剣世界のルールブック3
晶華「ヒノキさん。遊びに来たよ〜」
ヒノキ「お主は遊びにきたんじゃなくて、武術の修行に来たんじゃろう、アッキー。それと、ヒノキさんという他人行儀な言い方じゃなくて、リナちゃんと呼ばんか。わらわ達はチームなんだから」
晶華「う〜ん、日野木アリナだからリナちゃんにしたんだけど、いまいち言いにくいんだよね。アリさんってのはどう?」
ヒノキ「わらわは引っ越し会社ではない」
晶華「じゃあ、リナおばさん」
ヒノキ「おばを付けるな」
晶華「じゃあ、リナ婆ちゃん」
ヒノキ「余計悪いわ」
晶華「じゃあ、婆ちゃん」
ヒノキ「悪いところだけ残すな」
晶華「リナ老師」
ヒノキ「うっ、それは悪くないかも。中国語では、別に年を取っていなくても、先生=老師じゃからな。武術の上でも、老師という呼称は威厳がある。よし、これから、そなたはわらわを老師と呼ぶのじゃ、弟子アッキーよ」
晶華「仕方ないわね。あなたがそう言うなら、リナ老師と呼んであげるわ。感謝することね」
ヒノキ「何じゃ、その言い草は。弟子が師匠に対する言い方とは思えん」
晶華「フッ、師匠風を吹かせるのは、これを見てからにすることね」
ソード・ワールド2.5 ルールブックIII (ドラゴンブック)
- 作者: 北沢慶/グループSNE,輪くすさが・真嶋杏次
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2019/01/19
- メディア: 文庫
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ソード・ワールド2.5リプレイ トレイン・トラベラーズ!2 (ドラゴンブック)
- 作者: ベーテ・有理・黒崎/グループSNE,かわすみ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2019/01/19
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ヒノキ「そ、それは先週出たばかりのソード・ワールドの新刊。是非とも買いに行きたいと思っていたのだが、買い出し用のラビットタンクも改修作業中だし、小物調達係のシロも不在だし、なかなか自由に買い物にも行けず、難儀しておったのじゃ。まさか、いかにアマゾンとて、新・コンパーニュの塔までは配達してくれんしのう」
晶華「NOVAちゃんからの差し入れよ。感謝することね」
ヒノキ「する、する。いくらでも感謝するから、わらわにルールブックを読ませるのじゃ。アルフレイムの地が、わらわを呼んでいる〜」
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ヒノキ「なるほどな。今回のルールブック3では、ライダー技能だけでなく、アルケミスト技能も加わったのじゃな。2.0時代は、アルケミスト技能はアイテムサプリメントの『アルケミスト・ワークス』を必要としたのじゃが、今回は基本ルールブックの範囲で取得できる、と」
晶華「確か、アルケミストは賦術カードを使った支援キャラだったはずね。すると、ライダー技能と組み合わせて、仮面ライダー龍騎みたいなことができるんじゃないかしら」
ヒノキ「いやいや。さすがにファイナルベントみたいな派手な技は使えんが。せいぜい、武器を召喚したり(インスタント・ウェポン)、防護点を加算したり(バークメイル)、いろいろと便利なサポート技を習得できる感じじゃな」
晶華「つまり、ソードベントとかガードベントみたいなことはできるのね。ライダー技能で、騎獣を扱ったりもできるから、やっぱりルールブック3は仮面ライダー龍騎ファンのためのルールと言えるわ」
ヒノキ「まあ、できんことはないじゃろうが。そして、新種族はティエンスとレプラカーンが加わっておる。ティエンスは完全に初物種族で、対魔神用に調整された合成人間と言ったところか。強靭な肉体と、体表に現れた宝玉結晶が外見上の特徴。騎獣や仲間と思念で会話することもでき、騎兵として連携戦闘を得意とするようじゃ」
晶華「宝玉結晶が露出するってことは、キングストーンとかアマダム、またはカラータイマーなんかに見立てて、特撮ヒーローっぽいロールプレイができそうね」
ヒノキ「神秘的な演出にも使えそうじゃな。もう一つのレプラカーンは、サプリメント『ルミエル・レガシー』よりの再録じゃな。アイテム使用や姿消しに長けた小人系の種族で、グラスランナーとはまた違った、いたずら妖精の雰囲気を持っておる」
晶華「だけど、ハイパー化して巨大になったりするのよね」
ヒノキ「それは、ダンバインの話であって、ソード・ワールドの話ではない」
晶華「ええ? 同じファンタジー世界じゃない。レプラカーンと言えば、巨大化でしょう? ソード・ワールドでも巨大化能力を用意しようよ」
ヒノキ「練技のジャイアントアームなんかを使えば、筋力を向上させたりもできるのじゃが、D&Dのエンラージみたいにサイズを大きくできる魔法や特技はなさそうじゃの。竜形態になって大きくなる魔法はあっても、巨人にはなれないのがソード・ワールドの世界観かも」
晶華「つまり、アントマンプレイはできない、と」
ヒノキ「探せば、そういうマジックアイテムぐらいは見つかるかもしれんがの。少なくとも、騎獣縮小の札なんかがあるのじゃから、サイズの縮小は可能なはず。もっとも、普段は子供みたいなサイズの種族が、戦闘時はマッチョな巨人になったりするようなモンスターは何かいたような気がする。セージ技能判定に失敗したから、思い出せんが」
晶華「確か、スプリガンじゃなかったかしら。巨大化する小人妖精って」
ヒノキ「それじゃ。なかなかやるのう、お主」
晶華「ヘッヘーン、知力の晶華はダテじゃないってところね。お姉ちゃんとは、そこが違うんだから。念のため、スプリガンがショットウェポンのオーラクルーザーの名前でもあるけど、そっちは巨大化したりはしないのよね」
ヒノキ「小人が巨人になるよりも、世間では幼女や少女がアダルトタッチで大人になる変身の方が需要があるのではないかの?」
晶華「まあ、大人になった美少女もいいけれど、少女は少女のままだからいい。変に急いで大人にならないで欲しい、という意見もあるからね」
ヒノキ「確かに女性視点でも、いたいけな少年キャラはよくても、年を経ておっさんになってしまえば幻滅じゃからの」
晶華「まあ、ただのおっさんじゃダメだけど、メガネキランな司令ポジションの頼り甲斐のあるおじさまは好みなんだから。『メガネ』『知性』『頼り甲斐』の三点は、私が男性に求める三要素よ」
ヒノキ「頼り甲斐か。確かにの。いい男というのは、普段は控えめでも、ここぞというところでは真っ直ぐに信念を貫き、決して折れない底力みたいなものを感じる。温厚だが心が強いというのが理想で、その逆にケンカっ早い割に折れやすいのがダメな部類と言えよう。それと日頃の付き合いでは、下手な頑固さや信念とかよりも、気遣いや優しさみたいなものが見え隠れすればいい。わらわが欲しいときに、ソード・ワールドの新刊ルールブックを差し入れてくれるぐらいの気遣いがの」
晶華「……言っておきますが、NOVAちゃんは絶対にあげないんだからね。私のものなんだから」
ヒノキ「誰も、新兄さんをよこせ、などとは言っておらんじゃろう。わらわにはサブロー殿がいるし、ソード・ワールド本さえ貢いでくれるなら、それでいい」
晶華「ああ、その本は貸しているだけだからね。どうしても欲しいなら、定価900円に消費税込みで、今なら972円を払ってちょうだい」
ヒノキ「……そのお金は、アッキーの武術の稽古代ということにならんかのう?」
シロの動向
ヒノキ「とにかく、ソード・ワールドのルールはまた時間を作って、しっかり読むとして。アッキーよ、そなたの力が必要じゃ。手を貸してくれ」
晶華「へえ、リナ老師が私に助けを求めるとは、どういう風の吹き回しかしら」
ヒノキ「いや、風がどうこうではなくて、向き不向きの話じゃ。例の遠見の水晶球じゃが、何とか屋久島結界を突破して、内部を見ることができるようになったはいい。問題は、結界突破に魔力を集中し過ぎて、位置座標の操作にまで気が回らん。つまり、細かい位置調整がわらわ一人では無理なのじゃ。寝ているコナっちゃんの顔を覗き見る以外の島の動向がつかめん」
晶華「お姉ちゃんの寝顔ですって? それは聞き捨てならないわね。ずっと覗き見ていたと言うの?」
ヒノキ「ああ、コナっちゃんの寝顔は、正に天使というべき至宝。ささくれ立った心が癒されて、自然に顔がほころんでしまうわい」
晶華「……言っておきますが、お姉ちゃんは絶対にあげないんだからね。私のものなんだから」
ヒノキ「いや、それは違う。コナっちゃんは全世界みんなの愛すべき宝じゃ。一人だけの独占は許されん。この広い空や蒼い宇宙と同じように、コナっちゃんは君のものでもあり、わらわの物でもある。つまり、平和の祈りであり、輝く希望。それこそ空飛ぶスーパー・花粉症ガールとして超進化覚醒するコナっちゃんなのじゃよ」
晶華「うう、お姉ちゃんのことを無性に褒められているのは嬉しいけど、だったら双子の妹の私は何よ」
ヒノキ「そうじゃな。コナっちゃんがマジンガーZに例えるなら、お主はさしづめパートナー回路を持ったミネルバXといったところじゃろうか」
晶華「ミネルバX? それはそれで、悪くはないわね」
[Super Robot Wars A Portable] Minerva X attacks and Team Attacks
ヒノキ「ミネルバはともかく、遠見の水晶球を活用するには、わらわとアッキー、二人の協力が必要になる。コナっちゃんやシロを応援するためにも、ここは是非とも協力してくれ」
晶華「ネコマタはとにかく、お姉ちゃんのためなら協力しないわけにはいかないよね。分かったわ。ネコマタがお姉ちゃんにいらないちょっかいを掛けないためにも、監視の目が必要。寝ているお姉ちゃんをネコマタの好きにはさせないんだから」
ヒノキ「いや、それがどうも、シロはコナっちゃんとはぐれてしまったようなのじゃ。眠っているコナっちゃんの周りにはいないようでの」
晶華「迷子の子ネコちゃんってこと? あのネコマタは、何をやってるのよ」
ヒノキ「それで、シロが今どうなってるのかを水晶球で探そうと思ったのじゃが、わらわはこういう細かい操作が不得手での。ちょっと視点を動かせば、すぐに島の外に飛び出してしまう。あまりに操作が上手くいかないものだから、もう少しでキレて水晶球を破壊しそうになったところを、ゲンブがなだめてくれた次第」
晶華「なるほど。老師は、マジックアイテムの細かい操作が苦手、と。だったら、細かい作業は私がやるから、魔力の維持をお願いね」
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晶華「はい、見つかったわよ。何だか山のふもとで、どこかのおじいさんと話しているみたいね。何、この静止画像。声とかも出ないし、リアルタイムで動かないのは不便ね」
ヒノキ「いや、静止画像ではなく、超スローで動いているようじゃ。もしかすると、屋久島内部は、こことは時間の流れが違うのかもしれんのう。道理で、いつ見てもコナっちゃんが寝ているはず。わらわたちが日数を経たとしても、屋久島では一日も経過していないということは十分に考えられる」
晶華「つまり、屋久島は竜宮城みたいな状態ってことね。一週間過ごせば、外の世界は何百年も過ぎてしまうような。で、このネコマタと話しているお爺さんって誰? こんなところにいるってことは、巻き込まれただけのただの一般市民ってことはないと思うけど」
ヒノキ「こやつは、おそらくセイリュウじゃ。ずいぶんと年をとったようじゃが、確かに面影がある。どうして、シロといっしょに?」
晶華「そんなの、私が知るか! 大体、セイリュウって誰よ。ブラックシンカリオンに乗って、今度、紅バージョンににパワーアップする子供か何か?」
ヒノキ「いや、それはシンカリオンの中の話で、この花粉症ガール世界におけるセイリュウは、ヒノキ三獣士の一人。かつては東海を司る守護者であったが、15年前のファイナルウォーズで、わらわたちと戦い、シロの父である先代ビャッコを殺した、言わばシロにとっての仇じゃよ」
晶華「それって、ネコマタは今、仇敵と直面しているってこと? だったら、デビルガンダムを目の前にしたドモン・カッシュみたいなものじゃない。今だ未熟なネコマタが勝てるの?」
ヒノキ「無理じゃ。かつてのセイリュウは、わらわと、先代ビャッコと、暫定ゲンブの三人がかりで戦っても勝てなんだ。もちろん、わらわたちはエイリアンXのせいで本調子ではなかったとは言え、セイリュウを単体で倒せるとしたら、破壊者デストロイアか、大地母神ガイアの使いモスラか、金色の千年龍王ギドラか。いや、モスラも単体とは言えんか。双子が力を合わせねば、無理であった。つまり、セイリュウにシロが1対1で挑むのは自殺行為以外の何者でもない、ということじゃよ」
晶華「大変じゃない。私はネコマタのことが好きじゃないし、ネコマタ死ねって言ったりもしたけれど、本当に死なれると寝覚めが悪い。ここでネコマタを見捨てたんじゃ、花粉症ガールの仁義にもとるわ。何とか助けに行きましょう……私の快適な睡眠を守るためにも」
ヒノキ「どうやって屋久島の内部に入るつもりじゃ」
晶華「……無理ね。仕方ない。私たちには何もできないってことで、ネコマタには犠牲になってもらうしか。さよなら、ネコマタ。あなたのことは忘れない」
ヒノキ「諦めるの早ッ。お主は、それでも花粉症ガールか。花粉症ガールは諦めないんじゃなかったのか」
晶華「それはプリキュアであって、花粉症ガールじゃない」
ヒノキ「だったら、今すぐプリキュアに転職じゃ」
晶華「無茶を言わないで。私がプリキュアになんてなれるはずがないじゃない」
ヒノキ「いや、そうでもない。今週は明日パワーが満ちているから、期間限定で誰でもプリキュアになれるらしい。じゃから、わらわも早速キュアフェニックスに変身じゃ」
晶華「それはキュアスカーレットであって、フェニックスじゃないわよ」
キュアフェニックス「なあに、似たようなもんじゃ。さあ、アッキー。そなたも期間限定のキュアアッキーに変身するがいい」
晶華「何よ、キュアアッキーって。絶望の未来より舞い戻り、輝く朝日の3サンパワー。みんなハッピー、幸せのプリキュア、キュアアッキーって名乗ればいいの?」
キュアフェニックス「なるほど。キュアハッピーとキュアサニーをフュージョンさせると、キュアアッキーになるのか。何だかんだ言って、ノリが良いではないか。さすがはコナっちゃんの妹御にして、メガネシルバーだけはある。よし、二人でプリキュアになったからには、何だってできる。水晶球の中に突入して、シロを助けに行くぞ!」
キュアアッキー「落ち着いて、フェニックス。そんなことをすれば、水晶球に激突して、粉々に砕け散ってしまう。今の屋久島とは時間の壁も超えないといけないし、大体、私たちが突入しても、セイリュウさんに勝てる保証がない」
キュアフェニックス「だったら、どうしろと言うんじゃ。このまま手をこまねいて、みすみす仲間のシロ、いや将来のキュアシノビを見捨てろと?」
キュアアッキー「いや、キュアネコマタはさておき、ここは助っ人を呼びましょう」
キュアフェニックス「助っ人じゃと?」
セイリュウの過去
キュアゲンブ「それで、どうして我がこのような格好をさせられているのでござるか?」
キュアフェニックス「おお、何だかまるでミュータント・ニンジャ・タートルズみたいにファッショナブルで見違えたぞ」
キュアゲンブ「それで、我は一体、何を助ければいいでござるか?」
キュアアッキー「うん。亀おじさんはセイリュウさんのことを知っているのよね。この水晶球に映っているおじいさんって、セイリュウさんで間違いない?」
キュアフェニックス「どうして、今さらゲンブに尋ねるんじゃ。わらわの見立てがそれほど信用ならんのか」
キュアアッキー「うん(きっぱり)。リナ老師は思い込みが強すぎて、時々そそっかしいから、確実な意見が聞きたくて」
キュアフェニックス「そそっかしいのは、アッキーも変わらんと思うが。どう見ても、これはセイリュウじゃろう。なあ、ゲンブ」
キュアゲンブ「ああ、確かに面影はあるでござるが、どうも我の知るセイリュウとは根本的に違うような気がする」
キュアフェニックス「何が違うと言うのじゃ?」
キュアゲンブ「セイリュウという男は、もっとこうギラギラという覇気に満ちた目をしておった。目の前にあるものは全て破壊しようとする荒くれ者の目をな。言わば、世紀末覇者の如し」
キュアゲンブ「だが、この老人がシロを見つめる目。そこには殺気や闘気ではなく、慈愛とでも言うべき感情があるようだ」
キュアアッキー「うん。ネコマタの方も、別に仇を見るような目で、お爺さんを見ていないしね。目の前に父親の仇がいたら、もっと敵意を込めた表情をするんじゃないかしら」
キュアフェニックス「じゃが、シロはセイリュウの顔を知らん。一人で勝手に無謀な仇討ちに挑ませんためにも、知らせずに来たからのう。よもや、屋久島でセイリュウと遭遇するなどとは……」
キュアゲンブ「しかし、屋久島にセイリュウがいるはずがない。何故なら、セイリュウの姿は、他の地でも目撃されておろう。屋久島の結界がある以上は、外への出入りは自由にできないはず」
キュアフェニックス「ああ。セイリュウは神出鬼没で、その動向がなかなか掴めなんだ。しかし、ここに一つの仮説がある。セイリュウはそもそも一人ではないという可能性がな」
キュアアッキー「え? それって、私とお姉ちゃんみたいにセイリュウ1号とセイリュウ2号とか、またはKPちゃんみたいにマーク1とか、マーク2とか、マーク3とか、いろいろ分裂しちゃったってこと?」
キュアフェニックス「うむ、その質問に答えるなら、まずはセイリュウの過去を語らねばならん。初代セイリュウが現れたのは昭和29年。東京を火の海に変えた後、水中酸素破壊剤によって海の藻屑と消えた。そして、翌年に出現してアンギラスと戦い、大阪の町を蹂躙したのが2代目と言われておるな。以降の昭和セイリュウは全部、同一個体というのが公式見解じゃが、どう見ても、昭和30年と、昭和37年と、昭和39年のセイリュウは外見が似ているようで違っておる。歯並びの悪い逆襲セイリュウと、外耳のなくなった△体型でコングと戦ったセイリュウと、憎らしい悪役面で眉毛の太そうなセイリュウは、ダイエットしたとも、整形したとも、そもそも別人とも言われる次第」
Godzilla Raids Again (1955) - Newsflash/Special Announcement
【公式】「モスラ対ゴジラ」予告 東宝の2大怪獣スター、ゴジラとモスラの初対決を描いたゴジラシリーズの第4作目。
キュアアッキー「つまり、セイリュウさんはゴジラの眷属で、怪獣王の属性を持っている。そして昭和のセイリュウさんは、モスラさんに敗れた後、宇宙超怪獣キングギドラの襲来の際に、モスラさんの説得を受けて、ラドンさんと共闘したという話を聞いたんだけど」
キュアフェニックス「うむ。わらわとセイリュウの出会いの記憶はそこから始まるのじゃ。そして歴史は繰り返す。今年は、その時の戦いを元に作られた映画が世界中で公開される予定じゃな。それはともかく、昭和で一度は人類の味方として、悪の怪獣と戦う正義のヒーローとなったセイリュウは、子供たちのアイドルにもなって行った」
【公式】「ゴジラ対メガロ」予告 人間型電子ロボットのジェットジャガーが登場するゴジラシリーズの第13作目。
キュアアッキー「へえ。セイリュウさんはいい人になったのね」
キュアフェニックス「ところがじゃ。昭和59年、1984年にそれまでの歴史はリセットされ、昭和29年の初代以降、新たな2代目セイリュウが生まれることとなる。ここから平成VSシリーズにつながる世界線が始まる」
Godzilla vs Biollante - Japanese Newsflash/Special Announcement #1
キュアアッキー「84年以降のセイリュウさんは、再び人類の脅威となったわけね」
キュアフェニックス「まあ、敵味方という観点は主観にもよるし、それ以上の脅威が登場すれば、結果的に人類を助けてくれる守護者として振る舞ったりもした。勝った方が人類最大の強敵になる、というキャッチフレーズが使われたのも、この時期からじゃな。そして平成前期、90年代はVS時代と呼ばれ、以降はモスラやガメラに地球の守護者の役割が受け継がれることになる」
キュアゲンブ「セイリュウ不在の間は、我が活動していたわけだが、一方でセイリュウのパチモンがアメリカに出現したとの報もあってな」
キュアフェニックス「通称『マグロを食うダメな奴』じゃな」
キュアフェニックス「アメリカに出現したセイリュウモドキは、その後、公式にゴジラではないジラと名付けられ、スーパーマンではないパーマンみたいなキャラ付けがされておる。要は、本家のゴジラを知らないアメリカ人が、別の個体を勝手にゴジラと思い込んで名付けてみたら、実は別個体だということが後で分かって修正したようなもの。冥王星が惑星から準惑星に格下げされた件に例えられようか」
キュアアッキー「ジラと言えば、こういうキャラもいたよね」
キュアフェニックス「ジラースは、もしかするとゴジラザウルスが放射能を浴びずに別の進化を遂げた個体という説もあるが、セイリュウモドキに過ぎんのう。まあ、この系譜はゴメスやアーストロンなどが有名じゃが、それはさておき。再び、セイリュウが我らの前に現れたのは、世紀が明けるミレニアムの時代。その際、奴は己のアイデンティティーを揺るがされる呪いを、とある妖術師シロー・サノに掛けられたのじゃ。『お前は一体、何なんだ?』の言霊をな」
キュアアッキー「何よ、その妖術師って」
キュアフェニックス「その男は2年前にDr.パックマンを名乗ったりして、エグゼイド世界でも暗躍。永夢を人体実験し、バグスターウィルスを蔓延させた元凶の一人とも目されておる。また妖怪研究者でもあり、牙狼世界では元・闇斬士の絶心として媚空とも戦ったり、宇宙警察を乗っ取ろうとしてギャバンやゴーカイジャーと戦ったり、ウルトラマンオーブの世界では防衛チームのトップを装いながらマガタノオロチを復活させる原因を作ったり、とにかく恐ろしい男よ。超常現象を調査する『特命リサーチ200X』という番組で、松岡チーフと名乗っていたこともあったな」
キュアアッキー「恐るべし、シロー・サノ。つまり、様々なヒーロー世界を渡り歩いて、正義の組織に所属しながら、その影で邪悪な企みをして回っている怪人物と考えればいいわけね。そんな男にセイリュウさんは、自我崩壊の術を掛けられたということかしら」
キュアフェニックス「正にその通り。ミレニアンと呼称される異星人に乗っ取られそうになった挙句、妖術を掛けられてしまったセイリュウは、以降、自我を保つのに苦労し、毎年のように混迷した姿で暴れ回った結果、X時代と呼ばれるようになったのが平成中期。その中でセイリュウは、何度も人の手で消滅させられそうになったり、白目を向いた亡霊のような恐ろしい姿となったり、ハムスターになったり、初代セイリュウの骨から作られた機械龍と戦うことになったり、もはや自分自身を保てなくなるほど追い詰められてしまったのじゃ」
キュアゲンブ「それは……何とも気の毒だな。自分が何者か分からないまま、ただただ戦い続ける。セイリュウをそのように仕向けた元凶は何でござるかな」
キュアフェニックス「それこそ、実はエイリアンXの壮大な陰謀だったのじゃ。連中は、地球怪獣や地球人の一部にM塩基というものを埋め込み、自身の配下として操ることに成功。わらわも奴らの魔の手に落ちて、恥ずかしながら操られてしまったのじゃ。恐るべきは狡猾なエイリアンXよ。このままでは、地球がエイリアンXの支配下になるのも時間の問題だった」
キュアアッキー「すると、フルタンXもエイリアンXの尖兵なのかしら。NOVAちゃんも操られたりしているのかも」
キュアフェニックス「何でも、未来世界の物語ではエイリアンXがエクシフと名乗って、高次元怪獣ギドラを神と崇める宗教を思い描き、地球人類をギドラの生贄に捧げようと暗躍していたらしいが、そんなXに立ち向かったのが地球の守護神となったゴジラ・アースだとも聞く。じゃが2万年も先の未来の話は、今は置いておこう」
キュアアッキー「とにかく、X時代に自我崩壊したセイリュウさんが、アナザーセイリュウとか、ゴーストセイリュウとか、メカセイリュウとか、ハムスターセイリュウとか、いろいろ訳の分からないことになったけど、全てはエイリアンXと妖術師シロー・サノの仕業ということね。うん、大体分かった」
キュアフェニックス「まあ、大雑把な理解じゃが、今はそれで良しとしよう。そして、全てはファイナルウォーズに結実する。エイリアンXの地球支配に対抗すべくセイリュウは立ち向かったのじゃ。不覚にもエイリアンXに操られた、わらわ達を倒してまでもな」
キュアゲンブ「……すると、セイリュウが裏切ったという話は?」
キュアフェニックス「済まぬ、嘘ということになる。地球の守護者の視点からすれば、裏切ったのはエイリアンXに操られた地球怪獣、つまり、わらわたちと言うことになろう」
キュアゲンブ「どうして、そのような嘘を?」
キュアフェニックス「あの戦いで、先代ビャッコのキングシーサーと、暫定ゲンブのアンギラスが死に、わらわはかろうじて生き残った。そして、セイリュウは去り際にこう言ったのじゃ。『理由はどうあれ、仲間を葬ったのは、わしの罪。自我を失い、多くの犠牲を生んだのも、わしの破壊衝動ゆえ。ならば、その罪はわし一人が背負っていく。わしが裏切ったことにして、スザク、お主は再び地球が侵略されることのないよう、羽を休めて守護の態勢を整えてくれ。わしは、エイリアンXとの決着をつけに行く』とな。それが、わらわが直接、セイリュウの姿を見た最後じゃ。以後は、ゲンブよ、お主も知るように瀕死のそなたを見つけ、シロを育て、セイリュウの噂を集めつつ、モスラの力を受け継ぐべき娘の誕生を待ち望んで、今に至る次第」
キュアアッキー「その後のセイリュウさんって、2014年にアメリカに出現したり、2016年にエヴァンゲリオンとコラボみたいなことをしたり、いろいろな話に登場しているけど、一体どうなっているの?」
キュアフェニックス「ふむ。平成初期はVS時代。平成中期はX時代。では、平成後期、つまり2010年代はどういう時代か分かるかの?」
キュアアッキー「え? VSとXの次って、スパロボ風に言うならT? それともDD? あるいはΩかな?」
キュアフェニックス「VSシリーズが一本筋の通った流れがあり、Xシリーズは機龍2部作を除けば毎回が違う世界設定の物語であり、そして現状は多元宇宙の異なる世界の物語を同時並行で観測できるマルチバースな時代と言えよう。アメリカはモンスターバースを生み出し、日本はシンからアニメに展開し、そして、ここでは花粉症ガール時空に独自の怪獣物語を展開しておる。それらはミラーワールドのように、互いの物語を反映しつつも、別々の世界線を走る無限軌道のようなもの。平成後期はクロスオーバー&マルチバースで、現実と虚構が入り乱れる時代と言えようか」
キュアアッキー「話がややこしいけど、要は何が現実で、何が虚構かは、何を観察するかの量子論的テーマにも関係していて、これからの物語次第ってことね。そして、今、屋久島でネコマタと一緒にいるセイリュウさんは、数あるセイリュウさんの分裂した自我の一つで、これからは7つに分かれたセイリュウの自我を集めて回る、セイリュウボール、あるいはセイリュウクエストの物語が始まるってことでいいのかしら」
キュアフェニックス「いやいや、勝手にむやみやたらと話を広げるんじゃない。とにかく、今のわらわたちにできることは、シロの動向を見守りながら、必要な時に応援に駆けつける準備を整えることじゃ」
キュアアッキー「うん。その時は、私も協力するわ。だけど、今はもっと大切なことがあるの」
キュアフェニックス「何じゃ?」
キュアアッキー「そろそろ誕生日が近いので、NOVAちゃんのところに帰らないと。じゃあ、またね。アデュー♪」
(当記事完)