GM日野木アリナのごあいさつ
平成という一つの時代が終わりを迎えようとする昨今、ちまたでは何だか「新世界」というキーワードをやたらと耳にするような気がするのう。
新世界といえば聞こえがいいが、それはすなわち旧世界を終わらせるなり、住人たちがこぞって移住するなり、大きな変動を伴うことになる。
そして、何も知らぬ初心者が新しい風に誘われて元気に世界に飛び込む一方で、旧世界に愛着のある者が葛藤したりもする。新時代に対応しようとアクティブに振る舞う者、旧世界への愛着が強くて惜別の念が絶ち難くネガティブに受け取る者、さまざまな想いが明暗に分かれたりもしながら、ドラマを紡ぎあげていくこともしばしばじゃ。
破壊と建設の対比を謳い上げた物語も、それぞれが終了の時を迎えたり、これから迎えようとする今、ソード・ワールドもまた来年の30周年に向けて、新大陸アルフレイムでの冒険が開幕を迎えた。
7月にルールブック1が出て、その後も、リプレイ2冊、スタートガイドまで展開し、9月20日にはいよいよ2冊目のルールブックが発売される予定。
わらわとしては、昔の思い出は思い出として心にしっかりと根付かせると共に、新たな光を求めてきちんと枝葉を伸ばしていくことも大切だと心得ている。
自分の核となる幹を軸に、命の炎を維持し続けるためには、新陳代謝をしっかり心掛けながら、花を開かせ、次代へ受け継ぐ果実を育むことも肝要じゃからな。
心が枯死しないためには、新鮮な滋養や水分、風を貪欲に取り込み、情熱を滾らせられる自分でありたいと思うことしばしばじゃ。
わらわのことを年甲斐もなく、はしゃぎおると評する者もいれば、もっと落ち着いた成熟を見せてくれ、と望む者もいる。
じゃが、わらわはわらわじゃ。絶えず未熟であり続けながら、果てしない成長に向けて、心火を燃やし続けて、日々を歩み続ける。彼らのようにの。
そう、終わったと思っても、まだ歩みを止めず、時が来ればまた永遠に飛翔するフェニックスのような戦士みたいにの。
今回は、そんな戦い続けるヒーロー魂を持った人に捧げる演舞の儀式じゃ。しっかり堪能できるバトルになることを期待しておるぞ。
バトルリプレイの飛び入り解説役
ヒノキ「そういうことで、7月以来、キャラ作りから始めたSW2.5編のクライマックスバトルの幕開けじゃ。司会はわらわ、TRPG好きの女の子、日野木アリナ。解説は……」
弥生「2代目キョウリュウバイオレットにして、このブログ時空ではメガネピンクにスカウトされた弥生ウルシェードです。こちらのコンパーニュの塔でメガネシルバーの眼鏡、シルバーアイズをお預かりしているという話だったので、回収に伺ったところ……」
ヒノキ「このような貴重な品物を、そう簡単に渡すわけにはいかぬ。そなたがいかにメガネンジャーのヒロインの一人であろうと、わらわの目には年端もいかぬ小娘に過ぎん。返して欲しくば、わらわの主催する儀式を手伝うがよい」
弥生「……と無茶振りされて、解説役を押し付けられました。私はTRPGなんて、プレイしたことないのに」
ヒノキ「そうは行っても、手渡したルールブックとリプレイ本を熱心に貪るように読み込んでおったではないか」
弥生「それはもちろん、データ解析は私の専門分野ですから。聞くところによると、その昔、私たちキョウリュウジャーの先輩に当たる恐竜戦隊ジュウレンジャーにもTRPGのルールブックがケイブンシャから発売されていたとか」
ヒノキ「うむ。ジュウレンジャー放送当時は1992年。まだ冬の時代を迎えておらず、TRPG業界が最初の繁栄を謳歌していた時期じゃったからの。ジュウレンジャーという作品自体も、当時流行していたファンタジーRPGの要素を積極的に取り込み、伝説の勇者VS幻想モンスターを作成・召喚する悪の魔女の戦いをフィーチャーし、その果てには神(の名を冠したロボ)とサタン(の名を冠するラスボス)の戦いにまで至る。主題歌もファンタジー要素が濃厚じゃ」
弥生「おまけに、私たちメガネンジャーの司令も時空魔術師を名乗るようになったきっかけがTRPGにあったという話も聞きます。それなら、この機に私も勉強する価値があるんじゃないかと思いまして。にわか勉強の解説ですが、それでもお役に立てれば、と」
ヒノキ「そなたは、生者の身でありながら、死者の霊から成るスピリットレンジャーのメンバーに迎えられ、我ら精霊にとっても興味深い娘御じゃったからの。きっと霊と交信する素養も持ち合わせておるのじゃろう。ならば、その才能、TRPGを通じて開花するやもしれぬと、わらわは踏んでおる。メガネピンクには是非とも、科学と精霊魔術の融合したサイエンス・スピリットの奥義を極めて欲しいのう」
弥生「ええと、それは旧版ソード・ワールドにおける精霊魔法語、サイレント・スピリットのもじりだと思いますが」
ヒノキ「わらわは最新版の資料しか渡しておらんのに、どうして旧版のネタが分かるんじゃ」
弥生「それは、うちのチームの翔花ちゃん、メガネシルバーが精霊少女という縁で、ロードスを始めとする関連書籍をいろいろ貸してくれましたから、多少の勉強ぐらいはします」
ヒノキ「何となく、そなたにとっての多少とは、普通の人にとっての多少とは異なり、多々の意味合いという気がするのう。結構マニアックにズブズブはまりそうな資質を感じるのじゃ」
弥生「ということで、メガネンジャーではあまり目立った出番のなかった弥生です。ここでは、セリフも多く与えられそうなので、解説役を頑張ってみたいと思います」
ヒノキ「では、両陣営のHPとMPのデータを確認しようかの」
★コンパーニュ組
1.シロ:HP19、MP10
2.ゲンブ:HP33、MP13★コナス義ーズ
1.翔花:HP19、MP23
2.ケイP:HP24、MP10
3.新華:HP−、MP24
弥生「HP量ではコンパーニュ組の方が有利で、MP量はコナス義ーズの方が上ですね」
ヒノキ「作成時のキャラのHPは、職業の選択よりも、素の生命力に基づくところが大きいからの。ゲンブは竜人リルドラケンというタフな種族で、生命力が27もある。ある意味、ルールブック1ではなく、2の種族を使っている時点で、チートだとも言えるの」
弥生「このHPをコナス義ーズが削りきれるかが、勝負の分かれ目かと考えますが、キーとなるのは、フェローという形で参戦した新華さん。魔法攻撃は防護点無効ということですから、対ゲンブに関しては最も有効と考えられます」
ヒノキ「そう、新華というキャラがいなければ、コナス義ーズは圧倒的不利じゃからな。ケイPはともかく、コナっちゃんのキャラが攻撃力に大きく欠けるでの。プリースト2レベルだから回復支援担当じゃが、その分、攻撃手段がフェンサー1レベルでは、他の面々がグラップラーやファイターを2レベルまで上げている以上、命中回避が心もとない。おまけに筋力も低いとあっては、クリティカルによる破壊力もあまり当てにならん。回復だけではジリ貧になるのが目に見えておる」
弥生「それでも、私は仲間の縁でコナス義ーズを応援したいと思います。本来、解説役なので中立的立場が望ましいのかもしれませんが」
ヒノキ「いや、そうしてくれると、わらわも立場上、堂々とコンパーニュ組を応援できる。一応は、コナっちゃんにも頑張って欲しいのじゃが、シロやゲンブは大切な仲間じゃからな」
弥生「それでは、各々の立ち位置が明確になったところで、いよいよ決戦のゴングを鳴らしたいと思います。SW2.5ファイト!」
ヒノキ「レディーGO!」
第1ラウンド
ヒノキ「さて、双方、ダイスを握りしめて、睨み合っているようじゃの」
弥生「ルールブックによると、戦闘開始処理は、陣営確認、戦闘準備行動、魔物知識判定となっていますが、そこまでは省略して、先制判定から行うようですね。先制判定はスカウト技能によるもので、シロさんが4、翔花さんが3となっており、こっちが不利みたいです」
ヒノキ「一応、技能なしでも平目で振ることはできるがの。それでも、このイニシアティブをどっちが取るかで戦況が大きく変わってくると言えよう」
弥生「確かに。コナス義ーズにとっては、魔法の支援を得てから先に攻撃できるか、それとも魔法の支援なしに先に殴られた後、回復に回らなければいけないかで戦況が大きく変わって来ますからね」
ヒノキ「うむ。そなたに解説役を任せて、正解だったようじゃ。しっかり勝負の勘どころをつかんでおる。では、外野は少し黙って、現場の声に耳を傾けるとするかの」
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シロ「翔花、行くぞ。イニシアティブダイスは(コロコロ)5。低かったか。合わせて9だ」
ゲンブ「我も平目で9。シロ、手を抜きすぎではないか」
翔花「じゃあ、7以上を出せば、私の勝ちだね。(コロコロ)10。やったね。先制判定は13だから、こっちが先に行動できる」
ケイP『素晴らしい。さすがは翔花ママ。これで、こっちが有利に戦いを進められます』
シロ「なあに、ちょうどいいハンデさ。さあ、掛かって来い」
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弥生「どうやら先制権は、コナス義ーズが取った模様です。これで戦況が大きく変わったと思いますが、解説のヒノキさん、いかが思われますか」
ヒノキ「ちょ、ちょっと待て。解説役はそなたで、わらわは司会だったはずじゃが」
弥生「最初はそのつもりでしたが、ルールにより詳しいのはヒノキ様。私が仕切りのかたわら、ヒノキ様に質問を振って解説をお願いする方が、役割分担としてはちょうどいいかと判断しまして」
ヒノキ「ムムッ、言葉巧みに仕切り役を乗っ取るとは、メガネンジャーの女子とは、実は腹黒集団が揃っておるのかもしれんの。そういう観点で見れば、コナっちゃんの妹御を筆頭に、ロイミュードのメディックに、難波重工の女スパイと来たもんだ」
弥生「メガネイエローのアリサ隊員は、別人ですよ」
ヒノキ「そんなの似たようなもんじゃろう。おまけに役者の滝裕可里女史は、ビルドの放送時に自身のブログで思わせぶりなことをいろいろ書いて、ネット上での反応をいろいろチェックしながら、リアル女スパイみたいに情報をかく乱することで、ファンの間の番組視聴を盛り上げていたことを最近のインタビューで嬉々として語っておったからな。役者が腹黒なら当然、演じる役も腹黒と考えるのが筋というもの。もう、わらわの中では、そういうイメージがこびり付いておる。もっとも、そういうのは嫌いじゃないがな」
弥生「何だか、変身しなくても心はメガネブラックって言われているようで心外ですが、それでも役者としては影が薄いと言われるよりマシだと思います。それより、先程の質問にまだ答えてもらっていませんが」
ヒノキ「フム。せっかく得た先制権をコナっちゃんたちがどう活用するか次第じゃが、ゲンブの奴がここに来て、大きなミスをやらかしていることに気が付いての」
弥生「と、仰られますと?」
ヒノキ「先程、飛ばされた戦闘準備行動じゃよ。本来なら、その時にゲンブは『シロをかばう』宣言をすべきじゃった。それによって、先制でシロが攻撃を受けても、ゲンブがカバーに入ることができるのじゃが」
弥生「ゲンブさんはベテランの武人ですよね。どうして、そういうミスを犯したのでしょうか」
ヒノキ「ベテランゆえに、じゃよ。あ奴が慣れておる前版のルールには、戦闘準備なるものはなかった。先制を取られたら、そのまま殴られっぱなしで、一撃の大きい高レベルになればなるほど、態勢挽回が難しく、先に殴ったものが圧倒的に有利となるゲームじゃった。だが、今回の最新版ルールでは、その辺がマイナーチェンジされての。先制を取られても、最低限の防御行動は取れるように、戦闘準備行動が付加されておる。ゲンブはそのことの意味を軽視したか、あるいは前版の感覚でおったのじゃろう。つまり、時代の変化に対応できない旧態依然と言えよう。それが致命的な失態にならなければいいがの」
第1ラウンド先攻(コナス義ーズ)
翔花「先制を取ったら、最初は全員後衛配置が定石なんだよね」
ケイP『そうです。集団魔法を敵味方関係なく巻き込まないためにも、後衛配置が基本でございます』
シロ「チッ、翔花は素人だが、ケイPの奴がしっかりルールを研究してやがる。それに比べて、ゲンブ、お前は戦闘準備で『かばう』宣言を忘れていたな」
ゲンブ「かたじけない。そなたが先制権を取ると思い込んでいたのだ。まずは1ラウンド目の攻撃をかわしてくれ」
シロ「ああ。劣勢はすぐに挽回してみせる。こっちは2人とも、前衛配置だ。さあ、掛かって来い」
翔花「分かった。まずはフィールド・プロテクションの魔法を使うよ。ピンゾロじゃないので呪文は掛かった。これで私とケイPちゃんの受けるダメージが1点軽減。MPは2点消費して、残り21点。回復魔法のキュア・ウーンズはMP3点で使えるから、ええと……」
ケイP『21÷3=7で、あと7回使用可能です』
翔花「ああ、割り算はこんな時に使えるんだ。結構、便利だね。よし、私も割り算をしっかり覚えるぞ」
ケイP『その前に、掛け算の九九をしっかり覚えてください』
翔花「うう、1の段と、2の段と、5の段は覚えたんだけど、3の段から難しくなって。お風呂でシロちゃんにも付き合ってもらっているんだから」
シロ「ムダ話はいいから、早く来い。どうせケイPが前衛に踏み込んで、ボクを攻撃するんだろ? ゲンブのガードがない今、ボクに大ダメージを与えるチャンスだからな」
ケイP『もちろんでございます。ここで楯を捨てて、ヘビーメイス両手持ちで一気に決める手もありますが、さすがに一撃で倒せる可能性は低そうですし、その後の反撃3発を一人で凌がないといけないことを考えると、危険な賭けは行えません。堅実に、補助魔法ターゲットサイトでMP2点消費して、命中ボーナス1点上げて、命中基本値6からスタート。ダイス目は(コロコロ)6。合計12です」
シロ「フン、それなら7を出せば避けられる。(コロコロ)9。当たらなければどうということはない」
ケイP『しかし、ここでフェローの新華さんに動いてもらいます。翔花ママ、1Dを振ってください』
翔花「うん。(いっころ)2が出たよ」
新華『望みどおり支援してあげる。感謝なさい』
ケイP『うわーい。感謝しますよ。的確なタイミングでプロテクションの魔法を受け取りました。これで最初の防護点6に合わせて、プラス2で、物理攻撃を8点まで防げます』
ゲンブ「チッ、防御態勢を整えられてしまったか。だがいい。次はこちらの反撃でござる。ジェネラル・バックラー、推して参る!」
第1ラウンド後攻(コンパーニュ組)
ゲンブ「先に殴るぞ。忘れぬうちに、シロをかばう宣言しておいてから、翼を広げて命中・回避を1アップ。(コロコロ)出目は5。合計9。チッ、体がなまったか?」
ケイP『回避ダイスは6。合計10。それじゃダメですよ、ゲンブさん。様子見でもしているのですか』
シロ「チッ、低レベルな争いでじゃれ合っているな。ボクが行く。ケイP、お前のネコ耳は前から気に入らなかった。このコンパーニュにおけるネコ耳従者の座は、お前には決して渡さん。まずは、一撃。(コロコロ)3。ボクは自分の未熟さが許せない。合計7だ」
ケイP『そんなもの、11と言って避けます』
シロ「フフ、掛かったな。今のは牽制。本気の一撃は2発目だ。(コロコロ)来た、10だ。合計14。この一撃避けられるか!」
ケイP『さすがにそれは……(コロコロ)おお、6ゾロクリティカル。ドゴラの時代きたー』
シロ「何だと? 天がドゴラに味方している?」
ゲンブ「我らの三連続攻撃を全てかわしてのけるとは、腕を上げたな、ケイPよ」
ケイP『いえ、これもゲンブさんの指導の賜物です』
シロ「お前たち、和んでるんじゃない。マジメに戦え」
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◎1ラウンド目の結果
★コナス義ーズ
1.翔花:HP19、MP21(物理防護2プラス1)
2.ケイP:HP24、MP8(物理防護6プラス2)
3.新華:HP−、MP23★コンパーニュ組
1.シロ:HP19、MP10
2.ゲンブ:HP33、MP13
弥生「さて、1ラウンド目終了で、どう思いますか?」
ヒノキ「ゲンブのかばう宣言ミスは、シロが攻撃をかわしたために大事に至らなかったようじゃ。また、ケイPもその際、一つミスを犯しておる」
弥生「と言いますと?」
ヒノキ「後方から前線に入るときに、通常移動をしておるのじゃが、そうすると魔法は使えん。すなわち、ターゲットサイトで命中率を高めることはできなかったはずだが、その際に誰も指摘しなかった。結果的に外れなので、MP2点を無駄遣いしただけじゃが、厳密にはルール運用をミスしたことになる」
弥生「なるほど。それでも、裁定のやり直しは必要ない、ということですね」
ヒノキ「攻撃が1差で命中していれば大きなミスと言えようが、外れたから戦局に与える影響はほとんどないという判断じゃ。それにしても、ケイPが三回攻撃を全てかわしたのは見事じゃの。最後のシロの一撃は当たると思ったが、ここでクリティカルとは、敵ながら天晴れ。結果的に、コナス義ーズが防御態勢を整えただけで、戦局は動かず。さあ、次はコナっちゃんがどう動くかじゃが」
弥生「それでは第2ラウンドです」
第2ラウンド
翔花「それでは、私も前衛に出るよ」
ケイP『ちょっと待って下さい。できれば、翔花ママには、その場に残って後方支援に専念していただくと助かるのですが』
翔花「ええ? 私が後ろにいても、何もできないよ。攻撃魔法は持っていないし、飛び道具も持っていない。今はまだKPちゃんも怪我していないし」
ケイP『翔花ママが前に出てきても、それをかばう私が無駄にダメージを受ける可能性が増えるだけです。飛び道具がないなら、その辺に落ちている石でも拾って投げてくれれば、支援になります』
弥生「そんなことを言ってますが、GMヒノキ、道の石を拾って投げるというのは有りでしょうか?」
ヒノキ「フム。ルールブックには、石は無料で手に入る武器となっている。しかも、前版では必要筋力1で威力6という、下手にナイフやダガーを投げるよりも強力な武器と言えた。新版になって威力が1になったが、わらわの裁定では石を拾うのに1ラウンド使用して、次のラウンドに投げるというのなら認めよう。最初から石を10個ぐらい拾っています、と宣言していれば毎ラウンド投げても良かったのじゃが、今とっさに石を投げる宣言したわけじゃからの。それと、コナっちゃんはターゲッティングの戦闘特技を持っていないから、誤射してケイPに当たる可能性があるが、それでも良いのかの」
ケイP『石の誤射によって受けるダメージよりも、かばうことで相手から受けるダメージの方が大きいと判断します』
ゲンブ「つまり、たった一人で我ら2人の猛攻を受け止める覚悟があるということか。先程は、うまくかわされたが、我らもずいぶんナメられたものよ。これは痛い目をみてもらわねばならぬようだな」
ケイP『その際には、翔花ママに回復してもらいます』
翔花「回復する前に倒されないでよ、ケイPちゃん。私は投擲用の石を拾います。だけど、石投げって私のキャライメージには合わないので、シーダーニードルを生成しているというのはダメ? データは石と同じでいいから」
ヒノキ「つまり、花粉症ガールらしく、投擲用のスギの葉を作って投げるってイメージじゃな。データを変えないなら認めてもよかろう」
翔花「では、ニードル生成。本当は複数本まとめて生成したいところだけど、そこまで我儘は言えないよね。1本作って、次のラウンドに投げる準備をします」
ケイP『では、私の攻撃の前に、フェローの新華さんに先に動いてもらいましょう。今度は私がダイスを振ります。(いっころ)6キター』
新華『フッ、その武器、何だか手入れができていないようね。お粗末だこと』
ケイP『これは2回攻撃が厄介なシロさんを狙うことにしますね。さあ、達成値14の魔法に対して、精神抵抗をして下さい。失敗すれば、物理ダメージがマイナス4のペナルティーですよ〜』
シロ「おのれ、魔女め。何てイヤらしい術を使ってくるんだ。これは、何としても抵抗しないと、無力化されてしまう。ニャー、精神抵抗達成値7しか出ないニャー。力が抜ける〜」
ケイP『フフフ、効果時間は18ラウンドですよ。さすがはマスターと2号ママの作ったキャラクター、的確に相手の弱点を突いてくる。敵に回すと、こんな恐ろしい相手はいないですよ、全く。さて、私は弱ったシロさんを攻撃。すると……』
ゲンブ「我がかばうわけだな」
ケイP『ええ、自動命中です。ダメージは、ダイスで7が出て、威力20だと5ダメージ。それに追加ダメージが4加わるから、合計9点』
ゲンブ「防護点7あるから、受けるダメージは2点のみ。残りHPは31、まだまだこんな物。それでは反撃と参る。命中は14」
ケイP『回避は8で避けられない。ダメージを下さい』
ゲンブ「喰らえ、必殺の一撃。ダイス目は5。どうしてだ。与えるダメージは7」
ケイP『カーン。それじゃ魔法によって守られた私のボディに傷一つ付けられませんよ』
ゲンブ「チッ、調子が悪い。おっと、もう少しでかばう宣言を忘れるところだった。今後も、取り消さない限り、毎ラウンド、シロをかばうということを明言しておくぞ」
シロ「次はボクだ。一撃め。命中は10」
ケイP『回避は15。どうしました、そんなものですか?』
シロ「おのれ、二撃め。命中はキター、6ゾロクリティカル」
ケイP『さすがに、それは避けられませんね。ダメージを下さい』
シロ「ここで大きな目が出れば。うおー、また6ゾロキター。もう一度振って9。ダメージは7+5+5で一気に17点」
ケイP『これは、ブラントウエポンの魔法が掛かっていなければ危なかったかもしれません。4点減らして13点。それに防護点で8点減るから、受けるダメージは5点。魔法の支援がなければ、11点受けるところでしたので、的確な支援魔法のあるなしは大きいですね』
◎2ラウンド目の結果
★コナス義ーズ
1.翔花:HP19、MP21(物理防護2プラス1)
2.ケイP:HP19、MP8(物理防護6プラス2)
3.新華:HP−、MP21★コンパーニュ組
1.シロ:HP19、MP10(与ダメージマイナス4)
2.ゲンブ:HP31、MP13
弥生「いろいろ状況が動いた第2ラウンドですが、戦況はどうでしょうか?」
ヒノキ「与えたダメージだけを見れば、ケイPが2点をゲンブに与え、シロが5点をケイPに与えたのじゃから、コンパーニュ組の優勢と言えようが、シロにダメージデバフ効果が付いたのが痛いのう。おまけにコナス義ーズには回復魔法があるから、5点のダメージなどすぐに治る。ダメージが積み重なって不利なのは、コンパーニュ組じゃから、ゲンブがもっとしっかりしてくれればいいのじゃが、どうもダイス目が低すぎる。ケイPさえ落とせば、勝てるのじゃから、ここは気合いを入れてもらわんと」
弥生「では、私は『頑張れ、ケイPさん』と応援しておいて、次のラウンドに臨みたいと思います」
第3ラウンド
翔花「KPちゃん、回復いる?」
ケイP『先程は、思わぬクリティカルでダメージを受けましたが、本来、シロさんの攻撃は12点まで防げます。つまりクリティカル以外は通用しない。一方でゲンブさんの攻撃も、本人はともかく、ゲームのキャラとしては武器が弱い分、大したことがない。回復はあと1回ダメージを受けた時で十分でしょう。翔花ママはシーダーニードルを投げてみて下さい』
翔花「うん。誤射したらゴメンね。1、2が出たらKPちゃん、3、4でシロちゃん、5、6でゲンブさんってことで。3が出たから、シロちゃんだ」
ゲンブ「しまった。ここでかばう効果が発動してしまう」
翔花「ダメージは3点しかないから、大したことないよ」
ゲンブ「それはノーダメージだからいいのだが、問題はこの後のシロへの攻撃が防げなくなったことにある。何とか避けてくれ、と願うしかない」
ケイP『フフフ、このチャンスは外せません。しっかりターゲットサイトで命中率を上げて、今度はこっちが6ゾロ命中18』
シロ「ニャー。回避は12しかないニャー」
ケイP『ケケケ、さっきのお返しです。ダイス目はやはり7で、ダメージは9点』
シロ「ボクの防護点は2しかないニャー。7ダメージを受けて、残りHPは12点。痛いニャー」
ケイP『さらに新華さんの魔法が炸裂するか。翔花ママ、お願いします』
翔花「うん、5が出たよ。エネルギー・ボルトきたこれ!」
新華『光の矢が悪を撃つ! 逝け!』
シロ「ボクは悪じゃないニャー。逝きたくないニャー。精神抵抗は13。何とか抵抗して、ダメージ半減」
翔花「ゴメンね、シロちゃん。ダメージ9点の半減して、5点だね」
シロ「うう、残りHP7点。次に同じ攻撃を受けたら終わりだニャー」
ゲンブ「おのれ、よくもシロを。かばう宣言をした上で、ケイPに攻撃。命中は13」
ケイP『当たってます』
ゲンブ「シロの痛みを思い知れい。ダメージは8」
ケイP『カーン』
シロ「ゲンブのダメージダイスの低さが、許せない。自分の仇は自分で討つ。命中は14」
ケイP『1ゾロで経験値50点ゲット。防御ファンブルのルールが使われてなくて幸いでした』
シロ「ここでクリティカル来い。ダメだ。ダイス目8じゃ、9ダメージにしかならない」
ケイP『4点軽減してダメージ5。防護点でカーンです』
シロ「もう一撃。命中は11」
ケイP『もはや、当てることもできないようですね』
シロ「シクシク。ボクは無力な自分が許せない」
◎3ラウンド目の結果
★コナス義ーズ
1.翔花:HP19、MP21(物理防護2プラス1)
2.ケイP:HP19、MP6(物理防護6プラス2)
3.新華:HP−、MP16★コンパーニュ組
1.シロ:HP7、MP10(与ダメージマイナス4)
2.ゲンブ:HP31、MP13
弥生「このラウンドで、かなり戦局が傾いたようですね」
ヒノキ「コナっちゃんの牽制攻撃で、ゲンブの援護防御がはがされたことが大きいのぅ。かばうは最初の攻撃で自動発動してしまうので、先に弱い攻撃で発動させて、本命の攻撃を後から当てるというのは有効な戦術じゃ。しかも、その後の魔法攻撃の追い討ちまで加わり、もしもシロが抵抗判定に失敗していれば、瀕死の重傷ということになる。もしも、シロが落ちれば、戦局はコンパーニュが圧倒的に不利になる。その前にゲンブの不調が回復して、ケイPを仕留めることができれば良いのじゃが」
弥生「では、私としては、ゲンブさんのダイス目が悪いままでいることを白いパンドラパネルに祈りつつ、次のラウンドに臨みたいと思います」
ヒノキ「いや、白いパネルに祈るのはいくら何でも、ゲンブが気の毒じゃないかの?」
第4ラウンド
翔花「じゃあ、私はニードル生成して終わるね」
ケイP『ええ、私は先に新華さんの行動決定ダイスを振って、また来た、6。今度はゲンブさんの弱体化を狙いますよ』
ゲンブ「何だと? 都合のいいダイス目を出しおって。小細工でもしとらんだろうな」
ケイP『いいえ。ダイス目は作者が記事を書きながら実際に振ってますよ。一切の操作はしておりません』
新華『フッ、その武器、何だか手入れができていないようね。お粗末だこと』
ゲンブ「ムム。この場にはいなくとも、新星殿の意思が天運となって、我らを縛ろうというのか。我の精神抵抗は4であるから、ダイス目10を出せば抵抗可能。(コロコロ)6じゃ話にならん。武器の手入れができていなかったとは、武人として痛恨極まりない」
シロ「ゲンブ。今日のお前は本当にダイス目が低いな。所詮は武人ならぬ商人だからか。全く当てにならん」
ゲンブ「ぐおっ。せめてお主の壁になるぐらいは……」
ケイP『はい、シロさんを狙ったヘビーメイスがゲンブさんに自動命中。ダメージは低くて7』
ゲンブ「それは弾いた。シロをかばってから、反撃でござる。命中はしたが、ダメージは8。マイナス4されていなくても通らん」
シロ「ボクも一発当てたけど、クリティカルは出ない」
◎4ラウンド目の結果
★コナス義ーズ
1.翔花:HP19、MP21(物理防護2プラス1)
2.ケイP:HP19、MP6(物理防護6プラス2)
3.新華:HP−、MP14★コンパーニュ組
1.シロ:HP7、MP10(与ダメージマイナス4)
2.ゲンブ:HP31、MP13(与ダメージマイナス4)
弥生「前ラウンドと違って、ノーダメージの地味めな応酬でしたが、ゲンブさんまで弱体化したのでは、そちらの逆転は望めないのではないでしょうかね」
ヒノキ「ムム。お前さんが白いパンドラパネルに祈ったせいかのぅ。こうなれば、わらわも白いパンドラパネルに祈ってみるとするか。こちらのダメージダイスがクリティカルして、一気にケイPに大ダメージを与えて撃破することを」
弥生「そんな奇跡みたいな都合の良いことは起こらないことを願って、次のラウンドです」
第5ラウンド
翔花「ニードル投げるね。誰に当たるかな。あ、KPちゃんゴメン。避けて。あ、命中ダイスが6ゾロクリティカル」
ケイP『何と、後ろから攻撃? こっちも11出しましたが、クリティカルじゃないので避けられません』
翔花「ダメージは、チッ、回らないから6点だけ」
ケイP『それは防護点で弾きましたけど、今、チッて言いませんでした? 何だか思いがけない殺意を感じたんですけど』
翔花「だって、どんな時でも大きい目を出せば楽しいじゃない」
ケイP『誤射されて、クリティカルまで出されたら、こっちは楽しくありません』
シロ「ム? 実は翔花は味方だったのか? だったらボクの怪我を回復してくれると嬉しいのだが」
翔花「あ、シロちゃん、ゴメン。怪我したシロちゃんを癒してあげたいのはやまやまなんだけど、私の手番は終わっちゃったの。代わりに、新華ちゃんを動かしてあげるね。行動決定ダイスは2。今さら支援?」
新華『望みどおり支援してあげる。感謝なさい』
翔花「支援より攻撃を望んでいたんだけどな。一応、感謝はするけど、防護点上がっても前線出ないなら、あまり意味がないかな。あ、次から前線に出てもいいかも。相手は弱体化してるし。ピックで近接戦闘も試したいし。怪我したら自分で治せるし。戦局はこっちが有利っぽいし」
ケイP『それでは、シロさんを狙って、それをかばったゲンブさんに自動命中。ダメージは8点』
ゲンブ「1点だけ食らった。残りHPは30」
ケイP『さすがに硬さは変わりませんね。次からは楯を捨てて、ヘビーメイス両手持ちにした方がいいかも』
ゲンブ「シロをかばいながら反撃だ。命中は10」
ケイP『避けました。次、シロさん、どうぞ』
シロ「クッ、余裕を見せやがって。一発目命中、ダメージダイスは9、惜しい、クリティカルにならず。二発目外れ」
◎5ラウンド目の結果
★コナス義ーズ
1.翔花:HP19、MP21(物理防護2プラス2)
2.ケイP:HP19、MP6(物理防護6プラス2)
3.新華:HP−、MP13★コンパーニュ組
1.シロ:HP7、MP10(与ダメージマイナス4)
2.ゲンブ:HP30、MP13(与ダメージマイナス4)
弥生「このラウンド、大きく戦況は変わりませんでしたね」
ヒノキ「ああ、公式リプレイだと、省略される部分じゃな。コナっちゃんにプロテクションの魔法が掛かったぐらい。そろそろ飽きてきたし、コンパーニュ組の負けが見えてきたので、お開きにするかのぅ?」
弥生「いいえ、どうせなら最後まで戦いの決着を見届けたいと思います。中途半端でうやむやになるのは、望みません。コンパーニュ組が、我々メガネンジャーの仲間の手で完膚なきまでに叩き潰されるところを私は見届けたいです」
ヒノキ「何を言うか。コンパーニュ組も、このまま黙って倒されるほど弱くはない。こうなれば、今回はこれで記事を締めくくって、次回、ゲンブが本気を出すのを見せてやる」
弥生「白いパンドラパネルが、どちらに微笑むかですね」
(次回につづく)