とある塔主の独白
わらわは日野木アリナ。
コンパーニュの塔の主にして、TRPG好きの女の子。
九州・阿蘇の加護の任を司る神霊という設定じゃが、今の時期の九州は大雨で難儀しておる。これというのもゴブリンが悪い。
ということで、小鬼退治を頑張れば、諸悪の根源もなくなると期待しながら、圃人(レーア)の料理人ツラヌキ・丸子をプレイしておるわけじゃが。
大雨に見舞われている地域の平穏無事を願いつつ。
それにしても、わらわのTRPG好きは筋金入りと自負しておったが、新兄さんほどでないことがこの度、よく分かった。
いくら時空魔術師とはいえ、TRPGのために10年前の自分自身を召喚したりは、普通せんじゃろう。こんなことができるなら、もっと前の新兄さん、1979年の昭和ショタ新星やら、1989年の平成1st新星やら、1999年の世紀末新星やらを連れてきて、一人新星戦隊NOVAレンジャーを結成できるのではなかろうか。
そう言えば、少し昔、仮面ライダーBLACKこと南光太郎が、自分の未来の変身態であるRXや、別フォームのロボライダー、バイオライダーと共に、クライシス帝国の作戦を粉砕したこともあるし、
仮面ライダーオーズも暴れん坊将軍の新さんと共演した映画では、ガタキリバで分身した後のフォームチェンジで、一人で全フォームを網羅したこともあったと聞く。
最近では、ウルトラマンジードとやらが、最終回において、自分の分体の全フォーム召喚で、父親のベリアルを打ち破ったとか。
ふむ、ヒーローにとっては、分身したり、時空を超えた同一人物共演は当然のことと言うべきかの。
ただ、その目的は巨悪を倒すためであって、決して趣味のゲームをするためではないはず。
自分でゲームマスターをして、自分でプレイヤーをやるなど、そんなソロプレイをしていて楽しいものかの?
え?
ゲームのテストプレイの一環として、仮想プレイヤーを想定して、試しにルールを回してみるのは、プロのゲームデザイナーとしては当然の仕事じゃと? 一人で、ルールを確認したあと、他の仲間とのテストプレイを何度か(あるいは何度も)行って、細かいデータを調整したりするのがプロ?
まあ、そんなものかもしれんが、わらわは別にプロになりたいわけじゃないので、プレイヤーとして楽しめるなら、それで満足じゃ。
ともかく、村にゴブリンが現れて赤子をさらったので、人の命と、村の未来を守るために、燃える料理人魂で、事件を解決してみせるのじゃ。
待ってろよ、生きてろよ、絶対そこにたどり着く。救急ならぬクック(料理人)戦隊いざ出場!
ジャガリ村にて
GM(NOVA)「さて、君たちを乗せた荷馬車は、狭い山道を抜けて、目的地のジャガリ村に到着したところだ。時間は昼の2時から3時前ぐらいかな」
丸子(ヒノキ)「つまり、おやつの時間じゃな。持ってきたスイートポテトをもぐもぐ食べながら、周囲に何か面白いものがないか観察するぞ」
GM「まあ、景色的には普通の牧歌的な村だと言いたいけど、今朝方のゴブリン騒動で、いくぶん緊張感が漂っているのを感じるね。荷馬車が到着すると、『おお、若村長が冒険者を連れて帰ってきたぞ』と村人がわらわら集まってくる」
アカミドリ(晶華)「それに油断なく警戒の目を向けるわ。もしかすると、村人に化けたゴブリンが潜んでいるかもしれない」
騎士ジャン(NOVA2009)「いやいや、さすがにそれはないんじゃないかな」
アカミドリ「甘いわね。いついかなる時も、ゴブリンの奇襲に際して警戒を怠るな。それこそ小鬼殺しことオルクボルグの教えなのよ。私は故郷をゴブリンに滅ぼされているんだから、その気持ちはよく分かる」
ジャン「だけど、村人を不必要に怯えさせても仕方ないだろう。こういう時は、まずニコニコと親しげに話しかけて、警戒を解いて情報収集に当たるのがセオリーだと思うよ」
アカミドリ「そういう交渉ごとは、NOVAちゃんに任せた」
ジャン「NOVAちゃんは恥ずかしいから、やめてよ。とにかく、村の代表……って若村長さんか。ええと、説明は彼に任せていいんじゃないか」
GM「すると、村人の中から白髪の老人が現れて、鷹揚に挨拶する。『そなたたちが街の冒険者の人ですか。等級はいかほどで?』と尋ねてくる」
ジャン「え? 白磁等級ですけど?」
GM「すると、老人はあからさまに失望のため息をつく。『やれやれ。銀貨50枚かき集めて、ようやく最下級の新人とは』と、君たちをあからさまに見下しているようだ。君たちを連れてきた若村長は『父さん、せっかく来てくれた冒険者の人たちに失礼ですよ』とたしなめるけど、老人はいかにも偏屈そうだ」
用心棒(ゲンブ)「なるほど。よそ者嫌いの老人と、開明的な息子という構図でござるな。だったら、ここは一つ我らの力量を証明してみせねばなるまい」
GM「ちなみに、この世界での冒険者の評価は、英雄候補だと考える者と、しょせんは無頼の輩と考える者が半々ぐらいだね。若者の多くは冒険物語が好きで、自らも冒険者になりたいと考えたりもするけど、大人になると分別がついて、冒険者など信用ならんと考える者も多い。その中で冒険者の信用を高めようと活動しているのが冒険者ギルドで、ギルドは国が経営している人材派遣の役所でもある。そして、ギルドがその冒険者の力量と人格を総合評価して公表しているのが、十段階の等級なんだけど、白磁は本当に駆け出しで、信用には値しないわけだ」
ジャン「すると、どうやって信用してもらうかだけど、ぼくの持つ【交渉:説得】技能で何とかなるかな?」
GM「何をどう説得するんだい?」
ジャン「ええと、ぼくたちは白磁だけど実力はある。最初に言っておく。か〜な〜り強いって」
GM「それで説得になっているとは思わないけど、一応ダイスを振ってみて。知力集中で、技能のプラス1していいよ」
ジャン「だったら、基準が7だから、おお、11が出た。合計18だよ」
GM「だったら、冷静かつ自信たっぷりに振る舞う騎士の言動に、長老も『ふむ。弁は立つようだな。それに礼儀も正しく、ただの無頼の輩でもなさそうだ。腕の方は何とも言えんが、鋭い目線の半森人の娘やら、いかにも強そうな蜥蜴人やら、ただの素人ってわけではないのだろう』と一目置いてくれる。どうやら、彼なりに威厳を保とうとしているようにも見られるね。『ところで、そこの芋食ってる圃人も仲間なのか?』」
丸子「ああ。これは、この村で取れたジャガリ芋を、わらわが調理したものじゃ。この村の芋は街でも評判になりかけていての。わらわは冒険者である前に料理人を生業としている。村の芋がピンチと聞いて、勇んで駆けつけた次第じゃ。白磁等級? それはギルドが勝手に付けた資格に過ぎん。わらわのような本職・料理人にとっては、副業だ。されど、いまだ名声は得られずとも実力のある者は少なからずいる。このジャガリ芋と同様にの。わらわにとっても、ギルドにとっても、ここのジャガリ芋が失われることは世界の損失と考えた。だから、真の実力者である、わらわたちの一党が差し向けられた。ただの白磁と思って見くびらない方がいい」
GM「何て偉そうなんだ。さすがはヒノキ姐さん。しかも、さりげなく自分と、このジャガリ村の両方を持ち上げてるし。そりゃ、自尊心をくすぐられるよなあ。『うむ、確かに我が村のジャガリ芋は世界の宝。その価値を分かってくれる御仁が来てくれたとは心強い。何でも言ってくだされ。村人を危険にさらすわけにはいかんが、全面的に協力させてもらう』と相好を崩した長老は、見るからに好意的になった」
丸子「だったら、わらわは長老と芋談義をしているので、その他の情報収集は、騎士殿に任せたのじゃ」
ジャン「え、ぼくですか? 何だかリーダーはそっちって感じなんですけど」
丸子「お主は圃人に何を求めると言うんじゃ。わらわは芋と料理のことで頭がいっぱいなので、重要なことはそちに一任する」
ジャン「だったら、まずはさらわれた赤ん坊の母親に会いたいな。確か父親はゴブリンに殺され、母親が重態だって聞いたけど、意識が回復すれば詳しい話が聞けるかも」
アカミドリ「どっちにしても、事件の現場は見ないといけないしね。私も騎士さんについて行くわ」
丸子「用心棒も同行せい。わらわは長老どのと今後のジャガリ芋の生産と販売計画について、商談しておるから」
GM「いや、長老さんは、そんなことよりも事件の解決に専念してもらいたい、と訴えるんだけど。商売の話はそれからでも、と」
丸子「よし、言質はとったぞ。ならば、さっさと小鬼退治して、ジャガリ芋を世間に流行らせるのじゃ」
情報収集
GM「被害にあった若夫婦の家は、村外れにあるね。心配そうに家の外で何人かの村人がいるのも見える。若村長に案内されて、そこに来たわけだが」
アカミドリ「私もちょっとした薬師の心得があるので、何かできないかな。【応急手当】技能も持ってるし」
GM「もちろん、村にも薬師のお婆さんぐらいはいて、すでに治療は施されているよ。ただ、それでも意識不明の重態が続いているわけで。『神さまの奇跡でもあればねえ』とか言っている」
ジャン「それはつまり、ここで回復呪文を使えっていうフリかなあ。2回使えるけど」
用心棒「《小癒》なら、我も2回使えるぞ」
アカミドリ「私の応急手当もあるし、薬だってある。回復なら結構、充実しているのよね、このパーティーって」
ジャン「だったら、ここで1回ぐらい使っても、何とかなるかな。情報収集のための癒しの呪文と思えば、知識神の御心にもかなっているだろうし」
GM「だったら、これを読んで。原作者が設定した呪文のセリフ」
●知識神の《小癒》(ヒール)呪文
『蝋燭の番人よ、傷を縫い合わす我が手元に、どうぞ一筋の灯火を』
アカミドリ「すごいよね。全ての呪文に、そして神さまの種類ごとに、こういうのが設定されているなんて。原作では、もっぱら女神官さんの地母神さまばかりだけど」
●地母神の《小癒》(ヒール)呪文
『いと慈悲深き地母神よ、どうかこの者の傷に、御手をお触れください』
用心棒「ちなみに、竜司祭版だとこうなる」
●祖竜術の《小癒》(ヒール)呪文
『古兵(ふるつわもの)たる鴨嘴竜(ハドロス)よ、傷の痛みを克己せし、その身の強さを分けたもう』
ジャン「この世界の知識神の象徴は、蝋燭なんだ。🕯 それだったら、蝋燭の番人ウンチャラカンチャラ……と、ここで行使判定のダイスを振ればいいんだね。1ゾロじゃなければ成功だけど……って、6ゾロ? クリティカル? 奇跡が起こったよ」
GM「マジかよ。呪文行使値7にプラス12して19。クリティカルだと、さらにプラス5するから、達成値は24だ。最低限で回復量が2D6のところを、4D6プラス5になって、さらに神官レベルの2を加えてください」
ジャン「回復ダイスは大したことなくて、4D6で12しかない。だけど、さらに7足すから合計で19点」
GM「そりゃ、重態だった奥さんが一気に全快したよ。その光景を目撃した村人たちが、おおっと一斉にざわめく。正に神の奇跡を目撃した瞬間だね」
ジャン「全ては知識神の思し召しです」
GM「聖騎士さま、と村人たちは称え、長老さんも『おお、おお、口先だけと思っていたことをお詫びしよう。あなた様こそ、真の救世主、どうぞ、我らの村を救ってくだされ』と頭を下げる」
丸子「ヒヒヒ、くるしゅうないぞ。頭を上げい。これこそ、神霊に祝福されし我らの実力というもの」
アカミドリ「どうして、あなたが偉そうなのよ。凄いのは、NOVAちゃんのダイス目なんだから」
GM(昔から、プレイヤーをやっている時は結構、ダイス目がいいんだよな。GMの時は、ボロボロなのに。ああ、俺もプレイヤーやりたい)
用心棒「貴重な回復呪文を使用した甲斐があったというものだな。村人全員の信頼を一気に勝ち取ったようでござるから」
GM「そうだね。元気になった奥さんは、『息子のレオンを助けてください、救世主さま』と涙流しながら訴えてくるよ。そして、彼女の話から次の情報が分かる」
・赤子をさらったゴブリンは、3、4体。
・加えて、さらに大きな影が見えた。
・杖を持ったゴブリンが、何かを指図しているようだった。赤子を抱えたゴブリンは、その指図に応じるようにうなずくと、先に撤退した。
ジャン「大きなのはおそらくホブゴブリンで、杖を持っている奴は魔法を使うと推測していいかな」
丸子「ホブゴブリンじゃと? 名前を知っているか判定してみるぞ。9」
GM「それじゃ、ゴブリンすら分からない」
丸子「何と。だったら、これまでゴブリンゴブリン言っていたのは何だったのじゃ?」
GM「名前ぐらいは知っているんじゃないかな。だけど、実際の能力とか知らなくて、事実と妄想の区別が付いていないとか」
丸子「つまり、ゴブリンのことをよく知りもしないのに、ふん、そんなの雑魚じゃろう。ホブゴブリン? 何だかよくは知らんが、ゴブリンに毛が生えたぐらいで、大したことはないはず。わらわだったら片手で一捻りじゃ、と大口を叩くのじゃな」
用心棒「念のため、我も。12」
GM「ギリギリ、ホブゴブリンまでは知っている。ゴブリンの生命力は9なのに対し、ホブゴブリンは20。単なるザコと侮るには危険だということが分かるね」
用心棒「お嬢、ホブを侮ってはいけません。奴の相手は我に任せてもらいたい」
丸子「ほう。それほど言うのなら、ホブ何ちゃらの始末はそちに任せた。しくじるでないぞ。ところで、これはプレイヤー発言として言うのじゃが、原作によればゴブリンって毒を使ったりするらしい。誰か毒消しを用意しておるか?」
アカミドリ「私は応急手当道具を買ったから、薬は買っていない」
丸子「他の3人は、治癒の水薬(ヒールポーション)を1本ずつか。せめて、強壮の水薬(スタミナポーション)と解毒薬(アンチドーテ)が欲しいものじゃが」
ジャン「そんな、いきなり毒を使うような敵って出てくるのかな?」
丸子「ゴブリンスレイヤーの世界なら、いきなり出てくるのじゃ。ゴブリンに限らず、雑魚のネズミや蜂、ゴキブリさえ毒を持つという。万が一の場合に備え、解毒薬は手に入れておきたいもの……とプレイヤーは考える。もっとも、丸子はお気楽極楽な圃人(レーア)であるからして、そんなことは口にせんがな。誰か慎重なキャラが発言したことにしておいてくれ」
アカミドリ「だったら私が。ゴブリンはともかく、知恵者の魔法使いがいるようなら、毒を使ってくるかもしれないわね。何とか毒消しが手に入らないかしら、と薬師のお婆さんをちらっと」
GM「(ここはサービスしてやるか)ならば、作り置きが一本ずつある、と言って、スタミナポーションとアンチドーテを提供してくれる」
アカミドリ「ありがとうございます。本当なら、銀貨10枚の2本分なのよね。何だか儲かったような気分」
丸子「報酬が、銀貨50枚だからの。レベルが低いうちはお金が貯まらんのが、このゲームの仕様らしい」
GM「匿名掲示板のシステム検証書き込みによれば、ゲーム内の物価は原作小説よりも高いらしい。原作では初心者の女神官ちゃんがゴブスレさんのアドバイスに従って、鎖帷子を買うんだけど、ゲームでの値段は銀貨120枚。初心者が簡単に買える代物じゃないわけで。大雑把な検証では、原作の物価はゲームの10分の1ぐらいと考えるといいそうだが、これはゴブスレさんの暮らす地域では流通状態が良くて物が安く出回っているのに対し、ゲームの舞台はもっと田舎で、冒険装備が高くつくのかな、と解釈している。その分、生活必需品なんかは安く手に入るのかもしれないけど」
丸子「うむ、ゴブリンがはびこると、いろいろ略奪されるから、ますます物の値段が上がるとも考えられよう。ゴブスレさんがゴブリン退治をしてくれているからこそ、流通もうまく回っているが、ゴブスレさんのいない地域ではゴブリン被害のおかげで、物価も高くなる。下手すれば、この地域で芋が値上がりして、気軽にポテト料理を味わえなくなる。フライドポテトが1000円を越えたりしたら大ごとじゃ」
ジャン「いや、経済効果も大事だけど、何よりも人命でしょう。さらわれた赤ちゃんを早く助けに行かないと。確かレオンって名前ですよね」
丸子「レオンね。ジャガリ村の子だから、じゃがりこでいいじゃろ」
用心棒「じゃがりこだったら、ゴブリンの餌にされても文句は言えんでござる」
GM「蜥蜴用心棒の言葉に、レオン君のお母さんは顔面蒼白になって、フッと意識を失うよ」
アカミドリ「ちょっと、デリカシーがなさ過ぎよ」
用心棒「す、すまん。悪気はなかったのだが」
ジャン「とにかく、急がないと。今から行けば、夕方までにはゴブリンの巣穴に行けるかな。ゴブリンは夜行性だから、夜に突撃するのは避けたいけど、子供の命が掛かっているからな」
GM「『だったら、ぼくが案内します』と一人の若者が進み出るよ」
丸子「何じゃ、お主は?」
若者(GM)『ぼくの名前はタイガ。救世主さま、義姉の怪我を治してくれて感謝します。レオンは、ぼくの甥になります。だから、ぼくの手で助けないと、と思って、ゴブリンの巣穴の場所までは探り当てたんだけど、戦うことまではできなくて……』
丸子「タイガじゃと? 新兄さん、このキャラは例のあれか?」
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GM「いや、俺が付けた名前じゃないよ。元々のシナリオに書いてある。殺された父親の弟タイガって。ちなみに、殺された父親の名前はタロウじゃなくて、バンザって書いてあるけど」
丸子「なるほど、タイガか。そういう立派な名前を持っているなら、いずれは戦えるようにならんとな」
タイガ(GM)『ええ、ぼくも冒険者の皆さんのように戦えれば……』
ジャン「だけど、勇気と蛮勇は違う。一人でゴブリンの巣穴を探り当てたのは素晴らしい。そこで引き返したことも賢明だね。道案内さえしてくれれば、後はぼくたちの仕事だ。君が案内し、ぼくたちが戦う。それぞれの役割をしっかり果たそう」
GM「『はい、救世主さま』とタイガ少年は目を輝かせるね」
アカミドリ「あ、それと、将来、冒険者になりたいなら、仲間を見つけること。お勧めは、力の賢者タイタスさんと、風の覇者フーマさん。3人揃ってトライスクワッドを結成すれば、光の勇者にだってなれるんだから」
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ジャン「タイタス? フーマ? よく分からないんだけど……」
NOVA「お前がそのネタを知るには、10年早い。それはともかく、タイガ少年が案内してくれるので、道中はいろいろ省略できる。途中、川の浅瀬を越えることになるから、技量集中プラス野伏か斥候レベルで目標値8の判定をして。失敗すれば、1点消耗するから」
用心棒「おっと、9だ。危なかったでござる」
NOVA「『そこ、滑りやすいから気をつけて』と、タイガ少年の注意が飛んで、バランスを崩さずに済んだようだ。彼がいなければ、目標値10になっていたから」
用心棒「かたじけない、少年よ。そなたなら、良い野伏にもなれそうだな」
アカミドリ「だったら弓矢か投擲の技でも習得することね」
NOVA「『ええ、いつの日か必ず……』と言いながら、その目はジャンの方を見ているよ」
ジャン「何かな?」
タイガ(NOVA)『いえ、神さまの声を聞いて、奇跡を行使できるのって凄いなって』
ジャン「人はできること、したいこと、しないといけないことを大切にしながら、自分の役割を果たすのが道なんだ。義務と願望をどちらも守りながら、自分の能力を高める訓練をする。その先に、自分の未来が待っている……と、いかにもな聖職者らしいことを言ってみる」
用心棒「ならば、我も聖職者らしいことを一つ。人は試練を乗り越えて強くならねばならぬ。そなたの兄は小鬼に殺されはしたが、その命や想いは生き延びた者が継承することで価値あるものとなろう。だから、そなたは強く生きていくのだ。そして、我らも何としても、さらわれた甥御を救わねばな」
丸子「ふむ。全てはじゃがりこのために、じゃな」
GM「あかん。どれだけ真面目なことを言っても、じゃがりこの一言でギャグになってしまう」
アカミドリ「だけど、これだけ格好つけておいても、任務に失敗したり、全滅してしまっては興醒めね」
丸子「そうならないように、新兄さんが取り計らってくれるじゃろう」
GM「いや、戦闘は手加減せずにマジに行くから」
なお、この記事はルールブック掲載のシナリオを、仮に当ブログの登場キャラがプレイしてみたら、という想定で、お話をこしらえている(つまり実プレイのリプレイではなく、あくまで脳内リプレイ)けど、ダイス目は実際に書きながらリアルタイムで振っているため、冒険の結果がどうなるかは書き手にもまだ分かっていません。
まあ、初心者用のシナリオなので、死ぬことは多分ないと思うけど。
原作者の作った初心者用デスダンジョンとかならともかく。それは、こちらでネット公開されています↓
元ネタは、女神官ちゃんの初心者パーティーが原作第1巻の冒頭で壊滅してしまったゴブリンの巣穴。
ルールブック収録のシナリオに比べると、こりゃきついなあ、と思ったり。
あのパーティーの問題点は、戦士、武闘家、神官、魔術師の構成で、罠に対処できるメンツがいなかったこととか、諸々あるわけですが。
それにしても、背後からの奇襲で、一度に7体のゴブリンが襲い掛かって来るとか、ひどいッス。
話のネタとして、ここでプレイ記事を書いてみるのも一興ですが、作成直後で毒消しを持たないキャラだと、まず死んでしまう。まあ、ウィザードリィでもポイズンニードルの罠で死んだ盗賊も数知れないし。まだ、毒消しの値段の安い本作の方が良心的だろう、と思ったり。
ともあれ、次回から、いよいよバトルに入ります。
果たして、村で救世主と崇められて信頼を勝ち得た一行は、しっかり任務を達成できるかな。それはダイス神のみぞ知るってことで。
(当記事 完)