花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

マッスル太郎と、麻薬窟(SWミストキャッスル4ー4)

夢薬クエスト開始

 

太郎(ゲンブ)「今回は麻薬窟の本格的な探索に挑むでござるよ」

ヒノキ「うむ。麻薬窟で『夢薬販売委任状を入手すること』は、ザバーラ、ウルスラアリアドネの3人から請け負ったクエストじゃからな。いずれもレベル3で請け負えるクエストなので、レベル4に到達した今ならソロでも問題なく達成できるじゃろう」

太郎(ゲンブ)「するとレベル4では、別のクエストも受注できるはずでござるな」

ヒノキ「そうなるのう。ザバーラからは『ピラトト写本の入手』を、アリアドネからは『骨しゃぶりゾンネンフェレスの討伐』を依頼される」

太郎「ウルスラからは?」

ヒノキ「これは既に攻略済みの『サカロスの薬酒の入手』じゃな。この辺は攻略の都合から、シナリオの手順をアレンジしたからのう。

「基本的に情報収集系と討伐系のクエストは複数箇所で重ねて★と報酬を得ることができるが、アイテム入手系のクエストは誰に引き渡すかを選択せねばならん。サカロス薬酒は先に受注したザバーラに渡した(ウルスラには入手の手伝いをしてもらった)ために、ウルスラからの再依頼はなし。

「そして、夢薬に関しても3人の依頼者の誰に委任状を渡すか、を選ぶ必要があるのじゃ」

太郎「ザバーラに渡すと商売の材料にされる。ウルスラに渡すと、麻薬を憎む彼女が委任状を焼き捨てる。アリアドネの場合はどうなるでござるか?」

ヒノキ「一応、娼婦の間にも広がっている麻薬の販売を阻害するため、ということじゃが、真相は分からん」

太郎「良心に従うなら、ウルスラに渡すのが確実でござろうが、いずれにせよ、まずは物を手に入れないと。とにかく麻薬窟に向かって、麻薬の売人に接触することにしよう」

ヒノキ「麻薬窟に入って歩いていると、前回、出会って情報を売ってくれたレッドキャップが目ざとく、近づいてくる」

 

レッドキャップ『マッスル太郎さんじゃないか? また会えるなんて感激ッス!』

太郎「ヘッ? 前回、こいつに名乗った覚えはないでござるが」

レッドキャップ『いや、だって先日、闘技場でゴルゴル相手に戦っていたじゃないッスか。オレはあの試合を見て、太郎兄貴の強さに惚れ込んだんですよ。しかも、その後、ゴブリン3兄弟の長男とか、挽肉屋ガ・ゾムなんて連中を次々と打ち倒していく勇姿。強さは正義。強さは愛。強さはパワー。マッスルパワー最高ッス!』

太郎「そうか。闘技場デビューして、名前が知られるようになったでござるか。ならば、夢は闘技場お笑い芸人ライブを開くこと、と宣言すればいいかも。リアルの武闘館ライブコンサートみたいに」

レッドキャップ『兄貴のバトルスタイルは最高ッスね。余裕で避けられる攻撃をわざと喰らってダメージに耐えてみせたり、攻撃をわざと外してピンチを演出したり、そうかと思えば、今にも死にそうな相手にも何の慈悲も見せずに徹底的に打ちのめしたり、試合運びが実に計算されたエンタメになっている。強いかと思えば弱く見せ、そうして油断した相手を思いがけない必殺技で逆転勝利してみせる変幻自在な武闘マジック。まさにハラハラドキドキのバトル展開でした』

太郎「いや、別に計算してやってるわけではないでござるが。単にダイス目の産物であって……」

レッドキャップ『つまり、天性のバトルエンタメ芸だとでも? いやあ、お見それしやした』

 

ヒノキ「……とNPCに無理やりヨイショさせるのも飽きてきたのじゃが、この情報屋のレッドキャップ、通称『口先ファンタスティックのレツ』は今や、武闘家・マッスル太郎のファンとなっておる。何を聞いても無料で答えてくれるぞ」

太郎「本当でござるか。ならば聞こう。夢薬はどこで売っている?」

ヒノキ「それを聞くと、情報屋のレツの眼光が鋭くギラリと光った。『では《夢の家》へ行きたいんですね。ご案内いたしやす』」

 

 夢の家

 

 その建物は5階建てで、正面に木製の扉があり、《夢の家》と書かれた看板がはめ込まれていた。

 

ヒノキ「レツに案内されて、夢薬販売所に来たマッスル太郎。ここに来たことで★1つを進呈じゃ。レツが手慣れた調子で、扉をノックして『お客さんを一人、お連れしやした』と言うと、中から『お入り下さい』と汎用蛮族語にしては丁寧な応答がある。『さあ、どうぞ』とレツが扉を開けて中に迎え入れようとするが」

太郎「果たして素直に応じていいものだろうか、と訝りつつも、ここは朗らかに『どうも〜、お笑い芸人のマッスル太郎で〜す。まずはご挨拶代わりに……腹筋崩壊マッスルパワー!』と、いつもの前口上を言いながら、いつもの決めポーズをとるでござる」

ヒノキ「中に入ると、そこは店用のカウンターが付いた小さな部屋じゃ。カウンターの奥にも2体のレッドキャップが店番をしていて、カウンターの脇には扉と、上へ向かう階段がある」

 

店番レッドキャップ『お客さま、初めまして……ですが、何だかすでに薬をキメているようですな?』

太郎「どうして、そう思うのでござるか」

店番『平常心な人なら、店に入った瞬間に自己紹介して、筋肉ボディを見せてマッスルパワー! って叫び声を上げたりはしません』

太郎「これこそ、お笑い芸人というもの。お笑い芸人は薬に頼らなくとも、持ち前のポジティブ精神と内なるパワーでハイテンションなノリを維持できねば」

店番『なるほど。しかし、そのハイテンションも夢薬の力を借りれば、さらに効果的に発揮できること受け合いです。うちの夢薬は、《夢渡しのベルゼバリイ》様が翠将さまの発行する販売委任状に基づいて売られている真っ当な商品でして、一口飲めば神さまが祝福を授けて下さいます』

太郎「はっ? 神さまだと? ルーンフォークは神を信じないでござる」

店番『信仰心は関係ありません。夢薬は全部で4種類で神さまの名前が付いています。リストは以下の通り』

 

  1. ダルクレム印(100G):蛮族の戦神にちなんで、高揚感を高めてくれるアッパー系の薬。元気が足りないときに景気づけにファイト1発と飲み干すのがお勧め。
  2. ブラグザバス印(50G):蛮族の死の女神にちなんで、ハイテンションを鎮めてくれるダウナー系の薬。死にたくなった時に、擬似的に死の気分を味わえるかも。
  3. メティシエ印(150G):蛮族の不死神にちなんで、怖いもの知らずになれる薬。臆病な自分に嫌気がさしたら、勇気を奮い起こして大胆不敵になれますよ。
  4. ラーリス印(25G):狂神の名にちなんで、自由や解放、異世界へのトリップを感じられる薬。安価で自由な想像を求める芸術家さんの間で大人気。

 

太郎「口には出さないが、蛮族の神さまってろくなのがいないな、と思うでござる」

ヒノキ「戦神ダルクレムは、まだまともじゃぞ。他の神の信徒とは友だちになりたくないがの」

太郎「では、そのベルゼバリイ様と会いたいんだがな、と話を持ちかけよう。用心棒になりたいでござる」

店番『何だ? 客じゃないのか? ベルゼバリイ様は予約のない者には会われない。用心棒も募集しておらん』

太郎「そこを何とか」

店番『何ともならん』

太郎「ええい、お前たちじゃ話にならん。店長を出せって言ってるんだよ」

ヒノキ「悪質なクレーマーかよ」

太郎「とにかく店の奥に行って、ベルゼバリイをブッ倒して、夢薬販売委任状を奪いとらねば」

ヒノキ「発想が完全に蛮族のものじゃのう」

太郎「夜中にこっそり侵入するというのは?」

ヒノキ「実は、この建物の入り口はここだけで、窓も何もない。そして、蛮族は夜行性の者も多く、カウンターの人員も交代制なので警戒が弱まることはない」

太郎「レッドキャップ2体なら突破するのは簡単でござるが、ベルゼバリイというのがそもそもどれぐらいの強さか分からずに、強行突破するのはリスクが大きすぎる」

ヒノキ「情報が足りないのじゃよ」

太郎「どうやって情報を集めれば……って、レツがいるか。よし、一度レツを連れて、外へ出るでござる」

店番『何だ冷やかしかよ』

太郎「アイル・ビー・バックでござる」

 


ターミネーターBGM

 

強行突破の準備

 

太郎「裏路地へレツを引っ張って行き、最初にこう言うでござる。『レツよ。お前は強い者の味方だよな』」

レツ『もちろんです、マッスル太郎の兄貴』 

太郎「情報通のお前なら分かるだろう。ベルゼバリイと、この私のどちらが強いと思う?」

レツ『そ、それは……。お答えしにくいですが、ここは率直に言いましょう。どっちもあっしより強い』

太郎「そりゃあ答えになってないだろう。レベル2のレッドキャップより、レベル4の私の方が強いのは当たり前。だったら、質問を変えよう。ベルゼバリイの種族は?」

レツ『……レッサーオーガですが』

太郎「レッサーオーガか。魔物知識判定。10」

ヒノキ「一応、成功じゃな。レベル4。HPは36。剣のかけら入りならば56」

太郎「(データを見て)命中回避ともに12でござるか。殴り合いなら3ラウンドもあれば十分倒せる。ゴルゴルよりは楽勝と見た。問題は3レベルの真語魔法使いという点。パラライズで麻痺させられたり、ブラントウエポンで打撃力を減らされたりすると厄介だな」

レツ『もしかして、兄貴はベルゼバリイ様にケンカを売るつもりですか?』

太郎「今さら隠しても仕方ない。そうとも、奴を倒して私はビッグになる。奴の持つ夢薬の委任状さえゲットできれば、一獲千金も夢じゃない。見果てぬ夢はこの手でつかみとれ。それこそが蛮族の流儀ってもんだろう」

レツ『何て凄いことを考えるんだ、兄貴って人は? じゃあ、あっしはこの辺で……』

太郎「おい、どこへ行くつもりだ? ここまで聞いて、この情報をベルゼバリイに売りつけようってつもりじゃないだろうな?」

レツ『い、いや、まさか、ハハハ……』

太郎「ここまで来たら、お前も一蓮托生だ。ベルゼバリイを倒すための方法を一緒に考えるんだよ。お前の持つ知恵と情報、それにこの私のマッスルパワーが加われば、鬼に金棒、向かうところ敵なしって寸法でござる」

レツ『兄貴、もしかして、すでにメティシエの薬をキメてます?』

太郎「これでも正気のつもりなんだがな。とにかく、あの建物に侵入して、こっそりベルゼバリイのところまで到達できれば、後は力技で解決できる。そのためには、極力、事を荒立てずに建物に潜り込む必要があるでござるよ。いいアイデアはないだろうか?」

レツ『……入るだけなら、いい方法があります』

太郎「おお、それは?」

レツ『ラーリスの薬を買って、ラリって下さい』

太郎「ラリった状態じゃ戦えん」

レツ『ですから、ラリったフリだけするんです。大丈夫、兄貴の言動なら素で、薬をキメてるように見せられますよ』

太郎「ラリった後はどうする?」

レツ『ラリってから意識を失っていると、建物の上階の宿泊所に運ばれて寝かされます。そうすれば建物に侵入できます。後は兄貴次第。こっそり活動するも、大暴れするも、兄貴の判断に掛かっています。では、知恵と情報は出しましたので、あっしはここで。陰ながら、ご健闘をお祈りします』

 

 こうして、マッスル太郎は「ラリったフリして、こっそり潜入して、その後はランペイジ作戦」を敢行するのだった。

 

マッスル太郎のラリった演技

 

太郎「では、買ったばかりの夢薬を飲んだフリをして、適当に騒ぐでござる。『お、おお、ルーンフォークには見えないはずの妖精さんがいっぱい見えるでござる。ああ、酒の飲み比べか。だったら負けないでござるよ。うおー、究極マッスルパワー、ついでに腹筋崩壊腹踊り〜。さあ、皆の衆よ、このお笑い芸人の演技に酔い痴れ、爆笑するがいい。笑え、笑え、そして道を開けろ〜。ここはお笑いロード、そして余はお笑いロード。ロード(道)とロード(君主)を掛けた高度なギャグでござる。はい、アルトじゃないと〜。ダハハ』」

ヒノキ「……ゲンブ、いや、マッスル太郎の迫真の演技に、店員たちは呆然としながら、『はい、こちらにお進み下さい』と階段への道を誘導してくれる」

太郎「フラフラと千鳥足になりながら、誘導に従うでござるよ」

ヒノキ「そして、ラリったと思われた太郎は2階の宿泊施設に隔離収容されたのじゃ。ガチャっと外から鍵を掛けられてのう」

太郎「閉じ込められた?」

ヒノキ「あまりの暴走演技に、こいつはヤバい奴だと警戒されたようじゃのう」

太郎「部屋の様子はどうなっておる?」

ヒノキ「ベッドがいくつか置かれているが、今は先客がいない。太郎ほどの暴走をした者は他にいないようじゃ」

太郎「ざっと部屋全体を探索するでござる。探索判定は15」

ヒノキ「正面だけでなく、部屋の奥にも隠された扉があるのが見つかった。奥にも階段があって、階上にも階下にも自由に行ける」

太郎「本命は最上階か? 5階に行くでござる」

ヒノキ「2階と同じ構造の宿泊施設じゃ。ついでに、3階も4階も同じ。5階建ての建物じゃが、実質的にイベントがあるのは1階のみ。見せかけだけのダンジョンと言えよう」

太郎「本社の60F非常階段をひたすら昇るだけの、最近リメイクが発売された有名RPGを思い出したでござる」


CM (Final Fantasy 7) ファイナルファンタジーVII


FINAL FANTASY VII REMAKE TVCM「 ストーリー」篇


Final Fantasy VII - Highwind Takes to the Skies [HQ]

 

マッスル・ランペイジ(筋肉大乱闘) 

 

太郎「敵の懐にまんまと侵入して、あとは1階で大暴れするだけでござる。ここで、マスクとマフラーを付けて、仮面レンジャーになる。その上で1階奥の階段から突入する」

ヒノキ「正面と左右に扉がある」

仮面レンジャー「正面扉は建物の入口に通じているでござるな。それ以外だと、右か左か。聞き耳を立てるでござるよ。探索判定は12」

ヒノキ「左は静か。右はザクッザクッという生々しい音が聞こえ、血の臭いが漂ってくる」

仮面レンジャー「先に静かな方を見てみた方が良さそうでござるな。左の扉を開けた」

ヒノキ「2体の女ゴブリンがいた」

仮面レンジャー「魔物知識判定11」

ヒノキ「レベル3、HP26のゴブリンシスターじゃ」

仮面レンジャー「神聖魔法を使ってくるのか。速攻で仕留めないと。先制判定は13」

ヒノキ「そっちが先攻じゃ」

仮面レンジャー「マッスルベアー、ガゼルフット、そしてターゲットサイトを入れて、MP8点使用。残りMPは9点。ヌンチャクで1発殴り、その後、キックをかます。まず、ヌンチャクは21。キックは13」

ヒノキ「ダイス目が極端じゃが、両方とも命中じゃのう。ダメージをどうぞ」

仮面レンジャー「ヌンチャクは13点。キックは20点」

ヒノキ「防護点は3なので、10点と17点で27点ダメージ。1体が倒された。もう一体はキャーッと悲鳴を上げて、他の部屋からの助けを求めつつ、神聖魔法フォースを放つ」

仮面レンジャー「来たか。精神抵抗は10」

ヒノキ「抵抗は失敗のようじゃの。ダメージは(コロコロ)何とピンゾロ」

仮面レンジャー「おお、助かったでござる。では、2ラウンド目。普通にヌンチャクとキックで攻撃。命中はどちらも15で命中。ダメージはどちらも15点」

ヒノキ「残り2HPで生き残った。では、2ラウンド目の後手に、部屋の奥からレッサーオーガのベルゼバリイが登場し、『おのれ、何者かの刺客か。たった一人で乗り込んで来るとは、よほどの命知らずと見える。いや、相手はルーンフォーク、つまり、ただの使い捨ての道具か』と瞬時に状況を見てとったようじゃ」

仮面レンジャー「『我が名は仮面レンジャー。道具ではない。夢薬と称する麻薬で人々の幸せを奪う悪徳商人ベルゼバリイ。天に代わって成敗してくれる』と高らかに宣言しよう」

ベルゼバリイ『仮面レンジャーだと? 近ごろ、この近辺で暴れているレジスタンスの仲間か。愚か者め、死ねい。リープスラッシュ』

仮面レンジャー「精神抵抗9」

ヒノキ「失敗したようじゃの。ダメージは7点」

仮面レンジャー「思ったより低かったでござるな。残りHP27点」

ヒノキ「ダイス目が低かったのじゃよ。ゴブリンシスターはどうしようかのう? 偶数でフォース、奇数で自分を回復といったところか。(コロコロ)4なのでフォースじゃ」

仮面レンジャー「精神抵抗9」

ヒノキ「ヒヒヒ。ダメージは10点じゃ」

仮面レンジャー「残りHP17点。では、3ラウンド目。まずはポーションインジェクターからポーションを使用。HP9点回復して26点。ゴブリンシスターが鬱陶しいので、先に仕留めたい。ところで残りHP2点だったら、操霊魔法のスパークで複数を狙うことは可能でござろうか?」

ヒノキ「狭い部屋なので可能としておこう」

仮面レンジャー「自分を巻き込んだりは?」

ヒノキ「難しい判断じゃが、起点指定なのでうまく動き回って、自分が巻き込まれないタイミングで撃ってよし、と判断する」

仮面レンジャー「ならば、MP6点使用して残り3点。マッスル・スパークと叫んで、全身の筋肉から発電する」

ヒノキ「そういう魔法じゃないはずだが、演出として認めよう」

仮面レンジャー「魔法行使の達成値は11」

ヒノキ「抵抗してダメージ半減じゃ」

仮面レンジャー「それでも、ゴブシスにダメージ4、ベルゼバにダメージ2点」

ヒノキ「ゴブシスは倒れた。ベルゼバリイは残りHP34点」

仮面レンジャー「ん? 剣のかけらは入ってないでござるか?」

ヒノキ「実はただのレッサーオーガじゃのう」

仮面レンジャー「ならば、うまく行けば、次のラウンドで倒せるかも」

ヒノキ「そう、うまくは行かんじゃろうがな。とにかく、まずはリープスラッシュに耐えてみせよ」

仮面レンジャー「くっ、精神抵抗12」

ヒノキ「ほう、ぴったり抵抗しおって。ダメージは半減して5点じゃ」

仮面レンジャー「残りHP21点。よし、4ラウンド目に最後のマッスルベアーと、キック2連発で勝負をかける。命中は18と14」

ヒノキ「どちらも当たった。ダメージをくれ」

仮面レンジャー「1発め、15点。2発め、17点」

ヒノキ「防護点2なので、差し引きすると28点じゃな。残りHPは6点」

仮面レンジャー「くっ、仕留め損ねたでござる」

ヒノキ「では、4ラウンド目裏の反撃じゃ。3発めのリープスラッシュ、と言いたいが、残りMPが6で、1足りん。この局面でできることといえば……ナップと言っておこうかの」

仮面レンジャー「ナップ?」

ヒノキ「真語魔法2レベル呪文で、対象1体をうたた寝程度の浅い眠りに就かせる呪文じゃ。いわゆるスリープみたいなものじゃが、1体にしか通用しないのと、仲間がいればすぐに起こされてしまうので、集団戦闘では活用しにくい。しかし、今の局面で使えば、かなり有効じゃ」

仮面レンジャー「私が眠らされてしまうのか?」

ヒノキ「ヒヒヒ。そして、ベルゼバリイは悠々と部屋を抜け出して、外に助けを求める。仮面レンジャーは眠りに就いたまま、捕縛されて一巻の終わりじゃ。さて、公正を期すために、わらわがダイスを振ろうかのう」

仮面レンジャー「それって、ちっとも公正じゃない気がするでござる。アリナ様のダイス運は……」

ヒノキ「(コロコロ)4じゃの。魔力5を足して、魔法行使達成値9じゃ」

仮面レンジャー「おお、思いがけずアリナ様のダイスがお優しい。これなら何とか……(コロコロ)4。精神抵抗5でぴったり9。おかげさまで抵抗できたでござる」

ヒノキ「わらわのダイス目が低かったおかげじゃな。感謝するように」

仮面レンジャー「では、感謝しつつも次のラウンド、ベルゼバリイをヌンチャクで殴って倒すでござる。2回とも当たって、1発めのダメージは14点と、もう1発はクリティカルして23点」

ヒノキ「残りHP6点の相手に対して、どうして、そこまで痛ぶるのじゃろうか、この男は」

仮面レンジャー「弱った敵へのとどめに、大技を当てて倒すのはヒーローのお約束でござるゆえ」

 

黄昏の仮面

 

 増援を警戒したマッスル太郎だったが、その気配がないので、まずは回復に努める。使用済みのインジェクターポーションを交換し、HP変換でMPをフル回復して、残りHPは4点。その後、ヒーリングバレット5発でHPフル回復(MP12、弾薬10発)。

 回復を終えた太郎は次に、ベルゼバリイが出てきた奥の部屋に侵入。『夢薬販売委任状』と防具のポイントガード(売値50G)をゲット。目的達成により★1つゲット。

 それと、ゴブリンシスターとベルゼバリイから360ガメルの銀貨をせしめる太郎であった。

 

太郎「さあ、仕事も終わったので、撤収するでござるよ。しかし、レッドキャップの店員たちは邪魔して来ないのか?」

ヒノキ「連中は臆病者なので、ボスのベルゼバリイが謎の闖入者に倒されたと知ると、慌てて逃げ出したようじゃ」

太郎「もう一つの部屋は、薬のキメ過ぎで死んでしまった人間を解体して、食用肉に精製するグロい部屋だったでござる」

ヒノキ「当リプレイで、あまりじっくり描写したい場所ではないのう」

太郎「では、夢の家を出て、一度拠点に戻ればいいのでござるな」

ヒノキ「いや、ここでオリジナルのイベントが勃発する」

太郎「何でござるか?」

ヒノキ「太郎は、夢の家を出る際、仮面レンジャーの姿だったかの?」

太郎「う〜ん、とりあえず警戒しながら仮面レンジャーの姿で出て来るでござろうな」

ヒノキ「ならば、夕日が沈みかける薄暮れの中、仮面レンジャー姿の太郎に近づく人影がいる」

仮面レンジャー「何者でござるか?」

ヒノキ「それは見覚えのあるレッドキャップじゃ」

 

レツ『まさか、本当にベルゼバリイを倒して、無事に出て来るとはね。マッスル太郎の兄貴』

仮面レンジャー「お前、レツか」

レツ『へえ、驚いた。まさか噂の仮面レンジャーの正体が、マッスル太郎の兄貴だったとは』

仮面レンジャー「し、しまった。誘導に乗せられたでござる」

レツ『このネタは果たして誰が買ってくれるかな? それともマッスル太郎の兄貴が、あっしに口止め料をいっぱいくれるつもりはあるのかな?』

仮面レンジャー「お前、この私を脅迫するつもりか?」

レツ『まさか。兄貴はあっしに言いましたよね。ベルゼバリイを倒してビッグになるって。正直に言って、あっしは兄貴の言葉を信じちゃいなかった。誇大妄想狂の夢とさえ思っていたんだ。だけど、兄貴の言っていることは嘘じゃなかった。兄貴の持つマッスルパワーと、あっしの知恵と情報、この二つがあれば向かうところ敵なし。それは本当かもしれない。夢薬販売委任状を手に入れたんでしょ?』

仮面レンジャー「まあな」

レツ『だったら、それを使って、夢の家の主人になって下さい。ベルゼバリイを力で倒した兄貴だったら、この麻薬窟を我が物にすることだってできる。兄貴がその気なら、あっしも協力させていただきますぜ』

仮面レンジャー「……だが断る

レツ『どうしてですか? そのためにベルゼバリイを倒したんでしょう?』

仮面レンジャー「夢薬販売委任状はな、別の人物に渡す約束でござるからな。それに、麻薬を売って商売することは、私の芸人魂が許さないんだ。人々の苦しみの上に、お笑いは成り立たないってな」

レツ『言っていることがよく分からないッス』

仮面レンジャー「悪いが、ここでお別れだ、レツ。しばらくは、この麻薬窟に寄る気はない。そう言って麻薬窟を立ち去ろうとする。ただ、去り際にこう言い残そう。『仮面レンジャーの正体がマッスル太郎だということは内緒にしておいてくれないか』」

レツ『待ってくれ、兄貴。ウッ……』

ヒノキ「レツの呻き声が仮面レンジャーの耳に届いた」

仮面レンジャー「慌てて振り返る。どうしたでござるか?」

ヒノキ「レツの首筋に長い針のような短刀が刺さっている。そして、刺した張本人の姿、蜂の仮面を付けた女の名前を太郎は知っている」

仮面レンジャー「キラービー。マリリンでござるか」

 

女暗殺者、ふたたび

 

キラービー『お久しぶりね、仮面レンジャー』

仮面レンジャー「どうして、レツを殺した?」

キラービー『あんたが甘いからよ。このレッドキャップは口八丁の情報屋。あんたの正体を知った以上は、いつ、その情報を売ってしまうか分かったものじゃない。それに、この小悪党は、あんたを既に陥れようとしたんだからね』

仮面レンジャー「どういうことだ?」

キラービー『あんたを夢の家に送り込んだのは、ベルゼバリイの懐に飛び込ませて、階上の宿泊施設で眠っている間に、精肉処理をしてしまおうという腹だったのよ。あんたの筋肉は食材としても充実してそうだからね』

仮面レンジャー「ルーンフォークの肉が?」

ヒノキ「まあ、合成肉の類じゃろうが、全身が金属ということはないはず。種族説明にも『基本的に人間と同じ肉体構造で、首と、耳や顔の一部、腕や足などが硬質素材となっている』と書かれておる。すなわち、マッスル太郎の筋肉は蛮族にとって食用肉扱いじゃ」

仮面レンジャー「レツがそんなことを考えていたと?」

ヒノキ「うむ。レツは元々、ベルゼバリイの手下じゃったのが、思いがけず太郎がベルゼバリイを倒したのを見て、鞍替えしてすり寄って来ようとしたのじゃ。強い者に従う蛮族の小悪党なので、いつ裏切るか分からないというのが、妥当な判断じゃのう」

仮面レンジャー「それをマリリンが警告の上、仕留めてくれたというわけか」

キラービー『これで、あんたに助けてもらった借りを返したからね』

仮面レンジャー「口先ファンタスティックのレツ……って、随分とキャラ立ちしてたので、準レギュラーになるかと思ったのに」

ヒノキ「麻薬窟でのイベントはもうないはずじゃからな。それよりも、キラービーのマリリンは『夢薬委任状をどうするのか?』と聞いてくるのじゃ」

仮面レンジャー「何? 彼女も委任状を狙っているのでござるか?」

ヒノキ「彼女がアリアドネに託された使命は、『単独、もしくは仮面レンジャーことマッスル太郎と協力して、ベルゼバリイを倒し、委任状を手に入れろ』と言うものじゃった。だけど『まさか正面から乗り込んで、ベルゼバリイを一人で倒して、無事に出てくる』とは思わなかったらしい」

仮面レンジャー「こっちは、マリリンがサポートで動いてくれるなどと知らなかったでござる」

ヒノキ「当然じゃ。シナリオにも、そんなことはちっとも書いておらんからのう。マリリンも再登場する予定はなかったし」

仮面レンジャー「だったら、どうして?」

ヒノキ「GMのわらわが、キラービーのマリリンというキャラを気に入ったからに決まっておろう。場合によっては、フェローとしてマッスル太郎の冒険に同行させてもよいのではないか? と思ったほどじゃ」

仮面レンジャー「それはいいでござるな」

ヒノキ「しかし、断念した」

仮面レンジャー「どうしてでござるか?」

ヒノキ「マリリンは、月夜蜂所属の女暗殺者じゃからな。今の太郎とは立ち位置が違う。月夜蜂の思惑と、太郎の行動方針が違う場合はマリリンが敵に回る可能性もあるわけじゃ」

仮面レンジャー「それは難儀でござるな。だったら、こう言うでござる。『ベルゼバリイを倒したのも、委任状を手に入れたのも、私がアリアドネと異なる別口の仕事として果たしたことである。この件では、マッスル太郎が早い者勝ちで仕事を果たした。だから、アリアドネは一歩引いて欲しい。申し開きは後で直接こちらから出向いてするから』と」

キラービー『月夜蜂を裏切るって言うの?』

仮面レンジャー「裏切るも何も、私は月夜蜂所属ではなく、助っ人的な立場の外部の人間さ。今回はたまたま仕事がかち合っただけで、月夜蜂を攻撃する意図はない。協力できることは協力するし、できないことは断る。その中で折り合える部分を見つけて行けたら、と考える。ひとまずはアリアドネにそう伝えておいてくれ」

キラービー『分かった。アリアドネを怒らせないといいけど』

仮面レンジャー「やれやれ。しがらみが多いと、利害関係もいろいろ複雑になって来るでござるなあ」

 

●ここまでの冒険成果

 経験点:★2つ、魔物撃退分100

 ガメル:手持ち360ガメル(-ラーリス夢薬25G)、戦利品50G分

 重要アイテム:夢薬販売委任状

 

 (当記事 完)