花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

ゴブスレ妄想リプレイ4(戦いて候)

とある花粉症ガールの独白

 

   私の名前は、粉杉晶華。

   花粉症ガール2号にして、お姉ちゃんの翔花の双子の妹です。

   名前の読み方は、お姉ちゃんと同じショウカだけど、晶をアキとよんでアキカ、略してアッキーと呼ばれたりすることも。

 

   元々は、バトル物語の女主人公として修行と冒険の旅に出たお姉ちゃんの代わりに、NOVAちゃんのアシスタントガールを担当することになっていた私だけど、何の因果か、メガネンジャーって戦隊のメンバーになったり、未来に飛ばされたり、吸血鬼にして快盗団の女リーダー、バットクイーンになったり、どうも、お姉ちゃん以上に波乱万丈な運命を辿ることになっちゃって。

   これも、作者のNOVAちゃんが思いつきのままの出たとこ勝負で、好き放題に話を書いたのが悪いのね。

   夏場は特に、いろいろと忙しくて、頭の中の妄想回路がフル回転して、暴走する危険が大きいと思う。

 

   だけど、テーブルトークRPGのシナリオをプレイしているうちは多分、大丈夫。シナリオという原案がある以上は、そこから逸脱した暴走はきっと避けられるんじゃないかなあ。

 

   今回のゴブリンスレイヤーRPGが、私の初めてのTRPG体験になるんだけど、演じるキャラは「赤い翠星」、通称はアカミドリ。

   赤なのか緑なのかはっきりしろ、というツッコミの声に対しては、半森人だから両方よ、と答えます。ハヤタ隊員がメフィラス星人に「お前は地球人なのか、宇宙人なのか、どっちなんだ?」と尋ねられた際に、「両方さ」と答えたようなものね。

   普段は、おとなしい緑だけど、戦闘時に興奮した時は赤くなるとか、そんなイメージなんだけど、今回からは戦闘シーンもあるみたいだから、赤モードの私も見せられるかも。血を見て興奮して、キシャーーッて叫んだりしないかな。ワクワク。

 

   え?  前回のあらすじが聞きたいって?

   ええと、ジャガリ村ってお芋の名産地で、ゴブリンが大切なじゃがりこを盗んで行ったので、取り戻す話だったような、違うような。

    ところで、じゃがりこにも赤と緑があるのね。

カルビー じゃがりこ サラダ 60g × 12個

カルビー じゃがりこ サラダ 60g × 12個

 

 

   とにかく、ゴブリン?  倒せばいいのだろう?  のゴブスレ精神で、射殺せばいいわけで。

   難しいことは、NOVAちゃんに任せた(今は2人いるけど。GMとプレイヤーと)

 

   知力の翔花2号は返上で、今は血力でゴブリン退治に邁進するわ。フフフ。

 

洞窟の前で

 

GM(NOVA)「さて、一度、休憩してシンカリオンイベントを見てきたり、とあるゲーム雑誌を持って来たりしたが、それはともかく」

ヒノキ「ゲーム雑誌だと?  見せてくれい」

ゲームマスタリーマガジン第8号

ゲームマスタリーマガジン第8号

 

NOVA2009「そ、それは、ロードスだって?  2019年にはロードスが復活していると言うのか?」

GM「この時間軸ではな。しかし、最近は歴史の流れを変えようとするタイムジャッカーとか、いろいろと面倒な連中が動き回っているせいで、時間もどう転ぶかは分からん。何しろ、お前がプリキュアを見なかったり、手持ちのゲームブックを処分したり、ホビー館のサイトを閉鎖したりするだけで、世界が滅んじゃうんだからな」

NOVA2009「いや、いくら何でも、そんなことで滅ばないでしょう」

GM「果たして、そうかな(ニヤリ)。お前もTRPGをプレイしていたら分かるはずだが、世界滅亡の危機って、そこら辺に転がっているんだぜ。世紀末から21世紀頭に作られたエヴァンゲリオンなどのセカイ系の物語では、一人の登場人物の心理状態が即、世界の安定度に影響する。この場合のセカイとは、大きな客観世界ではなく、登場人物の内面を反映した主観世界のことだがな。世界の観測者の主観世界が崩壊すると、観測対象の大世界にも悪影響が出る。そして、主観世界の崩壊はインターネットを通じて、思わぬ広範囲に拡散され、現実をも書き換えるというのが2010年代の創作世界の実情だ。

「お前は今後ほどなく、日本を揺るがす天災を経験して、その際に真のヒーロー魂の発露とか、メディアのもたらす光と闇の両面を実感し、己が世界に果たす役割を実感するようにもなる。とまあ、半分妄言じみた予言を告げておいて、本題に入るぞ。ここからGMモードな。

 

「君たち、冒険者はジャガリ村から森を抜けて、川を越えたりして、ゴブリンの巣食う洞窟の近くまでやって来た。時間は日が沈む1時間ほど前って感じで、ゴブリンにとっての夜明け前だね」

ヒノキ「そんなことより、わらわはGMマガジンの最新号を読みたいのじゃ」

NOVA2009「というか、世界滅亡の危機とか、そっちの話の方が重要でしょ。気になることをいっぱい言ってからに」

GM「ええい、そんなことはどうでもいい。大切なのは、ゴブリンにさらわれた赤子を救えるかどうか、今そこにあるジャガリ村の平和を守れるかどうかだ。それ以外のことは、目前のミッションを達成してから、じっくり対処すればいい」

用心棒(ゲンブ)「ムッ。一理あるような、ないような」

アカミドリ(晶華)「とにかく、ゲームのプレイに集中しましょう。シンカリオンを気にしたり、気になる雑誌をちらつかせたり、一番集中してなかったのはGMだったと思うけど」

丸子(ヒノキ)「やれやれ。雑誌の話は後回しにするかの。わらわはツラヌキ・丸子。今は、芋にこだわる料理人じゃ」

NOVA2009「ぼくは納得できない。世界の危機を前にして、ゲームに専念するだなんて」

GM「だったら、こう言おう。今、お前が世界の危機を気にしても、元の時代に戻らなければ何もできん。お前に今できるのは、ゲームをさっさとクリアして、すっきりした気分で元の時代に帰り、世界のために為すべきことを為すことだ」

NOVA2009「ああ、分かりましたよ。世界のために、ゲームをクリアしろってことでしょ。昔、ゲームセンターあらしとかで見たシチュエーションだ。事実は小説よりも奇なり」


げえむせんたああらし 最初の曲

 

騎士ジャン(NOVA2009)「マインドセッティング終了。前回、タイガ少年に案内されて、村の救世主に祭り上げられたぼくたちは、ゴブリンの巣食う洞窟まで来た。今からダンジョン探索になるのかな?」

GM「ここで、道中、タイガ少年が話した洞窟の情報をまとめよう」

 

・洞窟は元々、圃人(レーア)の老人が一人暮らししていた地下穴住居の跡である。

・老人は偏屈で孤独好き。食料を届けに行った村人以外と付き合いはなかった。

・中の様子は詳しくは分からないが、部屋の数は5部屋ぐらいとのこと。

・疑い深い老人は、扉に罠を仕掛けたりしていたらしい。

 

用心棒「小柄な圃人の元住居、ということは、体の大きな我に入れるのだろうか」

GM「今は洞窟のある小丘の周囲の茂みに、君たちは身を潜めていると思ってくれ。というのも、入り口前に三頭の獣がいるからだね。住居の扉は高さ2メートルぐらいだから、少し小さいけど入るには支障なさそうだよ。獣の正体は、怪物知識判定を行ってくれ」

丸子「確か、知力集中だったよな。(コロコロ)11じゃ」

GM「だったら分かる。一見、大きな犬に見えるそいつらは狼だ。レベル2のモンスターに分類される」

ジャン「並みのゴブリンよりは強いな。まずは飛び道具を撃って、こっちに引き寄せてから始末しますか?  扉の前で大騒ぎしたら、中のゴブリンがわらわら出てくるかもしれないし」

丸子「その方が一網打尽で楽そうじゃがの」

アカミドリ「敵の数も分かっていないのに?  10匹以上が襲いかかってきたらどうするのよ?」

用心棒「寄らば斬るぞ、と迎え撃つ」

ジャン「さすがに相手の数が3倍はキツいよ。誘き出して分断して一体ずつ確実に倒す方がいいって。今、ぼくの頭では、こういう映像が浮かんでいる」


【必殺仕事人IV】投石器初登場シーン

 

ヒノキ「ああ、スリング(石投げ紐)を持っておったのじゃな。それと野伏の弓でダメージを与えておいて、狼が近寄ったところを、わらわと用心棒で仕留める。それでいいかの」

GM「では、バトル開始と行こう」

 

狼との戦い

 

GM「相手までの距離は大体10メートル。飛び道具を撃つ人は、隠密判定で9以上を出して下さい。成功すれば、相手に気づかれる前に一射できる」

アカミドリ「隠密は技量集中に野伏レベルを足せるのね。私の基準値は8だから、余裕で成功」

ジャン「ぼくも基準値5だから、出目6で成功したよ」

アカミドリ「私から行くね。私は一度に二本の矢が撃てる【速射】技能を持っているから、早速使ってみるわ。まず、一発目。命中基準値9に出目8で17」

GM「狼の回避は14だから、命中だね。15以上で命中した場合、ダメージダイスは1個増える」

アカミドリ「すると2D6に野伏レベル2を足せばいい、と。出目6だからダメージは8点」

GM「狼Aは毛皮で3点装甲があるので、5点ダメージ。残り生命力は11点」

アカミドリ「もう一撃。二射めは命中が4点下がるから基準値5からスタート。出目5だと外れ。狼に二射めを当てるには、出目10が必要だから難しいわね。次から矢の浪費は避けることにするわ」

ジャン「だったら、次はぼくのスリングだ。命中基準値が8で、出目7で命中だけど、ぴったり7で15。ダメージダイスはD6をプラスできるんだね。基本がD3プラス1に、戦士レベルって足せるのかな?」

GM「飛び道具に戦士レベルは足せない」

ジャン「だったら8点だ」

アカミドリ「私と同じじゃない」

ジャン「ダメージダイスが良かったからね」

GM「ええと、特に宣言していなかったので、Aとは別のBに当たったことにするから。これで狼AとBが残り生命力11で、Cだけが健康体の16。不意打ちはこれで終わって、次から1ラウンドめだ。ここから毎ラウンドごとに消耗が増えていくからね」

丸子「速攻で片付けねばな」

用心棒「我に任されよ」

 

★Round1

 

GM「では、行動順を決定しよう。狼は先制力1D6だから、ほい、6が出た。君たちは、2D6で決定だね。【機先】技能があれば、ボーナスを足せるけど」

丸子「わらわが持っておるぞ。圃人の生得技能じゃからな。ダイス目と足して5。何じゃこりゃ?」

アカミドリ「リナ老師はダイス目が悪すぎね。それじゃ何のための【機先】技能か分からないじゃない」

丸子「こ、これは戦術じゃ。こっちから向かって行くよりも、相手の方から先に近づいて来たところを、返り討ちにするという高度な作戦ということで」

アカミドリ「はいはい。そういうことにしておいてあげるわ。私は……5。何よ、これ」

丸子「ヒヒヒ。人のことは言えんの」

アカミドリ「くっ、大事なのは命中とダメージよ。早ければいいってものじゃない」

ジャン「ぼくは……4」

丸子「どうやら、下には下がいたようじゃな」

用心棒「12が出た。ここは我が引き受けた。うおー、と叫んで単独突撃を敢行。蜥蜴人の一の太刀、と叫んで傷ついているAに斬りかかる。命中基準値は7。出目5だから外れ」

丸子「何をやっとるのじゃ。初手がそれだと、幸先が悪いぞ。因果点を使ってでも当てるのじゃ」

アカミドリ「因果点って?」

GM「解説しよう。因果点とは、テストプレイではヒーローポイント、英雄点とも呼ばれたルールで、判定結果を向上させたり、ダイス目を振り直したり、ピンチの時に逃亡したり、GMからシナリオ攻略のヒントをもらうことのできる、お助けの祈りを発動できる。このシナリオの初期因果点は3なので、2が出なければ成功するが、使用にはプレイヤー全員の許可がいる」

ジャン「物は試しに使ってみよう」

アカミドリ「異存はないわ」

用心棒「かたじけない。とりあえず7が出たので、因果点使用の判定は成功したが」

GM「成功しても失敗しても、この時点で因果点は1増えて4点になる。だんだん判定の難易度が増えて、使いにくくなるんだね」

用心棒「それで、失敗を成功にするか、ダイス目を振り直すか、どちらがよかろうか」

丸子「確実なのは前者じゃが、後者だとダイス目一つにつき出目プラス1のボーナスが付くからの。ダメージを上げたければ振り直すといい。ただし、6以上を出さなければ外れじゃぞ」

用心棒「ならば、一撃必殺を父祖の竜に祈って、振り直す。うおー、と叫ぶと9が出た」

GM「すると、出目で11で、命中7だから合計18か。20以上なら、ダメージに2D6を足せるんだけど、15から19までは追加ダメージ1Dだけだね」

用心棒「それでも、元のダメージが1D6プラス3だから、ダメージは(コロコロ)出目6で9点ダメージ」

GM「6点ダメージで残り生命力は5点。まだ生きている」

用心棒「仕留めきれんかったか」

GM「さて、狼の反撃だけど、用心棒が突出しているから、1Dで1〜3が出れば用心棒狙い。4でジャン、5でアカミドリ、6で丸子を狙うことにする」

アカミドリ「ちょっと。私は後衛よ」

GM「そうは言っても戦場は広いし、狼の移動力は高いからね。前衛後衛の宣言もしていなかったから、狙えない理由はない。全てはダイス目次第。まあ、攻撃されたAは無条件で用心棒ということにして、残り2体。Bは5、Cは4が出たから、それぞれアカミドリとジャンを狙いに行ったよ」

用心棒「そうはさせん。Bの移動を妨害することはできるか?」

GM「だったら移動妨害判定だ。体力反射に戦士レベルを足せるよ」

用心棒「ならば基準値は8だ。(コロコロ)15と言って、狼Bの足止めをする。ここは通さん!」 

GM「それなら止められた。結局、AとBが用心棒を狙って、Cがジャンを狙う、と」

用心棒「掛かって来い!」

GM「ザコなのでGMはダイスを振らない。命中目標値は固定で13、ダメージは1D6プラス1なので、自由に回避もしくは盾受けしていいよ」

用心棒「回避は7で、盾受けは11か。ならば盾受けで。2回とも成功。こちらの装甲は6点でござる」

GM「狼の牙のダメージは、どちらも4点で、ダメージは通らない」

用心棒「ぬるいわ!  防御こそ我の真骨頂なり!」

アカミドリ「用心棒さん、格好いい❤️」

ジャン「ぼくもいいところを見せないとな。回避は6で、盾受けは10。だったら、ぼくも盾受けで。成功。装甲は5点」

GM「ダメージは6点だよ」

ジャン「くっ、1点食らって、残り生命力は16。ちょっと痛いけど、ただのかすり傷だ」

丸子「では、こちらの反撃じゃな。肉切り包丁を取り出して……じゃない。わらわの得物はショートソードではなくて、ショートスピアじゃった。飛び込んできた狼Cを14と言って突き刺す」

GM「狼の回避も14だから避けられた」

アカミドリ「次は私。用心棒さんと戦っているAを狙うわ。間違えて味方に当てたりしないよね」

GMソード・ワールドなら【ターゲッティング】の技能がなければ、乱戦中の味方に当たる可能性があるけど、ゴブスレだから、なしにしよう。原作でも森人が誤射して味方に当てる場面もないし」

アカミドリ「なら、安心して射つ。17だから当たって、ダメージは9点!」

GM「だったら狼Aは矢に貫かれて、動かなくなった」

アカミドリ「一機撃墜♪」

ジャン「やるな、弓使い。だったら、ぼくはスリングを捨ててメイスに持ち替え、狼Cを殴る。当たれ、と言って、15で命中。接近戦武器なら、ダメージに戦士レベルを足せるんだよね」

GM「その通りだ」

ジャン「だけど、ダメージダイスが低い。6点しかない」

GM「それなら、ダメージ3点受けて、残り13点だ。これでラウンド終了。狼のモラル判定は、失敗成功で、Aが撃ち殺されたのを見たBは逃げ出そうとし、Cは戦闘を継続するようだ。継戦カウンターが1点溜まって、次のラウンドだ」

アカミドリ「継戦カウンターが溜まると、どうなるの?」

GM「5点溜まると、消耗ポイント1点プレゼントだ。このゲームの特徴は、連戦したり、長時間の冒険を続けることによって、疲労が蓄積することを再現している。雑魚ばかりと戦って、ダメージを受けることはなくても、戦いが長引けば、そのうち疲れが溜まっていって、判定ペナルティーが増えて、そのうち力尽きることまで再現できるんだ」

丸子「そうなる前に、敵を片付けねばな」

 

 ●対狼戦Round1の結果

   狼A死亡(弓と剣の一撃を受けた後、とどめの一矢が突き刺さる)

   狼B、残り生命点11、逃げ腰(スリングの石を受けて、士気判定に失敗)

   狼C、残り生命点13、健在(ジャンに1点ダメージを与え、反撃のメイスで3点を受ける)

 

   ジャン、残り生命点16

 

★Round2

 

GM「次のラウンドだね。イニシアチブから決め直す。狼はやはり6」

 

   結局、ジャンと丸子が先制、用心棒とアカミドリが後手に回った。

 

ジャン「何てこった。命中判定で1ゾロを出しちまったよ。裏成功で6ゾロに変えるのはあり?」

GM「裏成功は央華封神のルールな。ソード・ワールドなら運命変転だ。どっちにしても、これはゴブリンスレイヤーRPGだから無理だけど。因果点を使うかい?」

丸子「この局面で使うのは無駄遣いというものじゃよ。わらわに任せい。15で命中。ダメージは9じゃ」

GM「ならば残り7点。Bは逃げるよ。足止めしない?」

用心棒「逃げる獣は追わん。それよりCを仕留めに参る」

GM「先にCの攻撃だ。3以下でジャン、4以上で丸子を狙う。5が出たので丸子だ」

丸子「圃人の回避をなめるな。そんなもの、18と言って避けてみせる」

用心棒「我の一撃は17! ダメージは12!」

GM「あ、それで終わったよ」

丸子「ふむ。継戦カウンターは2で済んだか。受けたダメージは騎士どのの1点のみ」

アカミドリ「応急手当はいる?」

ジャン「1点だから平気だよ」

GM「応急手当を1回使うと、同じキャラには3時間使えないので、今は温存しておくのがいいだろうね」

丸子「ところで、タイガは何をしておる?」

GM「あ、彼は狼に攻撃されないよう、木に登っていました。戦闘が終わると、安心して木から降りてくる」

丸子「……戦闘の役には立たんか。ならば、ここで、わらわたちの帰りを待っているがいい。じゃがりこを救出したら、そなたに預ける。おそらく直後にラスボス戦があるだろうから、赤子を戦闘に巻き込みたくはない」

タイガ(GM)「あのう、甥の名前はじゃがりこではなくて、レオンって言うんですけど」

丸子「そんなことはどうでもいい。ジャガリ村の子だから、じゃがりこ。わらわたちにとっては、それで十分なんじゃ」

 

探索、ゴブリンの巣穴 

ジャン「さて、いよいよダンジョンの中に突入だけど、中からゴブリンが出てくる気配はあるかな?  用心棒が、うおーと叫んだり、結構、騒がしく戦ったけど」

用心棒「かたじけない。つい血が滾ってしまってな」

アカミドリ「蜥蜴人って変温動物なのに、血が滾ったりするんだ」

丸子「これでは、隠密任務に連れて行けんな」

GM「少し待っても、ゴブリンが出てくる様子はないよ」

丸子「ないのか?  本当に、ここにゴブリンが潜んでおるのかの?  地面の足跡が残っていないか、調べてみるぞ」

GM「観察判定になるね。知力集中に、野伏か斥候レベルを足せる。【観察】技能も使えるよ」

丸子「ならば、基準値は8じゃ。ダイス目と合わせて16」

GM「すると、小型の人型生物らしき足跡が複数、それと大きなサイズが一つ、入り口付近に付いているのが分かるね。ただ、そのうちの一つは小丘の側面をぐるりと巡っているようだ。足跡といっしょに杖の跡も見られるね」

丸子「ん?  これはゴブリンと解釈していいのかの?  考えてみれば、わらわはゴブリンのことを、それほどよく知らんのじゃった」

アカミドリ「仕方ないわね。私も足跡を観察するわ。基準値は8あるし。出目は4しかないので、達成値は12だけど」

GM「それでも分かる。ゴブリンだ。大きいのはホブゴブリンで、杖持ちは魔法使いだろうね」

ジャン「どうして、魔法使いだけ単独行動なんだろう。追跡してみるか?」

GM「足跡をたどると小丘の逆側に裏口らしきものを見つけた。ただし、半ば崩れかけていて、圃人か小鬼サイズでないと入れそうにない」

ジャン「つまり、巣穴の奥に魔法使いの部屋があって、そいつは裏から出入りした方が便利だと考えているわけか。だったら、裏からこっそり忍び込んで、奇襲をかけて魔法使いを暗殺。そのまま、赤子を見つけて脱出。一方、本隊は囮も兼ねて、正面から堂々と突入して暴れ回るというのはどうだろうか?」

GM(分割行動かよ。それって扱いが面倒なんだよな)

丸子「ふむ。その作戦には利点もあるが、二つの欠点がある」

ジャン「何ですか?」

丸子「一つ。分割したはいいが、わらわたちには連絡をとる手段がない。仮に赤子を見つけて脱出したとしても、それを伝える術がないのでは、正面突入組が撤退の判断ができんじゃろう。いずれにせよ、ゴブリンどもは殲滅せねばならんのだから、戦力の分散は避けた方がいい。一気に突入して、短期決戦あるのみ」

アカミドリ「もう一つは?」

丸子「単純に、わらわが一人きりでピンチになりたくはない、ということじゃ。まあ、裏口を見つけたのはラッキーなことでもある。ここから逃げられんように、穴を塞いでおこう」

アカミドリ「どうやって?」

丸子「ヒヒヒ。狼の死体が二つあったよな。裏口の穴に死体を詰めておく。そこから逃げようとした小鬼は、脱出口を塞いでいる狼の死体を見て、悲鳴をあげるという寸法よ」

ジャン「何て嫌がらせだよ。確かに逃げようとした出口に、獣の死骸が置かれていたら、ビビるよな。そこに敵が待ち伏せしているようにも思えるし」

GM(さすがはヒノキ姐さん。モンスターの死体をそういう風に利用するなんて、ゴブリンスレイヤー並みの狡猾さだ)

 

GM「では裏口を狼の死体で埋めた後で、正面から入る、でいいね」

丸子「隊列は、わらわ、用心棒が前で、アカミドリが中衛、騎士どのが後衛でいいかの?」

ジャン「それでいいか。ぼくは飛び道具を持ってるし、背後からの不意打ちにも対応できる」

丸子「松明はわらわが持とう。では、中の敵を用心しながら入り口の扉をガチャリと……」

GM「開けた?  すると、頭上に仕掛けられた罠バケツから、ザバーっと油が降ってくる」

丸子「しまった。罠を調べるのを忘れておった。しかも、わらわは松明を持っておる。このままだと火だるまになりかねん!  何とか回避できんか?」

GM「知力反射+斥候レベル+【第六感】技能で13以上なら避けられる」

丸子「だったら余裕じゃ。知力反射は8、それに斥候3レベルだから、基準値だけで11。しかも出目10だから、達成値21。華麗なアクロバットで避けた。このような罠など、わらわには通用せん」

GM「チッ、圃人の回避能力は侮れないな。うまく罠を切り抜けて扉を開くと、中の通路は幅2メートル、高さ2メートルとなっている。2人が横並びになると狭い感じだね」

ジャン「確かに狭いな。D&D標準ダンジョンの通路は幅10フィート、つまり3メートルで2列縦隊が基本なのに」

アカミドリ「圃人の個人住居だったら、そんなものじゃない?  ガンダルフさんは天井に頭をぶつけてたし」

丸子「わらわも圃人だから問題ない。先頭に立って進むのじゃ」

用心棒「天井に武器をぶつけないよう、大振りは避けねばな。逆手に持って、突き下ろす感じで扱うと宣言しておく」

GM「表玄関のそばにはトイレがあって、特に異常はなし。さらに数メートル進むと、右側に扉がある」

丸子「罠調べと聞き耳をセットで。今後、扉を見つけると、常に調べるものとする。今回の観察判定は18じゃ」

GM「中から、GOBGOB言っている声がするね。二人でムシャムシャ何かを食べながら、談笑している感じだ。罠は特にないと思った」

丸子「ならば素早く部屋に飛び込んで、一気に始末するべきじゃな」

GM「扉を開けると、そこは食料貯蔵庫を兼ねたダイニングキッチン跡って感じの部屋になっている。直径5メートルの円形の部屋で、中では2体のゴブリンが何かを火で炙って食べている」

丸子「じゃがりこ!  見るも無惨な姿になって。おのれ、許さん!」

GM「いや、人間の赤子じゃなくて、食料庫に残っている保存食の類だね」

丸子「ホッ、そうであったか。だが、圃人のキッチンを荒らすとは、同じ圃人の料理人としては見過ごしてはおけん。やっぱり、許さん!」

アカミドリ「どっちにしろ、ゴブリンを許すつもりはないけどね。私たちは、チーム・ゴブリンスレイヤーなんだから」

GM「ああ、個人名のはずがチーム名にされているし。とにかく、戦闘開始だ。こちらの先制点は1だね。どうやら咄嗟の事態に対応が遅れているようだ。全員、先に行動していいよ。距離は3メートル」

 

丸子「一番槍は、わらわが突っ込むのじゃ。命中は(コロコロ)低い。12しかない」

GM「GOB〜と叫んで、かろうじて避けた」

丸子「フッ、今の攻撃はただの囮よ。本命は続く用心棒の一撃。やれ、ゲンブ。」

用心棒「ズンズン部屋に押し入って、14でござる。当たったようなので、ダメージは10」

GM「ゴブリンAは、8ダメージを受けて、残り1点」

アカミドリ「そいつのとどめは、NOVAちゃんに任せた。私は無傷のゴブリンBに2連射します。一発目、16。ダメージは11点」

GM「それで死んだ」

アカミドリ「あ、そう。二発目は違う相手を狙えるかしら」

GM「ルール上、【速射】の標的は先に宣言することになっているから無理だね。ただし、一発で倒したと手応えを感じたということで、二発目を射つのは中止してもいい」

アカミドリ「矢がもったいないもんね」

ジャン「じゃあ、最後に行きます。スリングで命中は17。ダメージは6点」

GM「ヒューンと飛んだ石が小鬼の頭にGONと当たって、GUBOッと即死」

丸子「何とも呆気ないものじゃ。ワンターンキルとは」

アカミドリ「リナ老師は攻撃を外したじゃない」

丸子「いや、あれは外したんじゃなくて、相手の隙を突いて、用心棒に殴らせ、最後に騎士どのに見せ場を作る、高度な連携につなげるためのトスみたいなもの。全ては計算どおりなのじゃよ」

アカミドリ「はいはい。そういうことにしておいてあげるわ」

GM「それでも継戦カウンターは1つ進んで、3マス目。残り2マスで消耗する予定」

丸子「こうやって、じわじわ疲労がたまっていくんじゃな。ともあれ、ここはキッチン。料理人としては捜索しない手はない。役立つものがないか、ざっと漁ってみるぞ」

GM「ほとんどの食べ物はゴブリンに食い散らかされたり、腐ってダメになっているけど、棚に酒瓶が1本、残っているのに気づいた」

丸子「鉱人(ドワーフ)がいれば、毒味をさせるんじゃが。誰か、酒の味が分かる者はおらんか?」

用心棒「では、我が一口。【免疫強化】の技能があるから、毒であったとしても抵抗できよう」

GM「抵抗はしなくてもいいけど、知力集中+【鑑定】で判定してみて」

用心棒「13が出た」

GM「すると、不味い酒かと思ってみたが、ちょっとした強壮効果がありそうだとも感じられる」

用心棒「不味いが元気になる。青汁みたいなものか」

GM「具体的には、スタミナポーション2回分として使っていい」

用心棒「不味い酒(スタミナ2回)、と(キャラ用紙にメモる)」

丸子「キッチン探索を終えたら、部屋を出て、さらに奥に向かうのじゃ。あ、途中の通路にも罠が仕掛けられていないか、慎重に目を光らせながら進むぞ。小鬼どもは狡猾じゃからな」

GM「圃人の斥候も負けず劣らず、狡猾だと思うけどなあ。原作を読むと、圃人斥候にいい印象がないんだけど」

アカミドリ「仲間に隠れて財宝をちょろまかしたり、ゴブスレさんや受付嬢さんに逆恨みして、闇人(ダークエルフ)と手を結んで襲撃してきたり。小説の2巻と3巻にそんなのがいたわね」

丸子「本来の圃人はのどかで気のいい種族なのじゃが、冒険に出るような奴は刺激を求めるわけで、中には道を踏み外すような者もおる。が、わらわは違うぞ。悪辣非道なマネは料理人の誇りが許さん。料理とはすなわちサービス精神の発露じゃからな。食材を大切に扱い、愛情たっぷりに調理して、人々に美味しいと言ってもらえば、それこそ料理人の誉れというものよ」

 

GM「では、通路を奥に進むと、左右に分かれているんだけど、右の方から赤ん坊の泣き声が聞こえてくるね」

丸子「じゃがりこ、無事だったか。そちらに向かうぞ」

アカミドリ「異議なし」

用心棒「お嬢に従い申す」

ジャン「一応、左の通路も気にかけたりしながら、後を追うよ。もしかすると、左に敵がいて、挟み撃ちに合う危険もあるからね」

 

   こうして、ゴブリンの巣穴と化した圃人の住居跡に踏み込んだ冒険者たち。

   果たして、彼らは無事にゴブリンを殲滅(スレイ)し、赤子を救出することができるだろうか。

   全ては、ダイスのみぞ知る。

 

おまけの雑談

 

ヒノキ「休憩の間に、雑誌を読むのじゃ」

NOVA「全体的に読み応えのある記事が多いが、一番笑ったのは、9月発売の次号予告だな。何でもゴブリン特集らしい」

ヒノキ「夏から秋にかけて、SNEはゴブリン推しのようじゃな」

NOVA「まあ、ゴブリンだけを推しているわけじゃないと思うけど、SNEの歴史でも、ここまでゴブリンに注目した時期はなかったんじゃないかと思う。大体、D&Dでもハーフオークがプレイヤーキャラクターに使えることはあっても、ゴブリンはそこまで推されることはなかったし」

ヒノキ「じゃが、ここまでゴブリン推しが続くと、ゴブリンになって冒険したいと思う変わり者がいてもおかしくはないが」

NOVA「実は、かつてゴブリン主人公のゲームブックがあってな。書庫の奥を探していたら、発掘された」

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ゴブリンが主人公の伝説のゲームブック

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NOVA「まあ、これは元々ウォーロック誌に4回に渡って連載された作品を1988年に単行本としてまとめたもので、ゲームデザイナー時代の山本弘氏の一大傑作の一つだ。俺が山本さんを尊敬していたのは、と学会以前のゲームデザイナー期の数々の佳作傑作の影響が大きいわけで。ソード・ワールド旧版とかAFFのリプレイとか、カードゲームのモンスターハントとか、今でも保存している作品もそれなりに。初期ソード・ワールドを築き上げた水野・清松・山本の布陣は、85年の阪神黄金時代のバース・掛布・岡田の伝説に匹敵すると個人的に考えている」

ヒノキ「過去の思い出はともかく、ゴブリンが人間に復讐するというダークファンタジーなアイデアは、ゴブリンスレイヤーに通じるものもあるのう」

NOVA「一応、ゲームブックでは、ゴブリンのままじゃ人間の冒険者に勝てないので、入手した魔法のヒスイの力で別のモンスターに進化することで、目的を果たすことになる。最初はゴブリンだったのが、ホブゴブリン→バグベアといった感じに段階を追って進化するのが面白い。ただし、外れルートもあって、例えば復讐相手の一人である僧侶と対峙する際に、アンデッドモンスターになっていれば浄化されてアウトだ。よって、吸血鬼になって強くなったと思ったら、袋小路にハマってクリアできなくなる。

「そして、最後はドラゴンになって人間化の呪いを掛けられた竜の王女を救い出して、ハッピーエンドというロマンスエンドだったり。表紙絵は、ヒドラから五頭頭の最強クロマティックドラゴンに進化した主人公と、最終章で助け出す『レッドドラゴン王とホワイトドラゴン女王のハーフであるピンクドラゴン王女の人間態』で、復讐者が成長して麗しのヒロインを救い出して、王となってモンスターの楽園を築くのは、立ち位置こそ逆転しているけど、実に王道ファンタジーしているなあ、と」

ヒノキ「なるほど。ただの人間の女に萌えない、そなたの残念な性癖にも実にかなった作品じゃろうて、ヒヒヒ」

NOVA「俺の性癖の話はどうでもいいだろうが。それより、ゴブリンだよ、ゴブリン。ゴブリン萌えを感じたい人には、こんな小説もある」

ゴブリン娘と魔法の杖―魔法の国ザンス〈15〉 (ハヤカワ文庫FT)

ゴブリン娘と魔法の杖―魔法の国ザンス〈15〉 (ハヤカワ文庫FT)

 

NOVA「ザンスシリーズは、最初の4巻までは、人間の若き魔法使いが主人公だった。1巻と2巻は、魔法を消去する秘められた魔法の持ち主ビンクが主人公で、3巻と4巻はその息子で、全ての無生物と会話ができるドオアに交代した後、5巻以降は彼らが冒険中に出会った魔法の生き物やその家族にスポットが当たり、延々と話が続いていく」 

人喰い鬼の探索―魔法の国ザンス〈5〉 (ハヤカワ文庫FT)

人喰い鬼の探索―魔法の国ザンス〈5〉 (ハヤカワ文庫FT)

 
夢馬の使命 魔法の国ザンス 6 (ハヤカワ文庫FT)

夢馬の使命 魔法の国ザンス 6 (ハヤカワ文庫FT)

 

 NOVA「この辺りから、人喰い鬼(オーガ)とか、夢馬(ナイトメア)が主人公になって、次にドオアの娘のアイビー王女にスポットが当たって……」

王女とドラゴン―魔法の国ザンス〈7〉 (ハヤカワ文庫FT)

王女とドラゴン―魔法の国ザンス〈7〉 (ハヤカワ文庫FT)

 

 NOVA「和訳されている最終巻は、こちらになっている」

アイダ王女の小さな月―魔法の国ザンス〈21〉 (ハヤカワ文庫FT)

アイダ王女の小さな月―魔法の国ザンス〈21〉 (ハヤカワ文庫FT)

 

NOVA「本国では40巻以上出ていて、2年前には映画化とかTVドラマ化の噂も聞こえたが、いまだ形になっていないようだ。自分としては、ザンスの続刊が邦訳されることを願いながら、そろそろ10年になろうとしているんだけど、ゴブリンブーム、異種族萌えブームの流れに乗って、ザンスの時代がもう一度巡らないだろうかね」

ヒノキ「ふむ。その願いが叶うといいのう」

NOVA「他にも、ゴブリンがプレイできるゲームだと、 T&Tのサプリメントで、様々なモンスターキャラになれる『モンスター! モンスター!』とか、異種族いっぱいゲームの『ファンタズム・アドベンチャー』の話もしたいが、そうすると記事が終わりそうにないので、今回はこれにて」 

モンスター!  モンスター! 〜T&T モンスター型シナリオ・追加ルール

モンスター! モンスター! 〜T&T モンスター型シナリオ・追加ルール

 
ファンタズム・アドベンチャー (ファンタズムアドベンチャーベーシックルール)

ファンタズム・アドベンチャー (ファンタズムアドベンチャーベーシックルール)

 

 (当記事 完)