花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

古代語魔術師の話(ロードスRPG編その9)

ロードス職業づくし最後の章の開幕

 

NOVA「ゴブスレ記事も一段落したので、今回から、ロードス話だ」

ヒノキ「おお、新兄さんの魔術師解説じゃな。時空魔術師にして言霊魔術師を自認する男が、どのような魔術師講座を示すか興味津々じゃ」

NOVA「いきなり、ハードルを上げてくれるなあ。なお、このロードスRPGのプレイヤーキャラクター職業を題材にした話を、去年の2月から延々と続けてきたわけだが、いよいよ、この魔術師の話で完結となる。一回の記事で終わらせるつもりはないので、まあ、2月のテーマとして考えている。マッスル太郎は3月になるかな、と」

晶華「そこまで長く続けるの?」

NOVA「魔術の話はそれだけ奥が深いってことだよ。もちろん、途中で飽きたり、違うネタが書きたくなったり、話が広がりすぎて収拾つかないと判断したりすれば、適当なところで強引に打ち切るつもりだけどな。とりあえず、3回ほどで完結できればいいな、と考えている次第」

ゲンブ「魔術師の話は、我にはあまり関係ないことではござるが……」

NOVA「生粋の戦士のゲンさんはそう言うかもしれないが、魔術のネタは幅広いので、関連づけることは可能。だが、まあ、その前に総括として、また書く方の勢い付けとして、ロードス職業話の過去記事について振り返っておきたい。まあ、ロードス島タグで簡単に検索もできるんだが、一応、これまでの話のリンクを構築しておく。晶華、手伝え」

晶華「はいはい、アシスタントガールの仕事だもんね。まず、最初は『騎士と戦士の話』よ。去年の2月に3回に渡って行われたわ。講義してくれたのはゲンブさん。キャラ別にテーマを決めて講義する形式って、何だかビヨンド学園みたい」

ゲンブ「講義など慣れておらんかったが、アリナ様やアッキー殿に支えられて、一応の形式は整えられた形でござるな」

NOVA「1回めは、騎士の仕える国という流れで、ロードスの簡単な地誌を紹介していたな」

晶華「NOVAちゃんの主観と偏見まみれな内容だけどね」

ゲンブ「2回めは、騎士をメインに共通語魔法と上級職の話をしたでござるな」

NOVA「騎士と戦士の違いを論じる上で、共通語魔法に目を付けたのは、いいセンスだと思った。小説だけを読んでいると、なかなか気付かないんだが、ロードスRPGの騎士は限定的ながら魔法も使える。ロードス島伝説の主人公であるナシェルは、ベルドから武術を習い、ウォートから魔術を習い、どちらにも非凡な才を示したように描かれている。たしなみ程度の魔術が使える戦士というのは、作者の水野さんにとっても理想の英雄っぽいんだよな」

ヒノキ「好きなRPGの一つがルーンクエストで、魔法戦士リウイの作者でもあるからな。もしかして、新兄さんの学術騎士ジャンもその路線を狙っておるのか?」

NOVA「俺はどちらかというと魔術師メインだがな。一応、戦士や騎士を演じたこともあるぐらいで……というか、長いゲーマー生活でプレイしたことがない職種は、乞食とか船乗りとか精霊使いぐらいだな」

晶華「精霊使いや船乗りはともかく、乞食をプレイできるゲームってあるの?」

NOVA「少なくとも3つはすぐに挙げられる。『ストームブリンガー』と『ウォーハンマー』と『混沌の渦』だな。基本は裏世界の情報収集に長けた盗賊の亜流だが、好き好んでプレイしたい者は相当の物好きだと思う。ペテンの場合もあるが、身体障害などのハンデを伴うケースもあるので、野外での冒険行動にはまず随行できない。まあ、味のあるNPCとして都市冒険に時々出て来るのが印象的だな」

ヒノキ「何で、騎士の話を復習している時に、乞食の話に脱線するのか?」

NOVA「おっと、いけねえ。ゲンブ先生の3回めは、戦士の上級職の話をさらっと流していたが、まだ物足りなさを感じるな。オルソンの狂戦士とか、もっと掘り下げてももらいたかったが、結局、狂戦士は職業ではなく、竜騎士同様、特技として扱われることになったから、今後、ルールの話を深めるなら特技に展開するかな」

ヒノキ「まあ、それは雑誌やサプリメントの新刊が出た際に、語る機会はあるじゃろう」

NOVA「そうだな。では、ここまでがまず前置きってことで」

 

 職業総括のつづき

 

ヒノキ「次に、職業話を展開したのは半年後の夏じゃったな。わらわが盗賊について語ったのが第4回

NOVA「小説の新刊発売が春から夏にズレ込んで、俺の関心がゴブリンスレイヤーの方に移っていたからな。結果的に、夏場にロードスの小説を読んで、その勢いで記事書きする流れだったと思う」

晶華「続いて、第5回は精霊使いの話を私が担当したのよね」

NOVA「そのタイミングで、秋に発売予定のサプリメント情報が出て、ロードス復活が一時的なものではなく、継続展開されるものだと明らかになったわけだ。そして、サプリメント発売を機に、翔花伝の新・屋久島編と連動する形で、11月に『司祭と神々の話』を6回から8回に渡って、3本の記事にまとめたところまで」

ヒノキ「特殊神聖魔法を軸に、フォーセリアの神格を掘り下げてみたり、途中でハンバーガーの話に寄り道したり、カオス極まりない記事になったのう」

NOVA「俺の講座だとこんなものだ。とても実用的な資料としては使えそうにない」

ヒノキ「それが現役塾講師のセリフか。普段、どういう授業をやっているか気になるわい」

NOVA「最近は、生徒に多面体ダイスを振らせたりしたなあ」

ヒノキ「一体、何を教えているんじゃ?」

NOVA「いや、中学1年生の空間図形の授業で、正多面体の項目があるんだよ。4面体、6面体、8面体、12面体、20面体を理解させるには、現実のものを触らせるのが一番だ。ダイスを振ったことのある人間にとっては、正12面体の各面が正五角形というのは常識だが、絵で見ただけじゃいまいち実感できない者が多いからなあ」

晶華「あれ? 多面体ダイスには%判定で使う10面体もあるけど、学校では習わないの?」

NOVA「ああ。10面体は各面が正多角形になってないから、正多面体としては扱われないんだ。アナログゲーマーの学生さんは、正多面体の中に10面体を含めないように注意な」

晶華「うう。テストで間違えそう」

NOVA「お前にゃ学校も試験も何にもないだろうがよ」

晶華「私をお化けや妖怪みたいに扱わないでよ」

NOVA「いや、精霊少女は妖怪みたいなものだろうが。そのうち、GURPS妖魔夜行のルールで、花粉症ガールを作りたくなるぜ」 

ガープス・百鬼夜翔

ガープス・百鬼夜翔

 

ヒノキ「いつのゲームの話をしているんじゃ?」

NOVA「いや、ロードスが復活したなら、次はGURPSも復活しないかなあって」

ヒノキ「今はGURPSの話をしている時ではないじゃろう」

NOVA「おお、そうか。話を戻さないとな。中学2年生の数学の授業では、ちょうど確率の話をしていてな。今の子どもの中には、トランプのスートの名前が分からない子もいるんだよ」

ヒノキ「何じゃと? スペード、ダイヤ、ハート、クラブが分からない?」

NOVA「まあ、ハートマークぐらいは分かるんだろうが、言われてみれば、そういう知識ってトランプ遊びをするか、カードを使った手品や占いなんかに興味があるか、それともジャッカー電撃隊やフレッシュ・プリキュア仮面ライダー剣みたいなトランプモチーフの子供番組の中で自然に身に付ける常識だと思うわけだが。そういう雑学知識に触れずに来た子が、稀にだがいるわけで。そのうち、ババ抜きとか、7並べとかを知らない子が出てくるかも知れないな」

晶華「ねえねえ、NOVAちゃん。ババ抜きって何?」

NOVA「ここにいたか! 仕方ない。講義を中断して、今から晶華にババ抜きを教えるトランプ大会を開くぞ」

 

魔術師の上級職

 

晶華「わーい。上がったよ。リナ老師の負けね」

ヒノキ「ぐぬぬっ。どうして、わらわの手札のジョーカーを誰も引かんのじゃ?」

NOVA「だって、ヒノキ姐さんはジョーカーを睨み過ぎているからな。ジョーカーに怪しい念が取り憑いている様子が、傍目に見ても簡単に分かる。誰がそんな、いかにも呪われていますってカードを引きますか」

ヒノキ「む。しかし、自分の手札にババが混ざっていると、どうしても気になって気になって、誰か引き取ってくれと念を込めたくもなろう」

NOVA「だったら変則ルールに切り替えよう。ジョーカーと、それからランダムに1枚を抜く。これで、ババの正体が最後の最後まで分からない。パートナーのいないカードを最後まで持っていた方が負けだ。もちろん、抜いたカードが何かは公開しないってことで。通称『ジジ抜き』と言われるバリエーションだ」

ヒノキ「おお。それなら、カードを睨まずに済む」

 

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晶華「わーい。また上がったよ。やっぱり、リナ老師の負けね」

ヒノキ「ぐぬぬっ。どうして、トランプ初心者のアッキーに勝てんのじゃ」

ゲンブ「ビギナーズ・ラックというものではござらんか?」

ヒノキ「だったら、どうして、お前と新兄さんはさっさと上がっておるのじゃ?」

NOVA「もしかして、ヒノキ姐さんはカードゲームに弱いとか?」

ヒノキ「アメリカ大統領の名を冠したゲームなど呪われてしまえ」

NOVA「こらこら。物騒なことを言うと、俺が困る。何しろ、このゲームもトランプを使うんだからな」

トーキョー・ナイトメア1 基本ルールブック

トーキョー・ナイトメア1 基本ルールブック

 
四人のキング (現代教養文庫―アドベンチャーゲームブック (1236))
 

ヒノキ「どさくさ紛れに古いゲームブックまで貼り付けるんじゃない!」

NOVA「いやいや、『四人のキング』は最近、『四人のジャック』にリメイクされて雑誌掲載されたんだよ。今のゲーム界は90年代の復刻ブーム。古いゲームと切り捨てると、時流に乗りきれない」

ウォーロックマガジンvol.3

 

晶華「そう言えば、ファイナルファンタジー7もようやくリメイク版が春に出るみたいね。これも1997年、つまり旧世紀のゲームか」 

ファイナルファンタジーVII リメイク - PS4

ファイナルファンタジーVII リメイク - PS4

 

ヒノキ「そんなことはどうでもいい! 今はロードスの話に集中する時じゃろう? どうして、わらわたちはトランプに夢中になって、その上、どんどん関係ないゲームの話に現を抜かしているんじゃ? ロードス記事が目当ての読者のみんなも呆れ果てておるわい」

 

NOVA「仕方ないなあ。では、ロードスの魔術師上級職の話をするか。旧文庫版では、賢者、探索者、召喚魔術師、付与魔術師、暗黒魔術師の5種類あったが、現ルールでは付与魔術師と暗黒魔術師が消えて、賢者(セージ)、探索者(サーチャー)、召喚魔術師(サモナー)の3種のみになった」

晶華「え? どうして、付与魔術師(エンチャンター)が消えたのよ。カーラ様になれないじゃない!」

NOVA「そのカーラしか、生きている付与魔術師がいないとされているのが公式設定だからだよ。一応、旧版ルールでも『付与魔術の技術と知識は失われており、古代王国の遺跡より魔導書を発見するか、カーラから教わらなければ道が開けない』と書いてある。つまり、一般に解放された上級職ではないんだ」

晶華「だけど、付与魔術をマスターすれば、マジックアイテムの自作が可能になるのよね」

NOVA「一応、ルールは実装されているが、GMの裁量が大きく、必ずしも完成されたルールとは言えない。そういうGM任せなややこしい要素は、現在のルールからは割愛された形だな」

晶華「だったら、今のルールでは、カーラ様の上級職は何になってるの?」

NOVA「レイリア・カーラは『全ての古代語魔法と共通語魔法の使えるマーファの神官戦士』だな。六英雄の名もなき魔法戦士は『全魔法の使える剣士』。ウッド・カーラのデータはないが、全魔法の使える怪盗でいいんじゃないか」

晶華「つまり、古代語魔術師としての上級職カーラ様は設定されていないのね」

NOVA「そうなるな。現在の上級職を解説すると、まず賢者。これは純粋に魔法の達人キャラで、ウォートやスレイン、アルド・ノーバ、バグナード、グローダーが該当する。

「次に探索者だが、これは武器戦闘と盗賊の探索能力を身につけた魔法使いで、セシルが該当する。

「最後に召喚魔術師だが、これはゴーレム召喚と操作に特化した魔法使いだな。原作キャラには今のところ該当する者がいない。高山リプレイだと、魔法戦士ルーセントのお付きのメイド娘フェリオがいるが、高山リプレイは現在、水野さんの小説では非公式扱いなんだと思う。公式化されるなら、ボーグナインにも陽の目が当たる可能性もあるのだが、もういいや。彼の魂は、ゴブスレ世界の学術騎士に異世界転生したわけで」

 

ヒノキ「どうやら、呆気なく話が終わったようじゃな」

NOVA「本当だ。誰だよ、魔術師について語るのに、3回も記事が掛かるって書いた奴は? たった一回で十分終わったじゃないか」

ヒノキ「やれやれ。新兄さんもボケているようじゃな。もしかして、散々寄り道したのは、ロードスの魔術師話だけだと、間が十分保たないと判断してのことか?」

NOVA「まあ、ルールだけを考えるなら、そうとも言える。しかし、俺がこれから魔術師語りをしたいのは、ロードスを越えたその先についてだ。そうとも、フォーセリアからラクシア、そしてグランクレストまで足を伸ばして、魔法使いについて語って一連の記事を仕上げたいと思っている」

ヒノキ「グランクレストじゃと? どうして今さら……」

NOVA「そりゃ、世界観としてロードスと通じている部分も見受けられるからな。とりわけ、ロードスやアレクラストでは『古代魔法文明が滅んだ後の剣の時代』という設定のために、体系化が不十分だった古代の魔法体系について、一つの完成形として構築し直したのがグランクレストの魔法体系だと考えている。フォーセリアでは失われた魔法の世界が、グランクレストのアトラタン大陸では逆に混沌災害をもたらすほどの濃密な魔力に満ちた世界となっていて、フォーセリアの古代魔法文明もかくや、と言うほどの体系化が為されている。

「まあ、最終的にはグランクレストの古代文明は『科学に基づくもの』で、科学によって滅びた世界の悲劇を繰り返さないよう、混沌の魔術で世界を支配する道を魔女の秘密結社パンドラが選んだわけだが、もう一度、混沌を君主の力で封印し、魔法のない科学の時代を志向する主人公の決意で物語が幕を閉じている。魔法がなくなって終わりという結末は、ゲーム世界の継続を考えるなら厳しいものがあるが、それと引き換えにロードス復活を成し遂げたんだから、帳尻は合っていると思う。

「ともあれ、この機に、グランクレストの魔法体系についておさらいするのは、ロードスの未来を予測するのにも役に立つのではないか、と考えたりするわけだ。俺は、グランクレストをロードスと対になる合わせ鏡のような物語と主張しているからな。ならば、同じ作者の異なるファンタジー世界の魔法要素について、復習することにも意味はあると考える次第」

ヒノキ「やれやれ、新兄さんも物好きなものよ」

晶華「寄り道だらけだと思っていたら、実は勢いを付けるために加速モードに入っていたのね。どこまで突き進むかは知らないけど」

 

(当記事 完)