80年代では非常に斬新だったシステム
NOVA「さて、前回から始めた懐かしRPG、ファンタズム・アドベンチャー(PA)の話ですが、88年に登場した国産RPG*1では最も緻密で尖ったシステムながら、プレイアビリティーは決して低くないのがポイントかと思います」
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ヒノキ「80年代においては、非常に斬新なゲームということじゃが、現在の視点で見ると、どうなのじゃ?」
NOVA「まあ、古いゲームなのは間違いないですけど、システムとしては今なお斬新で、語り甲斐のあるゲームだと思ってます。88年の時点では、非常に野心的で、このゲームよりも先鋭的な作品はなかったのでは? と思ってます。まあ、この時期は、TRPGシステムがどんどん進化していった時期で、PAの場合は進化の袋小路にはまった実験作の趣きも強かったのですが、古さを感じるのは、ゲームシステムよりも、むしろシナリオの方ですね」
ヒノキ「と言うと?」
NOVA「出版されたPAのシナリオって、典型的なダンジョン物と、秘境探検もので、ハック&スラッシュしかないんですね。90年代以降に定番となった、都市での陰謀劇とか、市井での事件解決とか、あるいは壮大な戦記ものとかは手が届かず。スキル制のゲームシステムはそれらを取り込める可能性を十分に秘めておりながら、物語を牽引する根幹ストーリーが発表されずに、独自の世界観が宙に浮いた感じがあります」
ヒノキ「サポート不足ということか?」
NOVA「25の島を探検するキャンペーンシナリオ『霧雨の島』は、海洋探検アドベンチャーとして非常に豪華な作品ですね。D&D青箱の『恐怖の島』の要素を膨らませた感じで、一つ一つの島を自由な順番で渡りながら、ミニイベントを解決して回るのは、ゲームとして面白いと思います。冒険というのが秘境探検、そこで遭遇する悪党退治を行いながら、お宝探しに邁進するスタイルとしては傑作シナリオと考えます」
ヒノキ「何が問題じゃ?」
NOVA「90年以降の日本のTRPGの定番って、『事件が発生したのを解決するストーリー』か『組織に所属するチームが上層部から与えられたミッションを果たすストーリー』が分かりやすくて、その後、『別の組織に所属しているキャラが共通の目的を持ったり、時に対立しながらも、適度な物語の落としどころを探りながら、相互の目的を果たすドラマ志向、ロールプレイ指向』の作品が増えたと思います(とりわけFEAR系)。
「ダンジョンアドベンチャーが古いと言われたのが、90年代からゼロ年代で、そこから逆にシステマチックなダンジョン構築、ストーリー性を付与したダンジョンを主題にした『セブン・フォートレスAdvanced』『ナイトウィザード』とかの原点回帰型システムなどへの模索もありつつ、バトル、探索、情報収集、事件解決といった要素をどう組み合わせるかで、多様性を目指した流れですね」
ヒノキ「旧世紀はシステム面の模索、新世紀はストーリー面の模索といったところか」
NOVA「そう単純な切り分け方だと、いろいろツッコミどころだとは思うのですが、PAはTRPGのストーリー面でのサポートが日本で解析されて行き届く以前のゲームなので、原初の探検とバトルを楽しむゲーム。そして、キャラクターの構築ヴァリエーションが非常に豊かな何でもあり系ゲームだった、と。まあ、魅力的な世界観ではあるけれど、全貌が明かされる前に展開終了したので、未完の大作感が強い作品ですね」
ヒノキ「根幹ストーリーがない分、自由度が高いゲームではあるのう」
*1:デザイナーは日本留学に来てたアメリカ人のトロイ・クリステンセン氏ですが、海外製ではない。原型は82年に同人的に自費出版してたようですが。








