花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

旅立ちと、メガネ

翔花1号「じゃあ、NOVAちゃん、2号ちゃん。元気に行ってくるね」

ケイPMK2『翔花ママ1号のサポート役として頑張ってくるよ』

翔花2号「お姉ちゃん、今度は無茶しないでね。『翔花伝』の続き、楽しみにしてる。ヒノキちゃんにもよろしく」

ケイPMK1『実戦は過酷だからな。不覚を取るんじゃねえぞ、MK2。ドゴラ代表として、しっかり頑張れよ。まあ、お前がやられても、またオラがいつでも代わってやるから、それまでは精一杯持ちこたえるんだな。オラも神さま、いやマスターのところの修行で頑張って強くなるから』

NOVA「さあ、別れのあいさつが済んだら、一気にコンパーニュの塔への直行便だ。いいか?」

翔花1号「うん、NOVAちゃん、お願い」

NOVA「マピロ・マハマ・ディロマト!」


PON!


小さな閃光と共に消失す。


NOVA「ふう、行った行った。先週は『翔花伝』が休みだから、楽ができると思ったんだよ。だけど、まさか九州から帰ってきて、W翔花の日常編になるとは思わなかったな。これじゃ、バトル編とのコラボみたいなもので、普通にバトル編を書くより疲れたじゃないか。何でこんなことになっちゃったんだろう。俺は静かに暮らしたいんだ」

翔花「もう、NOVAちゃんったら。お姉ちゃんがいなくなった途端に、腑抜けたダメ親父みたいになってるよ。今日は、NOVAちゃんが前にした約束、しっかり守ってもらうんだから」

NOVA「え、何の話だ?」

翔花「4月21日の記事を見て」

NOVA「おお、たささんのイラストを初めて、紹介したときだな。彼はそれからもいろいろ描いてくれて、俺のイメージを膨らませてもらっているんだが、この場でなかなか発表できる機会がなくてな。むしろ、原案も含めて、この場で陳列して、俺と翔花でコメント批評をつける記事ってのもいいんじゃないかな、と思ったりするんだ。もちろん、絵師の人の許可を先に得なければいけないけどな。それと、設定的に完成品ではなく、試し書きぐらいの試案・原案も多くあって、本編で使うと混乱させるかな、とも思ったり。とりあえず、ヒノキちゃんのイラストが今週のバトル編でようやく使えるかな、と。以降は、野となれ花となれ的な気分だ」

翔花「たさ様へのフォローも大事だけど、それを優先したNOVAちゃんの気持ちは非常に大事にしたいけど、私も尽きせぬ感謝の気持ちを表明したいけど、アシスタントガールの仕事があるから、話を続けるわね。私が本日今日一番にNOVAちゃんに考えて欲しいのは、その記事で書いた『メガネ戦隊メガネンジャー』なの」

NOVA「何じゃそりゃ。俺は今はパトレン1号に夢中なので、来年の新戦隊のことなんて考えたくもねえぜ。大体、何だよ、そのタイトル。全員がメガネなんて戦隊が成立するわけないじゃないか」

翔花「NOVAちゃん、ボケないで。メガネンジャーはNOVAちゃんが言い出したことじゃない!」

NOVA「何……だと? 俺がそんなネーミングを考えるはずが……あ、確かに俺だ。チッ、4月21日のNOVAめ。6月11日の未来のNOVAの苦労も知らず、思いつきの適当な言葉を言いやがって。言葉を扱うときは慎重に、嘘をつかないように気を付けろって、あれだけ教えたのにまだ分からないのか」

翔花「いや、NOVAちゃん、過去のNOVAちゃんに教えてないから。たぶん、別の人に教えたことと混同してると思う。もう、その人、掲示板から姿を消したから。そう、あの人は5月の陽気に調子に乗って粗相した初夏の日の幻。そんな人はどこにもいなかったのよ……いや、リアルではいるかもしれないけど、気にしてちゃ始まらないから、この場ではスルーするのが吉よ。また出現したら、指導鞭撻しっかりすればいいわ。翔花も鞭撻用のシーダーウィップを貸してあげるから。今はメガネンジャーの話に集中して」

NOVA「ああ、メガレンジャーの話をすればいいんだな」

NOVA「あれは、忘れもしない1997年のこと。当時は、ゲームの会社にまさか入ってるなんて嘘みたいって思ったりもしたけれど、あれは20年前の遠い幻。そんな至福は儚く消えたのよ、って悲哀を感じてから早くも20年にもなるよなあ。それでも、NOVAは今日も元気です。あの時は世紀末の絶望にさいなまれながらも、ガンガンギギンとか、レスキューソルジャーに心癒されながら、人生立て直しに一生懸命になったりもして。そう、いつか星の伝説になれる日を夢見て。俺も若かったなあ」

翔花「いや、過去を懐かしむのもいいけど、今は目前の翔花のことを考えて。メガネンジャーを結成して、6人目に内海さまを迎えたいという翔花の想いを形にして欲しいの」

NOVA「おお、娘の想いを形にするのが、父の、そして創作家の使命なり。そうだ、ノスタルジーにはいつでも浸れる。今は、娘のために頭を使うぞ。俺は正気に戻った。竜騎士のようには裏切らん」

メガネの親子


NOVA「よし、まず前提条件として、この俺、ブルーアイズのWhite NOVAが司令ポジションなのは確定な。戦隊がピンチの時は、熱いヒーロー魂で駆けつけてやるぜ」

翔花「あれ、司令はダン隊長って言ってなかった?」

NOVA「確かに言っていたがな。先日、オーブクロニクルのオーブファイトを見て、気が変わったんだよ。ウルトラセブン、十分現役で頑張ってるじゃん。考えてみれば、ウルトラ一族って寿命が長いんだよ。地球人基準で考えて、引退したと思ってはいかん。一時期は脚の負傷とかいろいろあって、前線を退いたかもしれないが、そこからまた大きく飛躍した生涯現役の超ベテラン戦士なんだ。だったら、ウルトラセブンには晴れて、メガネレッドの称号を与えて、若手を引っ張ってもらわないと」

★メガネレッド:ウルトラセブン
S.H.フィギュアーツ ウルトラセブン 約150mm PVC&ABS製 塗装済み可動フィギュア

ケイP『おお、ウルトラセブンがリーダーか。オラ、ワクワクして来たぞ。正にドリームチームの予感がすっぜ』

NOVA「ああ、俺が考えるんだ。ヒーロー戦記や、ロストヒーローズにも登場できそうなチームを目指してやる」
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NOVA「そんなわけで、親子の力をお借りします、となれば、ゼロさんにも登場を願わないといけない。当然、彼はブルーだな。若さの象徴って奴だ。まあ、それでも2万年早いぜって言っちゃうのがウルトラ一族ならではだが。2万年って、あんた、サンダーマスクの1万年の眠りってのが霞む程度の時間感覚の違いだよ。まあ、こっちは100万倍の好奇心とハイテンションで追いついてみせるが。時間感覚を凌駕するのが、時空魔術師の所以だからな」

★メガネブルー:ウルトラマンゼロ
ウルトラアクションフィギュア ウルトラマンゼロ

NOVA「ここまでは順当なところだろう。問題はここからだ。まず、娘の翔花の位置付けもどう決めるか、だが、4月の時点はともかく、クウガの力でガメラを倒すという実績を見せた1号がいるわけだし、単なるマスコットガールとして扱うのもどうかと思ってな。ここは、キョウリュウジャーの弥生ちゃんみたいに新米戦士、そして司令の娘としてチームに参加してもらう」


★メガネシルバー(見習い):ミストレス・ショーカ(粉杉翔花2号)


NOVA「こうなると作品テーマも何となく見えて来た。『親子で戦う2世代ヒーロー戦隊』『メガネが結ぶ時空を超えた絆』『今、レジェンド(伝説)とフューチャー(未来)が一つにつながり、新たな時代を目指す、壮大な多次元ロマン』って感じだな。いや、中身は何も考えていない、ただの空虚な言葉の羅列なんだが、企画書の叩き台なんてのはこんな物で十分だ。後は、企画会議に持ち込んで、参加者全員の知恵を拝借したりしながらブレインストーミングして肉付けして行けばいい。大事なのは、煽りキーワードを見て、企画参加者のイメージや創作意欲が膨らむかどうかだ。その後、予算や手間暇など実務的な話にも移っていくだろうが、ここでそんなことを考えても仕方ない。あくまで個人ブログにおけるお遊び、創作パロディ企画ごっこなんだからな」

翔花「だけど、NOVAちゃん。この作品におけるメガネの位置付けって何? メガネが結ぶ時空とか絆って、私はNOVAちゃんのことを知っているから伝わるものもあるけれど、何も知らない人から見たら、『メガネにそんな力があるわけないだろう』って常識的なツッコミをするんじゃないかしら」

NOVA「ああ、そうだな。その作品世界独特の要素は、本来、根幹設定として企画を立ち上げる際に、原案者がしっかり明確な言葉として定義付けしないといけないものなんだ。そうでないと、企画参加者との間にイメージの統一ができずに、混乱させるだけになる」

翔花「あ、おかしなスイッチが入ったみたい。メガネンジャーの話じゃなくなりそうなので、小見出し変えて、と」

ラーリオスと悪堕ち


NOVA「ラーリオスの時は、初期段階からそういう明確な言葉、根幹設定が見えていなかった。俺も原案者がここまで何も考えていなかったとは想定しておらず、単にコミュニケーション慣れの問題で伝えきれていないものと感じていた。その辺を、質問誘導の形式でサポート的に引っ張れるかな、とも思ったけど、敵組織ゾディアックとか、星輝石とか、何となくフワフワした言葉だけで上滑りした感じがある」

翔花「その辺はNOVAちゃんが固めていったのね」

NOVA「ああ、原案者が何を頭の中に持っているか、察しの良い想像力豊かな俺には、伝わったからな。だから、それを形にする作業は、共同企画者の責任として果たしたつもりだ。ただ、あまり何もかも、こちらが手を出し過ぎると、原案者の書きたいものを蔑ろにしてしまう可能性があったので、原案者の言葉をなるべく引き出そうとしたんだが、結局、言葉足らずなのは改善できなかった。まあ、その根本的な理由は、今年になって、ようやく見えたんだけどな」

翔花「それは何?」

NOVA「結局、原案者が欲しかったのは、企画を一緒に進めてくれる人ではなくて、自分のフワフワ創作を何の批判もせずに受け入れてくれる無知な信奉者だったんだよな。自分の鬱屈した想いの理解者が欲しくて、創作を目指したわけだが、俺も時間がないから『ラーリオス企画関連以外の作品は読まない』宣言をしたわけだ。創作家は自分の作品を読ませたがる病に掛かりがちで、それは俺も重々承知だったが、いちいち推敲段階まで付き合わされるのは勘弁だったから。しかも、『本人の中では、前よりも凄い傑作』扱いなのが、こっちには同工異曲の粗製乱造品にしか見えず、『一番最初に読んだ作品が、技術的には未成熟でも一番新鮮な力作』で、以降は誤字とか少しずつ減って多少は技術力が付いて来たけど『中身はそうそう変わらない、むしろ書けば書くほど、俺の好みとは外れていく作品』なんだよな」

翔花「NOVAちゃんの好みって?」

NOVA「厳しい試練に立たされても、そこから努力と根性と気合と、さらに仲間との絆とか想いの力で支えられ、あるいは自分が支え、頑張って勝利する王道話。だからビルドは好きなんだ」

翔花「じゃあ、逆に嫌いな作品って?」

NOVA「主人公が独善的で、周囲や敵対相手の気持ちを察することもなく、自己の正義を振りかざして、しかも、その正義感が非常に薄っぺらで、内面的な魅力、人間性に欠けるのに、そんな主人公がひたすら相手を見下し、バカにし、何らの試練に立たされることもなく、ザコ敵とほとんど変わらないボスを無双で倒して、勝った、これで世界は救われたって満足しちゃう話。作者のストレス解放とか、ギャグめかすならいいんだけど、自分の創作練習ならいくらでも書けばいいんだけど、他人さまに『読んで』って勧められる類の作品じゃないよね」

翔花「そんな作品、どこにあるの?」

NOVA「ネットの創作サイトなら結構あるよ。まあ、基本は駄作ばかりだけど、たまに自分の何らかのツボを突く刺激的な作品とかあって、例えば、主人公に感情移入できれば、ハーレム物で自分に尽くしてくれるヒロインなんてのは萌えだよね。ただ、感情移入できる主人公は珍しいけど。むしろダメダメな主人公に一途になるダメンズ好きのヒロインの心情なんかに感情移入するわけで、そんな彼女が魔王系の主人公の虜になって、嬉々として悪事に手を染める悪堕ち系ストーリーは俺の中のダーク回路を刺激する」

翔花「つまり、NOVAちゃんが悪霊に取り憑かれやすい気質なのも、そのダーク回路のせいなのね。切除手術を開始しましょうか?」

NOVA「そいつは勘弁してくれ。その回路がなければ、俺はただのつまらない聖人君子キャラになってしまう、基本が真面目なローフルグッドだからな。ダーク回路は、俺の妄想パワーにも直結しているんだから、それがない俺は、わさびのない寿司、苦味のないコーヒー、辛くないカレーと同じで、味も素っ気もない、ただの創作心の欠けたヒーロー好きでしかない。善と悪との綱渡りで、自己の内面の葛藤が描かれるから物語は面白いんじゃないか」

翔花「だから光と闇の果てしないバトルが終わらないのね。正義のヒーローが暴走したり、黒をまとったりするのも、その影響?」

NOVA「思春期の反抗リビドーを刺激するからな。俺の必殺好き、悪堕ちとか、逆に敵から反省しての善玉化好きなのも、要するに光と闇の二面性が好きだから、と言える。それに悪に堕ちたら、自分の中の抑制された気持ちを解放し放題って恩恵もある。大抵は刹那的な恩恵で、それに溺れると不幸な運命に見舞われるのも因果応報で当然だけどな。自分の代わりに調子に乗った奴が、自分の代わりに不幸な目にあって、ああ、俺の人生はもっと前向きに生きないとな、と考えるきっかけにもなる」

翔花「じゃあ、もしもNOVAちゃんが悪堕ちして、悪の首領になった時に、『私どこまでもNOVAちゃんに付いて行きます。悪女役だって喜んでやってやるわ、オーホホホホ』なんて言ったら、NOVAちゃんは萌えてくれる?」

NOVA「萌えない。もしも、そのような事態になったら、俺が萌えるのは『悪に堕ちたのなら、倒すしかないわね。だけど……う〜ん、何とか説得して正気に戻せないかしら。難しいことは分かっているけど、私、どうしたらいいの?』って正義のヒロインらしく悩んでくれるか、『私、どこまでも付いて行きます。だけど、悪には悪の美学がある。そこを踏み越えて目も当てられなくなった時には、私が止められるよう、側にずっとお仕えしないと。私だけは悪の誘惑に負けずに、NOVAちゃんの行方を見定める』って自分の揺れる心に理論武装を施して冷静に振る舞うか、そういうジレンマにも似た葛藤シーンだ。『よっしゃラッキー、何てこった、こいつは伝説の悪堕ちになるぜ』って喜ぶのは、見る側の感想であって、自分がその立場になって感じる気分じゃないと思うけどな」

翔花「じゃあ、私がもしも吸血鬼になって、NOVAちゃんの血を吸ったら?」

NOVA「よっしゃラッキー。こいつは伝説の吸血鬼 NOVAキュラになるぜ」

翔花「喜んでるじゃない」

NOVA「そりゃ喜ぶさ。俺が加害者じゃなくて、被害者だぜ。だったら悪いのは俺の血を吸って、一族に引き込んだ親吸血鬼の翔花2号だろうが。堂々と他人のせいにできて、こっちが責任を感じなくて済むんだからな。むしろ俺が悩むのは、この後だろう。『吸血鬼になった俺は、血を吸わねば存在を保てない。しかし、誰の血を吸えばいいのか。翔花1号の血でも吸うか? いやいや健気にヒーロー街道を突き進む娘を、闇の世界に誘うわけにはいかない。そもそも、花粉症ガールには血が流れていないから、吸っても無駄だ。娘に噛みつき体液をすするなんて、変態エロ親父みたいな真似事は断じてしたくないしな。吸血鬼の俺にもプライドってものがある。ところで、花粉症ガールに血が流れないなら、俺を吸血鬼にした翔花2号は、何で吸血鬼なんだ。もしかして、吸血ツタ怪獣バサラの力でも身に付けたのか? あるいは、スフランか、ゴケミドロか何か? うう、いろいろ可能性が多すぎて、夜も眠れなくなるぜ。だから、一晩たっぷり悩んで、創作モードで考えに考えて、朝に寝る。今度、蟹座のデストールさんにゆっくり眠れる棺桶でも作ってもらおうZZZ』となること受け合いだ」

翔花「妄想全開過ぎて、ツッコム隙すらないわ。さすがはNOVAちゃんってところね。吸血鬼になっても本質が変わらないなんて、恐るべし」

NOVA「大体、お前が吸血鬼になるという前提からして、妄想だろう? 妄想を相手どるには、こちらもそれに負けないだけの妄想パワーを示すのが道理。俺は道理に従って、回答したまでだ。まあ、吸血鬼は昔から好きだったし、自分がもしも吸血鬼になったらというネタはいろいろ考えた。想定の範囲内って奴だ。永遠の寿命が与えられるなら、吸血鬼ゲーマーを誘って、『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』をプレイしたいが、すぐに飽きるだろうな。ルールブックなら、そこの本棚にあるから、今度キャラでも作るか?」
ヴァンパイア:ザ・マスカレード 普及版 (ワールド・オブ・ダークネス)

翔花「ロードス、クトゥルフと来て、今度はヴァンパイアのゲームなんて、どれだけ人をTRPGに誘うつもりよ、この男は?」

NOVA「そもそも、俺はTRPG脳だから、何でもそっち方面で考えてしまうんだわ。そして、ゲームマスターとして悪キャラを演じるのもしばしばなので、ダーク回路もそっち方面で鍛えられているわけよ。ただ、物語としてはバランスを取らないといけないから、悪になりっぱなしというのも考えにくい。必ず俺なりの落としどころを考える形になり、悪に堕ちたから解放ってのも考えにくい。プレイヤーやっている方が、よほど自由に振る舞える感じだしな。先日、パトレンジャーで夢の世界に閉じ込められる話をやっていたが、あれ、俺にはヒーロー魂があるから大丈夫と考えてしまったんだ。しかし、そこからさらに考えを進めて、もしもTRPGの夢を見せられたらヤバいよなあ、と思い当たった。一生、ゲームしてもいいなんて思っちまう。まあ、どこかでヒーローゲームに当たれば、それをきっかけにして帰って来れるかもしれんが」
チェンジアクションRPG マージナルヒーローズデッドラインヒーローズRPG

翔花「つまり、NOVAちゃんの中には、ヒーロー魂と共に、ダーク回路があって、常に葛藤を続けているってことね」

NOVA「いや、それって大抵の人はそうじゃないの? 自分は完璧な善人であるとか、逆に完璧な悪人だとか言いきれる人間の方が稀だと思うが。それこそ、正義のヒーローと、悪の秘密結社の戦う世界の話だろうが、これも時代の変化があって、ざっくり言えば昭和ライダーは『正義VS悪』の構図がはっきりしていて、平成ライダーは『善悪の相対化』が為されている」

翔花「どういうこと?」

平成ライダーへの系譜


NOVA「平成ライダーの物語は、昭和に比べて、単純に悪者退治の話じゃないってことだよ。例えば、クウガグロンギという怪人が敵役だが、彼らは世界征服など考えていない。彼らの種族のルールに従い、殺人ゲームを展開し、リントと呼ばれる現在の平和社会に住む人々を脅かしているわけだ。クウガは、人々の笑顔を守るためにグロンギと戦うのだが、当初はグロンギと同種の怪人と見られて警察に追われ、その後、警察の理解と協力を得てからも、戦いを続ける間に荒んだ心が闇の力を発動するまでになり、クウガ自身がグロンギと同じ『戦うだけの戦闘マシン』と呼ばれる状態にまで追い込まれる。ラスボスのダグバとの決戦前に、クウガに変身する五代雄介が相棒の一条刑事に打ち明けたのは、『もしも自分が闇の力に呑まれて、戦うだけの戦闘マシンに成り果てた時は、変身ベルトを破壊して自分を殺してくれ』と訴えることだ。つまり、ここには『絶対的な正義が強力な悪を倒すために覚悟を決める』という従来の構図とは違って、『自分も敵と同じ闇に飲まれる危険を冒し、それでも人々の笑顔を守るためには、自らも闇を受け入れる覚悟』を示すわけだ」

翔花「それって、ダークヒーローの話じゃない。闇を以って闇を制すとか、悪を倒すのに極悪になるとか、必殺シリーズの流れよね」

NOVA「そうだな。そして、昭和のライダーが完全無欠のヒーロー、太陽の子RXさんで放送終了を迎え、その後、平成に入ってビデオ作品で真、劇場映画でZOとJが公開されたのがクウガ以前の状況。今はこれらのネオライダーと呼ばれる3部作も、形式上は昭和ライダー扱いなんだがな」
真・仮面ライダー序章仮面ライダーZO仮面ライダーJ

翔花「ネオライダーって、どういう話? 分かりやすく3行でまとめて」

NOVA「そいつは無茶振りだな。ええと、人体改造を繰り広げる悪の財団の実験のせいで異形と化した風祭真が、殺戮の本能に抗いながら、自分の人間性と愛のために戦う決意を示すのが真・仮面ライダー序章だな。92年の作品だ。従来の子供向けヒーローだった仮面ライダーを、大人向きのサスペンスホラー風味に描き、改造された者の悲哀と、それを乗り越えた決意までを見せた」

翔花「3行じゃないけど、大体分かったわ。哀しい話みたい。だから、ライダーなのに怪人みたいな姿なのね。悪の秘密結社に改造された怪人という原点となる設定をリアルに描いたら、こうなったと」

NOVA「あくまで、序章だからな。この後、順調に続編が作られたら、異形を隠すためのヒーローコスチュームを身につけ、従来の仮面ライダーらしい姿やバイクも披露する予定だったらしいが、企画名『仮面ライダーガイア』として展開する案もあったようだが、そのエッセンスだけがクウガ以降の平成ライダーに受け継がれることになったわけだ」

翔花「ZOさんとJさんもお願い」

NOVA「これらは子供向きの劇場公開版なので、従来のヒーロー路線を踏襲。ZOは93年春に、ダイレンジャーやジャンパーソンと同時公開。注目は、雨宮慶太監督の初劇場作品なので、後の牙狼への流れを考えることもできる点。ストーリーは単純で、一人の科学者によって創造されたネオ生命体ドラスと、プロトタイプとして改造されたZOの、博士の息子を巡るバトルって感じだな。マッドサイエンティストの生み出した者たちの、欲望と希望の激突的なテーマで、真・序章の路線をソフトにした流れとも考えられる。もちろん、子供を守って戦う頼れるお兄さんとしてのライダー像も提示。だから真みたいに暗くはない」

NOVA「続いて、Jは94年春に、カクレンジャーブルースワットと同時公開された作品。雨宮監督が続投して、一番の売りはライダーが巨大化して戦うクライマックスなんだろうが、等身大バトルも注目。元々、ZOのパワーアップ案から企画スタートしたので、Jの外見はZOと酷似。一応、黄色ラインがZOで、グリーンが混ざるのがJと認識しているが、もっと単純な見分け方は地味なのがZOで、デカくなるのがJ。役者的にはブルースワットなのがZOで、ジュウレンジャーなのがJとか。また、前作が少年と父性をテーマにしたのに対し、今作では少女を守って戦う点と、敵が宇宙から襲来した異形のマザーという対比。歪んだ科学の激突がZOで、地球の生命VS異星の環境破壊プログラムのJと言ったところか」

翔花「すると、花粉症ガールとしては、Jさんの方にシンパシーを感じるわね」

NOVA「そりゃそうだ。何せ、Jは精霊パワーで戦うからな。エコロジーが作品テーマでもある」

翔花「すると、私はJさんを尊敬したらいいのかしら」

NOVA「そんなお前にお勧めの短編映画を示しておこう」

翔花「うわあ、またシャドームーンが悪役で倒されているわ。NOVAちゃんも毎回、毎回、大変ね」

NOVA「本当に、悪の仮面ライダーとして使い勝手がいいのか、本編の悲劇とは切り離されて、悪の首領として倒されることが多いよなあ。倒されても、倒されても、また蘇って、偉そうにしているうちに、ドン・アルマゲのような立ち位置だ。もう、いい加減にシャドームーンに救いを与えて欲しいぜ。せめて、『ブラックサン、貴様を倒すのはこの私だ。だから、こんなところで終わらせるわけにはいかん。今だけは手を貸してやる。こいつらのやり方は世紀王として認めるわけにもいかんからな。だが、くれぐれも忘れるな。お前たちの味方になったわけではないことを。俺のツンデレにお前が泣いた』とぐらい言って欲しいもんだぜ」

翔花「NOVAちゃん、違うクマさんが混ざってるよ。声が同じでもキャラが違う」

NOVA「いや、俺の中では、シャドームーンは未来社会でイマジンのキンタロスに転生し、ようやく電王アックスフォームとして、栄光のライダー軍団の一員に認められるようになったのだ。今、それが分かった。嬉し涙は、このハンカチで拭いとく。30年以上前にシャドームーンごっこをして来た俺の苦労も哀しみも、これで消えて行く。正に涙目浄化OKだぜ」

翔花「違う宇宙では、ペガサス鎧に転生したという伝説も聞くけど、いつも寝ていて、なかなか起きないという意味では同じキャラなのかもしれないわね」

さらなる系譜


NOVA「さて、メガネンジャーの話をしていたはずが、いつの間にか、10年前のラーリオス企画の話に迷い込んで、そこから悪堕ち論を展開して、平成ライダーは善悪相対化という視点から、平成以前のネオライダーを経て、シャドームーン→キンタロスという転生話にまで至ったわけだが、読者の皆さんはこの時空を超えた超絶ジェットコースターの旅について来てくれているのだろうか?」

翔花「これが時空を超えた超時空妄想回路のパワーって奴ね。『私、どこまでも付いて行きます。NOVAちゃんにはNOVAちゃんの美学がある。そこを踏み越えて目も当てられなくなった時には、私が止められるよう、側にずっとお仕えしないと。私だけは悪の誘惑に負けずに、NOVAちゃんの行方を見定める』って、自分の揺れる心に理論武装を施して冷静に振る舞うことにするわ。そういうジレンマにも似た葛藤シーンを演出していれば、NOVAちゃんが萌えてくれるって聞いたから」

NOVA「ああ、燃えて、さらに続けるぜ。ネオライダーは、確かに平成ライダーへの流れを築いたが、それだけじゃミッシングリンクのパズルのピースが足りない。話はさらに翌年95年、阪神・淡路大震災という過酷な状況を経た春に続く。そいつがこれだ」

翔花「ええと、ビルドハザードフォームさんじゃないのよね」
仮面ライダービルド ライダーヒーローシリーズ 18 仮面ライダービルド ラビットタンクハザードフォームS.I.C. VOL.4 ハカイダーUltimate Article 人造人間キカイダー 完成品フィギュア
NOVA「デザイン方向としては、ハカイダー化したキカイダーだからな。ビルドのハザードフォームは。それに対するエボルが白いラインのライダーというのも、黒VS白の善悪カラーリング逆転の妙かと思っていたが、黒い主人公VS白系の敵って見せ方は、仮面ライダーBLACK以降の伝統でもある。ファイズやウィザードも色的には、敵に白を配するなどこういう方向性だが、主人公が最強フォームになると黒じゃなくなるので、この対比構造が崩れるのが難点。やはり、カラーリング対比という意味ではクウガの最終決戦がテーマ的には至高ということになるか」
仮面ライダービルド DXエボルトリガー 

翔花「で、そのハカイダーさんがどうしたの?」

NOVA「だから、Jの翌年の東映春のヒーロー映画、雨宮監督作品にして、井上敏樹脚本、つまり21世紀の大人向きヒーローの流れを示したのが『人造人間ハカイダー』という作品なんだ。秩序によって完全統治されたデストピアを舞台に、人間性を求めて立ち上がるレジスタンスの少女。しかし、圧制に踏みにじられる彼女の涙に応じて、黒い悪を自称する解放者ハカイダー機械的な秩序を破壊する映画なわけで。とにかく『お前が正義だというのなら、俺は悪だ』と嘯く世界の破壊者の姿が格好いい。元祖の口笛吹くオリジナルハカイダーもいいが、その後、ギルハカイダーを経て、コミカルな三流悪役のイメージが付与されてしまったのを覆すように、誇りを持った悪の美学を徹底的に示した95年ハカイダーの姿は、世紀末の暗澹とした世相とマッチして、理想的なダークヒーロー物語となった。ストーリーの方向性としては、真ライダー序章に通じるものもあって、ヒロインの死やバイオレンス描写などを踏襲している。つまり、ZOやJで正統派ヒーロー路線に揺り戻したのを、ハカイダーが善悪相対化の平成ライダーの流れに書き換えて、クウガ以降の方向性が定まったと言っていい。東映ヒーローの現在の表街道がライダーや戦隊であるなら、最大の裏街道がキカイダーであり、ハカイダーであると、ここでは主張してみるね」

翔花「NOVAちゃんが、キカイダーにこだわる理由が分かった気がするわ。王道、表街道も好きだけど、裏街道にも惹かれちゃうんだもんね」

NOVA「というか、表は普通に押さえておいて、その影に隠れたマニアックな裏にこだわりを見せ、光を当てるのがマニアの心意気ってもんじゃないか? 俺はジャンル内でも不遇な作品の味方だぜ。まあ、世の中には、表すらろくろく追跡してもいないのに、生半可な知識で語りたがってオタク志望って妄言吐いてる輩もいるんだが、彼は上から目線で批評する攻撃的スタイルに酔っているだけで、その根底にある作品へのこだわりが欠けている、こだわらずにパクリで済ませて深めようとしない上、一面的な視点でしか物を見ようとしない。俺は非オタクのマニアと自認しているが*1、自分のこだわりを語る人間を尊重するし、それに対して、だったら俺のこだわりはこれだ、と返礼をしたくもある。その辺のキャッチボールが望ましいんだが」

翔花「すると、NOVAちゃんのキカイダー好きに対して、ハカイダー好きを表明したら、それはツボってこと?」

NOVA「そりゃ、ツボだよ。ハカイダーは、キカイダーの弟にして、父親の脳を持ち、終生のライバルだよ。まあ、血液交換の時間制限があるから、実は長期戦が不得意という弱点もあるんだが」

翔花「じゃあ、NOVAちゃんのげんとくん好きに対して、自分は内海さんが好きだって表明したら?」

NOVA「応援はしないけど、心配はするよなあ。ここはげんとくんの気持ちに対して、感情移入して、『俺があいつを歪めてしまった。だから責任を持って戦うなり、説得するなり頑張る』って態度にグッと来て、思わず、げんとくんを分身させたくもなる」
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翔花「内海さんが戻ってくるために、メガネンジャーを結成するって話、覚えている?」

NOVA「ああ、だから悪堕ちがどうこう、平成ライダーにおける善悪相対化の話を延々としていたんだろう? それについて考えるのが、メガネンジャーには必要だって判断したんだ。俺の中ではしっかりつながっている。もう、手の届くところまで来ているし、時間さえあれば、すぐに結成できるぜ」

翔花「嘘。本当につながっているの?」

NOVA「ああ、書こうと思えば、頭の中にあるイメージをすぐに書けるが、週明けで掲示板書き込み回りとか、別ブログの記事も書かないといけない。ちょっと優先記事を見極めてから、余裕ができたら書くわ。その前に木曜が来て、先に翔花伝のコンパーニュ編を書くことになるだろうな」

翔花「メガネンジャーは後でもいいよ。翔花のわがままだし」

NOVA「違う。俺のこだわりだ。だから近いうちに書く。この脳内イメージを形にしないと、ダーク回路が火を吹くんだ。だが、その前に涙目浄化の名シーンを見て、この記事は締めよう。平成ライダーを象徴する黒と白の戦いだ」

NOVA「本編を再現したゲームのワンシーンだが、この後、変身解除した二人はなおも殴り合いを延々と続けて殺し合う。ダグバの方は笑い続け、五代の方は涙を流しながら。そう、これが同じ究極の闇の力に至りながらも、二人の精神の持つ決定的な差なんだ。ダグバは笑って戦い、五代はマスクの中で涙を流して戦ってきたんだな。戦いを楽しむ者と、戦いを哀しみながらも、みんなの笑顔を守る想いで拳を止めない者。主題歌にある、壊す者と守る者を象徴するシーンだ。だからこそ、クウガはヒーローの戦いを是としない、続編を是としない平成ライダー第1作になったわけだ。第2作のアギトは当初こそクウガの設定を受け継いだ世界観で描かれる予定だったが、クウガの五代に二度と戦わせたくない、戦いから解放された彼の笑顔をまた涙で濡らしたくないという当時のスタッフの意向で、クウガとアギトは繋がらない別の世界の物語になったと聞く。ファンとしては、五代のその後の物語も見たいんだけどね」

翔花「私の涙目にもそんな意味があったのね」

NOVA「ああ、そうだ。と言えれば、俺は用意周到な男になるが、少し違う。偶然の巡り合わせでつながった、あるいは創作の神さまなり、花粉症の神さまなりが、クウガの話にうまくリンクさせてくれたんだろうよ。まあ、俺が当時の五代に感情移入しちゃった過去を思い出したってのもあるが。本当に、スタッフのこだわりとか、クウガの精神性の高さに、この俺が泣いたんだ。世紀王シャドームーンと名乗ったこともある、この俺がな。新世紀の幕開けを告げる、伝説を塗り替えた、ただ一人の英雄の涙に感化されたんだ。涙目感化OKね、と言いつつ、今回の記事は締めくくるぜ」

(完)

*1:オタクとマニアの違いは、世代による用語の違いに過ぎないという意見が主流。1989年、すなわち平成元年の宮崎勤事件により、世間一般ではオタクに対する偏見バッシングが一斉に行われ、サブカル趣味を持つ者は総じて肩身の狭い思いをするようになった。よって、その時期に大人になっていた辺りの世代、すなわちアラフィフ以降の者は、オタクを自称することに本能的な忌避感を持つものが多い、一部クリエイターや実績ある論者を除いて。世間がオタクの持つ趣味人としての特定枠内での社会性や経済効果などプラスの側面に注目したのは、バブル崩壊の90年代半ば以降で、それまでの「オタクは社会に貢献しない引きこもりで、孤立していて、対人関係が苦手で、異性と付き合えない社会不適合者」というネガティブなレッテル張りから一転、「インターネットの発展により、自分の欲しい情報を貪欲に追い求め、そのための社交なら精力的にこなし、趣味に関する話題なら同好の士と延々と語り続けられる知識と意欲、エネルギーを持ち、個性尊重の時代に特定ジャンルを基盤に確立した自己を持つアクティブなサブカル趣味人」の評価も受けるようになった。NOVAの中では、前者のマイナスイメージなのがオタクであり、後者のプラスイメージなのをマニア、通、と位置付けているため、「オタクになりたい、憧れる」なんて言葉を見聞きすると、「そんな物は目指してなるものではなく、堕落すれば自然になってしまうものだ。わざわざ目指してなるものか? バカかお前は?」って感覚だったのだが、もしも後者の意味合いを目指すなら忠言。「批評よりも、まずは好きを徹底して語れ」 好きをさらして叩かれるのが傷つくから、好きなものをさらさずに、一方的に他を叩くことを旨とする者もいるみたいだが、それが許されるのは匿名板だからこそ。あ、それと世のサブカルファン全てを敵に回すほどの極悪犯罪を犯した宮崎勤氏は、2008年6月17日に処刑されたとのことで、今度の日曜が10年めとなる。今さら故人を叩くつもりもないが、当時の風潮を思い出すと、いろいろ感慨深しと考える次第。