花粉症ガール・翔花伝&コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女主役の物語」&「その仲間たちの雑談話」など。TRPG話や特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。

少女たちの修行(新・屋久島編その1.5)

来訪者ふたたび

 

ヒノキ「よし、新兄さんから教わったパワーワード《混沌の渦》の操作にもだいぶ慣れてきたぞ。これで《遠見の水晶球》も使いこなせるようになったのじゃ。もうすぐ終焉を迎える旧コンパーニュも、あれから特に変わったこともなく平穏無事。こうなると、気になるのは屋久島に行ったコナっちゃんと、シロの動向じゃが」

ゲンブ「水晶球で見ることはできないのでござるか?」

ヒノキ「うむ。屋久島を包む結界が思いの外に強固での。中に入ることはおろか、外から中をのぞき見ることもできん」

謎の声「そうか。だったら、俺が手を貸さないといけないな」

ヒノキ「何者じゃ?   ……って、新兄さんか。来るなら来ると、前もって連絡を寄越すのが礼儀ってものじゃぞ」

NOVA「いや、新コンパーニュに引っ越したから、ブログがお隣さん感覚になりまして。こうやって気楽に顔を出すことができるようになったんですよ。で、明鏡戦隊メガネンジャーの件で報告したいことが」

ヒノキ「メガネンジャーだと?」

NOVA「そう。ヒノキ姐さんには、このたびバックアップ要員としてメガネフェニックスの称号を授けたいと思いました。次元ドルイドのハイラスさんにもメガネワイルドとして新加入してもらい、これでメガネンジャー新体制で行こうかと」

ヒノキ「つまり、名誉特別隊員から、正式なメンバーとして遇しようということじゃな。引き受けた。で、色は当然、赤を要求するが、赤はすでにダン隊長がいるのではなかったか?」

NOVA「ええ。ダン隊長のメガネレッドは赤と銀のカラーリングですので、メガネフェニックスは金地に赤のラインで装飾しようかと思います。イメージモチーフは黄金剣を持った飛鳥武蔵が赤い鳥型のオーラを放つような感じで」


~ Fuma No Kojiro ۞ Capitulo 5 parte 1/3 ~

 

ヒノキ「何と。飛鳥武蔵じゃと?   あの鳳凰星座の聖闘士・一輝兄さんの元キャラとも言われる伝説の超能力戦士(サイキック・ソルジャー)の力を、わらわに託すと言うのか。赤いオーラを放つ黄金戦士メガネフェニックス。伝説光臨ということじゃな」

NOVA「ええ。そういうノリで支援していただければ。それで、一応、常駐の暫定リーダーとして、こいつが認定されたわけですが」

晶華「てへっ。なぜか飛んできたキツツキのように、このたび私がメガネンジャーの暫定リーダーになることになってしまいまして。NOVAちゃんの言うことだから、てっきり半分妄言かなあ、と思っていたら、どんどん既成事実が作られて戸惑っている粉杉晶華ですマル」

ヒノキ「なるほど。アッキーが暫定でもリーダーか。だったら、リーダーとして務まるよう、しっかり鍛えてやらねばの(ニヤリ)」

晶華「え?  鍛えるって?」

NOVA「そう。こいつの修行をヒノキ姐さんにお願いに来たんですよ。さすがは話が早い」

晶華「まさか、私もお姉ちゃんみたいに、ここで修行するの?  NOVAちゃんから離れて?  そんなのイヤだ。私はNOVAちゃんのアシスタントガールなんだから、武術の修行とかバトルとかは、お姉ちゃんに任せたはずなのに。私の仕事は、読書とスパクロで知性と感性、根気強さを身につけて、NOVAちゃんのトーク相手になることなんだから」

NOVA「ああ、もちろん、その仕事は続けてもらうぞ。だけど、コンパーニュが近くなったんだから、定期的にここに通いながら、修行をつけてもらうことも簡単なはずだ。家にいるとゲームと読書だけで自堕落な時間を過ごす娘を、心身共に鍛えるために稽古事を習わせるのは、よくある親心だ。姉が塾を卒業したら、次に妹もお願いします、と親御さんから言われることも、俺の場合は割とよくある話だしな。親の手伝いとお稽古事は両立できるはずだ」

晶華「いや、私はNOVAちゃんが先生だから、家庭で普通に勉強できる環境にあるわけで……」

NOVA「勉強は教えられる。しかし、武芸は俺には教えられん。自分にできないことは、信頼できる仲間に託す。その代わり、自分にできることを磨いて、仲間を助けることで信頼を得る。それこそ自助・共助の精神。ヒノキ姐さんから武芸とともに、花粉症ガールとしての精神性を学べ。『少しのことにも先達はあらまほしきもの』とは兼好法師もおっしゃった。自分の周りの狭い世界だけでなく、もっと広い視野で先達を見出して、虚心坦懐に学ぶこともリーダーには必要となる。周りにちやほやされて人を見下すような了見の狭さは改善しないとな」

ヒノキ「そ、そうじゃ。驕り高ぶって、闇雲に人を見下すような輩はリーダー失格じゃ」

ゲンブ(アリナ様もどうやら思い当たることがあるようでござる。娘御を諌めるように見せて、何気なくお嬢さまをも諭すとは、さすがは新星どのと言ったところか)

晶華「うっ。分かったよ。虚心坦懐に学びます。よろしくね、ヒノキおばさん」

ヒノキ「おばさんじゃない!  もっとキュートな呼び方を考えるのじゃ」

晶華「え?  だったら私がアッキーだから、ヒノッキー?」

ヒノキ「キュートじゃない、却下」

晶華「だったら、ヒッキー?」

ヒノキ「余計に悪いわ。仕方ない。アリナで何かを考えるといい」

晶華「じゃあ、アが私とかぶるので、ミツルギ→ツルちゃんみたいに頭文字を抜いてリナちゃん?」

ヒノキ「竜破斬(ドラグスレイブ)を放ちたくなる呼び名じゃが、割としっくり来るので、それで決定。では、我々二人のユニット名はリナ&アッキーで決まりじゃな。略してリナッキー

 

気合と魔力

 

NOVA「では、新生メガネンジャーの件は了承いただけたということで、次なんですが、やはり屋久島の様子を覗き見るには、結界の強度を凌駕するマインド・リンク、すなわち心の絆が必要だと考えます。そのために、晶華の双子の想いの力を俺とヒノキ姐さんの魔力でブーストすれば、翔花に届くんじゃないか、と」

ヒノキ「ふむ。双子の交信力は侮れんからな。試す価値はありそうじゃ」

晶華「だけど、今の私で上手く行くかなあ。魔力だって枯渇しているし」

ヒノキ「魔力が枯渇じゃと?  そんなもの、気合で何とかせい!  武術も魔術も、何よりも気合が大切じゃ」

晶華「そんな前時代的な精神論で、何とかなるものじゃないでしょう?」

NOVA「いや、ヒノキ姐さんの言い分は間違っていない。言葉が足りないだけで。晶華、お前は気合を何だと思っている?」

晶華「え?   そんなの、うおーーーーーって叫んで、ファイトォ、一発って掛け声を上げて、感情エネルギーで強くなるって奴でしょう。スパロボやってたら、そんなの常識よ」

NOVA「それは表面的なところしか見ていない奴の言い草だ。言霊的には、気合とは気を合わせることを意味する。では、何と合わせるか。大雑把に言えば、気には内気(ないき)と外気(がいき)の二種があり、多くの生物は呼吸によって外気を取り込み、生命活動を営んでいる。これは用語こそ違えど生物学の常識であり、花粉症ガールのような精霊にとっても、内と外の霊気循環の概念は変わりない。ここまでは、お前も理解しているだろう」

晶華「うん。私は植物の精霊だから、呼吸ではなく光合成で栄養分を作ることができるけど、外気と内気の循環作用によって活動しているということは分かるよ。内気とは体内の気、外気とは体外の気と考えていいんだね」

NOVA「そうだ。そして、気合とは単に内なる精神の力だけではなく、自分の心の気、すなわち意思の力を、周囲の事象と結びつけて、事象への知覚を鋭敏にし、事象への作用力を向上させ、万物へ心を開き、心を万物に伝える。すなわち、我即宇宙、梵我一如の境地を体現することにある。そのための方法論や修行法を各宗教、そして魔術や武道は説いてきたが、目指すところは結局、自分の生命をどう周囲の環境や宇宙に通じ合わせるか、ということだ。

「ヒノキ姐さんの言う気合というのは、単なる精神論、自分の心の中から湧き出すエネルギーではなく、自分の内と外の気を通じ合わせることを示唆している。お前は性格が内気(うちき)だから、自分の内面しか見ようとせず、外の気に意識を向けて、そこから力を通じ合わせて受け入れることができていない。だから、体内の魔力が枯渇しても、外から補充する手段を持たずに回復できないのが現状というわけだ」

ヒノキ「ほう。さすがは言霊魔術師にして、教師である新兄さんじゃ。わらわが体得している概念を的確に伝えおった。そう、アッキーに気合が足りんと言ったのは、外から魔力を取り込む技を会得していない。例えば、お主がわらわに仕掛けた不意討ちキック。何と叫んでおったかの?」

晶華「晶華3サンアタック、大胆クラッシュのこと?」

ヒノキ「そう。元ネタはダイターン3なんじゃろうが、気合が入ってないので威力はスカスカじゃ。元ネタとは比較にもならん」


スパロボV ダイターン3 サン・アタック

 

晶華「そりゃ、本家のダイターン3の威力に勝てるわけがないじゃない。質量が全然違うわ。破嵐万丈さんの操縦する無敵鋼人ダイターン3は身長120メートル、体重800トンの巨大ロボット。それに引き換え、花粉症ガールは等身大の華奢な女の子なんだから」

ヒノキ「い〜や、そういう問題ではない。お主は、『日輪の力を借りて』と申しておったが、本当に借りておったのか?」

晶華「そんなの、ただのお約束の前口上じゃない」

ヒノキ「だからダメなのじゃ。ダイターンは本当に太陽エネルギーで動くから、そのエネルギーを放出すれば確かに日輪の力を借りたことになる。言葉に嘘偽りがないから、技にも説得力が増す。しかし、お主は何じゃ?  花粉症ガールは光合成をエネルギーにしておるんじゃろう?  だったら自信を持って、『日輪の力』を技に込めればよい。さすれば本当の意味で必殺技に高めることもできよう。ただのお約束の前口上で日輪を使うだけなら、子供にもできるごっこ遊びに過ぎん。花粉症ガールの技を、そんな児戯に貶めては日輪に対する冒涜じゃ。天の道にも反する重罪と心得よ」

晶華「何もそんな大げさな……」

NOVA「そうでもない。魔術の概念では、軽々しい言葉は時として周囲の気の調和を乱すので、周囲の空気の変化に鈍感な者は下手な言葉を慎むべし、とある。言葉の使い方一つで、友を敵に変え、幸運を災いに変え、誠意を欺瞞に貶めることも現実にあるわけで、それに無頓着な者は自らの言動を弁えよ、ということだ。お前の魔力がどうして枯渇したか分かるか?」

晶華「そんなの、未来の3年分の経験がリセットされたからでしょう?」

NOVA「それだけなら、お前は夏の時点に戻るだけで済む。だが、今のお前は夏以下に成り下がっている。少なくとも、夏までのお前は魔力が枯渇したなんてことは一言も口にしていなかったはずだ」

晶華「それはアナちゃんに奪われたから……」

ヒノキ「わらわはお主の魔力なぞ奪っておらんわ」

晶華「いえ、私が言ったのはアリナちゃんじゃなくて、アンナちゃん……って名前、紛らわしいよ」

NOVA「そう言えば、ヒノキ姐さんにはまだ伝えてなかったな。未来に飛ばされた晶華は、アナザーショーカという人格を植え付けられて、吸血花粉症ガールと化してしまった。その呪いを解除して元に戻って、アナザーショーカの魂は現在封印中ということです」

ヒノキ「なるほど。大体分かった。タイムジャッカーの連中が、アナザーショーカを未来の女王に仕立て上げようとしているのを、新兄さんがショーカライドウォッチの力で生成したショーカアーマーの力で撃退し、その後でウォズに祝われて、また一つ魔王への道を進んでいるということじゃな」

NOVA「おおむねその通りですが、ところどころ間違っています。俺は魔王にはならないし、ウォズにも祝われていません。まあ、ショーカライドウォッチはないけど、ドゴランアーマーはあるし、ジオウの物語と花粉症ガールの物語はそこそこリンクしていますが。もっぱら、俺がジオウの物語をネタにしているけど、たまに俺の書いたネタをジオウが後追いしているように感じることもあったり。これもまあ、俺の気と平成ライダーの気が通じ合っていて、相互作用をもたらしていると自負しているわけですが、妄想かもしれない。誰かの客観分析が欲しいかも」

ヒノキ「ともかく、奪われた魔力はまた取り戻せばいい。簡単なことじゃ」

NOVA「そもそも奪われていないですよ。こいつがそう思い込んでいるだけで」

晶華「へっ?   だって確実に魔力は減っているよ」

NOVA「当たり前だ。今は冬なんだし、北半球の日照時間が減っているんだから、光合成エネルギーが足りなくなって当然だろうが。夏より冬の方が、花粉症ガールの天然魔力生成パワーが減少して何の不思議がある。心配しなくても、春になれば自然回復するさ」

晶華「え?  季節の移り変わりによるバイオリズムの変化に過ぎないわけ?」

NOVA「理由その1はな。理由その2もあって、お前の魔力枯渇は姉・翔花が屋久島に行ったせいで、双子のリンクが絶たれたことにもある。つまり、双子が揃えば、相乗効果で力が高まるんだけど、片方だけだと力が発揮できないわけだ。だけど、お前も一人で戦える方がいいだろう。だから、ヒノキ姐さんから武術と魔力の補充方法を学べ」

ヒノキ「わらわは九州の火の精気と温泉パワーがあるから、冬場でも問題ないがの。アッキーも同じ手段が通じるかどうかは分からん」

NOVA「だよな。俺はヒーロー魂と、多元宇宙の時空を越えた言霊パワーと、仏への祈りという信仰で霊力・魔力を充填しているが、娘も同じとは限らないし」

晶華「私は……NOVAちゃんへの愛?」

ヒノキ「精霊が契約主に愛情を抱き、そこから魔力を充填するのは、ごくごく当たり前の感情じゃが、それだけではダメなのじゃ。契約主の霊力・魔力を奪っているだけで、自ら生み出しているわけではないからの。依存・寄生ではなく自立・共生の道を歩むには、太陽光から自然に得られる以外にも、何かの力の充填方法を見出さねばなるまい。それにはアッキー、お主が自分を見つめ、外の世界を見つめ、双方の気を合わせる方策を自ら見出だす必要がある。わらわも新兄さんも助言はできるが、最終的に己のエネルギー源は己で確保せねばな」

晶華「私の力の源……今はNOVAちゃんと、お姉ちゃんと、太陽しか考えられないよ」

NOVA「まあ、俺の血を飲みたがるよりはマシなんだがな」

 

水晶球の映すもの

 

晶華「とにかく、私の魔力の枯渇は、冬だから太陽光が弱いのと、お姉ちゃんとの接触が絶たれたから、ということね。アナちゃんに奪われたわけじゃなくて」

NOVA「そうだ。まあ、お前にとっては初めての冬だから、自分の体調の変化の原因に気付かなかったとしても仕方ないんだがな。もう少し早く俺に打ち明けていれば、すぐに原因の特定はできたのだろうが」

晶華「だって、NOVAちゃん、仕事で忙しそうだったし、心配かけたくなかったから」

NOVA「後から分かって大事になる方が困るから、大切な悩みは抱え込むな。俺はお前の保護者なんだからな」

晶華「うん、分かったよ、NOVAちゃん(ニッコリ)」

 

ヒノキ「さて、父娘の語らいは済んだかの。それで、アッキーの魔力はわらわと新兄さんで補充するとして、水晶球をどう扱うつもりじゃ」

NOVA「姉・翔花の位置座標を妹・晶華に特定させます。そうしてターゲットが定まれば、一点突破で魔力・霊力を注ぎ込むことで結界が破れるかも。あるいは、大地の母精霊ガイアと接触を果たせれば、力技で押し破れなくても連絡交信が可能になることも想定していますが」

ヒノキ「大地の母精霊ガイアじゃと?」

NOVA「ええ。モスラは母なる精霊の化身であり、その力の根幹がガイアと呼称されます。晶華が座標を特定し、ヒノキ姐さんが結界の扉をノックし、ガイアの注意を引きつけ、俺がガイアと交渉する。俺たちの目的は、結界内部の動向を知ることなので、ガイアと連絡が取れさえすれば、力技で結界を破らなくても済む。結界がある以上、何か危険なものが封印されている可能性もあるので、むやみに力技に頼りたくはない。だから、ヒノキ姐さんは俺の指示に従い、可能な限り力をセーブする。これでよろしいでしょうか」

ヒノキ「ムッ、力を抑えるのは苦手じゃが、頑張ってみよう。難しい力加減の調整は、新兄さんに任せるってことで良いのじゃな」

NOVA「ええ。スパロボで例えるなら、晶華が必中、ヒノキ姐さんが気合と熱血、俺がてかげん担当と言ったところでしょうか。あるいは結界のHPを3分の1まで減らせば、ガイアを説得可能になるというミッション。ただし、結界そのものを破壊してはいけない。こういうイベントだと考えていただければ」

ヒノキ「イメージはできた。相手のHPを新兄さんが把握できているなら、何とかなりそうじゃな」

ゲンブ「それで、我は何をすればいいでござるか」

NOVA「ああ、ゲンさんね。このミッションでは、戦士にできることは何もなさそうだけど、俺たちの消耗が激しくなるかもしれないから、気力を回復するための食事の準備でもお願いできないかな」

ゲンブ「スタミナ料理でも作ればいいのでござるな。心得た、お任せあれ」

ヒノキ「うむ。各人に明確な仕事を割り与えるのも、リーダーには必要な能力じゃ。アッキーも実例を見て、しっかり学ぶがよい」

晶華「うん、単に威張って命令するんじゃなくて、適材適所を考えて、役割の意義をしっかり伝えるってことだね」

 

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謎の声(誰?  屋久島の結界に接触する魂は?)

NOVA(俺だ。娘を屋久島に送り込んだ時空魔術師だ)

謎の声(ああ、未来の混沌の主、妄魔時王になる人間ですね)

NOVA(ならねえよ。俺は中道を行くWhite NOVAだ。混沌に与したつもりはねえ。お前は大地の母精霊ガイアでいいのか?  モスラの力の源にして、俺に接触した当体だと考えるが)

ガイア(ええ。私はガイア。カオスから生まれ、幾多の神々や魔物を生みし原初神です。あなたの混沌の資質に目を付け、交信しました。何しろ、花粉症ガールという存在は混沌の産物。あなたは混沌の父となる資質を見せたのです)

NOVA(……つまり、花粉症ガールが育てば育つほど、俺は混沌に近づくと言うことか?   こいつは参ったな。俺はコズミック・バランスを大事にしたいんだが)

ガイア(秩序が強すぎれば停滞し、混沌が強ければ変化する。この概念は理解していますよね)

NOVA(ああ、分かっている。混沌も上手く扱えば、進化と成長の起因となるので俺好みだし、時間の流れも混沌そのものなので、完全な秩序が時間の停止、未来の否定につながることは俺も分かっている。だが、混沌だらけで安定した物が何もないというのも落ち着かん。何事もバランスが大事だろうが)

ガイア(しかし、私に接触したということは、状況の変化を望んでいるということですね)

NOVA(状況の変化、というか、娘たちが屋久島でどうしているのかを知りたい。そういう親心は理由にならないのか?)

ガイア(あなたの娘は、羽化のために過去へと遡っています。帰って来たときには、違うものに進化していますよ。混沌の力を備えた妄魔王女に)

NOVA(何だそりゃ。俺は娘をそんな物にするために屋久島に送ったわけじゃねえ。モスラの力を手に入れるためだと信じてだな)

ガイア(確かにそうです。モスラ、すなわち妄修羅なり。変幻自在に時空を飛び回り、愛と夢、幻想を振りまくインファント島の守護神。自然の象徴であり、文明とは相容れぬ怪獣にして、時に大地の怒りそのもの。されど破壊が目的ではなく、平和を愛し、正しき心の人を愛する正義の存在。混沌にして正義、これこそモスラなのです)

NOVA(モスラが妄修羅、すなわち妄魔と呼称されるとは気付かなかったぜ。すると、娘がモスラの力を宿すということは、俺が妄魔時王に一歩近づくと解釈していいんだな)

ガイア(そもそも、娘に怪獣の力を宿す選択をする時点で、十分に混沌の魔王そのものではないですか。今さら、何を言っているのですか、あなたは?)

NOVA(うう、確かに。では、こうするしかない。俺は最高最善の妄魔時王かつ救世主になって、自分の中の矛盾のバランスをしっかり取る)

ガイア(一言で言って、あなたは欲張りで、バカで、どうしようもないオタクですね)

NOVA(一言じゃねえ。三つも言いやがって。ああ、俺は光も闇も内包したい欲張りだし、バカと言えば特撮バカだし、オタクなのは否定しないけどよ。どうしようもない、という言葉だけは否定する。オタクとして、マニアとして、どうにかしてやるぜ。White NOVAは諦めない。何でもできる、何にだってなれる)

ガイア(だったら、妄魔時王になって下さい)

NOVA(断る。何にだってなれる、とは言ったが、なりたくない自分になる必要はない。世界が俺に妄魔時王のレッテルを貼り付けても、俺はそれを否定し、俺自身、白き新星であることを貫くぜ。これが俺の生きる道)

ガイア(……なるほど、あなたは意志の強い、しっかりした正義感をお持ちのようですね。そういう人間ならば、信頼して、結界の中を示すこともできましょう。花粉症ガールの父よ、あなたは心の試練に打ち勝ちました。合格です)

NOVA(ん?  今のは試練だったのか?)

ガイア(ええ。あなたが私の誘惑に乗って、妄魔時王の道を歩み始めたら、私はあなたの自我を破壊し、傀儡として操る気が満々でした。ガイアの使徒として、大地と混沌の教えを広めてもらおうかとも考えておりましたが、あなたは単に傀儡として扱うよりも面白い可能性を秘めていると考えます。あなたは何をしでかすか分からないが強い正義感を持っている。すなわち、精神性はどうあれ、縛り付けない方が良き妄魔時王として振る舞うことでしょう。汝の為したきようになさい。私は神として汝の行動を束縛せず、求められれば支援も致しましょう)

NOVA(……何だかしっくり来ないが、大地の母精霊ガイアに俺を認めさせ、屋久島の中の出来事を知覚できるようにはなったわけだな)

ガイア(ええ、花粉症ガールの父を、将来の妄修羅の父として遇します)

 

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NOVA「はあはあ。恐ろしい試練だったぜ」

晶華「NOVAちゃん、汗びっしょり。大丈夫?」

ヒノキ「急にトランス状態になったかと思えば、『俺は最高最善の妄魔時王かつ救世主になって……』とか呟いて、気でも違ったのか、と思ったぞ』

NOVA「いや、そういう誘惑に乗らない意志の力を試す試練だったんだ。何とかクリアして、ガイアの助力を得ることに成功したと思うぜ。ギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張ったからこそ、ウルトラマンにだってなれる。正にそういう気分だな」


ウルトラマンガイア!~超時空の大決戦~[MAD]

 

NOVA「それで、水晶球には映ったのか?」

晶華「うん、お姉ちゃん、しっかり寝てるよ。縄文杉に抱かれてね。NOVAちゃんの予想した通り」

NOVA「ああ、ガイアの話だと、思念体だけが過去への旅をしているそうだ。モスラの力を得るためにな。帰ってきた翔花がどうなっているかは、俺にも不明だ。時空と混沌、大地の怒りを体現した存在らしいが……優しさは失わないで欲しいな」

晶華「大丈夫。お姉ちゃんは私より強くて優しいもん」

ヒノキ「しかし、シロはどうなったのかの?」

NOVA「翔花と一緒ではないみたいですが、探してみますか?  今ならガイアの結界を超えて、屋久島内を自由に知覚できるみたいだし」

 

(当記事完。新・屋久島編その2「ビャッコとセイリュウ」につづく)