NOVA「晶華、大変だ」
晶華「なあに、NOVAちゃん。私が改造されたこと以上に大変なことってある?」
NOVA「ある。どうやら、ここで花粉症ガールの物語を記録するのは、来年春が限界らしい。平成が終わる辺りで、ここも消滅するとの予言ならぬ予定が下された」
晶華「そんな。どうしてよ?」
NOVA「大人の事情、と言ってもつまらないので、当妄想ブログ的には、『おのれ、タイムジャッカー。こういう手で来るとは。ブログ時空そのものを消滅させようと仕掛けてくるなんて、実に恐ろしいことを企む連中だ。侮るわけにはいかん』と解釈せざるを得ない」
晶華「私を改造しただけじゃなく、大切な居場所まで奪おうとするなんて、ひどすぎる。どうしよう、NOVAちゃん。この世界があと半年ほどで消滅してしまうなんて。花粉症ガールの物語も、これで終わってしまうの? 私、そんなの嫌だよ(涙目)」
NOVA「大丈夫だ。手はすでに打った。仮面ライダービルドが新世界を構築したように、俺も時空魔術師として新世界を創造した。それがこれだ」
晶華「これが、私たちの、新世界」
新世界へ向けての日常トーク(創作裏話込み)
NOVA「何ぶん立ち上げたばかりで、実験段階。世界の器を作っただけなので、こちらの世界の中身を移行するのはこれから徐々にってところだが。とにかく引っ越し作業を追い追い進めながら、新生・花粉症ガールの物語は、新世界でも続けていくつもりだ」
ケイP『このタイミングで、新世界の創造が実際に体験できるとはな。晶華ママも新たな名前で生まれ変わったわけだし、おら、ワクワクしてきたぞ』
NOVA「正直、俺もだ。確かに、この世界の終了の知らせが届いた時は愕然としたし、いろいろ面倒臭いなとも思ったが、すぐに気持ちを切り替えて、『新世界の創造』って桐生戦兎の気持ちにタイムリーになれるって凄くね? と感じたりも。まあ、これも天の配剤と考えるようにしたわけだよ」
晶華「ここでネガティブな心だったら、即座に新世界創造なんて切り替えて、アクティブに行動するのは難しいと思うの。これが私だったら、一週間から一ヶ月ぐらいは落ち込んで、涙目状態よ」
NOVA「俺には落ち込んでいる時間なんてないからな。やりたいことが多すぎる。時間は有限リソースだから、有効に使ってやらないと。休憩をとるのは必要にしても、建設的じゃない悩みや落ち込み、つまらない愚痴で命を磨耗したくはない。やりたいことのためにアクティブに情熱を燃やし、そのエネルギーでやるべきことを果たし、その経験でやれることを増やして自己の能力を高めて成長する。これがうまく回っているうちはエンジョイ・マイ・ライフってものだ。逆に、やりたいことをする能力も、やるべきことをする気概も持てずに成長のチャンスをフイにしてしまうようなのは、俺の好きな生き方じゃない」
晶華「NOVAちゃんのやりたいことって?」
NOVA「ヒーローやロボットなど心滾る物語について楽しく語ること。自分の創作魂に影響を与えたTRPGやSFファンタジーの世界を追求すること。そして、娘の成長を、花粉症ガールの物語を通じて追いかけることだ」
晶華「私の、そしてお姉ちゃんやヒノキさんたちの物語。NOVAちゃんはそれを創っているんじゃなくて、追いかけているの?」
NOVA「ああ、形式としては創造、創作しているように見えるかもしれんが、俺の気分としては、心に移りゆく娘たちの想いや行動を追いかけながら言葉の形を与えているに過ぎない。創っているというよりは、浮かんでくる泡のような物語の断片をつかみ取り、すくい上げている感じだな。そこに、俺なりの整合性を付与してはいるが。
「お前たちが何を考え、どう行動するか、までは作者としても責任は持てんよ。父親として、娘が悪の道に進もうとした時は、ヒーロー魂にかけて止めようとするし、アドバイスも、説教も俺らしくするだろうし、俺自身が娘の想いに心動かされることだってある。もちろん、お前たちの想いや行動の意味や結果をまた考える材料にするし、これまでの話の流れや、今、観察しているリアルやフィクションの状況にも即応しながら、思いがけない新しい展開が脳裏によぎって、最初に想定した未来と異なる結果が描かれることだってある。初期プロットは原案として用意しているが、それは確定された未来ではなく、結構、流動的に、ダイナミックに、複合しながら広がっていくのが実際だ」
ケイP『つまり、マスターが物語の創り手として、晶華ママを未来の世界で改造されるように仕向けたわけじゃないってことなんだな?』
NOVA「確かに、書いたのは俺だけどな。そこは否定しない。自分で書いて、自分で驚いて、自分でまだ見ぬタイムジャッカーに憤ったりして、自分で悩んで、傍目にはマッチポンプもいいところだろうぜ。ただ、元々、俺の頭にあったのは、ヒノキちゃんのところに行った翔花2号が、ソード・ワールド2.5をキャッキャウフフと楽しくプレイしながら、仲良く温泉に浸かったりして、お盆休みを満喫する日常編だったんだが。晶華よ、どうして、お前がヒノキちゃんやシロと対決することになったんだ?」
晶華「作者が私にそれを聞く? そんなの決まっているじゃない。NOVAちゃんと引き離したヒノキさんにムカついていたし、お姉ちゃんに敵意を向けるシロちゃんに腹立ったし、ヒノキさんの偉そうな物言いにもカチンと来た。だからよ、ええ、ええ、決して知力の2号にふさわしい冷静な行動とは言えなかったわよね。いろいろ自分の行動に理屈は付けていたものの、根本的な動機は自分の抑えられない感情に振り回されてしまったことよ。クールキャラ失格です。反省してます」
NOVA「まあ、俺も実際にその話を書き辿っていて、翔花2号がクールに空気を読んでヒノキちゃんたちと仲良くゲームをプレイするって流れには、違和感を覚えたんだな。だから、その前に一波乱起きるんじゃないかな、と思ってみたら、そこにたささんからのイラストの刺激があったんだ。過去編を意図していた温泉に、何故かそこにはいない翔花2号も描かれている。これはまあ、俺とたささんで細かい打ち合わせをしたわけじゃなく、また温泉編がどういう内容か細かいことは発表していない間に、たささんが気を利かせてイラストを見せてくれたからなんだが。まあ、あくまでイメージイラストと解釈しても良かったんだけど、せっかくなので、その場面に描かれている情報をストーリーイベントとして取り込んでみたわけだ。よって、温泉編の内容は、たささん原案と言ってもいいぐらいだ」
晶華「だから、私が過去に飛ばされてしまったのね」
NOVA「まあ、それだけじゃないけどな。ちょうどビルドが甲子園時空のせいで、関西と他地域の間で放送時間ギャップがあって、俺自身がみんなの感想を後追いで追跡する、つまり過去に飛ばされた気分をリアルで味わっていた時期でもあるし、ビルドの物語が回想シーンをうまく伏線回収することの多い作品でもあるし、その後に控えるジオウも過去と現在、未来をつなぐ物語だ。だったら後は分かるだろう?」
晶華「本当は箸休めの意味での番外編が、お姉ちゃんから私に主人公交代して、思い込みの激しい私の主観的な冒険物語に発展。そして、シロちゃんに憑依したら、ゲンブさんとの会話を通じて、コンパーニュの塔の人間関係まで描かれるようになり、作者のNOVAちゃんとしては、設定していた背景要素を物語内で示す絶好の機会を得ることができた、と」
NOVA「ああ、コンパーニュ側の裏事情なんて、翔花視点じゃ知る由もない話だからな。どんなにヒノキちゃんが翔花1号のことを好きだからって、身内の情報をベラベラ語るわけでもないし、翔花1号だって天然の勘の良さやラッキーな部分は持っていても、ややこしい人情の機微を理解する深読みできるキャラじゃない。だから、コンパーニュの内部事情は、彼らだけの特別エピソードでも用意して……と何となく思っていたら、そこにトリックスター的に翔花2号がPON! と飛び込んできた。知力を旨とする2号なら、自分が慣れない場所で状況に対処するために、少しでも情報を求めるだろうし、翔花2号視点なら、コンパーニュ内部の人間関係をクールに受け止めて分析できるだろうとは思った。自分が書きたい要素が、2号視点ならうまく読者に示すことができる、と、いろいろ繋がった瞬間だ」
晶華「だから、私がシロちゃんに憑依し、ゲンブさんとの会話シーンにつながった、というわけね」
NOVA「俺視点では、翔花2号がそういう行動を『思いがけず2号らしく』とってくれたおかげで、『あ、こういうシチュエーションなら、シロやゲンブのキャラも違和感なく示せるな』と気づいたので、ストーリーに組み込んだ」
ケイP『その後、ケイPマーク2と出くわすわけだな。ずいぶん、2号ママに怯えていたみてえだったが』
NOVA「読者視点では、2号の行動は明らかに状況をかき回すだけの無茶な行動なんだな。そして、その無茶っぷりを指摘するキャラとして、ケイPマーク2が適任だった。『何で、2号がこんな暴走まがいな行動をクールに考えて実行してるんだ? ああ、ミストレスだからか? 何て恐ろしい』って、読者には伝えたかった。基本的に、うちの娘たちはヤンデレっぽいというか、好きな相手のためにとことん突き進んでしまうところがある。NOVAのいない状況で、翔花2号がどう動くか、と言えば、やはり姉のためだろう? しかし、ケイPは、ヒノキちゃんが1号のことを大切に考えていることは知っている。つまり、1号というヒロインを巡って、2号とヒノキちゃんの対決を予感させるのが、ケイPマーク2の役割ってわけで」
ケイP『だけど、2号ママが実力的に、ヒノキさんに勝てるはずがないだろう?』
NOVA「だから、そこは悩んだんだよ。でき上がったシチュエーションは自分でも確かに面白い。だけど、どう決着をつけるか。ヒノキちゃんの破壊力が2号をまともに直撃すれば、終わってしまう。だから、シロの身に憑依しているのをいいことに、それを利用して、と考えてもみたが、それじゃ2号が完全に悪役になってしまう。
「あまり、重い話にもしたくなかったので、いい刺激になったのが、劇場版特典のルパンレンジャーのお宝カードだ。要するに、翔花1号がお宝で、代わりにもう一つの宝であるシロちゃんを差し出す。ヒノキちゃんは、翔花というお宝に目を奪われていたために、シロという宝をどこか蔑ろにしてしまっている。その宝の価値を気付かせてあげる、何だかんだ言って優しい心の持ち主として、2号を描いたつもりだが、自分の中ではこれで2号を主役にした温泉編は終わらせてよかったんだ。後は、ヒノキちゃんと仲直りした2号が時空天翔で元の時間に戻してもらって、めでたしめでたしってハッピーエンドで終わらせることもできた」
晶華「だけど、私は素直に戻ることは許されず、2068年に飛ばされた」
NOVA「ああ、そのタイミングで、ビルドが終わって、ジオウの話が見えていたからな。だから、未来に行った翔花2号が、次元ドルイドのハイラスに拾われて、タイムジャッカーという連中に『女王になれ』と追われていることを伝えるストーリーは考えていたんだが、2号自身がすでに『コウモリ女に改造されて、洗脳されて女王として振る舞っていたらしい』という過酷なエピソードは、文章を書きながら突然、出てきてしまったんだ」
晶華「そんな私のキャラ性を根底から覆すような変更を、後先考えずに、書いてしまえるわけなの、NOVAちゃんは?」
NOVA「いや、後先をきちんと考えたら、こうなってしまったというのが正解だな。例えば、これが陽性勇者街道まっしぐらな翔花1号が突然、タイムジャッカーに拉致されたとかなら、大問題だな。
「昔、そういうのを実行してしまったのが、プレ・ラーリオスのカレンだし、癒し系の彼女の立ち位置を物語の流れに合わせてねじ曲げてしまったのは、明らかにキャラの立ち位置を踏みにじる暴挙だった。後から考えると、カレンは何も知らない犠牲者で、カートを闇に誘うのはトロイメライだけでも良かったんだ。まあ、プレ・ラーリオスは物語の舞台を雪山に閉ざされた洞窟に限定してしまったために、広がりを欠いてしまったため、後からいろいろ書きたいことができても、それを取り込めば破綻することが分かったわけで。元々、小さくまとめるべき話を、諸事情あって自分の中で膨らませすぎたんだな。
「だから、同じ過ちをしないために、花粉症ガールの物語は俺の狭い部屋の中から世界を十分すぎるほど広げて、神視点をも含めた多元宇宙に至っている。平和な日常から、ヒーローたちが戦うバトルフィールド、そして世界の構築に至る神話的要素。こういうのはD&D以降のゲーム的世界観で、80年代半ば辺りから定番にもなっている。いわゆる世紀末前後に流行したセカイ系というジャンルは、バトルフィールドという間をすっ飛ばして、日常から即、世界の帰趨に関わる心理的葛藤を描いたが、俺はすっ飛ばされてしまったバトルの方が見たかったので当時は相入れなかった。まあ、世紀末の時代にはバトル抜きに、世界が即消滅する危機感みたいな背景もリアルであったんだろうがな」
「一方で、キャラを大事にするという観点では、そのキャラの言動に沿ったストーリー展開になるよう、心掛けている。少なくとも、晶華よ、お前が闇堕ちする要素は、お前自身にも十分責任があると俺は主張するぞ。冷たい言い方をすれば、因果応報になってたわけだ」
晶華「つまり、陽の1号、お姉ちゃんと、陰の2号、私とで、NOVAちゃんの中では2つに分かれていたわけね」
NOVA「そういうことだ。バトル創作では、話が重くなるから陽性のキャラが必要になるし、日常編ではツッコミ毒舌役のお前が刺激剤として欠かせない。そして、いずれは二つに分かれた粉杉翔花が一つに戻って、最強形態になるイメージもあったが、今の特撮ヒーローは何だかそういうのばっかりで、どうもなあ、と感じたりもした。そこに、花粉症ガールV3ことヒノキちゃんが登場して、陰陽合わせ持つキャラは彼女一人でいいんじゃないかな、と思った」
晶華「つまり、NOVAちゃんの中では、私とお姉ちゃんが2人そろって1人前と考えていたのを、ヒノキさんの登場で、考え直すに至った、と」
NOVA「ウルトラマンルーブの影響もあるかな。いずれ融合合体するんじゃないかと思われる兄弟戦士の話を見ていると、翔花1号と2号の融合合体には陳腐さを感じるようになった。すると、違う方向性を模索するわけだ」
晶華「それが私の精神的・肉体的な成長と、ヒノキさんに対峙できるほどの過酷な試練。そして、お姉ちゃんとの差別化と共に、私らしさの追求ってことなのね。今のコウモリ女の私は、私自身がそうあれかし、と望んだことだとNOVAちゃんは言いたいわけ?」
NOVA「いや、お前は日常編のキャラだから、あくまで日常を壊さない範囲で、ダークサイドに憧れる厨二病丸出しの毒舌陰キャ女子って方向だからな。本気で日常が壊れることまでは望んでいなかったはずだ」
晶華「当たり前よ。NOVAちゃんとの大切な日常を、私が壊したいなんて考えるはずがないじゃない。そういう敵が現れたら、私は総力挙げて葬ってみせる。この血にかけて」
アナザーショーカ対症療法
ケイP『プルプル。ヒャーッ、これがマーク2の恐れている2号ママの苛烈な闇って奴か。さすがのおらもゾクゾクしてきたぜ』
NOVA「念のために聞いておくがな、晶華。アナザーショーカの影響は感じるか?」
晶華「う〜ん、自分ではよく分からない。私は私だと思うけど。何か変なことを言ったかな?」
NOVA「いや、多分、信じていいんだろうな。これがアナザーなら、『フフフ、どうしたの、NOVAちゃん? 私は私。心の闇は封じているから大丈夫。心配することはないわ。それより、2人きりでどこかに行かない? 私、喉が渇いているのよ』と妖艶な雰囲気で、真っ赤な唇を舌で舐めるぐらいの仕草を見せてくると思われる。ついでに、アナザーは俺を抹殺するか、下僕にすることを狙う女王様気質だし、本来の娘なら、俺や身内のために動くことを第一義とするヤンデレ気質だから、俺への態度を見るだけで判別可能だ。アナザーはどうやらプライドが高そうなので、俺に頭を下げることはしなさそうだし、涙目になったりもしない。晶華にも女王様気質は見受けられるが、それは俺以外が対象みたいだからな」
ケイP『さすがだぜ、マスター。娘のことをそこまで分析しているとは』
NOVA「いや、娘に限らず、いろいろなキャラを分析してきた経験だ。もちろん早とちりの可能性もあるし、アナザーがもっと芸達者で、もっと娘に似せた演技で俺を騙そうとしてくる可能性もある。だが、アナザーが晶華に成り済まそうとすればするほど、その役割演技の影響を受けて、俺への敵対感情が娘本来の持つ愛情に転化する可能性があるからな。あいつが俺に好意を抱くようになれば、利用できる余地が生まれるわけだ(ニヤリ)」
晶華「え? もしかして、NOVAちゃんって腹黒い人なの?」
NOVA「お前の魂の父親だし、ゲームマスター兼創作家だからな。これぐらいの企ては考えられる。仮に、アナザーが晶華を装えるにしても、そうでないにしても、どっちの振る舞いをしたとしても、俺はそれを読み取って、自分の有利になるよう立ち振る舞える自信がある。だから、アナザーが愚かでない限りは、娘に成り済ますようなムダな演技はしないことを期待するぜ。演じるなら、心からその役柄に成りきることだな」
晶華「それって、アナザーショーカに向かって話してるの? 封印したんじゃなかった?」
NOVA「自分では封印したつもりだが、アナザー自身の意思で奥に引っ込んだだけの可能性もある。だから晶の字で封じるネームギビングの儀式で表に出て来れないようにもしたんだが、それで十分かどうかも定かではない。何ぶん、相手の力量や能力も含めて、情報が足らな過ぎるんだ。だから、最悪なケースを考えて、行動しているに過ぎん。俺の話をアナザーが聞いて何やら企んでいるなら、それでもよし、取り越し苦労に終わっても、お前たちに俺の考えの一端を聞かせて情報共有することだけでも十分、意味がある。まあ、アナザーはまだ計算高くプライドの高そうな女だから、相手をしやすいと言えるんだが」
ケイP『マスターが相手しにくいのって、どんな奴なんだよ』
NOVA「言葉の通じない獣。頭が良さそうに振る舞っているのに、本質的に物覚えが悪く、自分の言った言葉にさえ責任を取れない、社会性の欠如した未熟者。自己矛盾の塊のようなマッドな奴。要は、言葉というルールに縛られない衝動的でケイオスな連中だな。それでも獣なら行動習性から読みやすいし、行動の狂った愚か者なら付き合わずに目の前から排除すればいい。だが、身内や情にほだされてしまうと、そうそう計算した行動ができないものだしな。賢ぶっているのに愚かな身内ほど扱いに困るものはない」
晶華「それって私のこと?(涙目)」
NOVA「ほらな。この娘は本物だ。アナザーは涙を流さない。あいつは未来世界で絶望しきった翔花2号の魂の成れの果てみたいなところがあるからな。仮面ライダーウィザードの敵のファントムに近いんじゃないか、と俺は踏んでるぜ。もしかすると、ワイズマンみたいな黒幕が未来にいて、そいつの命令で俺の命を狙った可能性もあるが、まだ仮説段階だな。晶華の心がもっと落ち着いたら、もう一度マインドダイブを試みるが、素直に情報を出して来るとも限らないから、他の手を一通り試してからでも構わないだろう」
ケイP『他の手って、何か考えていることでもあるのかよ』
NOVA「いろいろな。一つはジオウの戦いを観察することだ。アナザービルドとかアナザーエグゼイドって刺客が出現するって啓示があったし、そいつらの特性を比較検証すれば、アナザーショーカに対するヒントが見つかるかもな」
ケイP『とにかく、新世界創造も含めて、マスターがいろいろ考えて、動き出していることは分かった。おら、ワクワクしてきたぜ』
晶華「何だか、いつにも増してメタ会話が多いなあって思ったけど、それも何らかの策のうちなのかしら」
NOVA「ああ、もしもアナザーがこの会話を聞いていたら、空想と妄想と現実のごっちゃになった話に困惑すること受け合いだぜ」
晶華「読者の人たちが、アナザーショーカみたいに困惑していなければいいんだけどね」
(今話完)