花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

魔神ハンター、蛮族になる(SWミストグレイヴ0ー2)

蛮族の地下世界へ向けて

 

GM(ヒノキ)「それでは、デルニール&ホリーのコンビ名、魔神ハンターの冒険物語の始まりじゃ」

デル(リトル)「おっす、オラの名前はデルニール・イーストン。デルと呼んでくれぇ。炎武帝グレンダール様の神官戦士で、何の因果か魔神の力が見えるようになっちまったんだぁ。魔神って奴はラクシア世界に破壊と混乱を巻き起こすらしいから、放ってはおけねぇ。そう思って魔神ハンターを名乗ってはみたんだが、魔神と渡り合うにはまだまだ力不足もいいところだぁ。だから、まずは自分を鍛える、強くなるぅ……って自己紹介は、こんなところでいいですかぁ?」

GM「うむ。今回は『キャラクタービルディングブック』にある、『剣の恩寵』ルールを使っていこうと考えておる。よって、名乗り時にロールプレイの中心となるキーワードを決めておくといい」

デル「キーワードかぁ。では『魔神退治』と『自分を鍛える』の2点で行くぜぇ。魔神ハンターだけど、別に魔神しか興味がないわけじゃないし、今はまだ自分を鍛えねえとインプ程度のザコしか倒せねえからなぁ。強くなって、手強い魔神ともしっかり渡り合えるようになるのが、おいらの当面の目標って奴だぁ」

GM「せいぜい精進することじゃ。では、次にシロの番」

ホリー(シロ)「はい、レプラカーンの魔法騎手ホリーです。だけど、今は騎獣がないんですね」

GM「うむ、シナリオ都合上、まだ騎獣は手に入っていないのじゃ」

ホリー「せっかくのライダー技能が、今はまだ宝の持ち腐れなので、当面は魔法剣士で行きます。ボクは女性キャラだけど男装で、見た目は小柄で華奢な少年といった感じの小人種族ですね。二重人格でワイルドなガルドが時々脳内で囁くので、ブツブツ独り言を呟くのもしばしば。ですから、基本は陰キャラヒロインということで、無口です」

GM「キャラは無口でも、プレイヤーは無口にならなくてもいいからのう」

ホリー「もちろんです。キャラの行動は、しっかり描写しますよ。だけど、交渉事などはデル任せで、『問題ない。お前に従う』と同意するか、『本当にそれでいいのか? もう少し慎重に……』と抑え役に回るか」

GM「じゃが、時々、ガルド人格が前面に出るのじゃな」

ホリー「ええ、ホリーが対応できないようなトラブルに直面した場合に、ガルドが出てきて、暴言を吐いたりします(笑)。あと、ガルドは稀に、アドバイスをくれますが、その場合はアリナ様がガルドのセリフをお願いします」

ガルド(GM)『ヒャヒャヒャ。ここは右へ行った方が戦えそうな感じだぜ。左はつまらん。右へ行け』

ホリー「つまり、左の方が安全ということだな。左へ向かう」

GM「なるほど。ガルドは天然の危険ソナーということか」

ホリー「それで名乗りセリフですけど、『ボクはホリー、心の闇を晴らすのが仕事だ』といったところですね。彼女のキーワードは『闇を晴らす』とか『光を取り戻す』とか、そんな感じ。一方で別人格のガルドのキーワードは『闇をぶっ潰す』とか『光を奪い返す』とか、そういう言い方をします」

GM「ふむ、本質は同じなのじゃが、表現が暴力的というのが面白いのう。では、泣いている女の子が目の前にいたときはどうする?」

ホリー「ホリーは、おずおずと様子を観察します。だけど、ガルド人格が心の中で(おいおい、困っている女の子がいるぜ。スルーする気かよ。ここは優しく声を掛けて、恩を売っておくのが筋ってもんじゃねえか?)と話しかけてきて、ホリーは(えい、黙れ。そんな下心むき出しの態度を取れるものか。いいか、ここはただの親切心で、あの子の心の闇を晴らしてやりたいんだ)と反論しながら数十秒の葛藤を経た後で、『お嬢さん、何で泣いているのかな? 良ければボクに話してくれないか? 君の光を取り戻すために協力させてもらうよ』と気取った態度で、声を掛けます」

GM「って、一つの行動をとるのに、そこまでの脳内会話を行うのか?」

ホリー「ええ。ですから、基本的にコミュニケーションのための決断は遅いです」

デル「たぶん、ホリー姉さんが声を掛ける前に、オラが声を掛けてますねぇ。『どうして泣いているんだぁ。悪い魔神でも出たのかぁ?』って」

ホリー「その即断即決ぶりを羨ましく思いつつ、つられるように『そう簡単に魔神が現れてたまるか』とツッコミ入れつつ、『困っているなら話に乗るが。闇を晴らすのが仕事だからな』と、クールにぶっきらぼうに話す形になるか」

GM「やれやれ。いちいちロールプレイするのが大変な厨二設定を作りおってからに。ともあれ、光と闇の葛藤が、当キャンペーンのテーマになりそうじゃのう」

 

導入はルキスラ帝国から

 

GM「では、お主たちは霧の街の地下に広がるミストグレイヴの入り口に来ている。蛮族の地下世界に入るために身をやつすことも含めて、準備は整っている。だが、どうして、その危険なところに入るに至ったのか、そこから振り返ってみよう」

デル「もちろん、そこに魔神がいるからだろぉ?」

ホリー「蛮族の地下世界。闇。闇は晴らして、光を取り戻さないと」

GM「モチベーションはすでに十分なようじゃのう。だが、ミストグレイヴの危険度は、地上の霧の街よりも大きく、人族が侵入しようものなら、生きては帰れんことは間違いない。だから、お前たちの少々逸脱した常識でも、普通はあり得ない任務なのじゃ。特に駆け出しの冒険者にとってはのう」

デル「だったら、どうしてぇ?」

GM「ミストグレイヴの導入は3パターンある。まず一つはカシュカーンの街から始まる『姫将軍の旧友探しミッション』じゃ」

ホリー「カシュカーンと言えば、マッスル太郎が霧の街を脱出して、最後に到着した街ですね」

GM「その通り。レーゼルドーン大陸の蛮族と戦う最前線の街と言ってもいい。そこを拠点として蛮族退治に邁進するキャンペーンシナリオソースも用意されているほど、ソード・ワールド2.0時代に資料が充実した街として知られておる。具体的には、ルールブックIIに掲載されたシナリオ『残忍なる襲撃者』では、カシュカーンがホームタウンじゃ」 

デル「すると、カシュカーンがスタートだと、マッスル太郎さんに会えるわけですねぇ」

GM「まあ、前リプレイの続きだと、そこからスタートするのが王道と言えようが、それでは単純すぎて、つまらん。よって今回は、わらわが最も劇的な導入ストーリーと考えるルキスラ帝国の『先行偵察任務ミッション』を採択することにした」

ホリー「ルキスラ帝国は、ザルツ地方最大の覇権国でしたよね。そこの皇帝が神キャンペーンのプレイヤー1(主人公格)をやっているほどの」

GM「ルキスラは、ルールブックIに掲載されたシナリオ『バルトゥーの屋敷』の舞台じゃったからのう。2.0の代表国家の一つと言っていい。カシュカーンを含む北のダーレスブルグ公国は蛮族との戦いの最前線ゆえ、ある程度、経験を積んだ冒険者推奨の地。一方、ルキスラは安定した国家ゆえ、初心の冒険者が比較的安全な環境で古代遺跡を探索するのに向いた土地柄と、当初は紹介されておった感じじゃの」

ホリー「つまり、ボクたちはルキスラ帝国出身ということになるのですね」

GM「そう。野心家の皇帝ユリウス・クラウゼの治めるテラスティア大陸最大の覇権国家と目されていると言っていい。もちろん、テラスティアには多くの地方があり、ルキスラと言えども所詮はザルツ地方の中心国家でしかないわけじゃが。ロードスにおけるフレイムみたいなものと言えようか」

ホリー「あるいは、旧ソード・ワールドアレクラストにおけるオーファンみたいなものですか」

GM「ともあれ、ルキスラについては、後でさらに触れるとして、3つめの導入はフェンディル王国から始まる『奪われた魔剣ミッション』じゃ。こちらは『霧の街の海賊に、魔剣破壊の力を秘めた恐るべき魔剣〈破剣の星槌〉が奪われたので、取り返して来い』という話になる」

デル「魔剣なのに〈星槌〉というのは妙だなぁ」

GM「まあ、ソード・ワールドにおける魔剣とは、別に剣の形にこだわらなくてもいいそうじゃ。あるいは武器でなくてもいい。剣の形をしたペンダントを魔剣と称したり、魔剣の特殊能力を宿した少女というリプレイもあったのう」

ホリー「フェンディルは魔剣探し、カシュカーンは人探しミッションで、だったらルキスラは何を探すのですか?」 

GM「情報じゃ。ルキスラは国家の力を蓄えるため、英雄候補である冒険者を支援する一方で、彼らの遺跡探検から発掘される魔動機術の遺産を復興させ、軍備を増強。飛行戦艦を運用できるまでになっておる。しかし、霧の街には防空施設があるために空からの攻撃が困難極まるのが現状なのじゃ。したがって、ルキスラ帝国の霧の街攻略作戦においては、この防空施設をいかに無力化するかが焦点となっておる。防空施設に関する情報を調べて、持って帰るまでがお主たちの使命ということじゃ」

デル「しかし、どうしてオラたちなんだぁ? 情報収集なんて密偵の仕事だろう? オラもホリーも魔神退治が本分で、密偵稼業じゃないんだがなぁ?」

ホリー「レプラカーンは、種族特徴で姿が隠せるので、密偵のマネごともできなくはないですけど、技能を習得していないわけで」

GM「そう。お前たちがこの仕事に選ばれたきっかけは、思いがけない事故、あるいは運命のいたずらのようなものだったのじゃ」

デル「思いがけない事故だとぅ?」

ホリー「運命のいたずら? それは一体……」

 

バルバロスブラッド

 

GM「お前たちは、とある遺跡を探索しているときに、謎めいたポーションを発見した。直後、仕掛けられた罠によってかなりのダメージを負ってしまったために、ヒーリングポーションと間違って謎の薬を飲んでしまう」

ホリー「ちょっ、そんな不用心な」

GM「じゃが、シナリオにそう書いておるからのう」

デル「謎の薬を飲むことは確定かよぅ」

ホリー「だったら、せめて薬を飲むに至った過程をもっと詳しく」

GM「ええと、ではガルドの声がホリーに囁く」

ガルド『おおい、ホリーちゃんよう。このヒーリングポーション(謎)、飲んじゃえよ。なっ』

ホリー「そんなことを言われたら、絶対に飲むわけにはいきません」

ガルド『そうか。飲まないなら仕方ないな。何だかヤバそうだもんな。こんな見るからに毒々しい、何が起こるか分からないポーションなんて、飲めという方がどうかしているよな。よし、絶対に飲むな。こいつは危険だ』

ホリー「うっ、そう言われると、飲んだ方がいいような気がしてきた。飲みます、ゴクゴク」

ガルド『バ、馬鹿な。あれだけ警告したのに飲んだだと?』

GM「すると、ホリーは体全体が燃えるような感覚を覚える」

ホリー「あ、熱い。何、これ?」

デル「おい、姉さん、大丈夫かぁ?」

ガルド『何だかヤバいぞ。ええい、ついでだ。お前も飲め』

GM「ガルドが、意識朦朧としているホリーの体を操り、ニヤリと微笑むと、ポーションの残りをデルニールの顔にバシャーンと浴びせ掛ける」

デル「な、何しやがるんだぁ?」

GM「すると、昔、魔神と契約した際に付けられた紋章が輝き、ポーションに秘められた闇の力を吸収する」

デル「何だ、この呪われた力はぁ?」

GM「お前たちはイグニスの力、蛮族どもの穢れの力を身に帯びることになったようだ。二人とも以下の上位蛮族の姿と化してしまう。トロール、ラミア、ドレイク、バジリスクミノタウロス、バルカンから好きな姿を選べ」

ホリー「蛮族どもの姿だって? ボクは蛮族どもを憎んでいるんだぞ?」

GM「そんなホリーが蛮族になってしまうのが、このリプレイの皮肉なところなのじゃよ。ランダムに姿を選んでもいいのじゃが、能力への影響もあるゆえ、種族を自由に選べるようにしたのが、わらわの慈悲と言えよう」

ホリー「しかし、いきなり蛮族になってしまうなんて……」

ゲンブ「シロよ。世の中には、いきなり蛮族の奴隷からスタートし、奴隷から解放されたと思ったら、実は魔神でした、と突然、明かされることもあるのでござるよ」

GM「おお、ゲンブよ。ようやく目覚めたか」

デル「つまり、ミストグレイヴのシナリオでは、導入の際に蛮族になってしまうのは、変更の余地のない確定事項ということですかぁ?」

GM「うむ。全てはシナリオに書いてあるとおりじゃ。マッスル太郎が奴隷になったのも、お前たち魔神ハンターが蛮族に変身してしまうのも」

ゲンブ「しかし、マッスル太郎が魔神になることは、シナリオには書いてありませんでしたな」

GM「それは、まあ、シナリオの記述を膨らませたというか、その方が面白いとわらわが思ったからじゃが」

ゲンブ「ということだ、シロよ。このミストキャッスルと、続編のミストグレイヴでは理不尽なこともしばしば起こる。それぐらいで嘆いておっては、蛮族の地では生きて行けんぞ」

ホリー→ガルド「あ、ああ、ゲンブの言うとおりだ。よし、ホリーはこれからガルドに切り替わる。ゲヒャヒャ、ついにオレサマの時代が到来だあ。この蛮族の体さえあれば、思いのままに生きられるぜ。ホリーちゃんはしばらく引っ込んでな。ヒャッハー」

デル「ぐぐぐ、昔、魔神と契約した副作用かぁ。オ、オラの呪いが暴走するぅぅッ!」

ゲンブ「……何だか、2人とも暴走プレイを楽しんでおるようでござるな」

GM「見た目は蛮族になっても、中身は人族のままで構わんのじゃが。ともあれ、ミストグレイヴでは『蛮族の地下世界に潜入するのに、蛮族に変身して活動すること』がシナリオの前提になっておる。そのための薬が〈バルバロスブラッド(蛮族の血)〉と呼ばれる秘薬なのじゃ。元々は、蛮族領への潜入工作のために製作された薬じゃが、これを飲むと、まず穢れ度を1点獲得する」

デル「穢れって何だぁ?」

GM「それは、ラクシアの世界観に関する重要知識なので、一度ロールプレイを辞めて解説するとしようかの」

 

蛮族と穢れの話

 

ヒノキ「では、ラクシアの世界観についてじゃが、3本の意思ある剣が世界を創造したというのが大前提じゃ」

ゲンブ「人族を生み出したのが調和の剣ルミエルで、蛮族を生み出したのが解放の剣イグニスで、世界にあふれるマナの素になったのが叡智の剣カルディアでござるな」

ヒノキ「厳密には、ルミエルが古代の人間の一人ライフォスを神に昇格させ、ライフォスがさらに仲間の人間にルミエルの力を貸し与えて第一の剣陣営の神々に昇格させた。そして妖精神アステリアがエルフを、炎武帝グレンダールがドワーフを生み出すなどの過程を経て、調和を重んじる人族の文明が発展していったということになる」

シロ「剣が人を生み、人が剣の力で神になり、その神が新たな種族を作っていったということですか」

ヒノキ「うむ。フォーセリアでは神→人→剣の順番(それとは別に妖精や精霊など異界の力が存在する)じゃが、ラクシアでは魔剣→人間→神々→亜種族という順番になる」

リトル「人間が神さまになれるのがラクシアの世界なんですねぇ」

ヒノキ「そして、人間の中でも野心と力に溢れたダルクレムという男が、ライフォスに対抗して第二の剣イグニスの力で神となったところから、蛮族の歴史が始まる」

リトル「人族と蛮族の違いは何ですかぁ?」

ヒノキ「思想的には、調和と創造、秩序を重じるのが人族で、第一の剣ルミエル陣営の神々を主に信仰する。一方、イグニス陣営は、自由と力への渇望、利己的な生き方を旨として、弱肉強食の獣のような野性文化となりがちじゃ。強き者が弱き者から全てを奪い、弱い者は強者に媚びへつらうことで生き長らえようとする。それが蛮族の基本的習性なのじゃよ」

シロ「蛮族は分かりやすい敵キャラなんですね」

ヒノキ「うむ。下位の蛮族は妖魔とも呼ばれ、いわゆるゴブリンやボガードなどといった種族がいる。しかし、その上にはドレイク、トロール、ラミア、バジリスクなどのより知性的かつ強力な連中もいて、蛮族の支配層を担っていたりする」

リトル「ラミアとかバジリスクって、人間離れしたモンスターじゃないですかぁ」

ゲンブ「それでも、ラミアのサンドリーヌは人族に親和的だし、バジリスクのヒューリカは残虐な男だったが、人族のお笑い文化を解し、武人であると共に芸術的なセンスを持ち合わせていた。ましてや、霧の街の支配者である翠将ヤーハッカゼッシュは上位のバジリスクだが、法治という人族の手段で配下の蛮族を統治しておるでござる。つまり、蛮族とは言え、人族から文化文明を学び、模倣し、自分たち流にアレンジして活用することはできるのでござるよ。そのやり方が、ある程度、力で上から押さえつける乱暴なやり方であるにせよ」

ヒノキ「トロールは豪胆な武人で、人族の勇敢な戦士には相応の敬意を示したりすることもある。しかし、人族と蛮族の間に決定的な違いがあるとすれば、蛮族は力を得るために『穢れ』を積極的に受け入れ、脆弱な人間を凌駕しようと考えるところじゃ」

リトル「穢れとは何ですかぁ?」

ヒノキ「自然ならざる負の力と言おうか。ラクシアでは魂の輪廻転生を肯定する世界観じゃが、不自然な蘇生などで生死の真っ当な営みを阻害すると、穢れ度が溜まってしまう。ゲーム的には、穢れが5点たまると亡者(アンデッド)と化してしまい、人蛮問わず、あらゆる生者の敵となってしまうのじゃ」

シロ「穢れが4点溜まると、もはや蘇生魔法で復活させることもできないわけですね」

ヒノキ「人族の常識では、魂が穢れることは忌むべきこと。生まれながらに穢れをもって突然変異的に誕生したナイトメアという種族は、人族ではあるが、一部で差別や迫害の対象になったりもする。穢れを持つと肉体面でも異形化し、角が生えたり、血肉を好むようになったり、人族社会では真っ当な生活が送れなくなることもしばしば」

ゲンブ「人が神になるなら、逆に人が魔物化することも考えられる世界でござるな」

ヒノキ「じゃが、亡者(アンデッド)になる前のギリギリの段階まで穢れを取り込めば、肉体が強化できることに気付いたのが、蛮族の神ダルクレムなのじゃ。つまり、蛮族社会でも亡者は敵じゃが、そうなる前の力ある生者は尊敬に値する。1〜4の穢れを持つことこそが、蛮族の証とも言えよう」

リトル「人族は穢れを忌避するぅ。蛮族は穢れを受け入れ、それを己の力に変えようとするぅ。その結果、異形と化して、時にモンスターとも同一視されるのが蛮族なんですねぇ」

ヒノキ「下半身がサソリのアンドロスコーピオンや、吸血鬼のヴァンパイアも蛮族に分類されるからのう」

シロ「え? ヴァンパイアはアンデッドではないのですか?」

ヒノキ「ラクシアでは、不死神メティシエを信奉する蛮族とされるのう。まあ、他の神を崇めるケースもあるが。そういう魔物の分類は、モンスター本なんかで詳細が記されておる」 

 

少年ドレイクとバルカン娘

 

GM(ヒノキ)「そういうわけで、デルとホリーは『人族に穢れを与えて、蛮族化する薬バルバロスブラッド』を運命のいたずらで、望まぬままに摂取してしまったわけじゃ。まずは穢れ度を1点受け取れ」

ガルド(シロ)「ヒャッハー。これでホリー嬢ちゃんも穢れちゃったな」

ホリー(シロ二役)「そんな。心の闇だけでなく、肉体まで魔に堕ちるなんて(涙目)」

ガルド(シロ)「もう、諦めな。ホリー嬢ちゃんも闇に染まって生きるんだよ」

ホリー(シロ二役)「……」

GM「……おい、シロ。一人芝居はもう、それくらいにしてくれんかのう。話が進められん」

デル(リトル)「それで、結局、おいらたちはどんな姿になっちまったんだぁ?」

GM「それは自分で決めてもいいのじゃ。まあ、リトルへのお勧めは竜人ドレイクじゃろうか。2本の角と皮膜の翼を持つ蛮族のエリート種族で、筋力、生命力、知力が+1される」

デル「元が18、18、12だから、1増えてもあまり嬉しくはないんだけどなぁ。だけど、竜ってことは、火が吐けるのかぁ?」

GM「いや、吐けない。せいぜい穢れ度が3点になったら、飛行能力が付くぐらい」

デル「穢れ3点で飛べるようになるのかぁ。そいつは楽しみだなぁ。オラ、ワクワクしてきたぞぉ!」

GM「こらこら。そいつは蛮族的発想じゃ。そう簡単に人間を捨てるでない」

デル「おっと、いけねぇ。体は蛮族でも、心は人間。これでいいんだな、アリナ様ぁ」

GM「うむ、人間性まで捨ててしまっては、それこそ闇堕ち街道まっしぐらじゃからのう」

デル「それにしても、2本の角に翼かぁ。魔神ハンターが魔神みたいな見かけになっちまったもんだなぁ」

 

ガルド「アリナ様。オレサマはバルカンで行くぜ。蛮族どもはぶっ潰す」

ヒノキ「うむ。かたや、仮面ライダードレイク。かたや、仮面ライダーバルカンとそういうネタも考えられるからのう」 

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ゲンブ「そのうち、仮面ライダートロールやら、ラミアやら、バジリスクやら、ミノタウロスやらが登場する日が来るのでござろうか」 

ヒノキ「仮面ライダーライアはいたがのう。他には、ミノタウロスがウィザード第一話のファントムじゃ。トロールバジリスクは、ライダーではないが、リュウソウジャーのマイナソーとして登場しておる」

ガルド「とにかく、バルカンというネタがあるなら、今ここで使わない手はない。で、ソード・ワールドにおけるバルカンって、どういう外見なんだ?」

ヒノキ「牡牛のような角、竜のような翼、赤黒い皮膚を持つ魔神のようなシルエットとあるのう。炎を身に帯びた姿で、一番近いイメージとしては、指輪のバルログのようなものか」


"You shall not pass" - Japanese 日本語吹き替え版

ガルド「本当に邪悪な魔物じゃないか」

ヒノキ「ただし、個体差も多く、男女や部族によっても違うそうで、女性のバルカンの顔は人間に近い風貌をしているという記述もあるのう。事実、女性バルカンのNPCが登場する公式リプレイでは、グラマラスな美女バルカンのイラストが描かれておる」

ガルド「つまり、小柄な幼児体型美少女のレプラカーンが、バルバロスブラッドの影響で美人なお姉ちゃんになったわけだ。ハハハ、こいつはいい」

ヒノキ「イメージとしては、赤肌のサキュバスを連想すればいいじゃろうか」

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ガルド→ホリー「ちょっ、それって大丈夫なんでしょうか?」

GM「何じゃ、急に弱気になりおって」

ホリー「いや、ここは健全を旨とするブログのはず。18禁ネタは禁じ手なのでは?」

GM「うむ、小人娘が蛮族の血を飲んだら、ボンキュッボンな赤肌美女になってしまって、いろいろ狼狽る展開は、うまく演じれば萌え妄想をたぎらせるのう」

ホリー「さすがにそれは……(赤面)」

GM「何じゃ。お主がロールプレイできぬと言うなら、わらわが代わって演じようか? 炎の力を持つバルカンの美女というのは、一度プレイしたかったのじゃ」

ゲンブ「アリナ様。お戯れはそれぐらいにして、バルカンのデータを決めていかないと、そろそろ文字数が1万を越えているでござるよ」

GM「むっ、とにかくバルカンは、多様な種族ゆえ、好きな能力値を二つ選んで+1できる仕様じゃ」

ホリー「それなら、筋力11と生命力10を1点ずつ上げるのが良さそうですね。筋力は12になってボーナスブレイク。生命力もボーナスブレイクが近いし、HPも1点上がって17に」

GM「特殊能力は、穢れが4点溜まると、炎の妖精サラマンダーと土の妖精ノームを強制召喚して使役できる。バルカンは生まれつき、炎と土の妖精の宝石を両腕に宿していて、フェアリーテイマーに親和性の高い種族なのじゃ」

ホリー「そこまで穢れを溜めるつもりはありません。何とか元の姿に戻る方法を見つけないと」

デル「そうかぁ? オラは別にこのままでもいいと思うがなぁ。ドラゴンの力って何だか格好いいし、姉ちゃんも今の方が大人っぽくていいんじゃないかぁ?」

ホリー「ボクたちは魔神ハンターじゃなかったのか。それが、このような魔神みたいな姿になってしまうなんて、そんなの認められない……」

ガルド(GM)『まあまあ、せっかく少女からアダルトな美女になったんだ。楽しまなきゃ損だぜ』

ホリー「ボクはそんな気分じゃない」

ゲンブ「アリナ様。ガルド役はしばらく我が担当するというのでは、いかがでござろうか?」

GM「そうじゃな。しばらくマッスル太郎の出番はなさそうじゃし、それまではゲンブがガルドを担当するというのも一興」

ガルド(ゲンブ)「ということで、オレサマはしばらく、これで行くでござるよ。ホリーちゃん、とにかく今を悲観的に嘆くのではなく、現実を肯定し、楽観的に生きればいい。笑顔を忘れずにな」

ホリー「何だかガルドが急に真面目なことを?」

ガルド「オレサマはいつだって真面目に、自分の欲望に忠実に、楽しく生きようとしているぜ、でござる。魔神みたいな姿になっても、自分を見失わずに生きていれば、人生いいこともきっとあるさ、でござる」

ホリー「ガルドに説教されて、何だか複雑な気分だけど、少しは生きる気力が湧いて来たような気がする」

GM「そうやって、混乱から何とか立ち直りつつあるところに、突然、黒ずくめの男たちが飛び込んできて、お主たちの姿を見て驚く。『何だと! まさか〈バルバロスブラッド〉を先に飲んだ奴がいるとは!?』」

 

デル「何だぁ? こいつら、敵かぁ?」

GM「と、蛮族の言葉ではなく、交易共通語で話したデルに対して、『おっと、落ち着いてくれ。お前たちが蛮族ではなく、人族だってのは分かっている。そんな姿になって戸惑っているのもな。詳しい話を聞かせてやるから、まずは武器を下ろしてくれ。俺たちは敵対するつもりはない』」

ホリー「それなら、まずは名を名乗れ」

黒ずくめリーダー『俺は盗賊ギルド「闇夜の鷹」に所属するショウン・グラハムという者だ。この道じゃ、ちょっとは知られた名なんだが……』

ホリー「GM、知っていますか?」

GM「スカウト技能の持ち主なら、ルキスラ最大の盗賊ギルド『闇夜の鷹』と、そのリーダーである『隻眼の鷹ショウン・グラハム』の名は当然知っておるんじゃがのう。何しろ、2冊めのルールブックの『ザルツ地方の有名人リスト』に名を連ねているほどの大物じゃ。しかし、目立つことが嫌いな性格なので、盗賊以外には知られていないと考えるべきじゃろう」

ホリー「ボクは世間知らずだから、知らないでしょうね」

デル「オラも田舎者だからなぁ。街の盗賊ギルドの話なんて知らないさぁ」

ガルド(ゲンブ)「やれやれ、かの有名なショウン・グラハムも知らないとは、聞いて呆れる、でござる」

ホリー「どうして、お前が知っているんだよ、ガルド」

ガルド(ゲンブ)「闇に生きる者にとっては常識さ……でござる」

ホリー「ボクは……闇に生きているわけではない」

ガルド(ゲンブ)「これから生きることになるさ。たっぷりとな(ニヤリ)」

 

GM「とにかく、ショウン・グラハムと名乗った男が、お前たちにいろいろと語って聞かせるのじゃが、長くなったので、続きはまた次回の楽しみじゃ」

 (当記事 完)