一人で3体も倒すなんて、師匠の武勇伝は凄いなぁ。オラももっと自分を鍛えねえとぉ」

G太郎「あの時の私はレベル3になったばかり。さすがにレベル2だと、ボガード1体を倒すのに必死だったでござるよ。縊り屋モ・ルゲというボス敵であったが」

デル「師匠はいろいろな戦いを経験してきたんだなぁ。改めて、尊敬の目で見るぞぉ」

G太郎「ともあれ、敵を倒した後は戦利品判定でござる。ここは判定ダイス+2できる私が振ろう。(コロコロ)結果、〈意匠を凝らした武器〉が2つと〈ただの武器〉が1つ。合計350G分だな」

GM「他には、蛮族を倒した際には、追加報酬として勲章を得られるのじゃ。2Dを3回振るように」

G太郎「では、一人1回ずつ振るということで、私は5」

GM「外れじゃ。レベル3のボガードだと、勲章獲得は6以上が必要じゃな」

デル「オラは7」

ホリー「ボクは8」

GM「すると〈黒鉄剣士勲章〉が2つ手に入った。この勲章は、イベントの際に必要なこともあれば、物々交換用の貨幣の代わりとしても使える。黒鉄勲章は50G分の価値があるのう」

G太郎「つまり、この戦いで450G分のアイテムを手に入れた、と」

GM「うむ。他には90経験点と★1つを進呈じゃ」

 

ビシャナの宿屋(1日め未明〜2日め朝)

 

G太郎「ご主人、今夜はもう遅い、と言うか、まもなく翌朝でござる。食事や寝泊まりをしなければペナルティーを受けてしまう。《肉の穴》に出向く前に、ここで1tbほど仮眠をとっておくというのはどうであろうか?」

ホリー「ボクは反対だ。向こうに着いたら休むことだってできるだろう? ここでわざわざ無駄な時間を過ごさなくても……」

G太郎「眠れる場所があるなら、疲れる前に眠る。それが霧の街で学んだサバイバル術でござる。ペナルティーを受ければ、対等の相手にだって不利になる。ましてや、格上のボス敵が登場すると思われるミストグレイヴの地にあってはなおさら。私はともかく、ご主人や嬢ちゃんは相当に疲れているはず」

ホリー「クッ。悔しいが、G太郎の言うことは正論のようだ。ここでガルドだったら、何と言うだろうかと想像する」

妄想ガルド(GM)『何だ、こんなところでお寝んねとは、ホリーちゃんも軟弱だなあ。仕方ないな、ゆっくり休みな』

ホリー「ボ、ボクはまだまだ動ける。バカにするな……と言いつつ、ふらつく」

デル「おっと、姉さん、大丈夫かぁ、と支えるぞぉ。元から頑丈なオラと違って、ホリー姉さんは小柄なレプラカーンなんだから、蛮族の身になっても特別タフってわけじゃないんだしさぁ。無理はするなよぉ」

ホリー「すまない。別に無理をしているわけでは……」

G太郎「うむ。冒険者である以上は、多少の無理をしても動かねばならない時もある。だがしかし、我々は一般人のメル嬢を連れていることを忘れてはいけない」

メル『私は別に……』

ホリー「(急に乗り気になって)そうだな。か弱い一般人は守らないと。悪かったな、気遣いできなくて。疲れている彼女のために、宿屋に泊まる。そういうことだったら、ボクも賛成だ。勘違いするなよ。これはボクじゃなくて、メルちゃんのためなんだからね」

GM「やれやれ。ツンデレプレイというのも、割と面倒なものじゃのう。ともあれ、寝泊りできる場所を探したお前たちは、銀色の毛並みのタビット、ビシャナ・ヨーヨーの経営する宿屋に行き着いた。宿泊料金は1人あたり100G分のアイテムで、お前たちはメルを入れて4人だから400ガメル分となる」

ホリー「ずいぶんとボッたくりじゃないか。宿代なんて、ふつう30ガメルぐらいだろう? 通常の3倍なんて、高級スイートルーム並なんだが、ここはそんなに上等な場所なのか?」

GM「もちろん違う。だけど、ビシャナ曰く、『上位蛮族の割に、ずいぶんとケチ臭いことをおっしゃるんですね。世間知らずなのかもしれませんが、ここじゃ安全に寝泊まりできる場所は少ないんですよ。100ガメルで半日安心してゆっくり休めるとなれば、それで上等だと思って下さいな』」

G太郎「タビットでござるか。ザバーラのことを思い出して、何やら秘密を隠していないか、じろじろ観察するとしよう」

ビシャナ『はっ? そこのルーンフォークはずいぶんと不躾だねえ。ドレイクの旦那か、バルカン姐さんの奴隷かい? だったら、もう少ししっかり教育してもらわないと……』

デル「師匠は奴隷なんかじゃ……」

G太郎「デルを一瞥して黙らせつつ、こう言うでござる。『私は奴隷の身ではあるが、武術師範および用心棒も務めさせてもらっている。主人に降りかかるかもしれぬ危険に警戒するのは当然のこと。ところで、1人100ガメルも払うのだから、食事代および多少の情報料も込みで構わんな。確かに、我らはこの地では世間知らずなので、噂話に通じてそうな宿の主人にはいろいろ尋ねたいこともある。宿での安心と、今後の武者修行の旅の安全に必要な情報を所望したい』と、ニッコリ微笑むでござる。しかし、目は決して笑っていないことが、分かる者には分かる程度の面構えで」

ビシャナ『(臆したように)あ、ああ、私に分かることなら答えてやるよ。ただの噂話程度のものですがね』

G太郎「それでは聞こう。我々は地上の霧の街へ行きたいと考えている。どうすれば行けるか、知らないでござるか?」

ビシャナ『地上だって? さあ、知りませんね。どうして地上になんて行きたいのでしょうか?』

G太郎「うちのご主人が『空を見たい』とおっしゃってな。まだ、飛行もままならない若輩ドレイクだが、空を見れば早く飛べるようになると考えてのことだ。ただ、地上には外敵に備えて対空施設が完備してあるという話もしたのでござるが、だったらそれも見てみたいとおっしゃられる始末。若いということは、何にでも好奇心をそそられるようで、苦労させられているでござるよ……と言って、苦笑まじりに肩をすくめて見せる」

ビシャナ『ドレイクのお坊ちゃんのためのお目付役ルーンフォークってことでしょうか。見た目よりも、苦労なさっておいでなんですね』

G太郎「これも奴隷ルーンフォークの習い性という奴でござる。これでも、前の主人のタビットに比べれば、ずいぶんとマシになった。おっと、ビシャナさんは同じタビットでも、優しそうでござるな……と褒めておこう」

ビシャナ『口達者なルーンフォークさんですね。それで聞きたい情報はこれで終わりでしょうか? 私は地上へ出る道を知りませんし、空とか防空施設と言われても何のことやら。まあ、噂話でよければ仕入れてみてもかまいませんが、その場合は別個に情報料が必要となりますよ』

G太郎「やはり、宿の主人は情報通でござるようだな。ほら、ご主人や嬢ちゃんも何か知りたいことがあれば、聞いてみるといい」

ホリー「ええと、別口の仕事だが念のため、ユリア・ミルドリスという名に聞き覚えは?」

GM「『さ、さあ、知りませんねえ』と言いつつ、目標値15の真偽判定を試みよ」

G太郎「真偽判定は、冒険者レベル+知力でござったな。基準値10の私が振って17。どうやら、ビシャナはユリアのことを何かを知っているようでござる」

ホリー「ボクは達成値11なので気づかない。やはり知らないか、と素直に受けとる」

G太郎「まあ、ここでは深く追及すまい。もう少しビシャナとの信頼関係を深めてから、改めて質問するということで」

デル「だったら〈破剣の星槌〉についても聞いてみるぅ。確か、どこかの王国から盗まれた凄い武器らしいって話を聞いたんだけどぉ。星の名前を持つ武器ってキラキラしてて凄そうだねぇ」

G太郎「ご主人は光り物が好きでござるからなあ」

ビシャナ『略奪品ですか。うちはそういうのとは無縁でして。そういう話が聞きたければ、【ゴミ溜め窟】という場所にいるリザードマンの情報屋ゾ・ゴグという男が詳しいと昔、聞いた覚えがありますが、何ぶん、自分たちには関わりのない話ですので、それがどこかは知りません』

GM「今、聞けそうな情報はこれぐらいじゃのう。では、今夜というか未明は、宿に泊まり、翌朝、出発するといい」

ホリー「一応、部屋は男部屋と女部屋の二つ用意してくれるんだろうね。デルとG太郎、ボクとメルさんにそれぞれ分かれるってことなら、メルさんにいろいろ絡みたいことがあるし……」

GM「何を絡むと言うのじゃ?」

ホリー「そりゃもう、いろいろと(ニッコリ)」

GM「今度は、シロがどういうロールプレイを目論んでいるか知らんが、女キャラ同士の絡みをあれこれ妄想しながら、今回はここまでじゃ」

ホリー「大丈夫。18禁な展開にはならないように、気を使いますから」 

(当記事 完)