前回のおさらい
ヒノキ「前回のマッスル太郎は、無事に……とは言い難いが、命からがら骨の川のスケルトンを撃退し、依頼された赤い宝石のペンダントを回収してきたのじゃ」
ゲンブ「やはり、一人では厳しいでござる。新星どのは、本当にこのシナリオをクリアされたのか?」
ヒノキ「聞いた話によると、新兄さんのプレイ時は、前衛の神官戦士と、後衛の魔法盗賊の2人パーティーで霧の街を脱出したそうじゃ。やはり前衛の壁役と、後衛の支援役がいる方が安定はすると思うがの」
ゲンブ「大体、マッスル太郎の能力だと、装甲は薄いわ、能力的に回避はさほど高くないわ、で生き延びるのが難しいでござる」
ヒノキ「大丈夫。死んでも生き返る。ロボコップみたいにのう。ルーンフォークじゃから、死んで復活しても穢れは溜まらんし、安心して死ぬがいい」
ゲンブ「死ねば、1年分の記憶が消えるために、ストーリーの継続が困難ではござらんか?」
ヒノキ「その時はその時じゃ。上手くロールプレイすればよい」
ゲンブ「ここはどこ? 私は誰? 私はマッスル太郎。人々を笑顔にするのが仕事です」
ヒノキ「違うよ。君がしなければならないのは、霧の街を脱出することさ」
ゲンブ「うう。霧街脱出.netに接続します。ピーガガガ」
成長タイム
ヒノキ「では、探索を始めて3日めの夕方、ズタボロになって拠点である天幕に帰還した太郎は、ミッション達成の報告をご主人さまのウサギ商人ザバーラに行うのじゃな」
ザバーラ『おや、亀太郎。ずいぶん酷い姿じゃないか。スケルトン2体にボロボロになって、それじゃあマッスルの名が泣くねえ』
太郎(ゲンブ)「どうして、私がスケルトンと戦ったことを知っているのですか?」
ザバーラ『あの川で、スケルトンと戦った奴隷は君一人じゃないってことさ。これまでも数々の戦士や冒険者が、骨の川でスケルトンに襲われ、力の足りない者、運の悪い者は死んで、白骨死体の仲間入りってね。まあ、中にはあそこを武者修行の場所と見定め、何度も蘇る骸骨と連戦し、経験値稼ぎをする者もいるんだけど』
ヒノキ「ゲーム的には、5回までスケルトンと戦い、★を稼ぐことが可能じゃ。ただし、6回めからはレベル9のボーンナイトに一気にバージョンアップするので、無限に稼ぐことは無理じゃがの」
太郎「とにかく、今は休んでHP・MPを回復して、成長したいでござる」
ヒノキ「1日休んでHPは6点回復、後は薬草とかポーション、回復魔法などを使わねばならんが、処理を簡単にするために、ミッション達成後の成長時に、HPも最大まで回復できるようにしよう」
太郎「助かったでござる。HP20点を回復するのに、3日も4日も寝てるのは厳しいでござるからな」
ヒノキ「薬草使えよ」
太郎「お金がもったいないでござる。拠点に帰れば、ただで寝泊まりできるのに」
ヒノキ「仕事をしない奴隷に、ただで寝泊まりを許すほど、ザバーラも甘やかしてはくれないと思うがの。それより、成長処理じゃ。まずは経験点じゃが、★7つ分で1400点。ピンゾロ2回で100点、スケルトン2体の撃破で20点で、合計1520点じゃ」
太郎「能力値成長のダイスを振るでござる。できれば、敏捷度があと1点欲しいので、2が出て欲しいところだが、(コロコロ)1と3。器用と筋力なら、筋力を選ぶでござる。これで筋力が22。腕輪を買って+2すれば、ボーナスブレイクでござるが、金がない」
ヒノキ「ミッション達成での報酬は、500ガメルか750ザバーラポイントとなっておるが」
太郎「効率的にはザバーラポイントの方がお得なのだが、今は喉から手が出るほど金が欲しい。500ガメルをいただくでござる」
ヒノキ「他には、スケルトンを倒して得た骨2本で60ガメル、剣のかけら1つで200ガメルの合計760ガメルの収入じゃ」
太郎「早速、買い物をするでござる。まずは何よりも敏捷度1点が欲しいので、俊足の指輪を500ガメルで買おう。これでボーナスブレイクして、ようやく人並みのプラス2。回避命の武闘家キャラにとって、回避値が3と4では時に命に関わるし、敏捷は先制判定にも影響するからな。残り260ガメルは、保存食1週間分で50ガメル、救命草2個で60ガメル、使用した松明を補充して5ガメルを使って、残り145ガメルといったところか」
ヒノキ「ならば、合計615ガメル使用で、61ザバーラポイントを進呈しよう。技能成長はどうするのじゃ?」
太郎「まずはセージ1レベル。次にスカウトを2レベルに上昇させて、合計1500点使った。これで成長タイム終了」
●マッスル太郎のキャラデータ(青字は成長部分)
ルーンフォークの練体拳闘士
グラップラー2レベル、エンハンサー1レベル、スカウト2レベル、セージ1レベル(残り経験点20)所持金:145ガメル(ザバーラポイント175点)
器用20、敏捷11+1、筋力22、生命力21、知力15、精神6
HP27、MP6武器:チェインスティック(命中6、威力15、追加ダメージ+6、クリティカル値11、2回攻撃)
防具:クロースアーマー(回避4、防護点2)特技:追加攻撃、武器習熟A/格闘
練技:マッスルベアー
第2のミッション
ヒノキ「では、たっぷり食事と睡眠をとって気力体力十分に回復したマッスル太郎は、4日めの未明にザバーラに叩き起こされる」
太郎「未明って、何時でござるか?」
ヒノキ「深夜2時から朝の6時前じゃの。まあ、午前5時ぐらいとしておこう」
太郎「まだ眠いでござる」
ザバーラ『早起きは三文の得。優秀な商人は、朝になる前に活動を開始するものなの。ゲーム的には、拠点を未明のうちに出発すると、夜になる前に1区画余分に探索できる。拠点は基本的に安全なので、未明で行動ペナルティーがあっても問題ない。朝から探索を開始するには、拠点を未明に出発するのが攻略の基本よ』
太郎「ご主人さま、会話内容がメタ過ぎます。で、探索といっても、今度は何をすればいいのでしょうか?」
ザバーラ『サカロスの薬酒を手に入れてきて』
太郎「それは、どこにあるのでしょうか?」
ザバーラ『バカね。それを調べるのも、君の仕事のうちよ。ミッション達成の暁には、500ガメルか、750ザバーラポイントをあげるわ。★1つもね。さあ、とっとと出ておゆき』
太郎「うう、命がけでキン骨マンとやり合った翌朝は、寝床でグーグーグーと洒落込みたいでござるが、駆け出し芸人は事務所の命令には逆らえない。では、サカロスの薬酒を求めて霧の街を歩き回るでござる」
●霧の街のマップ(4日め開始時点)
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路地裏 ー 施療院ー?
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常夜回廊ー 涸れ井戸ー ?
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港ー 三色の天幕ー庭園ー翡翠の塔ー?ー叫び
(拠点) l の門
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? ー骨の川ー?
l
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ダルクレム神殿(4日め朝)
太郎「とりあえず、拠点の南がまだ未探索なので、そこに行ってみるでござる」
ヒノキ「出目は6の4か。ならば、そこには十数本の、高さが不揃いなねじれた尖塔がそびえ立っている。壁には無数の髑髏や骨が塗り込まれ、主塔の入り口には5メートルほどの巨大な赤銅色の両開きの扉が取り付けられている。扉の上には、蛮族の崇める戦神ダルクレムの聖印が掲げられ、ここがダルクレム神殿であると示している。今は門が開かれていて、その両脇にそれぞれ蛮族の門衛が立っているのが見える」
太郎「ええと、それはいかにも不気味な神殿でござる。まあ、骨の川の西隣りなら、さもあろう。門衛の正体は分かるであろうか」
ヒノキ「知名度は10じゃが?」
太郎「早速、セージ技能の出番でござるな。基準値3に出目7で、ぴったり10」
ヒノキ「レベル5のボガードトルーパーじゃ。普通のボガードよりも、2回りほど大きな巨漢で、いかにも屈強の武人じゃの」
太郎「私の冒険者レベルは2だから、こいつらには勝てん。こんな場所で、酒の話をして情報が手に入るとも思えんので、すごすごと通り過ぎて、さらに南へ進むとしよう」
剣闘士の宿舎(4日め昼)
ヒノキ「通りの真ん中に、両手剣を天に向かって突き上げるリルドラケンの石像が建っている。その傍らの大きな建物の上には、像と同じ意匠を施した紋章が掲げられ、屈強の男たちが建物に入っていくのが見える」
太郎「これは……超人レスリングの匂いがプンプンするでござる。マッスルを名乗る者としては、興味津々で像に近づくとしよう」
ヒノキ「像の台座には、闘技場の覇者たる牧人ドン・ブカドゥと銘打たれている。太郎が像を見ていると、一人のマッチョが近づいてきて、気さくに話しかけてくるのじゃ。『おお、その筋肉は、あんたも剣闘士志望なのかい。だったら、中に入って、ドン・ブカドゥに面会したらいい。気さくで、頼りになる兄貴だぜ』」
太郎「いや、私はレスラーではなくて、お笑い芸人のマッスル太郎。お近づきの印に一芸披露。腹筋パワー!」
マッチョ『おお、こいつは凄い筋肉だ。ルーンフォークで、ここまでの筋肉は珍しいんじゃねえか。芸人ってことは、エンターテイナーなんだな。この街じゃ、お笑いよりも、血湧き肉踊る闘技場の方が盛んなんだぜ。あんたの筋肉は、さぞかし観衆受けするんじゃねえか。ドンに会って行きなよ』
太郎「そこまで言われたら、喜び勇んで建物に入るでござる。この街に来て、筋肉を褒められたのは初めてだから、ポーズを付けつつ、マッチョに案内されるとしよう」
ヒノキ「ドンはすぐに太郎に会ってくれた」
ドン『よう、兄ちゃん。鍛えてるみたいだな。俺のところで、戦いたいってか? ……って、よく見たら、その首輪。ザバーラんところの奴隷じゃねえか。さすがに、あちらの持ち物を傷もんにするわけにゃいかねえ。先約がなければ、うちの剣闘士としてスカウトしてやっても良かったんだが。だが、その筋肉をそのまま腐らすのは勿体ねえ。向こうの奉公が明けたら、いつでも来てくれ。エンターテインメント・バトルの舞台を用意してやる。戦いに勝てば、大スターへの道が待っている』
太郎「いやあ、ドンさんにそこまで言ってもらえるなんて、筋肉冥利につきますよ。よろしければサインを下さい。ドンさんの偉業は、あの伝説の剣闘士ルーファスにも劣らない、と思っています」
ドン『いやあ、俺はそんな器じゃねえよ。物語のルーファスはその後、砂漠の国の王になったそうじゃねえか。さすがに俺が管理できるのは、一つの街の闘技場ぐらい。だが、こんな過酷な暗い街でも、腐ることなく鍛えたら栄光をつかむことができる。そういう明るい夢を若い連中にも持たせてやりてえんだ。夢をこの手でつかみ取れ。そのためには、頑張って自分を鍛えよってな。強くなって、華麗な武芸で、みんなを笑顔にさせることができれば、素晴らしいじゃねえかよ』
太郎「みんなの笑顔のために戦うんですか。憧れます。ところで、こちらの仕事なんですが、サカロスの薬酒について何か知りませんか?」
ドン『知らん。俺が興味あるのは、闘技場の戦いだけだ。酒のことは、酒場で聞け。俺に言えるのはそれだけよ』
太郎「では、酒場はどこに?」
ドン『自分の足で歩け。そうすれば、いつか目的にたどり着くだろう。では、面会はここまでだ。トレーニングの時間だからな。お前も頑張って鍛えろよ』
太郎「結局、情報をくれないでござるか」
ヒノキ「代わりに、★1つをやろう。ドンと知り合いになれたからの」
太郎「さて、これ以上進むと、夜までに拠点に戻れなくなるので、今日はこれで引き返すとしよう。明日は、どこを探索しようかな」
(当記事 完)