花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

魔神ハンターと、レジスタンス(SWミストグレイヴ0ー9)

2日めの旅立ち準備

 

GM(ヒノキ)「前回は、物乞い市場にあるビシャナの宿屋で一時の休息をとったのじゃが、その際、NPCとの交流をしつつ、今後の活動方針を考えることとなった」

デル(リトル)「オラは、そういう交流とは無縁で、グースカピーと寝ているだけだったなぁ」

G太郎(ゲンブ)「酒を飲んだり、情を交わし合ったり、子どもには早すぎるシーンでござったからな」

ホリー(シロ)「言っておくけど、ボクはそこまで踏み込んだわけじゃないからな(赤面)。ただ、いろいろ話をして打ち解け合っただけだ」

GM「さすがに一夜明けて、宿の主人が『昨夜はお楽しみでしたね』と野暮な言葉をかけるでもなく、お前たちは遅い朝食を口にしながら、出発の準備をしているわけじゃ」

G太郎「このままミッションに従い、メル嬢を南へ送るとして、その後の予定でござるが、仕事の当てができた。宿の主人のビシャナさんが頼みたいことがあるらしい」

ホリー「いつの間にそういうことに?」

デル「オラは知らないけど、プレイヤーは知っているぅ。姉さんが部屋でいろいろしている間に、G太郎さんが情報収集を頑張ってたんだぁ」

ホリー「ボ、ボクだって、情報収集に励んでいたぞ。そう、これから向かう場所について、会うべき人物のこととか、蛮族に対抗する意志の確認とか……」

G太郎「気をつけるでござる。今は人目につく場所ゆえ、うかつな発言は自らの首を絞めることになる。我らは上位バルバロスのドレイクの坊ちゃんと、連れのバルカンの嬢ちゃん、そして従僕にして世馴れたルーンフォークの主従一行であることを忘れなく」

ホリー「あ、ああ、バルバロスとして人族の集落に対する視察をだな。反抗の気配がないかと探り当てようとしたわけだ」

メル『私たちはただ生きるのに精一杯なだけで、バルバロス様に逆らうなど滅相もありません』

ホリー「そうとも。メルはただ調和の神の教えに従い……」

GM「それを言おうとすると、メルがホリーの足を踏んで、警告の視線を送るのじゃ。蛮族社会において、調和神の名をうかつに出すのは自殺行為だと訴える」

ホリー「す、すまない。慌てて口をつぐむ」

G太郎「ほう。彼女はライフォス信者なのか、と、こちらも口に出さずに納得しよう。ルーンフォークは神を信じないが、第一の剣の神がこの蛮族社会においては、抹殺対象であることぐらいは知識がある。地上の街では、サカロス神殿やティダン神殿、キルヒア神殿が破壊されて、廃墟となっていた。バルバロスが信仰するのは、戦神ダルクレムや腐敗神ブラザバスなど第二の剣の神々でござる」

デル「アリナ様、オラの信じるグレンダール様はどうなんだぁ?」

GM「力を求め、己を鍛えることを推奨するグレンダールは、第一の剣の神であるにも関わらず、トロールケンタウロスなどの武を重んじる蛮族に信仰されているようじゃのう。戦神という性質ゆえ、ダルクレムに通じるものもある、と考えられる」

デル「だけど、ダルクレムとグレンダール様の教義は違うはずだろぉ?」

GM「うむ。グレンダールは強くなることを推奨するが、弱者に対して横暴に振る舞うことは戒めておる。何が何でも勝て、という教義でもなく、あくまで正々堂々とした戦いで己の力量を証明し、負けてもそこから立ち上がることを奨めておる。敢えて自分を逆境に置いて、そこから這い上がるような鍛え方を求めたりのう」

デル「ダルクレムはどんな感じだぁ?」

GM「戦え。絶対に勝て。負けは認めるな。勝つためなら卑怯なことをしてもいいが、むしろ力で叩きつぶすことこそが誉れ。負けるぐらいなら潔く自決せよ。さもなくば、復讐のために屈辱を呑んで生きよ。そして勝て。勝てば正義、負けるは恥。弱者は力で従え、屈服させよ。弱い者は支配されて当然、勝者の思うがまま。弱肉強食こそ世の理である。欲しいものは奪いとれ。力なき者は全てを捧げよ。それを拒むなら強くなれ。力があれば、下剋上も認める。部下に寝首を掻かれるような者は、甘えた軟弱者ゆえに」

デル「……何だかおっかない教義だなぁ。例えば、オラがダルクレムの信者だったら、G太郎師匠を尊敬しているフリを見せても、ある程度、力をつけて勝てると踏んだら、突然、裏切って『ハハハ、師匠も甘いなあ。だが、もう、あんたの時代は終わったんだ。これからはオレサマがあんたの代わりに君臨してやる』と立ち回ったりすることもありなのかぁ?」

G太郎「『バカな。貴様のような若輩者に不覚をとるとは、このわしも老いたものよ。だが、覚えておくがいい。お前もいつかこうなる。それがイヤなら鍛錬を怠るな。甘さを見せるな。心を鬼とせよ。誰も信じるな。……なまじ弟子を信じたがゆえに、このような末路よ。敗者は潔く散るとしよう。ぐふっ』というのが、ダルクレム文化の師弟像でござろうか」

デル「まるで修羅の道だなぁ。まあ、弟子も師匠によほど虐められていたんだろうけどぉ。とにかく、オラにはマネできねえ世界だぜぇ」

GM「蛮族は基本的に力に基づく社会で、慈愛とか協調という感情を弱者の論理と軽蔑する風潮がある。もちろん、個人的に友情や信頼関係を築くケースもあるが、その前提には自分にとって有用かどうか、あるいは愛すべき資質を持ち合わせているかなどが考えられる。『弱いけど、作る飯が美味しいから可愛がられるコボルド』とかは一般的じゃのう」

G太郎「そして、個人としては人族よりも一般的に強力になりがちな蛮族が、戦争では必ずしも勝てないのは、人族の軍隊が規律を重んじ、部隊としての戦術を大事に考える一方で、蛮族の軍隊は個人の武勇を重んじ、勝てば勢いよく調子づく反面、強大な指揮官が倒れれば容易に潰走する脆さを備えているゆえ。

「また、統治や生産に関する技術は人族の方が文明化されているため、どうしても蛮族社会は略奪に頼りがちな未開状態になりやすい。その中で、人族の文明を学んだ一部のエリート階級が蛮族の英雄として、強大な軍事国家を建設するケースも時には見られるのでござるよ」

GM「もちろん、蛮族社会は人族以上に個人主義であるがゆえに、以上の一般像から外れた多様な変わり者は存在するじゃろうな。そして、蛮族社会は決して一枚岩ではないことが、このミストグレイヴのシナリオをプレイしていけば分かるはず。元々、人族社会のアウトサイダーに近い冒険者が己の力だけで成り上がって行ける蛮族の風習に魅せられ、使命を放棄して、蛮族としての人生を満喫するよう転向するケースもあってのう」

ホリー「まるで、忍びの世界における『草』みたいな話だな。とにかく、ボクたちの仕事は情報収集だから、バルバロスの社会にうまく溶け込まないといけないんだけど、自分の本分を忘れてはいけない。だから、人の心の拠り所となる拠点を持たないといけないと考える」

G太郎「そのために向かうのが『肉の穴』でござるな。拠点を確保し、収入の得られる仕事を請け負えるようにする。それが現状の目的ということで」

 

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魔神ハンター、夜明けの宿り(SWミストグレイヴ0ー8)

シロの相談

 

シロ「アリナ様、ホリーのキャラ設定について相談したいことがあります」

ヒノキ「ふむ。お前がそう言うので、ゲンブとリトルには座を外してもらったのじゃが」

シロ「心遣い感謝します。それでホリーは二重人格設定ということで、いろいろロールプレイの方向性を考えていたのですが、マッスルG太郎誕生に際して、ガルドの魂が抜けてしまい、プランがいろいろと狂ってしまったんですね。そこで、今後の方向修正をどうしようかと……」

ヒノキ「なるほどのう。わらわの強引なアドリブのせいで、ホリーのキャラ設定の根幹をいきなり崩してしまったようじゃ。お主に事前の相談もなく、ああなってしまって悪かったかもしれんのう」

シロ「いいえ。プレイ中のGM裁定については納得しています。確かに、二重人格キャラの一人芝居については、うまく回ればいいのですが、独りよがりなロールプレイになって、物語をややこしくする可能性もあったわけで。それに、ガルド成分がマッスルG太郎に移ったことについては、ストーリーの展開上の劇的な変化と考えてもいい。ただ、それが物語の中盤ならともかく、まだ導入部で突然、覆って戸惑いを覚えているんですね」

ヒノキ「では、シロはホリーのストーリープランをどのように考えていたのじゃ? お主はわらわが思っていた以上に、真面目にキャラ造形を練っていたみたいじゃから、それを聞かせておくれ」

シロ「分かりました。ホリーはガルドを心の闇と見なしていましたが、本当は思春期特有の『もう一つの自我』というか、『認めたくない醜い自分』を具現化したイメージのつもりだったんですね。だから、ガルドの闘争本能も欲望もホリー自身が潜在的に抱いていたもので、いずれホリーは冒険を通じて、自分の中の醜さを認めて、受け入れて、一人の大人として統合していく流れを考えていました」

ヒノキ「ああ、ホリーの内面の葛藤は、ホリー自身が成熟する過程で解決していく意図じゃったか。それをわらわが『二つの魂』と解釈して、切り分けてしまったために、ホリーの目指す先が見えなくなった。そういうことじゃな」

シロ「ええ。ホリーというキャラは幸せな幼少期を送って、すごく真面目に高潔に育てられたと思うんですよ。だけど、思春期の欲望や荒れた反抗心なんかを押さえつけ、否定することで、『きれいな本当の自分』と『誘惑者である邪悪な闇』の対立構造として、自分自身の内面、ひいては世界そのものをも見るようになっていた。そのまま何もなければ、高潔な騎士あるいは従者として、育って行ったかもしれない」

ヒノキ「しかし、蛮族に育った環境を奪われ、ガルドという闇の闘争心を解放して、生き延びることができた」

シロ「そうなんです。嫌悪していた闇の力が自分を助けてくれたという事実を、ホリーがどのように受け止めるかというストーリーを考えていたのですが、その後、蛮族の体になったり、ガルドという人格が消えてしまったり、ボクの想定外で話が進んでしまいました。そこでアリナ様と相談した上で、軌道修正を図りたいわけです」

ヒノキ「家族を失い、人の体を失い、魂の半分を失い、ホリーは自己を形成する大事なものをどんどん失っているのが現状じゃな」

シロ「ええ。これがもしも『ダブルクロス』のシステムなら、ジャーム化しそうですね」

ダブルクロスThe 3rd Edition上級ルールブック

ダブルクロスThe 3rd Edition上級ルールブック

 

ヒノキ「ストーリーの導入部で、いきなり闇堕ちされても困る(苦笑)。新たなロイス(人間性を維持する絆)を用意せねばならんのう」

シロ「そこで、メルをボクに下さい」

ヒノキ「何じゃと?」

シロ「弟分と思っていたデルが、G太郎を師匠として崇めるようになったのも、ホリーとしては苦痛なんですよ。ガルドの魂を持って行った男が、自分の冒険パートナーさえも奪って行くような気がして、ホリーは今のままだとG太郎に逆恨みをしそうです。ホリーには、自分を癒してくれる温もりが必要なんです。ボクにとって、アリナ様や翔花、それにセイリュウ師匠がそうであるように……」

ヒノキ「ああ。お主は、ホリーに過度に感情移入しておるのじゃな。ゲンブのように自分とマッスル太郎を適度に切り分けられずに、ホリーの痛みに対して、自己の経験と照らし合わせて、ゲームのキャラではなく自分のリアルな分身として思い入れておる」

シロ「いけませんか? 自分でももう少し割り切った方がいいということは分かっているんです。だけど、ロールプレイとして考えた場合、ホリーをどう演じていいのか、指針をはっきりさせたいわけで」

ヒノキ「ホリーの指針といえば、『弱者を見捨てない』のと『身分(否定)、穢れ(否定)』じゃったか」

シロ「問題なのは、どちらも否定ということなんですね。身分については、『騎士という身分があっても、結局は蛮族の力に蹂躙されてしまったのだから、それは自分を支える拠り所にはならないという諦念』とかですね。なまじ身分のある家庭で育ったために、それが奪われた際に、肯定できなくなってしまった。穢れについては『バルバロスブラッドで自分が穢れてしまった』ので、そこを否定してしまっては、自分が維持できなくなる」

ヒノキ「すると、ガルドの持つ『欲望(肯定)、闘争(肯定)』がホリーの生きる原動力となっていたわけか」

シロ「そう、ガルドあってこそのホリーだったんです。ガルドが失われたら、ホリーには否定的な生き方しか残されていない。そこを改善しておかないと、厳しいんですね」

ヒノキ「では、その信条の変化のきっかけを、メルとの交流でロールプレイするとしようかのう」

シロ「お願いします」

 

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魔神ハンター、人の拠点を目指す(SWミストグレイヴ0ー7)

第2ミッションは拠点探し

 

GM(ヒノキ)「デル&ホリーの新人冒険者コンビが、封印の壺から魔神のマッスル太郎を解放するまでの話が第1ミッション。成長の儀と、3人パーティー結成を果たして、次なるミッションの開始じゃ」

G太郎(ゲンブ)「とにかく寝泊まりのできる拠点まで行かないと、回復もままならないでござるからなあ」

GM「一応、ミッション達成でHPとMPはフル回復させたから、本来のプレイよりもイージーモードじゃと思うがの」

ホリー(シロ)「だけど、レベル2の2人に、レベル4のボス敵をぶつけるなんて、厳しすぎますよ」

GM「しかし、それもシナリオ通りじゃ」

デル(リトル)「それでも、あと3点ってところまでカニを追い詰めたんだよなぁ」

GM「マッスル太郎のような一種のチートキャラでなくとも、レベル2キャラ3人なら、ちょうどいいバランスだったかもしれんのう。回復役と攻撃役2人なら余裕を持って倒せたはず」

G太郎「2人だと厳しいが、ギリギリ勝てるバランスだったかも、でござる。ホリーが最初にエネルギーボルトではなく、ブラントウェポンの魔法を使っていれば、デルが回復に専念せずに攻撃回数も増やせていたろうし、ライトの呪文でMPを浪費していたのも敗因に挙げられよう。あと1発、エネルギーボルトを撃てれば、3点のHPを削れていたかもしれん」

GM「松明は1tbで2本使う計算じゃから、4マス分で8本使用。冒険者セットには、6本の松明が入っているから、2人分で12本。結局、暗闇の中で全部、松明でまかなおうとすれば6マス分しか進めないことになるのじゃ。先に松明を余分に買うか、ランタンを用意するべきじゃったかもな」

ホリー「ライトの呪文があれば、問題ないと思ったんですよ。MP1点で3時間だから、1日ライトを付けっぱなしでもMP8点でまかなえる。ホリーは呪文専門ではなく、前衛でも戦えるフェンサーだから、MPが減っても戦闘能力は問題ない……と思ったんですけどね」

GM「もしも、このシナリオをマッスル太郎のようにソロで挑戦した場合、果たして攻略できるのかと考えてみたが、最初のカニでいきなり終わってしまう可能性が高いじゃろうな。初期状態のレベル2では、まず倒せんので、襲われている者を見捨てて逃げる。そしてミッション失敗しつつも、上層階へ出て、ストーリーは続けるという形の攻略もありじゃろう」

デル「だけど、オラたちは『敵に背を向けない』とか『弱者を見捨てない』という性格設定なので、死ぬまで戦うという選択肢しかなかったんだぁ」

G太郎「初期状態のマッスル太郎なら、ヒーッと叫んで逃げていたかもしれん。そして、当てもなくフラフラとミストグレイヴの上層階をさまよい歩き、運が良ければ、何とか拠点にたどり着いて、一宿一飯の恩義が云々と言いつつ、善良ながらも卑屈なキャラをロールプレイしながら、生き延びるために必死でサバイバルに励む冒険の可能性もあった」

GM「それは、ミストキャッスルの序盤じゃな。あれはあれで味のあるストーリーと思うが、続編の主人公まで、そういう卑屈な情けないキャラというのもワンパターンじゃからな。今回は、真っ直ぐな気性の熱血青年主人公と、影のあるクールヒロインと、熟練の大人エイリアンという構図で、『ブルースワット』にも通じるスパイアクションの方向性じゃろうか」


Blue Swat : Shuppatsu No Sign


TRUE DREAM

 

GM「ともあれ、ミストグレイヴ用にガチでキャラを準備するなら、種族は【暗視】の使えるキャラか、穢れ持ちでバルバロスブラッドのボーナスが多いナイトメアを選ぶ。そして、職業は装甲を固めながらも、両手持ちの銃を使うマギテックシューターで始めると、単独でもカニを倒せるかも、とシミュレートしてみる。適度に【ヒールバレット】を撃ちながら、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるとか、【ターゲットサイト】を入れながらとか、やりようはあるかものう」

G太郎「最初から4レベルまで育成したキャラなら、ソロでもいいバランスでプレイできるかもしれん。キャラビルドブックでも、4レベルキャラまで育成できる仕様でござるからな。公式最新作の魔神ハンティングシナリオ『デモンズライン』も4レベルスタートであるからして、ソロだと多少の下駄を履かせて強い状態から始めるのもありか、と」

GM「まあ、ミストキャッスル攻略済みの7レベル1名と、作り立ての2レベル2名という変則パーティーは、実験要素が強くて、どうなるか、わらわもバランスが読めんからのう。それだけに、刺激的な状況設定じゃと思う」

ホリー「合計レベルが11で、平均レベルが四捨五入して4。ボクたちは2レベルなのに、4レベル難易度で判定しないといけないんですね(涙目)」

GM「2人とも3レベルになれば、合計レベル13で、それでも平均レベル4じゃから、まずはそこを目指すべきじゃろうな。その間、G太郎は主技能を伸ばさず、サブ技能だけを育てる形で」

G太郎「強敵ボスキャラは私が倒して、周りのザコキャラを2人に任せる展開がしばらく続きそうでござるな」

 

GM「では、いろいろ仮想するのはこれぐらいにして、今、直面している状況に戻るとしよう。今は、魔神ハンターたちが探索を始めた1日めの深夜。お前たちが助けた女性メルは、お前たちの会話が一通り片付くのを待ったあと、おずおずと話しかけるのじゃ。『もしかして、あなた達はルキスラ帝国からの密偵なのでしょうか? 蛮族の姿に身をやつして……』」

ホリー「それは、さすがに警戒するぞ。この女、どうして、そこまで詳しく知ってるんだ?」

デル「まあ、オラたちはマッスル師匠といろいろ会話していたからなぁ。たぶん、交易共通語を使っていたろうし、ルキスラの名前もどこかで出したかもしれねぇ」

ホリー「いや、それだけじゃない。ここは蛮族の世界のはずなのに、人族の女がこんな真夜中にただ一人、地下水路を出歩いて、カニに襲われているって状況設定からして不自然だ。ボクは疑わしげな目を女に向ける」

G太郎「うむ。霧の街の地上でいろいろ冒険して、名誉蛮族の称号を持つに至った私からアドバイスさせてもらおう。蛮族は自分たちのことをバルバロスと呼称するのでござる。蛮族蛮族と連呼している時点で、自分たちは蛮族ではない人族だと明かしているようなものなので、その変装に意味がない。これ以降、蛮族どもの前で蛮族という言葉は使わないように」

ホリー「そう言うあんただって、蛮族を連呼しているじゃないか」

G太郎「私は蛮族に変装しているわけではないからな。この地下世界で、地上の名誉蛮族の称号が役に立つかは分からないので、私は上位蛮族お二人の奴隷という形を取る方がいいのかもしれん。それはそうと、メルさんがどうして、『ルキスラの密偵』というピンポイントなキーワードを口にしたかは、私も気になる。もしかすると、蛮族に抵抗するレジスタンスのメンバーなのでござろうか?」

メル『レジスタンス? いいえ、そのような大それたことは……。ただ、そこのドレイク様やバルカンの姐さまが身につけていらっしゃる指輪に見覚えがあって。私のかつての恋人が、外の世界から来たルキスラの密偵だったのです。彼は私を庇って蛮族どもに殺されましたが、「同じ指輪を持つ者が現れたら、人族の力になってくれるかもしれない」と言い残していました。あなた方は、彼の仲間、人族に希望をもたらす救世主、正義の味方なのでしょうか?』

G太郎「その通り。私が最後の希望だ」

デル「凄えぇ。そこですかさず、堂々と言ってのけるなんて、さすがは師匠だぁ。そこに痺れる、憧れるぅ。オラも救世主見習いの名をあげるぜぇ」

ホリー「おいおい、デルまでその気になるなんて。ボクたちはただの情報収集の仕事に来ただけで、救世主なんて大それたことはこれっぽちも……」

デル「いや、姉さん。魔神ハンターは悪い魔神から世界を救うのが目的なんだぁ。だったら、救世主を名乗って悪いはずがないぃ。だけど、まだ力量不足なのは百も承知だから、見習いなんだぁ。とにかく、師匠が救世主を名乗って恥じないなら、オラたちだって、いつか救世主に恥じない強さを身に付けられるはずぅ」

G太郎「そもそも、私は人々の笑顔のために戦うお笑い芸人でござるからな。笑いは世界を救うのもまた真理でござるよ(ニッコリ)」

ホリー「そ、そりゃ、ボクだって、弱い者の涙は見たくないが……そう言って、赤面するんだけど、バルカンの肌は元々赤いから、紅潮した表情が他人には分からない」

デル「オラには分かって、わざわざ『姉さん、どうしたんだ? 顔が赤くなってるぞぉ』と指摘しますぅ」

ホリー「も、元からだ」

G太郎「とにかく、サスライマッスルと見習い2人、正義と希望のために、力を貸すでござるよ」

ホリー「こら、ボクまで勝手に見習いにするな。大体、何だよ、そのサスライ何ちゃらって」

G太郎「とあるル=ロウド神官が提唱した正義のチームでござる。良ければ、サスライドレイクとサスライバルカンの称号を授けるが」

ホリー「そんな物はいらん!」

デル「サスライドラゴンならいいなぁ」

 

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魔神ハンター、最初の成長タイム(SWミストグレイヴ0ー6.5)

第0部の予定

 

ヒノキ「ミストグレイヴ導入部として、予定よりもやや早く始めたわけじゃが、2つめのミッションを終えた際に拠点に到着するので、そこまでプレイして第0部を終わらせるとキリがよいと思う」

リトル「前回で、デルニールがマッスルG太郎師匠に弟子入りすることを決めて、パーティー結成したですぅ」

シロ「ボクはまだ、G太郎を信用していないけどな。魂の片割れガルドがG太郎の一部になっていることから、複雑な想いで警戒している」

ゲンブ「サラ・コナーがターミネーターを見るような不信感でござるな」


『ターミネーター2 3D』予告編 ロングバージョン

 

リトル「だったら、デルがジョン・コナーの立ち位置ですかぁ?」

ヒノキ「まあ、G太郎がシュワちゃん相当だという一つのイメージソースじゃな。さすがに全てがターミネーターの物語と同じわけではなかろう」

シロ「ホリーとデルは母子じゃないし、姉と弟みたいなものだと考えるなら、『仮面ライダーアマゾン』における岡村りつ子とまさひこ姉弟に例えることもできるな」


【バトライド創生】 仮面ライダーアマゾン/山本大介(アマゾン)のボイス・SEとかをオリジナルにしてみた

ゲンブ「強い男ヒーローと、守られる姉と弟という構図なら、多くのヒーロー物語に見られる類型でござろう」

ヒノキ「違うのは、姉と弟も戦闘要員として成長することが期待されていることじゃな。ともあれ、前回で3人が当面の仲間となって、一つのミッションが達成したと見なし、今回は成長タイムとしよう。続いて、助けた人間女性のメルから次のミッションが提示される予定じゃ」

 

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魔神ハンターと、マッスルG太郎(SWミストグレイヴ0ー6)

マッスルG太郎、誕生の背景

 

ヒノキ「ミストグレイヴの地下水路で強敵ジャイアントクラブと戦ったデル&ホリーの魔神ハンターコンビであったが、奮戦虚しくHPが底を尽き、一敗地にまみれてしまったのじゃ」

リトル「だけど、生死の境で封印された魔神、マッスル太郎さんと契約を果たしたわけですねぇ」

シロ「封印の解除のためには、ボクたちの血、デルの魔神契約の紋章、そして魂が必要だった」

ゲンブ「そこでホリーの中に宿るもう一つの魂ガルドが自らを犠牲にして、封印を解き放ち、晴れてマッスル太郎が復活。一撃で巨大ガニを粉砕するという、華々しい復活デビュー戦を飾ったでござる」

GM「ガルドの魂と一つになったマッスル太郎は、新生マッスルG太郎となったのじゃ」

ゲンブ「ゲッターロボゲッターロボGになったようなものでござるな」

シロ「それにしても、ガルドがマッスル太郎と一体化するとは思いもしませんでした」

ヒノキ「わらわもじゃ。しかし、ゲンブがガルドを演じ、ホリーとデルが共に倒れ、両者が共にマッスル太郎と契約を果たすようなドラマが、その場のノリとダイス目の結果で偶然に発生した。その流れの延長線で何だか不意に思いついてしまったストーリー。書いてみるまで、プロットにもなかった展開で作者ですら驚いておるらしい」

シロ「ボクのキャラ、ホリーはキャラビルドブックで二重人格という設定ができたのに、いきなり、その設定を破棄するような展開で大丈夫なんですか?」

ヒノキ「いやいや、キャラ設定というものは物語を作るための材料であり、物語の展開に合わせて発展解消するのもしばしばじゃ。初期設定を後生大事にして、物語がうまく展開しないよりは、使える設定は大事に扱う、使いにくい設定は適切に改善して物語を盛り上げるために昇華するのも、作劇の基本じゃ、と新兄さんなら言うであろう」

シロ「ガルドは面白いキャラだと思ったんだけど、一人二役を演じると、物語が進みにくいという弊害は確かにあったかな」

ヒノキ「ガルドがアドバイスする→ホリーが反発して逆の行動をとる、というギミックは、小説やコミック、アニメでは面白いキャラの関係性だと思うが、TRPGの形式でプレイヤーが扱うには難しいし、物語的にまどろっこしい内輪芝居にしかならん、と感じてのう。それよりは、ガルドの要素をプレイヤーキャラのマッスル太郎に持ち込む方が、面白くなると判断したのじゃ」

ゲンブ「ガルドの記憶をマッスル太郎が継承することで、デルやホリーの背景を改めて太郎に説明する手間も省けるでござるよ。その意味でガルドは、マッスルG太郎の中に生きているわけで」

シロ「ホリーとしては、ガルドが邪魔に思っていたので、いい厄介払いができたと思うのだろうけど、いなくなったらいなくなったで、心にポッカリ穴が空いたような気分、となるのかな。いなくなって初めて分かるガルドの価値、というか……」

ヒノキ「その辺の細かいキャラ心情は、プレイヤーのロールプレイに任せるとしよう。GMとしては、感情を刺激する状況を与えるのみ。では、改めてプレイの続きを始めるとしよう」

 

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魔神ハンターと、魔神解放!?(SWミストグレイヴ0ー5)

暴れるカニ

 

GM(ヒノキ)「それではミストグレイヴ導入編もいよいよクライマックス。強敵ジャイアントクラブとの対決じゃ」

ホリー(シロ)「アリナ様、そいつのデータはざっと見ましたが、レベル2のキャラ2人に対して、レベル4の剣のかけら入りって無茶じゃありませんか? 特に防護点7の甲羅と、ハサミによる2回攻撃なんて、勝てないですよ」

GM「確かにのう。ミストキャッスルでは、最初のイベントボスがレベル1のスケルトンで、HP20。フェアリーガーデンでも、レベル2のゴブリンでHP26じゃった。まともに考えて、このジャイアントクラブのレベル4、HP42など、よほど運が良くなければ倒せない」

ホリー「だったら、どうして?」

GM「一応、ここでパーティーが全滅しても、物語は進むようになっているのじゃ。最初に厳しい戦いを経験して、このシナリオがいかに苛酷かを示すのが、デザイナーの目論見じゃろう」

ガルド(ゲンブ)「大丈夫。死ぬ気で戦えば、必ず道は開ける。ギリギリまで戦って、ギリギリ踏ん張って、どうにもならない時に勇気の光が生まれるでござるよ」


MAD ウルトラマンガイア OP / Ultraman Gaia

 

デル「大丈夫だ、姉さん。たかがデカいだけのカニ、このオラがみんなを庇ってみせるぅ。その間に、姉さんの魔法で攻撃すれば、いかに装甲が高くても倒せるはずさぁ」

ホリー「だけど、ボクのMPは残り11しかない。エネルギーボルトの呪文は2発しか撃てないんだ。まあ、MPマックスだとしても3発しか撃てないんだけど」

デル「どっちにしても、オラは敵に背を向けるつもりはないさぁ。ここはオラが引き受けるぅ。逃げたきゃ、姉さんがその女性を連れて逃げてくれぇ」

ホリー「お前一人を残して、逃げられるはずがないだろう。ボクも戦う」

GM「では、先制判定をしようかのう。こっちの先制値は10じゃ」

デル「オラは6」

ホリー「ボクは……よし、平目で10を出した。まずは後衛スタートだ」

デル「後衛スタートして、どうするんだよぉ?」

ホリー「神聖魔法フィールドプロテクションを掛けてくれ。それでダメージを1点減少させられる」

デル「よし、呪文はうまく掛かったぁ。MP2点消費して、残り18点だぁ」

ホリー「そして、ボクが前衛に斬り込む。相手の攻撃を回避すれば、問題ない。魔力撃を宣言して攻撃。命中は9」

GMカニの回避は12じゃ」

ホリー「こいつ、意外と素早い!」

GM「レベル4は伊達じゃないということじゃよ。では、命中13を2回避けるといい」

ホリー「ボクの回避基準値は6。期待値で避けられるはず」

ガルド(ゲンブ)「期待値5だと無理でござるよ」

ホリー「黙れ、ガルド。普通は期待値が7なんだ。1回めは出目10、2回めは出目12。よし、華麗に避けた」

デル「さすがはホリー姉さんだぁ。よし、2ラウンドめ、オラも突撃するぞぉ。姉さんを庇う宣言しつつ、ヘビーメイスで攻撃ぃ。命中は13」

GM「当たった。ダメージをくれ」

デル「8点だぁ」

GM「防護点で7点減らして、1点くらった。残りHPは41点」

ホリー「やはり、物理攻撃じゃまともなダメージを与えられない。ならば魔法で。前衛で撃つ場合は、誤射の心配はないということで、エネルギーボルトを撃ちます。相手の抵抗は?」

GM「11じゃ」

ホリー「こちらの魔力が3なので、期待値じゃ抜けないか。よし、ここで剣の恩寵ルールを使います。この光で闇のカニを撃ち倒す! ダイス目は普通に8出た。それに+4して、魔力も加えて達成値15」

GM「魔力で作られた光の矢が、カニの強固な装甲を貫いた。では、ダメージをくれ」

ホリー「ダメージダイスは期待値どおり7。威力10だと3点ダメージで、魔力を足して6点ダメージだ」

GM「ならば、残りHP35点。では、カニはホリーにハサミで反撃するぞ」

デル「おっと、オラがガードしてるんだぁ」

GM「それならば、9点ダメージを受けよ」

デル「防護点は5。それに防護魔法でもう1点減らして、3点ダメージだぁ。残りHPは22点。まだまだぁ」

GM「もう一撃のハサミは、ホリーを狙う」

ホリー「回避ダイスは5で失敗」

デル「姉さん!」

ホリー「大丈夫。一撃ぐらいなら耐えられる」

GM「ダメージは13点じゃ」

ホリー「10点くらって、残りHPは7点」

デル「ヤバいじゃねえかぁ!」

●2ラウンド目終了時の状況

大ガニ(HP 35/42)

デル(HP22/25、MP18/20)

ホリー(HP7/17、MP6/17)

 

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魔神ハンターと、地下水路(SWミストグレイヴ0ー4)

いよいよ冒険の始まり

 

ヒノキ「それでは、そろそろ冒険を始めるとするかの」

リトル「ええと、魔神ハンターを自称する二人組、人間の神官戦士のデルニールと、レプラカーンの魔法剣士ホリーが、〈バルバロスブラッド〉という変身薬を飲んだことから、ドレイクとバルカンっていう蛮族になってしまったんですねぇ」

シロ「そして、ルキスラ帝国の盗賊ギルド『闇夜の鷹』に誘われ、蛮族支配下の霧の街、その地下に広がるミストグレイヴという人外魔境に潜入して情報収集するように、無茶振りされた、と」

ゲンブ「おお、ややこしい導入だったが、きちんと理解しているではござらんか」

シロ「情報収集は忍びの基本ですからね。それにリトルも物分かりがいいし」

リトル「リウは、お勉強が楽しいですぅ。シロ姉さんの忍術修行も、時空魔術師さまの不思議な蘊蓄話も。TRPGの役割演技も面白いですねぇ。分からないことは、GMのアリナ様に質問すれば教えてくれますしぃ」

シロ「ところで、アリナ様。ボクのキャラのホリーは、男装の女小人だったんですけど、女バルカンになった時に、服はどうなったんでしょうね。普通に考えれば、デビルマンレディーみたいに弾け飛ぶんじゃないか、と」


パチンコ【デビルマンレディー】PV

 

ヒノキ「まあ、その辺はあまり詳細に語ると、エロ方面に突入しかねないので、読者の想像に任せるようにしよう。わらわたちはゲームの物語を楽しみたいのであって、アダルトコンテンツを語りたいわけではないからのう」

シロ「イメージとしては、人ならざる身になってしまった登場人物に視点を当てたダークファンタジーということですか?」

ヒノキ「ミストキャッスルが、苛酷な奴隷生活の中で強く陽気にしたたかに戦い抜く、お笑い芸人のハードボイルドストーリーを目指したのじゃが、ミストグレイヴの場合は、姿形は蛮族になった者が、闇の世界で人らしさを保てるのか、それとも郷に入らば郷に従えの格言どおり、闇に染まってしまうのかをGMとしては見てみたいと思っておる」

リトル「だけど、完全に闇に染まってしまうのも何かが違うと思いますぅ」

シロ「蛮族の価値観に触れることで、揺れ惑う人間性。自分にとって大事な想いとは何かって感じのストーリーかな」

ゲンブ「まあ、世界観が暗いので、プレイヤーキャラまでが深刻に悩み込んでも、ゲームとしては面白くならないでござるよ。そこは暗い想いを断ち切る陽性コミカルなプレイスタイルを推奨したいところ」

リトル「ええと、蛮族らしく、気に入らない奴は打ち倒すぐらいのバイオレンスな方向性で考えればいいってことですねぇ。力が正義だと言うつもりでぇ」

シロ「ボクは、蛮族やガルドに対して嫌悪感を抱きつつも、どこかで折り合いをつける流れで行きたいと思う」

ヒノキ「いわゆるツンデレを意識すればよかろう」

シロ「ツンデレかあ。『勘違いしないでよね。体は蛮族でも、心までそうなったわけじゃないんだから。いつか、人族に戻るために、今は耐えるしかないの』って方向性でプレイすればいいと」


[スパロボDD]デビルマン & 美樹 (サブ) 全武装

 

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