花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

ウェンディーズ「伝説の宴RPG」話

突然のハンバーガTRPGネタ

 

NOVA「ロードスの話をしていたはずが、何故か料理話に飛躍して、気がつけば英語のルールを紹介する記事になってしまった」

ヒノキ「まるで、帰らずの森に迷い込んだ気分じゃのう」

翔花「よくあることじゃない」

シロ「いや、よくはないと思うぞ。ボクは迷子の子猫ちゃんになるのは勘弁だ」

NOVA「全員いるか? ゲンさんと、リトル君と、ケイPは?」

ゲンブ「ここにいるでござる」

リトル「リウもいます」

ケイP『私もここに』

NOVA「俺を入れて全部で7人か。昔のTRPGリプレイだと、GMを入れて6人パーティーは当たり前だったんだが、キャラが6人もいると、口数の少ないプレイヤーのセリフを編集するのが大変だったりするんだなあ。うなずきエルフのマイス君とか、懐かしいぜ」

ヒノキ「最近のリプレイは、4人パーティーが標準じゃからの」

NOVA「俺が実プレイで慣れているのはGMを入れて4人だな。6人パーティーが標準のウィザードリィRPGなんかは、一人2キャラを担当してもらったりしたり、3人プレイヤーでプレイする方法をいろいろ考えたこともある」

ヒノキ「で、唐突に紹介しようと思った『伝説の宴TRPG』では、どんなキャラを作れるのじゃ?」

NOVA「うむ。君たちは女王ウェンディーの治めるフレッシュトヴィア王国の城塞ビーフズキープに集う勇士部隊(オーダー)の若者だ。このオーダーというのが、騎士団と料理の注文のオーダーの2つの意味を掛けていて面白いな。

「オーダーのメニューは14種類。例えば、スパイシー・チキン・サンドイッチ部隊所属の団員は、炎の魔法を使う魔法使いだったり、チキンナゲッツ部隊は、奇襲攻撃の得意な盗賊的なキャラだったり、ベーコンネイター部隊は重武装のファイターだったり、ファストフードのメニューそれぞれがキャラクタークラスになっているんだ」

ヒノキ「だったら、フライドポテト🍟には何ができるというのじゃ?」

NOVA「英語だとフレンチフライ部隊になるな。説明文を訳すと、こうなっている。『あらゆる場面で、究極の付き人になってくれます。フレンチフライ部隊で研鑚した者がいなければ、パーティーは本当に完成しません。あなたは少し塩辛く、時にはソース味であったりもします。誰もがフレンチフライを愛しています。そう、誰もが』」

翔花「それは、料理の説明か、それとも職業の説明か分からないわね」

NOVA「うまく掛けてあるんだよなあ。付き人の元はサイドキックなんだが、助手ともサイドメニューとも受け取れるし、パーティー冒険者仲間の意味と、食事会の意味がある。塩辛くも、性格が辛辣と受け取ることも可能。こんな掛け言葉をセンス良く訳すには、いろいろと言葉遊びが必要だろうな」

ヒノキ「しかし、それだけだと、結局、何ができるか分からんぞ」

NOVA「基本的には支援系のキャラになるな。レベル1だと、味方のフロスティ部隊員と連係してスキル使用が有利になったり、相手の妨害を受けずに戦場を駆け抜けたりできる。レベル2だと、近くの相手のHPを回復できる。レベル3だと、飛び道具攻撃に+2ボーナス。レベル4だと、仲間がダメージを与えた際に追加でD6ダメージを加算する攻撃支援能力。レベル5だと、毎食事ごとに一回だけ使える必殺攻撃ボトム・オブ・ザ・バッグ。これは盗賊のバックスタブ(背後からの奇襲攻撃)みたいなもので、12D4+4ダメージを与える大技だ」

ヒノキ「要は、HP回復能力を持った盗賊みたいなものか」

NOVA「そういうことだな。しかし、12D4というのは恐ろしいぜ。4面ダイスをそれだけ振るゲームは初めて見た。このゲーム、やたらとD4推しなところがあって、能力値を決めたり、HPを決めたり、何でD6じゃなくてD4なんだろうと思わなくもない。基本はD&Dと同じD20システムだし、ルールの表記スタイルもD&D的なので、経験者には分かりやすいルールなんだがな」

 

翔花「フレンチフライの話はいいから、もっと順を追って話して欲しいな。このゲームには、花粉症ガールは出てくるの?」

NOVA「お前は、ハンバーガー店のメニューに、杉花粉入りの何かがあると思うのか?」

翔花「アメリカの健康ドリンクに、花粉エキスが売られているかもしれないじゃない」

NOVA「少なくとも、このゲームで飲める回復ドリンクは、レモネード(D8回復)とストロベリー・レモネード(D12回復)だけだ」

翔花「じゃあ、NOVAちゃんが作ってよ。花粉エキスを飲めばD20回復するゲーム」 

ポーレンリフ スウェーデン花粉エキス末 90包入 2個セット

ポーレンリフ スウェーデン花粉エキス末 90包入 2個セット

 

NOVA「一応、スウェーデンだったら、花粉エキスが健康志向の薬であるらしい。事実は妄想よりも奇なり」

 

フレッシュトヴィア王国の奇妙な勇者

 

NOVA「大手ハンバーガーチェーン店がTRPGを製作したり、花粉エキスが高額で販売されてあったり、不思議なことの多い令和時代だが、まあ、世の中がファンタジーに近づいているということだろうか。ともかく、女王ウェンディーの王国を守るために、擬人化されたファストフード勇士になって、世界を凍らせようとするディープ・フリーズのアイス・ジェスター(氷の道化師)と戦うゲームの紹介だ」

www.feastoflegends.com

NOVA「なお、アイス・ジェスターの元ネタは、あのマクドナルドだと噂されている。冷凍ハンバーガーをレンジでチンする効率重視の調理工程を皮肉っているらしいが、訴訟を恐れて、マク何ちゃらという固有名詞は避けているようだな。

「他にも、現実世界のウェンディーズでプレイヤーがチーズバーガーを食べると、キャラの筋力が+1ボーナスもらえたり、逆に他のファストフード店でピザを食べていると魅力がー2されたり、解凍ハンバーガーを食べていると敵から受けるダメージが+1されたり、いろいろとペナルティーを受ける仕様だ」

翔花「つまり、このゲームをプレイする人は、他の食堂じゃなくてウェンディーズで食事をするように、というシステムなのね」

NOVA「大変なのは、普通にスナック菓子を食べているだけでも、敏捷性にー2のペナルティーを受けることだな。つまり、家でプレイして、ポテトチップスを食べてはいけないということになる。お腹が減ったら、ウェンディーズから注文しなさいってゲームシステムが言っている」

ヒノキ「そんな物、ウェンディーズの店でプレイすれば良いではないか」

NOVA「そうなんですよ。このゲームのルールを読んでいると、GMとプレイヤーがウェンディーズの店に集まって、ゲームしている光景が当たり前に思い浮かぶ。日本だと、ファストフード店のテーブルでゲームをするなんて、他の客に迷惑じゃないか、と考えるんだけど、アメリカだとそれが普通に受け入れられている光景なんでしょうかね」

ヒノキ「日本でも、近年ボードゲームカフェが増えつつあるようじゃが、米国ではファストフード店に、TRPGのプレイングコーナーが用意されているのかもしれんのう」

翔花「日本にもウェンディーズってあるの?」

NOVA「ああ。今は、ファーストキッチンと提携している。まあ、本国のゲームをプッシュはしていないが、来年、日本ウェンディーズがこのゲームを翻訳して、大々的にTRPGキャンペーンを展開するようなら、俺は大阪梅田のファーストキッチンに通いつめるかもしれん」

翔花「その時は私も連れて行って」

NOVA「まあ、さすがに個人の趣味でしか、このゲームが翻訳されるとは思ってないけどな。大体、犬になってロールプレイできるパグマイアが翻訳されただけでも驚きなのに、チキンナゲットやベイクド・ポテトになれるゲームなんて、ネタ以外の何者でもないじゃないか」

ヒノキ「何と。ベイクド・ポテトにもなれるのか?」

NOVA「ええ、まあ。ルールブックの挿絵を見ると、スパイシー・チキン・サンドは赤肌のエルフめいたお姉ちゃんなんです。食べ物のイメージを見事に擬人化した、向こう風味の萌えキャラですな。だけど、チキンナゲットは『宝箱に入ったナゲット』のイラストで、お前はミミックかよ、ってツッコミ入れられるし、ベイクド・ポテトは『魔法使いの帽子をかぶったポテト』なんですよ。擬人化どころか、目も鼻もないし、手足もない。これだと、まだカルビーのポテトチップスのジャガイモ君(仮称)の方がキャラとして成立している」

カルビー ポテトチップス うすしお味 60g×12袋

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ヒノキ「つまり、この世界は、日本のさるかに合戦のクリのように、調理済みのイモが動物っぽく動き回る世界なのじゃな」

NOVA「ええ、もしかすると、魔法生物の一種かもしれませんが。というわけで、ケイP、お前、ベイクド・ポテトでキャラを作れ」

ケイP『何と! この私がベイクド・ポテトですか?』

NOVA「ああ、ここにいるメンバーの中で、ベイクド・ポテトのプレイヤーになれるのは、不定形のお前だけだ」

ケイP『いやいや、もしかすると、お忘れかもしれませんが、花粉症ガールの翔花ママだって最初は不定形でしたよ』

NOVA「お前、不定形でも翔花は女の子だぞ。女の子に向かって、『お前は焼きジャガイモ🥔になるんだ』と押し付ける父親には、俺はなりたくはない」

ケイP『しかし、ケイP一族の誇りと名誉にかけて、焼きジャガイモを演じるなど末代の恥さらし』

NOVA「何を言っているんだ。日本にだってアンパンマンというヒーローがいるし、『およげたい焼きくん』だってミリオンセラーだ。『だんご3兄弟』というものもあった。擬人化された食べ物というのは、人気者になれる可能性があるんだよ」


子門真人 およげ たいやきくん


だんご3兄弟

ケイP『おお、このケイPにも、ブレイクするチャンスが』

NOVA「そう、威風堂々で親しみやすいベイクド・ポテトを演じたとき、お前はきっと子供たちのヒーローにだってなれる」

ケイP『ならば、マスター。このケイPにベイクド・ポテトの大役、是非ともやらせて下さい』

NOVA「おお、ケイP。お前なら分かってくれると思ったぞ。よし、今からキャラ作りだ」

ヒノキ「本気か?」

 

キャラ作りみたいなもの

 

NOVA「さて、このゲームの能力値は5つ。筋力、知力、魅力、魔力、俊力とでも訳すかな。最後のは英語がGraceで、器用度と敏捷性を足した、いわゆるDEX。ただ、華麗で優雅な動きをイメージした感じ。訳語としては、漢字2文字、◯力で統一してみたが、もっと良い言葉がないかなあ、と思わなくもない。筋力度、知力度、魅力度、魔力度、俊敏度としてもいいが。

「ともかく4D4を5回振って、好きな能力値に割り振る形で決める。D&D伝統の振り方は、3D6で3〜18の能力値になるけど、本作は4〜16の能力値になる感じだ。1レベルのHPも同様に4D4で決めて、後はオーダーごとの修正を加える。

「武器や防具、その他の冒険装備は、常識の範囲内で自分のキャラが装備できるものを自由に装備していい、という曖昧な内容。まあ、ゲーム慣れしたプレイヤーとGMの裁量に任せる感じだな。武器リストで面白いのは、剣とか斧ではなく、ナイフとフォークとスプーンなどの食事道具で戦う仕様ということ。そして、片手用武器で最強なのはフライパンで、何とD12ダメージ。D&Dの剣がD8とかD10だったりするので、この世界のフライパンは剣以上の破壊力を持っていることになる。ただし、重量級武器に該当するので、戦士系のキャラしか使えない」

ヒノキ「防具はどうなっておる?」

NOVA「軽装鎧にエプロンがあったり、中装鎧の一つがクリスピー・チキン・アーマーで、重装鎧がベーコン・アーマーとか名前が笑えるが、データ自体は単純。軽装はディフェンス+1、中装は+2、重装は+3というのが標準。まあ、軽装はディフェンスを上げる鎧以外に、魔力ボーナスをくれるローブなんかもあるんだけど。エプロンが優雅な動きで俊力を向上させるのも面白いイメージだ。『華麗にエプロンを翻して走り去る怪盗』みたいなアクションもできそうで」

シロ「おお、エプロンにそういう効果のある世界は凄いですね。エプロンを付けた忍者が駆け抜ける世界とは」

 

NOVA「それでは、いよいよ本作の最大の魅力と考える、オーダー紹介の時間です。全部で14種のオーダーを紹介するだけで、楽しそう」

ヒノキ「というか、基本ルールで14種類も職業のあるゲームが珍しいじゃろう」

NOVA「確かに。でも、全部、ファストフード料理の名前なので、分かりやすいと言えば分かりやすい。何を選ぶか迷ったら、自分がその店で注文したものを選べばいい。あと、大きく分けると、チキン系5つ、ビーフ系4つ、サイドメニュー系5つとなりますね。ぶっちゃけ、チキン系が魔法使いで、ビーフ系が戦士で、サイドメニュー系がその他の補助系統という感じでしょうか。それと、このゲーム、基本的には戦闘関係のルールしかないので、情報収集とか細かい探索はあまり考えないですね。レベルも5までしか上がらないし、あまり根を詰めてやるゲームじゃないです」

翔花「それなのに、根を詰めて、紹介記事を書いちゃうわけ?」

NOVA「お前がネタを見つけて、お前が寄り道を勧めたんだ。こうなったら、14種類のオーダーを全部紹介するところまでやっちゃうぜ」

 

筋力系のオーダー(ビーフ系の戦士たち)

 

NOVA「とりあえず、 筋力に+2ボーナスが付くオーダーを純戦士系と見なすなら、該当するのは、ビーフ系のベーコネイター、Jrベーコン・チーズバーガー、ダブルスタックの3つ」

ゲンブ「最も防御力が高いのは、どれでござるか?」

NOVA「そりゃ、標準戦士のベーコネイターになるなあ。HPプラス5も大きいし、ディフェンスも最高の15。これに重装鎧を装備すれば+3ボーナスで、ディフェンスが18になる。ぶっちゃけ20面ダイスで18以上を出されなければ攻撃を弾き返せるので、敵の命中率が15%ほどになる。まあ、相手の命中ボーナスを考えなければだけど」

ゲンブ「ならば、我はベーコネイターを望むでござる」

NOVA「ベーコネイターの特殊能力は、1レベルで暗視と凍結耐性があり、2レベルで二刀流と二回攻撃が可能。3レベルで爆発する煙を放射でき、4レベルで一度だけダメージを0にする筋肉の鎧をまとえる。5レベルでは、一撃加えた後、6連続攻撃を放つ必殺技を発動できる」

ゲンブ「それは……聞くからに強そうでござるな」

NOVA「ああ。俺も解説していて、思ったよりも派手なことに驚いている。他のキャラだと、Jrベーコン・チーズバーガーは、筋力以外に俊力にも+2のボーナスをもらえて、技に秀でた戦士って感じだな。仲間と連携したり、自分にダメージを与えた相手に1D4の反撃ダメージを返したり、相手を挑発して攻撃を引きつけたり、フレンチフライと同じ仲間のダメージに+6点加算したり、必殺技として自分の周囲の敵全てをなぎ払って3D12+5ダメージを与える大振りを放てる。ただし、最後のは発動に失敗すると自分が4D4ダメージを被るリスクがあるんだけどな」

ゲンブ「集団同士の戦いに力を発揮するテクニカルな戦士でござるな。最後のダブルスタックは?」

NOVA「これもベーコン・チーズバーガー同様に技の戦士だけど、ベーコネイターの暗視と二刀流、二回攻撃、チーズバーガーの反撃と仲間との連携、それに必殺技の大振りなぎ払いを受け継いでいる」

ゲンブ「つまり、どういうことでござるか?」

NOVA「ダブルスタックは、爆発煙幕放射も無敵筋肉鎧も持たないし、挑発して敵の攻撃を引きつけることもできないけど、ベーコネーター並みの攻撃力とチーズバーガー並みの対集団連携戦術を持ち合わせた複合戦士って感じだな。力のベーコネイター、技のチーズバーガーに対し、技と力のダブルスタックってところか」

ゲンブ「思ったよりも、格好いい戦士キャラになっているでござるな」

NOVA「どれを選んでも、派手で豪快な戦士のロールプレイが楽しめそうだ。あと、ビーフ系の戦士職にはデイブズ・ダブルというオーダーがある。こいつは筋力、俊力、魅力の3つが+1ボーナスで、能力的にはバランス型なんだが、ベーコネイターの次に打たれ強いHP+4、ディフェンス14を誇るキャラ。二刀流と二回攻撃もベーコネイターと同じだが、ビーフ仲間に+2のディフェンスボーナスを与えたり、HPが4分の1以下の敵キャラを即座に戦闘不能にする必殺技を放てる。言わば、戦い慣れた古参の指揮官みたいなキャラクターだな。パワーは劣るが、仲間を率いた戦いで強みを発揮するタイプ」

ゲンブ「これは結構、選択に悩むでござるが、他に戦士の仲間がいないなら、やはりベーコネイターが良さそうでござる」

 

魔力系のオーダー(チキン系の魔法使い)

 

NOVA「さて、次は魔力(Arcana)にボーナスがあるキャラを、と思ってみたが、2点ボーナスがあるのは、チキン系のホームスタイル・チキン・サンドイッチと、アシアゴ・ランチ・チキン・クラブ、それにサイドメニューのベイクド・ポテトだけで、チキン系の標準と思しきスパイシー・チキン・サンドイッチは、魔力ボーナス+1しかない。まあ、ベイクド・ポテトは最後に取っておきたいので、ここは普通にチキン系を順に紹介しておくことにする。ただし、チキンナゲットだけは魔法使いキャラではなくて、サイドメニュー系に近い性能なので、後に回すことにする」

ヒノキ「前置きはいい。炎属性で鳥属性とくれば、わらわの出番。ゆえに、スパイシー・チキン・サンドイッチに興味津々じゃ」

NOVA「あ、一応、原語に即してスパイシー・チキン・サンドイッチと言っているけど、日本のサンドイッチ🥪と違って、アメリカではハンバーガー🍔のことをサンドイッチと言ったりもするので、本当に訳すならスパイシー・チキンバーガーと置き換える方が分かりやすいと思います」

ヒノキ「なるほど。原語に正確にするか、日本語のイメージに合わせるかは翻訳者が常に悩むところじゃの」

NOVA「まあ、今回はスパイシー・チキン・サンドイッチ、略してSCSとしましょう。何回も書くのは長いですし。彼女は炎の魔法使いですね。というか、このゲーム、敵対勢力が氷使いなので、ほとんどのキャラが炎属性なんですけど。その中でも、ストレートに火炎魔法で戦うのがSCS。ディフェンスは12で、HPボーナスは+1。当然、ビーフ系戦士には太刀打ちできないけれど、D&Dの典型的な魔法使いほどひ弱なイメージもない。どちらかと言えば、ロードスの炎系精霊使いって感じかな」

ヒノキ「で、何ができるのじゃ?」

NOVA「1レベルでは、指先から炎を放って攻撃、自らの周囲にも炎のオーラをまとって近づく敵をじわじわ焼き焦がし、さらに煙幕を噴出して相手の視界を阻害して移動力を減らします。ただし、あまりダメージは多くない(指先炎でD4+1ダメージ、炎のオーラで毎ターン1ダメージ)ので、演出は派手ながらゲーム内での効果は地味かな、と」

ヒノキ「前衛戦士がフライパンで大ダメージを与えている後ろから、じわじわ後方支援を担当する役どころ、と。2レベルならどうじゃ?」

NOVA「防御力がアップしますね。具体的には、肌が硬化して物理ダメージが半減するクランチと、炎の球状楯でディフェンスを+3させつつ、攻撃してきた相手に2点の反撃ダメージを与える。この時点で、後衛キャラだったのが、積極的に前衛に飛び込んで、相手を炎で焙り倒すキャラになります」

ヒノキ「3レベルでは?」

NOVA「ここから攻撃力が高まります。D12ダメージの熱気噴射クイックバーン(単体攻撃)と、ベーコネイター同様の爆発煙による複数攻撃。そして4レベルになると、複数敵を巻き込む火炎放射。5レベルの必殺技は、爆発する青白い炎で4D6+4ダメージのアンエンディング・ヒート、終わりなき豪熱とでも訳すかな」

ヒノキ「ヒートエンド(トドメ)ではなく、終わらない、燃え尽きない攻撃なのじゃな」

NOVA「とにかく、攻撃系魔法使いのお約束どおり対複数殲滅力を重視したキャラっぽいですね。ただし、後方支援というよりは、積極的に戦場に飛び込んで破壊の炎を撒き散らす存在」

ヒノキ「わらわに近づくと、火傷するのじゃ。覚悟せよ、と言った感じで、敵陣を燃やし尽くす、と」

 

翔花「ヒノキちゃん、楽しそうだね。私は、攻撃よりも癒し系がいいかな。仲間のHPを回復させるプリースト系はないの?」

NOVA「あるぞ。それこそがホームスタイル・チキン・サンドイッチ。略すとHCS、あるいはホームスとか、ホーミーって呼ばれるかな。スパイシーが攻撃魔法使いなら、ホーミーが回復支援術士。ホーミーは家族の絆を大切に考える性格で、自分の炎の魔力を家族や友人を守り、癒すのに使うキャラということだ」

翔花「それはいい感じだね。私はそういう方向で」

NOVA「ホーミーのキャラ性能は、いわゆるプリースト系だな。だから、防御力もそこそこ高くて、中装鎧まで身に付けられる。スパイシーが装備込みでディフェンス13、防御アップの魔法を使ってディフェンス16になるのに対し、ホーミーは普通に装備だけでディフェンス16になって、防御だけなら戦士系のチーズバーガーやダブルスタックにも引けを取らない。つまり、普通に前線に立てるキャラなんだ」

翔花「レベル1でできることは?」

NOVA「非戦闘時に敵を寄せ付けない食事可能な休憩場を作る能力と、戦闘不能の仲間を美味しい食事で復帰させる技」

翔花「ええと、休憩場って役に立つの?」

NOVA「現在のD&Dでは、戦闘遭遇の間に小休憩や大休憩をとって、HPや呪文などのリソースを回復させることは、きちんとシステムに取り入れられている。このゲームでは、そうした休憩を食事(meal)と称しているみたいだな。よって、5レベルの必殺技は食事休憩を挟むごとに1回しか使えないし、逆に言えば、毎戦闘ごとに食事休憩が確実に取れることは、パーティーの探索継続能力に大きな影響を及ぼすんだ。さあ、休憩だと思っているときに、ランダムエンカウントで邪魔されることが多いと、じわじわ消耗させられるし、特に敵陣に潜入するシナリオなら安全地帯を確保できる能力は非常に重宝する。故人曰く、腹が減っては戦はできぬ」

翔花「つまり、ホーミーってパーティーに一人いるだけで、安全性を確保できるってことね」

NOVA「それと、このゲームはHP 0の戦闘不能状態を『飢え(hunger)で倒れた』って表記しているんだが、もっと端的には『腹ぺこ』と訳せば面白いと思う。だから腹ぺこで動けないキャラに対して、『美味しい食事で元気を出してね❤️』ってロールプレイができるんだ」

翔花「それって、やっぱりアンパンマン?」

NOVA「ぼくの顔を食べて元気になってか? まあ、そんな感じだな。それに、このゲームの回復効果って、『一口かじる(take a bite)とスパイシーな味わいでHP回復』って感じの表現が多くて、ええと、それって回復担当の仲間をかじってるの? と思わなくもない。まあ、料理を擬人化すると『私を食べて』とカニバリズムっぽいセリフが蔓延しそうだけどな」

翔花「お帰りなさい。食事にする? お風呂に入る? それとも、わ・た・し?❤️って感じね」

NOVA「まあ、そこまでストレートな食事表現が生々しいと感じるなら、回復キャラはお弁当をいっぱい作って、持ち運んでいるって扱いにすればいいのかな。とにかく、ルールブックを直接読むと、Biteって単語がやたらと目に付く。これだけBiteを多用しているゲームって、吸血鬼ものかゾンビものぐらいと思っていたが」

ゾンビバーガー

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翔花「次はレベル2ね」

NOVA「支援系の特殊能力だな。仲間2人の次の攻撃ロールに有利を与える(失敗時に振り直しできる)のと、3ターンの間、周囲の仲間全員のディフェンスを+2できるのと。攻防両面に役立つ支援効果を会得するわけだ」

翔花「自分で殴らずに、仲間を応援する係ね。頑張って、NOVAちゃん。後は任せたわ」

NOVA「現実世界なら、お前も働けよ、と言いたいが、ゲームだと支援効果はありがたい」

ヒノキ「しかし、現実世界でも、一仕事終えた後に『はい、疲れたでしょう。これでも飲んで、元気を出して』と言われて、温かいコーヒーやレモンティーを注いでもらえると嬉しいじゃろう」

NOVA「まあ、確かに」

翔花「はい、疲れたでしょう。これでも飲んで。花粉ドリンク」

すぎ・ひのきドリンク 500ml お得な6本セット

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NOVA「あのな。花粉以外でドリンク作ってくれよ」

翔花「花粉症ガールに何を求めているのよ。はい、レベル3は何?」

NOVA「悲鳴を上げると、仲間全員が奮起して、3ターン攻撃が有利になり、一時的HPが4点加算される。これは必殺技扱いで、食事ごとに1回の大技だな」

翔花「悲鳴って、キャーって感じ?」

NOVA「原語がcryだからな。まあ、ウオーって雄叫びでも、フエーンって泣き声でもいいが」

翔花「応援の歌声とか、声援とか、そんな感じじゃないかしら」

NOVA「あるいは、チキンだから、クケーとか、クックドールドーとか、朝の目覚まし的なものをイメージしたのかもしれんが」

翔花「レベル4は?」

NOVA「仲間一人に追加行動をさせる」

翔花「レベル5は?」

NOVA「2ターンの間、敵の攻撃を完全無効化する防御結界で味方を包む。これも必殺技扱い」

翔花「回復系のプリーストというよりは、支援系の吟遊詩人的なキャラって印象なんだけど」

NOVA「そうだな。回復系の専門家だと、次のグリルド・チキン・サンドイッチの方が適しているかもしれん。だが、今回の記事はここまでだ。長くなりすぎた」

ヒノキ「そりゃ、14種類のオーダーのうち、7つも解説していたからの」

NOVA「ビーフ系4つと、チキン系2つ、それにサイドメニューのフレンチフライか。じゃあ、残り半分は次に回そう」

ヒノキ「まだ続けるのか」

NOVA「ここまでやったからにはな。まあ、原段階で、日本で最もこのゲームについて掘り下げたブログの座を狙ってみるのも一興かな、と。俺が飽きるまでは」

ceron.jp

(当記事 完)