成長計画の見直し
ヒノキ「ゲンブよ。先日、お主は戦闘特技《両手利き》を習得して、ヒーリング・バレットと武器攻撃を同時にこなす予定だと言っておったが、よくよく調べると、それが難しいことが判明したのじゃ」
ゲンブ「どうしてでござるか?」
ヒノキ「《両手利き》では別々の相手を狙うことができず、同一の目標に限定される。ゲンブとしては、敵を殴りながら同時に自分を回復することを目指しておるのじゃろうが、異なる対象を狙うには、《両手利き》に加えて《双撃》の戦闘特技を習得せねばならん」
ゲンブ「うおっ、そうでござったか。特技2つということはレベル7まで掛かってしまう。それならば、戦闘中に攻撃と回復を同時にこなすには、コンジャラー技能2レベルと《マルチアクション》の方が手っ取り早い計算でござる」
ヒノキ「あるいは、5レベル以上で習得できる練技[リカバリー]であれば、毎ラウンドMP3消費でエンハンサーレベル分のHPが回復できる」
ゲンブ「ううむ、回復量を考えるなら、同じMP3でもコンジャラー技能2レベルならピンゾロ以外、確実に5以上は回復できるでござるからな。おまけにエンハンサー技能を高めてもMPが増えない。コンジャラー+《マルチアクション》なら、いろいろと応用もできそうだしな。問題はMP不足に陥る可能性でござるが、少なくともコンジャラー技能を2に上げるだけでもMP6点が得られることを考えると、戦闘時の回復はコンジャラーを利用する方が良いのかもしれん」
ヒノキ「今からコンジャラー技能の習得も考えると、ますます成長が遅れるのう」
ゲンブ「当面、考えていたのが、セージ技能を上げて知識判定を補い、エンハンサー技能で[ガゼルフット]を習得して回避能力を高める。その後、グラップラーとスカウトを4レベルにし、そこから、さらに5レベルを目指す。5レベルになれば《両手利き》と考えていたが、そこを《マルチアクション》に切り替えて、コンジャラー技能による回復技に路線変更という形でござる」
ヒノキ「いずれにせよ、先の話ゆえ、今すぐどうこうというわけでもないようじゃのう」
ゲンブ「コンジャラーを習得すれば、3レベル以降、ゴーレムを作って、共に戦うというオプションも可能になる。一応は成長方針として考えてはいたのでござるが、成長が遅くなるゆえ、どうしようか判断に迷っていた。だが、戦闘中の自力HP回復にコンジャラーが必須となれば、必然的に選ばざるを得なくなろう」
ヒノキ「まあ、戦闘中に回復するよりも《頑強》で最大HPを15点増やして、回復せずに耐えるという選択肢もあるがのう」
ゲンブ「確かにHPが最初から15点高ければ、回復魔法で15点回復したのと同じ意味があるでござるなあ。どうするのが最適解か、5レベルになる前にじっくり考えておくとしよう」
ヒノキ「では、目前の冒険を続けるのじゃ」
黒の丘、突入
太郎(ゲンブ)「現在、所持金は2153ガメル+インク代の300ガメル。そのうち、2000ガメルを拠点に預けておいて、453ガメルだけ持って旅立つでござる。早朝に拠点を出発して、朝にウルスラさんの施療院に到着。そこで、前回、入手したムコソール草を1つ納めておこう」
ウルスラ『おや、太郎さん。これは?』
太郎「うむ。先日、ムコソール草10個を求めていると言われていたな。まずは一つ手に入ったので、急いで持ってきた次第。残り9つも後日、仕入れて来るので、待っていて欲しいでござる」
ウルスラ『まとめて持って来てくれる方が手間が掛からなくていいんだけどね』
太郎「しかし善は急げと言うし、下手するとせっかくの品物が窃盗にあうかも知れないでござる。物騒な街なので、渡せる物はさっさと渡した方がいいであろう」
ウルスラ『じゃあ、受け取っておくよ。ありがとうね。残り9個でクエスト達成だ』
太郎「さて、次に娼婦街を素通りして、隣接する黒の丘に突入するでござる。娼婦街でもイベントがあるようだが、そちらに寄ると、黒の丘に到着するのが夕方になる。できれば、昼間に黒の丘に到着して、探索を済ませて夜に娼婦街で泊まるのがいいと見た。金さえ払えば、ラブホテルに寝泊りぐらいできるだろう」
ヒノキ「うむ、特にこの世界では自粛を要請されておらんからのう。施療院で寝泊りすると、病気に感染する可能性のある仕様じゃが」
太郎「今の時代、フィクションの世界でも病気になるのは勘弁して欲しいものでござるよ」
ヒノキ「では、その日の昼間、目的地の黒の丘に到着した。目の前には、鬱蒼とした森に覆われた小高い丘がある。石畳の小道が、森の樹木の間を縫うようにして伸びておる」
太郎「街の中なのに、野外の冒険が楽しめるでござるなあ」
ヒノキ「この丘を探索するには、3度のランダムイベントをクリアしなければならぬ。1dを振るがいい」
太郎「6」
ヒノキ「太郎は『四祖の陵墓』と呼ばれる場所に到着した」
太郎「四祖の陵墓?」
ヒノキ「うむ。少し広くなった場所に4つの小さな石碑が並んでおる。太郎は魔動機文明語が読めるな」
太郎「ルーンフォークやマギテックのたしなみでござるからな」
ヒノキ「ならば、問題なく石碑に刻まれた文字を読むことができる。順に以下の通りじゃ」
- 堅牢なるゾラエンテス。四祖の長たる公子。蛮族の刃を防ぎたる御盾、我らを守り給う。
- 才知あふれるセランシェ。四祖の先なる姫君。街の礎を築きたる英知、我らを導き給う。
- 猛々しきスエラ。四祖の中なる姫君。蛮族を討ち滅ぼしたる御剣、我らを慰め給う。
- 慈愛深きシェラシース。四祖の末なる姫君。穢れを払いたる御光、我らを治め給う。
太郎「これは、確かミランダ婆さんやクレアさんが話してくれた街の建国主のことか。こんなところに墓が築かれていたのでござるな」
ヒノキ「さらに、太郎は最後のシェラシースの石碑に、このようなメッセージが刻まれていることに気づいた。『二つ目の開閉コード:951』と」
太郎「これは、何かを開くための暗号でござるな。重要そうな情報なので、しっかりメモを取るべし」
ヒノキ「この情報を得たので、★1つを進呈じゃ」
さらなる探索
ヒノキ「ランダムイベントその2じゃ」
太郎「3」
ヒノキ「動物の魔物に襲われる。再度1dを振れ」
太郎「3」
ヒノキ「ジャイアントスパイダーじゃ」
太郎「魔物知識判定は13」
ヒノキ「レベル3、HP22。弱点は炎ダメージ+3」
太郎「データを見るとザコっぽいな。練技を使うまでもなさそうでござる。先制判定は13で先攻。2回殴って11と11。どちらも外した」
ヒノキ「どうして、2回も4を振るのじゃ。お主の期待値はどうなっておる?」
太郎「どうも期待値5がさらに下がって4になったでござる」
ヒノキ「クモはシュルシュルと糸を吐く。命中11に対して回避するがいい」
太郎「それはさすがに12と言って避けた。2ラウンド目の攻撃。15と15。今度はさすがに当てたでござる。ダメージは12点と10点」
ヒノキ「防護点が1点あるので、20点くらって残りHPは2点じゃ。一応反撃」
太郎「避けた。3ラウンド目の攻撃で10と12。1発当たって、11点ダメージ」
ヒノキ「それで撃退した。普通に期待値7を出せば、1ラウンドで倒せる相手を3ラウンドも掛かるとは、さすがというか何というか」
太郎「無傷で倒せたのだから、結果良ければ全てよし。戦利品ダイスは11が出たでござる」
ヒノキ「大きな粘糸玉150Gじゃ」
太郎「では、続いて3つめのイベントダイス。4」
ヒノキ「蛮族の死骸を見つける。ゴブリン2体じゃ。戦利品を拾うことができるぞ」
太郎「3と4」
ヒノキ「粗末な武器10Gと普通の武器30Gじゃ」
太郎「しょせんはゴブリン。こんなものか」
探索の果てに
ヒノキ「では、ここまでの探索の途中で、何かを見つけたか判定をしようかの。まずは、目標値12じゃ」
太郎「4が出たので、達成値は10」
ヒノキ「本当に、どうしようもないダイス目じゃのう。太郎はせっかくのムコソール草に気づかなかった」
太郎「何と。ここでもムコソール草が生えておったのか」
ヒノキ「野生の土地で生えるようになっておるのじゃよ。では、ミッションの目的である黒い土玉は見つかるかの? こちらは目標値10」
太郎「さすがに、それは見つかるはず。達成値11」
ヒノキ「1d振れ」
太郎「2」
ヒノキ「じゃあ、2個な。残り8個じゃ」
太郎「もしかして、10個集まるまで、ここで延々と歩き続けなければならないのか?」
ヒノキ「そうじゃ。続いて、2d振るがいい」
太郎「5」
ヒノキ「6以下なら魔物に遭遇する。今度はジャイアントスラッグ(大ナメクジ)じゃ」
大ナメクジは、クモと同じレベル3なのにHPは倍以上の45点という強敵である。
1ラウンド目:太郎は練技マッスルベアーでダメージを高め、23点のダメージを叩き出したが、相手の攻撃を避けきれず、8点のダメージを受けた。
2ラウンド目:24点のダメージを与えて撃退。戦利品はなし。
太郎「ダメージは、ヒーリング・バレットで6点回復。これでHP−2で、MP−4。HP変換でMPをフル充填し、そして、ヒーリング・バレットで7点回復。これで結局はMP−1だけの健康体でござる」
ヒノキ「ルーンフォーク特有の小細工をしおって。さて、丘の探索は、ここまでで夕方になった。この後はどうする?」
太郎「今日はここまでにするでござるよ。隣の娼婦街に行くと夜になるので、そこで一晩眠って、翌朝、再挑戦するでござる。ムコソール草と黒い土玉を集めないと、クエストとミッションが達成できん」
●ここまでの冒険成果
経験点:★6つ(1200点の予定)、魔物撃退分130点(前回+60)、1ゾロ分100点
ガメル:貯金2000、手持ち453、戦利品190、弾丸2消費(残り10発)
ザバーラポイント:+1
クエストアイテム:ムコソール草1個
ミッションアイテム:黒い土玉2個
(当記事 完)