勇気が俺を呼んでいる
NOVA「それなりに長かったウォーハンマー・キャラメイク大会だったが、今回で終わらせなければいけなくなった」
晶華「ねえねえ、NOVAちゃん」
NOVA「何だ?」
晶華「これ、私たち年少組で作った嘆願書。せっかく作ったキャラクターで冒険の旅に出たいなって」
NOVA「晶華。お前は自分が何を言ってるのか分かっているのか? そんなこと有り得ないだろう?」
晶華「有り得ないって?」
NOVA「お前のカリーナと、リウ君のジンは初版。翔花のディアと、シロ君のグスタフは2版。ゲンさんのエリオンと、俺の今回完成予定のオッサムは4版。ゲームシステムが違うのに、いっしょに混ぜて遊べるわけがないだろう」
晶華「同じウォーハンマーなんだから、何とかなるって。%ダイスを振って、能力以下の出目を出せばいいんだから、細かいルールの違いはあっても、本質は変わりないでしょう? 無印ソード・ワールドと、2.0以降は世界まで違っているから無理なのは分かる。でも、ウォーハンマーは版が変わっても、同じオールドワールドのエンパイアが舞台である以上は、混ぜて遊ぶのも支障ない。私たちはソード・ワールド2.5のシステムで、2.0のシナリオをやって、いろいろ混ぜて遊んでいるんだから、できないことはないはず。違う?」
NOVA「説得力があるようで、ないな。お前の言い分は、クラシックD&Dと、AD&D2版と、D&D3版と、4版と、5版が同じD20を振るシステムだから、混ぜて遊べると言っているに等しい。D&Dに詳しい人間なら、そんなの無理と言うはずだ」
晶華「やりもしないで諦めるなんて、勇気が足りないと思わない?」
NOVA「そう、その勇気なんだ。勇気が俺を呼んでいるから、早く帰らないといけないんだ。昨日、スパロボDDにブレイバーンが時空転移でやって来たんだからな」
NOVA「大体、ドンブラ映画とゴジラのために、今週中にケリをつけないといけないのは最初からの予定どおりじゃないか。キャラメイクの後でオールドワールドへの冒険に出たら、いろいろな物を犠牲にしなければいけない。スケジュールを乱すような無理は言わないでくれ」
晶華「ううっ、NOVAちゃんの意地悪。クスン(涙目)」
NOVA「意地悪って言われてもなあ。ヒノキ姐さん、何とか言ってやって下さい」
ヒノキ「どうして、わらわに振る? ここはこう言ってやればいいではないか。『今は無理でも、時間を作って何とかする』と」
NOVA「そんな空約束は、迂闊にできませんよ。こっちがやりたいことならともかく、キャラ作りだけで終わる予定のお遊びに、それ以上の余分な時間を費やすほど酔狂な自分は……下手にいるだけに厄介だな。『ウォーハンマーの初版と2版と4版を混ぜる遊びは、公式が絶対に推奨しないだろうし、たぶん他にやった人は誰もいない前代未聞、前後不覚のネタだ』って。まともなウォーハンマーファンなら誰もやらない、混沌に取り憑かれて狂気を発症したような企画案だって。そうすると、それを実践してみたらオンリーワンに輝けるのではないか、と悪魔の囁きが聞こえるのです」
ヒノキ「それは妄魔時王の誘惑じゃな。あるいは、ゴブスレ世界の覚知神。オンリーワンは間違いないかもしれぬが、輝くことはなかろうて。せいぜい、バカだなと軽くあしらわれて終わる程度かと」
NOVA「いやあ、TRPG業界ではバカって名誉称号の一つなんですよ。少なくとも、俺の師の一人である友野さんはそう語って(騙って)おりました」
ヒノキ「師の一人……って何人ぐらい師がいるんじゃ?」
NOVA「『我以外みな我が師』って言ったのは誰かなあ? 確か、作家の吉川英治氏が『宮本武蔵』に言わせた言葉だと記憶しますが、とにかく自分より優れた何かを持つ者からいろいろ学んで己を磨く糧にする心構えですな。まあ、向こうがこちらを弟子と思っていることはないと思いますが、友野さんもいろいろな人にいろいろと語って(騙って)おりますので、俺が数多い師の一人として崇め立ててもいいでしょう。さもないと、俺もここまでウォーハンマー好きにはなっていなかったかもしれませんし」
ヒノキ「まあ、日本でウォーハンマーの話題を出すには、友野リプレイも重要なガイドブックであることは間違いないか」
NOVA「で、そんな友野さんも、もしウォーハンマー初版と2版と4版を混ぜるのはどうか? と尋ねられたら、バカだなあ(笑)とおっしゃるはず。つまりは、褒め言葉です」
ヒノキ「おい(苦笑)」
NOVA「だから、ヒノキ姐さん、GMをお願いします」
ヒノキ「おいおい。どうして、わらわがそんなバカな企画に乗らないといけないのじゃ?」
NOVA「だって、俺はこれからキャラを完成させますからね。この中で、キャラを作っていないのはヒノキ姐さんのみ。だったら、ヒノキ姐さんがGMをしてくれると、6人のキャラを無駄なく使うことができるというもの。道理ですな」
ヒノキ「そんな、無理矢理な道理があってたまるか!」
NOVA「では、俺はハーフリングのオッサムを完成させますので。ブレイバーンが俺を呼んでいる」
ヒノキ「人の話をちゃんと聞けえ。身勝手に、面倒な役割を押し付けるなあ」
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