花粉症ガール外伝・コンパーニュ記

会話リプレイ形式の「精霊少女や仲間たちの趣味雑談ブログ」。お題はTRPGを中心に特撮・怪獣ネタ成分が濃厚。現在は、ソード・ワールドのミストグレイヴ妄想リプレイ「魔神ハンター」を終了に向けつつ寄り道迷走気味。

少女たちの修行(新・屋久島編その1.5)

来訪者ふたたび

 

ヒノキ「よし、新兄さんから教わったパワーワード《混沌の渦》の操作にもだいぶ慣れてきたぞ。これで《遠見の水晶球》も使いこなせるようになったのじゃ。もうすぐ終焉を迎える旧コンパーニュも、あれから特に変わったこともなく平穏無事。こうなると、気になるのは屋久島に行ったコナっちゃんと、シロの動向じゃが」

ゲンブ「水晶球で見ることはできないのでござるか?」

ヒノキ「うむ。屋久島を包む結界が思いの外に強固での。中に入ることはおろか、外から中をのぞき見ることもできん」

謎の声「そうか。だったら、俺が手を貸さないといけないな」

ヒノキ「何者じゃ?   ……って、新兄さんか。来るなら来ると、前もって連絡を寄越すのが礼儀ってものじゃぞ」

NOVA「いや、新コンパーニュに引っ越したから、ブログがお隣さん感覚になりまして。こうやって気楽に顔を出すことができるようになったんですよ。で、明鏡戦隊メガネンジャーの件で報告したいことが」

ヒノキ「メガネンジャーだと?」

NOVA「そう。ヒノキ姐さんには、このたびバックアップ要員としてメガネフェニックスの称号を授けたいと思いました。次元ドルイドのハイラスさんにもメガネワイルドとして新加入してもらい、これでメガネンジャー新体制で行こうかと」

ヒノキ「つまり、名誉特別隊員から、正式なメンバーとして遇しようということじゃな。引き受けた。で、色は当然、赤を要求するが、赤はすでにダン隊長がいるのではなかったか?」

NOVA「ええ。ダン隊長のメガネレッドは赤と銀のカラーリングですので、メガネフェニックスは金地に赤のラインで装飾しようかと思います。イメージモチーフは黄金剣を持った飛鳥武蔵が赤い鳥型のオーラを放つような感じで」


~ Fuma No Kojiro ۞ Capitulo 5 parte 1/3 ~

 

ヒノキ「何と。飛鳥武蔵じゃと?   あの鳳凰星座の聖闘士・一輝兄さんの元キャラとも言われる伝説の超能力戦士(サイキック・ソルジャー)の力を、わらわに託すと言うのか。赤いオーラを放つ黄金戦士メガネフェニックス。伝説光臨ということじゃな」

NOVA「ええ。そういうノリで支援していただければ。それで、一応、常駐の暫定リーダーとして、こいつが認定されたわけですが」

晶華「てへっ。なぜか飛んできたキツツキのように、このたび私がメガネンジャーの暫定リーダーになることになってしまいまして。NOVAちゃんの言うことだから、てっきり半分妄言かなあ、と思っていたら、どんどん既成事実が作られて戸惑っている粉杉晶華ですマル」

ヒノキ「なるほど。アッキーが暫定でもリーダーか。だったら、リーダーとして務まるよう、しっかり鍛えてやらねばの(ニヤリ)」

晶華「え?  鍛えるって?」

NOVA「そう。こいつの修行をヒノキ姐さんにお願いに来たんですよ。さすがは話が早い」

晶華「まさか、私もお姉ちゃんみたいに、ここで修行するの?  NOVAちゃんから離れて?  そんなのイヤだ。私はNOVAちゃんのアシスタントガールなんだから、武術の修行とかバトルとかは、お姉ちゃんに任せたはずなのに。私の仕事は、読書とスパクロで知性と感性、根気強さを身につけて、NOVAちゃんのトーク相手になることなんだから」

NOVA「ああ、もちろん、その仕事は続けてもらうぞ。だけど、コンパーニュが近くなったんだから、定期的にここに通いながら、修行をつけてもらうことも簡単なはずだ。家にいるとゲームと読書だけで自堕落な時間を過ごす娘を、心身共に鍛えるために稽古事を習わせるのは、よくある親心だ。姉が塾を卒業したら、次に妹もお願いします、と親御さんから言われることも、俺の場合は割とよくある話だしな。親の手伝いとお稽古事は両立できるはずだ」

晶華「いや、私はNOVAちゃんが先生だから、家庭で普通に勉強できる環境にあるわけで……」

NOVA「勉強は教えられる。しかし、武芸は俺には教えられん。自分にできないことは、信頼できる仲間に託す。その代わり、自分にできることを磨いて、仲間を助けることで信頼を得る。それこそ自助・共助の精神。ヒノキ姐さんから武芸とともに、花粉症ガールとしての精神性を学べ。『少しのことにも先達はあらまほしきもの』とは兼好法師もおっしゃった。自分の周りの狭い世界だけでなく、もっと広い視野で先達を見出して、虚心坦懐に学ぶこともリーダーには必要となる。周りにちやほやされて人を見下すような了見の狭さは改善しないとな」

ヒノキ「そ、そうじゃ。驕り高ぶって、闇雲に人を見下すような輩はリーダー失格じゃ」

ゲンブ(アリナ様もどうやら思い当たることがあるようでござる。娘御を諌めるように見せて、何気なくお嬢さまをも諭すとは、さすがは新星どのと言ったところか)

晶華「うっ。分かったよ。虚心坦懐に学びます。よろしくね、ヒノキおばさん」

ヒノキ「おばさんじゃない!  もっとキュートな呼び方を考えるのじゃ」

晶華「え?  だったら私がアッキーだから、ヒノッキー?」

ヒノキ「キュートじゃない、却下」

晶華「だったら、ヒッキー?」

ヒノキ「余計に悪いわ。仕方ない。アリナで何かを考えるといい」

晶華「じゃあ、アが私とかぶるので、ミツルギ→ツルちゃんみたいに頭文字を抜いてリナちゃん?」

ヒノキ「竜破斬(ドラグスレイブ)を放ちたくなる呼び名じゃが、割としっくり来るので、それで決定。では、我々二人のユニット名はリナ&アッキーで決まりじゃな。略してリナッキー

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時空魔術師、来訪

 ヒノキ反省

 

ヒノキ「大変じゃ。わらわの守護するはずの九州の地に災厄が発生した。油断した。何たること」

ゲンブ「落ち着いてくだされ、アリナさま。何もお嬢さまのせいではござらぬ。それに、この度の地震は、3年前、2016年の熊本地震と異なり、今のところ死者や重傷者は出ておらず、震度の割に被害は少なかったと発表されております」

ヒノキ「しかし、わらわはクリスマス前まではきちんと警戒しておったのじゃぞ。そう、シンカリオン最終決戦に際して、予言書『朱雀降臨暦』には、大地のエネルギー暴走の危険があるだろうから警戒すべし、と記されておったのに。予言は外れ、最終決戦は後に持ち越され、地脈は別に慌てて鎮静化する必要なし、と思い込んだのが失態じゃった。

「そう、わらわはクリスマス気分で浮かれ、新兄さんのところで童心に返って久方ぶりに寛ぎ、楽しい年末気分を味わい、そして新たな住居である新コンパーニュに移ってきた。その結果が見よ。鎮静化すべき地脈の異常にも気付かず、呑気に構えておったが故に、今回の厄災じゃ。果たしてサブロー殿はご無事であろうか。いや、九州の民は、大地の神霊を恨んではいないだろうか。すまぬ、わらわが浅はかだった(涙目)」

ゲンブ「……アリナ様。かくも心を痛めておいでとは」

ヒノキ「いや、これはもしかして天罰かも知れんのう。わらわは新兄さんのところから、無断で一冊の書物を拝借した。つまり盗みを働いたのじゃ。神聖なる身でありながら、己の欲望に抗しきれず、不埒な罪を犯したが故に、諸天が怒りを示したのじゃ」

ゲンブ「それは理不尽でござる。お嬢さまが罪を犯して反省される。それは結構。しかし、どうして、お嬢さまの罪が九州の住人たちに降りかかるのでござるか。それが真実であるならば、彼らにはとんだとばっちりではござらぬか。ご自分を責めるのはお辞めなさいませ。代わりに、今の自分に何ができるのかをお考えあれ。今のアリナ様は、我を忘れていらっしゃる」

ヒノキ「いや、わらわの過ちはまだある。お主には黙っておったが、あれは15年前のファイナルウォーズの時のことじゃ」

ゲンブ「ファイナルウォーズ……と言うと、セイリュウが裏切り、先代ビャッコを殺めた事件のことでござるな。我はその時、イリスや大量のギャオスとの戦いに傷つき疲れ、身を潜めておった故、ファイナルウォーズの詳しい経緯はよく知らぬ。一体、その時に何があったのでござるか」

ヒノキ「全てはエイリアンXの地球侵略活動に端を発する。わらわにとって、エイリアンXは54年前の怪獣大戦争の時以来、相性が悪いというか、不倶戴天の敵と言えよう。連中は地球の怪獣を洗脳して自らの尖兵として操るというズル賢い奴らじゃ。一度は、わらわと、そしてセイリュウも眠っているところを捕らわれ、洗脳操作されてしまっての。その時の雪辱は晴らしはしたものの、3年後の総進撃の戦いにおいて、今度はエイリアン・キラアクなる鉱物生命体にまで操られてしまったのじゃ」

ゲンブ「失態続きではありませんか」

ヒノキ「そういうゲンブだって、宇宙人に操られたことぐらいあるだろうに」

ゲンブ「う〜ん、ないわけではござらんが。確か、子供たちを人質にとった卑劣なバイラス星人だったか。そう言えば、その年は総進撃の戦いと同じ1968年。つまり、昨年がちょうど50周年で、うむ、昭和の出来事ゆえ、時効と言って良いはず。とにかく、怪獣を操る宇宙人がしばしば出現した時代だったでござるな」

ヒノキ「そう、昭和の時は、わらわもセイリュウも共に仲良く、操られたりもしながらも、地球人類の支援のおかげで解放された暁には、共に協力して悪いキングギドラを倒したりしたものじゃったよ。思えば、あの時が一番わらわとセイリュウの関係が良好だったのやも知れぬ」

ゲンブ「その後、時経て平成に至り、新世紀に入って、ついにはファイナルウォーズとなるわけでござるか。一体、どのような経緯でセイリュウが裏切ったのか」

ヒノキ「実はの……」

 

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母なる大地の声(新・屋久島編その1)

コール・オブ・ガイア

 

謎の声(我が遠き娘よ、目覚めなさい)

翔花「ううん、お早う、NOVAちゃん」

謎の声(私はWhite NOVAではありません。新しい天空の星ではなく、古き大地の精なり)

翔花「え、ここはどこ?  私は誰?  私はそう、花粉症ガールの粉杉翔花よ。私の心に話しかける貴女は誰なのかしら。何だか懐かしい気もする」

謎の声(私はガイア)

翔花「ああ、ギリギリまで頑張って、のウルトラマン?   それとも六神合体のコアロボット?」

ガイア(どちらも違います。大地母神ガイアと言えば伝わるでしょうか。あるいはTerraと呼ばれることもありますし、今は縄文杉を通じて、あなたに語りかけています。屋久島へようこそ、翔花。我が眷属にして、遠き娘よ)

翔花「え、もしかして、お母さま?  いいえ、遠き娘だから、お祖母さま?  いや、もっと前だから、ひいひいひいひいひい……ヒヒヒ……何回続けたらいいのか分からないけど、とにかくヒヒヒのお祖母さまってことね。何だかヒノキちゃんみたい」

ガイア(ヒノキ……ああ、ヒノキの精霊、南郷阿里のことですね。あの娘はまだまだ未熟とは言え、九州守護の一翼として、よく働いてくれております)

翔花「うん、私がここまで来れたのも、ヒノキちゃんの助けがあったからだよ。ここは屋久島で合っているのよね」

ガイア(ええ、年は変わり、世界は改変され、あなたの物語は新たな舞台で展開されるようになり、未完だった屋久島編は新・屋久島編と装いも新たになりましたが、確かにここは屋久島です)

 

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祝え! 新ブログ書き初めの正月である

 年始のあいさつ

 

ヒノキ「明けましておめでとう、なのじゃ。新兄さん、すなわちWhite NOVA氏に代わって、花粉症ガールの物語を取り仕切ることになった花粉症ガールV3、日野木アリナである。祝え、旧ブログからの引っ越しの儀を!」

ゲンブ「そして、我はアリナお嬢さまに仕える忠義の騎士General Buckler。略してゲンブ。まさか、ブログ主より管理のアシストを頼まれることになるとは思いもしなかった。大命を受けたからには、命に代えても任務を果たすでござる」

ヒノキ「いやいや、ブログ管理で命を落とすようなことにはならんじゃろう」

ゲンブ「しかし、我々の不用意な発言が元で炎上するようなことがあっては?」

ヒノキ「炎上じゃと?   炎を司る霊鳥・朱雀の化身たるわらわが、炎上を恐れるはずがなかろう。そもそも、お主も炎をエネルギーと変える大怪獣ガメラの眷属ではないか。ブログの炎上などで何をビクついておると言うのじゃ」

ゲンブ「おお、なるほど。炎上さえもエネルギーに変える。これがヒノキ流のブログ運営術でござるな。それなら我も気にせず、暴言失言かましてみせよう」

ヒノキ「いやいや。炎上を恐れるな、とは言ったが、好き好んで爆弾発言をしてもよい、とは言うておらん。お主の場合、下手をすると渋谷の大惨事を引き起こしかねんからのう」

ゲンブ「そういうお嬢様こそ、ラドンの眷属として、福岡を飛行の衝撃波による暴風で荒らし回った過去がおありではないですか」

ヒノキ「それは60年以上も前の昭和中期のことゆえ、とっくに時効じゃ。お主の場合は、まだ20年も経たない平成の出来事じゃから、時効は来ておらん。平成が終わって、初めて水に流してもらえるのじゃ」

ゲンブ「うう。時効まであと4ヶ月でござるか。それまでは身を慎んで生きるとしよう」

ヒノキ「うむ。ところで、今年はわらわもハリウッド映画に進出する。やはり、ギドラと戦うのか、それともゴジラと小競り合いになるのか、あるいはモスラと初の空中対決を披露するのか、詳しい話は聞いておらんが、きちんと活躍するのが楽しみじゃのう。宇宙大怪獣は数々あれど、空の大怪獣と呼称されるのはわらわのみ。それゆえ、見せ場はきちんと与えられよう」

ゲンブ「もちろん、そう祈っておりますが、空の大怪獣と呼称されるものは他にもございます」

ヒノキ「何じゃと。そいつは何者か」


『空の大怪獣Q 超・特別版』 Blu-ray用トレイラー Q: THE WINGED SERPENT

 

ヒノキ「ケツァルコアトルじゃと?」

ゲンブ「古代アステカの蛇神。水の神にして農耕神だったのが、後に風の神、文化神にして、人類に火を与えた神とも称されるようになったとか」

ヒノキ「属性持ちすぎじゃろ?  何とも節操のない神じゃ」

ゲンブ「最近は、このような作品で人間態を取るようにもなったそうで」


Fate/Grand Order ケツァル・コアトル マイルーム&霊基再臨等ボイス集 【FGO】

 

ヒノキ「まあ、ゲームやアニメで表現されることで、神々のイメージが変遷することも多そうじゃな。しかし、わらわとしては、原典どおりの怪獣態も好みじゃ」


[ゴジラ-GODZILLA-VS] ラドン VS スーパーメカゴジラ

 

ゲンブ「正月早々、怪獣になって暴れまわる映像を貼り付けるのはどうかと思うのですが」

ヒノキ「いや、燃える映像はこれしかなくてな」

ゲンブ「読者の皆さんは、萌える画像の方をお望みと思いますが」

ヒノキ「そうかの?  では、一つ」

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日野木アリナ

 

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Xデーを前にして

静かならざる聖夜前


コンパーニュの塔にて。
日野木アリナ(ヒノキちゃん)と護衛騎士ゲンブの前に現れた謎の男は、予言者ノヴァストラダマスを名乗り、この世界の終わりが近づいていることを告げた。
しかし、ヒノキちゃんは、予言者のもう一つの顔を指摘すると、観念した男は正体を明かそうとするのだった。


謎の男「予言者とは世を忍ぶ仮の姿。しかして、その実体は?(ベリッと顔をはがす)」

ゲンブ「何と。赤いふかふかの衣装に、白いヒゲ。そして背中に背負った白い袋。まさか、お主の正体は?」

ヒノキ「やはりな。予言者に化けてはいたが、案の定、快盗ルパンレッドであったか。おおかた、その白い袋の中に、盗んだルパンコレクションが入っているのであろう」

ゲンブ「いや、アリナ様。どう見ても、この男は快盗ではないでござる」

ヒノキ「何を言うか、ゲンブ。お主の目は節穴か。タイムジャッカーでもないのに、他人の塔に勝手に忍び込んで、巧みな変装術で人の目を欺き、しかも風変わりな赤いコスチューム。これが快盗ルパンレッドでなくて何だと言うのだ?」

ゲンブ「いや、ルパンレッドはもっと若い男性だったはず。この男はどう見てもヒゲ面のおじいさん」

ヒノキ「うむ。TVで見るルパンレッドとは少し違うようじゃ。ということは、アナザールパンレッドかも知れん。だとすると、こやつを倒すには、本物のルパンレッドの力を宿したライドウォッチか、あるいは妄想キツツキパワーが必要となろう」

ゲンブ「いや、素直にサンタさんという発想はないのでござるか?」

ヒノキ「サンタだと? フランケンシュタインの怪獣で、山に住む輩か?」

ゲンブ「それはサンダでござる」

ヒノキ「ならば、動物たちの謝肉祭を作曲した……」

ゲンブ「それはサン・サーンス」

ヒノキ「ならば、星の王子さまを書いた……」

ゲンブ「それはサン=テグジュペリ

赤服の男「どうやら、博識のアリナ殿もサンタを知らないようでござるな。セイリュウ、シノブ、ルールーに加え、これでサンタを知らない四天王が誕生したようだ。祝え、サンタを知らない四天王誕生の瞬間である!」

ゲンブ「どうして、クリスマスを知っているのに、サンタを知らないなどということが有り得ようか。嘆かわしい」

ヒノキ「いや、さすがにサンタを知らないわけではないぞ。そりゃ、わらわは日本神道に属する神霊でもあるからして、外国の祭りを祝う習慣は持ち合わせていないが、ニチアサを見ていれば、普通にサンタぐらいは分かる。かつてはウルトラの父が変身したりもしていたしのう。だが、この男がサンタであるとは、わらわにはどうしても考えられん。何しろ、サンタもまた伝説上の存在だからな。このようなところに出現するはずがない。この男はきっとサンタの名を騙る不届き者じゃ」

赤服の男「いや、名を騙るって、わしが自分でサンタを名乗ったわけじゃないから、それは濡れ衣だと言っておく」

ヒノキ「では改めて聞こう。予言者が仮の姿で、サンタでもないのなら、そなたの名は何と申す?」

赤服の男「フッ、この赤い聖衣に身を包んだわしこそは……」

ゲンブ「わしこそは?」

赤服の男「トナカイ座タランドゥスの聖闘士(セイント)ニコラウスという」

ゲンブ「トナカイ座? そんな星座はあったのでござるか?」

ヒノキ「今はない。だが、18世紀にフランスの天文学者ピエール・シャルル・ルモニエが考案した幻の星座の一つと聞く。もう一つはツグミ座。さらに、イギリスの物理学者トーマス・ヤングはキツツキ座を提唱したとも聞く。現在の88星座は、1922年にIAU国際天文学連合が制定したもので、古代ギリシャやローマで使われていたトレミーの48星座を土台に、南半球の星座を加えたものとされているが、採用されなかったものもあるのじゃな。やまねこ座リンクスはあるが、ねこ座フェリスは消えたし、近年はNASAによって、ゴジラ座やエンタープライズ号座、シュレディンガーの猫座、ハルク座、ムジョルニア座、エッフェル塔座、アインシュタイン座、富士山座などが認定されている。こうなると、近い将来、ゴジラ座の聖闘士なる存在が爆誕する可能性もなくはないわけで」

ゲンブ「ガメラ座は? いや、普通に亀の星座はないのでござるか?」

ヒノキ「水がめ座アクエリアスはあるが、それは水亀ではなくて水瓶じゃからのぅ。亀の星座は諦めよ。それよりも、トナカイ座の聖闘士がこの塔に何用じゃ。返答次第によっては、朱雀幻魔拳をくらわせるぞ」

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世界の終わりに向けて

クリスマス前の静かな一夜


ヒノキ「暇じゃ」

ゲンブ「アリナ様、何をおっしゃるのですか? お嬢さまには大切な使命が……」

ヒノキ「そう。わらわには大切な使命があるはずじゃった。本来なら、この年末にシンカリオンが最終決戦の時期に入り、今ごろは敵の本拠地である桜島にて、最大級の激戦があることが、この予言書『朱雀降臨暦』に記されておったのじゃ。が、どうやら予定されていた未来はタイムジャッカーか何かの原因で変化したらしい」

ゲンブ「シンカリオンが2年目も続くことになって、めでたいのはめでたいのですが、我としては同名キャラのゲンブが石化したままなのが残念でなりませぬ。ビャッコ共々、復活を希望するのみでござる」

ヒノキ「セイリュウは何とか死亡フラグを克服したようじゃが、スザクはまだ危険信号が灯っておるのう。しかし、問題はそんなことではない。本来なら、シンカリオン最終決戦の余波で、この擬似九州の地にもエネルギーの暴走が懸念されていたのじゃ。だからこそ、わらわは地脈の鎮静化などの目的で、このコンパーニュに待機していたのに、どうやら、その必要がなくなったらしい。わらわとしては何のために待機していたのか、目的意識を見失っておる次第じゃ」

ゲンブ「平和なのは、良きことではないですか。大丈夫、アリナ様の出番は必ず来ます。こういう予告編も公開されましたし」

ヒノキ「そう、これも予言映画の一つであろう。ラドンはわらわ、モスラはコナっちゃん、ゴジラはおそらくセイリュウ、もう一体のギドラは今だ見ぬ強敵ということで、このブログ世界とも連動しているかも、と『朱雀降臨暦』には書かれておる」

ゲンブ「かも? 何だか妙な記述の予言書ですな。その予言書には、ガメラやシーサーのことは書かれていませんか?」

ヒノキ「ああ、亀のことなら、イタリアのマフィアとの抗争劇において、重要な役割を果たす、たぶん、とあるぞ」
超像可動 「ジョジョの奇妙な冒険」第五部 41.J・P・ポルナレフ(荒木飛呂彦指定カラー)

ゲンブ「たぶん……。その予言書、大丈夫なのでござろうか」

ヒノキ「さあのぅ。少なくとも、今年の年末に桜島で最終決戦が行われる、という予言は外れたというか、時期がズレ込んだようだし、100%の信を置くのもどうかと思われる。予知や予言といっても、数ある可能性の一つに過ぎんからの」

ゲンブ「ともあれ、今が平和な日常というのは、それはそれで良いことではござらぬか。せっかく羽を伸ばせるなら、こんな時にサブロー殿とゆっくり楽しんではいかがですか?」

ヒノキ「ダメなのじゃ。彼は、知人の年末コミケの手伝いを頼まれて、これから忙しくなる、と聞く。それに、シロがいれば、この時期ケーキを作ってくれように、コナっちゃんと一緒に屋久島へ旅立って、連絡がとれなくなっておるし。そもそも、新星どのも何かと忙しいようで、連絡一つ寄越さなくなった。今年の年末は、このまま、お主と二人で寂しく語り明かすことになりそうじゃのう」

ゲンブ「メガネンジャーの面々はどうなのですか? ドクター殿や弥生どのと連絡をとって、ラビットタンク改造計画の進捗を聞くというのは?」

ヒノキ「こっちから連絡をするのは、何だか急かすようで格好悪いじゃろう」

ゲンブ「そんな物でござるか」


謎の声「フフフ、日野木アリナ殿。何やら、時間を持て余している様子。わしが相談に乗って進ぜようか?」

ゲンブ「な、何やつ!? どうやって、この結界の張られたコンパーニュの塔に侵入してきた?」

謎の男「結界だと? フム、時空を操作する者には、そのようなものは役に立たん、と告げておこうか」

ヒノキ「こ奴、もしかしてタイムジャッカーの仲間か?」

謎の男「タイムジャッカー? あのような小物連中と一緒にするでないわ。わしは予言者……そうだな、仮にノヴァストラダマスとでも名乗るとするか。この世界の終わりを告げに来た」

ヒノキ「世界の終わりじゃと? まさか……」

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青き仙人・後編(屋久島編6)

11月27日はガメラの日


ヒノキ「おお、アストロメガネスターから、メガネンジャー名誉特別隊員のわらわに通信がキター。ほう、メガネピンクの弥生からか。何? 司令の新星どのから、ゲンブにハッピーバースデイじゃと? おい、ゲンブ、喜べ。彼の御仁は、ガメラの日を忘れていなかったようじゃ」

ゲンブ「何と。ガメラの日をきちんと祝福してくれるとは。先日は助けてくれたのみならず、何とも義に篤い方よ」

ヒノキ「だったら、ラドンの日もアピールしておくかの。『空の大怪獣ラドン』の公開日は、1956年12月26日。すなわち、クリスマスの翌日はラドンを祝うのが、九州・阿蘇の伝統じゃよ」

ゲンブ「そんな伝統は、今、初めて聞きました。ところで、弥生殿はわざわざ通信しておいて、何の用ですか? まさか、誕生祝いだけと言うこともありますまい」

ヒノキ「いや、先日、タイムジャッカーの襲撃にあったことを知らせたら、すぐに対策を検討すると言っていたわけじゃが、その方法およびガメラの日のバースデイ・プレゼントとして、ラビットタンク改造計画を提案されての」

ゲンブ「ラビットタンク改造計画?」

ヒノキ「そう。あれは元々、古代遺跡の発掘メカとして移動手段に重宝しておったが、わらわたちの中にはメカに詳しい者がおらん。その話をすると、ドクター・ウルシェードという御仁が非常に興味を示しての。是非とも研究調査の末、改造させてくれ、ということらしい。一応、改造プランも三つほど示された」

ゲンブ「三つも! それは一体?」

ヒノキ「一つめは武装強化案。タンクという名前なのに、攻撃手段を持たなかったわけだが、これでラビットタンクも戦える」

ゲンブ「確かに、戦闘マシンとしては考えて来なかった。続く二つめは?」

ヒノキ「高機動ラビットモードの搭載。前にクラブキングの高重力で操縦不能に陥っていたから、反重力で対抗できるグラビティ・コントローラーを装着し、それを利用した加速装置も実装する案じゃ。さすがに時間移動までは不可能にしても、限定的な短距離空間跳躍まで提案されたが、本当に実現可能かの」

ゲンブ「実現できたら、我々の活動範囲も広がること間違いなし、でござる」

ヒノキ「うむ。新星どのの構築した新世界の探索にも役立つかもしれんの。そして、三つめはロボへの変形機能。その名も『武玄ラビタン∞』!」

ゲンブ「ええと、何とおっしゃられた? よく聞き取れなかったでござる」

ヒノキ「ゆっくり言うぞ。ムゲン・ラビタン・インフィニティーと読む」

ゲンブ「ムゲンと、インフィニティーの意味が被っているでござる」

ヒノキ「ムゲンの元ネタは、ダイムゲンにあるそうじゃ」

ゲンブ「つまり、玄武を逆にして武玄とアレンジしたわけでござるな。すると、∞にも何か意味が?」

ヒノキ「それは、メガネンジャーのメガネにも通じるとのこと。元ネタの亀夫もメガネキャラだし、絡めることも可能ではないか、というのがメガネンジャー司令の意見らしい」

ゲンブ「なるほど。つまり、ラビットタンクをメガネンジャーの技術力で、スーパーメガネロボにパワーアップさせようという計画でござるな。まさにハッピーバースデイにふさわしいプロジェクト。これでポンコツ呼ばわりされず、タイムマジーンにも負けることはないであろう」
仮面ライダージオウ DXタイムマジーン&オーズライドウォッチ

ヒノキ「問題は、あくまで机上のプランでしかなく、実際にラビットタンクをドクターに預けて、魔改造させてみないと、成功するかどうか分からんということじゃ」

ゲンブ「しかし、ラビットタンクが強く、速く、格好良くなるのであれば、その強化改造計画には是非とも乗ってみたいでござる。武玄ラビタン∞へのパワーアップをドクター殿にお願いしよう」

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