来訪者ふたたび
ヒノキ「よし、新兄さんから教わったパワーワード《混沌の渦》の操作にもだいぶ慣れてきたぞ。これで《遠見の水晶球》も使いこなせるようになったのじゃ。もうすぐ終焉を迎える旧コンパーニュも、あれから特に変わったこともなく平穏無事。こうなると、気になるのは屋久島に行ったコナっちゃんと、シロの動向じゃが」
ゲンブ「水晶球で見ることはできないのでござるか?」
ヒノキ「うむ。屋久島を包む結界が思いの外に強固での。中に入ることはおろか、外から中をのぞき見ることもできん」
謎の声「そうか。だったら、俺が手を貸さないといけないな」
ヒノキ「何者じゃ? ……って、新兄さんか。来るなら来ると、前もって連絡を寄越すのが礼儀ってものじゃぞ」
NOVA「いや、新コンパーニュに引っ越したから、ブログがお隣さん感覚になりまして。こうやって気楽に顔を出すことができるようになったんですよ。で、明鏡戦隊メガネンジャーの件で報告したいことが」
ヒノキ「メガネンジャーだと?」
NOVA「そう。ヒノキ姐さんには、このたびバックアップ要員としてメガネフェニックスの称号を授けたいと思いました。次元ドルイドのハイラスさんにもメガネワイルドとして新加入してもらい、これでメガネンジャー新体制で行こうかと」
ヒノキ「つまり、名誉特別隊員から、正式なメンバーとして遇しようということじゃな。引き受けた。で、色は当然、赤を要求するが、赤はすでにダン隊長がいるのではなかったか?」
NOVA「ええ。ダン隊長のメガネレッドは赤と銀のカラーリングですので、メガネフェニックスは金地に赤のラインで装飾しようかと思います。イメージモチーフは黄金剣を持った飛鳥武蔵が赤い鳥型のオーラを放つような感じで」
~ Fuma No Kojiro ۞ Capitulo 5 parte 1/3 ~
ヒノキ「何と。飛鳥武蔵じゃと? あの鳳凰星座の聖闘士・一輝兄さんの元キャラとも言われる伝説の超能力戦士(サイキック・ソルジャー)の力を、わらわに託すと言うのか。赤いオーラを放つ黄金戦士メガネフェニックス。伝説光臨ということじゃな」
NOVA「ええ。そういうノリで支援していただければ。それで、一応、常駐の暫定リーダーとして、こいつが認定されたわけですが」
晶華「てへっ。なぜか飛んできたキツツキのように、このたび私がメガネンジャーの暫定リーダーになることになってしまいまして。NOVAちゃんの言うことだから、てっきり半分妄言かなあ、と思っていたら、どんどん既成事実が作られて戸惑っている粉杉晶華ですマル」
ヒノキ「なるほど。アッキーが暫定でもリーダーか。だったら、リーダーとして務まるよう、しっかり鍛えてやらねばの(ニヤリ)」
晶華「え? 鍛えるって?」
NOVA「そう。こいつの修行をヒノキ姐さんにお願いに来たんですよ。さすがは話が早い」
晶華「まさか、私もお姉ちゃんみたいに、ここで修行するの? NOVAちゃんから離れて? そんなのイヤだ。私はNOVAちゃんのアシスタントガールなんだから、武術の修行とかバトルとかは、お姉ちゃんに任せたはずなのに。私の仕事は、読書とスパクロで知性と感性、根気強さを身につけて、NOVAちゃんのトーク相手になることなんだから」
NOVA「ああ、もちろん、その仕事は続けてもらうぞ。だけど、コンパーニュが近くなったんだから、定期的にここに通いながら、修行をつけてもらうことも簡単なはずだ。家にいるとゲームと読書だけで自堕落な時間を過ごす娘を、心身共に鍛えるために稽古事を習わせるのは、よくある親心だ。姉が塾を卒業したら、次に妹もお願いします、と親御さんから言われることも、俺の場合は割とよくある話だしな。親の手伝いとお稽古事は両立できるはずだ」
晶華「いや、私はNOVAちゃんが先生だから、家庭で普通に勉強できる環境にあるわけで……」
NOVA「勉強は教えられる。しかし、武芸は俺には教えられん。自分にできないことは、信頼できる仲間に託す。その代わり、自分にできることを磨いて、仲間を助けることで信頼を得る。それこそ自助・共助の精神。ヒノキ姐さんから武芸とともに、花粉症ガールとしての精神性を学べ。『少しのことにも先達はあらまほしきもの』とは兼好法師もおっしゃった。自分の周りの狭い世界だけでなく、もっと広い視野で先達を見出して、虚心坦懐に学ぶこともリーダーには必要となる。周りにちやほやされて人を見下すような了見の狭さは改善しないとな」
ヒノキ「そ、そうじゃ。驕り高ぶって、闇雲に人を見下すような輩はリーダー失格じゃ」
ゲンブ(アリナ様もどうやら思い当たることがあるようでござる。娘御を諌めるように見せて、何気なくお嬢さまをも諭すとは、さすがは新星どのと言ったところか)
晶華「うっ。分かったよ。虚心坦懐に学びます。よろしくね、ヒノキおばさん」
ヒノキ「おばさんじゃない! もっとキュートな呼び方を考えるのじゃ」
晶華「え? だったら私がアッキーだから、ヒノッキー?」
ヒノキ「キュートじゃない、却下」
晶華「だったら、ヒッキー?」
ヒノキ「余計に悪いわ。仕方ない。アリナで何かを考えるといい」
晶華「じゃあ、アが私とかぶるので、ミツルギ→ツルちゃんみたいに頭文字を抜いてリナちゃん?」
ヒノキ「竜破斬(ドラグスレイブ)を放ちたくなる呼び名じゃが、割としっくり来るので、それで決定。では、我々二人のユニット名はリナ&アッキーで決まりじゃな。略してリナッキー」
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